JP3720457B2 - コンバインにおける刈高さ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインにおける刈取前処理装置の対地高さを超音波センサにて検出して、予め設定された刈高さとなるように刈取前処理装置を昇降制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、コンバインにおける刈取り高さ検出装置として、特開昭58−142279号公報に開示されているように、非接触式の超音波センサを使用して、対地高さを検出することが行われている。
この種の超音波センサでは、短いパルス状の発信波を地面に向かって発射し、その反射波を受信器にて受信し、超音波の発信時からその反射波を受信器に受信するまでの時間長さの計測にて対地高さを検出するのであり、一回当たりに時間的に極短い(msec.)パルス状の超音波の発信波を出すから、圃場面(地面)の極限られた点を検出することになるが、圃場面は泥土で、作業者の足跡が残っていたり、溝や亀裂があるため、検出値として高低の激しいノイズ信号となり易く、対地高さを誤りなく、正確に検出することができない。
【0003】
そのため、例えば特開昭58−82316号公報や特開昭60−259105号公報では、複数回測定した検出結果の平均値から対地高さを認識して、この平均値から設定刈高さになるように刈取前処理装置を油圧シリンダにて昇降制御することを提案している。
また、本出願人は先に、特開平6−296413号公報や特開平6−303816号公報にて、超音波センサにて対地高さを検出器すると共に、ファジィ推論のルールを適用して、前記油圧シリンダの作動出力信号を求めることを提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、制御装置による前記各処理にも拘らず、前記超音波センサによる検出出力にノイズがある等の異常な出力信号であるときには、正確な油圧シリンダの作動出力信号を求めることができないという問題は解決できなかった。
また、油圧シリンダやその制御弁等の油圧回路においては、環境温度により圧油の粘度が大きく変動したり、制御弁の作動特性の個体差により制御特性が変化するため、正確な刈高さ制御を安定してできないという問題もあった。
【0005】
本発明は、以上のような事態であっても、刈取前処理装置の対地高さを所定の状態に保持できるように、刈取前処理装置の昇降制御を円滑かつ正確に実行できるようにすることを解決すべき技術的課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、刈取前処理装置を走行機体に対して昇降油圧シリンダにより昇降動させるように構成し、刈取前処理装置に装着した超音波センサにて検出した対地高さ検出値に対応する操作指示量を演算し、これに基づいて前記昇降油圧シリンダを昇降制御するように構成してなるコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記走行機体と刈取前処理装置との間に設けた昇降ポジションセンサにて対機体昇降位置を適宜サンプリングタイミングにて検出し、前記刈高さ制御装置は、標準作業環境時における操作指示量に対応する単位時間当たりの標準対機体昇降位置変化率を予め記憶する記憶手段と、所定タイミング毎に演算した検知対機体昇降位置変化率と、前記標準対機体昇降位置変化率との偏差に基づいて、前記操作指示量に対する補正値を演算する演算手段とを備え、前記操作指示量を前記対機体昇降位置検出値にて補正するように制御するものである。
【0007】
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記演算手段により求めた補正値のうち少なくとも作業終了時の値を不揮発性メモリに格納させ、少なくとも作業再開時には、最新の補正値を適用するように構成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明を具体化した実施形態について説明すると、図1はコンバインの側面図を示し、コンバインの走行機体1は、それぞれ走行クローラ2を備えた左右一対の走行装置3に対して図示しない油圧シリンダを介して相対車高が調節可能に装着されており、走行機体1には、運転室4、脱穀装置5及び穀粒タンク6と、該穀粒タンク6から外に穀粒を搬送するための排出オーガ筒7等が備えられている。
