JP3725738B2 - 電子レンジ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線センサ温度検出システムを搭載する電子レンジ(オーブンレンジを含む)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子レンジ内の調理対象物の温度を非接触で検出するサーモパイルを使用した非接触温度センサの場合、基板上に組み込まれた増幅回路によりサーモパイル素子からの信号を増幅し、その増幅した信号をマイコン等の制御回路に接続する構成にしている。
【0003】
ところで、サーモパイル個々の出力信号は温度に対する直線性が非常に高いが、同じ温度を測定する場合にサーモパイル素子間で出力信号の大きさに大きなばらつきがある。そのため、サーモパイル素子と増幅回路とを分離した構成の赤外線センサの場合、サーモパイル素子間のばらつきを補正するために、センサ基板を個々に調整するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のサーモパイルと増幅回路基板とが分離された構造の赤外線センサを電子レンジに搭載しようとすると、赤外線センサが大形であるので電子レンジの容積率(つまり、レンジ室容積/筐体外形容積×100%)が悪くなり、ユーザにとって使いにくいものとなる問題点があった。
【0005】
そこで近年、サーモパイルと増幅回路基板とを一体化した赤外線センサの開発が行われ、従来に比べて非常に小形となってきている。したがって、そのような赤外線センサを電子レンジに採用すれば電子レンジの容積率を向上させることができる。
【0006】
しかしながら、上述したように赤外線センサの特性のばらつきが非常に大きいという問題点は解決されない。そのため、赤外線センサを搭載した電子レンジを一般ユーザが購入した後、センサ素子に不都合が発生したとき、単に赤外線センサ素子を新しいものに交換するだけでは正しい温度検出を期待することができず、電子レンジが実用に役立たなくなってしまう恐れがある問題点があった。
【0007】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、一般消費者の居所で製品が使用されている場合に、何らかの不都合が発生して赤外線センサ又は赤外線センサを制御する回路が故障してしまい、赤外線センサ又は制御回路を交換したときに、簡単に赤外線センサの検出温度を校正することができる電子レンジを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の電子レンジは、レンズとサーモパイルの素子を一体化した赤外線センサと、調理のための操作キーと、前記操作キーに対するキー操作として通常の調理に必要なキー操作とは異なった特殊なキー操作を検出したときに、前記赤外線センサの測定視野内に置かれている既知の所定温度の試料に対する検出温度に基づいて当該赤外線センサのサーモパイルの各素子の検出による温度データを校正する温度データ校正手段と、前記温度データ校正手段が校正した前記赤外線センサの校正データを記憶する校正値記憶手段と、前記赤外線センサの温度検出信号に対して、前記校正値記憶手段に記憶されている校正データを利用して検出温度を算出する温度演算手段とを備えたものである。
【0009】
請求項1の発明の電子レンジでは、赤外線センサを交換したような場合、技術者が電子レンジ内に既知の所定温度の試料を置き、通常の調理に必要なキー操作とは異なった特殊なキー操作を行うだけで、温度データ校正手段は赤外線センサの前に置かれている試料に対する検出温度に基づいて当該赤外線センサの温度データを校正し、この校正した温度データを校正値記憶手段が記憶する。これにより、その後の通常の使用時には、温度演算手段は調理対象物に対する赤外線センサの温度検出信号に対して、校正値記憶手段に記憶されている校正データを利用して正しい温度を算出する。
【0010】
こうして、特にユーザ宅に出張して赤外線センサを交換したような場合、特殊な工具や測定器を使用することなく、既知の所定温度の試料の準備と特殊なキー操作だけで赤外線センサの校正が行える。
【0014】
請求項の発明の電子レンジは、レンズとサーモパイルを一体化した赤外線センサと、
あらかじめ測定された前記赤外線センサに対する校正データを読み込むための校正データ読み込み端子と、前記校正データ読み込み端子に外部機器が接続されたのを検出する校正モード判定手段と、前記校正モード判定手段が前記校正データ読み込み端子に前記外部機器が接続されたのを検出したときに、当該外部機器から校正データ読み込み端子に与えられる前記校正データを読み込んで記憶する校正値記憶手段と、前記赤外線センサの温度検出信号に対して、前記校正値記憶手段に記憶されている校正データを利用して検出温度を算出する温度演算手段とを備えたものである。
【0015】
請求項の発明の電子レンジでは、新規に赤外線センサを搭載する場合、あるいはユーザ宅で修理その他のために赤外線センサを交換した場合、技術者が校正データ読み込み端子に対して外部機器を接続することにより、校正モード判定手段がその外部機器の接続を検出し、校正値記憶手段が外部機器から校正データ読み込み端子に与えられる校正データを読み込んで記憶する。これにより、その後の通常の使用時には、温度演算手段は調理対象物に対する赤外線センサの温度検出信号に対して、校正値記憶手段に記憶されている校正データを利用して正しい温度を算出する。
【0016】
こうして、工場出荷時あるいはユーザ宅での赤外線センサの交換時には、技術者は持参した所定の外部機器を校正データ読み込み端子に接続するだけで、新たな赤外線センサに対してあらかじめ用意されている校正データをその外部機器から読み込ませて簡単に赤外線センサの校正が行える。
【0018】
請求項の発明の電子レンジは、レンズとサーモパイルが一体化され、かつその温度検出信号を増幅する増幅回路を有する赤外線センサと、調理のための操作キーと、あらかじめ測定された前記赤外線センサに対する校正データを読み込むための校正データ読み込み端子と、前記校正データ読み込み端子に外部機器が接続されたのを検出する校正モード判定手段と、前記校正モード判定手段が前記校正データ読み込み端子に前記外部機器が接続されたのを検出したときに、当該外部機器から校正データ読み込み端子に与えられる校正データを読み込んで記憶する校正値記憶手段と、前記校正値記憶手段に記憶されている前記校正データに基づいて前記赤外線センサの増幅回路に対してその温度検出信号の増幅率を調整する増幅率調整回路と、前記赤外線センサの増幅回路を経て出力される温度検出信号から検出温度を算出する温度演算手段とを備えたものである。
