JP3725902B2 - 馬の蹄のための走行保護装置 - Google Patents
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Description
このような形式の公知の構造では、プラスチック層は、蹄底の下側に配置されたプラスチック底部のための固定機構の部分である。このプラスチック底部は、上方に向かって突出する、縁部に設けられた突出部によって前記プラスチック層に固定されている。この場合プラスチック層は、形状安定的ではなく弾性的なプラスチックから形成されている。このプラスチックは、蹄壁の外面に接着層を介して結合されている。この接着層は、例えばドイツ連邦共和国特許第3832705号明細書に記載されているように、二次接着剤又は熱可塑性の溶融型接着剤である。
さらに従来の技術からは、複数の成分から混合されて成り、蹄の角質で直接的に凝固し、形状安定的に硬化するプラスチック材料を使用することが公知である。この材料は、従来の技術によると損傷した蹄を補修するために使用される。これについて製品を示す。
グランド・サーキット・アクリリック・フーフ・リペア・システム(Grand Circuit Acrylic Hoof Repair System)
アクロス・ザ・アンヴィル・イースト社、アメリカ合衆国アンヴィル在(Firma Across The Anvil East, Anvil, USA在)
又は
エクイロックス(Equilox)
イノベンティブ・アニマル・プロダクツ社、アメリカ合衆国ローチェスター在(Firma Innovative Animal Products, Rochester, USA在)
ポリメチルメタクリレートを主体とするこのような材料は、高い強度を有する蹄の角質に接合し、この角質にほぼ相当する硬さで形状安定的に硬化するという特性を有している。この材料は、従来の技術では角質を補修するために、即ち例えば、損傷した角質断片を塞ぐために使用される。この材料は角質と一緒に均一なユニットを形成し、この角質と一緒に、やすり又は切削工具によって加工されて、釘打ち固定等施される。
本発明では請求項1によると、この材料を用いて馬の蹄のための走行保護装置が形成される。この走行保護装置は、従来の技術においては公知でない優れた特徴を有している。
従来補修目的でのみ使用されていたこの材料によって蹄壁の外面を被覆加工することにより、コルセット状の外装補強材の形で、高い負荷がかけられた場合の著しい変形を防止する、蹄の補強部材が得られる。このような負荷がかけられた場合の蹄の過度の拡大は回避される。さらにこの層は、例えば尖った石を踏みつけた際に生じる蹄の点状の負荷を防止するように作用し、蹄部分の局部的な損傷を回避する。さらにこの層の下方エッジが、蹄の起立面の一部を形成するか、又は、この層が、蹄の下側に支持された底部を保持するために働くならば、この層によって蹄をさらに耐摩耗性にすることができる。
請求項2の特徴部によればさらに有利である。この範囲にある層厚さは有利であって、蹄の強度を著しく改善する。
請求項3の特徴部によればさらに有利である。この層は、蹄と一緒に下方に伸び、地面上での摩耗によって又は、本来の蹄の形状を再製するために時々必要な蹄の切断によって短くされる。しかしこの場合、この層の必要な厚さは維持される。蹄の蹄壁が、最初に取り付けた層の高さをほぼ越えて下方に伸びたときに、即ち、長時間走行した後に初めて新たな層の取り付けが必要となる。
請求項4の特徴によればさらに有利である。セグメントに分割されたこのような層の構成により、例えば損傷を防止する蹄の安定性のための作用はごく僅かにしか低減されずに、異形成形された蹄の外輪郭により次のような利点が得られる。即ちこの蹄の外輪郭により、ゆるい地盤上での良好な安定性が得られる。又は、有利には、層に保持された底部との周囲形状接続が可能となる。
請求項5の特徴によればさらに有利である。耐摩耗性の材料から成るこのような層は、地面にまで達し、従って、蹄の起立面を少なくとも部分的に形成する。このような層により、蹄の角質物の摩耗は効果的に低減されて、従って蹄の走行負荷が高い場合でも蹄自体は著しく摩耗されないようになる。鉄又はプラスチック底部による蹄の保護装置なしに、馬はほぼ天然の走行感で、従って自由な底部で高い走行負荷のもとで走行することができる。
