JP3726792B2 - ステアリングホイール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のステアリングホイールに関し、特に芯金の周上に合成樹脂からなる中芯を形成し、これを芯材としてステアリングホイールを製造することによって、製品精度の向上、製造工程の簡略化を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のステアリングホイールは、意匠的に多種のものがあり、製造方法も多様であるが、基本的には、金属からなる芯金の周りに樹脂や木材、皮革などの材料からなる外殻部を一体化して製造される。
芯金は、例えば、金属製のパイプを用いて形成され、リム部、スポーク部など各部の部品を溶接にて組み付けて形成される。しかしながら、溶接による組み付け工程で芯金に変形が生じやすく、特にリム部に歪みが生じ易い。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−34881号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、芯金の周りに外殻部を一体化する際に、本発明者らが先に出願した特願平10−208350号で提案しているように、芯金を金型内に配して芯金の樹脂を充填し、芯金を埋め込むようにして外殻部を形成する方法を採用する場合は、芯金に多少の歪みが生じていても問題になることは少ない。
しかしながら、芯金に軟質の材料からなる部材を貼り付けて外殻部を形成する場合は、芯金の歪みはステアリングホイールの外形に影響を及ぼし、製品の形状精度が悪くなるという問題があった。
【0005】
例えば、図7は、従来のステアリングホイールの製法の例である特開平11−34881号公報(特許文献1)に記載されているもので、(a)はステアリングホイールの平面図、(b)は図7(a)中Z−Z線に沿う断面図である。図中符号12はリム部の芯金であり鋼管等で形成されている。この例のステアリングホイールの製法は、まず、芯金12に木質材料および/または硬質樹脂からなるウッド部16を接着した後、ウッド部16の塗装を行うと同時に芯金12表面に接着剤層20を形成する。ウッド部16上の塗膜22と芯金12上の接着剤層20とは同一材料からなる。次いで、ウッド部16の端部に隣接する位置に、硬質樹脂からなる皮支持ピース24を固定し、続いて接着剤層20上に軟質樹脂を射出成形して皮巻きの下地となる軟質被覆部18を形成する。この後、軟質被覆部18および皮支持ピース24上に皮材を巻き付けて皮巻き層26を形成する。皮の両端部は皮支持ピース24とウッド部16との間スペーサ部24a上の隙間に挟み込んで係止させる。
【0006】
このような方法でステアリングホイールを製造する場合には、芯金12の精度が悪く歪みが生じていると、予め成形されている硬質のウッド部16を正確な位置に取り付けるのが難しく、芯金12とウッド部16とを接着するための接着剤層を厚くして芯金12の歪みを吸収させるなどの対策が必要であるが、接着剤の使用量が増大するため、材料コストが高くなるという問題があった。
また芯金12の歪みの状態は個々の芯金12毎に異なっているため、芯金12とウッド部16との接着作業においては、個々に調整が必要であり、機械的な連続工程で行うことができず、作業が煩雑で時間もかかっていた。
さらにウッド部16を芯金12に接着する際の位置決めは、芯金12全体におけるウッド部16の配置を見ながら調整するので、芯金12およびウッド部16を含む全体を支持する大型の治具が必要であり、作業性も良くないという不都合もあった。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、ステアリングホイールの製造における上記の問題の少なくとも1つを解決することを目的としており、具体的には芯金に歪みが生じていても、形状精度が高いステアリングホイールを効率良く製造できるようにすること、さらにはステアリングホイールの製造工程をより簡単にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明のステアリングホイールは、芯金の周上に合成樹脂からなる中芯を形成してなるステアリングホイール用芯材と、前記中芯外側に取り付けられた外殻部材とを有してなるステアリングホイールであって、該中芯の外面に、断面周方向に沿う複数の接着部が、長さ方向に間隔をおいて突出しており、隣り合う接着部の間において、外殻部材が接着された状態で、中芯の外面と外殻部材の内面との間に空間部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。図1および図2は本発明の第1の実施形態を示したもので、図1はステアリングホイールの断面図、図2は芯金のリム部の一部に中芯を形成したステアリングホイール用芯材(以下、単に芯材ということもある)の平面図である。
