JP3726169B2 - 畜熱体及びその製造方法、床暖房システム - Google Patents

畜熱体及びその製造方法、床暖房システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィラーを分散した高熱伝導性材料からなる蓄熱体及びその製造方法、この蓄熱体を用いた床暖房システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属以外の材料は一般的に熱伝導率が低い。従ってこのような金属以外の材料を基材として利用する分野において、基材に高熱伝導性が要求される場合には、基材の材料より熱伝導率の高い粒状フィラーを基材に混合分散させる等の方法が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように基材に粒状フィラーを混合分散させる方法では、基材に対して粒状フィラーを体積分率が30%以上になるように添加しないと、熱伝導率を向上させる効果が表れない。従ってフィラーの大量使用によって、基材の重量及び体積が大幅に増加すると共に材料コストが大幅増になり、また基材の基本物性が大きく損なわれる可能性がある、等の問題を有するものであった。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、少ないフィラーの添加で効率的に熱伝導率を高めることができる蓄熱体及びその製造方法を提供することを目的とするものであり、またこの蓄熱体を用いて暖房を効率的に行なうことができるようにした床暖房システムを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る蓄熱体は、潜熱蓄熱材からなる基材に、基材より高い熱伝導率を有すると共に平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーを混合分散させ高熱伝導性材料から形成される層と、フィラーを分散させていない潜熱蓄熱材の層とを、熱伝導方向と平行な層として交互に積層して成ることを特徴とするものである。
【0006】
また請求項2の発明は、上記のフィラーが、フレーク状もしくは繊維状のものであることを特徴とするものである。
【0007】
また請求項3の発明は、上記のフィラーが、代表長さ(フィラーの最長部分の長さ)が0.5mm以上のものであることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項4の発明は、上記のフィラーが、金属材料、炭素材料、無機材料、有機材料のいずれかからなるものであり、その熱伝導率が基材の熱伝導率の3倍以上のものである
ことを特徴とするものである。
【0009】
また請求項5の発明は、上記のフィラーとして、平均アスペクト比が異なる2種以上のものを用いることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項6の発明は、上記フィラーが、全体積分率が1.5〜30%になるように基材に混合分散されていることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項7の発明は、高熱伝導性材料に上記の大きなアスペクト比を有するフィラーの他に、粒状のフィラーを基材に混合分散させて成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項8の発明は、上記の粒状のフィラーが、金属材料、炭素材料、無機材料、有機材料のいずれかからなるものであり、その熱伝導率が基材の熱伝導率の2倍以上のものであることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項9の発明は、上記粒状のフィラーが、全体積分率が4%以上になるように基材に混合分散されていることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項10の発明は、上記潜熱蓄熱材が、有機系蓄熱材であることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項11の発明は、上記有機系蓄熱材が、パラフィンを蓄熱物質とする蓄熱材であることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項12の発明は、上記パラフィンを蓄熱物質とする蓄熱材が、蓄熱物質であるパラフィンと、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレフィンとからなることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項13の発明は、上記の非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンが、エチレンプロピレン共重合体、超低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレンから選ばれるものであり、上記の結晶性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれるものであることを特徴とするものである。
【0018】
また請求項14の発明は、上記の大きなアスペクト比を有するフィラーが、アルミニウムフレーク、アルミニウム繊維、ステンレス箔、ステンレス繊維、グラファイト、カーボンファイバー、アルミナ、マイカ、バーミュキュライトのうち少なくとも一種を含むものであることを特徴とするものである。
【0019】
また請求項15の発明は、上記の粒状のフィラーが、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、アルミナのうち少なくとも一種を含むものであることを特徴とするものである。
【0020】
また請求項16の発明は、上記の大きなアスペクト比を有するフイラー、蓄熱体中でランダムな向きで分散していることを特徴とするものである。
【0021】
また請求項17の発明は、上記の大きなアスペクト比を有するフィラー、その長手方向が蓄熱体の熱伝導方向と平行に配向して分散していることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項18に係る蓄熱体の製造方法は、潜熱蓄熱材からなる基材に、基材より高い熱伝導率を有すると共に平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーを混合分散させた高熱伝導性材料を混練押出機で混練すると共にこの混練物を、蓄熱体の熱伝導方向と平行に並ぶ複数のスリットを有する成形金型を通して押出成形することによって、連続混練押出成形で成形することを特徴とするものである。
【0023】
また請求項19の発明は、上記スリットは、熱伝導方向の寸法と熱伝導方向に対して垂直な方向の寸法の比が1.5:1〜20:1になるように形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の請求項20に係る蓄熱体の製造方法は、潜熱蓄熱材からなる基材を混練押出機で混練しつつ平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーを間欠的に混練押出機に投入して基材に部分的に混練し、これを成形金型を通して押出成形することによって、フィラーが混合された基材層とフィラーが混合されていない基材 層とを押出方向に積層することを特徴とするものである。
【0025】
本発明の請求項21に係る蓄熱体の製造方法は、蓄熱体の熱伝導方向と平行に並ぶ複数のスリットを設けた成形金型を用い、平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーが分散している潜熱蓄熱材からなる基材とフィラーが分散して
いない基材を隣合う各スリットから押出して成形することを特徴とするものである。
【0026】