請求項6によれば選択的に、層が、蹄の下側に配置されたプラスチック底部に形状接続するために設けられていてよい。この形状接続は、有利には請求項7に従って解離可能に形成されている。このようにして、蹄を保護する底部を簡単かつ効果的に蹄に保持することができる。
この場合、請求項8の特徴部によると有利である。プラスチック底部の、上方に突出する突出部と、層のセグメントとの間の周囲形状接続により、蹄における底部の回動が著しく防止される。これにより、蹄の回動運動によって底部が亀裂する危険は回避される。
請求項9によっては有利には、層自体が、蹄底の下側に係合していて、一体にプラスチック底部として形成されてよい。これにより、特に簡単に蹄に取り付け可能で極めて堅い走行保護構造が得られる。この構造は、特に有効な蹄の保護装置を形成する。
請求項10の特徴部によればさらに有利である。前述の全ての本発明による構成において使用可能な、埋め込まれた金属ピンを有する構造では、金属ピンにより耐摩耗性が向上されて、馬が走る地盤との良好な係合が得られるようになる。
請求項11によると、釘を層に打ち込むことにより、従来の蹄鉄を固定するために層を使用することができる。これにより、馬には通常の慣用技術で、釘の打ち込みによって蹄を損傷させてしまうという危険性を危惧する必要なしに蹄鉄を装着することができる。
図面では本発明の実施例が概略的に示されている。
第1図は、本発明による走行保護装置の第1実施例を示す、馬の蹄の側面図、
第2図は、第1図の構成を示す下面図、
第3図は、第1図に基づき本発明の第2実施例を示す側面図、
第4図は、第3図の構成を示す下面図、
第5図は、第1図に基づき本発明の第3実施例を示す側面図、
第6図は、第5図の6−6線に沿った断面図、
第7図は、第6図に基づき本発明の第4実施例を示す断面図、
第8図は、第6図に基づき本発明の第5実施例を示す断面図、
第9図は、第6図に基づき本発明による走行保護装置の第6実施例を示す断面図である。
第1図及び第2図では、側面図及び蹄底の下面図において、馬の蹄の蹄壁の外面1と、蹄壁の蹄底縁部2(第2図参照)とが示されている。図示の走行保護装置はプラスチック材料の層3から成っている。このプラスチック材料は、2つ又はそれ以上の成分から成り適当な注型用金型(図示せず)内で液状に混合されて、外面1に施与される。この場所で、このプラスチック材料はその化学的特性に基づき極めて高い付着作用で硬化する。このプラスチック材料は、このように硬化した状態では形状安定的で、天然の蹄の角質にほぼ相当する材料特性を有している。
このような材料は、例えばポリメチルメタクリレートを主体としたものでよい。例えば、イノベンティブ・アニマル・プロダクツ社(アメリカ合衆国ローチェスター在)の商品名「エクイロックス」、又はアクロス・ジ・アンヴィル・イースト社(アメリカ合衆国アンヴィル在)の「グランド・サーキット・アクリリック・フーフ・リペア・システム」として提供される。この材料は従来は、補修目的で、即ち、損傷された蹄の穴や亀裂を塞ぐ目的で使用されていた。
第1図及び第2図に示したように、本発明の走行保護装置の図示の第1実施例では、層3は、蹄壁の外面1の周囲をほぼ取り囲む一貫した被覆加工物として施与される。この被覆加工物の高さは、図示の実施例では、外面1の高さのほぼ2/3を越える高さで延びていて、上縁部には斜め面取り部4が設けられている。この斜め面取り部4によって、例えば蹄が互いに上下に接触した場合に起こるひっかかり固定が回避される。層3の下方エッジ5は、この実施例では、蹄の蹄壁の蹄底縁部2と同一平面に位置していて、この蹄底縁部2と共に、蹄の、蹄鉄状の幅広の起立面を形成する。
層の厚さは、ほぼ4mm〜10mmである。即ち、蹄底縁部2の幅の範囲にある。
第1図及び第2図の実施例では、層3の材料は例えば、適当な骨材によって耐摩耗性に形成されている。この耐摩耗性は有利には、蹄底縁部2における蹄の角質物の耐摩耗性の範囲に位置している。
第1図及び第2図に示した走行保護装置を装着した馬が走行する場合、摩耗負荷は蹄底縁部2と層3の下方エッジ5とに分散される。有利には、層3の耐摩耗性が蹄の角質物の耐摩耗性よりも幾分高く形成されていて、これにより、摩耗負荷が高い場合、例えば堅い地盤上で高速で走行する場合に、蹄底縁部2の過度の消耗が回避される。即ちこの馬は、このような走行保護装置によって、蹄の過度の消耗なしに高速で走行することができる。このために、蹄底の下側に位置する、異なる材料から成る蹄底保護装置を必要とすることはない。馬は蹄を極度に消耗することなしに、ほぼ天然の蹄で走行することができる。
