JP3722390B2 - 硬化性樹脂化粧材用の転写シートおよび硬化性樹脂化粧材 - Google Patents

硬化性樹脂化粧材用の転写シートおよび硬化性樹脂化粧材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装、建具、家具、厨房具、弱電機器キャビネット、車両内装等に用いられる、メラミン化粧板、ポリエステル化粧板等の硬化性樹脂化粧材とその製造に用いる転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステル化粧板等の硬化性樹脂化粧材において、硬化性樹脂層に接する模様層、易接着層等に使用される樹脂系は、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリスチレン樹脂等が用いられてきた。
例えば、特開平6−64122号公報の硬化性樹脂化粧板は、転写層として模様層を有し、転写層に微細エンボス凹凸模様を施した転写シートを利用して得られる、内部に微細凹凸を持ち天然木材の照りを有する2層の硬化性樹脂層からなるポリエステル化粧板が開示されている。同号公報の化粧板によれば、合板などの化粧板用基材上に接着剤を介してチタン紙からなる隠蔽層が積層され、さらにその上に順に、不飽和ポリエステル樹脂による第1の硬化性樹脂層、該硬化性樹脂層に前記転写シートで転写形成した模様層、不飽和ポリエステル樹脂による第2の硬化性樹脂層を積層し、第2の硬化性樹脂層の内側界面が前記微細凹凸を持った構成からなる硬化性樹脂化粧材が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の硬化性樹脂化粧材においては、硬化性樹脂層に接して設けられた模様層と、該硬化性樹脂層間の密着性が不十分なことがあった。例えば、耐水試験等の過酷な試験を行うと、硬化性樹脂層と模様層間で剥離が生じる等の耐水性に劣ることがあった。特に洗面台、浴室等の水回りに使用される用途では、耐温水性、耐熱水性等の耐水性に問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで上記課題を解決するために、本発明の硬化性樹脂化粧材は、装飾層のうちの硬化性樹脂層に接する層、即ち模様層や易接着層等の層を、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダーとする層とすることで、硬化性樹脂層と模様層等との密着性を向上させた。また、上記易接着層により、硬化性樹脂層に積層する(上記特定バインダーを使用しない)その他の模様層等の他の層の密着性を向上させた。また、このような硬化性樹脂化粧材の模様層を形成する転写シートは、転写層の少なくとも被転写体に接する層を、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダーとする構成とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳述する。
【0006】
本発明の硬化性樹脂化粧材用の転写シートは、ポリエステル化粧板等の硬化性樹脂化粧材の絵付け等の各種機能付与に使用される転写シートであり、転写シートから転写移行する転写層のうち、少なくとも、被転写体の硬化性樹脂層に接する層が、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダーとするものである。
図1は、本発明の転写シートの一実施形態を示す断面図である。同図の如く、本発明の転写シート10は剥離性支持体1の上に転写層2を有するものであり、転写層2としては、例えば印刷や塗工等で形成した模様層、必要に応じ適宜模様層上に設ける接着剤層等がある。また、転写層2としては、透明層を形成する透明樹脂層等もある。また、前記した如く、転写層は凹凸面を持つ場合もある。そして、転写層は、硬化性樹脂層側に転写され、硬化性樹脂化粧材の装飾層となる。
【0007】
離型性支持体1としては、転写層2との剥離性が適度で、転写プロセスで熱を使用する場合にはその加熱等に耐え得るものであれば特に制限はない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−テレフタレート−イソフタレートコポリマー、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオフレィン系フィルム、ビニロンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の樹脂フィルム、或いは、ポリオレフィン塗工紙等の紙類、その他金属箔等の支持体が使用でき、なかでも、厚み10〜100μm程度の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは好適である。また、離型性支持体1としては、上記支持体の単独で用いる場合の他、転写層2との剥離性を良好にする目的で、図示はしないが上記支持体の転写層が形成される面に離型層を施した離型性支持体としても良い。
