JP3722649B2 - 3レベルインバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力された3レベルの直流電圧をスイッチングにより交流電圧に変換する3レベルインバータの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の3レベルインバータの1相分の構成を示したブロック図である。この3レベルインバータは、P,C,Nの各直流電圧が与えられるケーブルPC,CC,NCと、ケーブルPCに正極が、ケーブルCCに負極がそれぞれ接続された平滑コンデンサCP1と、ケーブルCCに正極が、ケーブルNCに負極がそれぞれ接続された平滑コンデンサCN1と、ケーブルPC,NC間に直列接続された放電抵抗DISR及び放電用スイッチDISSと、ケーブルPC,NC間に直列接続されたスイッチング素子V1,V2,V3,V4とを備えている。
【0003】
この3レベルインバータは、また、スイッチング素子V1,V2間にカソードが、ケーブルCCにアノードが接続された中間電圧クランプダイオードDP1と、スイッチング素子V3,V4間にアノードが、ケーブルCCにカソードが接続された中間電圧クランプダイオードDN1と、ケーブルPCに流れる電流を検出する電流センサCT1と、ケーブルNCに流れる電流を検出する電流センサCT2と、スイッチング素子V2,V3間に設けられた出力端子Oから1相分の交流電圧を出力すべく、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオン/オフ制御し、電流センサCT1,CT2が短絡電流を検出したときは、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする制御部1とを備えている。スイッチング素子V1,V2,V3,V4及び中間電圧クランプダイオードDP1,DN1は各相毎に備えている。
【0004】
このような構成の3レベルインバータの1相分は、制御部1のオン/オフ制御により、スイッチング素子V1,V2,V3,V4は、例えば図8に示すようなスイッチングパターンでスイッチングを行う。即ち、スイッチング素子V1,V2,V3,V4の内、必ず2つがオン、残りがオフとなる。
しかし、制御不調又はミス・ゲートによって、同時に3つ以上のスイッチング素子がオンになったとき、図6(a)(b)(c)の矢符に示すような短絡電流が流れる。
電流センサCT1,CT2が、このような短絡電流を検出したときは、制御部1が、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにし保護を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、平滑コンデンサCP1,CN1及びスイッチング素子V1,V2,V3,V4間のインダクタンスが大きいと、スイッチング素子V1,V2,V3,V4のターン・オフ時のサージ電圧が過大となり、素子破損にいたったり、スイッチングロスが増加して変換効率が悪くなる場合がある。その為、平滑コンデンサCP1,CN1及びスイッチング素子V1,V2,V3,V4間を可能な限り短くしたり、ケーブルPC,CC,NCを積層するなどにより、インダクタンスが減少するように、回路を構成しており、電流センサCT1,CT2を取り付けるのが困難になっている。
【0006】
また、平滑コンデンサCP1,CN1のリップル電流が常に流れている為、電流センサCT1,CT2が過熱し易い等の発熱の問題もある。
また、スイッチング素子V1,V2,V3,V4として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )素子を使用した場合、短絡電流発生後、約10μsec以内にゲート遮断を行わないと、素子を保護することが出来ない。その為、短絡電流は10μsec以内に検出する必要があるが、電流センサには、通常、電流応答(di/dt)に制限があり、過大な短絡電流を高速に検出処理出来ない場合がある。
【0007】
また、3レベルインバータは、一般的にその制御原理により、入力の中間電圧(C電圧)が変動する(入力のP−C間電圧とC−N間電圧とに偏差が生じる)こと、また、スイッチング素子V1,V2,V3,V4の内、必ず2つがオフしている為、この2つで入力のP−N間電圧を分担することになるが、その電圧分担が不平衡になることが問題となる。
【0008】
尚、以上と類似の問題を解決する為の技術が、特開平9−182461号公報、特開平5−176556号公報、特開平7−194137号公報及び特開平6−327262号公報等に開示されている。
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、第1発明では、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子を保護出来ると共に、3レベルインバータ特有の問題である中間電圧の変動抑制が可能な3レベルインバータを提供することを目的とする。
【0009】
第2発明では、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子を保護出来ると共に、3レベルインバータ特有の問題であるオフ期間中の2つのスイッチング素子の電圧分担の不平衡抑制が可能な3レベルインバータを提供することを目的とする。
