JP3721940B2 - 移動作業ロボット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機能を有し移動しながら作業を行なう自走式掃除機や無人搬送車等の移動作業ロボットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より作業機器に走行手段やセンサ類および走行制御手段を付加して、自動的に作業領域を移動して作業を行なう各種の移動作業ロボットが開発されている。例えば自走式掃除機は、清掃機能として本体底部に吸込具や塵埃掻き上げ用の回転ブラシなどを備え、自在に移動するために走行機能としての駆動用ローラと移動方向を転換するための操舵手段と、走行時に障害物を検知する障害物検知手段と、自己の位置を認識する位置認識手段とを備え、この障害物検知手段によって清掃領域の障害物を迂回しつつ、位置認識手段によって自己が清掃した清掃領域を認識し、まだ清掃していない清掃領域を移動して清掃領域全体を清掃するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の移動作業ロボットでは、位置認識手段にジャイロセンサや走行距離センサなどの内界センサを用いた相対位置認識を行なっているため、位置計測誤差の累積が大きくなり移動経路がずれたり、スタート点を見失うことがあった。
【0004】
そこで、本発明は、移動経路のずれが少なく、確実に作業を行うことができる移動作業ロボットを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、走行手段と操舵手段と走行制御手段と発光手段と作業要素とを設けた本体部と、前記本体部の移動を外部から監視する監視部を備え、前記監視部には前記本体部の移動領域の画像を入力する画像入力手段とこの画像入力手段が入力した画像から前記本体部の前記発光手段の位置を認識する位置認識手段と前記発光手段を点灯または消灯させる信号および前記位置認識手段からの位置関連情報を前記本体部に送信する送信手段とを有し、前記本体部には前記送信手段からの信号を受信する受信手段と前記発光手段を制御する発光制御手段とを有し、この発光制御手段は前記受信手段が前記送信手段から受信した信号を受けて前記発光手段の点灯と消灯を制御するとともに、前記送信手段による前記信号の送信動作に前記本体部の前記発光手段の点灯または消灯動作と前記監視部の前記画像入力手段の動作とが同期し、前記画像入力手段は前記発光手段が点灯している画像と消灯している画像の2つの画像データを入力し、前記位置認識手段がこの2つの画像データの差分をとって前記発光手段の画像面に対する位置を検出し、この位置に基いた前記位置関連情報を前記送信手段により前記本体部の前記受信手段に送信し、前記走行制御手段は前記受信手段からの前記位置関連情報をもとに前記走行手段と前記操舵手段の制御を行い移動する移動作業ロボットとするもので、監視部の送信手段から送信された信号に本体部の発光手段と監視部の画像入力手段とを同期動作させることで、この画像入力手段が入力した発光手段の点灯状態と消灯状態の2つの画像を位置認識手段が比較することにより発光手段の位置を確実に特定できる。また本体外部の監視部から得られた位置関連情報に基づいて移動するから、位置計測誤差が累積せず広い移動領域でも確実に移動できる移動作業ロボットが実現できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載した発明は、走行手段と操舵手段と走行制御手段と発光手段と作業要素とを設けた本体部と、前記本体部の移動を外部から監視する監視部を備え、前記監視部には前記本体部の移動領域の画像を入力する画像入力手段とこの画像入力手段が入力した画像から前記本体部の前記発光手段の位置を認識する位置認識手段と前記発光手段を点灯または消灯させる信号および前記位置認識手段からの位置関連情報を前記本体部に送信する送信手段とを有し、前記本体部には前記送信手段からの信号を受信する受信手段と前記発光手段を制御する発光制御手段とを有し、この発光制御手段は前記受信手段が前記送信手段から受信した信号を受けて前記発光手段の点灯と消灯を制御するとともに、前記送信手段による前記信号の送信動作に前記本体部の前記発光手段の点灯または消灯動作と前記監 