層3はさらに、蹄に対して、例えば尖った石を踏みつける際の過度に局部的な負荷も防止する。これにより、蹄底縁部2の部分の局部的な破損が回避される。さらに、蹄の損傷につながるおそれのある、起立負荷が高い場合に生じる蹄の過度の拡張も回避される。
第1図及び第2図で示したように、層3には金属ピン6が埋め込まれていてよい。この金属ピン6は、層3の下方エッジ5、即ち起立面から突出していてもよいし、又は、図示したように、この起立面と同一平面で終わっていてもよい。この金属ピン6によって、耐摩耗性は改善され、平坦な地盤における滑り防止作用も得られる。
第3図及び第4図では、第1図及び第2図に基づく図面において、前述の構造とは異なる構成が示してある。この構成では、前述の蹄壁の外面1上の被覆加工に関してほぼ同一の層厚さで、第1図及び第2図の構成の場合と同様の材料が使用されているが、この材料は周方向で互いに間隔をおいて配置された複数のセグメント7の形に形成されている。これらのセグメント7は、層3の高さにわたって延びており、周方向で互いに間隔をおいては配置されている。これらのセグメント7の下方エッジ5も、摩耗を低減させる、起立面の拡大を生ぜしめ、蹄底縁部2の摩耗を防止するために働く。起立面全体の縁部の、セグメント7により形成される周囲のプロフィールに基づき、馬は軟質な地盤において滑り防止されて進むことができるようになる。さらにセグメント7により蹄壁が強化され、第1図及び第2図の構成の層3と類似の方法で、局部負荷時における蹄壁の損傷が回避される。
第5図及び第6図で示した別の構成では、第3図及び第4図の構成のセグメント7と似たように形成された複数のセグメント8が設けられている。これらのセグメント8により、強すぎる負荷に抗して、及び局部的な負荷時に生じる損傷に抗して、蹄が所望のように補強される。しかし、これらのセグメント8は、この構成では主として、適当な材料から製造されたプラスチック底部9を保持するために働く。このプラスチック底部9は、蹄鉄形に形成されていて、蹄の蹄底縁部2の下側に装着されており、側方で突出する突出部10でセグメント8の間の間隙内に形状接続的に係合する。
突出部10の上端部には、外方に向かって突出するフック11が形成されている。セグメント8の上方エッジには凹部12が形成されている。第5図及び第6図に示したように、帯状部材13が環状に、フック11の下と凹部12の上とに常に交互に配置されている。この帯状部材13の端部14は底部9に図示されていない手段によって固定されている。この帯状部材13は、十分に抗張性で場合によっては幾分弾性的な材料から形成されていて、底部9をセグメント8に、即ち蹄に鉛直な方向で形状接続的に保持する。複数のセグメント8の間の突出部10の形状接続によって、周方向で回動が防止される。これにより、馬が蹄に負荷を与えながら危険な回転運動を行う場合、底部9の剥脱が回避される。
第7図に示した別の構成では、層15が、第1図及び第2図の構成における層3に相応して蹄壁の外面1で注型されている。この構成では層15は蹄底縁部2の下側にまで延びていて、この場所で、層15に一体に構成された底部16を形成している。
第7図に示した実施例では、底部16に金属ピン17が埋め込まれていて、この金属ピン17は、この実施例では起立面23を越えて突出している。
第8図は、第7図の構成に類似する構成を示している。この場合も層18は蹄の蹄底縁部2の下側にまで延びているが、この場所で、別個に配置された底部部材19に注型にによって形状接続的に結合されている。第8図に示したように、この底部部材19は開口部20を有していて、層18の材料は注流時にこの開口部20に、確実に形状接続的に結合するために流れ込むことができる。底部部材19の材料は、例えば適当なプラスチック又は金属からも成る特に耐摩耗性なものが選択されている。
第9図は、第1図及び第2図の層3を備えた構成を示している。この場合層3の材料は、耐摩耗性が比較的低くてもよい。この場合、金属製の従来の蹄鉄21が設けられている。この蹄鉄21は、その幅において蹄底縁部2と層3の下方エッジ5とを遮蔽するように形成されている。蹄鉄21は、慣用の蹄鉄用釘22によって固定されるが、従来のように蹄に釘を打つのではなく、第9図に示したように層3に釘を打っている。このようにして慣用の蹄鉄は、馬が負傷する危険なしに使用することができる。