また請求項22の発明は、上記混練物の粘度を、式η=kγ n−1 (η:粘度、k:材料固有の係数、γ:剪断速度、n:べき指数)において、べき指数nが1/2以下になるように調整して、成形金型を通して押出成形することを特徴とするものである。
【0027】
また請求項23の発明は、高熱伝導性材料を冷却混練して押出成形することを特徴とするものである。
【0028】
また請求項24の発明は、蓄熱物質であるパラフィンと、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレフィンとからなるものを潜熱蓄熱材とする高熱伝導性材料を、結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度で冷却混練することを特徴とするものである。
【0029】
また請求項25の発明は、高熱伝導性材料に増粘材を添加して混練することを特徴とするものである。
【0030】
また請求項26の発明は、上記増粘材が、EVA、ソフトパラフィン、ポリイソブチレン、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、パーライト、ベントンから選ばれるものであることを特徴とするものである。
【0031】
また請求項27の発明は、蓄熱物質であるパラフィンと、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレフィンとからなるものを潜熱蓄熱材とする高熱伝導性材料に結晶性ポリオレフィンの結晶化促進剤を添加することを特徴とするものである。
【0032】
本発明の請求項28に係る床暖房システムは、床材、上記請求項1乃至17のいずれかに記載の蓄熱体、ヒーター、断熱材を積層して形成したことを特徴とするものである。
【0033】
また請求項29の発明は、上記請求項1乃至17のいずれかに記載の蓄熱体の表面に、フィラーを含有しない蓄熱材から形成した蓄熱体を重ねて用いることを特徴とするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
本発明は、潜熱蓄熱材からなる基材に、基材より高い熱伝導率を有するフィラーを混合分散させて、高熱伝導性を有するようにしたものであり、この高い熱伝導率を有するフィラーとして、本発明ではアスペクト比(代表長さ/厚さもしくは径)の大きなものを用いるものである(請求項1)。ここで、代表長さ(フィラーがフレーク状の場合には代表径ともいう)とは、フィラーの最長部分の長さをいうものであり、フレーク状フィラーの場合は偏平面での最長部分の長さ、繊維状フィラーの場合は繊維長が相当する。基材にフィラーを分散させるにあたって、フィラーとしてこのようにアスペクト比の高いフィラーを用いると、基材中におけるフィラー間の平均距離が小さくなって、フィラーによる熱伝導が効率的に行なわれる。従って、少ないフィラーの添加量で効果的に基材の熱伝導率を向上させることができるものである。
【0036】
このフィラーの形状は、アスペクト比が高ければ何でも良いが、フレーク状もしくは繊維状のものが入手のし易さや比較的安価であることから好ましい(請求項2)。またこのフィラーの平均アスペクト比は10〜20000の範囲である。平均アスペクトが10未満であると、熱伝導率を効率的に向上させることが困難になり、また平均アスペクト比が20000を超えるものでは、基材に混合分散させる際のフィラーの破損が大きく、基材中に分散されたフィラーのアスペクト比が却って小さくなってしまうおそれがある。
【0037】
さらに、このフィラーの代表長さは、0.5mm以上の長いものが好ましい(請求項3)。このように代表長さの長いフィラーを基材中に分散させると、フィラー同士の接触確率が高くなり、長い距離で熱がフィラーを速く伝わり、熱伝導率を向上させる効果を高く得ることができるものである。フィラーの代表長さは基材の層の厚さが許す限り長いほうがよいが、実質的には30mm程度が限界である。
【0038】
また、このアスペクト比が大きいフィラーは、金属材料、炭素材料、無機材料、有機材料のいずれかからなるものを用いることができる。金属材料や炭素材料のように熱伝導率が高いものを使用すると、少ない量の添加で熱伝導率を向上させる効果を高く得ることができるが、比較的熱伝導率が低くても無機材料や有機材料のように安価な材料の場合には
多めに添加することによって、熱伝導率を向上させることができる。いずれの材料の場合でも基材の熱伝導率を大きく向上させるためには、このアスペクト比が大きいフィラーの熱伝導率は基材の熱伝導率の3倍以上であることが望ましい(請求項4)。このフィラーの熱伝導率は高ければ高い程よいが、基材の熱伝導率の5000倍程度が実質的な限界である。このようなアスペクト比の大きなフィラーを例示すると、アルミニウムフレーク、アルミニウム繊維、ステンレス箔、ステンレス繊維、グラファイト、カーボンファイバー、アルミナ、マイカ、バーミュキュライトなどである(請求項14)。
【0039】
請求項5の発明は、潜熱蓄熱材からなる基材に、基材より高い熱伝導率を有するフィラーを混合分散させるにあたって、このフィラーとして、フレーク状もしくは繊維状の形状を有すると共に大きなアスペクト比を有しており、しかも平均アスペクト比が異なる2種類以上のものを組み合わせて用いるようにしたものである。フレーク−フレーク、フレーク−繊維、繊維−繊維のいずれの組み合わせでもよい。このようにアスペクト比の大きなフィラーとして、平均アスペクト比が異なる2種類以上のものを組み合わせて用いることによって、熱伝導率向上の効果がさらに大きくなるものである。
【0040】
基材にアスペクト比の大きなフィラーを混合分散させるにあたって、上記のようにアスペクト比の大きなフィラーは少ない添加量で熱伝導率を向上させることができるものであり、基材へのフィラーの添加量は、基材中の体積分率が1.5〜30%になるように調整するのが好ましい(請求項6)。フィラーの添加量が30vol%を超えると、高熱伝導性材料の重量や体積の増加が大きくなると共に材料コストが大幅増になり、また高熱伝導性材料の基本物性が大きく損なわれる可能性がある。逆にフィラーの添加量が1.5vol%未満であると、熱伝導率を向上させる効果を十分に得ることができない。
【0041】
請求項7の発明は、潜熱蓄熱材からなる基材に、基材より高い熱伝導率を有するフィラーを混合分散させるにあたって、このフィラーとして、フレーク状もしくは繊維状の形状を有すると共に大きなアスペクト比を有する種類の他に、平均アスペクト比が小さい(アスペクト比が10未満)粒状のフィラーを併用するようにしたものである。粒状のフィラーを基材に分散させておき、さらにこれにアスペクト比の高いフィラーを基材に分散させることによって、熱伝導率の向上の効果をさらに高く得ることができるものである。
【0042】
この粒状のフィラーは、金属材料、炭素材料、無機材料、有機材料のいずれかからなるものを用いることができる。金属材料や炭素材料のように熱伝導率が高いものを使用すると、少ない量の添加で熱伝導率を向上させる効果を高く得ることができるが、比較的熱伝導率が低くても無機材料や有機材料のように安価な材料の場合には多めに添加することによって、熱伝導率を向上させることができる。いずれの材料の場合でも基材の熱伝導率を大きく向上させるためには、この粒状のフィラーの熱伝導率は基材の熱伝導率の2倍以上であることが望ましい(請求項8)。この粒状のフィラーの熱伝導率は高ければ高い程よいが、基材の熱伝導率の5000倍程度が実質的な限界である。このような粒状のフィラーを例示すると、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、アルミナなどである(請求項15)。
【0043】
またこの粒状のフィラーの基材への添加量は、基材中の体積分率が4%になるように調整するのが好ましい(請求項9)。フィラーの添加量が4vol%未満であると、熱伝導率を向上させる効果を十分に得ることができない。この粒状のフィラーの添加量の上限は特に設定されるものではないが、40vol%程度が限界である。そして上記のアスペクト比の大きいフィラーとこの粒状フィラーを併用する場合、基材に対するアスペクト比の大きいフィラーと粒状フィラーの配合量は、基材100重量部に対してアスペクト比の大きいフィラー3〜30重量部、粒状フィラー10〜50重量部の範囲が好ましい。
