JP3719672B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、デュアルダマシン法によりプラグ及び埋め込み配線を形成するためのホール及び配線溝を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路装置の高性能化及び微細化が望まれている。そこで、半導体集積回路内の情報伝達のスピードアップ及び半導体集積回路を構成する配線の信頼性の向上を図るため、配線材料として銅を用いるデュアルダマシン法が注目されている。
【0003】
デュアルダマシン法によりプラグ及び埋め込み配線を形成する際に用いられるホール及び配線溝を絶縁膜に形成する方法は、大きく2つに分けられ、配線溝を先に形成するトレンチファーストプロセスと、ホールを先に形成するホールファーストプロセスとに分類される。
【0004】
トレンチファーストプロセスは、絶縁膜に配線溝を形成した後にホールを形成するプロセスであるから、絶縁膜における配線溝が形成されている領域に対して、ホールを形成するためのリソグラフィーを行なう必要がある。この際、配線溝に起因してレジスト膜に段差部が形成されているため、レジスト膜にホール形成用のパターン露光を行なうと、フォーカスがぼけてしまって微細なホールパターンを形成することができないという問題がある。従って、微細なホールを形成するためには、ホールファーストプロセスが好ましい。
【0005】
以下、ホールファーストプロセスによりホール及び配線溝を形成する第1の従来例について、図12(a)〜(c)及び図13(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0006】
まず、図12(a)に示すように、半導体基板10の上に堆積されている第1の絶縁膜11に下層配線12を形成した後、第1の絶縁膜11の上に、比較的大きい厚さを持つシリコン窒化膜よりなり下層配線12の腐食を防止するパッシベーション膜13を形成する。パッシベーション膜13の厚さを比較的大きくする理由は、後述するように、パッシベーション膜13が後述する2回のエッチング工程においてエッチングストッパとなるからである。
【0007】
次に、パッシベーション膜13の上に第2の絶縁膜14を堆積した後、第2の絶縁膜14の上に、パターン化された反射防止膜15及び第1のレジストパターン16を形成する。次に、第2の絶縁膜14に対して第1のレジストパターン16をマスクにエッチングを行なって、第2の絶縁膜14にホール17Aを形成する。このエッチング工程においては、パッシベーション膜13がエッチングストッパとなる。その後、第1のレジストパターン16及びエッチング残渣をアッシング及びウェット洗浄により除去する。
【0008】
次に、図12(b)に示すように、反射防止膜15の上に第2のレジストパターン18を形成する。
【0009】
次に、第2の絶縁膜14に対して第2のレジストパターン18をマスクにエッチングを行なって、図12(c)に示すように、第2の絶縁膜14に配線溝17Bを形成する。このエッチング工程においても、パッシベーション膜13がエッチングストッパとなる。その後、第2のレジストパターン18及びエッチング残渣をアッシングにより除去した後、洗浄を行なう。
【0010】
次に、図13(a)に示すように、パッシベーション膜13に対して、ホール17A及び配線溝17Bが形成されている第2の絶縁膜14をマスクにエッチングを行なって、下層配線12を露出させる。
【0011】
次に、図13(b)に示すように、第2の絶縁膜14の上に金属膜19をホール17A及び配線溝17Bが充填されるように堆積した後、金属膜19における第2の絶縁膜14の上に存在する部分を例えばCMP法により除去して、図13(c)に示すように、金属膜19よりなるプラグ19A及び上層配線19Bを形成する。
【0012】
以下、ホールファーストプロセスによりホール及び配線溝を形成する第2の従来例について、図14(a)〜(c)及び図15(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0013】
まず、図14(a)に示すように、半導体基板20の上に堆積されている第1の絶縁膜21に下層配線22を形成した後、第1の絶縁膜21の上に、比較的小さい厚さを持つシリコン窒化膜よりなり下層配線22の腐食を防止するパッシベーション膜23を形成する。パッシベーション膜23の厚さを比較的小さくする理由は、後述するように、パッシベーション膜23は1回のエッチング工程においてのみエッチングストッパとなるからである。次に、パッシベーション膜23の上に第2の絶縁膜24を堆積した後、第2の絶縁膜24の上に、パターン化された反射防止膜25及び第1のレジストパターン26を形成する。次に、第2の絶縁膜24に対して第1のレジストパターン26をマスクにエッチングを行なって、第2の絶縁膜24にホール27Aを形成する。このエッチング工程においては、パッシベーション膜23がエッチングストッパとなる。その後、第1のレジストパターン26及びエッチング残渣をアッシングにより除去した後、洗浄を行なう。
【0014】