【0019】
請求項の発明の電子レンジでは、新規に赤外線センサを搭載する場合、あるいはユーザ宅で修理その他のために赤外線センサを交換した場合、技術者が校正データ読み込み端子に対して外部機器を接続することによって校正モード判定手段がその外部機器の接続を検出して校正モードに移行し、校正値記憶手段が外部機器から校正データ読み込み端子に与えられる校正データを読み込んで記憶する。
【0020】
そしてその後の通常の使用時には、増幅率調整回路が校正値記憶手段に記憶されている校正データに基づいて赤外線センサに対してその温度検出信号の増幅率を調整し、温度演算手段は調理対象物に対する赤外線センサの増幅後の温度検出信号に対して、所定の変換式に基づいて調理対象物の温度を算出する。
【0021】
こうして、温度演算手段は校正値記憶手段に記憶されている校正データを参照した複雑な変換演算を行うことなく、赤外線センサから出力される温度検出信号(この温度検出信号は校正データを踏まえて増幅調整されたものであるが)に対して単純な一定の演算により正しい温度を算出できるようになる。
【0023】
請求項の発明の電子レンジは、レンズとサーモパイルが一体化され、かつその温度検出信号を増幅する増幅回路を有する赤外線センサと、調理のための操作キーと、あらかじめ測定された前記赤外線センサに対する増幅率調整値を読み込むための校正データ読み込み端子と、前記校正データ読み込み端子に外部機器が接続されたのを検出する校正モード判定手段と、前記校正モード判定手段が前記校正データ読み込み端子に前記外部機器が接続されたのを検出したときに、当該外部機器から校正データ読み込み端子に与えられる増幅率調整値を読み込んで記憶する増幅率調整値記憶手段と、前記増幅率調整値記憶手段に記憶されている前記増幅率調整値に基づいて前記赤外線センサの増幅回路に対してその温度検出信号の増幅率を調整する増幅率調整回路と、前記赤外線センサの増幅回路を経て出力される温度検出信号から検出温度を算出する温度演算手段とを備えたものである。
【0029】
請求項の発明の電子レンジは、請求項1において、前記既知の所定温度の試料に、氷を溶解した直後の0℃の水、又は氷水を用いるものであり、特にユーザ宅での出張修理によって赤外線センサを交換したような場合に、どの家庭でも容易に入手できる試料を用いて赤外線センサの温度校正で行える。
【0030】
請求項の発明の電子レンジは、前記既知の所定温度の試料に、沸騰水を用いるものであり、特にユーザ宅での出張修理によって赤外線センサを交換したような場合に、どの家庭でも容易に入手できる試料を用いて赤外線センサの温度校正で行える。
【0031】
請求項の発明の電子レンジは、請求項1において、前記既知の所定温度の試料に、特定の温度に制御されたヒータプレートを用いるものであり、ユーザ宅での出張修理によって赤外線センサを交換したような場合にも、赤外線センサの正確な温度校正が行える。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1〜図6に基づき、本発明の第1の実施の形態の電子レンジについて説明する。図1及び図2は電子レンジ(オーブンレンジ)1の機械的な構造を示している。2は調理対象物を入れるキャビティ、3はキャビティ2の扉、4は調理方法、調理温度、調理時間等の設定操作を行うための操作パネルで、数字表示窓5と操作ボタン6を備えている。7は調理対象物を乗せて回転するターンテーブルである。そして8は赤外線センサであり、キャビティ2内のターンテーブル7上に載置された調理対象物9の温度を検出できる位置に設置されている。
【0038】
図3及び図4は、本実施の形態に使用される赤外線センサ8(ハイマン社製)の形状と回路構成を示している。図3に示したように赤外線センサ8は、レンズ11と電子部品であるセンサ回路部12から構成されている。レンズ11は赤外線を透過するためにシリコンで作られた凸レンズである。
【0039】
図4に示すように、センサ回路部12には、8素子をリニアに配列したサーモパイル13と、このサーモパイル13の出力を増幅する増幅回路14から構成されている。そして増幅回路14には、サーモパイル13の各素子の出力を順次に取り出すマルチプレクサ15、このマルチプレクサ15の出力の増幅器16、基準温度を検出する温度センサ17、この温度センサ17の出力の増幅器18、基準電圧設定器19、もう一つのマルチプレクサ20、出力回路21、発振器22及びコントロールユニット23が備えられている。
【0040】
センサ回路部12では、サーモパイル13の8素子の電圧出力Vは、
【数1】
Figure 0003725738
ここで、Vは出力電圧、νは適合係数、Tbbは被測定物(調理対象物)の絶対温度、Tamはセンサの絶対温度である。
【0041】
さらに適合係数νは、温度を校正する際の黒体の温度Tcと出力電圧Vcとから、
【数2】
Figure 0003725738
で表わされる。そして最終的に、被測定物の温度Tbbは、
【数3】
Figure 0003725738
で表わされる。
【0042】
これらの算式からすると、出力電圧と被測定物である調理対象物との間には直線的な関係があることが分かる。しかしながら、製造のばらつきにより、所定温度での出力電圧がセンサ毎に大きく変わり、約30%も変化することが分かっている。そのため、この赤外線センサ8を温度センサとして利用するためには、同じ被測定物の温度に対して同じ検出温度を出力するようにセンサ毎に校正しなければ電子レンジの調理対象物の温度測定用には採用できないことを意味している。
【0043】
そこで、本発明の第1の実施の形態の電子レンジ1は、図5に示したような回路構成をとる。本実施の形態の電子レンジ1の電気回路は、図3および図4に示したレンズ11とセンサ回路部12を一体化した赤外線センサ8と、調理のための操作ボタン6と表示器5の設けられている操作パネル4と、誘電加熱のためのマグネトロン61、オーブンとして高温加熱するためのヒータ62、そしてこれらのマグネトロン61、ヒータ62の加熱制御を行うための制御回路30から構成されている。