【0044】
また本発明において、上記の基材として用いる潜熱蓄熱材としては、有機系蓄熱材を用いることができる(請求項10)。そしてこの有機系蓄熱材としては、パラフィンを蓄熱物質とする蓄熱材を用いることができる(請求項11)。このように基材として蓄熱材を用いることによって、蓄熱作用を有する高熱伝導性材料を得ることができるものである。
【0045】
そして上記のパラフィンを蓄熱物質とする蓄熱材としては、蓄熱物質であるパラフィン(パラフィンワックス)と、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレ
フィンとからなるものを用いるのが好ましい(請求項12)。この蓄熱材においては、結晶性ポリオレフィンが骨格材となり、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンがパラフィンの担持材となるため、外部へのパラフィンのしみ出しが非常に少なく、また成形性が良好であるという利点を有するものである。パラフィンと、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレフィンの配合比率は、パラフィン40〜95重量部、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィン1〜30重量部、結晶性ポリオレフィン1〜30重量部の範囲が好ましい。
【0046】
上記の非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンとしては、エチレンプロピレン共重合体(EP)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、アタクチックポリプロピレンから選ばれるものを用いることができ、また上記の結晶性ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、EPDMから選ばれるものを用いることができる(請求項13)。
【0047】
そして上記のように、基材にアスペクト比の大きいフィラーを混合分散させると共に必要に応じて粒状のフィラーを混合分散させることによって、本発明に係る高熱伝導性材料を得ることができるものである。ここで、基材1にアスペクト比の大きいフィラー2及び必要に応じて粒状のフィラーを混合分散させるにあたって、図1(a)に示すようにフィラー(特にアスペクト比の大きいフィラー2)を基材1中でランダムな方向に向くように分散させて高熱伝導性材料Aから形成される蓄熱体18を成形することができる(請求項16)。このようにフィラーをランダムに分散させることによって、あらゆる方向での熱伝導率を向上させた高熱伝導性材料Aから形成される蓄熱体18を得ることができるものである。
【0048】
また基材1にアスペクト比の大きいフィラー2及び必要に応じて粒状のフィラーを混合分散させるにあたって、図1(b)(c)に示すようにアスペクト比の大きいフィラー2の大部分を、その長手方向(代表長さの方向)が一定の向きになるように平行に配向させて分散させた高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18を成形することもできる(請求項17)。このとき図1(b)のように、熱伝導方向(図1(b)(c)に矢印で示す)とフィラー2の長手方向が平行になるようにフィラー2を配向させることによって、熱伝導方向での熱伝導率を特に向上させた高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18を得ることができるものである。アスペクト比の大きなフィラー2のうち、40%以上がこのように配向していることが望ましい。
【0049】
図2は、アスペクト比の大きいフィラー2及び必要に応じて粒状のフィラーを分散させた基材1aと、フィラーを分散させていない基材1bとを交互に積層して成形した高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18を示すものであり、フィラー入りの基材1aの層とフィラー無しの基材1bの層は、熱伝導方向(矢印で示す)と平行に積層するようにしてある(請求項)。このようにフィラー入りの基材1aとフィラー無しの基材1bを積層して形成した高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18にあって、同じ部数のフィラーを分散させる場合、フィラーを高熱伝導性材料Aの全体に均一に分散させるときよりも、フィラー入り基材1aに分散しているフィラーの濃度が高くなるので、このフィラー入り基材1aの部分での熱伝導率が大きく向上し、高熱伝導性材料Aの全体としての熱伝導率を上昇させることができるものである。
【0050】
次に、本発明に係る高熱伝導性材料Aから形成される蓄熱体18の製造方法について説明する。図3は製造装置の一例の概略構成を示すものであり、混練押出機4と、混練押出機4の前端に接続される成形金型(ダイス)5とからなる。混練押出機4はバレル6内に混練スクリュー7を設けて形成されるものであり、投入口8から基材やフィラーをバレル6内に供給すると、基材とフィラーは混練スクリュー7で混練されながらバレル6内を前方へ送られるようになっている。成形金型5は混練押出機4の前端の出口に接続されているものであり、この出口に連通する押出口9を設けて形成してある。そして混練押出機4で混練された基材とフィラーの混練物は混練押出機4から成形金型5へ送られ、押出口9を通して押出成形される。このようにして基材にフィラーを混合分散させた高熱伝導性材料Aを連続混練押出成形することができるものである。
【0051】
上記のように混練押出成形を行なうにあたって、成形金型5の押出口9を通過する基材とフィラーの混練物の粘度が、数式η=kγn−1(η:粘度、k:材料固有の係数、γ:剪断速度、n:べき指数)において、べき指数nが1/2以下になるように、粘性特性を調整して、押出成形するのが望ましい(請求項22)。上記の数式は非ニュートン流体の粘度と剪断速度との非水平直線性の関係を表す周知の式であり、混練物の粘性特性をこの数式のべき指数nが1/2以下になるように調整すると、成形金型5の押出口9内での混練物は図4(a)に示すような流速分布Sを持つ。すなわち、押出口9の内壁面の付近は流路抵抗があるが、内壁面から少し離れた箇所から押出口9の中央部にかけて広い範囲で流速がほぼ等しくなり、流速分布Sは内壁面に対して垂直になる。そしてアスペクト比の大きいフィラー2はその長手方向は流速分布Sに沿って分布するので、アスペクト比の大きいフィラー2は図4(b)のように分布し、混練物の押出方向に対して垂直な向きに配向することになる。このようにしてアスペクト比の大きいフィラー2の大部分を、その長手方向(代表長さの方向)が押出方向(a矢印)に対して垂直な方向(b矢印)を向くように配向させて分散させた高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18を成形することができるものである。従って、押出方向に対して垂直な方向での熱伝導率の高い高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18を得ることができるものであり、熱伝導方向での熱伝導率を特に向上させた高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18を得ることができるものである。
【0052】
