JP3725435B2 - 光ファイバ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば波長1.5μm帯において波長分割多重光伝送を行なうときに用いる光ファイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報化社会の発展により、例えばインターネット等の普及による通信回線需要が増大している。それに伴い、光通信における通信容量の拡大のために、異なる波長を持つ光信号を1本の光ファイバで伝送する波長分割多重光伝送方式による通信の開発が行われており、この波長分割多重光伝送方式に適した光ファイバの開発が重要となっている。
【0003】
なお、現状では、EDF(エルビウム添加光ファイバ)を有するEDFA(エルビウム添加光ファイバ型アンプ)を用いて波長分割多重伝送を行うことが検討されている。EDFAの利得帯域は波長1.5μm帯(波長1520nm〜1620nm)の波長であり、EDFAを適用した波長分割多重伝送は、この波長を用いて波長分割多重伝送が行われる。
【0004】
上記波長分割多重伝送用の光ファイバには、EDFAによって増幅された高出力の光を入射しても非線形現象による信号光ひずみが生じにいことが要求される。そのためには、光ファイバのモードフィールド径を大きくすることが必要となる。また、波長分割多重伝送用の光ファイバは、多波長の光を伝送するために、波長分散勾配が小さい光ファイバが要求される。
【0005】
なお、モードフィールド径と波長分散勾配の最適値は伝送システムによって異なるが、近年では、一般に、波長1550nmにおける20mmφでの曲げ損失が4dB/m以下、同波長におけるモードフィールド径が8μm以上、同波長における分散勾配が0.05ps/nm・km程度であることが要求されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記モードフィールド径の増大と波長分散勾配の低減は相反することであり、屈折率プロファイルの一部を調整して、曲げ損失を維持しつつ、モードフィールド径を大きくしようとすると、波長分散勾配は増大する。また、波長分散勾配を小さくしようとすると、モードフィールド径も小さくなってしまい、特性が安定した光ファイバを得ることができなかった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、例えば使用波長域において、モードフィールド径の拡大と使用波長域における波長分散勾配の低減とを両立することができ、しかも、ケーブル化したときの曲げ損失も小さくできる特性が安定した光ファイバを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、発明は、センタコアの外周側を第1サイドコアで覆い、該第1サイドコアの外周側を第2サイドコアで覆い、該第2サイドコアの外周側をクラッドで覆って形成される光ファイバであって、前記センタコアの最大屈折率の前記クラッドに対する比屈折率差をΔ1としたとき0<Δ1と成し、前記第1サイドコアの最小屈折率の前記クラッドに対する比屈折率差をΔ2、前記第2サイドコアの最大屈折率の前記クラッドに対する比屈折率差をΔ3としたとき、Δ1>Δ3>Δ2の関係を持ち、前記センタコアの最大屈折率の前記クラッドに対する比屈折率差Δ1が0.7%以下0.4%以上であり、前記第1サイドコアの最小屈折率のクラッドに対する比屈折率差Δ2が−0.30%以上−0.05%以下であり、前記第2サイドコアの最大屈折率のクラッドに対する比屈折率差Δ3が0.2%以上であり、前記センタコアの直径a1と前記第1サイドコアの直径bとの比a1/bが0.4以上0.7以下であり、前記第2サイドコアの直径cと前記第1サイドコアの直径bとの比c/bが1.6以下であり、前記センタコアの前記クラッドに対する比屈折率差を高さに見立てて立体の断面とみた場合の屈折率体積、すなわち、当該屈折率差をセンタコアの全面積で積分した値が15.0〜17.0%・μmであり、波長1550nmにおける20mmφでの曲げ損失を4dB/m以下、同波長におけるモードフィールド径を8μm以上、同波長における分散勾配を0.05ps/nm・km以下とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0010】
なお、本明細書において、センタコアの最大屈折率をn1、前記第1サイドコアの最小屈折率をn2、前記第2サイドコアの最大屈折率をn3、前記クラッドの屈折率をncとして、上記各比屈折率差Δ1、Δ2、Δ3を、以下の式(1)〜(3)により定義している。
【0011】