【0044】
そして制御回路30におけるA/D変換器31は赤外線センサ8の温度検出信号のA/D変換を行ってデジタル信号に変換して出力する。温度変換器32はA/D変換器31からの温度検出信号を温度値に変換すると共に校正値記憶装置38に記憶されている校正値を用いて校正演算を行い、赤外線センサ8の検出温度を出力する。
【0045】
温度設定装置33は、ユーザが操作パネル4により調理方法を選択したり、温度設定操作を行った場合にそれに応答して表示窓5に調理方法を表示し、あるいは設定温度を表示すると共に、その調理方法に応じてあらかじめ登録されている設定温度を読み出し、あるいはユーザの設定した温度を設定温度として出力する。設定温度記憶装置34は、温度設定装置33の出力する設定温度を記憶する。
【0046】
比較器35は温度変換器32の出力するキャビティ2内の調理物の温度を設定温度記憶装置34に記憶されている設定温度と比較し、その差を求めて出力する。
【0047】
校正モード検出装置36は、この実施の形態では操作パネル4の操作ボタン6に対して、一般ユーザには知られていない特殊なキー操作、例えば、通常のキー操作では決して操作しないような複数の操作ボタン6を同時に1回、あるいは所定時間内に所定回数押すといった特殊なキー操作に対して校正モード検出を行い、次に操作パネル4から校正モードキャンセルのキー操作を受けるまで、あるいはそれに相当する操作、例えば、電源プラグがいったん引抜かれた後に再び差し込まれるような操作があるまで、校正モードであることを示す出力を出す。
【0048】
校正値算出器37は、校正モード検出装置36が校正モード出力中に赤外線センサ8の温度検出信号を取り込み、これをあらかじめ決められている基準温度と比較して赤外線センサ8の校正値を算出する。校正値記憶装置38は、校正値算出器37の算出した校正値を記憶する。
【0049】
出力設定装置39は、ユーザが操作パネル4に対して調理方法を選択する操作を行ったときに、また出力レベルを選択する操作を行ったときに、それに見合う出力を設定する。タイマ装置40は、ユーザが操作パネル4の操作ボタン6により時間設定したとき、あるいは調理方法を選択したときに、それに応じた時間設定を行い、調理スタートからの時間経過をカウントする。
【0050】
出力制御回路41はタイマ装置40が出力オフ指令を与えるまで、出力設定装置39からの出力設定に対してそれに見合う出力をマグネトロン61が出力し、あるいはヒータ62が出力するように出力制御する。
【0051】
次に、上記構成の第1の実施の形態の電子レンジの動作を説明する。図6のフローチャートに示すように、ユーザあるいは技術者が操作パネル4に対して何らかの操作をし、スタートボタンを押すことにより本処理が開始し、制御回路30は操作パネル4の操作ボタンの状態を読み込む(ステップS00,S05)。
【0052】
一般ユーザによる操作であれば、ごはん、牛乳、お酒等の調理対象物を指定して温めボタンを押したり、温め温度を指定して温めボタンを押したり、解凍対象物を指定して解凍ボタンを押したり、さらにオーブン使用の場合には、調理方法を指定してオーブンボタンを押したりする操作を行い、最後にスタートボタンを押す。このスタートボタンが押されると、図6の処理を開始し、上記の操作ボタンによる操作内容を読み込み、一般ユーザによるキー操作である場合(つまり、温め操作、解凍操作、オーブン操作あるいはグリル操作である場合)、温度設定装置33は設定温度を読み込んで設定温度記憶装置34に記憶させ、また出力設定装置39は設定出力を読み込んで出力制御回路41に出力し、出力制御回路41はマグネトロン61又はヒータ62に対する加熱制御を開始する(ステップS10,S30,S35)。
【0053】
そして、加熱の開始と共に赤外線センサ8の温度検出信号を周期的に読み込み、比較器35において設定温度記憶装置34に記憶されている設定温度と比較し、赤外線センサ8の検出する温度が設定温度に達した時に、あるいはタイマ設定されている場合には設定時間が経過した時に加熱制御を終了する(ステップS40〜S55)。
【0054】
次に、操作パネル4に対する操作ボタンの読み込みにより校正操作がなされた場合について説明する。技術者はあらかじめ定められた試料として、各家庭で容易に入手できる氷水、あるいは沸騰水を用意し、さらには技術者が持参している所定の温度を示すヒータプレート(これらのいずれを試料として採用するかはあらかじめ決められているものとする。以下の説明では、0℃を示す氷水を用いる場合について説明する)を電子レンジ1のキャビティ2内に入れた状態で、上述したような特殊なキー操作を行う。これにより、校正モード検出装置36は校正モードへの移行を検出する(ステップS00〜S10)。
【0055】
校正モードを検出すると、校正値算出器37は赤外線センサ8の温度検出信号を取り込み、基準値である0℃とA/D変換器31の出力する読み込み値とを比較し、その差ΔTを校正値として校正値記憶装置38に記憶する(ステップS15〜S25)。そして校正モードを終了する(ステップS55)。
【0056】
この校正処理を行った後には、温度変換器32は、赤外線センサ8が検出し、A/D変換器31を経て入力される読み込み値Tに対して、校正値記憶装置38の記憶する校正値ΔTを常に加算(+−の符号を含めて)することにより、最終的に赤外線センサ8による調理物の温度T′を、
T′=T+ΔT
として出力するのである。
【0057】
これにより、第1の実施の形態の電子レンジでは、技術者が電子レンジ内に既知の温度の試料を置き、通常の調理に必要なキー操作とは異なった特殊なキー操作を行うだけで、赤外線センサ8の前に置かれている試料に対する検出温度に基づいて当該赤外線センサの温度データを校正して校正値記憶装置38に記憶することができ、これにより、その後の通常の使用時には、温度変換器32は調理対象物に対する赤外線センサ8の温度検出信号に対して、校正値記憶装置38に記憶されている校正値を利用して正しい温度を算出するようになる。したがって、特にユーザ宅に出張して赤外線センサ8を交換修理したような場合、特殊な工具や測定器を使用することなく、既知の所定温度の試料の準備と特殊なキー操作だけで赤外線センサの校正が行えるのである。
【0058】