【0010】
走行機体1の前部には、昇降油圧シリンダ9を介して刈取前処理装置8が昇降動可能に装着されており、刈取前処理装置8は下端を前方に上端を後方に傾斜配置させた穀稈引き起こし装置10と、その下端前方の分草体11と、穀稈引き起こし装置10の下部後方の刈取刃12と、穀稈搬送装置13等とからなり、図3及び図4に示すように、刈取前処理装置8に先端を装着した前方下向き傾斜状の昇降筒フレーム14の基端を水平筒15に固着し、該水平筒15を走行機体1の前部に設けた複数の軸受ブラケット16(一方を図示省略)に回動自在に軸支し、走行機体1上の図示しないエンジンからの動力を前記水平筒15及び昇降筒フレーム14の各々の内径部に配置した伝動軸17と19、傘歯車対18等を介して刈取前処理装置8の各部に動力伝達される。そして、昇降筒フレーム14の中途部と走行機体1との間に装架した昇降油圧シリンダ9にて刈取前処理装置8を昇降駆動させるものである。
【0011】
刈取前処理装置8と圃場面21との対地高さを検出するための超音波センサ20は、前記穀稈引き起こし装置13の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置し、図5に示すように、超音波センサ20における発信器20aの発信部(ホーン部)と受信器20bの受信部とを圃場面21に向けるように配置する。
昇降ポジションセンサ22は、走行機体1と刈取前処理装置8との相対高さを検出するためのものであり、本実施例では、図3及び図4に示すように、前記軸受ブラケット16に固定した回動ポテンショメータ式の昇降ポジションセンサ22の感知回動アーム23を、水平筒15の外面に固着したセンサ軸24に当接させ、水平筒15の回動角度θを検出することにより、昇降筒フレーム14の回動角度、ひいては走行機体1に対する刈取前処理装置8の昇降位置(対機体昇降位置)を検出できるようになっている。
【0012】
図5は、本発明の刈高さ制御装置40の機能ブロック図を示し、該制御装置40は、マイクロコンピュータ等の電子式制御装置であり、図示しないが各種演算処理や制御を実行するための中央処理装置(CPU)や、制御プログラムを記憶させた読み出し専用メモリ(ROM)、各種の検出値、データ等を一時的に記憶させる随時読み書き可能メモリ(RAM)、制御装置の電源をOFFとしても記憶データを保持するための不揮発性メモリ、タイマ機能としてのクロック、インターフェイス、バスなどを備える。
【0013】
超音波センサ20における発信器20aには制御装置40からの指令により発信駆動回路41を介して適宜時間間隔T1にて超音波を発信し、被検出物等にて反射された反射波は受信器20bで受信し、その検出信号は受信増幅回路42を介して制御装置40に入力する。前記昇降ポジションセンサ22の検出信号もA/D変換器を介して前記時間間隔T1ごとに制御装置40に入力する。
【0014】
また、刈高さ設定器25、刈取脱穀作業を手動モードで行うときの手動スイッチ43、同じ作業を自動制御モードにするときの自動スイッチ44、さらに前記手動で実行するとき、刈取前処理装置8を手動にて細かく昇降操作するためのジョイスティック45の各信号もそれぞれ制御装置40に入力される。ジョイスティック45の操作レバーは前後傾動可能で中立位置に自動復帰するように付勢され、操作レバーを前方向に傾倒している間は最小速度で下降継続し、後傾している間は最小速度で上昇継続する。
【0015】
また、前記制御装置40では、後述する所定の演算結果に応じて所定の昇降指令信号を第1駆動回路46と第2駆動回路47とに出力し、第1駆動回路46からの出力に応じて油圧回路48における油圧切換弁49の電磁ソレノイド49a,49bを作動させる一方、第2駆動回路47からの出力に応じて高速応答電磁弁の一例である電磁比例減圧弁50の電磁ソレノイド50aを作動させて、刈取前処理装置8の昇降のための単動油圧シリンダ9を作動させるのである。
【0016】
図5に示す油圧回路48では、前記単動式の昇降油圧シリンダ9及び左右の走行装置3と走行機体1との左右相対車高を制御するための左右一対のローリング制御用油圧シリンダ(図示せず)に対する油圧制御弁51等にも圧油を供給する。