次に、図14(b)に示すように、反射防止膜25の上に第2のレジストパターン28を形成すると共に、ホール27Aの内部にレジスト材料又は反射防止膜材料よりなる有機膜29を埋め込む。この場合、有機膜29がレジスト材料よりなる場合には、反射防止膜25の上にレジスト膜をホール27Aが埋め込まれるように形成した後、該レジスト膜をパターニングすることにより、ホール27Aに有機膜29を埋め込むことができ、また、有機膜29が反射防止膜材料よりなる場合には、ホール27Aに有機膜29を埋め込んでおいてから、反射防止膜25の上にレジストパターンを形成することにより、ホール27Aに有機膜29を埋め込むことができる。
【0015】
次に、第2の絶縁膜24に対して第2のレジストパターン28をマスクにエッチングを行なって、図14(c)に示すように、第2の絶縁膜24に配線溝27Bを形成する。このエッチング工程においては、有機膜29が下層配線22を保護する。その後、第2のレジストパターン28、有機膜29及びエッチング残渣をアッシングにより除去した後、洗浄を行なう。
【0016】
次に、図15(a)に示すように、パッシベーション膜23に対して、ホール27A及び配線溝27Bが形成されている第2の絶縁膜24をマスクにエッチングを行なって、下層配線22を露出させる。
【0017】
次に、図15(b)に示すように、第2の絶縁膜24の上に金属膜31をホール27A及び配線溝27Bが充填されるように堆積した後、金属膜31における第2の絶縁膜24の上に存在する部分を例えばCMP法により除去して、図15(c)に示すように、金属膜31よりなるプラグ31A及び上層配線31Bを形成する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、第1の従来例においては、前述したように2回のエッチング工程で下層配線11が損傷を受ける事態を防止するべく、パッシベーション膜13の厚さを大きくしている。
【0019】
このため、図13(c)に示すように、下層配線11と上層配線19Bとの間に、比誘電率が高いシリコン窒化膜よりなり大きい厚さを持つパッシベーション膜13が介在しているため、下層配線11と上層配線19Bとの間の配線容量が大きくなって信号遅延が起きるという問題がある。
【0020】
また、下層配線11を露出させるために行なうパッシベーション膜13に対するエッチング工程におけるエッチング量が多くなるので、図13(a)に示すように、下層配線11にダメージ層12aが形成されてしまう。このため、下層配線11の信頼性が損なわれるという問題がある。
【0021】
また、パッシベーション膜13に下層配線11を露出させるためのエッチング工程におけるエッチング量が多くなるので、図13(a)に示すように、配線溝17Bの側壁上部に肩落ちが発生する。そして、配線溝17Bの側壁上部に肩落ちが発生すると、配線溝17Bの肩落ち部に埋め込まれた金属膜19により、隣り合う上層配線19B同士が短絡してしまう恐れがある。
【0022】
一方、第2の従来例においては、パッシベーション膜13の厚さが小さいので、第1の従来例のような問題は発生しないが、以下に説明する新たな問題が発生する。
【0023】
図14(b)に示すように、ホール27Aの内部に有機膜29が埋め込まれているため、配線溝27Bを形成するためのエッチング工程において、第2の絶縁膜24における有機膜29と接している部分がエッチングされ難いため、図14(c)に示すように、ホール27Aと配線溝27Bとの間に第2の絶縁膜24よりなるフェンス24aが形成されてしまう。このため、図15(a)に示すように、反射防止膜25の上に、折れたフェンス24aよりなる切片32及び有機膜29よりなるパーティクル33が発生するので、金属膜31における第2の絶縁膜24の上に存在する部分をCMP法により除去してプラグ31A及び上層配線31Bを形成すると、図15(c)に示すように、反射防止膜25の上面にスクラッチ25aが形成され、上層配線31Bに配線切れが発生したり、又はスクラッチ25aに金属膜31が残存して隣り合う上層配線31B同士が短絡するという問題がある。
【0024】
また、ホール27Aと配線溝27Bとの間にフェンス24aが存在するため、金属膜31の埋め込みが不十分になり、図15(b)及び(c)に示すように、上層配線31Bにボイド33が形成されてしまい、上層配線31Bの信頼性が低下するという問題が発生する。
【0025】
以上の説明から分かるように、第1の従来例においては、ホールと配線溝との境界に絶縁膜よりなるフェンスが形成されないが、パッシベーション膜の厚さを大きくしなければならず、また、第2の従来例においては、パッシベーション膜の厚さを小さくすることができるが、ホールと配線溝との境界に絶縁膜よりなるフェンスが形成されてしまうという問題がある。
【0026】
前記に鑑み、本発明は、絶縁膜にホールを形成した後、該絶縁膜にホールと連通する配線溝を形成する工程を備えた半導体装置の製造方法において、ホールの底部に存在するパッシベーション膜の厚さを小さくしても、ホールと配線溝との境界に絶縁膜よりなるフェンスが形成されないようにすることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成されホールを有する絶縁膜の上並びにホールの底部及び壁部に剥離膜をホールが埋まらないように堆積する工程と、レジスト膜を、剥離膜の上に全面に亘り且つホールの内部が充填されるように形成する工程と、レジスト膜を、ホールの周辺部に配線溝用開口部が形成されると共にホールの内部にレジスト膜が残存するようにパターニングして、レジスト膜よりなるレジストパターンを形成する工程と、剥離膜及び絶縁膜に対してレジストパターンをマスクにエッチングを行なって、絶縁膜にホールと連通する配線溝を形成する工程と、レジストパターンを除去した後、残存している剥離膜を除去する工程とを備えている。