視部の前記画像入力手段の動作とが同期し、前記画像入力手段は前記発光手段が点灯している画像と消灯している画像の2つの画像データを入力し、前記位置認識手段がこの2つの画像データの差分をとって前記発光手段の画像面に対する位置を検出し、この位置に基いた前記位置関連情報を前記送信手段により前記本体部の前記受信手段に送信し、前記走行制御手段は前記受信手段からの前記位置関連情報をもとに前記走行手段と前記操舵手段の制御を行い移動する移動作業ロボットとするもので、監視部の送信手段から送信された信号に本体部の発光手段と監視部の画像入力手段とを同期動作させ、この画像入力手段が入力した発光手段の点灯状態と消灯状態の2つの画像を位置認識手段が比較することにより発光手段の位置を確実に特定できる。また本体外部の監視部から得られた位置関連情報に基づいて移動するから、位置計測誤差が累積せず広い移動領域でも確実に移動できる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、本体部の発光制御手段は、受信手段が監視部の送信手段から信号を受信する毎に発光手段の点灯と消灯を交互に行なうもので、発光手段を交互に点滅させるタイミングを送信手段からの信号と同期させることができ、点灯と消灯の動作を数10msec毎に繰り返すといった早い点滅動作を行うことができる。
【0008】
請求項3に記載した発明は、本体部に複数の発光手段を有し、発光制御手段は、受信手段が監視部の送信手段から信号を受信する毎に発光手段のいずれか1つの点灯とすべての消灯を交互に行なうもので、発光手段が複数の場合でもそれぞれの発光手段が1つだけ点灯しているときと消灯しているときの2つの画像が得られるので複数の発光手段のそれぞれの位置を検出し正確に認識できる。また、信号を受信する毎に発光手段のいずれか1つの点灯とすべての消灯を交互に行なう動作を数10msec毎に繰り返すことにより、本体部が走行中であっても複数の発光手段の各々の位置が検出できる。
【0009】
請求項4に記載した発明は、本体部に複数の発光手段を有し、監視部の位置認識手段は、画像入力手段が入力した画像より認識した前記複数の発光手段のそれぞれの位置から本体部が向いている方向を算出して位置関連情報とするもので、本体部の位置座標だけでなく方向も常に認識できる。
【0010】
請求項5に記載した発明は、監視部の位置認識手段は、画像入力手段が入力した画像より認識した発光手段の位置の時間的変化から本体部が向いている方向を算出して位置関連情報とするもので、監視部の画像入力手段が1つの発光手段の画像しか入力できなくても本体部の方向が推定できる。
【0011】
請求項6に記載した発明は、監視部の位置認識手段は、画像入力手段が入力した画像より認識した発光手段の位置を画像面に対する位置座標として検出し位置関連情報とするもので、本体部の走行制御手段はこの位置座標の位置関連情報に基づいて走行手段と操舵手段とを制御し本体部の走行制御が行なえる。
【0012】
請求項7に記載した発明は、監視部の位置認識手段は、本体部の位置および本体部が向いている方向から目標位置に対する偏差情報を算出して位置関連情報とするもので、本体部の走行制御手段はこの目標位置に対する偏差がなくなるように走行手段と操舵手段とを制御することにより本体部を目標どおりに制御できる。
【0013】
請求項8に記載した発明は、本体部の発光手段は、赤外光を発光するランプまたはLEDからなるもので、監視部の画像入力手段は照明や太陽光などの外乱光の影響を受けにくく、より確実に発光手段の画像を入力できる。
【0014】
請求項9に記載した発明は、監視部の送信手段は、電波または光または超音波を用いて信号を送信するもので、監視部と本体部との物理的な接続がなく本体部の移動動作に制約 がない。
【0015】
請求項10に記載した発明は、作業要素を、塵埃を吸引する電動送風機と、前記電動送風機の吸引作用を受ける吸込具としたもので、移動しながら床面の塵埃を吸引して清掃が行なえる。
【0016】
請求項11に記載した発明は、作業要素を、塵埃を吸引する電動送風機と、前記電動送風機の吸引作用を受ける吸込具と、吸込具に設けた塵埃掻き上げ用の回転ブラシとしたもので、移動しながら床面の塵埃を掻き上げつつ吸引して清掃が行なえる。