図中符号1は芯金、1aは芯金のリム部、1bは芯金のスポーク部、2は中芯、3は芯材、4は樹脂強化層、5は化粧層、6は外殻部材、7は接着剤層をそれぞれ示す。
【0010】
本実施形態のステアリングホイールは、図1に示すように、樹脂強化層4と化粧層5とからなる外殻部材6を有する構成のものである。
本実施形態において、芯材3は、芯金1のリム部1aのうち、外殻部材6が取り付けられる部分の周上に中芯2が形成される。
芯金1は、例えば鉄などの金属製パイプからなるリム部1aと、金属製パイプ又は板状の金属からなるスポーク部1bとを溶接して形成されている。
芯金1のリム部1aはパイプ状に限らず、各種の断面形状とすることができ、例えば断面V字状、断面U字状などでもよい。また芯金1は、アルミニウムやマグネシウム等の軽金属をダイキャスト成形したものでもよく、この場合はリム部1aとスポーク部1bとを一括的に成形することができる。
リム部1aの断面形状は全周に亘って一定である必要はなく、部位毎にそれぞれ好ましい断面形状とすることができる。
【0011】
中芯2は合成樹脂材料を用いて形成される。例えば、発泡ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、PPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂などを好ましく用いることができる。特にPPS樹脂は熱膨張率が芯金と同レベルであるので、耐熱耐冷性に優れたステアリングホイールが得られる点で好ましい。
中芯2は、ステアリングホイールの構成に応じて、芯金のリム部1a全部の周上に形成してもよく、図2の例のようにリム部1aの一部の周上にのみ形成してもよい。
中芯2の厚さは、例えば図1中二点鎖線で示すような芯金のリム部1aの歪みを吸収できる厚さ以上に形成される。
【0012】
また中芯2は、これと隣接する部材との係合部を有する形状に形成することが好ましい。本実施形態では、中芯2上に隣接して設けられる外殻部材6との係合部として、中芯2の外周面に孔2aが設けられるとともに、外殻部材6の内面には、この孔2aと係合する突起6aが設けられている。
また、ステアリングホイールのリム部の一部を皮巻き層で形成する場合には、図2に示すように、ステアリングホイールの周方向において皮巻き層と隣接する中芯2の端部に、皮の端部を挟み込むための溝部9aと鍔部9bを有する皮係止部9を、中芯2に連続して一体的に成形してもよい。
中芯2と外殻部材6との係合部は無くてもよいが、これを設けることによって中芯2と外殻部材6との位置決めを容易かつ確実に行うことができるので好ましい。中芯2と外殻部材6との係合部の形状は互いに係合して位置決めできる形状であればよく、本実施形態のような孔と突起の他にも、例えば溝と凸条でもよく、あるいは壁状の凸部を互いに突き当てて位置決めすることもできる。また係合部を設ける位置や数は任意とすることができる。
また、中芯2と皮巻き層との係合部、すなわち皮係止部9は中芯2と別部品とすることもできるが、中芯2と一体的に形成することによって部品点数の削減、作業工程数の削減を図ることができる。
【0013】
外殻部材6の材料は特に限定されないが、例えば木質化粧板、皮革、合成樹脂フィルム等からなる化粧層5の内側に、発泡エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、PPS樹脂等からなる樹脂強化層4が一体化されたものが好ましく用いられる。特にPPS樹脂は熱膨張率が芯金と同レベルであるので、耐熱耐冷性に優れたステアリングホイールが得られる点で好ましい。
外殻部材6は予め成形したものが用いられ、例えば化粧層5を熱圧プレス、真空プレスなど、材料に適した方法で予備成形した後、これを型内に配し、その内側に樹脂を、インジェクション成形、発泡成形、トランスファー成形、あるいは圧縮成形することによって好ましく作製される。