離型層は、フッ素系樹脂、各種ワックス、シリコーン樹脂等の離型剤を公知のビヒクル、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等に添加した塗料の塗膜を形成したり、離型性の樹脂、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、電離放射線硬化型アクリル系樹脂等を塗工、あるいはエクストリルージョンコート等で成膜したものであり、通常0.1〜3μm程度にする。
なお、離型層を設ける場合には、離型層中に無機又は有機の微粒子を混入する等して離型層表面をマット状としたり、エンボス加工等により万線模様による微小凹凸を形成しておけば、転写層に凹凸面を持たせ、被転写体に転写後の転写層の外表面に凹凸模様を形成することもできる。
なお、この離型層は、転写時には支持体と一体となって剥離除去されるものである。即ち、剥離は離型層と転写層との界面で生じる。
【0008】
転写層2としての模様層は、パターン状、全面ベタ、或いはこれら組合せの層として、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷手段、グラビアコート等の公知の塗工手段により形成する。模様層が転写層の最表面、すなわち被転写体と接する層になる構成とする場合は、そのバインダーにカルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることが、被転写体との密着性の点で好ましい。模様層を形成するインク又は塗液は、バインダーとして上記カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用い、これに適宜必要に応じて色材、体質顔料等の各種添加剤等を配合したものを用いる。
【0009】
カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とは、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の重合時又は重合後に、共重合体にカルボキシル基を導入した樹脂である。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマーを、塩化ビニルモノマー及び酢酸ビニルモノマーと共に共重合モノマーとして共重合した樹脂である。また、共重合体の重合後に各種カルボシキル化反応等してカルボキシル基を導入したものでも良い。此処で、カルボキシル基の重量比は樹脂全体の0.3〜7重量%が好ましい。
ポリエステル樹脂層等の硬化性樹脂層に接する層を、上記の様なカルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダーとして構成することで、特に、耐温水性、耐熱水性等の耐水密着性を著しく向上させる効果がある。
【0010】
模様層に用いる色材としては、例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等の従来公知の着色顔料等で良い。また、添加する体質顔料は、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム等を用いる。
【0011】
模様層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、革絞模様、文字、幾何学図形、記号、線画、各種抽象模様等のパターン模様、或いは全面ベタ等である。全面ベタでは透明着色層の他に、着色隠蔽層としても良く、また公知の塗工法で形成しても良い。もちろん、パターン模様と全面ベタ模様とを組み合わせても良い。例えば、模様層が大理石など石目模様で、硬化性樹脂化粧材に木質の化粧材基材を用いる場合に、白みを帯びた背景色の石目模様に、化粧材基材の木質による茶系統の色が邪魔をする場合には、石目の柄模様のパターンと共に、白色系統の着色隠蔽層を模様層の一部として設けておけば、化粧板基材の地色の色ブレの影響を抑え、安定した色調の模様層を転写形成できる。また、同様に例えば、コンクリート質基材等の灰色の基材に、茶色の木目調の模様層を形成する場合には、茶系統の着色隠蔽層を模様層の一部として設けておけば良い。
【0012】
また、模様層のバインダーに上記特定の樹脂を用いずに、模様層上に上記特定の樹脂をバインダーとした接着剤層を設けた構成としても、転写層が2層構成となり工程数増となるが、該接着剤層が易接着層として作用して、硬化性樹脂層との密着性を向上させることができる。また、この場合、模様層のバインダーとしては、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン等の常温又は熱硬化性樹脂等の従来公知の樹脂を用いても良い。
なお、接着剤層は全面に設けることになるが、全面に設ける点で類似した構成が、前記の着色隠蔽層を模様層の一部として併用する構成である。したがって、着色隠蔽層は上記特定樹脂のバインダーで構成し、その下(離型性支持体側)の模様層の他の部分は、その他の樹脂をバインダーとする模様層とする構成でも良い。もっとも、両方を上記特定の樹脂のバインダーで構成しても良いことは勿論である。