【0017】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の実施例を自走式掃除機に応用した場合を例にとって、図1〜5に基づいて説明する。
【0018】
図1に本実施例の全体外観構成を示す。1は移動しながら清掃を行なう本体部で、清掃領域の床面A上を移動する。2は本体部1を監視する監視部で、清掃領域の天井部に設置され床面A全体を監視するようになっている。
【0019】
本体部1の構成を図2に示す。3,4は左右の駆動モータで、それぞれの出力軸は左右の減速機5,6を介して左右の走行輪7,8を駆動する。この左駆動モータ3と右駆動モータ4を独立に回転制御することにより本体部1を移動させると共に移動方向を変えることができるもので、走行手段および操舵手段を兼ねている。9は各種入力に応じて左右の駆動モータ3,4を制御し本体部1の走行制御を行なう走行制御手段で、マイクロコンピュータおよびその他制御回路からなる。10,11は本体部1の上面に取付けたランプやLED等からなる発光手段で、回路基板12の発光制御手段12aにより点滅制御される。発光手段10,11には赤外光を発光するものを使用している。この発光手段10,11は左右の走行輪7,8の近くに、本体部1の左右対称位置に1個ずつ設けている。13,14は障害物検知センサで、本体部1の前方および側方の障害物までの距離を光により検知するようになっている。15は床面を掃除する清掃ノズルで、吸込み口には回転ブラシなどからなるアジテータ16が設けられ、ファンモータ17で発生させた真空圧によりゴミを吸引する。前記アジテータ16はノズルモータ18により伝動ベルト19を介して回転駆動される。20は電池などからなる電源で、本体部1内に電力を供給する。
【0020】
監視部2は、図3のシステム構成図に示すように、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子とレンズなどからなる画像入力手段21が設けられ、本体部1の発光手段10,11を含む床面A全体の画像を入力する。画像入力手段21のレンズ部には赤外光だけをよく通すフィルタが設けられ、発光手段10,11以外から入力される光をできるだけ遮断して、照明や太陽光などの影響を受けにくくしている。この画像入力手段21の画像データは位置認識手段22で演算処理され、その結果を送信手段23により本体部1に送信する。この送信データは本体部1の回路基板12の受信手段12bにより受信される。本実施例では、この監視部2と本体部1との通信には電波24を用いた無線方式にしている。25,26はそれぞれに設けた電波送受信用のアンテナである。監視部2の電源は、図1に示すように監視部2に太陽電池27を設けて外光によるこの起電力を二次電池(図示していない)に充電するように構成し、この二次電池から供給している。これにより商用電源などからの配線工事が不要になり、また電池交換の手間もかからない。
【0021】
次に、監視部2が本体部1の位置と方向を検出する動作について説明する。
【0022】
前述したように、監視部2は清掃領域の天井部などの床面A全体を見渡す位置に設置され、画像入力手段21により本体部1の発光手段10,11を含む床面A全体の画像を入力する。したがって、例えば本体部1が停止した状態で発光手段10のみが点灯している場合は、画像入力手段21には発光手段10が点灯している本体部1および床面Aやその周辺の画像が入力される。一般的には、この画像データから発光手段10を特定する方法としては、(1)発光手段10の輝度を周辺より大きくして、輝度が所定閾値以上のデータを探す。(2)発光手段10の発光色を独特のものとして、その色データを探す。(3)発光手段10の形状を独特のものとして、その形状データを探す。等が考えられるが環境変化への対応が困難だったり画像処理演算に時間を要するなどの課題があった。本発明ではこの課題を解決するために本体部1の発光手段10と監視部2の画像入力手段21とを同期動作させて確実に発光手段10を特定する方法を提案するものである。本実施例では、発光手段10が点灯している画像と発光手段10が消灯している画像の2つの画像データを入力し、位置認識手段22がこの両データの差分をとって発光手段10の画像を抽出し、画像面に対する位置座標を検出する。そして、この検出位置に基いた情報を送信手段23により本体部1の受信手段12bに送信するものである。
【0023】