外殻部材6の形状も特に限定はされないが、本実施形態ではステアリングホイールの表面側を構成する部材と裏面側を構成する部材とからなる二つ割り構造とし、それぞれの部材は中芯2上に取り付けられ、外殻部材6と中芯2、および外殻部材6どうしが接着剤で接着一体化されている。接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を好ましく用いることができる。図中符号7は外殻部材6どうしの接着剤層を示している。また図示していないが外殻部材6と中芯2との間にも接着剤層が介在している。
皮巻き層を設ける場合は、芯材3の中芯2が形成されていない部分の周上に適宜の形状で、皮巻き層の下地(図示せず)を形成し、その上に皮巻きを施して形成することができる。皮巻き層の下地を形成する材料は特に限定されないが、軟質の樹脂が好ましく、例えば発泡ウレタン、エラストマー、発泡エポキシ等を好適に用いることができる。
【0014】
本発明において、ステアリングホイールを製造するには、まず、芯金1のリム部1aの周上に中芯2を形成してステアリングホイール芯材3を得る。そして中芯2上に外殻部材6を取り付け、接着一体化してステアリングホイールを得る。外殻部材6には適宜塗装仕上げを施すことが好ましい。
またステアリングホイールのリム部の一部に皮巻き層を設ける場合は、中芯2を芯金1のリム部1aの所定の部位に形成し、次いで、中芯2が形成されていない部分に皮巻き層の下地を形成する。そして、下地の上に皮巻きを施して皮巻き層を形成する。さらに、中芯2上に外殻部材6を取り付け、接着一体化してステアリングホイールを得る。なお、皮巻き層の下地の形成工程と、中芯2への外殻部材6の取り付け工程とは、どちらを先に行ってもよい。
また皮巻き層の下地と同一の材料で中芯2を構成し、これらを同時に形成することも可能である。
【0015】
本実施形態によれば、芯金1のリム部1aの周上に合成樹脂からなる中芯2を形成したものを芯材3として用い、中芯2上に外殻部材6を取り付けるので、芯金1に多少の歪みが生じていても、中芯2の外形形状は常に一定であり、芯材3の形状にはばらつきが無く精度が高い。したがって、予め成形された外殻部材6の取り付けが容易かつ確実になり、個々の製品毎の位置決め調整が不要となるとともに、芯材3と外殻部材6との間に介在させる接着剤の使用量も最小限に抑えることができる。よって、コストの低減、工程の簡略化、作業効率の向上等の効果が得られる。
また、中芯2には外殻部材6との係合部として孔2aが設けられているので、この孔2aに、外殻部材6の突起6aを係合させることにより、外殻部材6の位置決めを簡単に行うことができ、大型の治具を必要としない。
さらに、中芯2の両端には、皮巻き層との係合部として皮係止部9が形成することが可能であるので、この皮係止部9を別部品として製造して取り付ける手間が省け、部品点数の低減も図れる。
また中芯2と皮巻き層の下地を同時に形成することも可能であり、このようにすれば製造工程数がさらに低減し、製造効率が向上する。
【0016】
なお、上記実施形態では、ステアリングホイールのリム部が化粧層5を備えた外殻部材6と皮巻き層とからなっている例を示したが、ステアリングホイールの構成はこれに限らず、各種の構成を採用することが可能である。
例えばステアリングホイールのリム部全部が外殻部材6からなり、皮巻き層を有しない構成でもよい。この場合、芯金1のリム部1a全部の周上に中芯2を形成して芯材3とし、中芯2上に外殻部材6を取り付けることによりステアリングホイールを製造できる。
また芯金1のリム部1aだけでなくスポーク部1b上にも中芯2を形成し、その上に外殻部材を取り付けたり、あるいは芯金1のリム部1aに中芯2を形成すると同時にスポーク部1b上に最終意匠面となる樹脂成形を行うことも可能である。
【0017】
図3は、第2の実施態様として、ステアリングホイールのリム部の一部に外殻部材を設け、その他の部分は樹脂成形品で構成したものを示している。
この実施態様においては、芯金のリム部の所定の部位に中芯201が形成され、他の部位には成形リム部202が形成されている。この成形リム部202は樹脂からなり、その外面は、必要に応じて仕上げ加工が施されてステアリングホイールの最終意匠面となるものである。中芯201と成形リム部202とは同一の材料を用いて同時に形成される。中芯201および成形リム部202の材料としては、エラストマーや、発泡ウレタン、ABS、発泡エポキシ樹脂、PPS樹脂等が好適に用いられる。また、図示していないが、中芯201には外殻部材(図示せず)との係合部を設けることが好ましい。