【0013】
また、接着剤層に上記特定の樹脂のバインダーを用いれば、模様層は樹脂バインダーから層を形成せず、金属薄膜を用いることもできる。或いは、樹脂バインダーによる層と金属薄膜との併用である。例えば、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜した金属薄膜を全面又は部分的にパターン状に積層してもよい。なお、パターン状に形成するには、金属薄膜不要部分に水溶性インクにより除去層を所望のパターンで設けた上から全面に金属薄膜を蒸着等で形成し、しかる後水洗して上記除去層とともにその直上の金属薄膜を除去する等の公知の手法による。
【0014】
以上の様な本発明の硬化性樹脂化粧材用の転写シートは、各種の硬化性樹脂化粧材の装飾用等として用いることができる。本発明の転写シートで転写層(装飾層)を硬化性樹脂層に転写するのは、硬化性樹脂層の完全硬化後でも良いが、好ましくは完全硬化前の未硬化又はいわゆるBステージ等の半硬化状態の時に、行うのが密着性向上効果に優れる。此の代表例としては、木材合板表面に装飾層を転写で形成し、該装飾層上に不飽和ポリエステル樹脂塗料を塗布し硬化させて化粧合板を作る場合である。また、転写層は硬化性樹脂層に直接に転写せず、別の層に転写し、転写層が転写された別の層に硬化性樹脂層を塗布等により積層することで、転写層が硬化性樹脂層と接する構成の硬化性樹脂化粧材とすることもできる。なお、この場合は、転写後に転写層の少なくとも外表面となる層が、上記特定の樹脂をバインダーとする転写シートを用いるが、転写層が模様層のみであれば、外表面となる層も同一のバインダーからなる層であるので問題はない。
【0015】
以上の様な本発明の転写シートを用いて、下記する本発明の硬化性樹脂化粧材を得るには、その層構成や材料に合わせて、熱硬化性樹脂化粧板等の硬化性樹脂化粧材として従来公知の各種の製造方法によることができる。例えば、ポリエステル化粧板等に用いる積層成形法である。その他、BMC(Bulk Molding Compound) 成形法、SMC(Sheet Molding Compound)成形法、ハンドレイアップ成形法等のFRP(Fiber Reinforced Plastics) における各種成形法、或いは、射出成形法、RIM(Reaction Injiction Molding)、などである。
【0016】
次に、本発明の硬化性樹脂化粧材について説明する。先ず、本発明でいう化粧材とは、平板や曲面の板材としての所謂化粧板と、基材の表面材として基材に接着剤等を介して貼着等する所謂化粧材との両方を含む。またこの様な化粧材の形状は、平板、曲面、三次元形状と任意であり、本化粧材が他の部材と併用されて一つの製品となる場合、或いは本化粧材自身が目的とする形状や強度を有し本化粧材自身で、或いは本化粧材同士を組み合わせて一つの製品となる場合がある。
【0017】
そして、本発明の硬化性樹脂化粧材は、少なくとも、硬化性樹脂層と該層に接する装飾層との2層からなる。例えば、硬化性樹脂層自身が、その化粧材が用途により要求される機械的強度を満足するものであれば、硬化性樹脂層と該層に接する装飾層(模様層等)との2層からなる化粧材である。また、硬化性樹脂層自身で、化粧材に要求される機械的強度が得られない等の場合には、樹脂層、木質層等の硬化性樹脂層以外の他の層を積層や他の部材を固定することで、用途に合った機械的強度を持った硬化性樹脂化粧材とすることができる。また、上記他の層とは、透明樹脂層等と保護機能やその他の装飾効果を付与する為に積層することもある。そして、上記他の層を硬化性樹脂層に積層する際に密着性が不足する場合には、上記他の層の材料にもよるが、前記した、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いた易接着層を、硬化性樹脂層に接する層として用いれば密着性を改善できる。例えば、他の層として熱可塑性樹脂シートを積層する場合等である。
また、硬化性樹脂層は単層の他に、2層等の複層であっても良い。例えば、同質の硬化性樹脂層の間に上記特定の樹脂をバインダーとする模様層を設けた構成である。
【0018】
以上の様に、本発明の硬化性樹脂化粧材の層構成としては各種形態があり得るが、図2は本発明の硬化性樹脂化粧材の一形態として最下層として化粧材基材を用いた構成を示す断面図である。同図の硬化性樹脂化粧材20は、化粧材基材21上に、接着層22、着色隠蔽層23、第1の硬化性樹脂層24、模様層25、第2の硬化性樹脂層26を積層した構成である。第2の硬化性樹脂層は模様層25の上側の層となるので無色又は着色の透明な層である。
本発明の各種形態としては、例えば、第1の硬化性樹脂層は模様層25の直下となるので、化粧材基材21の色等を隠蔽する着色隠蔽層としても良い。この場合は着色隠蔽層23は適宜省略することもできる。また、第1及び第2の硬化性樹脂層は、同じ不飽和ポリエステル樹脂層とする等と例えば同質の層とする以外に、異質の層でも良い。また、第2の硬化性樹脂層を熱可塑性樹脂層としても良い。