この場合、図5に示すように、油圧回路48の油圧ポンプ52から油圧切換弁49への給油路53中に、リリーフ弁54を介挿する。4ポート3位置切換電磁式の油圧切換弁49の出力ポートから単動油圧シリンダ9への油圧管途中には、逆止弁55、及びスローリターンチェック弁56を接続する。なお、油圧切換弁49の他の出力ポートからは他の油圧制御弁51に同時に給油するように構成されている。
【0017】
前記油圧管の逆止弁55とスローリターンチェック弁56との間に接続した戻油管57には、前記単動油圧シリンダ9のピストンロッド下降用の可変絞り弁58と緊急下降弁59とを並列接続する。この可変絞り弁58は、2ポート2位置切換型のバルブであって、そのパイロットポートには、前記の高速応答電磁弁の1例としての、電磁比例減圧弁50の出力ポートを接続する。
【0018】
そして、刈取前処理装置昇降用の油圧シリンダ9の作動制御は次のように実行する。即ち、電磁式の油圧切換弁49を切換て油圧シリンダ9を伸長させる場合には、電磁ソレノイド49aをパルス幅変調制御(PWM)にて作動させると、電磁比例減圧弁50によって適宜油圧に調整されたパイロット圧が可変絞り弁58に作用し、可変絞り弁58の絞り度合いが任意に変化し、戻油管57から油タンク60にドレンされる。その場合、可変絞り弁58の絞り度合いに応じて油圧シリンダ9の作動速度が調節される。
【0019】
また、油圧シリンダ9を縮小させる場合には、油圧切換弁49を中立にし、電磁比例減圧弁50を前記と同様にパルス幅変調制御(PWM)方式にて作動させ、そのパイロット圧の調節にて可変絞り弁58の絞り開度を調節し、これにより油圧シリンダ9の作動速度を調節する。
次に、制御装置40での刈高さの操作指令量決定制御について、図7のメインフローチャートを参照しながら説明すると、制御装置40から出る駆動パルスP1にて駆動回路41を作動させて発信器20aから所定の時間間隔T1ごと(実施例では100ms ごと) に、デューティ区間T2の発信波P2(P2<P1)を出力する。受信器20bでは、前記発信器20aからの発信波P2が地面に反射して、発信波P2の発射開始時点からの適宜時間T3後に受信波P3を受信する。
【0020】
この検出信号P3の各回ごとの検出値Kを読み取って制御装置40内のメモリに記憶するのである(S1)。他方、刈高さ設定器25にて設定された目標刈高さ値Gを読み出す(S2 )。
次いで、刈高さ設定値Gに対する前記刈高さの検出値Kの偏差量D(=K−G)を演算する一方(S3)、この偏差量Dの1階差分量ΔD(=Dn+1 −Dn ) を演算し(ステップS4)、これらの値を再度記憶し(ステップS5)、さらに、制御装置40の図示しないROMに予め記憶させたファジィ推論規則テーブル(図7参照)を使って、前記偏差量と1階差分量とを変数入力とし、操作指示量Xを出力するように演算し(ステップS6)、この操作指示量の大小に応じて前記刈取前処理装置8を昇降操作するように制御するものである(ステップS7)。
【0021】
以下に刈取前処理装置8の昇降制御について、詳述すると、偏差量Dの一階差分量ΔDは、前記サンプリング時間(実施例では100msec.) 毎の偏差量Dの変化率ということになる。前記偏差量Dと1階差分量ΔDとを変数入力とし、操作指示量Xを出力とするファジィ推論規則テーブル(図7参照)を作成しておき、このファジィ推論規則テーブルを参照して、操作指示量Xを求める。
【0022】
この場合、ファジィ推論規則テーブルの前記2つの変数入力(偏差量D及び1階差分量ΔD)を、それぞれ15の段階(要素)に割り振りするため、以下に示すような準備操作を実行する。
即ち、先ず偏差量Dを規格化した台集合U〔0,1,2,‥‥14〕の15個の要素へ割り当てる。そのとき、15個の要素のうちの中央の要素「U7」を基準として大小関係を決定すべく、まず偏差量Dの正負を判別する。偏差量Dが正の場合は、偏差量Dの値を10分の1に圧縮して値D′を求め、要素U←U7+D′の演算を実行する。
【0023】
偏差量Dが負の場合、偏差量Dの値を10分の1に圧縮して値−D′を求め、さらに、要素U←U7−D′の演算を実行し、これにより、偏差量Dは規格化した台集合Uの各要素に割当られる。