次に、本発明の第2の実施の形態の電子レンジを、図7に基づいて説明する。第2の実施の形態は、電子レンジ1の制御回路30−1が、第1の実施の形態では備えていた校正値算出器37を持たず、代わりにパソコン(パーソナルコンピュータ)44を接続し、それからデータを取り込むための校正データ読み込み端子43を備え、この校正データ読み込み端子43を通じて読み込んだデータを校正値記憶装置38に記憶するようにしたことを特徴とする。
【0059】
この第2の実施の形態では、個々の赤外線センサ8に対して、電子レンジ1に取付ける前に工場やサービスセンターにおいて校正データを得ておき、各赤外線センサ8と対応させて技術者が携帯するパソコン44に登録しておく。そしてユーザ宅で赤外線センサ8を交換する場合(この場合に限らず、新規に出荷する電子レンジに工場内で組み込む場合でも同じである)、制御回路30−1に設けられている校正データ読み込み端子43にパソコン44を接続し、第1の実施の形態と同様に操作パネル4から特殊なキー操作により校正指令を入力することにより、校正モード検出装置36が校正モードであることを検出し、校正値記憶装置38に対してパソコン44から新しい赤外線センサ8に対する校正値を校正データ読み込み端子43を介して読み込ませ、記憶させる。
【0060】
これにより、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し、加えて、特に出張修理の作業の際にパソコンとの接続だけで赤外線センサ8の校正が行え、試料を準備する煩わしさがなくなる。
【0061】
次に、本発明の第3の実施の形態の電子レンジについて、図8に基づいて説明する。第3の実施の形態は、電子レンジ1の制御回路30−2が、第1の実施の形態で備えていた校正値算出器37を持たず、代わりにパソコン(パーソナルコンピュータ)44を接続し、それからデータを取り込むための校正データ読み込み端子43を備え、この校正データ読み込み端子43を通じて読み込んだデータを校正値記憶装置38に記憶するようにしたこと、そして校正モードへ移行する操作のための操作キーを一般ユーザの操作する操作パネル4から分けて、一般ユーザの目には触れない場所、特に赤外線センサ8の取付け時、あるいは交換修理の際に必ず開かれる場所に設け、そのキー操作を校正操作として検出する校正検出スイッチ46を制御回路30−2に設けたことを特徴とする。
【0062】
この第3の実施の形態でも第2の実施の形態と同様に、個々の赤外線センサ8に対して、電子レンジ1に取付ける前に工場やサービスセンターにおいて校正データを得ておき、各赤外線センサ8と対応させて技術者が携帯するパソコン44に登録しておく。そしてユーザ宅で赤外線センサ8を交換する場合、制御回路30−2に設けられている校正データ読み込み端子43にパソコン44を接続し、隠された場所にある上記の校正操作用のキーを操作することにより、校正検出スイッチ46が校正モードであることを検出し、校正値記憶装置38に対してパソコン44から新しい赤外線センサ8に対する校正値を校正データ読み込み端子43を介して読み込ませ、記憶させる。
【0063】
これにより、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し、加えて、特に出張修理の作業の際にパソコンとの接続だけで赤外線センサ8の校正が行え、試料を準備する煩わしさがなくなる。また、赤外線センサ8の取付け、交換作業時に校正モードへ移行するためのキー操作が専用のキーを操作するだけで簡単である利点がある。
【0064】
次に、本発明の第4の実施の形態の電子レンジについて、図9及び図10に基づいて説明する。第4の実施の形態の特徴は、赤外線センサ8が増幅率調整端子48を備え、制御回路30−3側の増幅率調整回路47から受けた増幅率調整信号に基づき、増幅回路14の増幅器16,18及び比較器19の増幅率を赤外線センサ8の特性に応じて調整するようにし、一方、制御回路30−3側では、新たに組み込む赤外線センサ8について、あらかじめ求めてパソコン44に登録してある校正データを校正モード読み込み端子43から読み込んで校正値記憶装置38に記憶し、かつ赤外線センサ8による温度検出のために増幅率調整回路47が校正値記憶装置38の校正データに基づいて赤外線センサ8の増幅率調整値を求め、赤外線センサ8の増幅率調整端子48に出力する構成にした点にある。なお、図9において図5に示した第1の実施の形態、図7に示した第2の実施の形態と共通する要素については、同一の符号を付して示してある。また図10において、図2に示した第1〜第3の実施の形態で採用している赤外線センサ8と共通する要素については、同一の符号を付して示してある。
【0065】
第4の実施の形態の電子レンジは、次のように動作する。赤外線センサ8は、制御回路30−3の増幅率調整回路47から増幅率調整端子48を通じて入力される増幅率調整信号により増幅回路14の増幅器16,18及び比較器19の増幅率を赤外線センサ8の特性に応じて調整する。そして、サーモパイル13の出力信号を調整された増幅率で増幅し、温度検出信号として制御回路30−3のA/D変換器31へ出力する。
【0066】
制御回路30−3側では、A/D変換器31に入力される赤外線センサ8の温度検出信号をA/D変換してデジタル値に変換し、これに対して温度変換器32が温度データに変換して比較器35に出力する。なお、温度変換器32では、第1〜第3の実施の形態それぞれの場合のように、校正値記憶装置38に記憶されている校正値を用いて校正演算する必要はない。なぜならば、赤外線センサ8から出力される温度検出信号の増幅率の調整によってすでに校正が済んでいるからである。
【0067】
比較器35においては、設定温度記憶装置34に記憶されている設定温度と比較し、読み込み温度が設定温度に到達すれば出力制御回路41はマグネトロン61又はヒータ62の加熱制御を終了し、以降、選択された調理モードに応じて、一定温度を維持する制御をタイマ装置40がカウントアップするまで加熱制御を継続し、あるいは設定温度に到達すれば加熱を終了する等の制御を行う。
【0068】
そして赤外線センサ8を新たに取付け、あるいは交換修理し、その校正を行う場合、第2の実施の形態と同様に、制御回路30−3に設けられている校正データ読み込み端子43にパソコン44を接続し、操作パネル4から特殊なキー操作により校正指令を入力することにより、校正モード検出装置36が校正モードであることを検出し、校正値記憶装置38に対してパソコン44から新しい赤外線センサ8に対する校正値を校正データ読み込み端子43を介して読み込ませ、記憶させる。