そして中芯201上に、外殻部材(図示せず)を取り付け、接着一体化することによってステアリングホイールが得られる。
本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様に、芯金に多少の歪みが生じていても、外殻部材の取り付けを容易かつ確実に行うことができる他、製造工程数が少なく、また材料費を低く抑えることができるので、製造コストの低減化を図れるという利点が得られる。
【0018】
【実施例】
以下、具体的な実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図4〜6は本発明の実施例1における芯材のリム部の一部を示すもので、図4は斜視図であり、図5は図4の部分を裏返しにした状態の斜視図であり、図6(a)は図4中A−A線およびD−D線に沿う断面図であり、図6(b)は図4中B−B線に沿う断面図であり、図6(c)は図4中C−C線に沿う断面図である。図中符号31は芯金を示し、32は中芯を示す。また図6には外殻部材40を二点鎖線で示している。
まず、ステアリングホイールの芯金31をマグネシウムのダイキャスト成形により作製した。芯金31のリム部は図4,5に示すような断面略U字状とした。以下、芯材において芯金31のU字の開口側を上部、U字の屈曲側を下部という。芯金31の断面形状はリム部全周にわたって一定ではなく、部位によって図6(b),(c)に示すような略J字状とした。リム部の芯金31の寸法は最大の部分でステアリングホイール全体の径方向(以下、水平方向ともいう)における幅が15.0mmで、ステアリングホイールの厚さ方向(以下、垂直方向ともいう)における高さが17.0mmとした。このリム部の芯金31の歪みは水平方向で0.5mm、垂直方向で0.5mmであった。
【0019】
次に、芯金31を成形用型内に配し、エポキシ樹脂を注型して芯金31の周囲に中芯32を形成し芯材を得た。成形用型の内面形状、すなわち中芯32の外面形状は、図6(c)に示すように断面形状が略楕円形で頂部が平坦な接着部33を間隔をおいて設けるとともに、隣り合う接着部33,33の間における断面形状は、図6(a)または図6(b)に示すように、接着部33の略楕円形の上部および下部の周縁部をそれぞれ適宜切り欠いた形状とした。
また芯金31が成形用型内の中心部の所定の位置に配されるように、成形用型の内面であって芯金31の下部に近接する部位に、芯金31を支持するための円柱突起を複数個設けた。これにより、図5に示すように、芯材の下部の中芯32外面に、芯金31にまで達する円形の孔35を複数個形成した。
このようにして中芯32を形成して得られた芯材の寸法は最大部分、すなわち接着部33で水平方向における幅が18.0mmで、垂直方向の高さが25.0mmであり、歪みはなく、リム部は平面上にあった。
【0020】
これとは別に外殻部材40を形成した。外殻部材40の形状は、ステアリングホイールの外殻部分を、ステアリングホイールの表面側と裏面側、すなわち芯材の上部側と下部側とに二つ割りした断面略半円筒状とした。
まず、化粧層として、透明なアクリル樹脂フィルム上に木目模様の印刷を施し、その印刷面上に塩化ビニル樹脂をコーティングしたプラスチックを用意した。このプラスチックフィルムを、アクリル樹脂層が外側となるように、真空プレスにて断面半円弧状に予備成形した後、断面略半円筒状の型内にセットし、塩化ビニル樹脂層の内側にABS樹脂をインジェクション成形して樹脂強化層を形成し、厚さ3mmの外殻部材40を得た。また、芯材の下部側に配される外殻部材40の内面には、樹脂強化層を形成する際に、芯材の下部外面に形成されている孔35に係合する円柱突起(図示せず)を複数個形成した。
【0021】
そして、芯材の上部および下部にそれぞれ外殻部材40,40を取り付け、芯材と外殻部材40、ならびに上部および下部の外殻部材40どうしを、エポキシ樹脂で接着しステアリングホイールを得た。
本実施例では、芯金31に歪みがあっても、中芯32形成後の芯材には歪みがなく、ステアリングホイールを精度良く、しかも効率良く製造することができた。また外殻部材40の内面上に設けた円柱突起と、芯材の下部外面に設けられた孔35によって両者の位置決めを容易に行うことができるので、作業性が良く、位置決めのための大型の治具も不要である。