従って、要素U7に近い部分では、刈取前処理装置8の高さ位置と設定刈高さとの差異が少ないことを示し、要素U0に近い側では、刈取前処理装置8が設定刈高さより地面に大きく接近している。また、要素U14に近づくと、設定刈高さに対して刈取前処理装置8が地面から大きく離れていることを示すことになる。
【0024】
次に、1階差分量ΔDについても、規格化した台集合V〔0,1,2,‥‥14〕の15個の要素へ割り当てる。そのとき、15個の要素のうちの中央の要素「V7」を基準として大小関係を決定すべく、まず1階差分量ΔDの正負を判別する。1階差分量ΔDが正の場合は、1階差分量ΔDの値を10分の1に圧縮して値ΔD′を求め、要素V←V7+ΔD′の演算を実行する。
【0025】
1階差分量ΔDが負の場合、1階差分量ΔDの値を10分の1に圧縮して値−ΔD′を求め、さらに、要素V←V7−ΔD′の演算を実行する。これにより、1階差分量ΔDは規格化した台集合Vの各要素に割当られる。
この台集合Vの要素のうち、V7の近辺では、刈取前処理装置8の昇降変動(変化率)が小さいということを示し、V0に近づくと、刈取前処理装置8が地面に接近する度合いが速いということであり、逆にV14に近づくと、刈取前処理装置が地面から離れる度合いが速いということである。
【0026】
このように前記の2組の台集合の要素を確定して、図7のファジィ推論規則テーブルにおいて、前記要素の交点である操作指示量X(メンバーシップ値)を求める。この操作指示量Xは、−10から10までの整数値で17段階であり、値0では昇降なし、正値では刈取前処理装置8の上昇指令、負値は刈取前処理装置8の下降指令である。
【0027】
次に、油圧回路48の油温や油圧切換弁49の特性等による、前記刈高さ制御誤差の補正を実行するため、予め、作業標準気温や油温における、前記操作指示量Xと、それによる刈取前処理装置8の昇降制御を所定時間(実施例では100msec.)だけ実行したときの、昇降ポジションセンサ22の検出値(対機体昇降位置)の変化率Yとのマップ(図8参照)を作成して、制御装置40のメモリ(不揮発性メモリ)に記憶させておく。
【0028】
続いて、図9のサブルーチンフローチャートに示すように、スタートに続いて、実際の作業時における操作指示量Xを読み込み(S10)、さらに、その実際の作業時における昇降ポジションセンサ22の検出値から変化率yを演算し(S11)、前記図7のマップからXのときの標準変化率Yを読み出す(S12)。そして、標準変化率Yと実際の変化率yとの偏差Δy(=Y−y)を演算する(S13)。
【0029】
次いで、制御補正量Δx(=Δy×補正定数+補正オフセット値)を演算し(S14)、(補正後)操作指示量X←X+Δxに読み替えて(S15)、所定の昇降指令信号を駆動回路46,47に出力し、該駆動回路46,47からの出力に応じて油圧切換弁49の電磁ソレノイド及び減圧調節弁50の電磁ソレノイドを作動させて、刈取前処理装置8の昇降のための油圧シリンダ9を作動させるのである(S16)。
【0030】
このとき、補正後の操作指示量Xの整数値が+10の場合、油圧切替弁49の昇降側電磁ソレノイドを連続ON、−10の場合、下降側電磁ソレノイドを連続ONとし、操作指示量Xが9,8,6,5,4,3,2,1(正)では、その値の大きさに応じて、減圧調節弁50の電磁ソレノイドのON・OFFのデューティ比を変えて油圧タンクへの油戻り量を、「9」の場合少なく、「1」の場合多くなるように調節する。下降(操作指示量Xが9,8,6,5,4,3,2,1(負)の場合は、逆の調節となる。
【0031】
なお、前記S14で演算された制御補正量Δxは計算の都度新しい値として書き換え、刈取・脱穀作業終了時に、その最終値を不揮発性メモリにて保存し、作業再開時には、前記最終値を最初の制御補正量Δxとして用いることにより、例えば、短時間の作業中止後等、油温度の低下が少ない時に作業再開すると、正確な刈高さ昇降制御を続行させることができるのである。
【0032】
