JP3725478B2 - バイオセンサー、および、バイオセンサーを用いた巨大分子生体高分子の検出方法 - Google Patents
バイオセンサー、および、バイオセンサーを用いた巨大分子生体高分子の検出方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
このようなバイオセンサーチップは、[1]によって知られている。
【0002】
図2aおよび図2bは、[1]に記述されているようなバイオセンサーチップを示している。このセンサー200は、金から構成される2つの電極201・202を備えており、これらの電極は、絶縁材料から構成される絶縁層203に埋設されている。電極201・202には、電極201・202に印加された電位を供給することが可能な電極端子204・205が接続されている。電極201・202は、プレーナ型電極として配置されている。各電極201,202上には、DNAプローブ分子206が固着されている(図2a参照)。固着は、いわゆる金‐硫黄‐結合によって行われる。電極201・202上には、調査するべき分析質、例えば、電解液207が塗布される。
【0003】
電解液207に、DNAプローブ分子206の配列と相補的な配列を有するDNA鎖208が含有されている場合、これらDNA鎖208は、DNAプローブ分子206とハイブリダイズする(図2b参照)。
【0004】
DNAプローブ分子206とDNA鎖208とのハイブリダイゼーションは、各DNAプローブ分子206の配列と対応するDNA鎖208の配列とが互いに相補的である場合にのみ起こる。そうではない場合、ハイブリダイゼーションは起こらない。それゆえ、事前に設定された配列のDNAプローブ分子は、特定のDNA鎖、すなわち、それぞれ相補的な配列を有するDNA鎖とのみ結合、つまりハイブリダイズすることができる。
【0005】
ハイブリダイゼーションが起こると、図2bから明らかなように、電極201・202間のインピーダンスの値が変化する。この変化したインピーダンスは、振幅が約50mVである交流電圧を電極端子204・205に印加し、そしてその結果として生じた電流を、接続されている測定器(図示しない)を用いて測定することにより決定される。
【0006】
ハイブリダイズの場合、電極201・202間におけるインピーダンスのキャパシタンス成分が減少する。この原因は、DNAプローブ分子206と、妥当な場合にDNAプローブ分子206とハイブリダイズするDNA鎖208とが、共に非導電性であり、それゆえ、各電極201・202は明らかにある程度電気的に遮断されているからである。
【0007】
測定精度を改善するために、多数の電極の組(Elektrodenpaaren)201・202を使用し、これらを並列接続することが、[4]から知られている。これらは、互いにしっかりとかみ合うように配置されており、その結果、いわゆるインターデジタル電極(Interdigitalelektrode)300となる。電極の寸法および電極間の距離は、おおよそ検出されるべき分子程度の長さ、すなわちDNA鎖208の長さまたはそれ以下の、例えば200nmまたはそれ以下の範囲となる。
【0008】
さらに、巨大分子生体高分子を検出するための酸化還元再生利用工程(Recycling-Vorgang)に関する基本原理は、[2]および[3]から知られている。酸化還元再生利用工程(以下ではレドックス再生利用工程とも示す)については、図4aから図4cに基づいて以下に詳述する。
【0009】
図4aは、絶縁層としての基板403に形成されている第1電極401および第2電極402を備えるバイオセンサーチップ400を示す。
【0010】
固定層404として構成された固定領域は、金から構成された第1電極401上に形成される。固定領域は、第1電極401上においてDNAプローブ分子405を固着化させるために用いられる。
【0011】
第2電極上には、このような固定領域は備えられていない。
【0012】
固着されたDNAプローブ分子405の配列に対して相補的な配列を有するDNA鎖が、バイオセンサー400によって認識されると、センサー400は、調査される溶液406(例えば電解液)と接触し、調査される溶液406に場合によっては含まれ、DNAプローブ分子405の配列に対して相補的な配列を持つDNA鎖はハイブリダイズすることができる。
【0013】
図4bには、認識されるDNA鎖407が、調査される溶液406中に含まれ、DNAプローブ分子405とハイブリダイズする様子が示されている。
【0014】
調査される溶液中のDNA鎖407は、酵素408を用いてマーキングされ、以下に記述する分子を部分分子(Teilmolekuele)に分解できるのである。
【0015】
通常、調査される溶液406中には、測定されるDNA鎖407の数よりも、著しく多い数のDNAプローブ分子405が含まれている。
【0016】
酵素408を有する、調査される溶液406中に含まれる場合のあるDNA鎖407が、固着されたDNAプローブ分子407とハイブリダイズした後、バイオセンサーチップ400を洗浄する。これにより、ハイブリダイズされていないDNA鎖は除去され、調査される溶液406はバイオセンサーチップ400を浄化する。
【0017】
洗浄に用いられる洗浄液、または、さらなる段階における目的のために特異的に供給された他の溶液に、電気的に帯電していない物質が添加される。この物質は、ハイブリダイズされたDNA鎖407に位置する酵素によって、負の電荷を有する第1部分分子410と正の電荷を有する第2部分分子とに分解される分子を含有している。
【0018】
負電荷の第1部分分子410は、図4cに矢印411によって示されているように、正電荷のアノード(すなわち第1電極401)に引き寄せられる(図4c参照)。
【0019】
負電荷の第1部分分子410は、アノードとして正の電位を有する第1電極401において酸化され、酸化された部分分子413は、負電荷のカソードに、すなわち第2電極402に引き寄せら、再び還元される。還元された部分分子414は、もう一度第1電極401、すなわちアノードに移動する。
【0020】
このようにして、酵素408によって発生したそれぞれの荷電粒子数に比例した電気的な回路電流が発生する。
【0021】
この方法を用いる際に評価される電気パラメータは、図5のグラフ500に示されているように、時間tの関数として、電流dI/dtの変化値である。
【0022】
図5には、時間502の関数に対する電流501の関数が示されている。生じた曲線(Kurvenverlauf)503は、時間の経過の影響を受けないオフセット電流Ioffset504を有している。
【0023】
オフセット電流Ioffset504は、バイオセンサー400が理想型ではないために、寄生的な成分によって発生する。
【0024】
つまり、オフセット電流Ioffset504が生じる基本的原因は、DNAプローブ分子405を備える第1電極401が、十分な厚さで被覆されていないという点で理想的ではないというところにある。
【0025】
第1電極401がDNAプローブ分子405によって十分に密集して被覆されている場合、第1電極401と調査される導電性の溶液406との間には、固着したDNAプローブ分子405によって発生する、いわゆる2層キャパシタンスに基づく、ただ1つの単なるキャパシタンス電気接続(kapazitive elektrische Kopplung)が生じるはずである。
【0026】
しかし、十分に密集して被覆されていない場合は、特に抵抗成分をも有する寄生的な電流経路が、第1電極401と調査される溶液406との間にできてしまう。
【0027】
しかしながら、酸化還元手順を可能にするためには、DNAプローブ分子405を有する第1電極401のカバーは完全である必要はない。それは、電気を帯びた部分分子、すなわち負電荷の第1部分分子を、第1電極401に全体的に(ueberhaupt)引き寄せるためである。
【0028】
他方では、このようなバイオセンサーの感度をできるだけよくするために、寄生的影響がわずかであることと相まって、DNAプローブ分子405を有する第1電極401のカバーはできるかぎり密集していなければならない。
【0029】
このようなバイオセンサー400によって決定された測定値の再現性を高めるために、2つの電極401・402は、常に、レドックス再生利用工程において酸化還元手順を行うための十分に大きな面積を備える必要がある。
【0030】
従来技術に基づいたバイオセンサーの場合、調査される溶液中のDNA鎖を検知する際の測定は、若干不確実なものとなる。
【0031】
また、巨大分子生体高分子を、例えば蛋白質またはペプチドまたはそれぞれに事前に設定された配列のDNA鎖とも把握できる。
【0032】
巨大分子生体高分子として蛋白質またはペプチドを検出するとき、第1分子および第2分子はリガンドである。リガンドは、例えば対応するリガンドが配置されたそれぞれの電極にて検出される蛋白質またはペプチドと結合可能な結合作用を有する作用物質である。
【0033】
適切なリガンドとしては、酵素作用物または酵素拮抗作用物、薬剤、糖または抗体またはなんらかの分子がある。リガンドは、蛋白質またはペプチドと特異的に結合する性能を有している。
【0034】
巨大分子生体高分子として、バイオセンサーを用いて検出されることが意図される事前に設定された配列のDNA鎖を用いると、バイオセンサーを用いて、事前に設定された配列のDNA鎖と、DNA鎖の配列に対して相補的な配列を有するDNAプローブ分子とを、分子として第1電極上においてハイブリダイズできる。
【0035】
この記述の文脈において、プローブ分子を、リガンドともDNAプローブ分子とも把握できる。
【0036】
dI/dtは、測定電流を検出するために用いられる電極の電極面積に比例した値である。したがって、電極の幅が同じ場合、dI/dtは、用いられる電極の長さに比例した値である。なお、例えば第1電極201と第2電極202の場合、その長さは、図2aおよび図2bに記している平面に対して垂直に延びている。