第3発明では、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子を保護出来ると共に、3レベルインバータ特有の問題である中間電圧の変動抑制が可能な3相の3レベルインバータを提供することを目的とする。
第4発明では、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子を保護出来ると共に、3レベルインバータ特有の問題であるオフ期間中の2つのスイッチング素子の電圧分担の不平衡抑制が可能な3相の3レベルインバータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る3レベルインバータは、入力された3レベルの直流電圧を平滑する複数の平滑コンデンサと、該複数の平滑コンデンサにそれぞれ並列接続された複数の分圧回路と、該複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較する複数の比較器と、該複数の比較器の比較結果の少なくとも1つが、分圧した電圧の方が低いときに、交流電圧を作成する為に前記3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする全てのスイッチング素子をオフにする制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る3レベルインバータは、交流電圧を作成する為に、入力された3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする複数のスイッチング素子と、該複数のスイッチング素子にそれぞれ並列接続された複数の分圧回路と、該複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較する複数の比較器と、該比較器の比較結果が、分圧した電圧の方が高いときに、当該スイッチング素子がオンであるか否かを判定するそれぞれの判定回路と、該判定回路の少なくとも1つがオンであると判定したときに、前記複数のスイッチング素子をオフにする制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る3レベルインバータは、入力された3レベルの直流電圧を平滑する複数の平滑コンデンサと、該複数の平滑コンデンサにそれぞれ並列接続された複数の分圧回路と、該複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較する複数の比較器と、該複数の比較器の比較結果の少なくとも1つが、分圧した電圧の方が低いときに、3相交流電圧を作成する為に前記3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする全てのスイッチング素子をオフにする制御手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る3レベルインバータは、3相交流電圧を作成する為に、入力された3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする各相毎の複数のスイッチング素子と、該複数のスイッチング素子にそれぞれ並列接続された複数の分圧回路と、該複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較する複数の比較器と、該比較器の比較結果が、分圧した電圧の方が高いときに、当該スイッチング素子がオンであるか否かを判定するそれぞれの判定回路と、該判定回路の少なくとも1つがオンであると判定したときに、当該相の全てのスイッチング素子をオフにする制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づき説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る3レベルインバータの実施の形態1の1相分の構成を示すブロック図である。この3レベルインバータは、P,C,Nの各直流電圧が与えられるケーブルPC,CC,NCと、ケーブルPCに正極が、ケーブルCCに負極がそれぞれ接続された平滑コンデンサCP1と、ケーブルCCに正極が、ケーブルNCに負極がそれぞれ接続された平滑コンデンサCN1と、平滑コンデンサCP1に並列接続され、抵抗RP1,RP2からなる分圧回路と、平滑コンデンサCN1に並列接続され、抵抗RN1,RN2からなる分圧回路とを備えている。
【0015】
この3レベルインバータは、また、抵抗RP2の両端電圧(分圧した電圧)と所定電圧との高低を比較する比較器CMP1と、抵抗RN1の両端電圧と所定電圧との高低を比較する比較器CMN1と、ケーブルPC,NC間に直列接続されたスイッチング素子V1,V2,V3,V4と、スイッチング素子V1,V2間にカソードが、ケーブルCCにアノードが接続された中間電圧クランプダイオードDP1と、スイッチング素子V3,V4間にアノードが、ケーブルCCにカソードが接続された中間電圧クランプダイオードDN1とを備えている。
【0016】
この3レベルインバータは、また、スイッチング素子V2,V3間に設けられた出力端子Oから1相分の交流電圧を出力すべく、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオン/オフ制御し、比較器CMP1,CMN1の比較結果の少なくとも一つが、両端電圧の方が低いときは、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする制御部1aとを備えている。スイッチング素子V1,V2,V3,V4及び中間電圧クランプダイオードDP1,DN1は3相の各相毎に備えている。