図4は、本体部1において発光制御手段12aが発光手段10,11を点滅させるタイミングを示すものである。まず送信手段23から送信された情報信号28を受信手段12bが受信すると発光制御手段12aは発光手段10のみを点灯状態29にする。監視部2の画像入力手段21は、送信手段23が送信動作を行なう毎に画像を入力するようになっており、このとき発光手段10のみが点灯している画像を入力する。次に情報信号30を受信手段12bが受信すると発光制御手段12aは発光手段10と11の両方を消灯状態31にする。このとき画像入力手段21は発光手段10と11の両方が消灯している画像を入力する。上記2つの画像データから発光手段10の位置が検出できる。同様に、情報信号32を受信すると発光手段11のみを点灯状態33にし、次に情報信号34を受信すると発光手段10と11の両方を消灯状態35にする。このそれぞれの状態の画像データから発光手段11の位置が検出できる。このような動作を数10msec毎に繰り返すことにより、本体部1が走行中であっても発光手段10と11の位置が検出できるものである。
【0024】
送信手段23から送信される情報信号について述べる。本実施例では、上述したように発光手段10と11の2つの位置座標が検出できるから、まずこの2点の重心の位置座標を求める。発光手段10,11は左右の走行輪7,8の近くに左右対称に設けているのでこの重心位置は本体部1の移動重心に近くなる。すなわち、本体部1の方向転換などによる回転成分が入らず処理がしやすくなる。次に発光手段10と11の2つの位置座標から本体部1の向いている方向を求める。さらに、上記本体部1の位置座標と方向とから、あらかじめ設定された目標地点までの偏差を求める。すなわち、現時点で本体部1を左右どの方向に向け、どれだけの距離を移動すべきかを計算する。これらの、本体部1の位置座標、方向、目標位置に対する偏差、の3種類のデータを時と場合に応じて情報信号として送信する。移動作業ロボットではデータのリアルタイム性が要求されるが、位置座標と方向データの両方を送信するより偏差データのみを送信する方が通信時間が短縮され、サンプリング周期を短くできるという効果を奏する。
【0025】
以上のような構成において、本実施例の全体動作について説明する。
【0026】
図5に示すように、清掃領域の床面Aのスタート点に本体部1を置き、運転を開始させる。本体部1は障害物検知センサ13,14で周囲の障害物を検知し、走行制御手段9が左右の駆動モータ3,4を回転制御して移動を始める。同時に清掃ノズル15のノズルモータ18およびファンモータ17が作動し、アジテータ16で床面のゴミを掻き上げながら吸引して清掃を行なう。最初は、移動経路aのように障害物検知センサ13,14で本体部1右側の壁までの距離を測定しながら壁沿い走行を行なう。このときは、監視部2からは本体部1の位置座標データが情報信号として送信され、走行制御手段9の内部で移動マップとして記憶される。そして、壁際の障害物40などを回避しながら清掃領域の外周を一周すると、移動マップでこれが認識されるから、次は移動経路bのように清掃領域内部の清掃動作モードに切り替わる。上記移動マップは監視部2の位置認識手段22の内部でも同様に作成されており、この動作モードでは、監視部2からは目標地点までの偏差データが情報信号として送信される。走行制御手段9はこの偏差データをもとに、障害物検知センサ13,14からの入力を処理しながら走行制御を行ない、本体部1は図5に示すような移動軌跡で作業を行なう。例えば、清掃領域の中央部に障害物41がある場合は、まず障害物41の片側だけ作業を行ない、反対側が未清掃であることは移動マップで認識できるから、あとでその部分の清掃を行なうようにしている。このようにして、移動マップ上で未清掃箇所がなくなった地点(c点)で本体部1は停止し、運転を終了するものであり、清掃領域の床面A全体の掃除が自動的に行なえる。
【0027】
なお、本実施例では、発光手段10,11を左右の走行輪7,8の近くに本体部1の左右対称位置に1個ずつ設けているが、その他の位置に設けても位置認識手段22の演算処理は異なるが同様の動作が可能である。また、3個以上の発光手段を設けても同様である。
【0028】
また、本実施例では、この監視部2と本体部1との通信に電波を用いているが、光や超音波などを用いた他の無線方式であっても同様の動作が実現できる。
