JP3722316B2 - 複製防止ホログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複製防止ホログラムに関し、特に、身分証明書等に貼着してそのセキュリティー性を高めるために使用される複製防止ホログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、CDカード、プリペイドカード、定期券、通帳、パスポート、身分証明書、商品等が真実なもので偽造されたものでないことを保証するために、立体像、模様等を記録したレリーフホログラム又はリップマンホログラムからなるラベル、シール等を対象物に貼着することが広く行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらのホログラムは、単純な再生照明光あるいは白色光により再生可能であり、これを複製等の手法により偽造することは必ずしも困難なことではない。そのため、このようなホログラムからなるラベル、シール等のセキュリティー性は必ずしも高いものではなかった。
【0004】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複製による偽造物であることが容易に分かるホログラムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の複製防止ホログラムは、リップマンホログラムにおいて、ホログラム記録層の裏面側に反射層が設けられていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明のもう1つの複製防止ホログラムは、リップマンホログラムにおいて、ホログラム記録層の裏面側に、ホログラム記録層側から順に、半透過鏡、透明層、反射層が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
この場合、半透過鏡は、ホログラム記録層と透明層の間のフレネル反射を利用するものであってもよい。
【0008】
また、透明層は、位置に応じて厚さが変化しているものであることが望ましい。
【0009】
上記の本発明においては、リップマンホログラムのホログラム記録層の裏面側に、反射層あるいは、半透過鏡、透明層、反射層からなる二重反射層が設けられているので、元のホログラムと複製ホログラムの間に、再生像の背景の色の変化具合、再生像の濃度の変化具合等に差が出るため、対象のホログラムが真正なものか複製による偽造物であるかが容易に区別できる。したがって、身分証明書等の偽造防止用のホログラムに適したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の複製防止ホログラムの実施例について説明する。
図1に本発明による複製防止ホログラムの基本的な形態の断面図を示す。このホログラム10は、フォトポリマー等の厚さの厚いホログラム感光材料1中に体積位相型の干渉縞3が記録され、感光材料1の裏面にはアルミニウム、誘電体多層反射膜等の反射層2が設けられてなるものである。
【0011】
したがって、周囲の白色光4がこのホログラム10に入射すると、干渉縞3の再生条件に合致する角度、波長のものが回折光5として反対方向に回折され、干渉縞3として記録された模様、立体像等が観察できる。干渉縞3の再生条件に合致しない他の波長、角度の光と0次透過光は反射層2で正反射光6として反射される。この反射光6は周囲光と略同じ白色光となる。
【0012】
ところで、このようなホログラム10からホログラム複製を行おうとすると、図2(a)に示すように、ホログラム10の感光材料1側表面に別のフォトポリマー等の厚さの厚いホログラム感光材料11を重ね合わせて、ホログラム10の感光材料1中の干渉縞3の再生条件に合致する角度、波長の再生照明光7を入射させることになる。感光材料11を介して再生照明光7が入射すると、干渉縞3によって一部の光は再生光8として反対方向に回折されると共に、干渉縞3によって回折されなかった成分は反射層2で正反射光9として反射される。そのため、重ね合わされた感光材料11中では、入射光7と再生光8が干渉して干渉縞3と同様な干渉縞12が記録されると共に、入射光7と反射光9も干渉して感光材料11の平面に平行な干渉縞13も記録される。再生光8と反射光9も干渉するが強度が弱いので無視できる。
【0013】
図2(b)に示すように、このようにして複製されたホログラム11’に周囲の白色光14が入射すると、干渉縞12の再生条件に合致する角度、波長のものが回折光15として反対方向に回折され、元のホログラム10と同様の模様、立体像等が観察できる。同時に、感光材料11の平面に平行な干渉縞13に入射した光の中、その再生条件に合致する角度、波長の成分が回折光16として正反射方向に回折される。この回折光16は、元のホログラム10の正反射光6とは異なり、反射方向に依存して色が変化するものとなる。したがって、ホログラムによる正反射光の差により、そのホログラムが真正なもの(図1)か複製による偽造物(図2(a))であるか容易に区別できる。また、ホログラムの裏面を見ることにより、その裏面に反射層2がないにもかかわらす正反射があれば、偽造物であると判定できる。さらには、ホログラムをミクロに分析して、その中に感光材料の平面に平行な干渉縞13が記録されていれば、偽造物であると判定できる。
【0014】