図示の構成の走行保護装置を長時間使用する際には、馬の蹄壁が、下方に向かって第3図に示した矢印の方向で伸びる(成長する)ことに注意しなければならない。自然の環境で走行保護装置を装着せずに運動する馬は、長距離や堅い地盤上で騎手によって高すぎる走行負荷をかけらされることはなく、蹄底縁部2の摩耗と第3図の矢印方向への成長伸び速度とはバランスを保っている。第1図〜第5図の構成においてこのバランスは、高い走行負荷のもとでも、即ち著しい摩耗のもとでも維持される。層3若しくはセグメント7は、蹄壁と共に徐々に下方に伸びていき、摩耗される。比較的長時間の後に初めて、新しい被覆加工を行う必要が生じる。
第5図及び第6図及び第9図の構成では、蹄の蹄底縁部2において摩耗は生じない。即ち、蹄壁は徐々に下方に延びていき、時々切断しなくてはならない。このために、底部9若しくは蹄鉄21は取り外される。蹄底縁部2は切り揃えられて、底部9又は蹄鉄21は再び装着することができる。この場合も、数回にわたる切断の後に初めて新たに被覆加工をする、即ち、新しいセグメント8若しくは新しい層3が取り付けられる必要が生じる。
同様に蹄底縁部2の摩耗が生じない第7図及び第8図の構成でも、同様に本来の蹄の形状を復元するために、蹄底縁部2を時々切断しなければならない。このために、蹄底縁部2の下側で、第7図においては底部16を、第8図においては底部部材19を取り外す必要がある。この底部6又は底部部材19は、層15若しくは層18の高さがまだ十分である場合には、この層15若しくは層18に再び材料の注型によって一体に成形することができる。
図示の構成では、一連の付加的な異なる構成が可能である。例えば、第1図及び第2図の層3、若しくは第3図及び第4図のセグメント7の高さは比較的低く形成されていてよい。これにより構造物の重量が軽減される。但し比較的頻繁に新しく注型しなければならない。
第5図及び第6図の構成では、底部9とセグメント8との間の鉛直方向の形状結合は、図示の方法とは異なる方法でも行うことができる。例えば、突出部10をセグメント8に側方で直接的に噛み合わせることにより、又は例えば突出部10とセグメント8とをその他の方法で、例えば螺合、楔結合、又はこれに類似する方法で結合させることにより行うことができる。
Claims (11)
- 馬の蹄のための走行保護装置であって、蹄の蹄壁の外面(1)に固定されたプラスチック層(3,7,8,15,18)を有している形式のものにおいて、
プラスチック層(3,7,8,15,18)が、注型用金型内で液状に混合された状態で、外面(1)に固着接合され形状安定的に硬化する複数の成分から成る材料から成っていて、前記層(3,7,8,15,18)は外面(1)の外周の少なくとも前半分を取り囲むように2mmから20mmの層厚さで形成されていることを特徴とする、馬の蹄のための走行保護装置 - 層厚さが4mm〜10mmである、請求項1記載の走行保護装置。
- 層厚さが、前記層(3,7,8,15,18)の高さの延びにわたってほぼ一定である、請求項1記載の走行保護装置。
- 層が、周方向で互いに間隔をおいて位置する複数のセグメント(7,8)に分割されている、請求項1記載の走行保護装置。
- 層(3,7)が、蹄の角質物の耐摩耗性にほぼ相当する耐摩耗性を有する材料から成っていて、前記層(3,7)の下方エッジ(5)は、少なくとも蹄壁の下方縁部(2)にまで延びている、請求項1記載の走行保護装置。
- 層(8,18)が、蹄の下側に配置された底部(9,19)に、鉛直方向で形状結合している、請求項1記載の走行保護装置。
- 前記層(8,18)を前記底部(9)に結合させるための形状結合部材(11,12,13)が解離可能に形成されている、請求項6記載の走行保護装置。
- プラスチック底部(9)の、上方に突出する突出部(10)が、形状接続的にセグメント(8)の間に係合する、請求項4から7までのいずれか1項記載の走行保護装置。
- 層(15)が蹄底の下側に係合するように、一体のプラスチック底部(16)を形成する、請求項1記載の走行保護装置。
- 少なくとも起立面(5,23)にまで突出する埋め込まれた金属ピン(6,17)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の走行保護装置。
- 蹄鉄(21)が、層(3)に打ち込まれた蹄鉄用釘(22)によって蹄の下側で保持されている、請求項1記載の走行保護装置。
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