【0069】
これにより、第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し、加えて、特に出張修理の作業の際にパソコンとの接続だけで赤外線センサ8の校正が行え、試料を準備する煩わしさがなくなる。さらに、制御回路30−3側では温度演算周期毎に校正演算を行う必要がなく、演算負荷を低減化できる。
【0070】
なお、第4の実施の形態では、第2の実施の形態に対する第3の実施の形態のように、操作パネル4に対する特殊キー操作によって校正操作する代わりに、専用の校正操作キーと、その専用キーの操作を検出して校正モード移行を指示する校正検出スイッチ46を校正モード検出装置36に代えて設けてもよい。
【0071】
次に、本発明の第5の実施の形態の電子レンジを、図11に基づいて説明する。第5の実施の形態の特徴は、図9に示した第4の実施の形態の制御回路30−3における校正値記憶装置38と増幅率調整回路47に代えて、パソコン44から校正データ読み込み端子43を経て直接に増幅率調整値を読み込んで記憶する増幅率調整記憶回路49を設けた点にある。この第5の実施の形態でも、赤外線センサ8には増幅率調整端子48を備えた図10に示したものを採用する。
【0072】
そして、個々の赤外線センサに対する増幅率調整データをあらかじめ工場やサービスセンター側で作成してパソコン44に登録しておき、電子レンジに新たな赤外線センサを組み込む場合や新たな赤外線センサに交換修理する場合、校正モードにして、その赤外線センサ8に対する増幅率調整データをパソコン44から校正データ読み込み端子43を経て読み込んで増幅率調整記憶回路49に記憶させるのである。また、校正モードへの移行には、第5の実施の形態では第1の実施の形態、第2の実施の形態と同様に操作パネル4に対して特殊なキー操作を行うようにしている。なお、校正モードへの移行操作は、第3の実施の形態と同様に専用の操作キーを設ける方式であってもよい。
【0073】
この第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態では必要であった校正値記憶装置38が不要であり、校正値から増幅率調整値への換算演算が不要となるので、演算負荷がさらに軽減できる。
【0074】
次に、本発明の第6の実施の形態の電子レンジを、図12及び図13に基づいて説明する。第6の実施の形態の特徴は図5及び図6に示した第1の実施の形態に対して、校正モードでの校正値の作成を操作パネル4において行えるようにした点にある。
【0075】
そこで、操作パネル4内のユーザには触れることがない場所に校正用の操作キーとして、校正動作開始キー4−1、校正動作終了キー4−2、数字繰り上げキー4−3を設けてある。そしてこの操作パネル4では、校正モード中、表示窓4に校正値を表示し、数字繰り上げキー4−3を操作することによって表示窓5に表示されているその校正値の数字を繰り上げることができるようにしてある。
【0076】
またこの実施の形態の場合、校正動作開始キー4−1の入力で校正モードを判断できるので、制御回路30−5は、図5に示した第1の実施の形態の制御回路30の構成から校正モード検出装置36を削除し、また校正値は操作パネル4によって直接設定されるので、校正値算出器37も削除した構成である。その他の構成要素は、図5に示した第1の実施の形態の制御回路30のものと共通である。
【0077】
次に、上記の構成の第6の実施の形態の電子レンジの動作を説明する。図13のフローチャートに示すように、通常の使用では、ユーザあるいは技術者が操作パネル4に対して何らかの操作をし、スタートボタンを押すことにより本処理が開始し、制御回路30−5は操作パネル4の操作ボタンの状態を読み込む(ステップS00,S05)。
【0078】
一般ユーザによる操作であれば、温めボタンを押したり、解凍ボタンを押したり、さらにオーブン使用の場合にはオーブンボタンを押したりする操作を行い、最後にスタートボタンを押す。このスタートボタンが押されると、図13の処理を開始し、上記の操作ボタンによる操作内容を読み込み、一般ユーザによるキー操作である場合(つまり、温め操作、解凍操作、オーブン操作あるいはグリル操作等である場合)、温度設定装置33は設定温度を読み込んで設定温度記憶装置34に記憶させ、また出力設定装置39は設定出力を読み込んで出力制御回路41に出力し、出力制御回路41はマグネトロン61又はヒータ62に対する加熱制御を開始する(ステップS10,S30,S35)。
【0079】
そして、加熱の開始と共に赤外線センサ8の温度検出信号を周期的に読み込み、比較器35において設定温度記憶装置34に記憶されている設定温度と比較し、赤外線センサ8の検出する温度が設定温度に達した時に、あるいはタイマ設定されている場合には設定時間が経過した時に加熱制御を終了する(ステップS40〜S55)。
【0080】
次に、操作パネル4より校正操作がなされた場合について説明する。技術者は新たに取付けた赤外線センサ8について、工場あるいはサービスセンターであらかじめ採取された校正データを持参しておき、校正操作専用のキーにアクセスし、その校正動作開始キー4−1を操作する。これにより校正モードへ移行する(ステップS00〜S10)。
【0081】
校正モードになると、技術者は表示窓5に表示される数字を見ながら、持参した校正データを見て、表示窓5の数字が校正データに一致するように数字繰り上げキー4−3を操作し、その後に校正動作終了キー4−2を押す(ステップS10,S150〜S170)。これにより、校正値が操作パネル4から制御回路30−5の校正値記憶装置38に入力されて記憶され(ステップS25)、校正モードを終了する(ステップS55)。
【0082】
この校正処理を行った後には、温度変換器32は、赤外線センサ8が検出し、A/D変換器31を経て入力される読み込み値Tに対して、校正値記憶装置38の記憶する校正値ΔTを常に加算(+−の符号を含めて)することにより、最終的に赤外線センサ8による調理物の温度T′を、
T′=T+ΔT
として出力するのである。
【0083】