【0037】
複数の電極を並列接続する(例えば知られているインターデジタル電極配置)と、測定電流dI/dtの変化値は、それぞれ並列接続された電極数にも比例している。
【0038】
しかし、測定電流dI/dtの変化値の範囲は、様々な影響を受けて非常に大きく変動する。特に、調査される溶液が異なる場合はそうである。
【0039】
変動が大きい原因は、一方では、全てのDNA鎖の検出を可能にするために、事前に設定された配列のDNA鎖が検出されるダイナミックレンジが必要とされるからである。
【0040】
しかし他方では、異なるタイプの検出される、異なる巨大分子生体高分子は、発生した測定信号、すなわち特に測定電流およびその時間的変化値dI/dtに関する値の範囲が大きく異なるようになることも、可能である。このことは再び、後続の集積化された測定装置(Messekeltronik)、すなわち後続の集積化された測定回路を備える事前に設定された電極配置のために必要な全ダイナミックレンジの拡大に導くものである。
【0041】
時間の変化を電極間、すなわちアノードとカソードとの間において検出・処理する測定装置は、要求される値の範囲内において確実で正確に機能する必要がある。このような回路のダイナミックレンジを大きくするという要求の結果、必要なダイナミックレンジを備えるために、測定装置を高価で複雑に設計することになる。
【0042】
例えば[4]、[5]、[6]、[7]、[8]から知られているような他の方法でも、大きなダイナミックレンジを介して検出される電気測定信号を測定できる必要があるということが起こりうる。
【0043】
そこでも測定装置、すなわち評価回路(Auswerteschaltung)に対して、力学の点で過度の要求が生じてしまう。特に回路を設計する際、用いられる構成素子の不完全性(すなわち、構成素子のパラメータの変動(Variation)であるノイズ)が、作用点を選ぶことによって考慮される。なお、作用点は、設計された回路におけるこれらの構成素子用に、この不完全性が測定結果の質に対する影響をほとんど及ぼさないものである。大きなダイナミックレンジを介して回路を駆動することが意図される限り、全範囲に渡って最適な作用点を維持するには、ますます費用がかかり困難になっている。
【0044】
したがって、本発明の課題は、下流に連結された測定装置に関して、変動しやすい測定信号を強く検出するための要求を減らすことができるバイオセンサーを提供することにある。
【0045】
本課題は、独立請求項に従った特徴を有する、バイオセンサーおよびバイオセンサーを用いた巨大分子生体高分子の検出方法によって達成される。
【0046】
バイオセンサーは、巨大分子生体高分子と結合できるプローブ分子を固定するための固定領域を配置した第1電極を備えている。さらに、バイオセンサーは、第2電極を備えている。第1電極および/または第2電極は、互いに電気的に絶縁した複数の電極部に分解される。また、任意に選択された電極部は、互いに独立して電気的に接続することができ、それによって、選択された電極部に応じて実際の電極面積の大きさを調節することができる。
【0047】
巨大分子生体高分子を、例えば蛋白質またはペプチドまたはそれぞれ事前に設定された配列のDNA鎖とも把握できる。
【0048】
巨大分子生体高分子として蛋白質またはペプチドを検出するとき、第1分子および第2分子はリガンドである。リガンドは、例えば対応するリガンドが配置されたそれぞれの電極にて検出される蛋白質またはペプチドと結合可能な結合作用を有する作用物質である。
【0049】
適切なリガンドとしては、酵素作用物または酵素拮抗作用物、薬剤、糖または抗体またはなんらかの分子がある。リガンドは、蛋白質またはペプチドと特異的に結合する性能を有している。
【0050】
巨大分子生体高分子として、バイオセンサーを用いて検出されることが意図される事前に設定された配列のDNA鎖を用いると、バイオセンサーを用いて、事前に設定された配列のDNA鎖と、DNA鎖の配列に対して相補的な配列を有するDNAプローブ分子とを、分子として第1電極上においてハイブリダイズできる。
【0051】
この記述の文脈において、プローブ分子を、リガンドともDNAプローブ分子とも把握できる。
【0052】
このようなセンサーを、巨大分子生体高分子の検出方法に使用する。
【0053】
この方法では、調査される溶液をバイオセンサーと接触させる。また、溶液は、検出される巨大分子生体高分子を含むことができる。調査される溶液に含まれる巨大分子生体高分子を、第1電極に固着されたプローブ分子に結合させる。また、結合した巨大分子生体高分子を、酵素を用いてマーキングする。
【0054】
洗浄溶液を用いてバイオセンサーを洗浄することによって、調査される溶液、ならびに、場合によってはハイブリダイズされていない(すなわち結合されていない)巨大分子生体高分子が、バイオセンサーから(すなわち特に電極から)除去される。
【0055】
酵素によって分解可能な分子を有する他の溶液を、バイオセンサーと接触させる。それぞれ1つの分解可能な分子を、酵素を用いて第1電荷を有する第1部分分子に、および、第2電荷を有する第2部分分子に分解する。第1部分分子を電極の1つにおいて酸化または還元し、他の電極において対応する還元または酸化することによって、測定電流が発生する。
【0056】
この測定電流は、還元酸化再生利用工程において従来技術に従って上述した知られている回路電流である。
【0057】
この測定電流に応じて、電極部を選択し、互いに電気的に接続することによって、バイオセンサーの実際の電極面積の大きさを、選択された電極部に応じて調節できるようになる。さらに、検知された測定電流に応じて、巨大分子生体高分子が検出される。
【0058】
言い換えると、検出される巨大分子生体高分子が調査する溶液に本来含有されていたのかどうかを検知できるということである。さらに、測定方法の精度のゆえに、調査する溶液中においてプローブ分子と結合した巨大分子生体高分子の数が明らかになることさえも可能である。
【0059】
このことは、以下の3つの場合に可能である。すなわち、第1に、酵素を用いてマーキングされた多くのDNA鎖と、固着されたDNAプローブ分子とが、事前に設定された第1電極の領域においてハイブリダイズされること。第2に、対応する多くの酵素が、この領域において集中していること。第3に、生成した回路電流の上昇率(Anstiegsrate)が、活性酵素を用いてマーキングされたDNA鎖の少数がハイブリダイズしている領域よりも高いことである。
【0060】
この方法を用いて、バイオセンサーの電極の異なる領域間の上昇率を比較することによって、DNA鎖が、調査する溶液中において事前に設定された配列のDNAプローブ分子とハイブリダイズするかどうかだけではなく、いかによく、すなわちどのような有効性を伴って、他のDNAプローブ分子に対してこのハイブリダイゼーションが起こるかということを、測定できる。
【0061】
言い換えると、バイオセンサーを用いて、DNA容量に関する質と量との両方の情報、一般的には調査する溶液中の巨大分子生体高分子の容量に関する情報が、測定される。
【0062】
バイオセンサーは、電気スイッチを含有してもよく、そこから、それぞれ1つのスイッチと対応する電極部と連結する。その際、スイッチの第1スイッチ地点において、対応する電極部を選択し、この電極部と共同端子とを連結するようにする。第2スイッチ地点においては、対応する電極部は選択されず、この場合、対応する電極部は、事前に設定された電位と連結される。
【0063】
選択された電極部より送信された電気信号を測定するための測定装置は、バイオセンサーと連結でき、測定装置の入力部は、選択された電極部と電気的に接続される。また、測定装置を、バイオセンサーの電極と同様に同じチップ上に集積化するか、または、バイオセンサーの外部に配置する。
【0064】
さらに、測定装置と連結されたスイッチ制御ユニットは、スイッチを制御する(一般的には選択ユニットを制御する)ために連結できる。
【0065】
本発明の構成によれば、測定装置によって検出される電気信号に応じてスイッチを制御できるように、スイッチ制御ユニットを配置する。
【0066】
第2電極を、互いに電気的に絶縁された複数の電極部に分割できる。また、任意に選択された第2電極の電極部は、互いに独立して電気的に接続できる。これにより、実際の電極面積の大きさを、選択された電極部に応じて調節できるようになる。この改良により、電極において還元酸化再生利用工程が起こるように、選択されない電極部は事前に設定された電位と連結される。
【0067】
さらに、バイオセンサーには第3電極が備えられている。第2電極および第3電極は、第1電極とは異なっており、還元酸化再生利用復工程において還元酸化手順が第2電極および第3電極において起こるように形成されている。
【0068】
例えばこのことを保証するために、第1電極は第1電位を、第2電極は第2電位を、第3電極は第3電位を備える。また、還元酸化再生利用工程が行われる間、還元または酸化が、主として第2電極および第3電極において起こるように、第3電位を選択する。
【0069】
この選択は、例えば、第3電位が第1電位よりも大きくなるように行われ、また、第1電極に供給された第1電位が、第2電極に供給された第2電位よりも大きくなるように行われる。
【0070】
第1電極の固定領域に、プローブ分子を固着可能な材料によって被膜してもよい。
【0071】
さらに、ペプチドまたは蛋白質と結合できるリガンドを固定するために、第1電極の固定領域を形成してもよい。
【0072】
さらに、DNA分子と結合できるDNAプローブ分子を固定するために、第1電極の固定領域を形成してもよい。
【0073】
第1固定領域は、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミン基、アセトキシ基、イソシアネート基、スクシニミドエステル基、チオール基、金、銀、プラチナ、チタン、といった物質のうち少なくとも1つを含有してもよい。