Δ1={(n1−nc)/2nc}×100・・・・・(1)
【0012】
Δ2={(n2−nc)/2nc}×100・・・・・(2)
【0013】
Δ3={(n3−nc)/2nc}×100・・・・・(3)
【0014】
上記構成の本発明の光ファイバは、比屈折率差Δ1、Δ2、Δ3の関係を、Δ1>Δ3>Δ2としており、例えば図1に示す屈折率プロファイルを有している。なお、同図において、符号1はセンタコア、符号2は第1サイドコア、符号3は第サイドコア、5はクラッドをそれぞれ示す。
【0015】
本発明者は、図1に示すような屈折率プロファイルを有する光ファイバにおいて、各比屈折率差Δ1、Δ2、Δ3および、各コア径の値を適切にすることにより、本発明の目的とする特性、すなわち、曲げ損失を小さく維持しながら、モードフィールド径の拡大と使用波長域における波長分散勾配の低減とを両立できることを見いだした。
【0016】
ただし、図1に示す屈折率プロファイルについて、より詳細に検討すると、センタコア1の屈折率プロファイル形状によって特性が大きく異なり、センタコア1の屈折率プロファイル形状が、例えば図2の(a)に示すように、三角形に近い場合は波長分散勾配が大きくなる傾向があり、同図の(b)に示すように、矩形に近い場合はモードフィールド径が小さくなる傾向があることが分かった。
【0017】
そして、センタコア1の屈折率プロファイル形状が三角形に近い場合は、前記比屈折率差Δ1を大きくすることにより波長分散勾配を小さくでき(適正値にでき)、矩形に近い場合は比屈折率差Δ1を小さくすることによりモードフィールド径を大きくできる(適正値にできる)が分かった。
【0018】
つまり、センタコア1の屈折率プロファイル形状が矩形に近く、かつ、比屈折率差Δ1が大きいと、センタコア1内に光のパワーが集中し、その結果モードフィールド径が小さくなるので、比屈折率差Δ1を小さくすることにより光のパワーの集中を抑制し、モードフィールド径を大きくできる。
【0019】
また、センタコア1の屈折率プロファイル形状が三角形に近づくと、センタコア1の外に光パワーが漏れる量が多くなる。このため、第2サイドコア3側に光パワーが引っ張られ、モードフィールド径が大きくなるが、その分、波長分散勾配や曲げ損失が大きくなる。
【0020】
そこで、センタコア1の屈折率プロファイル形状が三角形に近い場合は、比屈折率差Δ1を大きくしてセンタコア1の外側に漏れる光を少なくすることで、曲げ損失を維持しつつ、モードフィールド径も適正値より小さくならないようにすることができる。
【0021】
また、屈折率プロファイルは、比屈折率差を「高さ」に見立てて立体の断面と見ることができるので、本発明者は、センタコアの屈折率体積分布、すなわち、センタコアのクラッドに対する比屈折率差をセンタコアの全面積で積分した積分値を適切な値にすることによって、モードフィールド径と波長分散勾配の両方を、伝送システム側から要求される値にできると考えた。そして、様々な検討を行ったところ、センタコアのクラッドに対する比屈折率差を積分した値(センタコアの屈折率体積値)の適切な値は、15.0〜17.0%・μm であることが分かった。
【0022】
本発明は、上記検討に基づいて成されたものであり、センタコアのクラッドに対する比屈折率差をセンタコアの全面積において積分した値を、15.0〜17.0%・μm としているので、曲げ損失を小さくしながらモードフィールド径と波長分散勾配の両方を、伝送システム側から要求されている値にすることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明に係る光ファイバの第1実施形態例の屈折率プロファイル(屈折率分布構造)が示されている。
【0024】
同図に示すように、本実施形態例の光ファイバは、センタコア1の外周側を第1サイドコア2で覆い、該第1サイドコア2の外周側を第2サイドコア3で覆い、該第2サイドコア3の外周側をクラッド5で覆って形成されている。また、前記センタコア1の最大屈折率をn1、前記第1サイドコア2の最小屈折率をn2、前記第2サイドコア3の最大屈折率をn3、前記クラッド5の屈折率をncとしたとき、n1>n3>nc>n2と成している。
【0025】
そして、本実施形態例は、センタコア1の最大屈折率n1のクラッド5に対する比屈折率差をΔ1としたとき0<Δ1と成し、前記第1サイドコア2の最小屈折率n2のクラッド5に対する比屈折率差をΔ2、前記第2サイドコア3の最大屈折率n3のクラッド5に対する比屈折率差をΔ3としたとき、Δ1>Δ3>Δ2の関係を有している。
【0026】