【0017】
図2は、比較器CMP1,CMN1の構成例を示すブロック図である。比較器2(CMP1,CMN1)は、所定の電圧設定値VPNと分圧抵抗RP2,RN1からの電圧帰還値(分圧した電圧)とを比較し、電圧帰還値が電圧設定値VPNより低くなったときに、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする為の信号を、制御部1aへ出力する。
【0018】
このような構成の3レベルインバータの1相分は、制御部1aのオン/オフ制御により、スイッチング素子V1,V2,V3,V4は、例えば図8に示すようなスイッチングパターンでスイッチングを行う。即ち、スイッチング素子V1,V2,V3,V4の内、必ず2つがオン、残りがオフとなる。
【0019】
制御不調又はミス・ゲートによって、例えば、図6(a)の矢符に示すように、平滑コンデンサCP1の正極→スイッチング素子V1,V2,V3→ダイオードDN1→平滑コンデンサCP1の負極の経路で短絡電流が流れたとき、平滑コンデンサCP1の両端電圧が急激に低下する為、分圧抵抗RP2の帰還値(分圧した電圧)が電圧設定値VPNよりも低くなる。
その為、比較器CMP1は、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする為の信号を、制御部1aへ出力し、制御部1aは、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする。
【0020】
例えば、図6(b)の矢符に示すように、平滑コンデンサCN1の正極→ダイオードDP1→スイッチング素子V2,V3,V4→平滑コンデンサCN1の負極の経路で短絡電流が流れたとき、平滑コンデンサCN1の両端電圧が急激に低下する為、分圧抵抗RN1の帰還値(分圧した電圧)が電圧設定値VPNよりも低くなる。その為、比較器CMN1は、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする為の信号を、制御部1aへ出力し、制御部1aは、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする。
【0021】
例えば、図6(c)の矢符に示すように、平滑コンデンサCP1の正極→スイッチング素子V1,V2,V3,V4→平滑コンデンサCN1の負極の経路で短絡電流が流れたとき、平滑コンデンサCP1,CN1の両端電圧が急激に低下する為、分圧抵抗RP2,RN1の帰還値(分圧した電圧)がそれぞれ電圧設定値VPNよりも低くなる。
その為、比較器CMP1,CMN1は、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする為の信号を、制御部1aへ出力し、制御部1aは、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする。
【0022】
尚、分圧抵抗RP1,RP2,RN1,RN2は、ケーブルPC,CC間の直流電圧及びケーブルCC,NC間の直流電圧をそれぞれ安定させ、中間電圧の変動を抑制する。また、分圧抵抗RP1,RP2,RN1,RN2は、各抵抗値を小さくし、各抵抗値での消費電力を十分に取れば、平滑コンデンサCP1,CN1の放電用抵抗としても使用出来るので、放電回路を別に設ける必要がない。
スイッチング素子V1,V2,V3,V4及び中間電圧クランプダイオードDP1,DN1の動作は3相の各相共に同様である(但し、位相は互いに120°異なる)。
以上により、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子V1,V2,V3,V4を保護出来ると共に、中間電圧の変動抑制が可能となる。
【0023】
実施の形態2.
図3は、本発明に係る3レベルインバータの実施の形態2の1相分の構成を示すブロック図である。この3レベルインバータは、P,C,Nの各直流電圧が与えられるケーブルPC,CC,NCと、ケーブルPCに正極が、ケーブルCCに負極がそれぞれ接続された平滑コンデンサCP1と、ケーブルCCに正極が、ケーブルNCに負極がそれぞれ接続された平滑コンデンサCN1とを備えている。
【0024】
この3レベルインバータは、また、ケーブルPC,NC間に直列接続されたスイッチング素子V1,V2,V3,V4と、スイッチング素子V1,V2間にカソードが、ケーブルCCにアノードが接続された中間電圧クランプダイオードDP1と、スイッチング素子V3,V4間にアノードが、ケーブルCCにカソードが接続された中間電圧クランプダイオードDN1と、スイッチング素子V1に並列接続され、抵抗RV11,RV12からなる分圧回路と、スイッチング素子V2に並列接続され、抵抗RV21,RV22からなる分圧回路と、スイッチング素子V3に並列接続され、抵抗RV31,RV32からなる分圧回路と、スイッチング素子V4に並列接続され、抵抗RV41,RV42からなる分圧回路とを備えている。
【0025】