【0074】
酵素として、例えば、a‐ガラクトシダーゼ、b‐ガラクトシダーゼ、b‐グルコシダーゼ、a‐マンノシダーゼ、アルカリ・ホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、オリゴ糖デヒドロゲナーゼ、グルコース・デヒドロゲナーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、または、同種の酵素を使用できる。
【0075】
低分子酵素が最高の変換効率を保証でき、したがって最高の感度を保証できることがわかる。
【0076】
それゆえ、他の溶液中には、酵素によって、負電荷を有する第1分子および正電荷を有する第2分子に分解される分子が、含有されている。
【0077】
分解可能な分子として、特に例えば、p‐アミノフェニル‐ヘキソピラノシド、p‐アミノフェニル‐リン酸塩、p‐ニトロフェニル‐ヘキソピラノシド、p‐ニトロフェニル‐リン酸塩、または、a)ジアミン、b)カテコールアミン、c)
【0078】
【化1】
【0079】
、d)フェロセン、e)ジカルボン酸、f)フェロセンリシン、g)オスミウムビピリジル‐NH、または、PEG‐フェロセン2に適した誘導体を用いることができる。
【0080】
本発明の実施形態を図示し、以下に詳述する。
【0081】
図1aは、本発明の第1実施形態によるバイオセンサー100を示している。
【0082】
バイオセンサー100は、第1電気的端子102と電気的に接続した第1電極101を備えている。
【0083】
バイオセンサーの第2電極103は、第1電極部104と第2電極部105とを備えている。
【0084】
第1電極101ならびに第2電極103は、金によって形成されている。
【0085】
第2電極103の2つの電極部104・105は、絶縁層106によって互いに電気的に絶縁されている。さらに、この絶縁層106によって、第1電極101と第2電極103とは互いに電気的に絶縁されている。
【0086】
第1電極部104は、第2電気的端子107と電気的に接続している。また、第2電極103の第2電極部105は、第3電気的端子108と電気的に接続している。
【0087】
第1電極部104と第2電極部105とは、任意に(wahlweise)互いに電気的に接続可能であるか、または、互いに電気的に絶縁可能である。
【0088】
さらに、具体的には、第2電極103全体を、一般的には電極部104・105の必要な数に分割することによって、電極を、単独で互いに電気的に絶縁された電極部に分割する。
【0089】
第2電極103の各電極部104・105を単独で選択して電気的に接続することによって、測定信号を検出するために選択される実際の電極面の大きさを、非常に容易でフレキシブルに変化および制御できる。
【0090】
このようにして、例えば、測定電流の大きさに応じて、センサー全体(すなわち第2電極103全体または部分領域のみ、すなわち第2電極103の1つまたは複数の電極部)を、測定電極と電気的に接続することが、明らかに可能となる。
【0091】
従って、測定装置の利用可能なダイナミックレンジにおいて、測定電流を検出するための回路全体の調整を保証できる。
【0092】
特に、測定領域が、従来技術と比較して著しく小さな回路のダイナミックレンジ上に配置され(Abbildung)、その結果、回路は事前に設定された基準に従って最適に稼動することを、一般的に保証できる。
【0093】
上述のように、実際の電極の表面積に対する時間に関する上述した測定電流の変化に比例して、第2電極103の測定信号を様々に測定することが可能である。
【0094】
図1bは、図1aに示したバイオセンサー100のより一般的な実施形態を示している。
【0095】
図1bに示したバイオセンサー110には、第1電気的端子112を有する第1電極111に加えて、第2電極113にはn個の電極部が備えられている。
【0096】
また、第1電極111ならびに第2電極113は金を含有している。
【0097】
n個の電極部114・115・116のそれぞれは、電気的端子117・118・119と電気的に接続している。電極部114・115・116は、互いに電気的に絶縁され、また、絶縁層120を用いて第1電極111から電気的に絶縁されている。
【0098】
電気的端子117・118・119は、自由に選択することができる任意の方法によって互いに電気的に接続できる。
【0099】
事前に設定できる各電極部114・115・116の面積に応じて、選択された電極部の電極表面積に比例した測定電流を以下により詳細に記述する共同端子に供給でき、それゆえに測定装置に供給できる。
【0100】
図1bに示した実施形態によれば、第1電極と、第2電極113の全ての電極部114・115・116の全長との長さの比は、1対9に選択されている。すなわち、この実施形態によれば、第2電極113は電極部114・115・116(n=9)を有している。また、第2電極113の電極部114・115・116の電極表面積の合計は、第1電極111の電極表面積に相当する。
【0101】
つまり、第2電極113の全ての電極部114・115・116を一度に接続した場合、発生した測定電流であって、図4a〜図4cに示した還元酸化再生利用工程を生み出す測定電流の100%が、測定電流またはその時間区分を評価するための測定装置において測定される。
【0102】
以下に記す構成は、本発明の全ての実施形態に関わるものである。
【0103】
第1電極上に、DNAプローブ分子が固着するための固定領域が備えられている。この固定領域に、DNAプローブ分子を金‐硫黄‐結合によって固着する。
【0104】
第1工程では、調査する溶液であって、検出されるとともにDNAプローブ分子の配列に対して相補的な配列を有するDNA鎖を含む溶液は、少なくとも第1電極と接触されている。
【0105】
調査する溶液中にDNAプローブ分子の配列に対して相補的な配列を有するDNA鎖が含有されている場合、これらのDNA鎖はDNAプローブ分子とハイブリダイズする。
【0106】
さらなる工程では、洗浄溶液を、バイオセンサー(特に第1電極)上に付与する。これによって、調査する溶液ならびにハイブリダイズされないDNA鎖(一般的には結合しない巨大分子生体高分子)を、バイオセンサー(特に第1電極)から除去するのである。
【0107】
それから、酵素を用いてDNA鎖をマーキングする。
【0108】
酵素として、次の材料、例えば、a‐ガラクトシダーゼ、b‐ガラクトシダーゼ、b‐グルコシダーゼ、a‐マンノシダーゼ、アルカリ・ホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、オリゴ糖デヒドロゲナーゼ、グルコース・デヒドロゲナーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、または、同種の酵素を使用できる。
【0109】
低分子酵素が最高の変換効率を保証でき、したがって最高の感度を保証できることが、見てとれる。
【0110】
この酵素を用いて、他の溶液中において第1電極と接触する分子を第1電荷の第1分子と第2電荷の第2分子とに分解することができる。
【0111】
分解可能な分子として、本実施形態に基づいて次の分子を用いる。p‐アミノフェニル‐ヘキソピラノシド、p‐アミノフェニル‐リン酸塩、p‐ニトロフェニル‐ヘキソピラノシド、p‐ニトロフェニル‐リン酸塩、または、a)ジアミン、b)カテコールアミン、c)
【0112】
【化2】
【0113】
、d)フェロセン、e)ジカルボン酸、f)フェロセンリシン、g)オスミウムビピリジル‐NH、または、PEG‐フェロセン2。
【0114】
第1電極に第1電位V1を供給し、第2電極に第2電位V2を供給する。第1電位V1は、第2電位V2よりも大きい。
【0115】
したがって、図4a〜図4cに示した還元酸化再生利用工程に基づいて、他の溶液中において電荷が発生する。これにより、以下に記載する測定電流としての回路電流が発生する。
【0116】
図1cでは、バイオセンサー130の第3実施形態が示されている。このバイオセンサーでは、第1総合電極(Gesamtelektrode)131を、並列接続された多数の第1部分電極によって形成する。また、これらを、第2総合電極132を並列接続して形成する多数の電極部とかみ合うように配置する。
【0117】
第1部分電極131は、第1電気的端子133とそれぞれ接続している。第2総合電極132の第1電極部134は、並列接続され、第2電気的端子135と電気的に接続される。
【0118】
第2総合電極132の第2電極部136を並列接続し、第3電気的端子137にそれぞれ電気的に接続する。
【0119】
インターデジタル電極配置は、基本的には、[4]から知られている電極配置とは以下のような相違点を有している。すなわちこの相違点とは、第2電極が今や2つ(一般的には任意の数n個)の互いに電気的に絶縁された電極部に分割されているという点である。なお、これらの電極部は並列接続されており、それぞれ互いに独立して選択可能であり、したがって電気的に接続できるものである。
【0120】
図6aでは、第2電極の3つの電極部数を有する電極配置の一例を示している。
【0121】
本実施形態に基づくバイオセンサー600は、多数の第1電極601と多数の第2電極602を備えている。
【0122】
第2電極602は、多数の第1電極部603、多数の第2電極部604、ならびに、多数の第3電極部605を備えている。また、各電極部603・604・605を、絶縁層606を用いて電気的に互いに絶縁されるように配置する。
【0123】
図6bに示しているように、第1電極601を第1電気的端子607とそれぞれ連結、すなわち並列接続する。
【0124】
さらに、第2電極602の第1電極部603を並列接続し、第2電気的端子608とそれぞれ連結する。
【0125】