図3に本発明による複製防止ホログラムの変形例の断面図を示す。このホログラム10’は、フォトポリマー等の厚さの厚いホログラム感光材料1中に体積位相型の干渉縞3が記録され、感光材料1の裏面には、波長オーダーの薄い透明層17と反射層2が順に積層され、感光材料1と透明層17の間に半透過鏡2’が設けられてなるものである。半透過鏡2’としては、金属蒸着膜あるいは多層膜からなる半透過鏡、あるいは、感光材料1の屈折率と透明層17の屈折率とをある程度異ならせてフレネル反射を利用するものであってもよい。
【0015】
このホログラム10’においては、周囲の白色光4がこのホログラム10’に入射すると、干渉縞3の再生条件に合致する角度、波長のものが回折光5として反対方向に回折され、干渉縞3として記録された模様、立体像等が観察できる。干渉縞3の再生条件に合致しない他の波長、角度の光と0次透過光の一部は、半透過鏡2’で正反射光61 として反射され、残りの部分は、反射層2で正反射光62 として反射される。透明層17は波長オーダーの薄い層であるので、反射光61 と62 は相互に干渉する。透明層17が全面が一様に同じ厚さの場合には、その厚さに応じた位相差で全面一様に干渉するが、通常若干の厚さの変動があるため、場所に応じて比較的大きな繰り返しピッチで干渉する波長が異なり、場所に依存して色が異なることになる。すなわち、このホログラム10’を回折光5の方向から見ると、記録された模様、立体像等が観察でき、その背後に繰り返しピッチの大きい虹色が薄く付くが、それ以外の方向から見ると、位置毎に異なる薄い虹色に見える。なお、この虹色は、周囲の白色光4の可干渉性が小さいので、余り濃い色にはならず、目立つことはない。
【0016】
このようなホログラム10’から、図2(a)と同様に、ホログラム10の感光材料1側表面に別の厚いホログラム感光材料11を重ね合わせて、ホログラム複製を行うと、図4に示すようなホログラム11’が得られる。複製ホログラム11’には、干渉縞3と同様な干渉縞12が記録されていると共に、半透過鏡2’で反射された光61 と反射層2で反射された光62 とによる繰り返しピッチの大きい干渉縞18が記録されている。このホログラム11’に周囲の白色光14が入射すると、干渉縞12の再生条件に合致する角度、波長のものが回折光15として反対方向に回折されるが、干渉縞18の低屈折部分から回折される光151 とその高屈折部分から回折される光152 との間には、干渉縞12の屈折率変調度合いが異なるので、強度の差が存在することになる。したがって、再生される模様、立体像等の濃度変動と背後の差から、そのホログラムが真正なもの(図3)か複製による偽造物(図4)であるか容易に区別できる。すなわち、前者の場合は、その背後に繰り返しピッチの大きい虹色が薄く付いているのに対し、後者の場合は、模様、立体像等自体の濃度がホログラムの位置に応じて薄くなったり濃くなっている。また、ホログラムの裏面を見ることにより、その裏面に反射層2がないにもかかわらす正反射があれば、偽造物であると判定できる。さらには、ホログラムを分析して、その中に繰り返しピッチの大きい干渉縞18が記録されていれば、偽造物であると判定できる。
【0017】
以上、本発明の複製防止ホログラムをいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の複製防止ホログラムによると、リップマンホログラムのホログラム記録層の裏面側に、反射層あるいは、半透過鏡、透明層、反射層からなる二重反射層が設けられているので、元のホログラムと複製ホログラムの間に、再生像の背景の色の変化具合、再生像の濃度の変化具合等に差が出るため、対象のホログラムが真正なものか複製による偽造物であるかが容易に区別できる。したがって、身分証明書等の偽造防止用のホログラムに適したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による複製防止ホログラムの基本的な形態の断面図である。
【図2】図1のホログラムを複製する際の配置を示す図と複製されたホログラムの断面図である。
【図3】本発明による複製防止ホログラムの変形例の断面図である。
【図4】図3のホログラムから複製されたホログラムの断面図である。
【符号の説明】
1…ホログラム感光材料
3…干渉縞
2…反射層
2’…半透過鏡
4…周囲の白色光
5…回折光
6、61 、62 …正反射光
7…再生照明光
8…再生光
9…正反射光
10、10’…ホログラム(本発明)
11…ホログラム感光材料
11’…複製ホログラム
12、13…干渉縞
14…周囲の白色光
15、16…回折光
151 …低屈折部分から回折される光
152 …高屈折部分から回折される光
17…透明層
18…干渉縞
Claims (4)
- リップマンホログラムにおいて、ホログラム記録層の裏面側に反射層が設けられていることを特徴とする複製防止ホログラム。
- リップマンホログラムにおいて、ホログラム記録層の裏面側に、ホログラム記録層側から順に、半透過鏡、透明層、反射層が設けられていることを特徴とする複製防止ホログラム。
- 前記半透過鏡は、前記ホログラム記録層と前記透明層の間のフレネル反射を利用するものであることを特徴とする請求項2記載の複製防止ホログラム。
- 前記透明層が位置に応じて厚さが変化していることを特徴とする請求項2又は3記載の複製防止ホログラム。
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