この3レベルインバータは、また、抵抗RV12の両端電圧(分圧した電圧)と所定電圧との高低を比較し、所定の判定を行う判定回路CMV1と、抵抗RV22の両端電圧と所定電圧との高低を比較し、所定の判定を行う判定回路CMV2と、抵抗RV32の両端電圧と所定電圧との高低を比較し、所定の判定を行う判定回路CMV3と、抵抗RV42の両端電圧と所定電圧との高低を比較し、所定の判定を行う判定回路CMV4とを備えている。
【0026】
この3レベルインバータは、また、スイッチング素子V2,V3間に設けられた出力端子Oから1相分の交流電圧を出力すべく、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオン/オフ制御し、判定回路CMV1〜CMV4の少なくとも1つが所定の判定結果を出力したときは、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする制御部1bとを備えている。スイッチング素子V1,V2,V3,V4、抵抗RV11,RV12,RV21,RV22,RV31,RV32,RV41,RV42、判定回路CMV1〜CMV4及び中間電圧クランプダイオードDP1,DN1は3相の各相毎に備えている。
【0027】
図4は、判定回路CMV1〜CMV4の構成例を示すブロック図である。判定回路CMV1〜CMV4は、所定の電圧設定値VV と分圧抵抗RV12,RV22,RV32,RV42からの電圧帰還値(分圧した電圧)とを比較し、電圧帰還値が電圧設定値VV より高くなったときにオン信号を出力する比較器3と、比較器3からオン信号が入力され、また、制御部1bから与えられた当該スイッチング素子V1,V2,V3,V4のオン/オフ制御信号がオン信号であるときに、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする為の信号を、制御部1bへ出力するANDゲート4を備えている。
【0028】
このような構成の3レベルインバータの1相分は、制御部1bのオン/オフ制御により、スイッチング素子V1,V2,V3,V4は、例えば図8に示すようなスイッチングパターンでスイッチングを行う。即ち、スイッチング素子V1,V2,V3,V4の内、必ず2つがオン、残りがオフとなる。
【0029】
制御不調又はミス・ゲートによって、例えば、図6(a)の矢符に示すように、平滑コンデンサCP1の正極→スイッチング素子V1,V2,V3→ダイオードDN1→平滑コンデンサCP1の負極の経路で短絡電流が流れたとき、例えば、スイッチング素子V1が一番最後にオンしたとすると、スイッチング素子V1の両端電圧が上昇する為、分圧抵抗RV12の帰還値(分圧した電圧)が電圧設定値VV よりも高くなる。
その為、判定回路CMV1は、比較器3からオン信号が入力され、また、制御部1bからオン信号が与えられたと判定し、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする為の信号を、制御部1bへ出力する。制御部1bはスイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする。
【0030】
例えば、図6(b)の矢符に示すように、平滑コンデンサCN1の正極→ダイオードDP1→スイッチング素子V2,V3,V4→平滑コンデンサCN1の負極の経路で短絡電流が流れたとき、判定回路CMV2〜CMV4の少なくとも1つが上述したように判定し、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする為の信号を、制御部1bへ出力する。制御部1bはスイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする。
【0031】
例えば、図6(c)の矢符に示すように、平滑コンデンサCP1の正極→スイッチング素子V1,V2,V3,V4→平滑コンデンサCN1の負極の経路で短絡電流が流れたとき、判定回路CMV1〜CMV4の少なくとも1つが上述したように判定し、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする為の信号を、制御部1bへ出力する。制御部1bはスイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする。
【0032】
尚、分圧抵抗RV11,RV12,RV21,RV22,RV31,RV32,RV41,RV42は、スイッチング素子V1,V2,V3,V4の内、オフしている2つのスイッチング素子の、ケーブルPC−NC間電圧の電圧分担の不平衡を抑制する。また、分圧抵抗RV11,RV12,RV21,RV22,RV31,RV32,RV41,RV42は、各抵抗値を小さくし、各抵抗値での消費電力を十分に取れば、平滑コンデンサCP1,CN1の放電用抵抗としても使用出来るので、放電回路を別に設ける必要がない。
【0033】
スイッチング素子V1,V2,V3,V4、中間電圧クランプダイオードDP1,DN1、分圧抵抗RV11,RV12,RV21,RV22,RV31,RV32,RV41,RV42及び判定回路CMV1〜CMV4の動作は3相の各相共に同様である(但し、位相は互いに120°異なる)。
以上により、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子V1,V2,V3,V4を保護出来ると共に、オフ期間中の2つのスイッチング素子の電圧分担の不平衡を抑制出来る。
【0034】
実施の形態3.