成形金型5内での基材とフィラーの混練物の粘性特性が上記のようになるように調整するにあたっては、混練押出機4における混練押出を冷却混練押出によって行ない、混練物の粘度を高めるようにするのが最も簡単な方法である(請求項23)。冷却混練押出は、混練押出機4における混練工程の前半部分は溶融状態で混練し、混練工程の最終部では基材の中の溶融温度が最も高い物質の融点よりも低い温度で混練して、半固体状態で混練を行ない、そのまま成形金型5に供給して成形を行なうようにしたものである。
【0053】
ここで、蓄熱物質であるパラフィンと、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレフィンとからなる基材のように、基材中に結晶性ポリレフィン(基材中で最も融点が高い)を含む配合の場合、混練の最終工程を結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度で冷却混練押出を行なうものである(請求項24)。この場合、混練温度は結晶性ポリレフィンの融点より20〜80℃低い温度に設定するのが望ましい。
【0054】
また、基材中に増粘材を配合して、基材とフィラーの混練物の粘度を高めるようにすることによっても、上記のような粘性特性に調整することができる(請求項25)。このように増粘材を添加することによって上記の粘性の式中のべき指数nを引き下げることができるものであり、べき指数nの値が小さい程、流速分布Sは成形金型5の内壁面に対して垂直になり、アスペクト比の大きいフィラー2を配向させる効果が高くなるものである。このような増粘材としては、EVA(エチレン・酢酸ビニルコポリマー)、ソフトパラフィン、ポリイソブチレン、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、パーライト、ベントン(ベントナイト)などを用いることができる(請求項26)。また増粘材の添加量は、基材100重量部に対して3〜50重量部の範囲が好ましい。
【0055】
さらに、基材に結晶性ポリオレフィンを含む配合の場合、基材に結晶性ポリオレフィンの結晶化促進剤を添加して基材とフィラーの混練物の粘度を高めるようにすることによっても、上記のような粘性特性に調整することができる(請求項27)。このように結晶化促進剤を添加することによって上記の粘性の式中のべき指数nを引き下げることができるものであり、べき指数nの値が小さい程、流速分布Sは成形金型5の内壁面に対して垂直になり、アスペクト比の大きいフィラー2を配向させる効果が高くなるものである。結晶化促進剤としては、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどを用いることができるものであり、結晶性ポリオレフィンに対して0.1〜3.0重量%の範囲で添加するのが好ましい。
【0056】
図5は成形金型5の押出口9内に複数枚の仕切り板12を平行に設け、押出口9を幅方
向で平行に並ぶ複数のスリット13に分割するようにしたものである(請求項18)。このように押出口9を幅方向に複数のスリット13で分割すると、混練押出機4から成形金型5に送り出された基材とフィラーの混練物は、各スリット13を通過して押出口9から押出成形される。そしてこのとき、基材とフィラーの混練物が各スリット13を通過する際に混練物中のアスペクト比の大きいフィラー2のうち各スリット13の両側の仕切り板12に近いものは図5(c)のように仕切り板12に沿って配向され、アスペクト比の大きいフィラー2の多くのものを仕切り板12と平行に配向させて分散させることができる。従ってこのアスペクト比の大きいフィラー2としてフレーク状のものを用いると、フィラー2の多くを図5(c)のように高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18の厚み方向に配向させることができ、高熱伝導性材料Aの厚み方向の熱伝導性を特に向上させることができるものであり、厚み方向を熱伝導方向とした高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18を得ることができるものである。
【0057】
このように押出口9を幅方向に複数のスリット13で分割するにあたって、各スリット13の空間部の縦/横の寸法比が大きい程、高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18の厚み方向に配向するフィラー2の比率が高くなり、高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18の厚み方向の熱伝導性を高める効果が大きくなる。従って本発明では、熱伝導方向の寸法(縦寸法L)と熱伝導方向と垂直な方向の寸法(横寸法L)が、L/L=1.5〜20になるように各スリット13の寸法を設定するのが好ましい(請求項19)。L/Lが1.5未満では配向するフィラー2の比率が小さく、高熱伝導性材料Aの厚み方向の熱伝導性を高める効果は不十分である。逆にL/Lが20を超えると、スリット13の幅が狭くなり過ぎてアスペクト比の大きいフィラーがスリット13に詰まってしまうおそれがあり、押出圧力が極端に大きくなったり、各スリット13からの押出流量が不均一になったりするおそれがあって好ましくない。
【0058】
図6は他の製造装置の概略構成を示すものであり、このものでは混練押出機4の後部に基材1を供給する後投入口8aが、混練押出機4の前部にアスペクト比の大きいフィラー2を供給する前投入口8bがそれぞれ設けてある。そしてこの混練押出機4を用いて冷却混練押出法で図4(b)のようにフィラー2を配向させながら成形を行なうにあたって、基材1は一定量を後投入口8aから常時混練押出機4に供給して成形金型5へと送り出すが、アスペクト比の大きいフィラー2は間欠的に前投入口8bから混練押出機4に供給するようにしてある。従って、混練押出機4から成形金型5へ送り出される混練物には基材1にフィラー2が混入している部分と基材1にフィラー2が混入していない部分とが交互に生じるものであり、この混練物を成形金型5から押出成形することによって、フィラー2が混合分散する基材1aと、フィラー2が存在しない基材1bとが交互に積層した高熱伝導性材料Aを得ることができるものである(請求項20)。このようにフィラー入りの基材1aとフィラー無しの基材1bを積層して形成した高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18にあって、同じ部数のフィラー2を分散させる場合、フィラー2を高熱伝導性材料Aの全体に均一に分散させるときよりも、フィラー入り基材1aに分散しているフィラー2の濃度が高くなるので、このフィラー入り基材1aの部分での熱伝導率が大きく向上し、高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18の全体としての熱伝導率を上昇させることができるものである。
【0059】
図7は、成形金型5の押出口9内に他の材料を押し出すことができる押出スリット15を設けるようにしたものである。押出スリット15は縦長の断面に形成されるものであって、押出口9内に所定間隔で幅方向の複数箇所に設けてあり、外部から成形金型5内に導入した他材料供給管16に各押出スリット15を接続するようにしてある。この他材料供給管16は他の押出混練機に接続してある。そしてこのものでは例えば、混練押出機4から基材とフィラーを混練したフィラー入りの基材を成形金型5の押出口9に送り出すと共に、フィラーを入れないフィラー無しの基材を他材料供給管16から各押出スリット15に送り出すと、隣合う押出スリット15間の隙間を通過して押し出されるフィラー入り基材1aと各押出スリット15から押し出されるフィラー無し基材1bとが押出方向と平行に交互に積層された、高熱伝導性材料Aからなる蓄熱体18を成形することができるもの
である(請求項21)。このものにあっても、フィラー入り基材1aに分散しているフィラー2の濃度を高くすることができるので、このフィラー入り基材1aの部分での熱伝導率を大きく向上させて、高熱伝導性材料Aの全体としての熱伝導率を上昇させることができるものである。尚、上記と逆に、フィラー無しの基材1bを成形金型5の押出口9に送り出すと共に、フィラー入りの基材1aを他材料供給管16から各押出スリット15に送り出すようにして、成形を行なうようにしてもよいのはいうまでもない。