【0029】
以上のように本実施例によれば、本体部1の発光制御手段12aは受信手段12bが受信した信号に応じて発光手段10,11の点滅を行ない、監視部2の画像入力手段21はこれと同期して画像を入力するから、位置認識手段22は複雑な演算処理をすることなく2つの発光手段10,11の画像面に対する位置座標を確実に検出できる。したがって、本体部1の外部から見た位置と方向の情報が同時にしかも短周期に得られるから、広い清掃領域を移動する場合でも移動経路のずれが少なく、掃除のやり残しや正常な終了ができないことがなくなるものである。
【0030】
(実施例2)
実施例1では、本体部1に2つの発光手段10,11を設けた場合について説明したが、発光手段を1つだけ設けた実施例について説明する。
【0031】
基本的な構成は実施例1と同様であるが、本体部の発光制御手段で制御される発光手段が1個しかないことだけが実施例1と異なる。システム構成としては、図3において発光手段10だけがあり発光手段11がない場合であり、以下の説明には構成部品の名称や符号は実施例1と同じものを用いる。
【0032】
図6は、本体部1において発光制御手段12aが発光手段10を点滅させるタイミングを示すものである。まず監視部2の送信手段23から送信された情報信号50を受信手段12bが受信すると発光制御手段12aは発光手段10を点灯状態51にする。監視部2の画像入力手段21は、送信手段23が送信動作を行なう毎に画像を入力するようになっており、このとき発光手段10のみが点灯している画像を入力する。次に情報信号52を受信手段12bが受信すると発光制御手段12aは発光手段10を消灯状態53にする。このとき画像入力手段21は発光手段10が消灯している画像を入力する。位置認識手段22が上記2つの画像データの差分をとって発光手段10の画像を抽出し、画像面に対する位置座標を検出する。この動作を繰り返し行なうことにより、本体部1が走行中であっても発光手段10の位置が検出できる。そして位置認識手段22は上記のように発光手段10の位置座標を検出すると同時にこれを記憶しておき、次に新たに検出した位置座標との差から発光手段10の移動方向を算出し記憶する。当然ながら本体部1が途中で停止した場合は発光手段10の位置座標に変化がないから移動方向は算出できないが、そのときはそれ以前に算出した値をその時点の値として記憶しておく。
【0033】
監視部2の送信手段23から本体部1の受信手段12bへ送信される情報信号については、上述した発光手段10の位置座標と移動方向、そして、この発光手段10の位置座標と移動方向とから求めた目標地点までの偏差、の3種類のデータを場合に応じて用いる。
【0034】
このように発光手段10が1つだけの場合は本体部1が向いている方向を瞬時に知ることはできないが、本体部1が移動中であればその方向が推定できるから、精度は悪くなるが実施例1と同様の動作が可能となる。また、逆に発光手段10を1つだけにすれば、2つある場合より位置認識手段22の位置座標の検出周期が半減するというメリットは生じる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1に記載した発明は、走行手段と操舵手段と走行制御手段と発光手段と作業要素とを設けた本体部と、前記本体部の移動を外部から監視する監視部を備え、前記監視部には前記本体部の移動領域の画像を入力する画像入力手段とこの画像入力手段が入力した画像から前記本体部の前記発光手段の位置を認識する位置認識手段と前記発光手段を点灯または消灯させる信号および前記位置認識手段からの位置関連情報を前記本体部に送信する送信手段とを有し、前記本体部には前記送信手段からの信号を受信する受信手段と前記発光手段を制御する発光制御手段とを有し、この発光制御手段は前記受信手段が前記送信手段から受信した信号を受けて前記発光手段の点灯と消灯を制御するとともに、前記送信手段による前記信号の送信動作に前記本体部の前記発光手段の点灯または消灯動作と前記監視部の前記画像入力手段の動作とが同期し、前記画像入力手段は前記発光手段が点灯している画像と消灯している画像の2つの画像データを入力し、前記位置認識手段がこの2つの画像データの差分をとって前記発光手段の画像面に対する位置を検出し、この位置に基いた前記位置関連情報を前記送信手段により前記本体部の前記受信手段に送信し、前記走行制御手段は前記受信手段からの前記位置関連情報をもとに前記走行手段と前記操舵手段の制御を行い移動する移動作業ロボットとするもので、監視部の送信手段から送信された信号に本体部の発光手段と監視部の画像入力手段とを同期動作させ、この画像入力手段が入力した発光手段の点灯状態と消灯状態の2つの画像を位置認識手段が比較することにより発光手段の位置を確実に特定できる。