図5は、本発明に係る3レベルインバータの実施の形態3の1相分の構成を示すブロック図である。この3レベルインバータは、P,C,Nの各直流電圧が与えられるケーブルPC,CC,NCと、ケーブルPCに正極が、ケーブルCCに負極がそれぞれ接続された平滑コンデンサCP1と、ケーブルCCに正極が、ケーブルNCに負極がそれぞれ接続された平滑コンデンサCN1と、平滑コンデンサCP1に並列接続され、抵抗RP1,RP2からなる分圧回路と、平滑コンデンサCN1に並列接続され、抵抗RN1,RN2からなる分圧回路とを備えている。
【0035】
この3レベルインバータは、また、抵抗RP2の両端電圧(分圧した電圧)と所定電圧との高低を比較する比較器CMP1と、抵抗RN1の両端電圧と所定電圧との高低を比較する比較器CMN1と、ケーブルPC,NC間に直列接続されたスイッチング素子V1,V2,V3,V4と、スイッチング素子V1,V2間にカソードが、ケーブルCCにアノードが接続された中間電圧クランプダイオードDP1と、スイッチング素子V3,V4間にアノードが、ケーブルCCにカソードが接続された中間電圧クランプダイオードDN1とを備えている。
【0036】
この3レベルインバータは、また、スイッチング素子V1に並列接続され、抵抗RV11,RV12からなる分圧回路と、スイッチング素子V2に並列接続され、抵抗RV21,RV22からなる分圧回路と、スイッチング素子V3に並列接続され、抵抗RV31,RV32からなる分圧回路と、スイッチング素子V4に並列接続され、抵抗RV41,RV42からなる分圧回路とを備えている。
【0037】
この3レベルインバータは、また、抵抗RV12の両端電圧(分圧した電圧)と所定電圧との高低を比較し、所定の判定を行う判定回路CMV1と、抵抗RV22の両端電圧と所定電圧との高低を比較し、所定の判定を行う判定回路CMV2と、抵抗RV32の両端電圧と所定電圧との高低を比較し、所定の判定を行う判定回路CMV3と、抵抗RV42の両端電圧と所定電圧との高低を比較し、所定の判定を行う判定回路CMV4とを備えている。
【0038】
この3レベルインバータは、また、スイッチング素子V2,V3間に設けられた出力端子Oから1相分の交流電圧を出力すべく、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオン/オフ制御し、比較器CMP1,CMN1の比較結果の少なくとも一つが、両端電圧の方が低いとき、又は判定回路CMV1〜CMV4の少なくとも1つが所定の判定結果を出力したときは、スイッチング素子V1,V2,V3,V4をオフにする制御部1cとを備えている。スイッチング素子V1,V2,V3,V4、抵抗RV11,RV12,RV21,RV22,RV31,RV32,RV41,RV42、判定回路CMV1〜CMV4及び中間電圧クランプダイオードDP1,DN1は3相の各相毎に備えている。その他の構成は、上述した実施の形態1,2と同様であるので、説明を省略する。
【0039】
このような構成の3レベルインバータの1相分は、制御部1cのオン/オフ制御により、スイッチング素子V1,V2,V3,V4は、例えば図8に示すようなスイッチングパターンでスイッチングを行う。即ち、スイッチング素子V1,V2,V3,V4の内、必ず2つがオン、残りがオフとなる。その他の比較器CMP1,CMN1、判定回路CMV1〜CMV4及び制御部1cの動作は、上述した実施の形態1,2と同様であるので、説明を省略する。
以上により、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子V1,V2,V3,V4を保護出来ると共に、中間電圧の変動抑制が可能となり、オフ期間中の2つのスイッチング素子の電圧分担の不平衡を抑制出来る。
【0040】
【発明の効果】
第1発明に係る3レベルインバータでは、複数の分圧回路が、複数の平滑コンデンサにそれぞれ並列接続されている。複数の比較器は、複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較し、比較器の比較結果の少なくとも1つが、分圧した電圧の方が低いときに、制御手段が、全てのスイッチング素子をオフにする。
これにより、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子を保護出来ると共に、中間電圧の変動抑制が可能な3レベルインバータを実現することが出来る。
【0041】
第2発明に係る3レベルインバータでは、複数のスイッチング素子が、交流電圧を作成する為に、入力された3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする。複数の比較器は、複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較し、その比較結果が、分圧した電圧の方が高いときに、判定回路が、当該スイッチング素子がオンであるか否かを判定し、判定回路の少なくとも1つがオンであると判定したときに、制御手段が、全てのスイッチング素子をオフにする。
これにより、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子を保護出来ると共に、オフ期間中の2つのスイッチング素子の電圧分担の不平衡抑制が可能な3レベルインバータを実現することが出来る。
【0042】