これにより、第6の実施の形態の電子レンジでは、第1の実施の形態と同様に、通常の使用時には、温度変換器32は調理対象物に対する赤外線センサ8の温度検出信号に対して校正値記憶装置38に記憶されている校正値を利用して正しい温度を算出するようになる。しかも本実施の形態では、特にユーザ宅に出張して赤外線センサ8を交換修理する場合、試料を用意する必要がなく、キー操作だけで赤外線センサの校正が行える。
【0084】
なお、本実施の形態では操作パネル4に校正操作用の専用のキーを設けたが、これに限定されることはなく、操作パネル4にユーザの通常の使用時には操作されないような特殊なキー操作で校正モードに移行できるようにし、校正モードに入った後は、温度設定ボタンあるいは時間設定ボタンを校正値設定用のボタンに切り替えられるようにしておけば、専用キーを設ける必要がなくなり、コスト的なメリットが改善される。
【0085】
次に、本発明の第7の実施の形態の電子レンジ、図14及び図15に基づいて説明する。第7の実施の形態の特徴は、赤外線センサ80を図2に示した赤外線センサ8の構成にすると共に、これらに加えてメモリ24を内蔵させ、赤外線センサ毎のばらつきを校正するための校正値をメモリ24に登録させておき、これを制御回路30−6側の自動校正機能に利用するようにした点にある。このために、赤外線センサ80側には図2に示した構成要素に加えて、メモリ24と共に校正データ出力端子51が設けられている。そして、制御回路30−6は、図7に示した制御回路30−1から校正モード検出装置39を削除し、あるいは図8に示した制御回路30−2から校正検出スイッチ46を削除し、そして校正データ読み込み端子43に代えて、赤外線センサ80の校正データ出力端子51に接続する校正データ読み込み端子50を設けた構成である。本実施の形態の制御回路30−6において、上記の他の構成要素については、第2の実施の形態における制御回路30−1、また第3の実施の形態における制御回路30−2と符号が共通する構成要素と同一の働きをする。
【0086】
次に、上記の構成の第7の実施の形態の電子レンジの動作を、図15に示すフローチャートに基づいて説明する。本実施の形態の場合、制御回路30−6は電源プラグがコンセントに差し込まれた際、あるいは電源プラグが接続された状態で、操作パネル4に対してユーザが最初に何らかの操作を行った際に(ユーザが校正操作していると意識するかしないかに関わりなく)、校正値記憶装置38が校正データ読み込み端子51、赤外線センサ80側の校正データ出力端子50を介して赤外線センサ80のメモリ24にアクセスして校正データを読み込み、記憶する。このようにしていったん校正データを読み込んで校正値記憶装置38に登録すると、以後は電源プラグが引き抜かれるまでその校正データが制御回路30−6側に保持される(ステップS100〜S110)。
【0087】
この後は、ユーザが通常の使用に対して、第1の実施の形態〜第3の実施の形態の場合と同様に動作し、調理開始操作がなされる(ステップS115)と、上記の操作ボタンによる操作内容を読み込み、一般ユーザによるキー操作である場合(つまり、温め操作、解凍操作、オーブン操作あるいはグリル操作である場合)、温度設定装置33は設定温度を読み込んで設定温度記憶装置34に記憶させ、また出力設定装置39は設定出力を読み込んで出力制御回路41に出力し、出力制御回路41はマグネトロン61又はヒータ62に対する加熱制御を開始する(ステップS120,S125)。
【0088】
そして、加熱の開始と共に赤外線センサ80の温度検出信号を周期的に読み込み、A/D変換器31でデジタル信号に変換して温度変換器32に与える。温度変換器32では、温度検出信号を赤外線センサ80が検出し、A/D変換器31を経て入力される温度検出信号に対して温度値を算出し、さらに校正値記憶装置38に記憶されている校正値によって温度値を補正して最終的な読み込み温度として比較器35に出力する(S130,S135)。
【0089】
比較器35は読み込み温度を設定温度記憶装置34に記憶されている設定温度と比較し、赤外線センサ80の検出する温度が設定温度に達した時に、あるいはタイマ設定されている場合には設定時間が経過した時に加熱制御を終了する(ステップS140〜S150)。
【0090】
こうして、第7の実施の形態の電子レンジでは、新たに赤外線センサ80を組み込む際にパソコンを制御回路に接続して校正操作を行う必要が全くなく、赤外線センサ80と制御回路30−6との結線作業だけで済むことになり、技術者の校正作業に要する労力が削減できる。
【0091】
次に、本発明の第8の実施の形態の電子レンジについて、図14及び図16に基づいて説明する。第8の実施の形態のハードウェア的な構成は、第7の実施の形態と同様に図14に示すものである。ただし、自動校正機能が図16のフローチャートに示すように変更されている。すなわち、赤外線センサ80は第7の実施の形態と同様に図14に示す構成のものであるが、制御回路30−6が赤外線センサ80のメモリ24から校正データを読み込むタイミングが第7の実施の形態とは異なり、温度検出周期毎に繰返し行う点に特徴がある。
【0092】
以下、この第8の実施の形態の電子レンジの機能を、図16のフローチャートに基づいて説明する。制御回路30−6は電源プラグがコンセントに差し込まれても、第7の実施の形態のようには校正データを赤外線センサ80のメモリ24から読み込むことはない(ステップS100,S105)。
【0093】
電源プラグが差し込まれた後、ユーザが通常の調理開始操作を行うと(ステップS115)と、温度設定装置33は設定温度を読み込んで設定温度記憶装置34に記憶させ、また出力設定装置39は設定出力を読み込んで出力制御回路41に出力し、出力制御回路41はマグネトロン61又はヒータ62に対する加熱制御を開始する(ステップS120,S125)。
【0094】
加熱の開始と共に赤外線センサ80の温度検出信号をA/D変換器31が周期的に読み込み(ステップS130)、同時に赤外線センサ80のメモリ24から校正データ出力端子51、校正データ読み込み端子50を通じて校正値記憶装置38に校正データを読み込んで記憶する(ステップS132)。
【0095】
そして、A/D変換器31でデジタル信号に変換して温度変換器32に与え、温度変換器32では、A/D変換器31の出力するデジタル温度検出信号に対して温度値を算出し、さらに校正値記憶装置38に記憶されている校正値によって温度値を補正して最終的な読み込み温度として比較器35に出力する(S135)。