本実施形態例の特徴的な構成は、センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差を積分した値を15.0〜17.0%・μmとしたことである。なお、本実施形態例において、センタコア1の屈折率プロファイルはα乗プロファイルである(屈折率形状が、コアの中心部を中心としたy=−xαの曲線形状を呈している)。
そこでセンタコア1の全面積を積分範囲として、センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差の積分値を求めた。
【0027】
なお、図1のようなΔ1>Δ3>0>Δ2の構造では、中心部のΔ>0の領域をセンタコアと定義し、それ以外の構造では屈折率プロファイルの変曲点、つまり、中心部から外側に向かってプロファイルをたどったときに、上に凸から下に凸になる点の内側をセンタコア領域と定義する。
【0029】
また、本実施形態例の光ファイバは、センタコア1の最大屈折率のクラッド5に対する比屈折率差Δ1を0.4%以上0.7%以下(0.4%≦Δ1≦0.7%)とし、前記第1サイドコア2の最小屈折率のクラッド5に対する比屈折率差Δ2を−0.30%以上−0.05%以下(−0.30%≦Δ2≦−0.05%)とし、前記第2サイドコア3の最大屈折率のクラッド5に対する比屈折率差Δ3を0.2%以上としている。
【0030】
なお、本実施形態例において、前記センタコア1の最大屈折率のクラッド5に対する比屈折率差Δ1を0.42%以上0.62%以下(0.42%≦Δ1≦0.62%)とし、前記第1サイドコア2の最小屈折率のクラッド5に対する比屈折率差Δ2を−0.25%以上−0.05%以下(−0.25%≦Δ2≦−0.05%)とすることが望ましい。
【0031】
また、本実施形態例において、センタコア1の直径1と第1サイドコア2の直径との比(1/)は0.4以上0.7以下、第2サイドコア3の直径と第1サイドコア2の直径との比()は1.6以下と成している。なお、第2サイドコア3の直径と第1サイドコア2の直径bとの比()は1.5以下であることが望ましい。
【0032】
また、本実施形態例の光ファイバにおいて、光ファイバを形成する組成等は特に限定されるものではないが、例えば、上記屈折率プロファイルを有する光ファイバとするために、センタコア1と第2サイドコア3にはGeOをドープし、第1サイドコア2にはFをドープしている。なお、第2サイドコア3にドープされる添加物は、GeOに限らず、SiOの屈折率を上昇させる添加物、例えばAlなどであってもよい。
【0033】
前記センタコア1にドープされているGeOの光ファイバ径方向の濃度分布は、センタコア1の中心部に極大部を有しており、また、第2サイドコア3にドープされているGeOの光ファイバ径方向の濃度分布も第2サイドコア3の径方向中心部に極大部を有している。なお、センタコア1の中心部以外にGeOの光ファイバ径方向の濃度分布の極大部を有していてもよい。
【0034】
本実施形態例は、各比屈折率差Δ1、Δ2、Δ3および、センタコア1と第1サイドコア2と第2サイドコア3のコア径の比を上記のように特定し、さらに、センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差を積分した値を15.0〜17.0%・μm とすることにより、使用波長域としての波長1.55μm帯におけるモードフィールド径の拡大と使用波長域における波長分散勾配の低減とを両立できるようにした。
【0035】
また、本実施形態例の光ファイバは、使用波長域において、曲げによる損失が小さく、ケーブル化した際に良好な特性を得ることができるものである。
【0036】
本実施形態例の光ファイバは、具体的には、波長1550nmにおけるモードフィールド径を8μm以上とし、かつ、波長1530nm〜波長1560nmにおける分散勾配を0.05ps/nm・km以下としており、さらに、同波長帯における分散の絶対値(単位ps/nm・km)を2以上12以下として使用波長帯において零分散にならないようにしている。
【0037】
なお、本発明者は、本発明の構成を決定するにあたり、様々な屈折率プロファイルの光ファイバを試作又はシミュレーションし、その特性を求めた。その結果、前記比屈折率差Δ1が0.4%未満の場合、実効コア断面積の拡大および波長分散の低勾配化は実現できるものの、光ファイバの曲げ損失が大きくなる傾向にあり、ケーブル化したときに良好な特性を維持することが困難であることが分かった。
【0038】
一方、比屈折率差Δ1が0.7%を越えると、波長分散勾配が大きくなり、波長分散偏差が前記階段型屈折率プロファイルの光ファイバよりも大きくなったり、実効コア断面積が階段型屈折率プロファイルの光ファイバ程度になってしまうことが分かった。そこで、前記の如く、比屈折率差Δ1を0.4%以上0.7%以下とした。