【0028】
第1の半導体装置の製造方法によると、配線溝を形成するためのエッチング工程では、ホール内に存在するレジストパターンが下層配線を保護するため、下層配線の上に形成されるパッシベーション膜の厚さを小さくできるので、下層配線と上層配線との間の配線容量の低減を図り、下層配線にダメージ層が形成される事態を防止して下層配線の信頼性の向上を図り、また、配線溝の側壁上部に肩落ちを発生し難くして上層配線同士が短絡する事態を防止することができる。
【0029】
また、ホールと配線溝との境界に絶縁膜よりなるフェンスが形成されないと共にフェンスが形成されている剥離層は除去されるため、折れたフェンスよりなる切片等が発生しないと共に金属膜のホールへの埋め込みが確実になるので、上層配線の信頼性が向上する。
【0030】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成されホールを有する絶縁膜の上並びにホールの底部及び壁部に剥離膜をホールが埋まらないように堆積する工程と、有機膜を、ホールの内部における剥離膜の上に形成する工程と、レジスト膜を剥離膜及び有機膜の上に形成した後、レジスト膜をホールの周辺部に配線溝形成用開口部が形成されるようにパターニングして、レジスト膜よりなるレジストパターンを形成する工程と、剥離膜及び絶縁膜に対してレジストパターンをマスクにエッチングを行なって、絶縁膜にホールと連通する配線溝を形成する工程と、レジストパターン及び有機膜を除去した後、残存している剥離膜を除去する工程とを備えている。
【0031】
第2の半導体装置の製造方法によると、配線溝を形成するためのエッチング工程では、ホール内に存在する有機膜が下層配線を保護するため、下層配線の上に形成されるパッシベーション膜の厚さを小さくできるので、下層配線と上層配線との間の配線容量の低減を図り、下層配線にダメージ層が形成される事態を防止して下層配線の信頼性の向上を図り、また、配線溝の側壁上部に肩落ちを発生し難くして上層配線同士が短絡する事態を防止することができる。
【0032】
また、ホールと配線溝との境界に絶縁膜よりなるフェンスが形成されないと共にフェンスが形成されている剥離層は除去されるため、折れたフェンスよりなる切片等が発生しないと共に金属膜のホールへの埋め込みが確実になるので、上層配線の信頼性が向上する。
【0033】
本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成されホールを有する絶縁膜の上並びにホールの底部及び壁部に剥離膜をホールが埋まらないように堆積する工程と、有機膜を、剥離膜の上に全面に亘り且つホールの内部が充填されるように形成する工程と、レジスト膜を有機膜の上に形成した後、レジスト膜をホールの周辺部に配線溝形成用開口部が形成されるようにパターニングして、レジスト膜よりなるレジストパターンを形成する工程と、剥離膜及び絶縁膜に対してレジストパターンをマスクにエッチングを行なって、絶縁膜にホールと連通する配線溝を形成する工程と、レジストパターン及び有機膜を除去した後、残存している剥離膜を除去する工程とを備えている。
【0034】
第3の半導体装置の製造方法によると、配線溝を形成するためのエッチング工程では、ホール内に存在する有機膜が下層配線を保護するため、下層配線の上に形成されるパッシベーション膜の厚さを小さくできるので、下層配線と上層配線との間の配線容量の低減を図り、下層配線にダメージ層が形成される事態を防止して下層配線の信頼性の向上を図り、また、配線溝の側壁上部に肩落ちを発生し難くして上層配線同士が短絡する事態を防止することができる。
【0035】
また、ホールと配線溝との境界に絶縁膜よりなるフェンスが形成されないと共にフェンスが形成されている剥離層は除去されるため、折れたフェンスよりなる切片等が発生しないと共に金属膜のホールへの埋め込みが確実になるので、上層配線の信頼性が向上する。
【0036】
第1〜第3の半導体装置の製造方法において、剥離膜の厚さは、ホールの径の30%以下であることが好ましい。
【0037】
このようにすると、剥離膜をホールが埋まらないようにホールの底部及び壁部に堆積することで、配線溝を形成する際に溝エッチング深さが深くならず、必要な溝深さのばらつきが小さくなる。その結果、配線抵抗のばらつきを小さくすることができる。
【0038】
第1〜第3の半導体装置の製造方法において、絶縁膜は水酸化物及び水和物を実質的に含まない一方、剥離膜は水酸化物又は水和物を含み、残存している剥離膜を除去する工程は、気相フッ酸を用いて行なうことが好ましい。
【0039】
このようにすると、剥離膜を除去する工程において、剥離膜のエッチングレートと絶縁膜のエッチングレートとの差を大きくできるため、配線溝及びホールにおける側壁及び開口部周縁がエッチングされ難くなり、サイドエッチング等により配線形状が損なわれる事態が回避されるので、配線溝及びホールに埋め込まれる上層配線の信頼性が向上する。
【0040】