【0019】
以下、図2に基づいて、各層の構成材料について説明する。
【0020】
化粧材基材21は、化粧材としての形状保持の為の機械的強度を持たせる等の為に適宜用いるものであり、パーティクルボード、MDF(Midium Density Fiber Board) 等の木質繊維板、木材単板、木材合板等の木質板、ガラス、陶磁器等のセラミックス、ALC等のセメント板等の板材、ポリプロピレン、フェノール樹脂等の板材、鉄、アルミニウム等の金属板、或いこれら各種材料からなる、樹脂成形等の立体形状物品が用いられる。例えば、パーティクルボード等の木質繊維板等は厚さ5〜30mm程度のものが使用される。
【0021】
なお、接着層22は、その上の着色隠蔽層23としてのチタン紙等の繊維質基材等を化粧板基材に固定する為のものである。接着層は化粧材基材21、着色隠蔽層23に合った適宜材料を用いる。ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等の従来公知の硬化性接着剤、熱可塑性接着剤等が使用される。
また、着色隠蔽層23は、化粧板基材の、或いは化粧材自身に化粧材基材が積層されていなければ化粧材が適用される基材表面の地色等が、化粧材の色合いや模様に悪影響しない様に隠蔽する為の層である。着色隠蔽層として、隠蔽性の強い酸化チタンを含むチタン紙は好ましい一つである。
【0022】
硬化性樹脂層24及び26は、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の硬化性樹脂に、必要に応じて重合開始剤、架橋剤、体質顔料等の充填剤、着色剤等を添加させた組成物を、熱等により硬化させ適宜架橋させた樹脂層である。硬化性樹脂層とは、その硬化機構により熱硬化性樹脂層、或いは、ラジカル重合や紫外線等の電離放射線によるラジカル重合やカチオン重合等の重合による、熱以外で硬化した硬化性樹脂層も含む。
【0023】
例えば硬化性樹脂層を不飽和ポリエステル樹脂層とする場合には、不飽和ポリエステル樹脂液を硬化させたものとなる。不飽和ポリエステル樹脂液は、一般に未硬化の不飽和ポリエステル樹脂プレポリマーと重合開始剤との組成物に、必要に応じて適宜、重合促進剤、その他公知の各種添加剤を配合したものである。重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のようなラジカル重合開始剤などから適宜選択して使用される。重合開始剤の添加量は一般に樹脂に対して0.5〜3重量%である。重合促進剤としては、例えばナフテン酸コバルトなどのコバルト化合物、バナジウム化合物、マンガン化合物などの金属化合物、ジメチルニトリルなどのアミン系化合物などが、樹脂に対して好ましくは0.1〜2重量%の添加量で用いられる。更に、樹脂を架橋させて粘度を調整する為にスチレンモノマーなどのビニル基を有するビニルモノマーを、樹脂分全量の10〜40重量%の割合で添加してもよい。
【0024】
また、硬化性樹脂層は、化粧材としての機械的強度等を持たせる為に、硬化性樹脂層中に繊維質、或いは無機粉体等の充填剤をを含有させることができる。繊維質としては、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、アセテート、塩化ビニル、セルロース、ビニロン、パルプ等の有機質繊維、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、カーボン繊維等の無機質繊維などがある。これらの繊維質は、チョップドストランドガラス繊維の様に短繊維として硬化性樹脂層とする樹脂液に含有させておいたり、或いは、マット、不織布、織布、パルプ等においてはチタン紙、和紙等の紙等のシート状の繊維質基材とし、この繊維質基材に硬化性樹脂液を塗工等により含浸させて、硬化性樹脂との複合体からなる硬化性樹脂層とする。また、無機粉体等の充填剤としは、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム等の体質顔料等である。
【0025】
本発明の硬化性樹脂化粧材では、少なくとも1層の硬化性樹脂層と、該層に接する装飾層とを有する積層体であるが、硬化性樹脂層は2層以上の多層でも良く、また1層又は多層の硬化性樹脂層と、熱可塑性等の他の樹脂層、或いは他の材料層とが積層されたものでも良い。これら硬化性樹脂層或いは他の樹脂層等の樹脂層は、無色又は着色透明、或いは模様層の下側となる場合には、無色又は着色の不透明な層とすることができる。なお、着色の為に硬化性樹脂層等の樹脂層に含有させる色材としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等の公知の色材が使用できる。
【0026】