【0096】
比較器35は読み込み温度を設定温度記憶装置34に記憶されている設定温度と比較し、赤外線センサ80の検出する温度が設定温度に達した時に、あるいはタイマ設定されている場合には設定時間が経過した時に加熱制御を終了する(ステップS140〜S150)。
【0097】
こうして、第8の実施の形態の電子レンジでは、第7の実施の形態と同様に新たに赤外線センサ80を組み込む際にパソコンを制御回路に接続して校正操作を行う必要が全くなく、赤外線センサ80と制御回路30−6との結線作業だけで済むことになり、技術者の校正作業に要する労力が削減できる。
【0098】
次に、本発明の第9の実施の形態の電子レンジを、図17に基づいて説明する。第9の実施の形態の特徴は、赤外線センサ81側に校正機能を内蔵させたことを特徴とするものである。
【0099】
図17に示すように、赤外線センサ81は図2に示した第1の実施の形態の赤外線センサ8と同様のサーモパイル13、増幅回路14を備え、さらにこの増幅回路14の増幅率を自動的に調整するための増幅率調整回路25とこの増幅率調整回路25が増幅率調整の参考にする校正データを記憶するメモリ26を備えている。
【0100】
そして制御回路30−7側は、図5に示した第1の実施の形態の制御回路30に対して温度校正機能を司る構成要素を削除した単純な構成であり、赤外線センサ81からの温度検出信号のA/D変換を行うA/D変換器31、このA/D変換器31からのデジタル温度検出信号を温度値に変換する温度変換器32、操作パネル4からの入力に応じて温度設定を行う温度設定装置33、この温度設定装置33の出力する設定温度を記憶する設定温度記憶装置34、温度変換器32の出力する読み込み温度と設定温度記憶装置34に記憶されている設定温度とを比較し、その差を求めて出力する比較器35、ユーザが操作パネル4に対して出力レベルを設定したときに、それに見合う出力を設定する出力設定装置39、ユーザが操作パネル4の操作ボタン6により時間設定したとき、あるいは調理方法を選択したときに、それに応じた時間設定を行い、調理スタートからの時間経過をカウントするタイマ装置40、そしてタイマ装置40が出力オフ指令を与えるまで、出力設定装置39からの出力設定に対してマグネトロン61、あるいはヒータ62の出力を比較器35の比較結果を見ながら制御する出力制御回路41を備えている。
【0101】
次に、上記構成の第9の実施の形態の電子レンジの動作を説明する。まず、個々の赤外線センサ81には、その工場やサービスセンタにおいて既知の温度の試料に基づき採取されたセンサ毎の固有の校正データがメモリ26に記憶される。
【0102】
そして図1に示した電子レンジ1のキャビティ2内に調理物を入れて加熱を開始すると、上述した校正の済んでいる赤外線センサ81が調理物の温度を測定して温度検出信号を電圧信号として制御回路30−7のA/D変換器31に入力する。
【0103】
この赤外線センサ81における温度検出動作では、サーモパイル13の赤外線強度に比例した信号が増幅回路14に入力される。増幅回路14は入力されるサーモパイル13からの信号を増幅するが、この増幅率は増幅率調整回路25によってあらかじめ設定調整されている。そして、増幅率調整回路25により増幅率の調整は、メモリ26に記憶されている校正データに基づいて行う。したがって、赤外線センサ81の増幅回路14から出力する温度検出信号はセンサ固有のばらつきを吸収した、校正後の信号である。
【0104】
そこで、赤外線センサ81からA/D変換器31に温度検出信号が入力されると、A/D変換器31はこれをデジタル温度検出信号に変換し、さらに温度変換器32が温度値に変換し、この温度値が比較器35に与えられる。
【0105】
比較器35では設定温度記憶装置34に記憶されている当該調理にふさわしい設定温度と読み込み温度値とを比較し、その差を出力制御回路41に出力する。
【0106】
出力制御回路41では、赤外線センサ81の検出する温度が設定温度に達した時に、あるいはタイマ設定されている場合には設定時間が経過した時に加熱制御を終了し、以降、調理方法により異なるが、タイムアップするまで設定温度を維持するように出力を制御したり、加熱動作を完全に終了したりする。
【0107】
これにより、第9の実施の形態では、制御回路30−7側に校正機能を必要としなくなるのでその内部構成が簡略化できることになる。
【0108】
【発明の効果】
以上にように請求項1の発明によれば、ユーザ宅に出張して赤外線センサを交換したような場合、特殊な工具や測定器を使用することなく、既知の所定温度の試料の準備と特殊なキー操作だけで赤外線センサの校正が行える。
【0110】
請求項の発明によれば、工場出荷時あるいはユーザ宅での赤外線センサの交換時には、技術者は持参した所定の外部機器を校正データ読み込み端子に接続するだけで、新たな赤外線センサに対してあらかじめ用意されている校正データをその外部機器から読み込ませて簡単に赤外線センサの校正が行える。
【0111】
請求項の発明によれば、赤外線センサ側が固有の校正データに基づいて補正した温度検出信号を出力するので、制御回路側では接続されている赤外線センサに固有の校正データを参照して温度補正演算を行う必要がなく、単純な演算により正しい温度を得ることができる。
【0112】
請求項の発明によれば、校正データ読み込み手段から増幅率調整値を直接読込んで赤外線センサの増幅回路の増幅率調整を利用でき、校正値から増幅率調整値への換算演算が不要となるので、演算負荷を軽くすることができる。
【0117】
請求項の発明によれば、既知の所定温度の試料に、氷を溶解した直後の0℃の水、又は氷水を用いるので、特にユーザ宅での出張修理によって赤外線センサを交換したような場合に、どの家庭でも容易に入手できる試料を用いて赤外線センサの温度校正が行える。
【0118】
請求項の発明によれば、既知の所定温度の試料に、沸騰水を用いるので、特にユーザ宅での出張修理によって赤外線センサを交換したような場合に、どの家庭でも容易に入手できる試料を用いて赤外線センサの温度校正で行える。
【0119】
請求項の発明によれば、既知の所定温度の試料に、特定の温度に制御されたヒータプレートを用いるので、ユーザ宅での出張修理によって赤外線センサを交換したような場合にも、赤外線センサの正確な温度校正が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電子レンジの外観を示す斜視図。