【0039】
また、比屈折率差Δ1は、上記範囲内で適宜設定されるものであるが、本実施形態例では、センタコア1の屈折率プロファイルがα乗プロファイルであるので、表1に示すように、α、比屈折率差Δ1、センタコア1のコア径aを変えてセンタコア1のクラッド5に対する比屈折率差を積分した値を様々に変え、モードフィールド径と波長分散勾配を検討した。
【0040】
【表1】
Figure 0003725435
【0041】
なお、表1において、体積はセンタコア1のクラッド5に対する比屈折率差をセンタコア1の全面積で積分した値を示しており、MFDは波長1550nmにおけるモードフィールド径、分散勾配は波長1550nmにおける波長分散勾配、曲げ損失は波長1550nmにおける20mmφでの値をそれぞれ示している。また、合否は、波長分割多重伝送システム側からの要求を満たす場合を○で表し、要求を満たさない場合を×で表した。
【0042】
そして、表1に示すように、上記センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差を積分した値を15.0〜17.0%・μm とすることにより、モードフィールド径と波長分散勾配の両方を、伝送システム側から要求されている値にできることが分かったので、本実施形態例では、センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差を積分した値を15.0〜17.0%・μm とすることにした。
【0043】
なお、上記センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差を積分した値を15.5〜16.5%・μm とすることが特に好ましい。
【0044】
また、比屈折率差Δ2を−0.30%未満とすると、波長分散勾配が小さくなるものの、実効コア断面積も小さくなってしまい、比屈折率差Δ2を−0.05%より大きくすると、実効コア断面積が大きくなるものの、波長分散勾配が従来の階段型屈折率プロファイル光ファイバと同程度に大きくなってしまうので、本実施形態例では、前記の如く、比屈折率差Δ2を、−0.30%≦Δ2≦−0.05%とした。
【0045】
さらに、上記屈折率プロファイルの光ファイバにおいて、センタコア1の直径1と第1サイドコア2の直径との比(1/)が小さくなるに従い、波長1450nm〜1650nmの波長域で低い曲げ損失を得難くなる傾向があり、また、実効遮断波長が長波長化して光ファイバをシングルモード動作させることが難しくなる傾向がある。そして、前記比(1/)が0.4未満のときには、波長1450nm〜1650nmの波長域における曲げ損失の増大が顕著になり、ケーブルに適さない。
【0046】
一方、前記比(1/)が0.7より大きくなると、波長分散を低分散の値とすることが困難となり、波長1450nm〜1650nmの波長域における波長分割多重光伝送に適さなくなる。そこで、本実施形態例では、前記の如く、前記比(1/)を0.4以上0.7以下とした。
【0047】
また、第2サイドコア3の径が大きくなり、第2サイドコア3の直径と第1サイドコア2の直径との比()が1.6を越えると、実効遮断波長が長波長化してしまいシングルモード動作しなくなってしまうことから、本実施形態例では、前記比()は1.6以下とした。
【0048】
本実施形態例は、上記検討に基づいて、各比屈折率差Δ1、Δ2、Δ3および、センタコア1と第1サイドコア2と第2サイドコア3のコア径の比を上記のように特定し、さらに、センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差を積分した値を15.0〜17.0%・μm としたものであるから、モードフィールド径の拡大と使用波長域における波長分散勾配の低減とを両立して、非線形現象による信号光歪みと分散による信号光歪みを共に抑制し、さらに、使用波長帯において、曲げによる損失が小さく、ケーブル化した際に良好な特性を得ることができる。
【0049】
なお、図3、図4には、それぞれ、センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差を積分した値を体積として横軸に取り、この体積値を変化させたときのモードフィールド径と分散波長勾配の値が示されている。これらの図は、センタコア1のプロファイルの係数αを4とし、曲げ損失を4dB/mとして求めたものである。
【0050】
