JP3722470B2 - 電子透かしの埋め込み方法およびその装置、並びに、オリジナルデータの検証方法およびその装置 - Google Patents

電子透かしの埋め込み方法およびその装置、並びに、オリジナルデータの検証方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静止画像(スチル)データ、映像(ビデオ)データ、音楽(オーディオ)データ等のオリジナルデータに対して電子透かしを埋め込む方法および装置、並びに、電子透かしが埋め込まれたオリジナルデータが改竄されたかを検証する方法および装置に関する。特に、医療画像データ、裁判における証拠となる画像データ等のオリジナルデータが改竄されたことを容易に検証し得る電子透かしの埋め込み方法及び装置、並びに、オリジナルデータの検証方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像データ、音楽データ等のディジタルデータに対して、オリジナルデータの改竄、コピー等を防止するために、電子透かしが設けられるようになっている。オリジナルデータに対する電子透かしは、強固な電子透かし技術と脆弱な電子透かし技術の2種類が知られている。強固な電子透かし技術では、オリジナルデータが改竄されても、電子透かしは消えない特性を有しており、電子透かしを検証することにより、オリジナルデータが利用されていることを容易に確認することができる。従って、著作権の保護に有効である。脆弱な電子透かし技術では、オリジナルデータを改竄することによって、埋め込まれた電子透かしが消滅する。従って、オリジナルデータが改竄されていないことを容易に検証することができる。
【0003】
「M.Yeung and F.Mintzer,"An invisible watermarking technique for image verification,”Proceeding of ICIP,Santa Barbara,CA,Oct.26−29,1997,vol.2,pp.680−683」には、脆弱な透かし技術の原理が提案されている。この脆弱な電子透かし技術は、同じサイズの2値透かし画像と原本画像(オリジナルデータ)とに対して、まず、透かし抽出関数を作成し、原本画像に、抽出関数にて定められた演算を、画素単位で行うようになっている。
【0004】
この場合、乱数を鍵として、多値入力、2値出力のLUT(Look Up Table)を発生させる。次に、抽出関数の出力を、LUTに通して2値化する。2値化された抽出関数の値が、埋め込む電子透かしの値と一致する場合には、原本画像の画素値は、そのままの状態とする。2値化された抽出関数の値が、埋め込む電子透かしの値と一致しない場合には、一致するまで、画素値を繰り返して変更して調節する。これにより、電子透かし入り画像が完成する。
【0005】
電子透かしを抽出する場合には、電子透かし入りの画像に対して抽出関数に基づいて演算し、演算結果をLUTでマッピングして2値化画像を得る。得られた2値化画像を検査すれば、その画像が改竄されているかを検証することができる。
【0006】
「P.W.Wong, "A public key watermark for image verification and authentication," Proceedings of ICIP, 1998,Chicago, pp.455-459.」には、脆弱な電子透かし技術が提案されている。この電子透かし技術は、グレースケール原本画像と2値透かし画像とに対して、まず、原本画像と透かし画像とを、n×n(例えば8×8)画素の一定サイズのブロックに分割して、画素値の最下位ビットをゼロにする。次いで、残った上位ビットと画像サイズ等のパラメータに基づいて、hash関数を使用して、画像数列が反映される値を演算する。演算された値のビット列から、順番に、1ブロックの画素数n×n個のビットを切り出し、切り出されたビット列と対応する電子透かし画像との排他的論理和演算を行う。さらに、その演算結果を公開鍵暗号システム(例えば、RSA)の秘密鍵を使って暗号化する。最後に、その演算結果を原本画像の最下位ビットに書きこむことによって、電子透かしが形成される。
【0007】
電子透かしの抽出は、電子透かしを埋め込む場合と同様に、ブロック単位で行う。この場合には、まず、同じhasa関数にて、透かし入り画像の最下位以外のビット、画像サイズ等の数列を演算して、順番に、n×n個のビットを切り出す。次に最下位のビット列を公開鍵によって符号化し、符号化されたビット列と切り出したビット列の排他的論理和演算を行う。この論理演算結果により電子透かしが抽出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
Yeungらの脆弱な透かし技術では、乱数によって生成されたLUTを使用して、画素値の調節することにより、2値透かし画像を生成しているために、LUTの内容によっては、透かし入り画像の画質が低下するおそれがある。また、電子透かしを自動認証するためには、電子透かし画像が必要であるという問題がある。さらに、この電子透かし技術は、圧縮画像フォーマットおよび音声等の他のディジタルデータには適用することができないという問題もある。
【0009】
Wongらの脆弱な電子透かし技術では、画素値の変化が小さな平坦な画像部分における最下位ビットに電子透かしを埋め込むようになっているために、白黒の文章画像のように、階調の少ない画像に適用すると、電子透かしが容易に認識される。このために、電子透かしを偽造する際の手がかりを与えて、容易に偽造されるというおそれがある。また、電子透かしを自動認証するためには、電子透かし画像が必要であり、さらには、圧縮画像フォーマットおよび音声等の他のディジタルデータには適用することができないという問題もある。
【0010】