第1〜第3の半導体装置の製造方法において、剥離膜はBPSG膜よりなり、絶縁膜は、フッ素含有シリコン酸化膜、TEOS膜、シリコン酸窒化膜、ノンドープシリケートグラス膜、リンドープトシリケートグラス膜、熱酸化膜、炭素含有シリコン酸化膜又は有機無機ハイブリッド膜よりなることが好ましい。
【0041】
このようにすると、剥離膜を除去する工程において、剥離膜のエッチングレートと絶縁膜のエッチングレートとの差を大きくできるため、配線溝及びホールにおける側壁及び開口部周縁がエッチングされ難くなり、サイドエッチング等により配線形状が損なわれる事態が回避されるので、配線溝及びホールに埋め込まれる上層配線の信頼性が向上する。
【0042】
第1〜第3の半導体装置の製造方法において、絶縁膜が、フッ素含有シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、炭素含有シリコン酸化膜又は有機無機ハイブリッド膜よりなる場合に本発明は特に有用である。
【0043】
フッ素含有シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、炭素含有シリコン酸化膜又は有機無機ハイブリッド膜よりなる絶縁膜は、化学増幅型レジストから発生する酸を失活させる性質を有しているが、絶縁膜とレジストパターンとの間に剥離層が介在しているため、化学増幅型レジストよりなるレジストパターンを用いても該レジストパターンの酸が失活することがない。
【0044】
第1〜第3の半導体装置の製造方法において、絶縁膜及び剥離膜は、いずれも金属元素を含まないことが好ましい。
【0045】
このようにすると、配線溝を形成する際のエッチング深さのばらつきが低減すると共に、エッチングチャンバーを金属汚染から防止することができる。
【0046】
第1〜第3の半導体装置の製造方法において、剥離膜は、CVD法により堆積されることが好ましい。
【0047】
このようにすると、ホールのアスペクト比が高い場合でも、ホールの底部及び壁部にホールが埋まらないように剥離膜を堆積することが容易且つ確実になると共に、剥離膜がオーバーハングし難くなる。
【0048】
第1の半導体装置の製造方法において、レジスト膜を形成する工程は、該レジスト膜を熱リフローさせる工程を含むことが好ましい。
【0049】
このようにすると、レジスト膜をホールの内部に確実に充填することができる。
【0050】
第2又は第3の半導体装置の製造方法において、有機膜を形成する工程は、有機膜を熱リフローさせる工程を含むことが好ましい。
【0051】
このようにすると、有機膜をホールの内部に確実に埋め込むことができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図1(a)、(b)、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)、図4(a)、(b)及び図5(a)、(b)を参照しながら説明する。
【0053】
まず、図1(a)に示すように、半導体基板100の上に堆積されている第1の絶縁膜101に、銅又はアルミニウムよりなる下層配線102を形成する。尚、下層配線102は通常バリアメタル層を有しているが、第1の実施形態においては図示を省略している。
【0054】
次に、第1の絶縁膜101の上に、比較的小さい厚さ例えば数十nmの厚さを持つ例えばシリコン窒化膜よりなるパッシベーション膜103を形成する。パッシベーション膜103は、下層配線102を酸素又は水分による腐食から守る機能と、ホール107を形成するためのエッチング工程においてエッチングストッパー膜としての機能とを有している。
【0055】
次に、パッシベーション膜103の上に第2の絶縁膜104を堆積した後、該第2の絶縁膜104の上に反射防止膜105を形成する。
【0056】
次に、反射防止膜105の上にレジスト膜を塗布した後、該レジスト膜に対して周知のリソグラフィを行なって第1のレジストパターン106を形成し、その後、反射防止膜105に対して第1のレジストパターン106をマスクにエッチングを行なって、反射防止膜105をパターン化する。
【0057】
次に、第2の絶縁膜104に対して第1のレジストパターン106をマスクにエッチングを行なって、第2の絶縁膜104にホール107を形成する。このエッチング工程においては、パッシベーション膜103がエッチングストッパとなる。その後、第1のレジストパターン106及びエッチング残渣をアッシングにより除去した後、洗浄を行なう。
【0058】
次に、図1(b)に示すように、反射防止膜105の上並びにホール107の底部及び壁部に、例えばCVD法により、例えばBPSG膜よりなり膜厚の小さい剥離膜108をホール107及びホール107の開口部が埋まらないように堆積する。
【0059】
次に、図2(a)に示すように、レジスト膜109を、剥離膜108の上に全面に亘り且つホール107の内部が充填されるように形成する。尚、レジスト膜109を熱によりフローさせてホール107の内部に流し込んでもよい。このようにすると、レジスト材料の粘性が高い場合でもホール107の内部にレジスト膜109を確実に充填できる。
【0060】
次に、図2(b)に示すように、リソグラフィにより、レジスト膜109を、ホール107の周辺部に配線溝用開口部が形成されると共にホール107の内部にレジスト膜109が残存するようにパターニングして、レジスト膜109よりなる第2のレジストパターン109Aを形成する。この場合、レジスト膜109に対するパターン露光工程においては、レジスト膜109における反射防止膜105よりも上の位置に焦点を合わせるため、ホール107の周辺部に配線溝用開口部を確実に形成できる一方、ホール107の中央よりも底部側では露光光の焦点が合わないので、ホールの中央よりも底部側にレジスト膜109を残存させることができる。