さらに続いて、第2電極602の第2電極部604を並列接続し、第3電気的端子609と電気的に接続する。
【0126】
さらに続いて、第3電極部605を同様に並列接続し、第4電気的端子610と電気的に接続する。
【0127】
電極部603・604・605を適切に選択すること、および、それらを電気的に接続すること(Zusammenschalten)(以下に詳述するように)によって、実際の電極面の大きさを非常に正確に変え、設定できる。これにより、非常に正確に決定されたダイナミックレンジに測定電流を保つことができる。
【0128】
図7には、図1bに示したバイオセンサー110の回路を示している。
【0129】
第2電極113の電極部114・115・116の電気的端子117・118・119を、電気的結合部701・702・703を介して電気スイッチ部704・705・706と電気的に接続する。また、電気スイッチ部704・705・706のそれぞれ1つを、1つの電気的端子117・118・119と電気的に接続する。
【0130】
各電気スイッチ部704・705・706を、第1スイッチ地点において、第1スイッチ端子707・708・709と電気的に接続し、第2スイッチ地点において、それぞれ第2スイッチ端子710・711・712と接続する。
【0131】
第1スイッチ端子707・708・709を、第1共同端子713を用いて互いに電気的に接続し、さらに、第1共同端子713を、測定装置715の入力部714と電気的に接続する。
【0132】
さらに、図7に、第1電極111の第1電気的端子112と接続する第1電源716を示す。これにより、第1電位V1は第1電極111に供給される。
【0133】
第2スイッチ端子710・711・712を、第2共同端子717により互いに電気的に接続する。なお、第2共同端子717は第2電源718と電気的に接続されている。これにより、スイッチ部704・705・706を用いてそれぞれ第2スイッチ端子710・711・712と接続している電極部に、第2電位V2が供給される。
【0134】
第2電源718を第2スイッチ端子710・711・712に電気的に接続することによって、還元酸化再生利用工程はスイッチ部704・705・706のそれぞれのスイッチ地点から影響を受けないことを保証する。また、一定の作用点において、各スイッチ部704・705・706のスイッチ地点に影響されずに回路を稼動することを、図示した回路配置によって保証する。
【0135】
さらに、第2電位V2を、第1共同端子713と厳選された電極部との両方に供給する。なお、これらの電極部は、スイッチ部704・705・706を用いて第1スイッチ端子707・708・709を介して測定装置715の入力部714と連結している。
【0136】
図7に示したような実施形態に基づいて、第2電極113の第1電極部114と第2電極部115とを、第1スイッチ部704と第2スイッチ部705を用いて、第1スイッチ端子707・708と電気的に接続し、それによって測定装置715と連結する。
【0137】
すなわち、第1電極部114と第2電極部115とに発生した電流を、第2電極113から測定し、スイッチ部704・705を介して測定装置715に入力する。
【0138】
図8aに示しているように、測定装置の出力部803を、出力電圧Voutを測定できる外部端子804と、スイッチ選択ユニット801の入力部802との両方と連結することによって、スイッチ選択ユニット801をその入力部802を介して測定装置715に連結する。
【0139】
測定装置715には、演算増幅器806と電気抵抗807とを有する電流電圧コンバーター805が備えられている。
【0140】
演算増幅器806の非反転入力部808を、第2電源718と電気的に接続する。
【0141】
さらに、演算増幅器806の出力部809を、電気抵抗807を介して、演算増幅器806の反転入力部810および第1共同端子713と電気的に接続する。
【0142】
コンパレーターを用いて様々な値の領域を事前に決定するように、スイッチ選択ユニット801を設定する。スイッチ部704・705・706をそれぞれの出力信号を用いて制御できるように、スイッチ部704・705・706とスイッチ選択ユニット801の出力部811・812・813とを連結する。また、図8において、出力電圧Voutに応じて、スイッチ部704・705・706は、点線814・815・816を用いて以下のことを示しているように、スイッチ選択ユニット801を設定する。すなわち、スイッチ部704・705・706を、第1スイッチ地点または第2スイッチ地点にそれぞれ接続でき、また、制御信号(すなわちスイッチ選択ユニット801の適切な出力部811・812・813に位置する出力信号)に基づいて、変化した制御信号が供給されるまで、スイッチ704・705・706をそのスイッチ地点にそれぞれとどめる。
【0143】
スイッチ選択ユニット801は、例えばn個の選択素子817を有し、この数nは選択可能な電極部の数に相当する。
【0144】
各選択素子817は、それぞれ図8bに示した構成を有している。
【0145】
各選択素子817の演算増幅器819の反転入力部818に、出力電圧Voutを印加する。また、演算増幅器819の非反転入力部820に、各選択素子817に関してそれぞれ特に事前に決定された基準コンパレーター電圧Vrefを印加する。これについては、図8bに電源821によって表されている。
【0146】
演算増幅器819の出力部822を、ダイオード824の入力部823と連結する。ダイオード824の出力部825を、他の端子により接地電位と連結したコンデンサ826と連結する。
【0147】
さらに、ダイオード824の出力部825を、初期化トランジスタ828のドレイン端子827と連結する。初期化トランジスタ828のソース端子829は、接地電位に連結している。初期化トランジスタ828のゲート端子830を用いて、初期化信号を用いて選択素子817を初期化する。
【0148】
さらに、ダイオード824の出力部825を、インバータ832の入力部831と連結する。インバータ832の出力部833を、スイッチ選択ユニット801の各出力部811・812・813と連結する。
【0149】
選択素子817のゆえに、各選択素子817と連結してそれぞれ事前に設定された基準コンパレーター電圧Vrefの値を出力電圧Voutが上回ったことに基づいて、適切なスイッチが接続され、第2スイッチ地点に移される。これにより、適切な電極部は測定装置715に流れる電流とは無関係となる。
【0150】
このようにして、第2電極の電極部の任意に自由な選択は、非常に容易にフレキシブルに達成される。
【0151】
他の実施形態では、第1電極を電極部に分割し、上述した実施形態に基づいた適切な測定装置およびスイッチ選択ユニットを、第1電極の電極部と電気的に接続することが意図されている。
【0152】
本発明は還元酸化工程に限定されたものではなく、本発明の構造は大きく変化する測定信号のダイナミックレンジの要求を相補的に満たすことが意図されるどの領域においても使用できるということが、見てとれる。
【0153】
さらに、本発明は従来技術から知られているプレーナ型電極に限定されていない。
【0154】
したがって、例えばその他の実施形態において、第3電極を備えることができる。なお、還元酸化工程における還元酸化手順が、第3電極と第2電極との間において起こるように、好ましくは第1電極と第2電極またはその電極部との間に第3電極を配置する。
【0155】
このことは、第2電位V2および第1電位V1よりも大きな第3電位を、特に第3電極に供給することによって保証される。さらに、第2電極に第2電位V2を供給する。なお、第2電位V2は、第1電極に供給される第1電位V1よりも小さい。
【0156】
さらに、他の実施形態においてこれらの電極を使用できる。なお、電極間において、電極間に発生した電場のほぼ曲がっていないフィールドラインを形成できるように、これらの電極を互いに配置する。
【0157】
このことを、例えば、電極配置によって達成できる。これについては、図9から図19gに基づいて以下に詳述する。
【0158】
図9では、他の電極配置を備えるバイオセンサーチップ900を示している。
【0159】
このバイオセンサーチップ900は、第1電極901と第2電極902とを備えており、第1電極901と第2電極902とは互いに電気的に絶縁されて絶縁層903上に配置されている。
【0160】
第1電極901を第1電気的端子904と連結し、第2電極902を第2電気的端子905と連結する。
【0161】
電極901・902は直方体形の構造をしており、この際、第1電極901の第1電極面906と第2電極902の第1電極面907とを、ほぼ平行に互いに向かい合うようにして配置する。
【0162】
このことは、この実施形態では、電極901・902が、主として絶縁層903の表面508に対して垂直な側壁906・907を備えていることによって達成される。なお、側壁906・907は、第1電極901の第1電極面906および第2電極902の第1電極面907を形成するものである。
【0163】
第1電極901と第2電極902との間に電場が形成されると、互いにほぼ平行に配置された電極面906・907によって、表面906・907間においてはほとんど湾曲していないフィールドライン909を有するフィールドライン経路(Feldlinienverlauf)が生成される。
【0164】
湾曲したフィールドライン910は、第1電極901の第2電極面911と第2電極902の第2電極面912(それぞれ、電極901・902の上部表面を形成する)との間、ならびに電極901・902間に位置する周辺領域913にのみ生じている。
【0165】
電極901・902の第1電極面906・907を、バイオセンサー900を用いて検出することができる巨大分子生体高分子と連結できるプローブ分子を固定するための固定領域として形成する。
【0166】
本実施形態では、電極901・902を金によって形成する。
【0167】