特開平9−191394号公報、特開平10−308867号公報、特開平10−145757号公報、特開2000−23643号公報には、強固な透かし技術が開示されている。これらの公報に開示された強固な透かし技術は、偽造が容易ではなく、画質に悪影響を与えるおそれはない。しかしながら、埋め込まれた電子透かしは、オリジナルデータが改竄されても消滅しないために、オリジナルデータが改竄されていることを検証することは容易でないという問題がある。また、埋め込まれた電子透かしを認証するためには、特定の電子透かしを利用して認証することができないために、演算量が多くなるという問題がある。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、埋め込まれる電子透かしによって画像の画質に影響を与えるおそれがなく、しかも、偽造が容易でなく、画像を圧縮/伸長処理する場合にも適用することができる電子透かしの埋め込み方法および装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、電子透かしが埋め込まれたディジタルデータが改竄されているかを容易に検証することができるディジタルデータの検証方法および装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子透かしの埋め込み方法は、ディジタルデータであるオリジナルデータをデータ変換するデータ変換工程と、次いで、乱数シードを用いて平均値が0になるように生成された擬似乱数を透かし数列とし、該透かし数列の各数値であるデータを、前記データ変換工程にてデータ変換された変換データに対して順次、該変換データの関数で示される埋め込み強度で埋め込んで順番に透かし入りデータとする際に、得られた透かし入りデータと予め設定された閾値と比較してその比較結果、前記透かし入りデータが前記閾値以下になっている場合に、次の透かし入りデータを得るために埋め込まれる透かし数列のデータを変更せずに繰り返し、前記透かし入りデータが前記閾値よりも大きくなっている場合に、次の透かし入りデータを得るために埋め込まれる透かし数列のデータを次のデータに変更する透かしデータ埋め込み工程と、前記乱数シードおよび閾値を、暗号化してヘッダに保存する工程と、を包含することを特徴とする。
【0014】
前記データ変換工程におけるデータ変換は、ウェーブレット変換である。
【0015】
前記オリジナルデータは、JPEGフォーマット画像データまたはMPEGフォーマット画像データであり、該JPEGフォーマット画像データまたは該MPEGフォーマット画像データは、前記データ変換工程にてデータ変換された後に量子化される。
【0016】
前記データ変換工程におけるデータ変換は、離散コサイン変換である。
【0017】
本発明の電子透かしの埋め込み装置は、ディジタルデータであるオリジナルデータをデータ変換するデータ変換手段と、乱数シードを用いて平均値が0になるように生成された擬似乱数を透かし数列とし、該透かし数列の各数値であるデータを、前記データ変換手段にてデータ変換された変換データに対して順次、該変換データの関数で示される埋め込み強度で埋め込んで順番に透かし入りデータとする際に、得られた透かし入りデータと予め設定された閾値と比較して、その比較結果、前記透かし入りデータが前記閾値以下になっている場合に、次の透かし入りデータを得るために埋め込まれる透かし数列のデータを変更せずに繰り返し、前記透かし入りデータが前記閾値よりも大きくなっている場合に、次の透かし入りデータを得るために埋め込まれる透かし数列のデータを次のデータに変更する透かしデータ埋め込み手段と、前記乱数シードおよび閾値を、暗号化して画像ヘッダに保存する手段と、を具備することを特徴とする。
【0018】
前記データ変換手段によるデータ変換は、ウェーブレット変換である。
【0019】
前記オリジナルデータは、JPEGフォーマット画像データまたはMPEGフォーマット画像データであり、該JPEGフォーマット画像データまたは該MPEGフォーマット画像データは、前記データ変換手段によってデータ変換された後に量子化される。
【0020】
前記データ変換手段によるデータ変換は、離散コサイン変換である。
【0021】
また、本発明のオリジナルデータの検証方法は、前記電子透かしの埋め込み方法によって電子透かしが埋め込まれたオリジナルデータの認証方法であって、前記ヘッダに保存された透かし数列に関する暗号化されたパラメータである乱数シードおよび閾値をオリジナルデータから分離する工程と、分離された乱数シードおよび閾値を復号化して、復号化された乱数シードに基づいて透かし数列を生成する工程と、生成された透かし数列と、前記オリジナルデータにおける透かし入りデータが復号化された閾値よりも大きくなっている場合における該透かし入りデータとの積和と、前記埋め込み強度の総和とを正規化して類似度正規化値を求め、該類似度正規化値の分布に基づいてオリジナルデータが改竄されたかを検証する検証工程と、を包含することを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明のオリジナルデータの検証装置は、前記電子透かしの埋め込み方法によって電子透かしが埋め込まれたオリジナルデータの検証装置であって、ヘッダに保存された透かし数列に関する暗号化されたパラメータである乱数シードおよび閾値をオリジナルデータから分離する手段と、分離された乱数シードおよび閾値を復号化して、復号化された乱数シードに基づいて透かし数列を生成する手段と、生成された透かし数列と、前記オリジナルデータにおける透かし入りデータが復号化された閾値よりも大きくなっている場合における該透かし入りデータとの積和と、前記埋め込み強度の総和とを正規化して類似度正規化値を求め、該類似度正規化値の分布に基づいてオリジナルデータが改竄されたかを検証する検証手段と、を具備することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明の電子透かしの埋め込み方法の実施に使用される装置の一例を示す概略構成図である。この電子透かしの埋め込み装置は、圧縮処理されないグレースケール(白黒)のディジタルの画像データ(オリジナルデータ)に対して電子透かしを埋め込むようになっており、原本画像における画像データXを所定の状態になるようにデータ変換するデータ変換手段11と、このデータ変換手段11によってデータ変換された画像データVに対して透かし数列を埋め込む透かしデータ埋め込み手段12とを有している。
【0025】
透かしデータ埋め込み手段12には、乱数列発生手段14にて発生する透かし数列Wである擬似乱数列が与えられており、透かしデータ埋め込み手段12は、データ変換手段11から出力される画像データVに対して、透かし数列Wの各数値である透かしデータが挿入される。乱数列発生手段14は、乱数シード発生手段13にて発生された初期条件としての乱数シードに基づいて擬似乱数列である透かし数列Wを生成して、生成された透かし数列Wを、透かしデータ埋め込み手段12に出力する。
【0026】
透かしデータ埋め込み手段12では、データ変換手段11によってデータ変換された画像データVに対して、乱数列発生手段14にて発生した透かし数列Wの各透かしデータを挿入する。そして、透かしデータが挿入された透かし入り画像データV’の画像ヘッダには、暗号化された乱数シード、閾値等のパラメータが保存される。透かし入り画像データV’に基づいて表示される画像は、透かし入り画像V*となる。