【0061】
次に、図3(a)に示すように、剥離膜108及び第2の絶縁膜104に対して第2のレジストパターン109Aをマスクにエッチングを行なって、第2の絶縁膜104にホール107と連通する配線溝110を形成する。このようにすると、剥離膜108におけるホール107と配線溝110との境界部分に第2のレジストパターン109A及びエッチングポリマー等が付着して、エッチングの進行が阻止されるので、剥離膜108におけるホール107と配線溝110との境界にフェンス108aが形成される。
【0062】
次に、図3(b)に示すように、反射防止膜105の上及びホール107の内部に存在する、第2のレジストパターン109A及びエッチングポリマーをアッシングにより除去した後、アッシング後の残渣をウェット洗浄により除去する。ウェット洗浄後においては、剥離膜108上に、アッシングによる炭化物、又は配線溝110を形成する際に剥離膜108に付着したパーティクル等からなる異物111が残存している。
【0063】
次に、図4(a)に示すように、残存している剥離膜108を例えば気相フッ酸により除去する。このようにすると、BPSG膜よりなる剥離膜108は良好にエッチングされる一方、第2の絶縁膜104は気相フッ酸によりエッチングされないため、フェンス108aを含む剥離膜108のみを確実に除去することができる。また、剥離膜108の上に残存していた異物111も同時に除去することができる。
【0064】
次に、図4(b)に示すように、パッシベーション膜103に対して第2の絶縁膜104をマスクにエッチングを行なって、下層配線102をホール107に露出させる。
【0065】
次に、下層配線102の表面処理を行なった後、図5(a)に示すように、反射防止膜105の上並びにホール107及び配線溝110の内部に全面に亘って、バリアメタル層(図示は省略している)を介して金属膜112を堆積した後、CMP法により金属膜112における反射防止膜105の上に存在する部分を除去すると、金属膜112よりなるプラグ112A及び上層配線112Bが得られる。
【0066】
第1の実施形態によると、配線溝110を形成するためのエッチング工程では、ホール107内のレジストパターン109Aが下層配線102を保護するため、パッシベーション膜103はホール107を形成するためのエッチング工程でのみ下層配線102を保護すればよいので、パッシベーション膜103の膜厚を小さくすることができる。
【0067】
このため、下層配線102と上層配線112Bとの間の配線容量を低減することができる。また、下層配線102を露出させるためにパッシベーション膜103に対して行なうエッチング工程のエッチング量が少なくなるため、下層配線102にダメージ層が形成されないので下層配線102の信頼性が向上する共に、配線溝110の側壁上部に肩落ちが発生し難いので上層配線112B同士が短絡する事態が防止される。
【0068】
また、第1の実施形態によると、ホール107と配線溝110との境界に第2の絶縁膜104よりなるフェンスが形成されない。
【0069】
このため、折れたフェンスよりなる切片等が発生しないので、金属膜112における第2の絶縁膜104の上に存在する部分をCMP法により除去する工程において、反射防止膜105の上面にスクラッチが形成されない。また、金属膜112のホール107への埋め込みが確実になるため、上層配線112Bにボイドが形成されないので、上層配線112Bの信頼性が向上する。
【0070】
尚、パッシベーション膜103として、シリコン窒化膜に代えて、シリコン窒化膜よりも比誘電率が小さい炭素含有シリコン膜(SiC)を用いることができる。
【0071】
また、第2の絶縁膜104としては、例えば、SiOF膜(フッ素含有シリコン酸化膜)若しくはSiOC膜(炭素含有シリコン酸化膜)等の低誘電率膜、熱酸化膜、TEOS膜、SiON膜(シリコン酸窒化膜)、NSG膜(ノンドープシリケートグラス膜)、PSG膜(リンドープトシリケートグラス膜)又は有機無機ハイブリッド膜等を単層又は積層膜で用いることができるが、低誘電率膜を用いると、下層配線102と上層配線112Bとの間の配線間容量を低減できるので好ましい。
【0072】
また、反射防止膜105としては、第2の絶縁膜104の上にCVD法等により堆積されるARL膜(Anti Reflection Layer )、又は第2の絶縁膜104の上に塗布法により形成されるARC膜(Anti Reflection Coat)とを用いることができる。ARC膜を用いると、反射防止膜105とレジスト膜109とを同一の塗布装置により形成することができるため、ARL膜に比べて、工程数の短縮が可能になると共に膜厚を小さくできる等のメリットがある。一方、反射防止膜105としてARL膜を用いる場合には、金属膜112に対してCMP法を行なう際に、反射防止膜105をCMPストッパーとして用いることができる。
【0073】