なお、前記油圧切換弁49、減圧調節弁50の電磁ソレノイドのON・OFFのデューティ比を変えて出力信号を制御するPMW制御(パルス幅変調制御)を実行する駆動回路46、47(図10参照)において、PMWの周期を2kHz 程度の高速のものとし、また、制御装置40からの出力信号をアナログ信号に変換するD/A変換器62から電流増幅回路63までの途中にディザ発生器64(発振器)にて発生させた小さなリップル振幅により直流出力電流に交流成分を付加(重畳)させて、油圧回路48中のパイロットスプールや、主スプールの静的摩擦を無くし、ヒステリシス特性を改善したり、微小な塵による制御不良も無くする。この場合、図11に示すように、ディザは、オンデューティ時間のうち10msec. 間隔毎に、ONデューティ比が大きい(Duty+Δα) と、ONデューティ比が少ない(Duty−Δα) とが交互に現れるようにする。また、油圧切換弁49、減圧調節弁50の電磁ソレノイドのON・OFFの一回当たりの作動時間を例えば150msec.で一定とするとき、そのうちのONデューティ区間を100msec.等で一定とし、OFFデューティ区間を車速に応じて長短調節するように制御すると、例えば、圃場面に亀裂や小さな凹凸の部分があってもこれに敏感に反応することなく、刈取前処理装置の昇降量およびその速度を抑えることができる。
【0033】
さらに、電流増幅回路63から油圧切換弁49、減圧調節弁50の電磁ソレノイドへの電流出力を、フイードバック補正回路65を介してA/D変換器62にフイードバックさせることにより、昇降油圧シリンダ9の作動をリアルタイムで前記出力信号に追従させることができる。
また、ジョイスティック45の操作レバーにて操作するとき、この操作レバーの傾動でONされている時間のみ上昇または下降するのであり、そのときの昇降速度を自動制御モードで実行するときのうち最小速度で且つPMWのデューティ比100%の連続出力となるよう設定すると、刈取前処理装置8の高さをオペレータの意思通りに微量操作できる。なお、複数のスイッチが同時(または略同時)に入力ささた場合の操作の優先順位は、手動スイッチ43のONにて手動モードで刈取前処理装置8を昇降させることを最優先とし、その次にジョイスティック45操作、最後に自動制御モードとなるように設定する。
【0034】
さらに、刈取前処理装置8に刈取られた穀稈を感知するときONとなる穀稈センサ(図示せず)を設け、この穀稈センサからの入力信号がOFFのときには、刈取脱穀作業実行していないと判断し、また、前記入力信号がONで且つ車速センサにより走行機体が所定距離までしか移動していない区間は作業開始時期と判断する。この刈取脱穀作業非実行及び作業開始時期では、前述の演算された結果の操作指示量Xの2倍の値を実際の操作指示量として昇降制御することにより、迅速な昇降動作を得ることができる。
【0035】
【発明の作用・効果】
以上に説明したように、請求項1に記載の発明よれば、刈取前処理装置を走行機体に対して昇降油圧シリンダにより昇降動させるように構成し、刈取前処理装置に装着した超音波センサにて検出した対地高さ検出値に対応する操作指示量を演算し、これに基づいて前記昇降油圧シリンダを昇降制御するように構成してなるコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記走行機体と刈取前処理装置との間に設けた昇降ポジションセンサにて対機体昇降位置を適宜サンプリングタイミングにて検出し、前記刈高さ制御装置は、標準作業環境時における操作指示量に対応する単位時間当たりの標準対機体昇降位置変化率を予め記憶する記憶手段と、所定タイミング毎に演算した検知対機体昇降位置変化率と、前記標準対機体昇降位置変化率との偏差に基づいて、前記操作指示量に対する補正値を演算する演算手段とを備え、前記操作指示量を前記対機体昇降位置検出値にて補正するように制御するものである。
【0036】
走行機体と刈取前処理装置との対機体昇降位置検出値は、対地高さ検出値よりも安定して検出でき、且つばらつきも少ないから、操作指示量を前記対機体昇降位置検出値にて補正すると、対地高さ検出値のみにて刈取前処理装置の昇降を制御するのに比べて、安定し、かつ正確な制御を実行できるのである。特に、超音波センサの受信信号にノイズが入った場合に、刈取前処理装置の昇降動作に乱れが発生するのを確実に防止することができる。
【0037】
その場合、請求項1に記載の発明では、前記刈高さ制御装置は、標準作業環境時における操作指示量に対応する単位時間当たりの標準対機体昇降位置変化率を予め記憶する記憶手段と、所定タイミング毎に演算した検知対機体昇降位置変化率と、前記標準対機体昇降位置変化率との偏差に基づいて、前記操作指示量に対する補正値を演算する演算手段とを備えたものである。