【0027】
データ変換手段11では、原本画像のオリジナルデータが、データ変換される。データ変換の方法は、フーリエ変換、コサイン変換等、様々な方法があるが、本実施の形態では、2種類のフィルタを使用するウェーブレット変換を採用しており、9/7(9タップと7タップ)フィルタと呼ばれるハイパスフィルタおよびローパスフィルタを使用している。使用されるハイパスフィルタおよびローパスフィルタのパラメータは、以下の通りである。
【0028】
ハイパスフィルタ:−0.064539、0.040689、0.418092、−0.788486、0.418092、0.040689、−0.064539。
【0029】
ローパスフィルタ:0.037828、−0.023849、−0.110624、0.377403、0.852699、0.377403、−0.110624、−0.023849、0.037828。
【0030】
図2は、白黒スケールの原本画像の画像データに対して3階層のウェーブレット変換処理してデータ変換することにより、周波数域を分割した結果を、2次元周波数領域によって示している。図2において、垂直周数領域および水平周波数領域は、それぞれ矢印の方向になるにつれて周波数域が高くなっている。
【0031】
原本画像の画像データは、まず、水平方向周波数成分に対してハイパスフィルタによってフィルタ処理されるとともに、垂直方向周波数成分に対してローパスフィルタによってフィルタ処理される。これにより、データサイズが1/4に縮小された周波数域画像データHL1が得られる。同様に、水平方向周波数成分に対するハイパスフィルタによるフィルタ処理と、垂直方向周波数成分に対するハイパスフィルタによるフィルタ処理とにより、周波数域画像データHH1が得られる。
【0032】
さらに、水平方向周波数成分に対するローパスフィルタによるフィルタ処理と、垂直方向周波数成分に対するハイパスフィルタによるフィルタ処理とにより、周波数域画像データLH1が得られ、水平方向周波数成分に対するローパスフィルタによるフィルタ処理と、垂直方向周波数成分に対するローパスフィルタによるフィルタ処理とにより、周波数域画像データLL1が得られる。
【0033】
このようにして、1階層のウェーブレット変換処理によって、4つの周波数域画像データHL1、HH1、LH1、LL1が得られると、最も低周波数領域の周波数域画像データLL1に対して、さらに、同様のフィルタ処理を行うことによって、データサイズがそれぞれ1/4に縮小された4つの周波数域画像データHH2、HL2、LH2、LL2が得られる。
【0034】
さらに、このような2階層のウェーブレット変換処理によって、4つの周波数域画像データHL2、HH2、LH2、LL2が得られると、最も低周波数領域の周波数域画像データLL2に対して、さらに、同様のフィルタ処理を行うことによって、データサイズがそれぞれ1/4に縮小された4つの周波数域画像データHH3、HL3、LH3、LL3が得られる。
【0035】
このような3階層のウェーブレット変換処理によって、最も低い周波数領域の周波数域画像データLL3以外の各周波数域画像データHL1、HH1、LH1、HL2、HH2、LH2、HL3、HH3、LH3が得られる。得られた周波数域画像データV(=v1,v2,…,vi,…)は、各周波数域において、最上列から下側の列にかけて順番に、しかも、各列においては、最も左側の画素から右側にかけて順番に、各画素のデータが、透かしデータ埋め込み手段12に出力される。
【0036】
図3(a)は、乱数列発生手段14の具体例として、平均値0の擬似ランダム乱数を生成させるために使用されるn段のレジスタ符号発生器を示している。透かし数列データWとなる擬似乱数列は、平均値0のランダム分布にて定められた関数、あるいは、平均値0および分散1の正規分布関数によって発生させることができるが、ここでは、平均値0の擬似ランダム乱数を生成するレジスタ符号発生器について説明する。
【0037】
図3(a)に示すレジスタ符号発生器におけるシフトレジスタの各段は、bi、bi+1、bi+2、…、bi+n-1で示されており、各段の出力に対する係数(0または1)が、a0、a1、…、an-1で示されている。このレジスタ符号発生器は、(2n−1)の周期で、0または1の数字(データ)による数列を発生させる。
【0038】
図3(b)は、レジスタ符号発生器を簡単に説明するために、4段のシフトレジスタ(n=4)によって構成されたレジスタ符号発生器を示している。このレジスタ符号発生器は、(24−1)=15周期で、0または1の数値の数列を発生する。例えば、初期条件として、乱数シード「1001」を設定すると、発生する数列は、「100110101111000100…」となり、周期が15であるために、16番目からの数字は、1番目からの数字の繰り返しになる。
【0039】
平均値を0にするためには、図3(b)に示すレジスタ符号器では、その出力に対して0.5を減算処理し、処理された値に2を乗じることにより、−1と1の数字の乱数列が得られ、平均値が0になる。このように平均値が0になる数列とすることにより、後の演算が容易になる。本実施の形態では、レジスタ符号器の出力に2を乗じて得られた−1と1との数値の乱数列を、透かし数列Wとしている。
【0040】
なお、透かし数列が容易に解読されないように、乱数シード発生手段13によって、乱数列を発生させる際の初期条件である乱数シードをランダムに生成する構成、あるいは、レジスタの各段の出力に対する係数を変更する構成等としてもよい。
【0041】
透かしデータ埋め込み手段12では、データ変換手段11から入力される各周波数域画像データV(=v1、v2、…、vi、…、vn)に対して、乱数列発生手段12にて順次発生された透かし数列Wのデータ(=w1、w2、…、wj、…、wn)が、次の(11a)式に基づいて順番に埋め込まれて、透かし入り画像データv'iとされる。
【0042】
v'i=vi+f(vi)・wj …(11a)
但し、関数fは、透かし数列データWを埋め込む際の埋め込み強度を示す実数関数である。
【0043】