【0060】
上記のように、基材として蓄熱材を用いた高熱伝導性材料Aを板状に成形することによって、この高熱伝導性材料Aで蓄熱体18を形成することができる。図8はこの蓄熱体18を用いた床暖房システムの一例を示すものであり、根太19の下側に合板などの下板20を張ると共に下板20の下面に断熱材21を積層し、下板20の上に断熱材22を介して電気ヒーター23を設け、この電気ヒーター23の上に上記の蓄熱体18を重ねるようにしてある。そして蓄熱体18の上面側に空気層24ができるように、根太19の上に表面材として床材25を張ることによって、家屋の床暖房システムを形成するようにしてあり、ヒーター23にはコントローラによって制御しつつ通電するようにしてある(請求項28)。
【0061】
上記のように形成される床暖房システムにあって、例えば安価な深夜電力を使ってヒーター23に通電して発熱させ、この熱を蓄熱体18に蓄熱し、そして蓄熱体18に蓄熱した熱を昼間に放熱させてほぼ一日中暖房することができるようにすることができるものである。そしてこの蓄熱体18は高熱伝導性であるために、蓄熱時にも伝熱によって室内への放熱量を大きくすることができ、室温や床温の昇温を早めることができるものである。また高熱伝導性であるため、短時間で蓄熱体18に潜熱蓄熱することができると共に、深夜電力供給時間帯でもさらに顕熱まで蓄熱することが可能になるものであり、この結果、放熱時には十分な熱を放出することができるものであり、従って室温や床温を早く高めることできて蓄熱体18との温度差を小さくすることができ、放熱量を低減して長時間の放熱が可能になるものである。床暖房システムはこのように蓄放熱を効率的に行なうことができるものであり、高い暖房性能を有するものである。
【0062】
図9に示す床暖房システムでは、高熱伝導性材料Aから作製した蓄熱体18の表面に、アスペクト比の大きいフィラーを配合しない蓄熱材から作製した蓄熱体27を重ねて使用するようにしてある(請求項29)。このフィラーを配合しない蓄熱体27は熱伝導率が小さい従来から使用されているものであるので、蓄熱体18と蓄熱体27の両者を合わせた全体の温度が図8のものより低くなり、一日の間の暖房温度の較差が小さくなり、よりマイルドな暖房が可能になるものである。またこのようにフィラーを配合しない蓄熱体27を用いることによって、材料費を安価にすることもできるものである。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに説明する。
【0064】
参考例1〜11)
表1及び表2に示す配合量で、基材及びアスペクト比の高いフィラーを配合し、参考例5〜7についてはさらに表3に示す配合量で粒状フィラーを配合した。そして参考例1〜11については、基材とフィラーを万能ミキサーで加熱溶融攪拌して混練し、この混練物を冷却して固化させた後、カッターで切断して切り出すことによって、厚み15mm、縦70mm、横70mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。
【0065】
尚、以下の各表において基材やフィラーの熱伝導率を「λ」の欄に示す(単位kcal/mh ℃) 。また基材の「配合量」は重量部、高アスペクト比フィラーの「平均アスペクト比」の単位はmm、「平均代表長さ」の単位はmmである。
【0066】
比較参考例1)
表2に示す配合量で、基材及び粒状フィラーを配合し、上記の参考例1〜11と同様にして厚み15mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。
【0067】
参考例1〜11及び比較参考例1で得た高熱伝導性材料からなる蓄熱体について、厚み方向での熱伝導率をJIS A 1412に規定される熱流計法二により測定した。結果を表3に示す。アスペクト比の高いフィラーを混合した各参考例のものでは熱伝導率は高か
ったが、粒状のフィラーのみを混合した比較参考例1のものは、高い熱伝導率が得られなかった。
【0068】
【表1】
Figure 0003726169
【0069】
【表2】
Figure 0003726169
【0070】
【表3】
Figure 0003726169
参考例12)
表4に示す配合量で、基材及びアスペクト比の大きいフィラーを配合し、上記の参考例1〜11と同様にして、フィラーが図1(a)のようにランダム方向に向く、厚み15mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。
【0071】
比較参考例2)
表4に示す配合量で、基材及びアスペクト比の大きいフィラーを配合し、後述の比較参考例3と同様に成形することによって、図1(c)のように厚み方向と垂直な方向にアスペクト比の高いフィラーが配向した、厚み15mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。
【0072】
上記参考例12及び比較参考例2で得た高熱伝導性材料からなる蓄熱体について、厚み方向での熱伝導率を熱流計法二により測定した。結果を表4に示す。
【0073】
【表4】
Figure 0003726169
参考例13〜21、比較参考例3)
表5に示す配合量で基材及びアスペクト比の高いフィラーを配合し、参考例18、19、21についてはさらに表6に示す配合量で増粘材を配合し、参考例20についてはさらに表6に示す配合量で結晶化促進材を配合した。そして、図3及び図4の混練押出機と成形金型を用いて、連続混練押出成形し、厚み30mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。このときの成形金型直前での混練物の混練温度及び、式η=kγn−1における粘性べき指数nを表6に示す。尚、表5の結晶性ポリオレフィン(高密度ポリエチレン:HDPE)の融点は133℃である。
【0074】
上記参考例13〜21及び比較参考例3で得た高熱伝導性材料からなる蓄熱体について、厚み方向(押出方向と垂直方向)での熱伝導率を熱流計法二により測定した。結果を表7に示す。べき指数nが1/2より大きい比較参考例3のものに比べ、べき指数nが1/2より小さい参考例13〜21のほうが、高い熱伝導率を得ることができた。
【0075】
【表5】
Figure 0003726169
【0076】
【表6】
Figure 0003726169
【0077】
【表7】
Figure 0003726169
参考例22〜24)
表8に示す配合量で基材及びアスペクト比の高いフィラーを配合し、これを混練押出機で混練した後、図5に示すようなスリットを設けた成形金型で押出成形し、厚み30mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。このときの、スリットの縦/横比(L/L比)を表6に示す。
【0078】
比較参考例4)
スリットを設けない成形金型を用いるようにした他は、上記参考例22〜24と同様にして厚み30mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。上記参考例22〜24及び比較参考例4で得た高熱伝導性材料からなる蓄熱体について、厚み方向での熱伝導率を熱流計法二により測定した。結果を表8に示す。スリット無しで成形した比較参考例4のものより、スリットを通して成形した参考例22〜24のほうが、高い熱伝導率を得ることができた。
【0079】
【表8】
Figure 0003726169
(実施例1〜2
表9に示す配合量で基材を混練押出機に連続して投入し、また表9に示す配合でアスペクト比の高いフィラーを間欠的に混練押出機に投入することによって、図6のようにフィラー入りの基材とフィラー無しの基材とが押出方向に沿って交互に積層された厚み30mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。このときのフィラー入りの基材とフィラー無