また本体外部の監視部から得られた位置関連情報に基づいて移動するから、位置計測誤差が累積せず広い移動領域でも確実に移動できる移動作業ロボットが実現できるものである。
【0036】
請求項2に記載した発明は、本体部の発光制御手段は、受信手段が監視部の送信手段から信号を受信する毎に発光手段の点灯と消灯を交互に行なうもので、発光手段を交互に点滅させるタイミングを送信手段からの信号と同期させることができ、点灯と消灯の動作を数10msec毎に繰り返すといった早い点滅動作を行うことができる移動作業ロボットが実現できるものである。
【0037】
請求項3に記載した発明は、本体部に複数の発光手段を有し、発光制御手段は、受信手段が監視部の送信手段から信号を受信する毎に発光手段のいずれか1つの点灯とすべての消灯を交互に行なうもので、発光手段が複数の場合でもそれぞれの発光手段が1つだけ点灯しているときと消灯しているときの2つの画像が得られるので複数の発光手段のそれぞれの位置を検出し正確に認識できる。また、信号を受信する毎に発光手段のいずれか1つの点灯とすべての消灯を交互に行なう動作を数10msec毎に繰り返すことにより、本体部が走行中であっても複数の発光手段の各々の位置が検出できる移動作業ロボットが実現できるものである。
【0038】
請求項4に記載した発明は、本体部に複数の発光手段を有し、監視部の位置認識手段は、画像入力手段が入力した画像より認識した前記複数の発光手段のそれぞれの位置から本体部が向いている方向を算出して位置関連情報とするもので、本体部の位置座標だけでなく方向も常に認識できる移動作業ロボットが実現できるものである。
【0039】
請求項5に記載した発明は、監視部の位置認識手段が、画像入力手段が入力した画像より認識した発光手段の位置の時間的変化から本体部が向いている方向を算出して位置関連情報とするもので、監視部の画像入力手段が1つの発光手段の画像しか入力できなくても本体部の方向が推定できる移動作業ロボットが実現できるものである。
【0040】
請求項6に記載した発明は、監視部の位置認識手段が、画像入力手段が入力した画像より認識した発光手段の位置を画像面に対する位置座標として検出し位置関連情報とするもので、本体部の走行制御手段はこの位置座標の位置関連情報に基づいて走行手段と操舵手段とを制御し本体部の走行制御が行なえる移動作業ロボットが実現できるものである。
【0041】
請求項7に記載した発明は、監視部の位置認識手段が、本体部の位置および本体部が向いている方向から目標位置に対する偏差情報を算出して位置関連情報とするもので、本体部の走行制御手段はこの目標位置に対する偏差がなくなるように走行手段と操舵手段とを制御することにより本体部を目標どおりに制御できる移動作業ロボットが実現できるものである。
【0042】
請求項8に記載した発明は、本体部の発光手段が、赤外光を発光するランプまたはLEDからなるもので、監視部の画像入力手段は照明や太陽光などの外乱光の影響を受けにくく、より確実に発光手段の画像を入力できる移動作業ロボットが実現できるものである。
【0043】
請求項9に記載した発明は、監視部の送信手段が、電波または光または超音波を用いて信号を送信するもので、監視部と本体部との物理的な接続がなく本体部の移動動作に制約がない移動作業ロボットが実現できるものである。
【0044】
請求項10に記載した発明は、作業要素を、塵埃を吸引する電動送風機と、前記電動送風機の吸引作用を受ける吸込具としたもので、移動しながら床面の塵埃を吸引して清掃が行なえる移動作業ロボットが実現できるものである。
【0045】
請求項11に記載した発明は、作業要素を、塵埃を吸引する電動送風機と、前記電動送風機の吸引作用を受ける吸込具と、吸込具に設けた塵埃掻き上げ用の回転ブラシとしたもので、移動しながら床面の塵埃を掻き上げつつ吸引して清掃が行なえる移動作業ロボットが実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例である自走式掃除機の外観斜視図