この場合、得られる透かし入り画像データV’に対して実数閾値δが設定されており、i番目に得られた透かし入り画像データv'iが閾値δよりも大きくなっている場合(v'i>δ)には、次の(11b)式に示すように、次のi+1番目の透かし入り画像データv'i+1を得るために、乱数列発生手段12にてwjの次に発生した透かし数列データ +1 を埋め込む。これに対して、i番目に得られた透かし入り画像データv'iが閾値δ以下になっている場合(v'i≦δ)には、(11c)式に示すように、次のi+1番目の透かし入り画像データv'i+1を得るために、i+1番目の画像データvi+1に対して、i番目の周波数域画像データviに埋め込まれた透かし数列データwjが、繰り返して埋め込まれる。
【0044】
v'i+1=vi+1+f(vi+1)・wj+1 …(11b)
v'i+1=vi+1+f(vi+1)・wj …(11c)
透かしを埋め込む強度を示す実数関数f(vi)は、次の(12)式で表される。
【0045】
f(vi)=α|vi| …(12)
但し、α∈(−1,1)であり、αは実数である。
【0046】
この(12)式に基づいて、前記(11a)〜(11c)式は、それぞれ、次の(12a)〜(12c)とされる。
【0047】
v'i=vi+α・|vi|・wj …(12a)
但し、v'i>δ の場合
v'i+1=vi+1+α・|vi+1|・wj+1 …(12b)
v'i≦δの場合
v'i+1=vi+1+α・|vi+1|・wj …(12c)
このようにして透かし入り画像データv'iが順番に得られると、レジスタ符号発生器の乱数シード、閾値等のパラメータが、例えばSRA方法によって暗号化され、暗号化されたパラメータが、画像データのヘッダに保存される。これにより、電子透かしの埋め込みが終了する。
【0048】
なお、原本画像がカラー画像の場合には、RGBまたはYUVフォーマットによって、3つのカラー成分毎にウェーブレット変換を行って、ウェーブレット変換によって得られたRGBまたはYUVフォーマットの画像データに対して、それぞれ電子透かしを埋め込む。この場合も、透かし数列データは、白黒画像の場合と同様に、RGBまたはYUVの各カラー毎の周波数域画像データを、1つの数列と見なして、乱数列発生手段14にて発生される透かし数列の数値が、順次、埋め込まれる。
【0049】
図4は、このようにして得られる透かし入り画像の画像データが改竄されているかを証するため装置の一例を示す概略構成図である。この装置では、透かし入り画像V*が画像データ分離手段21に入力されて、検証対象画像データにおける画像ヘッダに保存された暗号化乱数シード、閾値等のパラメータが、透かし入り画像データV’から分離される。そして、透かし入り画像データ分離手段21によって分離された画像データV’は、画像データV’と電子透かしとの相関関係を計算する相関関係計算手段22に与えられる。
【0050】
他方、透かし入り画像データ分離手段21によって分離された乱数シード、閾値等の暗号化されたパラメータは、復号化手段23に与えられて、この復号化手段23によって復号化される。そして、復号化された乱数シード、閾値等のパラメータは、透かし数列生成手段24に与えられて、透かし数列生成手段24にて、透かし数列データWが生成される。透かし数列生成手段24にて生成された透かし数列データWは、相関値計算手段22に与えられる。
【0051】
相関値計算手段22は、透かし入り画像データ分離手段21によって分離された検証対象である透かし入り画像データV’と、透かし数列生成手段24にて生成された透かし数列データWとに基づいて、検証対象の画像データと電子透かしとの相関値を計算する。
【0052】
この場合、検証対象の画像データV’と、生成された透かし数列データWとの相関値として、透かし入り画像データV'(=v1,…,vi,…)と透かし数列データW(=w1,…,wj,…)との積和(類似度)σ1を、次の(21)式に基づいて演算する。但し、この場合における透かし入り画像データV'は、閾値δよりも大きなものとされ、前述の(11a)式から得られた透かし入り画像データv'iとされる。
【0053】
【数1】
Figure 0003722470
また、次の(22)式に基づいて、検証される透かし入り画像における電子透かしの埋め込み強度の総和σ2を演算する。
【0054】
【数2】
Figure 0003722470
このようにして、認証対象の透かし入り画像データの類似度σ1および電子透かしの埋め込み強度の総和σ2が得られると、それらが、相関値の正規化処理手段25に与えられて、この相関値の正規化手段25は、相関値(類似度)σ1および電子透かしの埋め込み強度の総和σ2とを、次の(23)式に基づいて正規化する。
【0055】
ψ=σ/σ …(23)
このようにして、相関値の正規化処理手段25によって、類似度正規化値ψが求められると、得られた類似度正規化値ψが原本検証手段26に与えられて、この原本検証手段26において、類似度正規化値ψに基づいて、原本画像が改竄されているかが判定される。原本検証手段26は、類似度正規化値ψが1の周辺に集中していれば、原本画像は改竄されていないものと判定し、類似度正規化値ψが0の周辺に集中していれば、原本画像が改竄されていると判定する。そして、その検証結果が、原本検証手段26から出力される。
【0056】
透かし入り画像データと電子透かしの透かし数列の類似度σ1は、前述したように、(21)式によって求められる。この場合、透かし数列Wの各データwjは既知であり、|α|<1であるために、検証対象である画像データviの絶対値|vi|は、前記(12a)式から、次の(24)式によって求めることができる。
【0057】
【数3】
Figure 0003722470
(24)式において、sign(vi)は、viの符号関数である。
【0058】
(24)式によって|vi|が求められると、(22)式の埋め込み強度の総和σ2は、次の(25)式によってを求められる。
【0059】
【数4】
Figure 0003722470
このようにして求められた電子透かしの埋め込み強度の総和σ2に基づいて、前記(23)式によって、類似度σ1を正規化する。そして、原本検証手段26は、類似度正規化値φに基づいて、検証対象画像が改竄されているかを判定する。
【0060】
この場合、図5に示すように、正規化された類似度σ1が1の周辺に集中していれば、原本画像は改竄されていないものと判定され、0の周辺に集中していれば、原本画像は改竄されていると判定される。そして、その検証結果が、原本検証手段26から出力される。
【0061】
原本画像の検証手順について、さらに具体的に説明する。なお、原本画像は、グレースケールの画像であり、埋め込まれた透かし数列の個数をN0とする。透かし入りの原本画像は、改竄されていない場合には、条件|vi|>δでは、前記(21)式から、次の(26a)式が得られる。そして、この(26a)式は、前述した(12a)式の条件から、次の(26b)式が得られる。さらに、この(26b)式において、平均値が0である1または−1の乱数列は、画像データvjとは無相関であることを利用すると、次の(26c)式が得られる。