しの基材の比を表9に示す。
【0080】
(比較例
表9に示す配合量で基材とアスペクト比の高いフィラーをともに混練押出機に連続して投入することによって、フィラーが均一に分散された厚み30mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。
【0081】
上記実施例1〜2及び比較例で得た高熱伝導性材料からなる蓄熱体について、厚み方向での熱伝導率を熱流計法二により測定した。結果を表9に示す。フィラーを均一に分散させた比較例のものより、フィラー入りの基材とフィラー無しの基材が交互に積層した実施例1〜2のほうが、高い熱伝導率を得ることができた。
【0082】
【表9】
Figure 0003726169
尚、上記参考例13〜24及び実施例1〜2では同じ成形金型と混練押出機を用いた。成形金型の押出口の出口サイズは横幅250mm、厚み30mmである。また混練押出機においては、プレミキシングの段階で、機材の全材料の融点以上の150℃で溶融混練し、混練の後半段階で結晶性ポリオレフィンの融点以下である70℃で冷却混練押出を行なうようにした(参考例18、19、21を除く)。
【0083】
(実施例3〜4
図7の押出口内に押出スリットを設けた成形金型を用い、2台の混練押出機からそれぞれ、成形金型の押出口に表10の配合の基材と高アスペクト比のフィラーを混練したフィラー入り基材を送り出すと共に表10の配合の基材のみからなるフィラー無し基材を押出スリットに送り出して押出成形することによって、図7のようにフィラー入りの基材とフィラー無しの基材とが押出方向と平行に交互に積層された厚み30mmの高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得た。このときのフィラー入りの基材とフィラー無しの基材の比を表10に示す。
【0084】
上記実施例3〜4で得た高熱伝導性材料からなる蓄熱体について、厚み方向での熱伝導率を熱流計法二により測定した。結果を表10に示す。フィラーを均一に分散させた前記の表9の比較例のものより、フィラー入りの基材とフィラー無しの基材をが交互に積層した実施例3〜4のほうが、高い熱伝導率を得ることができた。
【0085】
【表10】
Figure 0003726169
参考例25
断熱基準及び地域に準拠した実験住宅の居室(10畳間)の床暖房システムを図8のように形成し、参考例13の高熱伝導性材料によって作製した厚み28mmの蓄熱体18をこの床暖房システムに組み込んだ。床暖房システムの敷設率(全床面積に対する根太を含めた暖房面積の百分率)は約60%とした。また根太19の寸法は高さ×幅=45×45mmであり、床材25として15mm厚さの耐熱木製フローリング材、下板20として厚み12mmの合板、下板20の下面の断熱材21として厚み90mmの硬質ウレタンフォームを用いた。またヒーター23は390W/mのコードヒーターをアルミニウムラミネート材の均熱シートでサンドイッチ成形して形成し、その下面に厚さ4mmのフェルト状断熱シートの断熱材22を貼ったものを使用し、上限温度70℃で制御するようにした。
【0086】
この床暖房システムにおいて、午後11時から翌日の午前7時までヒーター23に通電し、午前8時から午後11時まで自然放熱を行なうサイクルを繰り返し、床温と室温を測定した。そして暖房性能として、床温と室温の最大値及び最小値、日較差を評価した。尚、測定時の外気温は最大6.5℃、最小2.7℃、平均約5℃であった。結果を表11に示す。
【0087】
参考例26
参考例13と同様にして厚み18mmのフィラー入りの高熱伝導性材料を成形した蓄熱体18を作製した。一方、参考例13と同じ基材を用い、フィラーは用いずに、厚み10mmのフィラー無しの蓄熱体27を作製した。そしてフィラー入りの蓄熱体18の上にフィラー無しの蓄熱体27を重ね、図9に示すように床暖房システムに組み込んだ。この図9の床暖房システムの他の構成は図8のものと同じである。そして参考例25の場合と同
様にして暖房性能を評価した。結果を表11に示す。
比較参考例5
参考例13と同じ基材を用い、フィラーは用いずに、厚み28mmのフィラー無しの蓄熱体を作製し、図8と同じようにしてこのフィラー無しの蓄熱体を床暖房システムに組み込んだ。そして参考例25の場合と同様にして暖房性能を評価した。結果を表11に示す。高熱伝導性材料の蓄熱体を用いた参考例25、26のものは、比較参考例5のものよりも暖房温度が高く、暖房効率が良好であることが確認される。
【0088】
【表11】
Figure 0003726169
【0089】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る蓄熱体は、潜熱蓄熱材からなる基材に、基材より高い熱伝導率を有すると共に平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーを混合分散させ高熱伝導性材料から形成される層と、フィラーを分散させていない潜熱蓄熱材の層とを、熱伝導方向と平行な層として交互に積層して成ることを特徴とするものであり、フィラーとしてこのようにアスペクト比の大きいフィラーを用いると、基材中におけるフィラー間の平均距離が小さくなって、フィラーによる熱伝導が効率的に行なわれるようになり、少ないフィラーの添加量で効果的に基材の熱伝導率を向上させることができるものである。またこのように基材として蓄熱材を用いることによって、蓄熱作用を有する高熱伝導性材料を得ることができるものである。しかも、フィラーを混合分散させた高熱伝導性材料から形成される層と、フィラーを分散させていない潜熱蓄熱材の層とを、熱伝導方向と平行な層として交互に積層することによって、同じ部数のフィラーを高熱伝導性材料の全体に均一に分散させるときよりも、フィラー入り基材に分散しているフィラーの濃度が高くなるので、このフィラー入り基材の部分での熱伝導率が大きく向上し、高熱伝導性材料からなる蓄熱体の全体としての熱伝導率を上昇させることができるものである。
【0090】
また請求項2の発明は、上記のフィラーが、フレーク状もしくは繊維状のものであることを特徴とし、請求項3の発明は、上記のフィラーが、代表長さが0.5mm以上のものであることを特徴とし、請求項4の発明は、上記のフィラーが、金属材料、炭素材料、無機材料、有機材料のいずれかからなるものであり、その熱伝導率が基材の熱伝導率の3倍以上のものであることを特徴とするものであり、アスペクト比の大きいフィラーによって熱伝導率を向上させる効果を高く得ることができるものである。
【0091】
また請求項5の発明は、上記のフィラーとして、平均アスペクト比が異なる2種以上のものを用いることを特徴とするものであり、熱伝導率向上の効果がさらに大きくなるものである。また請求項6の発明は、上記フィラーが、全体積分率が1.5〜30%になるように基材に混合分散されていることを特徴とするものであり、高熱伝導性材料の基本物性を大きく損なうことなく熱伝導率を向上させる効果を十分に得ることができるものである。
【0092】
また請求項7の発明は、上記の大きなアスペクト比を有するフィラーの他に、粒状のフィラーを基材に混合分散させて成ることを特徴とし、請求項8の発明は、上記の粒状のフィラーが、金属材料、炭素材料、無機材料、有機材料のいずれかからなるものであり、その熱伝導率が基材の熱伝導率の2倍以上のものであることを特徴とし、請求項9の発明は、上記粒状のフィラーが、全体積分率が4%以上になるように基材に混合分散されていることを特徴とするものであり、熱伝導率を向上させる効果を高く得ることができるものである。
【0093】
また請求項10の発明は、上記潜熱蓄熱材が、有機系蓄熱材であることを特徴とし、請求項11の発明は、上記有機系蓄熱材が、パラフィンを蓄熱物質とする蓄熱材であることを特徴とするものであり、このように基材として蓄熱材を用いることによって、蓄熱作用を有する高熱伝導性材料を得ることができるものである。
【0094】