【図2】 同本体部の内部を透視した斜視図
【図3】 同システム構成を示すブロック図
【図4】 同本体部の発光手段の動作を示すタイミングチャート
【図5】 同清掃動作を示す動作説明図
【図6】 本発明の第2の実施例の本体部の発光手段の動作を示すタイミングチャート
【符号の説明】
1 本体部
2 監視部
3,4 駆動モータ
7,8 走行輪
9 走行制御手段
10,11 発光手段
12a 発光制御手段
12b 受信手段
21 画像入力手段
22 位置認識手段
23 送信手段
Claims (11)
- 走行手段と操舵手段と走行制御手段と発光手段と作業要素とを設けた本体部と、前記本体部の移動を外部から監視する監視部を備え、前記監視部には前記本体部の移動領域の画像を入力する画像入力手段とこの画像入力手段が入力した画像から前記本体部の前記発光手段の位置を認識する位置認識手段と前記発光手段を点灯または消灯させる信号および前記位置認識手段からの位置関連情報を前記本体部に送信する送信手段とを有し、前記本体部には前記送信手段からの信号を受信する受信手段と前記発光手段を制御する発光制御手段とを有し、この発光制御手段は前記受信手段が前記送信手段から受信した信号を受けて前記発光手段の点灯と消灯を制御するとともに、前記送信手段による前記信号の送信動作に前記本体部の前記発光手段の点灯または消灯動作と前記監視部の前記画像入力手段の動作とが同期し、前記画像入力手段は前記発光手段が点灯している画像と消灯している画像の2つの画像データを入力し、前記位置認識手段がこの2つの画像データの差分をとって前記発光手段の画像面に対する位置を検出し、この位置に基いた前記位置関連情報を前記送信手段により前記本体部の前記受信手段に送信し、前記走行制御手段は前記受信手段からの前記位置関連情報をもとに前記走行手段と前記操舵手段の制御を行い移動する移動作業ロボット。
- 発光制御手段は、受信手段が監視部の送信手段から信号を受信する毎に発光手段の点灯と消灯を交互に行なう請求項1に記載の移動作業ロボット。
- 本体部に複数の発光手段を有し、発光制御手段は、受信手段が監視部の送信手段から信号を受信する毎に前記発光手段のいずれか1つの点灯とすべての消灯を交互に行なう請求項1記載の移動作業ロボット。
- 本体部に複数の発光手段を有し、監視部の位置認識手段は、画像入力手段が入力した画像より認識した前記複数の発光手段のそれぞれの位置から本体部が向いている方向を算出して位置関連情報とする請求項3記載の移動作業ロボット。
- 監視部の位置認識手段は、画像入力手段が入力した画像より認識した発光手段の位置の時間的変化から本体部が向いている方向を算出して位置関連情報とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動作業ロボット。
- 監視部の位置認識手段は、画像入力手段が入力した画像より認識した発光手段の位置を画像面に対する位置座標として検出し位置関連情報とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動作業ロボット。
- 監視部の位置認識手段は、本体部の位置および本体部が向いている方向から目標位置に対する偏差情報を算出して位置関連情報とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の移動作業ロボット。
- 本体部の発光手段は、赤外光を発光するランプまたはLEDとした請求項1〜7のいずれか1項に記載の移動作業ロボット。
- 監視部の送信手段は、電波または光または超音波を用いて信号を送信する請求項1〜8のいずれか1項に記載の移動作業ロボット。
- 作業要素を、塵埃を吸引する電動送風機と、前記電動送風機の吸引作用を受ける吸込具とした請求項1〜9のいずれか1項に記載の移動作業ロボット。
- 作業要素を、塵埃を吸引する電動送風機と、前記電動送風機の吸引作用を受ける吸込具と、吸込具に設けた塵埃掻き上げ用の回転ブラシとした請求項1〜10のいずれか1項に記載の移動作業ロボット。
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