また本実施例においては、図6(c)に示すように、芯材の接着部33においてはステアリングホイール用心材の外面と外殻部材40の内面とが隙間無く接着されているが、図6(a)および(b)に示すように隣り合う接着部33の間では、垂直方向中央の部分32aのみで芯材の外面と外殻部材40の内面とが接着され、その上部および下部では両者の間に空間部36が形成されている。このような空間部36は、中芯32の熱膨張を逃がす空間となるので、これにより温度変化によって外殻部材40に応力が作用したり、変形が生じるのを防止できる。また空間部36は、芯材と外殻部材40とを接着する際に塗布された余分な接着剤がここに流入することができるので、接着剤の漏れを防止することができる。またこのような空間部36を設けた形状は中芯32を成形する際のヒケ防止の点でも好ましい。
【0022】
(実施例2)
本実施例における芯材の形状は、リム部の芯金を断面略V字状とした他は、上記実施例1と同様の形状とした。リム部の芯金の寸法は最大の部分で、水平方向における幅が16.0mmで、垂直方向における高さが20.0mmとした。このリム部の芯金31の歪みは水平方向で0.5mm、垂直方向で0.5mmであった。
この芯金を成形用型内に配し、発泡ウレタン樹脂をRIM成形して芯金の周囲に中芯を形成し、芯材を得た。芯材の下部外面には上記実施例1と同様にして複数個の孔を形成した。
このようにして形成された芯材の寸法は最大部分で水平方向における幅が18.0mmで、垂直方向の高さが25.0mmであり、歪みはなく、リム部は平面上にあった。
【0023】
これとは別に外殻部材を形成した。外殻部材の形状は上記実施例1と同様の断面略半円筒状とした。
まず、化粧層として、バーズアイメイプル材を表層とし、これにアルミシートとカバ材を順に積層した3層化粧材を用意した。この木質化粧材を、表層が外側となるように、熱圧プレスにて断面半円弧状に予備成形した後、断面略半円筒状の型内にセットし、その内側にポリカーボネートをインジェクション成形して樹脂強化層を形成し、厚さ3mmの外殻部材を得た。また、芯材の下部側に配される外殻部材の内面には、樹脂強化層を形成する際に、芯材の下部外面に形成されている孔に係合する円柱突起を複数個形成した。
そして、芯材の上部および下部にそれぞれ外殻部材を取り付け、芯材と外殻部材、ならびに上部および下部の外殻部材どうしを、ウレタン樹脂で接着しステアリングホイールを得た。
【0024】
(実施例3)
まず、ステアリングホイールの芯金を、鉄製の丸パイプを溶接して作製した。リム部の芯金を構成する丸パイプの直径は13.0mmで、リム部の歪みは水平方向で1.0mm、垂直方向で1.0mmであった。
この芯金を断面略円形の成形用型内に配し、ABS樹脂をインジェクション成形して芯金の周囲に中芯を形成し、芯材を得た。芯材の外面形状は、略円形でリム部の全周にわたって一定の断面形状とした。また芯材の上部および下部の外面には、中芯形成時に、リム部の周方向に沿って深さ1.5mm、幅3.0mm、長さ5.0mmの係合溝を複数箇所形成した。
このようにして形成された芯材の直径は18.0mmで、歪みはなく、リム部は平面上にあった。
【0025】
これとは別に断面略半円筒状の外殻部材を形成した。まず、化粧層として、クラロウォルナット材を表層とし、これ不織布を積層した裏打ち化粧材を用意した。この木質化粧材を、表層が外側となるように、真空プレスにて断面半円弧状に予備成形した後、断面略半円筒状の型内にセットし、その内側にエポキシ樹脂を発泡成形して樹脂強化層を形成し、厚さ4mmの外殻部材を得た。
また、外殻部材の内面には、樹脂強化層を形成する際に、芯材の外面に形成されている係合溝に係合する凸条を形成した。
そして、芯材の上部および下部にそれぞれ外殻部材を取り付け、芯材と外殻部材、ならびに上部および下部の外殻部材どうしを、エポキシ樹脂で接着しステアリングホイールを得た。
本実施例では、芯金に歪みがあっても、中芯形成後の芯材には歪みがなく、ステアリングホイールを精度良く、しかも効率良く製造することができた。また外殻部材の内面に設けた凸条と、芯材の外面に設けた係合溝によって両者の位置決めを容易に行うことができるので、作業性が良く、位置決めのための大型の治具も不要である。
【0026】
(実施例4)
まず、ステアリングホイールの芯金を、鉄製の丸パイプを溶接して作製した。リム部の芯金を構成する丸パイプの直径は13.0mmで、リム部の歪みは水平方向で1.0mm、垂直方向で1.0mmであった。
この芯金を断面略円形の成形用型内に配し、PPS(ポリフェニレンスルフィド)をインジェクション成形して芯金の周囲に中芯を形成し、芯材を得た。芯材の外面形状は、略円形でリム部の全周にわたって一定の断面形状とした。また芯材の上部および下部の外面には、中芯形成時に、リム部の周方向に沿って深さ1.5mm、幅3.0mm、長さ5.0mmの係合溝を複数箇所形成した。