【0062】
【数5】
Figure 0003722470
これに対して、原本画像に改竄が加えられている場合について考える。電子透かしが入れられた原本画像を逆データ変換して、白黒のグレースケールレベルとして局所的に編集した後に、データ変換して元のフォーマットに戻すことにより、電子透かし入り画像データを改竄すると、この改竄による変化は、まず、周波数域画像データHL1に現われる。この周波数域画像データHL1においては、改竄によって、例えば、N1番目のデータが、閾値δを超えた状態、あるいは閾値δを下回った状態になっていると、(21)式から、次の(27a)式が得られる。この(27a)式における第2項は、改竄によって、埋め込まれた透かしデータが、透かしデータを埋め込んだ当初の状態からずれた状態になっているために、相関関係がなく、ゼロになり、次の(27b)式が得られる。さらに、各変数の相関関係を利用することにより、(27c)式とされる。
【0063】
【数6】
Figure 0003722470
(27c)式を用いて得られる類似度σ1を、(25)式によって得られた埋め込み強度の総和σ2によって、(23)式に基づいて正規化する。この場合、N0>>N1であるために、(23)式に基づく類似度正規化値φは、1よりも小さくなる。
【0064】
透かし数列を埋め込んだ原本画像を逆データ変換し、原本画像に改竄を加えることなく、データ変換して元のフォーマットに戻す処理をしても、透かし入り画像データは、周波数の全域において、閾値δを超えたり、下回ったりすることが、かなりの頻度で発生する。その原因は、逆データ変換およびデータ変換が、高精度で実施されないことによる。実験によれば、このような場合には、改竄されていない原本画像を示す類似度正規化値φの分布は、図5に示すように、0および1の周辺に集中する。
【0065】
これに対して、図6(a)に示すように、透かし入りの原本画像に対して、悪意を持って、逆データ変換して特定の周波数域の画像データを改竄し、再び、データ変換することにより、改竄した周波数域の画像データ以外の部分を改竄しない状態としても、図6(b)に示すように、改竄された周波数域の画像データによって変化が発生する。その結果、類似度σ1は、図7に示すように、0に対して若干ずれた正の値の周辺に集中することになる。これにより、悪意を持った原本画像の改竄を検証することができる。
【0066】
検証対象画像がカラー画像の場合には、透かしを埋め込む場合と同様に、RGBまたはYUVフォーマットの周波数域データを、1つの数列と見なして、白黒画像と同様に改竄の有無を検証することができる。
【0067】
図8は、透かし入り画像を表示するために使用される装置の一例を示す概略構成図である。透かし入り画像データに基づく画像を表示する場合には、まず、透かし入り画像V*が透かし入り画像データ分離手段31に入力されて、この透かし入り画像データ分離手段31によって、画像ヘッダに保存された暗号化乱数シード、閾値等のパラメータが透かし入り画像データV’から分離される。透かし入り画像データ分離手段31によって分離された透かし入り画像データV’は、原本画像の復号化手段32に与えられるとともに、逆データ変換手段35に与えられる。そして、逆データ変換手段35によって、透かし入り画像データ分離手段31にて分離された画像データV’は、前述した3階層の周波数域毎に分割するウェーブレット変換とは逆のデータ変換である逆ウェーブレット変換が実施される。
【0068】
従って、逆データ変換手段35では、透かしを埋め込む際のデータ変換手段11と同様に、9/7(9タップと7タップ)フィルタと呼ばれるハイパスフィルタおよびローパスフィルタを使用している。使用されるハイパスフィルタおよびローパスフィルタのパラメータは、以下の通りである。
【0069】
ハイパスフィルタ:−0.037828、−0.023849、0.110624、0.377403、−0.852699、0.377403、0.110624、-0.023849、−0.037828。
【0070】
ローパスフィルタ:−0.064539、−0.040689、0.418092、0.788486、−0.418092、−0.040689、−0.064539。
【0071】
逆データ変換手段35では、低周波数域のデータに対しては、ローパスフィルタによってフィルタ処理するとともに、高周波数域のデータに対しては、ハイパスフィルタによってフィルタ処理して逆ウェーブレット変換する。すなわち、周波数域画像データLL3、HL3、HH3、LH3から、周波数域画像データLL2を得て、得られた周波数域画像データLL2と、周波数域画像データHL2、HH2、LH2とによって、周波数域画像データLL1を得る。さらに、得られた周波数域画像データLL1と、周波数域画像データHL1、HH1、LH1とによって、画像が得られる。
【0072】
逆データ変換手段35は、透かし入り画像データ分離手段31にて分離された画像データを、復号化することなく、逆ウェーブレット変換する場合と、透かし入り画像データ分離手段31にて分離された画像データを、原本画像の復号化手段32によって復号化された後に、逆ウェーブレット変換する場合とがある。
【0073】
画像データを、復号化することなく、逆ウェーブレット変換する場合は、比較的精度の低い表示画像が得られることになる。通常は、このように、暗号化された画像データを復号化することなく得られた比較的低い精度の表示画像であっても、特に問題はない。
【0074】
これに対して、高精度な表示画像を得る場合には、透かし入り画像データ分離手段31によって分離された乱数シード、閾値等の暗号化データは、パラメータ復号化手段33に与えられて、このパラメータ復号化手段33によって復号化される。そして、復号化された乱数シード、閾値等のパラメータは、透かし数列生成手段34に与えられて、透かし数列生成手段34にて、透かし数列Wが生成される。透かし数列生成手段34にて生成された透かし数列Wは、原本画像復号化手段32に与えられる。
【0075】
原本画像復号化手段32は、透かし数列生成手段34にて生成された透かし数列Wに基づいて、透かし入り画像データを復号化し、復号化された画像データが、逆データ変換手段35によって、逆ウェーブレット変換される。この場合、逆データ変換手段35は、透かし数列生成手段34にて生成された透かし数列Wに基づいて、復号化された画像データを逆ウェーブレット変換しているために、高精度の表示画像が得られる。