なお、本発明の硬化性樹脂化粧材では、硬化性樹脂層に接して模様層を積層するには、前記した本発明の転写シートを用いることができる。但し、硬化性樹脂層に接する模様層、或いは接しない構成として模様層は、上記転写シート等を用いた転写印刷法以外に、硬化性樹脂層に直接に印刷又は塗工により形成したものでも良い。硬化性樹脂層が完全硬化前で液状状態の場合は直接形成は不可能な点で制限されるが、直接印刷法でも硬化性樹脂層が完全硬化前でも固体状態であれば、或いは完全硬化後とすれば模様層は形成できる。
【0027】
そこで、本発明の硬化性樹脂化粧材は、平面や曲面を持つ平板状の化粧板、或いは三次元形状の化粧材として、天井、床、厨房や浴室等の水回りの壁面、その他各種壁面、等の建築物の内装材、窓枠、扉、手摺等の建具、机、洗面台等の家具、厨房具、弱電・OA機器のキャビネット、自動車、電車、航空機等の車両内装材、窓ガラス等として用いることができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明について実施例で更に具体的に説明する。
【0029】
《実施例及び比較例1〜4》
離型性支持体として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイアホイルヘキスト(株)製 T−100)に、転写層となる模様層を、表1に示す各種バインダー樹脂系によるインクを用いて木目模様をグラビア印刷で形成して、実施例及び比較例の転写シートを得た。
そして、化粧材基材として厚さ10mmの耐水合板を用い、この上に着色隠蔽層として白色チタン紙を酢酸ビニル系エマルション接着剤で貼着し、さらにこの上から、不飽和ポリエステル樹脂(昭和高分子(株)製、リゴラック)99部に硬化剤(昭和高分子(株)製、カヤメーク)1部を添加した硬化性樹脂液を塗布しチタン紙に含浸した。硬化性樹脂液の塗布は含浸後もチタン紙上に樹脂液が層として残る程度とし、さらにチタン紙上の樹脂液面を、上記で得た転写シートで転写層である模様層が接する様に覆い、室温で1時間放置後、転写シートの離型性支持体を剥離して、木目模様の模様層をチタン紙上にできた完全硬化前の硬化性樹脂層に転写し装飾層とした。次に、転写層が形成された硬化性樹脂層上に、上記同様の不飽和ポリエステル樹脂の硬化性樹脂液を全面に塗布して、もう一層の(透明な)硬化性樹脂層を形成して、2層の硬化性樹脂層を有し平板状の、実施例及び比較例の硬化性樹脂化粧板を得た。
【0030】
《性能評価》
上記で得られた硬化性樹脂化粧板の性能を、耐温水性、耐熱水性について評価した。耐温水性は80℃温水中に24時間浸漬後の状態を、耐熱水性は沸騰水中に1時間浸漬後の状態で評価した。評価基準はそれぞれ、浸漬後に層間(模様層と硬化性樹脂層との間)での剥がれや外観変化がなければ○、部分的に層間にふくれ又は白化等を生じたものは△、層間での剥がれを生じたものは×とした。
その結果、表1に示す如く、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダーとして用いて、硬化性樹脂層に接する層として模様層を形成した化粧材は、耐温水性、耐熱水性共に良好な耐久性を示した。
【0031】
【表1】
Figure 0003722390
【0032】
表1中、*1,*2 で、塩酢ビとは、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の略記。
*1のバインダー樹脂は共重合比が塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸=81/17/2(重量比) で、カルボキシル基含有量=1.6重量%。*2のバインダー樹脂は共重合比が塩化ビニル/酢酸ビニル=81/19(重量比) である。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステル樹脂化粧板等の硬化性樹脂化粧材において、硬化性樹脂層と接する模様層等の層のバインダーに特定の樹脂を用いている為に、該層と硬化性樹脂層との密着性に優れ、特に、耐温水性、耐沸騰水性等の耐水性において層間密着力に優れた硬化性樹脂化粧材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の硬化性樹脂化粧材用の転写シートの一形態を示す断面図。
【図2】本発明の硬化性樹脂化粧材の一形態を示す断面図。
【符号の説明】
1 離型性支持体
2 転写層
10 硬化性樹脂化粧材用転写シート
20 硬化性樹脂化粧材
21 化粧材基材
22 接着層
23 着色隠蔽層
24 第1の硬化性樹脂層
25 模様層(装飾層)
26 第2の硬化性樹脂層

Claims (2)

  1. 転写層の少なくとも被転写体に接する層が、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダーとする、硬化性樹脂化粧材用の転写シート。
  2. 硬化性樹脂層と装飾層とからなり、装飾層の少なくとも、硬化性樹脂層に接する層が、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をバインダーとする層からなる、硬化性樹脂化粧材。
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