JP3720306B2 - ビニールハウス栽培装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニールハウス内にベンチ式栽培槽を設け、この栽培槽内に収容した培養土により植物を栽培するようにしたビニールハウス栽培装置において、水溶液を有効に利用し、環境に優しい栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビニールハウス内にベンチ式栽培槽を設け、この栽培槽内に収容した培養土により植物を栽培するようにしたビニールハウス栽培装置が周知である。この栽培装置においては、肥料成分を含む水溶液を培養土に散布するだけであり、いわゆる垂れ流し状態である。また、水溶液は特に温度管理がなされていない。さらに、ビニールハウスのパイプ支柱に張設されるビニールシート(あるいは保温・防虫シート)は、1枚のシートを支柱上に蒲鉾状に張設し、ビニールハウス内の温度や日光の調節を行う際には、シートを裾側から上側に巻き上げ、下げて開閉するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のビニールハウス栽培装置においては、肥料成分を含む水溶液を培養土に対し垂れ流し状態に散布するので、周囲の環境を汚染する、という問題があった。また、培養土に散布される水溶液は温度管理がなされていないので、温度管理を必要とする植物に対しては温度管理上好ましくなかった。さらに、ビニールハウス内の温度や日光の調節を行う際に、シートを裾側から上側に巻き上げ、下げて開閉しているので、巻き上げたシートにより日陰ができて、植物に対し好ましくない、という問題もあった。一方、オランダでは環境基準制度があり、日本においても近く制度化されるものと思われる。また、環境保全農業(ひりょう、炭酸ガス、電力等)と省エネが見直されている。
本発明は上記の問題点を解決することを目的になされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を有する。
ビニールハウス内にベンチ式栽培槽を設け、この栽培槽内に収容した培養土により植物を栽培するようにしたビニールハウス栽培装置において、前記栽培槽の底部に、通水性を有する底部材を栽培槽の長さ方向に沿って連続して設け、該底部材の下方に水溶液を所定のレベルに保って循環させる水溶液槽を設け、この水溶液槽の水溶液上面と前記底部材との間に、水溶液を保温あるいは保冷するヒートパイプを配設し、上記ヒートパイプにより保温あるいは保冷された水溶液を、培養土の上部に設けた散水管を介して培養土に散水するようにしたことを特徴とする。
【0006】
【作用】
上記の構成を有することによって、本発明のビニールハウス栽培装置は、以下の作用をする。
【0007】
一つには、栽培槽の底部に、通水性を有する底部材を栽培槽の長さ方向に沿って連続して設け、該底部材の下方に水溶液を所定のレベルに保って循環させる水溶液槽を設け、この水溶液槽の水溶液上面と前記底部材との間に、水溶液を保温あるいは保冷するヒートパイプを配設することで、栽培槽に散布された水溶液のうち、余分なものは底部材を介して水溶液槽にもたらされて循環し、垂れ流しが防止されて環境に優しいものとなる。また、水溶液はヒートパイプにより保温あるいは保冷され、栽培槽に栽培された植物に好影響を与える。
【0008】
また、一つには、ヒートパイプにより保温あるいは保冷された水溶液を、培養土の上部に設けた散水管を介して培養土に散水するようにすることで、温度管理が必要な植物に対して好影響をもたらす。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1において、符号1はビニールハウスで、このビニールハウス1は、パイプ支柱2にビニールシート(または保温・防虫シート)3,4を左右両側から張設し、天井部で重ねられ、ビニールシート3,4の上端部に、シートの押さえ、開閉の際の取っ手となるシート保持部3a,4aを設けている。このシート保持部3a,4aは、ビニールハウス1内の温度や日光の調節を行う際に、ビニールシート3,4を天井部から両側方に向け開閉するのに用いられる。
【0010】
ビニールハウス1内にはベンチ式栽培槽5が設けられ、この栽培槽5内に収容した培養土6により植物Aが栽培される。該栽培槽5の底部には、通水性を有する合成樹脂製の網板からなる底部材7を、栽培槽5の長さ方向に沿って連続して設けている。該底部材7の下方に、水溶液9を収容して循環させる水溶液槽8を設けている。水溶液9の上面に排水管10が設けられていて、水溶液9を所定のレベルに保って循環させている。この水溶液槽8の水溶液9上面と前記底部材7との間に、水溶液9を保温あるいは保冷するヒートパイプ11を配設している。このヒートパイプ11は、断熱材からなるカバー体11aにより覆われている。