【0076】
本発明は、このように、圧縮処理されない画像のみならず、JPEG、MPEG等の圧縮/伸長処理される画像に対しても、電子透かしを埋め込むことができる。図9は、JPEGフォーマットの圧縮/伸長処理される画像に対して電子透かしの埋め込みに使用される装置の概略構成図である。この電子透かしの埋め込み装置は、データ変換手段41において、離散コサイン変換(DCT)により、原本画像における画像データXを所定のデータ変換した後に、量子化処理手段42によって量子化処理し、透かしデータ埋め込み手段43によって、量子化処理データUに対して透かし数列Wを埋め込むようになっている。
【0077】
透かしデータ埋め込み手段43には、乱数列発生手段45にて発生する擬似乱数列である透かし数列Wが与えられており、透かしデータ埋め込み手段43は、量子化処理データUに対して、透かし数列データWを埋め込む。乱数列発生手段45は、乱数シード発生手段44にて発生された初期条件としての乱数シードに基づいて擬似乱数列を生成して、生成された擬似乱数列が、透かし数列Wとして、透かしデータ埋め込み手段43に出力される。
【0078】
透かしデータ埋め込み手段43の基本的な機能は、図1に示す透かしデータ埋め込み手段12と同様である。また、乱数シード発生手段44および乱数列発生手段45の機能は、図1に示す乱数シード発生手段13および乱数列発生手段14と同様になっている。
【0079】
この場合、JPEG圧縮処理は、8×8画素の領域毎に実施されるために、透かしデータ埋め込み手段43による量子化処理データU(=u1,u2,…,ui,…)に対する透かし数列データWの埋め込みも、8×8画素の領域毎に実施される。量子化処理手段42は、高周波数成分を削除して、低周波数成分を残すことにより、データ量を削減する量子化処理を実施している。高周波数成分のように明るさの変化が小さい場合には、低周波数成分のように明るさの変化が大きい場合に比べて、人間の目では分かりにくいために、高周波数成分を削除してデータ量を削減しても、特に問題はない。
【0080】
透かしデータ埋め込み手段43では、各量子化処理データU(=u1、u2、…、ui、…、un)に対して、乱数列発生手段45にて順次発生された透かし数列データ(=w1、w2、…、wj、…、wn)が、次の(31a)式に基づいて埋め込まれて、透かし入り画像データu'iとされる。
【0081】
u'i=ui+int(f(ui)・wj) …(31a)
但し、f(ui)は、透かし数列データWを埋め込む際の埋め込み強度を示す実数関数であり、f(ui)=α|ui|である。但し、α∈(−1,1)であり、αは実数である。また、関数intは、実数を四捨五入して整数とする関数である。
【0082】
この場合、得られる透かし入り量子化データU’に対して実数閾値δが設定されており、i番目に得られた画像データu'iが閾値δよりも大きくなっている場合(u'i>δ)には、次の(31b)式に示すように、次のi+1番目の画像データu'i+1を得るために、乱数列発生手段45にてwjの次に発生した透かし数列データwj+1を埋め込む。これに対して、i番目に得られた画像データu'iが閾値δ以下になっている場合(u'i≦δ)には、(31c)式に示するように、次のi+1番目の画像データu'i+1を得るために、i+1番目の量子化データui+1に対して、i番目の量子化データuiに埋め込まれた透かし数列データwjが、繰り返して埋め込まれる。
【0083】
u'i>δの場合、
u'i+1=ui+1+int(f(ui+1)・wj+1) …(31b)
u'i≦δの場合、
u'i+1=ui+1+int(f(ui+1)・wj) …(31c)
(31a)〜(31c)式は、それぞれ、前述した埋め込み強度関数の式から、次の(32a)〜(32c)とされる。
【0084】
u'i=ui+int(α・|ui|・wj) …(32a)
但し、u'i>δ の場合
u'i+1=ui+1+int(α・|ui+1|・wj+1) …(32b)
u'i≦δの場合
u'i+1=ui+1+int(α・|ui+1|・wj) …(32c)
このようにして透かし入り画像データu'iが順番に得られると、得られた透かし入り画像データu'iが、エンコーダー46によって、ハフマン符号化によるエンコード処理される。そして、レジスタ符号発生器の乱数シード、閾値等のパラメータが、例えばSRA方法によって暗号化されて、透かし入り画像データの画像ヘッダに保存される。これにより、電子透かしの埋め込みが終了する。
【0085】
図10は、意識的な改竄を容易に検出できるように、まず、U信号の全画面に電子透かしを埋め込んだ後に、Y信号およびV信号に、電子透かしを埋め込む構成を示している。なお、このように、U信号、Y信号、V信号の順番に電子透かしを埋め込む構成に限らず、Y信号、U信号、V信号の順番、あるいはV信号、Y信号、U信号の順番に電子透かしを埋め込むようにしてもよい。
【0086】
図11は、このようにして得られる透かし入り画像の画像データが改竄されていないことを検証するための装置の一例を示す概略構成図である。この装置では、透かし入り画像の原本検証を実施する場合に、まず、検証対象画像データにおける画像ヘッダに保存された暗号化乱数シード、閾値等のパラメータが、画像データ分離手段51によって、透かし入り画像データU’から分離される。そして、透かし入り画像データ分離手段51によって分離された画像データU’は、原本画像復号化手段52を介して、画像データと電子透かしとの相関関係を計算する相関関係計算手段53に与えられる。
【0087】
他方、透かし入り画像データ分離手段51によって分離された乱数シード、閾値等のパラメータの暗号化データは、パラメータ復号化手段54に与えられて、このパラメータ復号化手段54によって復号化される。そして、復号化された乱数シード、閾値等のパラメータは、透かし数列生成手段55に与えられて、透かし数列生成手段55にて、透かし数列Wが生成される。そして、透かし数列生成手段55にて生成された透かし数列Wは、相関値計算手段53に与えられる。
【0088】
相関値計算手段53は、透かし入り画像データU’と、透かし数列生成手段55にて生成された透かし数列データWとに基づいて、検証対象画像データと電子透かしとの相関値を計算する。
【0089】
透かし入り画像データと発生された乱数との積和(類似度)σ1は、次の(33)式によって求められる。
【0090】
【数7】
Figure 0003722470