また請求項12の発明は、上記パラフィンを蓄熱物質とする蓄熱材が、蓄熱物質であるパラフィンと、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレフィンとからなることを特徴とするものであり、この蓄熱材においては、結晶性ポリオレフィンが骨格
材となり、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンがパラフィンの担持材となって、外部へのパラフィンのしみ出しが非常に少なくなると共に成形性が良好になるものである。
【0095】
また請求項16の発明は、上記の大きなアスペクト比を有するフイラーは、蓄熱体中でランダムな向きで分散していることを特徴とするものであり、あらゆる方向での熱伝導率を向上させた高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得ることができるものである。
【0096】
また請求項17の発明は、上記の大きなアスペクト比を有するフィラーが、その長手方向が蓄熱体の熱伝導方向と平行に配向して分散していることを特徴とするものであり、熱伝導方向での熱伝導率を特に向上させた高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得ることができるものである。
【0097】
本発明の請求項18に係る蓄熱体の製造方法は、潜熱蓄熱材からなる基材に、基材より高い熱伝導率を有すると共に平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーを混合分散させた高熱伝導性材料を混練押出機で混練すると共にこの混練物を、蓄熱体の熱伝導方向と平行に並ぶ複数のスリットを有する成形金型を通して押出成形することによって、連続混練押出成形で成形することを特徴とするものであり、混練物中のアスペクト比の大きいフィラーのうち各スリットの両側の壁面に近いものは壁面に沿って配向されることになり、アスペクト比の大きいフィラーの多くを高熱伝導性材料からなる蓄熱体の厚み方向に配向させることができ、高熱伝導性材料からなる蓄熱体の厚み方向の熱伝導性を特に向上させることができるものである。
【0098】
また請求項19の発明は、上記スリットが、熱伝導方向の寸法と熱伝導方向に対して垂直な方向の寸法の比が1.5:1〜20:1になるように形成されていることを特徴とするものであり、スリットの幅が狭くなり過ぎて詰まったりするおそれなく、アスペクト比の大きいフィラーによって高熱伝導性材料からなる蓄熱体の厚み方向の熱伝導性を高める効果を十分に得ることができるものである。
【0099】
本発明の請求項20に係る蓄熱体の製造方法は、潜熱蓄熱材からなる基材を混練押出機で混練しつつ平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーを間欠的に混練押出機に投入して基材に部分的に混練し、これを成形金型を通して押出成形することによって、フィラーが混合された基材層とフィラーが混合されていない基材層とを押出方向に積層することを特徴とするものであり、同じ部数のフィラーを高熱伝導性材料の全体に均一に分散させるときよりも、フィラー入り基材に分散しているフィラーの濃度が高くなるので、このフィラー入り基材の部分での熱伝導率が大きく向上し、高熱伝導性材料からなる蓄熱体の全体としての熱伝導率を上昇させることができるものである
【0100】
本発明の請求項21に係る蓄熱体の製造方法は、蓄熱体の熱伝導方向と平行に並ぶ複数のスリットを設けた成形金型を用い、平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーが分散している潜熱蓄熱材からなる基材とフィラーが分散していない基材を隣合う各スリットから押出して成形することを特徴とするものであり、フィラーが混合された基材とフィラーが混合されていない基材とを押出方向と平行に積層することができ、同じ部数のフィラーを高熱伝導性材料の全体に均一に分散させるときよりも、フィラー入り基材に分散しているフィラーの濃度が高くなるので、このフィラー入り基材の部分での熱伝導率が大きく向上し、高熱伝導性材料からなる蓄熱体の全体としての熱伝導率を上昇させることができるものである。
【0101】
また請求項22の発明は、上記混練物の粘度を、式η=kγ n−1 (η:粘度、k:材料固有の係数、γ:剪断速度、n:べき指数)において、べき指数nが1/2以下になるように調整して、成形金型を通して押出成形することを特徴とするものであり、混練物の粘性特性をこのように調整すると、成形金型内での混練物の流速分布は成形金型の内壁面に対して垂直になり、アスペクト比の大きいフィラーはその長手方向が流速分布に沿って分布して、混練物の押出方向に対して垂直な向きに配向させることができ、押出方向に対して垂直な方向、すなわち厚み方向での熱伝導率の高い高熱伝導性材料からなる蓄熱体を得ることができるものである。
【0102】
また請求項23の発明は、基材とフィラーを冷却混練して押出成形することを特徴とし
、請求項24の発明は、結晶性ポリオレフィンを含む基材とフィラーを、結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度で冷却混練することを特徴とし、請求項25の発明は、基材に増粘材を添加して混練することを特徴とし、請求項26の発明は、上記増粘材が、EVA、ソフトパラフィン、ポリイソブチレン、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、パーライト、ベントンから選ばれるものであることを特徴とし、請求項27の発明は、基材に結晶性ポリオレフィンの結晶化促進剤を添加することを特徴とするものであり、上記のような粘性特性に混練物を調整して成形を行なうことが容易になるものである。
【0103】
本発明の請求項28に係る床暖房システムは、床材、上記に記載の高熱伝導性材料からなる蓄熱体、ヒーター、断熱材を積層して形成したことを特徴とするものであり、ヒーターで発熱した熱を蓄熱体に蓄熱し、蓄熱体に蓄熱した熱を放熱させてほぼ一日中暖房することが可能になるものである。しかもこの蓄熱体は高熱伝導性であるために、蓄熱時にも伝熱によって室内への放熱量を大きくすることができ、室温や床温の昇温を早めることができると共に、短時間で蓄熱体に蓄熱することができ、効率的に蓄放熱して暖房を行なうことができるものである。
【0104】
また請求項29の発明は、上記に記載の高熱伝導性材料から形成した蓄熱体と、アスペクト比の大きなフィラーを含有しない基材から形成した蓄熱体とを用いることを特徴とするものであり、このフィラーを配合しない蓄熱体は熱伝導率が小さく、高熱伝導性材料から形成した蓄熱体とこの熱伝導率が小い蓄熱体の両者を合わせた全体の熱伝導による暖房温度は上記のものより低くなり、一日の間の暖房温度の較差が小さくなってマイルドな暖房が可能になるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高熱伝導性材料からなる蓄熱体の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b),(c)は正面図である。
【図2】 高熱伝導性材料からなる蓄熱体の実施の形態を示す斜視図である。
【図3】 製造装置の一例を示す概略図である。
【図4】 成形金型の一例を示すものであり、(a),(b)は混練材料の流速分布の概略断面図である。
【図5】 成形金型の一例を示すものであり、(a)は平面断面図、(b)は斜視図、(d)はスリット部分の概略正面断面図である。
【図6】 製造装置の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図7】 成形金型の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面断面図である。
【図8】 床暖房システムの実施例の形態の一例を示す断面図である。