これらの図および表1により、センタコア1のクラッド5に対する比屈折率差を積分した値を15.0〜17.0%・μm とすることにより、本実施形態例の光ファイバは、モードフィールド径の拡大と使用波長域における波長分散勾配の低減とを両立して、非線形現象による信号光歪みと分散による信号光歪みを共に抑制し、さらに、使用波長帯において、曲げによる損失が小さく、ケーブル化した際に良好な特性を得ることができることを確認できた。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記実施形態例では、1530nm〜1560nmの波長域において零分散を有さない構成としたが、波長1450nm〜1650nmの波長域に含まれる使用波長域に零分散を有さない構成とすると、使用波長域において波長分割多重伝送を行なったときの4光波混合の発生を抑制できるために、より広帯域の波長分割多重伝送に適した光ファイバとすることができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の光ファイバによれば、各比屈折率差Δ1、Δ2、Δ3の大小関係を決定し、かつ、センタコアのクラッドに対する比屈折率差を積分した値、つまり、センタコアのクラッドに対する比屈折率差を高さに見立てて立体の断面とみた場合の屈折率体積、すなわち、当該屈折率差をセンタコアの全面積で積分した値を15.0〜17.0%・μm とすることにより、使用波長域におけるモードフィールド径の拡大と使用波長域における波長分散勾配の低減とを両立することができ、しかも、ケーブル化したときの曲げや側圧による損失増加を低減することができる。
【0053】
また、本発明において、波長1550nmにおける20mmφでの曲げ損失を4dB/m以下、同波長におけるモードフィールド径を8μm以上、同波長における分散勾配を0.05ps/nm・km以下としたので、現在、波長分割多重伝送用に主に用いられているEDFAの利得の中心波長における各特性を伝送システム側から要求されている値にすることにより、現状の波長分割多重伝送における高品質の信号光伝送を可能にする、優れた光ファイバとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバの一実施形態例の光ファイバ径方向に対する屈折率分布(横断面上の屈折率分布)を示す要部構成図である。
【図2】センタコアの光ファイバ径方向に対する屈折率分布(横断面上の屈折率分布)形態例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る光ファイバの一実施形態例におけるセンタコアの比屈折率差の積分値とモードフィールド径との関係を示すグラフである。
【図4】本発明に係る光ファイバの一実施形態例におけるセンタコアの比屈折率差の積分値と波長分散勾配との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 センタコア
2 第1サイドコア
3 第2サイドコア
5 クラッド

Claims (1)

  1. センタコアの外周側を第1サイドコアで覆い、該第1サイドコアの外周側を第2サイドコアで覆い、該第2サイドコアの外周側をクラッドで覆って形成される光ファイバであって、前記センタコアの最大屈折率の前記クラッドに対する比屈折率差をΔ1としたとき0<Δ1と成し、前記第1サイドコアの最小屈折率の前記クラッドに対する比屈折率差をΔ2、前記第2サイドコアの最大屈折率の前記クラッドに対する比屈折率差をΔ3としたとき、Δ1>Δ3>Δ2の関係を持ち、
    前記センタコアの最大屈折率の前記クラッドに対する比屈折率差Δ1が0.7%以下0.4%以上であり、前記第1サイドコアの最小屈折率のクラッドに対する比屈折率差Δ2が−0.30%以上−0.05%以下であり、前記第2サイドコアの最大屈折率のクラッドに対する比屈折率差Δ3が0.2%以上であり、
    前記センタコアの直径a1と前記第1サイドコアの直径bとの比a1/bが0.4以上0.7以下であり、前記第2サイドコアの直径cと前記第1サイドコアの直径bとの比c/bが1.6以下であり、
    前記センタコアの前記クラッドに対する比屈折率差を高さに見立てて立体の断面とみた場合の屈折率体積、すなわち、当該屈折率差をセンタコアの全面積で積分した値が15.0〜17.0%・μmであり、
    波長1550nmにおける20mmφでの曲げ損失を4dB/m以下、同波長におけるモードフィールド径を8μm以上、同波長における分散勾配を0.05ps/nm・km以下としたことを特徴とする光ファイバ。
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