この場合、透かし数列Wの各データwjは既知であり、|α|<1であるために、認証対象である周波数域画像データuiの絶対値|ui|は、前記(12a)式から、次の(34)式によって求めることができる。
【0091】
【数8】
Figure 0003722470
(34)式において、sign(ui)は、uiの符号関数である。
【0092】
(34)式によって|ui|が求められると、相関値の正規化処理手段56は、(35)式に基づいて、埋め込み強度の総和σ2が求められる。
【0093】
【数9】
Figure 0003722470
また、埋め込み強度の総和σ2は、前述した埋め込み強度関数から、次の(36)式となる。
【0094】
【数10】
Figure 0003722470
このようにして求められた埋め込み強度の総和σ2に基づいて、相関値の正規化処理手段56は、類似度σ1を正規化する。類似度正規化値φは、次の(37)式によって得られる。
【0095】
φ=σ1/σ2 …(37)
そして、原本検証手段57は、類似度正規化値φに基づいて、原本画像が改竄されているかを判定する。この場合、正規化された類似度σ1が1の周辺に集中していれば、原本画像は改竄されていないと判定され、0の周辺に集中していれば、原本画像が改竄されていると判定される。そして、その検証結果が、原本検証手段57から出力される。
【0096】
図12は、得られる透かし入り画像を表示するために使用される装置の一例を示す概略構成図である。透かし入り画像データに基づく画像を表示する場合には、まず、透かし入り画像U*が透かし入り画像データ分離手段61に与えられて、透かし入り画像データ分離手段61によって、画像ヘッダに保存された乱数シード、閾値等の暗号化パラメータが分離される。透かし入り画像データ分離手段61によって分離された透かし入り画像データU’は、デコーダー62を介して、原本画像の復号化手段65に与えられるとともに、逆量子化およびデータ変換手段66に与えられる。そして、逆量子化および逆データ変換手段66によって、画像データU’は、逆量子化および逆データ変換される。
【0097】
逆量子化および逆データ変換手段66では、量子化処理手段42とは反対の手順によって逆量子化するとともに、電子透かしを埋め込む際のデータ変換手段41とは逆の手順によって、周波数を逆データ変換している。
【0098】
逆量子化および逆データ変換手段35は、デコーダー62からの出力を、直接、逆量子化処理および逆データ変換して伸長する場合には、比較的精度の低い表示画像が得られることになる。通常は、このように、暗号化された画像データを原本画像に復号化することなく得られた比較的低い精度の表示画像であっても、特に問題はない。
【0099】
これに対して、高精度な表示画像を得る場合には、透かし入り画像データ分離手段61によって分離された乱数シード、閾値等の暗号化データは、パラメータ復号化手段63に与えられて、このパラメータ復号化手段63によって復号化される。そして、復号化された乱数シード、閾値等のパラメータは、透かし数列生成手段64に与えられて、透かし数列生成手段64にて、透かし数列Wが生成される。透かし数列生成手段64にて生成された透かし数列Wは、原本画像復号化手段65に与えられる。
【0100】
原本画像復号化手段65は、透かし数列生成手段64にて生成された透かし数列Wに基づいて、透かし入り画像データを復号化し、復号化された画像データが、逆量子化および逆データ変換手段65によって、逆量子化および逆データ変換される。この場合、逆データ変換手段65は、前記(34)式に基づく次の(38)式から、逆量子化および逆データ変換する。
【0101】
i=sign(u'i)|ui| …(38)
このように、透かし数列生成手段64にて生成された透かし数列データWに基づいて、復号化された画像データを逆量子化および逆データ変換しているために、高精度の表示画像が得られる。
【0102】
MPEGフォーマットでの電子透かしの埋め込み、原本検証、画像表示も、基本的には、JPEGフォーマットと同様であるが、図13に示すように、電子透かしを、より効果的に埋め込むために、Kフレームの画面を1本のデータと見なして処理することもできる。
【0103】
なお、電子透かしの隠匿性をさらに高めるためには、シフトレジスタ符号発生器の初期条件である乱数シードの生成をランダムに発生させる構成、シフトレジスタ符号発生器における係数を可変にする構成以外にも、電子透かしを埋め込む際の閾値を複数化する構成、透かし数列の埋め込みを適当な間隔をあけて実施する構成等とするようにしてもよく、この場合には、電子透かし情報の隠匿性がさらに向上する。
【0104】
【発明の効果】
本発明の電子透かし埋め込み方法は、このように、埋め込まれる電子透かしによって画像の画質に影響を与えるおそれがなく、しかも、偽造が容易でなく、画像を圧縮/伸長処理する場合にも適用できる。
【0105】
また、本発明のオリジナルデータの検証方法および装置は、電子透かしが埋め込まれたディジタルデータが改竄されているかを容易に検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子透かしの埋め込み方法の実施に使用される装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】白黒スケールの原本画像の画像データに対して3階層のウェーブレット変換処理によって、データ変換することにより、周波数域を分割した結果を、2次元周波数領域によって示す図である。
【図3】(a)は、乱数列発生手段の具体例として、平均値0の擬似ランダム乱数を生成させるために使用されるn段のレジスタ符号発生器を示す概略構成図、(b)は、レジスタ符号発生器を簡単に説明するために、4段のシフトレジスタによって構成されたレジスタ符号発生器を示す概略構成図である。
【図4】透かし入り画像の画像データが改竄されていないことを検証する装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】正規化された類似度σ1によって原本画像が改竄されたかを検証する場合の判定基準を示すグラフである。
【図6】(a)および(b)は、それぞれ、画像データを改竄した場合における周波数域画像データの変化を示す概略図である。
【図7】その場合における正規化された類似度σ1を示すグラフである。
【図8】透かし入り画像を表示するために使用される装置の一例を示す概略構成図である。
【図9】JPEGフォーマットの圧縮/伸長処理される画像に対して電子透かしの埋め込みに使用される装置の概略構成図である。