【図9】 床暖房システムの実施例の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 フィラー
4 混練押出機
5 成形金型
13 スリット
18 蓄熱体
21 断熱材
22 断熱材
23 ヒーター
25 床材
27 蓄熱材

Claims (29)

  1. 潜熱畜熱材からなる基材に、基材より高い熱伝導率を有すると共に平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーを混合分散させ高熱伝導性材料から形成される層と、フィラーを分散させていない潜熱畜熱材の層とを、熱伝導方向と平行な層として交互に積層して成ることを特徴とする畜熱体
  2. 上記のフィラーは、フレーク状もしくは繊維状のものであることを特徴とする請求項1に記載の畜熱体
  3. 上記のフィラーは、代表長さ(フィラーの最長部分の長さ)が0.5mm以上のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の畜熱体
  4. 上記のフィラーは、金属材料、炭素材料、無機材料、有機材料のいずれかからなるものであり、その熱伝導率が基材の熱伝導率の3倍以上のものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の畜熱体
  5. 上記のフィラーとして、平均アスペクト比が異なる2種以上のものを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の畜熱体
  6. 上記フィラーは、全体積分率が1.5〜30%になるように基材に混合分散されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の畜熱体
  7. 高熱伝導性材料に上記の大きなアスペクト比を有するフィラーの他に、粒状のフィラーを基材に混合分散させて成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の畜熱体
  8. 上記の粒状のフィラーは、金属材料、炭素材料、無機材料、有機材料のいずれかからなるものであり、その熱伝導率が基材の熱伝導率の2倍以上のものであることを特徴とする請求項7に記載の畜熱体
  9. 上記粒状のフィラーは、全体積分率が4%以上になるように基材に混合分散されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の畜熱体
  10. 上記潜熱蓄熱材は、有機系蓄熱材であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の畜熱体
  11. 上記有機系蓄熱材は、パラフィンを蓄熱物質とする蓄熱材であることを特徴とする請求項10に記載の畜熱体
  12. 上記パラフィンを蓄熱物質とする蓄熱材は、蓄熱物質であるパラフィンと、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレフィンとからなることを特徴とする請求項11に記載の畜熱体
  13. 上記の非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンは、エチレンプロピレン共重合体、超低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレンから選ばれるものであり、上記の結晶性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれるものであることを特徴とする請求項12に記載の畜熱体
  14. 上記の大きなアスペクト比を有するフィラーは、アルミニウムフレーク、アルミニウム繊維、ステンレス箔、ステンレス繊維、グラファイト、カーボンファイバー、アルミナ、マイカ、バーミュキュライトのうち少なくとも一種を含むものであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の畜熱体
  15. 上記の粒状のフィラーは、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、アルミナのうち少なくとも一種を含むものであることを特徴とする請求項7乃至14のいずれかに記載の畜熱体
  16. 記の大きなアスペクト比を有するフイラーは、畜熱体中でランダムな向きで分散していることを特徴とする畜熱体。
  17. 上記の大きなアスペクト比を有するフィラーは、その長手方向が畜熱体の熱伝導方向と平行に配向して分散していることを特徴とする畜熱体。
  18. 潜熱畜熱材からなる基材に、基材より高い熱伝導率を有すると共に平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーを混合分散させた高熱伝導性材料を混練押出機で混練すると共にこの混練物を、畜熱体の熱伝導方向と平行に並ぶ複数のスリットを有する成形金型を通して押出成形することによって、連続混練押出成形で成形することを特徴とする畜熱体の製造方法。
  19. 上記スリットは、熱伝導方向の寸法と熱伝導方向に対して垂直な方向の寸法の比が1.5:1〜20:1になるように形成されていることを特徴とする請求項18に記載の畜熱体の製造方法。
  20. 潜熱畜熱材からなる基材を混練押出機で混練しつつ平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーを間欠的に混練押出機に投入して基材に部分的に混練し、これを成形金型を通して押出成形することによって、フィラーが混合された基材層とフィラーが混合されていない基材層とを押出方向に積層することを特徴とする畜熱体の製造方法。
  21. 畜熱体の熱伝導方向と平行に並ぶ複数のスリットを設けた成形金型を用い、平均アスペクト比が10〜20000の大きなアスペクト比を有するフィラーが分散している潜熱畜熱材からなる基材とフィラーが分散していない基材を隣合う各スリットから押出して成形することを特徴とする畜熱体の製造方法。
  22. 上記混練物の粘度を、式η=kγn−1(η:粘度、k:材料固有の係数、γ:剪断速度、n:べき指数)において、べき指数nが1/2以下になるように調整して、成形金型を通して押出成形することを特徴とする請求項18乃至21のいずれかに記載の畜熱体の製造方法。
  23. 高熱伝導性材料を冷却混練して押出成形することを特徴とする請求項22に記載の畜熱体の製造方法。
  24. 蓄熱物質であるパラフィンと、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレフィンとからなるものを潜熱畜熱材とする高熱伝導性材料を、結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度で冷却混練することを特徴とする請求項23に記載の畜熱体の製造方法。
  25. 高熱伝導性材料に増粘材を添加して混練することを特徴とする請求項22に記載の畜熱体の製造方法。
  26. 上記増粘材は、EVA、ソフトパラフィン、ポリイソブチレン、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、パーライト、ベントンから選ばれるものであることを特徴とする請求項25に記載の畜熱体の製造方法。
  27. 蓄熱物質であるパラフィンと、非晶性もしくは低結晶性ポリオレフィンと、結晶性ポリオレフィンとからなるものを潜熱畜熱材とする高熱伝導性材料に結晶性ポリオレフィンの結晶化促進剤を添加することを特徴とする請求項22に記載の畜熱体の製造方法。
  28. 床材、請求項1乃至17のいずれかに記載の蓄熱体、ヒーター、断熱材を積層して形成したことを特徴とする床暖房システム。
  29. 請求項1乃至17のいずれかに記載の蓄熱体の表面に、フィラーを含有しない畜熱材から形成した蓄熱体を重ねて用いることを特徴とする請求項28に記載の床暖房システム。
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