電極とプローブ分子との間に共有結合が形成され、このとき、金‐硫黄‐結合を形成するための硫黄は、硫化物またはチオールの形状で存在している。
【0168】
プローブ分子としてDNAプローブ分子を用いる場合、このような硫黄官能基は、調製ヌクレオチドの一部である。なお、この部分は、自動化されたDNA合成方法の間、固着されるDNA鎖の3'末端または5'末端において、いわゆる燐アミノ化学を用いて形成される。従って、DNAプローブ分子は、その3'末端またはその5'末端に固着される。
【0169】
プローブ分子としてリガンドを使用する場合、硫黄官能基をアルキルリンカーまたはアルキレンリンカーの一末端によって形成し、その他方の末端は、リガンドの共有結合のために適切な化学的官能基、例えば、ヒドロキシル基、アセトキシ基、または、スクシニミドエステル基を備えている。
【0170】
電極(すなわち特に固定領域)を、測定を行う際に電解液914(一般的に調査される溶液)によって被覆する。
【0171】
調査される溶液914に、検出される巨大分子生体高分子(例えば事前に設定された配列を有し、電極上に固着されたDNAプローブ分子とハイブリダイズすることができる検出されるDNA鎖)が含有されている場合、DNA鎖はDNAプローブ分子とハイブリダイズする。
【0172】
調査される溶液914に、DNAプローブ分子の配列に対して相補的な配列を有するDNA鎖が含有されていない場合、調査される溶液914に属するDNA鎖は、電極901,902上のDNAプローブ分子とハイブリダイズできない。
【0173】
上述してきたように、レドックス再生利用工程が電極901・902間で始められ、それによって、マーキングされてハイブリダイズされたDNA鎖(一般的にはマーキングされ結合された巨大分子生体高分子)の数を検知する。
【0174】
図10には、本発明の他の実施形態に基づいて、他の電極配置を有するバイオセンサー1000が示されている。
【0175】
バイオセンサー1000の場合、図9に示した実施形態に基づくバイオセンサー900と同様に、絶縁層903上に形成された2つの電極901・902が備えられている。
【0176】
ただ2つの直方体形の電極を有するバイオセンサー900と異なり、図10に示すバイオセンサー1000に基づく2つの電極は、それぞれ交互に配置され、並列接続された多数の電極として、知られているインターデジタル電極配置の形状に配置されている。
【0177】
さらに、図10では、より具体的にするために、バイオセンサー1000の図に記入された概略の電気的等価回路図を示す。
【0178】
図9に示したように、電極901・902の、ほぼ平行に対向している電極面906・907間に、絶縁層903の表面908に対してほぼ湾曲していないフィールドラインが生じるので、第2キャパシタンス1004と第2コンダクタンス1005(これらは、湾曲しているフィールドライン910によって生成される。)と比較して、湾曲していないフィールドラインによって生成される第1キャパシタンス1002と第1コンダクタンス1003との割合は大きい。
【0179】
第1キャパシタンス1002および第2キャパシタンス1004、ならびに、第1コンダクタンス1003および第2コンダクタンス1005の合計から生じる全コンダクタンスにおける、第1キャパシタンス1002と第1コンダクタンス1003との部分が極めて高いと、バイオセンサー1000の状態が変化する際、つまり、調査される溶液914中のDNA鎖が、電極面906・907上の固定領域に固着したDNAプローブ分子1001とハイブリダイズする際に、バイオセンサー1000の感度が著しく高まる。
【0180】
従って、電極901・902の側面寸法が同じである場合、および、以前に行われた活性領域の寸法が同じである場合、つまり、電極面上の固定領域の面積が同じである場合、プレーナ型電極配置の場合よりも、電極901・902の間に供給された電場のフィールドラインの極めて大きな部分が、検出されるDNA鎖が調査される溶液914中に含まれているときにハイブリダイズが生じている体積中に含まれていることが明らかである。
【0181】
言い換えると、このことは、本発明による構造の一チップ面毎のキャパシタンスが、プレーナ型電極配置の場合の一チップ面毎のキャパシタンスよりも明らかに大きいことを意味している。
【0182】
さらに、ほぼ垂直の側壁を備える直方体形センサー電極を製造するためのいくつかの新たな可能性について詳述する。
【0183】
(プローブ分子を固着させることが可能な、ほぼ垂直な側壁を備える金属電極の第1製造方法)
図11aでは、知られているCMOS工程用に製造されるような、シリコン基板1100が示されている。
【0184】
シリコン基板1100上には、すでに、形成される電極のために集積回路および/または電気的端子が存在している。このシリコン基板1100上に、CVD法を用いて、不動態化層としても機能する絶縁層1101を十分な厚さ(本実施形態では500nmの厚さ)に形成する。
【0185】
絶縁層1101を、酸化シリコンSiO2または窒化シリコンSi3N4から形成することも可能である。
【0186】
上述の実施形態によるバイオセンサー1000のインターデジタル配置を、フォトリソグラフィーを用いて絶縁層1101上に限定する。
【0187】
続いて、ドライエッチング方法(例えば反応イオンエッチング(RIE))を用いて、絶縁層1101に、本実施形態では最低限約100nmの高さ1103の段1102を生成(すなわちエッチング)する。
【0188】
段1102の高さ1103は、金属電極を形成するための後続の自己整合的な工程に用いられるので、十分高くなければならない。
【0189】
また、絶縁層1101を形成するために、蒸着法またはスパッタ法を選択的に使用することも可能である。
【0190】
段1102をパターン化する際に注意すべきことは、段1102の側面が十分に傾斜しており、その結果、十分に鋭い角1105を形成することである。絶縁層1101の表面に適した段側面の角度1106は、本実施形態では少なくとも50°であるべきである。
【0191】
他の工程において、チタンから構成される厚さ約10nmの補助層1104(図11b参照)を段状の絶縁層1101に蒸着する。
【0192】
補助層1104は、タングステン、および/またはニッケルクロム、および/またはモリブデンであることも可能である。
【0193】
他の工程において形成された金属層(本実施形態では金から構成される金属層1107)は、段1102の角1105において多孔性を有して成長することが保証される。なお、このことは、他の方法工程において、段の移行面(Stufenuebergaengen)において、それぞれ1つの割れ目1108を、全面的に形成された金の層1107にエッチングできるように行われる。
【0194】
他のプロセスでは、バイオセンサー1000のために、金の層1107を形成する。
【0195】
本実施形態では、金の層は、厚さ約500nm〜2000nmである。
【0196】
金の層1107の厚さに関して、金の層1107の厚さが十分であると、その結果、金の層1107は多孔性の円柱に成長するということだけが保証されている。
【0197】
他の工程では、開口部1108を金の層1107にエッチングし、その結果、割れ目が形成される。
【0198】
開口部をウエットエッチングするために、1000mlの水H2O中に7.5gのスーパーストリップ100TM(Super Strip 100TM ドイツ、Lea Ronal 社の商標名)と20gのKCNを含有するエッチング溶液を使用する。
【0199】
金(一般的には金属)が円柱状に成長することによって、付着層1104上において蒸着が行われている間、異方性エッチング(Aetzangriff)が達成される。これにより、金の表面は約1:3の比に侵食される。
【0200】
金の層1107をエッチングすることによって、割れ目1108が、エッチング工程の持続時間に応じて形成される。
【0201】
このことは、エッチング工程の持続時間が、ベース幅、すなわち形成された金の電極1110・1111の間隔1109を決定することを意味している。
【0202】
金属電極が十分な幅を有し、形成された金の電極1110・1111の間隔1109に達した後、ウエットエッチングは終了する。
【0203】
ただし、多孔性の蒸着が行われるので、絶縁層1101の表面に対して平行な方向へは、絶縁層1101の表面に対して垂直な方向へよりも、はるかに速くエッチングが行われる。
【0204】
金の層の代わりに、例えばプラチナ、チタン、またはシルバーのような他の貴金属を使用することも可能である。なぜなら、これらの材料は、固着されたDNAプローブ分子を固定するため、または、一般的にプローブ分子を固定するために、同様に固定領域を備えることができ、もしくは、適切な材料によって被覆されることができ、蒸着の際に円柱状の成長を示すからである。
【0205】
金属電極1110・1111間に開口された割れ目1112の付着層1104を除去する必要がある場合、このことは、同様に自己整合的に、金の電極1110・1111をエッチングマスクとして使用することによって行われる。
【0206】
知られているインターデジタル電極に対して、本実施形態に基づく配置は、特に以下の利点を備えている。すなわち、角1105の上に位置する金の層1107の自己整合的な開口部によって、電極1110・1111の間隔は、製造工程の最小変位(minimale Aufloesung)に依存しない(gebunden ist)という点である。つまり、電極1110・1111の間隔1109は、非常に狭いまま保持される。
【0207】
従って、適切な金属電極を有する、図10に示した実施形態によるバイオセンサー1000が、この方法によって生じるのである。
【0208】
(プローブ分子を固着できる、ほぼ垂直な側壁を備える金属電極の第2製造方法)