【図10】意識的な改竄の検出が容易になるように、U信号の全画面に電子透かしを埋め込んだ後に、Y信号およびV信号の順に電子透かしを埋め込む場合の説明図である。
【図11】透かし入り画像の画像データが改竄されていないことを検証する装置の一例を示す概略構成図である。
【図12】透かし入り画像を表示するために使用される装置の一例を示す概略構成図である。
【図13】MPEGフォーマットでの電子透かしの埋め込みをする際の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
11 データ変換手段
12 透かしデータ埋め込み手段
13 乱数シード発生手段
14 乱数列発生手段
21 透かし入り画像データ分離手段
22 相関関係計算手段
23 復号化手段
24 透かし数列生成手段
25 相関値の正規化処理手段
26 原本検証手段
31 画像データ分離手段
32 原本画像の復号化手段
33 パラメータ復号化手段
34 透かし数列生成手段
35 逆データ変換手段
41 データ変換手段
42 量子化処理手段
43 透かしデータ埋め込み手段
44 乱数シード発生手段
45 乱数列発生手段
46 エンコーダ
51 透かし入り画像データ分離手段
52 原本画像復号化手段
53 相関関係計算手段
54 パラメータ復号化手段
55 透かし数列生成手段
56 相関値の正規化処理手段
57 原本検証手段
61 透かし入り画像データ分離手段
62 デコーダー
63 パラメータ復号化手段
64 透かし数列生成手段
65 逆データ変換手段

Claims (10)

  1. ディジタルデータであるオリジナルデータをデータ変換するデータ変換工程と、
    次いで、乱数シードを用いて平均値が0になるように生成された擬似乱数を透かし数列とし、該透かし数列の各数値であるデータを、前記データ変換工程にてデータ変換された変換データに対して順次、該変換データの関数で示される埋め込み強度で埋め込んで順番に透かし入りデータとする際に、得られた透かし入りデータと予め設定された閾値と比較してその比較結果、前記透かし入りデータが前記閾値以下になっている場合に、次の透かし入りデータを得るために埋め込まれる透かし数列のデータを変更せずに繰り返し、前記透かし入りデータが前記閾値よりも大きくなっている場合に、次の透かし入りデータを得るために埋め込まれる透かし数列のデータを次のデータに変更する透かしデータ埋め込み工程と、
    前記乱数シードおよび閾値を、暗号化してヘッダに保存する工程と、
    を包含することを特徴とする電子透かしの埋め込み方法。
  2. 前記データ変換工程におけるデータ変換は、ウェーブレット変換である請求項1に記載の電子透かし埋め込み方法。
  3. 前記オリジナルデータは、JPEGフォーマット画像データまたはMPEGフォーマット画像データであり、該JPEGフォーマット画像データまたは該MPEGフォーマット画像データは、前記データ変換工程にてデータ変換された後に量子化される請求項1に記載の電子透かし埋め込み方法。
  4. 前記データ変換工程におけるデータ変換は、離散コサイン変換である請求項3に記載の電子透かし埋め込み方法。
  5. ディジタルデータであるオリジナルデータをデータ変換するデータ変換手段と、
    乱数シードを用いて平均値が0になるように生成された擬似乱数を透かし数列とし、該透かし数列の各数値であるデータを、前記データ変換手段にてデータ変換された変換データに対して順次、該変換データの関数で示される埋め込み強度で埋め込んで順番に透かし入りデータとする際に、得られた透かし入りデータと予め設定された閾値と比較して、その比較結果、前記透かし入りデータが前記閾値以下になっている場合に、次の透かし入りデータを得るために埋め込まれる透かし数列のデータを変更せずに繰り返し、前記透かし入りデータが前記閾値よりも大きくなっている場合に、次の透かし入りデータを得るために埋め込まれる透かし数列のデータを次のデータに変更する透かしデータ埋め込み手段と、
    前記乱数シードおよび閾値を、暗号化して画像ヘッダに保存する手段と、
    を具備することを特徴とする電子透かしの埋め込み装置。
  6. 前記データ変換手段によるデータ変換は、ウェーブレット変換である請求項5に記載の電子透かし埋め込み装置。
  7. 前記オリジナルデータは、JPEGフォーマット画像データまたはMPEGフォーマット画像データであり、該JPEGフォーマット画像データまたは該MPEGフォーマット画像データは、前記データ変換手段によってデータ変換された後に量子化される請求項5に記載の電子透かし埋め込み装置。
  8. 前記データ変換手段によるデータ変換は、離散コサイン変換である請求項7に記載の電子透かし埋め込み方法。
  9. 請求項1〜4に記載された方法によって電子透かしが埋め込まれたオリジナルデータの認証方法であって、
    前記ヘッダに保存された透かし数列に関する暗号化されたパラメータである乱数シードおよび閾値をオリジナルデータから分離する工程と、
    分離された乱数シードおよび閾値を復号化して、復号化された乱数シードに基づいて透かし数列を生成する工程と、
    生成された透かし数列と、前記オリジナルデータにおける透かし入りデータが復号化さ れた閾値よりも大きくなっている場合における該透かし入りデータとの積和と、前記埋め込み強度の総和とを正規化して類似度正規化値を求め、該類似度正規化値の分布に基づいてオリジナルデータが改竄されたかを検証する検証工程と、
    を包含することを特徴とするオリジナルデータの検証方法。
  10. 請求項1〜4に記載された方法によって電子透かしが埋め込まれたオリジナルデータの検証装置であって、
    ヘッダに保存された透かし数列に関する暗号化されたパラメータである乱数シードおよび閾値をオリジナルデータから分離する手段と、
    分離された乱数シードおよび閾値を復号化して、復号化された乱数シードに基づいて透かし数列を生成する手段と、
    生成された透かし数列と、前記オリジナルデータにおける透かし入りデータが復号化された閾値よりも大きくなっている場合における該透かし入りデータとの積和と、前記埋め込み強度の総和とを正規化して類似度正規化値を求め、該類似度正規化値の分布に基づいてオリジナルデータが改竄されたかを検証する検証手段と、
    を具備することを特徴とするオリジナルデータの検証装置。
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