第3発明に係る3レベルインバータでは、複数の分圧回路が、複数の平滑コンデンサにそれぞれ並列接続されている。複数の比較器は、複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較し、それらの比較結果の少なくとも1つが、分圧した電圧の方が低いときに、制御手段が、3相交流電圧を作成する為に3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする全てのスイッチング素子をオフにする。
これにより、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子を保護出来ると共に、中間電圧の変動抑制が可能な3相の3レベルインバータを実現することが出来る。
【0043】
第4発明に係る3レベルインバータでは、各相毎の複数のスイッチング素子が、3相交流電圧を作成する為に、入力された3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする。複数の比較器は、複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較し、その結果が、分圧の方が高いときに、判定回路が、当該スイッチング素子がオンであるか否かを判定し、判定回路の少なくとも1つがオンであると判定したときに、制御手段が、当該相の全てのスイッチング素子をオフにする。
これにより、短絡電流を高速に検出してスイッチング素子を保護出来ると共に、オフ期間中の2つのスイッチング素子の電圧分担の不平衡抑制が可能な3相の3レベルインバータを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る3レベルインバータの実施の形態1の1相分の構成を示すブロック図である。
【図2】 比較器の構成例を示すブロック図である。
【図3】 本発明に係る3レベルインバータの実施の形態2の1相分の構成を示すブロック図である。
【図4】 判定回路の構成例を示すブロック図である。
【図5】 本発明に係る3レベルインバータの実施の形態3の1相分の構成を示すブロック図である。
【図6】 3レベルインバータの短絡電流を説明する為の説明図である。
【図7】 従来の3レベルインバータの1相分の構成を示したブロック図である。
【図8】 スイッチング素子のスイッチングパターンを説明する為の説明図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c 制御部(制御手段)、CMP1,CMN1 比較器、CP1,CN1 平滑コンデンサ、CC,NC,PC ケーブル、CMV1〜CMV4 判定回路、RP1,RP2,RN1,RN2,RV11,RV12,RV21,RV22,RV31,RV32,RV41,RV42 分圧抵抗(抵抗、分圧回路)、V1〜V4 スイッチング素子。
Claims (4)
- 入力された3レベルの直流電圧を平滑する複数の平滑コンデンサと、該複数の平滑コンデンサにそれぞれ並列接続された複数の分圧回路と、該複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較する複数の比較器と、該複数の比較器の比較結果の少なくとも1つが、分圧した電圧の方が低いときに、交流電圧を作成する為に前記3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする全てのスイッチング素子をオフにする制御手段とを備えることを特徴とする3レベルインバータ。
- 交流電圧を作成する為に、入力された3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする複数のスイッチング素子と、該複数のスイッチング素子にそれぞれ並列接続された複数の分圧回路と、該複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較する複数の比較器と、該比較器の比較結果が、分圧した電圧の方が高いときに、当該スイッチング素子がオンであるか否かを判定するそれぞれの判定回路と、該判定回路の少なくとも1つがオンであると判定したときに、前記複数のスイッチング素子をオフにする制御手段とを備えることを特徴とする3レベルインバータ。
- 入力された3レベルの直流電圧を平滑する複数の平滑コンデンサと、該複数の平滑コンデンサにそれぞれ並列接続された複数の分圧回路と、該複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較する複数の比較器と、該複数の比較器の比較結果の少なくとも1つが、分圧した電圧の方が低いときに、3相交流電圧を作成する為に前記3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする全てのスイッチング素子をオフにする制御手段とを備えることを特徴とする3相の3レベルインバータ。
- 3相交流電圧を作成する為に、入力された3レベルの直流電圧をそれぞれスイッチングする各相毎の複数のスイッチング素子と、該複数のスイッチング素子にそれぞれ並列接続された複数の分圧回路と、該複数の分圧回路がそれぞれ分圧した電圧と所定電圧との高低をそれぞれ比較する複数の比較器と、該比較器の比較結果が、分圧した電圧の方が高いときに、当該スイッチング素子がオンであるか否かを判定するそれぞれの判定回路と、該判定回路の少なくとも1つがオンであると判定したときに、当該相の全てのスイッチング素子をオフにする制御手段とを備えることを特徴とする3相の3レベルインバータ。
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