図12aから図12cに示す製造方法の場合、基板1201(例えばシリコン基板ウエハー)(図12a参照)から始まり、その上に金属被膜1202が電気的端子として既に備えられている。このとき、基板1201上には、窒化シリコンSi3N4から構成されるエッチストップ層1203が既に形成されている。
【0209】
基板上には、金属層1204(本実施形態では金の層1204)を蒸着法によって形成する。
【0210】
あるいは、スパッタ法またはCVD法を、金の層1204をエッチストップ層1203上に形成するために使用することも可能である。
【0211】
一般的に、金属層1204は、形成される電極を形成するはずの金属を含んでいる。
【0212】
金の層1204上に、酸化シリコンSiO2から構成される電気的絶縁性の補助層1205を、CVD法(あるいは、蒸着法またはスパッタ法)を用いて形成する。
【0213】
フォトリソグラフィー技術を使用することによって、レジスト層1206から構成されるレジスト構造(例えば直方体形の構造)が形成され、これは、形成する電極の形状に相当している。
【0214】
多数の電極を有する、以下に記述するバイオセンサーアレイを生成することが意図される場合、フォトリソグラフィーを用いて、レジスト構造を生成する。このレジスト構造の形状は、バイオセンサーアレイを形成する、形成される電極に相当している。
【0215】
言い換えると、このことは、形成されたレジスト構造の横側の寸法が、生成されるセンサー電極の寸法に相当していることを明らかに意味している。
【0216】
レジスト層1206を形成し、そのレジスト構造を定める露光を行った後、「現像」されていない(すなわち露光されていない)領域のレジスト層が、例えば、灰化によって、あるいは、湿式化学によって除去される。
【0217】
フォトレジスト層1206によって保護されていない領域の補助層1205も、ウエットエッチング方法またはドライエッチング方法を用いて除去される。
【0218】
更なる工程では、レジスト層1206を除去した後、他の金属層1207が残りの補助層1205上に電解層として一致して形成される。それにより、残りの補助層1205の側面1208、1209は、電極材料(本実施形態では金)によって被覆される(図12b参照)。
【0219】
この形成は、CVD法またはスパッタ法またはイオン金属プラズマ方法を用いて行うことが可能である。
【0220】
最終工程(図12c参照)では、スペーサーエッチングが行われる。このとき、金属層1204・1207を集中的にオーバーエッチングすることによって、電極1210の望ましい構造が形成される。
【0221】
従って、電極1210は、金属層1204・1207のエッチング工程において、エッチングによって取り除かれていないスペーサー1211・1212と、残っている補助層1205の下に直接配置されており、エッチング工程を用いて取り除かれていない第1金属層1204の部分とを備えている。
【0222】
電極1210は、電気的端子(すなわち金属被膜1202)と電気的に接続している。
【0223】
必要に応じて、さらにエッチングすることによって(例えばプラズマまたは湿式化学的に)、酸化シリコンから構成される補助層1205を、エッチストップ層1203に対する選択度が与えられている方法を用いて除去することが可能である。
【0224】
このことは、例えば、補助層1205が酸化シリコンから構成されており、エッチストップ層1203が窒化シリコンを含んでいる場合に、保証されている。
【0225】
バイオセンサーチップ900・1000に位置する電極の壁の傾斜は、スペーサー1211・1212とエッチストップ層1203の表面1214との間の角度1213によって表され、従って、残っている補助層1205の側面の傾斜(すなわち、特に、パターン化されたレジスト層1206のレジスト側面1215・1216の傾斜)によって決定される。
【0226】
(プローブ分子を固着することができる、ほぼ垂直な側壁を備える金属電極の第3製造方法)
図13a〜図13cでは、ほぼ垂直な壁を備える電極を製造するための他の可能性を示す。
【0227】
ここでも、電極を製造するための第2例の場合に示したように、基板1301から始まり、その上に金属被膜1302が、バイオセンサーの形成する電気的端子用に既に備えられている。
【0228】
シリコンからなる基板1301上に、金属層1303を電極層として蒸着する。この際、金属層1303は、電極に使用される材料を備えており、本実施形態では金である。
【0229】
あるいは、金属層1303を蒸着させるために、金属層1303を、スパッタ法を用いて、またはCVD法を用いて、基板1301上に形成することも可能である。
【0230】
さらに、金属層1303上に、フォトレジスト層1304を形成し、フォトリソグラフィー技術を用いてパターン化する。なお、このことは、現像後に現像された領域を除去した後、形成される電極、または、一般的には形成されるバイオセンサーアレイの横の寸法に相当するレジスト構造が生じるように行う。
【0231】
フォトレジスト層1304の厚さは、生成される電極の高さにほぼ相当する。
【0232】
電極材料の反応に繋がらないプロセスガスを用いたプラズマ、特に、プロセスガスとして例えばアルゴンを用いる不活性ガスプラズマにおいてパターン化する際に、材料は、本実施形態では物理的スパッタ侵食によって侵食される。
【0233】
この場合、再析出工程において、電極材料を、金属層1303から、パターン化されたレジスト要素のほぼ垂直な側壁1305・1306にスパッタする。このレジスト要素は、現像されたレジスト構造を灰化した後も除去されず、この場所は、もはや更なるスパッタの影響にさらされることはない。
【0234】
レジスト構造上への電極材料の再析出は、レジスト構造の更なる侵食を防ぐ。
【0235】
スパッタに基づいて、レジスト構造の側壁1305・1306に、電極材料(本実施例では金)から構成される側面層1307・1308を形成する。
【0236】
側面層1307・1308は、残っているレジスト構造1306の下部に直接存在しており、除去されていない金属層1303の部分1309と電気的に接続し、さらに、金属被膜1303と電気的に接続している(図13b参照)。
【0237】
最終工程(図13c参照)では、レジスト構造1306、すなわち、側面層1307・1308および残りの金属層1309によって形成されたボリュームにおいて見出されるフォトレジストを、灰化によって、または、湿式化学によって除去する。
【0238】
結果は、図13cに示す電極構造1310であり、これは、側壁1307・1308ならびに電極構造の底を形成し、金属被膜1303と電気的に接続されている除去されていない部分1309から形成される。
【0239】
既に示した製造方法の場合での様に、形成された電極の側壁1307・1308の傾斜は、本方法では、レジスト側面1305・1306の傾斜によって決定される。
【0240】
図14a〜図14cに、基板上に垂直に突出しているシリンダー型の電極を有する本発明の他の実施形態を示す。
【0241】
酸化シリコンから構成される基板1401に対してほぼ垂直に配置されているシリンダー型の電極を有するバイオセンサー1400を製造するために、金属層1402を、望ましい電極材料(本実施形態によれば金)から構成される電極層として蒸着法を用いて形成する。
【0242】
非露光領域を除去した後、図14aに示すシリンダー型の構造1403が金属層1402上に生じるように、金属層1402上に、フォトレジスト層を形成し、これを、マスクを用いて露光する。
【0243】
シリンダー型の構造1403は、フォトレジスト円環面1404と、フォトレジスト円環面1404を同心として配置されているシリンダー型のフォトレジスト環1405とを備えている。
【0244】
フォトレジスト円環面1404とフォトレジスト環1405との間では、例えば灰化を用いてまたは湿式化学的に、フォトレジストを除去する。
【0245】
スパッタ法を使用することによって、上述の電極製造方法と関連しているように、再析出工程を用いてフォトレジスト円環面1404の周りに金属層1406を形成する。
【0246】
同様に、内部金属層1407をフォトレジスト環1405の周りに形成する(図14b参照)。
【0247】
他の工程では、パターン化されたフォトレジスト材料を、灰化を用いてまたは湿式化学的に除去する。その結果、2つのシリンダー型の電極1408・1409が形成される。
【0248】
基板1401は、最終工程において、例えば電極材料に対して選択的なプラズマエッチング工程を用いて、基板の金属被膜が露出されてシリンダー型の電極と電気的に接続するまで除去される。
【0249】
したがって、内部シリンダー型電極1408は、第1電気的端子1410と電気的に接続しており、外部シリンダー型電極1409は、第2電気的端子1411と電気的に接続している。
【0250】
シリンダー型の電極1408・1409間においてスパッタによってまだ除去されていなかった残りの金属層1402を、最終工程において、スパッタエッチング工程を用いて除去する。金属層1402をもこの様にして除去する。
【0251】
ただしこの関連では、本実施形態によっても、基板1401における電気的端子1410・1411のための金属被膜は、方法の始めに既に備えられている。
【0252】
図15は、シリンダー型の電極1501・1502が含まれているバイオセンサーアレイ1500の平面図を示している。
【0253】
各第1電極1501は、正の電位を有している。
【0254】
バイオセンサーアレイ1500の各第2電極1502は、それぞれ隣り合う第1電極1501と相関して負の電位を有している。
【0255】
電極1501・1502は、行1503と列1504とに配置されている。
【0256】
各行1503と各列1504とには、それぞれ第1電極1501と第2電極1502とが互いに配置されている。すなわち、第1電極1501のすぐ傍には、第2電極1502がそれぞれ行1503または列1504に配置されており、第2電極1502の傍には、第1電極1501がそれぞれ行1503または列1504に配置されている。