【0038】
従って、標準作業環境時における操作指示量に対応する単位時間当たりの標準対機体昇降位置変化率を予め記憶する記憶手段と、所定タイミング毎に演算した検知対機体昇降位置変化率と、前記標準対機体昇降位置変化率との偏差に基づいて、前記操作指示量に対する補正を実行すれば、油圧シリンダやその制御弁等の油圧回路において、環境温度により圧油の粘度が大きく変動したり、制御弁の作動特性が変化した場合にも、実際の作業環境に近い状態に補正できることになり、正確な刈高さ制御を安定して実行できるのである。
【0039】
そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置において、前記演算手段により求めた補正値のうち少なくとも作業終了時の値を不揮発性メモリに格納させ、少なくとも作業再開時には、最新の補正値を適用するように構成すれば、例えば短時間の作業中断後に作業再開しても、油温などの環境状態が作業の実体に近いから、補正値も実情にあったものを採用したことになり、正確な刈高さ制御を安定して実行できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンバインの側面視である。
【図2】 コンバインの平面図である。
【図3】 ポジションセンサの取付け位置を示す側面図である。
【図4】 ポジションセンサの取付け位置を示す平面図である。
【図5】 油圧回路及び制御手段の機能ブロック図である。
【図6】 制御のメインフローチャートである。
【図7】 ファジィ推論規則テーブルの説明図である。
【図8】 操作指示量と標準変化率との関係を示すマップである。
【図9】 サブルーチンフローチャートである。
【図10】 第2駆動回路47の機能ブロック図である。
【図11】 PMW信号の状態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 走行機体
3 走行装置
8 刈取前処理装置
9 昇降油圧シリンダ
20 超音波センサ
22 昇降ポジションセンサ
25 刈高さ設定器
40 制御装置
48 駆動回路
49 油圧切換弁
50 電磁比例減圧弁
Claims (2)
- 刈取前処理装置を走行機体に対して昇降油圧シリンダにより昇降動させるように構成し、刈取前処理装置に装着した超音波センサにて検出した対地高さ検出値に対応する操作指示量を演算し、これに基づいて前記昇降油圧シリンダを昇降制御するように構成してなるコンバインにおける刈高さ制御装置において、
前記走行機体と刈取前処理装置との間に設けた昇降ポジションセンサにて対機体昇降位置を適宜サンプリングタイミングにて検出し、
前記刈高さ制御装置は、標準作業環境時における操作指示量に対応する単位時間当たりの標準対機体昇降位置変化率を予め記憶する記憶手段と、所定タイミング毎に演算した検知対機体昇降位置変化率と、前記標準対機体昇降位置変化率との偏差に基づいて、前記操作指示量に対する補正値を演算する演算手段とを備え、
前記操作指示量を前記対機体昇降位置検出値にて補正するように制御することを特徴とするコンバインにおける刈高さ制御装置。 - 前記演算手段により求めた補正値のうち少なくとも作業終了時の値を不揮発性メモリに格納させ、少なくとも作業再開時には、最新の補正値を適用するように構成することを特徴とする請求項1に記載のコンバインにおける刈高さ制御装置。
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JP15797496A JP3720457B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | コンバインにおける刈高さ制御装置 |
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JP15797496A JP3720457B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | コンバインにおける刈高さ制御装置 |
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