【図2】上記の電子レンジのキャビティと赤外線センサを示す斜視図。
【図3】上記の実施の形態で採用する赤外線センサの正面図及び底面図。
【図4】上記の赤外線センサの回路ブロック図。
【図5】上記の実施の形態の電子レンジの回路ブロック図。
【図6】上記の実施の形態の電子レンジの動作を示すフローチャート。
【図7】本発明の第2の実施の形態の電子レンジの回路ブロック図。
【図8】本発明の第3の実施の形態の電子レンジの回路ブロック図。
【図9】本発明の第4の実施の形態の電子レンジの回路ブロック図。
【図10】上記の実施の形態で採用する赤外線センサの回路ブロック図。
【図11】本発明の第5の実施の形態の電子レンジの回路ブロック図。
【図12】本発明の第6の実施の形態の電子レンジの回路ブロック図。
【図13】上記の実施の形態の電子レンジの動作を示すフローチャート。
【図14】本発明の第7の実施の形態の電子レンジの回路ブロック図。
【図15】上記の実施の形態の電子レンジの動作を示すフローチャート。
【図16】本発明の第8の実施の形態の電子レンジの動作を示すフローチャート。
【図17】本発明の第9の実施の形態の電子レンジの回路ブロック図。
【符号の説明】
1 電子レンジ
2 キャビティ
4 操作パネル
4−1 構成動作開始ボタン
4−2 構成動作終了ボタン
4−3 繰り上げボタン
5 表示窓
6 操作ボタン
8 赤外線センサ
9 調理物
11 レンズ
12 センサ回路部
13 サーモパイル
14 増幅回路
15 マルチプレクサ
24 メモリ
25 増幅率調整回路
26 メモリ
30 制御回路
30−1〜30−7 制御回路
31 A/D変換器
32 温度変換器
33 温度設定装置
34 設定温度記憶装置
35 比較器
36 構成モード検出装置
37 校正値算出器
38 校正値記憶装置
39 出力設定装置
40 タイマ装置
41 出力制御回路
43 校正データ読み込み端子
44 パソコン
46 校正検出スイッチ
47 増幅率調整回路
48 増幅率調整端子
49 増幅率調整記憶装置
50 校正データ読み込み端子
51 校正データ出力端子
61 マグネトロン
62 ヒータ

Claims (7)

  1. レンズとサーモパイルの素子を一体化した赤外線センサと、
    調理のための操作キーと、
    前記操作キーに対するキー操作として通常の調理に必要なキー操作とは異なった特殊なキー操作を検出したときに、前記赤外線センサの測定視野内に置かれている既知の所定温度の試料に対する検出温度に基づいて当該赤外線センサのサーモパイルの各素子の検出による温度データを校正する温度データ校正手段と、
    前記温度データ校正手段が校正した前記赤外線センサの校正データを記憶する校正値記憶手段と、
    前記赤外線センサの温度検出信号に対して、前記校正値記憶手段に記憶されている校正データを利用して検出温度を算出する温度演算手段とを備えて成る電子レンジ。
  2. レンズとサーモパイルを一体化した赤外線センサと、
    あらかじめ測定された前記赤外線センサに対する校正データを読み込むための校正データ読み込み端子と、
    前記校正データ読み込み端子に外部機器が接続されたのを検出する校正モード判定手段と、
    前記校正モード判定手段が前記校正データ読み込み端子に前記外部機器が接続されたのを検出したときに、当該外部機器から校正データ読み込み端子に与えられる前記校正データを読み込んで記憶する校正値記憶手段と、
    前記赤外線センサの温度検出信号に対して、前記校正値記憶手段に記憶されている校正データを利用して検出温度を算出する温度演算手段とを備えて成る電子レンジ。
  3. レンズとサーモパイルが一体化され、かつその温度検出信号を増幅する増幅回路を有する赤外線センサと、
    調理のための操作キーと、
    あらかじめ測定された前記赤外線センサに対する校正データを読み込むための校正データ読み込み端子と、
    前記校正データ読み込み端子に外部機器が接続されたのを検出する校正モード判定手段と、
    前記校正モード判定手段が前記校正データ読み込み端子に前記外部機器が接続されたのを検出したときに、当該外部機器から校正データ読み込み端子に与えられる前記校正データを読み込んで記憶する校正値記憶手段と、
    前記校正値記憶手段に記憶されている前記校正データに基づいて前記赤外線センサの増幅回路に対してその温度検出信号の増幅率を調整する増幅率調整回路と、
    前記赤外線センサの増幅回路を経て出力される温度検出信号から検出温度を算出する温度演算手段とを備えて成る電子レンジ。
  4. レンズとサーモパイルが一体化され、かつその温度検出信号を増幅する増幅回路を有する赤外線センサと、
    調理のための操作キーと、
    あらかじめ測定された前記赤外線センサに対する増幅率調整値を読み込むための校正データ読み込み端子と、
    前記校正データ読み込み端子に外部機器が接続されたのを検出する校正モード判定手段と、
    前記校正モード判定手段が前記校正データ読み込み端子に前記外部機器が接続されたのを検出したときに、当該外部機器から校正データ読み込み端子に与えられる増幅率調整値を読み込んで記憶する増幅率調整値記憶手段と、
    前記増幅率調整値記憶手段に記憶されている前記増幅率調整値に基づいて前記赤外線センサの増幅回路に対してその温度検出信号の増幅率を調整する増幅率調整回路と、
    前記赤外線センサの増幅回路を経て出力される温度検出信号から検出温度を算出する温度演算手段とを備えて成る電子レンジ。
  5. 前記既知の所定温度の試料は、氷を溶解した直後の0℃の水、又は氷水であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ。
  6. 前記既知の所定温度の試料は、沸騰水であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ。
  7. 前記既知の所定温度の試料は、特定の温度に制御されたヒータプレートであることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ。
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