【0257】
このように、シリンダー電極1501・1502の高さ方向に、ほぼ湾曲していないフィールドラインを有する電場を、個々の電極間に生成できる、ということが保証されている。
【0258】
上記のように、電極上にはそれぞれ多数のDNAプローブ分子が固着している。
【0259】
ここで、調査される溶液(図示せず)を、バイオセンサーアレイ1500上に付与すると、DNA鎖は、電極に固着されたそれと相補的なDNAプローブ分子とハイブリダイズする。
【0260】
このようにして、上記のレドックス再生利用工程を用いて、調査される溶液中に、事前に設定された配列を有するDNA鎖が存在しているか存在していないかを、バイオセンサーアレイ1500を用いて検出することができる。
【0261】
図16は、多数の直方体形の電極1601・1602を備えるバイオセンサーアレイ1600の他の実施形態を示している。
【0262】
直方体形の電極1601・1602の配置は、図15に示され、上述されたように、シリンダー型の電極1501・1502の配置に相当している。
【0263】
図17は、本発明の他の実施形態によるバイオセンサーチップ1700の電極配置を示している。
【0264】
絶縁層903上では、第1電極901が形成されており、第1電気的端子904と電気的に接続されている。
【0265】
第2電極902は、同様に絶縁層903上に形成されており、第2電気的端子905と電気的に接続されている。
【0266】
図17に示すように、本実施形態に基づく第2電極は、既に説明された第2電極とは異なる形状をしている。
【0267】
図17から明らかなように、第1電極はプレーナ型電極であり、第2電極はT型に形成されている。
【0268】
各T型第2電極は、絶縁層903の表面1707に対してほぼ垂直に配置されている第1辺1701を有している。
【0269】
さらに、第2電極902は、第1辺1701に対して垂直に配置されている第2辺1702を有している。これらは、各第1電極901の表面1703上に少なくとも部分的に配置されている。
【0270】
図17から分かるように、複数の第1電極901と複数の第2電極902とは並列接続されている。その結果、第2電極902のT型構造に基づき、ホール1704が形成される。これは、2つの互いに並んで配置されている第2電極902、第1電極901および絶縁層903によって形成される。
【0271】
各第1および第2電極901・902は、絶縁層903を用いて相互から電気的に絶縁されている。
【0272】
第2電極902の各第2辺1702間には、各ホール1704のために開口部1705が備えられている。この開口部は十分大きいので、その結果、電解液1706をバイオセンサー1700上に付与する際に、電解液と、場合によっては調査される溶液1706(例えば電解液)に含有されているDNA鎖とは、開口部1705を介してホール1704に到達することができる。
【0273】
第1および第2電極の固定領域上には、DNAプローブ分子1709が固着されており、これらは、事前に設定された配列を有する検出されるDNA鎖とハイブリダイズすることができる。
【0274】
図17から分かるように、第1電極901と第2電極902との間に電場を供給する場合、互いに向き合っており、互いにほぼ平行に配置された、DNAプローブ分子1709を固定するための固定領域が備えられている第2電極1708および第1電極1703の表面に基づいて、ほぼ湾曲していないフィールドラインを形成する。
【0275】
図18は、本発明の他の実施形態に基づくバイオセンサー1800を示している。
【0276】
他の実施形態に基づくバイオセンサー1800は、上述され、図17に示したバイオセンサー1700にほぼ相当するが、異なる点は、第2電極902の第1辺1701の側壁に、固着されたDNAプローブ分子1709を有する固定領域が備えられておらず、第2電極902の第1辺1701の表面1801が、絶縁層903の絶縁材料または他の絶縁層によって被覆されていることである。
【0277】
それゆえ、図18に示す実施形態では、第1および第2電極901・902上の固定領域は、直接互いに向き合っている電極の表面(すなわち第2電極902の第2辺の表面1802)および第1電極901の表面1803のみである。
【0278】
図19a〜図19gに、バイオセンサー1700・1800の第1電極901と第2電極902とを製造するための各工程を示している。
【0279】
本実施形態では酸化シリコンから構成される基板としての絶縁層903に、マスク層(例えばフォトレジストから構成される)を用いて構造をエッチングし、その形状は、形成する第1電極901に相当している。
【0280】
灰化または湿式化学方法によってマスク層を除去した後、あらかじめエッチングされた構造1901(図19a参照)が一度は完全に充填されるように、望ましい電極材料から構成される層を絶縁層903上に全面的に形成する。このとき、構造1901を過剰に充填することも可能である(図19b参照)。
【0281】
次の工程では、化学機械研磨方法を用いて(図19c参照)あらかじめ形成された構造1901の外側に位置する電極材料1902(好ましくは金)を除去する。
【0282】
したがって、化学機械研磨方法の終了後、第1電極901は、絶縁層903と同じ高さに埋設されている。
【0283】
電極材料1902は、つまり、他の第2電極902間、または、第1電極901間以外に残留しないように除去されている。
【0284】
第1電極901上には、例えば窒化シリコンから構成される被覆層1903を、例えばCVD法、スパッタ法または蒸着法のような適切な被覆方法を用いて形成できる(図19d参照)。
【0285】
図19eは、並行して絶縁層903に埋設されており、金から構成される複数の第1電極1901およびその上に位置する被覆層1903を示している。
【0286】
次の工程(図19f参照)では、被覆層1903上に第2電極層1904を形成する。
【0287】
マスク工程において、第2電極間に、第2電極層1904から形成されることを意図した望ましい開口部を開く。マスク化後、望ましい開口部1905を形成し、プラズマ分離型のドライエッチング方法を用いて、第2電極層1904をエッチングする。また、望ましいホール1704を、図17または図18に示すバイオセンサー1700・1800に応じて形成する(図19g参照)。
【0288】
この関連から、被覆層1903は必ずしも必要ではないが、ホール1704を形成する場合に、第1電極901を表層エッチング(Anaetzung)から保護するためには有効である、ということが見てとれる。
【0289】
他の実施形態では、第2電極902のT型構造は次のように形成される。上述の方法により第1電極901を形成した後に、CVD法またはその他の適切な被覆方法を用いて、第1絶縁層上、または、被覆層1903が存在する場合は被覆層1903上に他の絶縁層を形成する。続いて、被覆層1903に、対応するトレンチを形成する。なお、このトレンチは、第2電極902のT型構造の第1辺1701を受け入れることに役立つものである。これらトレンチを、電極材料である金を用いて充填し、ダマスク方法(Damascene-Verfahren)にしたがって、化学機械研磨を用いて、トレンチおよび第2絶縁層の上方に形成された電極材料を除去する。なお、この除去は、T型の第2電極902の第2辺1702の高さに相当する、事前に設定された高さまで行われる。
【0290】
フォトリソグラフィーを用いて、開口部1705を第2電極902間に形成し、続いて、絶縁材料を、プラズマ分離型のドライエッチング方法を用いて、ホール1704として形成されることが意図されるボリュームから少なくとも部分的に除去する。
【0291】
さらに、上述された実施形態が電極に制限されないということを示す。なお、この電極の固定領域は金を用いて実現されているものである。あるいは、電極は、固定領域に位置する材料によって被覆されている一酸化シリコンまたは二酸化シリコンから構成されている場合もある。この材料(例えば知られているアルコキシドシラン誘導体)は、アミン残基、ヒドロキシル残基、エポキシ残基、アセトキシ残基、イソシアネート残基またはスクシニミド残基であることができる。なお、これらの残基は、固着させるべきプローブ分子(この変型では特にリガンド)との共有結合を形成できる。
【0292】
本書類では以下の刊行物を引用した:
[1]R. Hintsche他『Si技術によって製造された電極を用いるマイクロバイオセンサー, 最先端のバイオセンサー学, 基本原理(Microbiosensors Using Electrodes Made in Si-Technology, Frontiers in Biosensorics, Fundamental Aspects)』F. W. Scheller 他編集, Dirk Hauser出版, バーゼル, 267‐283ページ, 1997年
[2]M. Paeschke他「シリコンを用いて製造された微小電極アレイを使用したボルタンメトリックな多重通信路測定(Voltammetric Multichannel Measurements using Silicon Fabricated Microelectrode Arrays)」『Electroanalysis』, 7巻1号,1−8ページ、1996年
[3]R. Hintsche他『Si技術によって製造されたマイクロバイオセンサー、最先端のバイオセンサー学、基本原理(Microbiosensors using electrodes made in Si-technology, Frontiers in Biosensorics, Fundamental Aspects)』F.W. Scheller 他編集, Birkhauser出版, バーゼル,スイス,1997年