また、剥離膜108の厚さはホール107の径の30%以下に設定することが好ましい。このようにすると、剥離膜108をホール107の開口部が埋まらないように堆積することができる。また、剥離膜108の膜厚をできるだけ小さくしたり、剥離膜108が金属元素を含まないようにすると、後工程でのばらつきを抑制することができる。また、剥離膜108の堆積方法としては例えばCVD法が挙げられ、剥離膜108をCVD法により堆積すると、ホール107の底部及び壁部に均一な膜厚で且つ薄く堆積できるので好ましい。
【0074】
ところで、剥離膜108に対するエッチング工程においては、第2の絶縁膜104のエッチングレートが小さくて且つ剥離膜108のエッチングレートが大きいようなエッチング条件を選択することが好ましい。例えば、剥離膜108として水酸化物又は水和物を多く含む膜、例えばBPSG膜を用いる一方、第2の絶縁膜104として、水酸化物及び水和物を実質的に含まない膜、例えばSiOF膜、SiOC膜、熱酸化膜、TEOS膜、SiON膜、NSG膜、PSG膜又は有機無機ハイブリッド膜等を用いると、剥離膜108を気相フッ酸により除去する際のエッチング選択性が向上する。
【0075】
また、第2のレジストパターン109Aとして化学増幅型レジストを用いる場合、従来においては、第2の絶縁膜104として、SiOF膜、SiOC膜若しくはSiON膜、又は有機無機ハイブリッド膜を用いると、第2の絶縁膜104が化学増幅型レジストを失活させる恐れがあったが、第1の実施形態においては、第2の絶縁膜104と第2のレジストパターン109Aとの間に剥離膜108が介在しているため、第2の絶縁膜104が化学増幅型レジストを失活させる恐れがなくなる。
【0076】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)を参照しながら説明する。
【0077】
第1の実施形態と同様、図6(a)に示すように、半導体基板200の上に堆積されている第1の絶縁膜201に下層配線202を形成した後、第1の絶縁膜201の上に、比較的小さい厚さ例えば数十nmの厚さを持つ例えばシリコン窒化膜よりなるパッシベーション膜203を形成する。次に、パッシベーション膜203の上に第2の絶縁膜204を堆積した後、該第2の絶縁膜204の上に反射防止膜205を形成する。次に、反射防止膜205の上に第1のレジストパターン(図示は省略している)を形成した後、反射防止膜205に対して第1のレジストパターンをマスクにエッチングを行なって、反射防止膜205をパターン化する。次に、第2の絶縁膜204に対して第1のレジストパターンをマスクにエッチングを行なって、第2の絶縁膜204にホール207(図7(b)を参照)を形成する。次に、反射防止膜205の上並びにホール207の底部及び壁部に、例えばCVD法により、例えばBPSG膜よりなり膜厚の小さい剥離膜208をホール207及びホール207の開口部が埋まらないように堆積する。
【0078】
次に、第2の実施形態の特徴として、溶媒により薄められた有機材料例えば反射防止膜材料又はレジスト材料をホール207の内部に流し込むことにより、ホール207の内部における剥離膜208の上に有機膜209を形成する。この場合、有機材料は溶媒により薄められているためホール207の内部に容易に流し込むことができ、ホール207の上部にスペースを形成することができる。尚、有機材料を熱によりフローさせてホール207の内部に流し込んでもよい。このようにすると、有機材料の粘性が高い場合でも有機材料をホール207の内部に流し込んで有機膜209を確実に形成できると共に有機膜209の上にスペースを形成することができる。
【0079】
次に、レジスト膜210を剥離膜208及び有機膜209の上に全面に亘って形成する。
【0080】
次に、図6(b)に示すように、レジスト膜210をホール207の周辺部に配線溝形成用開口部が形成されるようにパターニングして、レジスト膜210よりなる第2のレジストパターン210Aを形成する。この際、有機膜209の上部もエッチングされるので、有機膜209の高さは低減する。
【0081】
次に、図7(a)に示すように、剥離膜208及び第2の絶縁膜204に対して第2のレジストパターン210Aをマスクにエッチングを行なって、第2の絶縁膜204にホール207と連通する配線溝211を形成する。このようにすると、剥離膜208におけるホール207と配線溝211との境界部分に第2のレジストパターン210A及びエッチングポリマー等が付着して、エッチングの進行が阻止されるので、剥離膜208におけるホール207と配線溝211との境界にフェンス208aが形成される。
【0082】
次に、図7(b)に示すように、剥離膜208の上に存在する第2のレジストパターン210A及びエッチングポリマー、並びにホール207の内部に存在する有機膜209をアッシングにより除去した後、アッシング後の残渣をウェット洗浄により除去する。ウェット洗浄後においては、剥離膜208上に、アッシングによる炭化物、又は配線溝211を形成する際に剥離膜208に付着したパーティクル等からなる異物212が残存している。
【0083】
次に、図8(a)に示すように、残存している剥離膜208を例えば気相フッ酸により除去する。このようにすると、BPSG膜よりなる剥離膜208は良好にエッチングされる一方、第2の絶縁膜204は気相フッ酸によりエッチングされないため、フェンス208aを含む剥離膜208のみを確実に除去することができる。また、剥離膜208の上に残存していた異物212も同時に除去することができる。
【0084】