このようにして形成された芯材の直径は18.0mmで、歪みはなく、リム部は平面上にあった。
【0027】
これとは別に断面略半円筒状の外殻部材を形成した。まず、化粧層として、クラロウォルナット材を表層とし、これにアルミ箔(厚さ0.2mm)を介してクラロウォルナット材を積層した化粧材を用意した。この木質化粧材を、表層が外側となるように、真空プレスにて断面半円弧状に予備成形した後、断面略半円筒状の型内にセットし、その内側にPPS樹脂をインジェクション成形して樹脂強化層を形成し、厚さ3mmの外殻部材を得た。
また、外殻部材の内面には、樹脂強化層を形成する際に、芯材の外面に形成されている係合溝に係合する凸条を形成した。
そして、芯材の上部および下部にそれぞれ外殻部材を取り付け、芯材と外殻部材、ならびに上部および下部の外殻部材どうしを、エポキシ樹脂で接着しステアリングホイールを得た。
本実施例では、芯金に歪みがあっても、中芯形成後の芯材には歪みがなく、ステアリングホイールを精度良く、しかも効率良く製造することができた。また外殻部材の内面に設けた凸条と、芯材の外面に設けた係合溝によって両者の位置決めを容易に行うことができるので、作業性が良く、位置決めのための大型の治具も不要である。
また特に本実施例では、中芯の熱膨張率が芯金と同等のレベルにあるので。耐熱性、耐冷性に優れたステアリングホイールが得られる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、芯金の周上に合成樹脂からなる中芯を形成してステアリングホイール用芯材を得、その中芯の外側に外殻部材を取り付けてステアリングホイールを製造するので、芯金の形状精度が悪くても、芯材の形状精度は高く、したがって所定の形状のステアリングホイールを精度良く、かつ効率良く製造することができる。また芯金の歪みを接着剤層により修正していた従来の方法に比べて、接着剤の使用量を削減できるので製造コストが低減し、かつ接着工程が簡素化される。
またステアリングホイール用芯材に外殻部材が接着された状態で、中芯の外面と外殻部材の内面との間に空間部が設けられるので、この空間部が、中芯の熱膨張を逃がす空間となり、これにより温度変化によって外殻部材に応力が作用したり、変形が生じるのを防止できる。
また中芯に、中芯と隣接する部材と係合する係合部を形成することにより、部材どうしの位置決めが容易になり、作業性が向上するとともに、位置決めのための大型の治具も不要となって製造工程が簡単になる。また係合部の構造によっては部品点数の削減が可能である。
このようにして製造されたステアリングホイールは、形状精度が高くて歩留まりが良く、製造コストが低減されたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるステアリングホイールの断面図である。
【図2】本発明の実施形態におけるステアリングホイール用芯材の平面図である。
【図3】本発明の他の実施形態におけるステアリングホイール用芯材の平面図である。
【図4】本発明に係る実施例におけるステアリングホイール用芯材の斜視図である。
【図5】図4の芯材を裏返しにした状態の斜視図である。
【図6】図6(a)は図4中A−A線およびD−D線に沿う断面図であり、図6(b)は図4中B−B線に沿う断面図であり、図6(c)は図4中C−C線に沿う断面図である。
【図7】従来のステアリングホイールの製法を示すもので(a)は平面図、(b)は(a)中Z−Z線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1,31…芯金、2,32,201…中芯、
3…ステアリングホイール用芯材、
2a,35…孔(係合部)、6,40…外殻部材、9…皮係止部(係合部)。
Claims (1)
- 芯金の周上に合成樹脂からなる中芯を形成してなるステアリングホイール用芯材と、前記中芯外側に取り付けられた外殻部材とを有してなるステアリングホイールであって、該中芯の外面に、断面周方向に沿う複数の接着部が、長さ方向に間隔をおいて突出しており、隣り合う接着部の間において、外殻部材が接着された状態で、中芯の外面と外殻部材の内面との間に空間部が設けられていることを特徴とするステアリングホイール。
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