【0011】
前記ヒートパイプ11により保温あるいは保冷された水溶液9は、培養土6の上部に設けた散水管12,12を介して培養土6に散水される。この散水管12,12からの散水は、電子機器、タイマー等で自動化されている。また、培養土6の水分をセンサーにより検出して自動散布するようにしてもよいものである。その際、コンピュータプログラムを用いる。
【0012】
ヒートパイプ11は図2及び図3に示すように、パイプ11bの外周を保温材11cで覆った周知のものと同様のものである。このヒートパイプ11は、図3のように複数のものをガラス室13に収容して給水パイプ14から給水し、太陽熱を利用して昇温させるようにしてもよい。また、夜間とか、低温時には、電気温水器(タンク)15により昇温してタンクに貯留し。ビニールハウスのヒートパイプ供給管17を介して水溶液槽8内のヒートパイプ11に供給する。なお、日没と共にビニールハウス暖房管16を介してビニールハウス1内を暖気するようにしてもしてもよいものである。
【0013】
水溶液9を保温する場合の温度設定は30℃程度で十分で、ヒートパイプ11に35℃の温水を流すと保温材11cには約32℃で伝わり保温される。また、栽培槽5全体をシートで保温することにより、ビニールハウス1全体を暖める、または冷やすことなく植物(花や野菜)Aを温度管理栽培することができる。
【0014】
以上説明したように本発明の実施形態に係るビニールハウス栽培装置によれば、前述の構成を有することにより、以下の作用効果を奏することができる。
【0015】
栽培槽の底部に、通水性を有する底部材を栽培槽の長さ方向に沿って連続して設け、該底部材の下方に水溶液を所定のレベルに保って循環させる水溶液槽を設け、この水溶液槽の水溶液上面と前記底部材との間に、水溶液を保温あるいは保冷するヒートパイプを配設したので、栽培槽に散布された水溶液のうち、余分なものは底部材を介して水溶液槽にもたらされて栽培槽の長さ方向に沿って循環し、垂れ流しが防止されることになり、環境に優しい栽培装置となる。また、水溶液はヒートパイプにより保温あるいは保冷され、栽培槽に栽培されている植物に好影響を与えることができる。
【0016】
また、ヒートパイプにより保温あるいは保冷された水溶液を、培養土の上部に設けた散水管を介して培養土に散水するようにしたので、温度管理が必要な植物に対して好影響をもたらすことができる。更には、ビニールハウスのパイプ支柱に張設されるビニールシートを、左右両側から張設したシートが天井部において重なるようにし、ビニールハウス内の温度や日光の調節を行う際に、ビニールシートを天井部から側方に向け開閉するようにするので、ビニールハウス内の温度や日光の調節を行ったときにビニールシートにより日陰ができることがなく、植物に悪影響を与えることがない。また、ビニールハウスを天井部から左右に大きく開けることが可能となるので、ビニールハウス内の植物の管理作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるビニールハウス及び栽培装置の正面側の断面図である。
【図2】ヒートパイプの斜視図である。
【図3】ヒートパイプシステムの斜視図である。
【符号の説明】
1 ビニールハウス
2 パイプ支柱
3,4 ビニールシート(または保温・防虫シート) 3a,4a シート保持部
5 ベンチ式栽培槽
6 培養土
7 底部材
8 水溶液槽
9 水溶液
10 排水管
11 ヒートパイプ 11a 断熱カバー体 11b パイプ 11c 保温材
12 散水管
13 ガラス室
14 給水パイプ
15 電気温水器(タンク)
16 ビニールハウス暖房管
17 ビニールハウスのヒートパイプ供給管
A 植物
Claims (1)
- ビニールハウス内にベンチ式栽培槽を設け、この栽培槽内に収容した培養土により植物を栽培するようにしたビニールハウス栽培装置において、
前記栽培槽の底部に、通水性を有する底部材を栽培槽の長さ方向に沿って連続して設け、該底部材の下方に水溶液を所定のレベルに保って循環させる水溶液槽を設け、この水溶液槽の水溶液上面と前記底部材との間に、水溶液を保温あるいは保冷するヒートパイプを配設し、
上記ヒートパイプにより保温あるいは保冷された水溶液を、培養土の上部に設けた散水管を介して培養土に散水するようにしたことを特徴とするビニールハウス栽培装置。
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