次に、図8(b)に示すように、パッシベーション膜203に対して第2の絶縁膜204をマスクにエッチングを行なって、下層配線202をホール207に露出させる。
【0085】
次に、第1の実施形態と同様、下層配線202の表面処理を行なった後、反射防止膜205の上並びにホール207及び配線溝211の内部に全面に亘って、バリアメタル層(図示は省略している)を介して金属膜を堆積した後、CMP法により金属膜における反射防止膜205の上に存在する部分を除去すると、金属膜よりなるプラグ及び上層配線が得られる。
【0086】
第2の実施形態によると、配線溝211を形成するためのエッチング工程では、有機膜209が下層配線202を保護するため、パッシベーション膜203はホール207を形成するためのエッチング工程でのみ下層配線202を保護すればよいので、パッシベーション膜203の膜厚を小さくすることができる。
【0087】
このため、下層配線202と上層配線との間の配線容量を低減することができる。また、下層配線202を露出させるためにパッシベーション膜203に対して行なうエッチング工程のエッチング量が少なくなるため、下層配線202にダメージ層が形成されないので下層配線202の信頼性が向上する共に、配線溝211の側壁上部に肩落ちが発生し難いので上層配線同士が短絡する事態が防止される。
【0088】
特に、第2の実施形態においては、有機膜209を反射防止膜材料により形成すると、レジスト膜210をパターニングして第2のレジストパターン210Aを形成するためのパターン露光において、有機膜209がホール207からの乱反射光を遮るので好ましい。
【0089】
ところで、フェンスが形成されないようにするためにホールの内部を含む反射防止膜205の上に全面に亘って有機膜を形成した後、該有機膜に対してエッチバックを行なって、ホールの内部にのみ有機膜を残存させる場合には、エッチバックの後にアッシング工程及び洗浄工程を行なうことができない。このため、ホール207の内部又は剥離膜208の上に存在する残渣又は異物を除去できないという問題が発生する。
【0090】
ところが、第2の実施形態においては、フェンスの有無に拘わらず有機材料をホール207の内部に流し込むことにより、有機膜209を反射防止膜205の上に存在させることなくホール207の内部にのみ形成できるので、ホール207の内部又は剥離膜208の上に残渣又は異物が存在するという問題が解消される。
【0091】
また、特開平11−154703号公報においては、ホールの内部にTixy又はTixNbyO等の金属酸化物を埋め込む方法が提案されている。このようにすると、エッチングにより配線溝を形成する際に、金属酸化物がエッチングチャンバー内に浮遊して、チャンバー汚染及び多量のパーティクルの発生という問題、金属酸化物膜及び第2の絶縁膜を同時にエッチングするためのエッチングの制御が極めて困難であるという問題、第2のレジストパターンがホールの内部に進入しないように金属酸化物膜の厚さを大きくする必要があるが、このため、配線溝の深さがばらつくという問題が起きる。
【0092】
ところが、第2の実施形態においては、ホール207の内部に有機膜209を埋め込んでいるため、前述の問題は発生しない。
【0093】
また、第2の実施形態によると、ホール207と配線溝211との境界に第2の絶縁膜204よりなるフェンスが形成されない。
【0094】
このため、折れたフェンスよりなる切片等が発生しないので、プラグ及び上層配線となる金属膜における第2の絶縁膜204の上に存在する部分をCMP法により除去する工程において、反射防止膜205の上面にスクラッチが形成されない。また、金属膜のホール207への埋め込みが確実になるため、上層配線にボイドが形成されないので、上層配線の信頼性が向上する。
【0095】
尚、第2の実施形態においても、パッシベーション膜203として、SiC膜を用いることができ、第2の絶縁膜204として、SiOF膜、SiOC膜、熱酸化膜、TEOS膜、SiON膜、NSG膜、PSG膜又は有機無機ハイブリッド膜等を単層又は積層膜で用いることができ、反射防止膜205としては、ARL膜又はARC膜を用いることができる。
【0096】
また、第2の実施形態においても、剥離膜208の厚さはホール207の径の30%以下に設定することが好ましい。また、剥離膜208の膜厚をできるだけ小さくしたり、剥離膜208が金属元素を含まないようにすると、後工程での溝深さのばらつきを抑制することができる。
【0097】
また、第2の実施形態においても、剥離膜208に対するエッチング工程においては、第2の絶縁膜204のエッチングレートが小さくて且つ剥離膜208のエッチングレートが大きいようなエッチング条件を選択することが好ましい。例えば、剥離膜208として水酸化物又は水和物を多く含む膜、例えばBPSG膜を用いる一方、第2の絶縁膜204として水酸化物及び水和物を実質的に含まない膜、例えばSiOF膜、SiOC膜、熱酸化膜、TEOS膜、SiON膜、NSG膜、PSG膜又は有機無機ハイブリッド膜等を用いると、剥離膜208を気相フッ酸により除去する際のエッチング選択性が向上する。
【0098】
また、第2のレジストパターン210Aとして化学増幅型レジストを用いる場合でも、第2の絶縁膜204と第2のレジストパターン210Aとの間に剥離膜208が介在しているため、第2の絶縁膜204が化学増幅型レジストを失活させる恐れがなくなる。