[4]P. van Gerwen「生化学センサー用のナノ規模のインターデジタル電極アレイ(Nanoscaled Interdigitated Electrode Arrays for Biochemical Sensors)」『IEEE』,ソリッドステートセンサーと作動装置に関する国際会議, シカゴ,907‐910ページ, 1997年6月16日‐19日
[5]PCT特許 WO 93/22678
[6]ドイツ公開特許 DE 19610115 A1
[7]C. Krause他「疎水化された金から構成された電極に関する界面活性剤吸着の容量性の検出(Capacitive Detection of Surfactant Adsorption on Hydrophobized Gold Electrodes)」『Langmuir』,12巻25号、6059‐6064ページ,1996年
[8]V. Mirsky他「金から構成される電極に関する蛋白質固着の容量性のモニタリング、および、一酸化アルキルチオール被膜における抗原抗体反応(Capacitive Monitoring of Protein Immobilization and Antigen-Antibody Reactions on Monomolecular Alkylthiol Films on Gold Electrodes)」『Biosensors & Bioelectronics』12巻9‐10号,977‐989ページ、1997年
【図面の簡単な説明】
【図1】 a〜cは、異なる電極配置を示す平面図であり、図1aは、本発明の第1実施形態に従って示した電極配置の略図であり、図1bは、本発明の第2実施形態従って示した電極配置の略図であり、図1cは、本発明の実施形態に従って示したインターデジタル電極配置の略図である。
【図2】 aおよびbは、電解液中における検出されるDNA鎖の存在(図2a)もしくは不在(図2b)を実証できる、2つのプレーナ型電極を示す略図である。
【図3】 従来技術によるインターデジタル電極を示す図である。
【図4】 a〜cは、レドックス再生利用工程における個々の状態を詳述する、従来技術によるバイオセンサーを示す略図である。
【図5】 レドックス再生利用工程における従来技術による回路電流の機能経路(Funktionsverlauf)を示す図である。
【図6】 aおよびbは、本発明の他の実施形態による他の電極配置を示す略図である。
【図7】 本発明の実施形態による、スイッチおよびスイッチと連結した測定装置を備えるバイオセンサーを示す図である。
【図8】 図8aは、本発明の実施形態による、測定装置および測定装置と連結したスイッチ選択ユニットを備えるバイオセンサーを示す略図である。図8bは、スイッチ選択ユニットの選択素子を示す略図である。
【図9】 本発明の実施形態によるバイオセンサーを示す図である。
【図10】 インターデジタル電極配置として配置されている2つの電極を備えるバイオセンサーを示す断面図である。
【図11】 a〜dは、本発明の実施形態に基づくバイオセンサーの製造方法における4つの方法状態のインターデジタル電極を示す断面図である。
【図12】 a〜cは、本発明の他の実施形態に基づくバイオセンサーの電極の製造方法の各プロセス間のバイオセンサーを示す断面図である。
【図13】 a〜cは、本発明の他の実施形態に基づくバイオセンサーの電極の製造方法の各プロセス間のバイオセンサーを示す断面図である。
【図14】 a〜cは、本発明の他の実施形態に基づく製造方法間の様々な時点でのバイオセンサーを示す断面図である。
【図15】 シリンダー型の電極を備える本発明の実施形態に基づくバイオセンサーアレイを示す平面図である。
【図16】 直方体型の電極を備える本発明の実施形態に基づくバイオセンサーアレイを示す平面図である。
【図17】 本発明の他の実施形態に基づくバイオセンサーを示す断面図である。
【図18】 本発明の他の実施形態に基づくバイオセンサーを示す断面図である。
【図19】 a〜gは、本発明の他の実施形態に基づく製造方法の各プロセス間のバイオセンサーを示す断面図である。
Claims (13)
- 巨大分子生体高分子と結合できるプローブ分子を固定するための固定領域を有する第1電極と、
第2電極とを備え、
第1電極および/または第2電極が、互いに電気的に絶縁された複数の電極部に分割され、
任意に選択された電極部は、互いに独立して電気的に接続することができ、それによって、選択された電極部に応じて実際の電極面積の大きさを調節することができ、
さらに、それぞれ1つのスイッチが対応する電極部と接続する電気スイッチ部を備え、
上記電気スイッチ部の各スイッチは、対応する電極部が選択された時に、該電極部を共通の接続部と電気的に接続する第1スイッチ地点と、上記対応する電極部を選択されない時に、該電極部を共通の接続部から切断すると共に、事前に設定された電位に連結する第2スイッチ地点との間で切替え可能であり、
さらに、上記の選択された電極部から送信される電気信号を測定するための測定装置を備え、
上記の測定装置の入力部は、選択された電極部と電気的に接続されており、
さらに、上記測定装置に連結され、上記測定装置によって検出される電気信号に応じて上記スイッチを制御する、スイッチ制御ユニットを備え、
上記スイッチ制御ユニットは、上記電気信号がある電極部に対応する参照値を超えた場合には、バイオセンサーの感度を下げるために共通の接続部から上記電極部が切断されるように、該電極部に接続されたスイッチを第2スイッチ位置とし、上記電気信号がある電極部に対応する参照値を下回った場合には、バイオセンサーの感度を上げるために共通の接続部に上記電極部が接続されるように、該電極部に接続されたスイッチを第1スイッチ位置とするバイオセンサー。 - 上記第2電極が、互いに電気的に絶縁された複数の電極部に分割され、
第2電極の上記電極部が互いに独立して選択され、電気的に接続可能であり、それによって、選択された電極部に応じて実際の電極面積の大きさを調節でき、
還元酸化再生利用工程が電極において実行できるように、選択されていない電極部が事前に設定された電位で接続される、請求項1に記載のバイオセンサー。 - 第3電極を備え、
上記第2電極および上記第3電極は、第1電極と異なり、上記還元酸化再生利用工程において、還元酸化手順が第2電極および第3電極において起こるように形成されている、請求項1または2に記載のバイオセンサー。 - 上記第1電極に第1電位を供給し、
上記第2電極に第2電位を供給し、
上記第3電極に第3電位を供給し、
上記の還元酸化再生利用工程の間、還元または酸化が、第2電極および第3電極においてのみ起こるように第3電位を選択する、請求項3に記載のバイオセンサー。 - 上記第3電位が第1電位よりも大きく、
上記第1電位が第2電位よりも大きい、請求項4に記載のバイオセンサー。 - 上記第1電極の固定領域が、プローブ分子を固着可能な材料によって被覆されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のバイオセンサー。
- 上記第1電極の固定領域が、ペプチドまたは蛋白質と結合可能なリガンドを固定するた めに形成されている、請求項1ないし6のいずれかに記載のバイオセンサー。
- 上記第1電極の固定領域が、DNA分子と結合可能なDNAプローブ分子を固定するために形成されている、請求項1ないし6のいずれかに記載のバイオセンサー。
- 上記第1固定領域が、次の材料−ヒドロキシル基、エポキシ基、アミン基、アセトキシ基、イソシアネート基、スクシニミドエステル基、チオール基、金、銀、プラチナ、チタン−のうちの少なくとも1つを含有する、請求項1ないし8のいずれかに記載のバイオセンサー。
- 上記の電極がインターデジタル電極配置に配置され、
上記第3電極が、第1電極と第2電極との間にそれぞれ配置されている、請求項3ないし5のいずれかに記載のバイオセンサー。 - 第1電極および第2電極および/または第3電極間に生成された電場のほぼ湾曲していないフィールドラインを、第1電極および第2電極および/または第3電極間に形成できるように、第1電極および第2電極および/または第3電極が、相互に関連して配置されている、請求項3ないし5のいずれかに記載のバイオセンサー。
- 巨大分子生体高分子と結合できるプローブ分子を固定するための固定領域を備える多数の第1電極と、
多数の第2電極と、
多数の第3電極とを備え、
上記の電極は、アレイとして配置され、
上記の還元酸化再生利用工程において、還元酸化手順が第2電極および第3電極において起こるように、上記第2電極および上記第3電極を備えている、請求項3ないし10のいずれかに記載のバイオセンサー。 - バイオセンサーを用いて巨大分子生体高分子を検知する方法であって、
巨大分子生体高分子と結合できるプローブ分子を固定するための固定領域を有する第1電極と、
第2電極とを備え、
上記第1電極および/または第2電極は、互いに電気的に絶縁された複数の電極部に分割され、
上記電極部が互いに独立して選択され、電気的に接続可能であり、それによって、選択された電極部に応じて実際の電極面積を調節でき、a)調査される溶液がバイオセンサーと接触され、上記溶液は検出される巨大分子生体高分子を含んでいる可能性があり、
b)上記の調査される溶液中に含まれる巨大分子生体高分子を、第1電極上においてプローブ分子に結合させ、結合した巨大分子生体高分子を、酵素を用いてマーキングし、
c)洗浄液を用いて上記バイオセンサーを洗浄することにより、調査される溶液を除去し、
d)上記酵素によって分解可能な分子を有する他の溶液が、バイオセンサーと接触し、
e)1つの分解可能な分子を、第1電荷を有する第1部分分子と第2電荷を有する第2部分分子とにそれぞれ分解し、
f)第1部分分子を電極の1つにおいて酸化または還元することにより、測定電流を発生させ、
g)上記の測定電流に応じて、各電極の電極部を選択して電気的に接続し、
h)上記の測定電流に応じて、巨大分子生体高分子を検知する方法。
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