【0099】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図9(a)、(b)、図10(a)、(b)及び図11(a)、(b)を参照しながら説明する。
【0100】
第1の実施形態と同様、図9(a)に示すように、半導体基板300の上に堆積されている第1の絶縁膜301に下層配線302を形成した後、第1の絶縁膜301の上に、比較的小さい厚さ例えば数十nmの厚さを持つ例えばシリコン窒化膜よりなるパッシベーション膜303を形成する。次に、パッシベーション膜303の上に第2の絶縁膜304を堆積した後、第2の絶縁膜304の上に第1のレジストパターン(図示は省略している)を形成し、その後、第2の絶縁膜304に対して第1のレジストパターンをマスクにエッチングを行なって、第2の絶縁膜304にホール307(図10(b)を参照)を形成する。次に、第2の絶縁膜304の上並びにホール307の底部及び壁部に、例えばCVD法により、例えばBPSG膜よりなり膜厚の小さい剥離膜308をホール307及びホール307の開口部が埋まらないように堆積する。
【0101】
次に、第3の実施形態の特徴として、溶媒により薄められた有機材料例えば反射防止膜材料を、剥離膜308の上に全面に亘り且つホール307の内部が充填されるように塗布して有機膜309を形成する。この場合、有機材料は溶媒により薄められているためホール307の内部に容易に流し込むことができる。尚、有機材料を熱によりフローさせてホール307の内部に流し込んでもよい。
【0102】
次に、レジスト膜310を有機膜309の上に全面に亘って形成する。
【0103】
次に、図9(b)に示すように、レジスト膜310をホール307の周辺部に配線溝形成用開口部が形成されるようにパターニングして、レジスト膜310よりなる第2のレジストパターン310Aを形成する。
【0104】
次に、図10(a)に示すように、有機膜309、剥離膜308及び第2の絶縁膜304に対して第2のレジストパターン310Aをマスクにエッチングを行なって、第2の絶縁膜304にホール307と連通する配線溝311を形成する。このようにすると、剥離膜308におけるホール307と配線溝311との境界部分に第2のレジストパターン310A及びエッチングポリマー等が付着して、エッチングの進行が阻止されるので、剥離膜308におけるホール307と配線溝311との境界にフェンス308aが形成される。
【0105】
次に、図10(b)に示すように、剥離膜308の上に存在する第2のレジストパターン310A及びエッチングポリマー、並びにホール307の内部に存在する有機膜309をアッシングにより除去した後、アッシング後の残渣をウェット洗浄により除去する。ウェット洗浄後においては、剥離膜308上に、アッシングによる炭化物、又は配線溝311を形成する際に剥離膜308に付着したパーティクル等からなる異物312が残存している。
【0106】
次に、図11(a)に示すように、残存している剥離膜308を例えば気相フッ酸により除去する。このようにすると、BPSG膜よりなる剥離膜308は良好にエッチングされる一方、第2の絶縁膜304は気相フッ酸によりエッチングされないため、フェンス308aを含む剥離膜308のみを確実に除去することができる。また、剥離膜308の上に残存していた異物312も同時に除去することができる。
【0107】
次に、図11(b)に示すように、パッシベーション膜303に対して第2の絶縁膜304をマスクにエッチングを行なって、下層配線302をホール307に露出させる。
【0108】
次に、第1の実施形態と同様、下層配線302の表面処理を行なった後、第2の絶縁膜304の上並びにホール307及び配線溝311の内部に全面に亘って、バリアメタル層(図示は省略している)を介して金属膜を堆積した後、CMP法により金属膜における第2の絶縁膜304の上に存在する部分を除去すると、金属膜よりなるプラグ及び上層配線が得られる。
【0109】
第3の実施形態によると、配線溝311を形成するためのエッチング工程では、有機膜309が下層配線302を保護するため、パッシベーション膜303はホール307を形成するためのエッチング工程でのみ下層配線302を保護すればよいので、パッシベーション膜303の膜厚を小さくすることができる。
【0110】
このため、下層配線302と上層配線との間の配線容量を低減することができる。また、下層配線302を露出させるためにパッシベーション膜303に対して行なうエッチング工程のエッチング量が少なくなるため、下層配線302にダメージ層が形成されないので下層配線302の信頼性が向上する共に、配線溝311の側壁上部に肩落ちが発生し難いので上層配線同士が短絡する事態が防止される。
【0111】
特に、第3の実施形態においては、有機膜309を反射防止膜材料により形成すると、レジスト膜310をパターニングして第2のレジストパターン310Aを形成するためのパターン露光において、有機膜309がホール307からの乱反射光を遮るので好ましい。
【0112】
また、有機膜309をエッチバックする必要がないので、エッチバックに伴って発生し、アッシング後の洗浄工程での不良により発生するパーティクル及び残渣の問題は起きない。
【0113】
また、第3の実施形態によると、ホール307と配線溝311との境界に第2の絶縁膜304よりなるフェンスが形成されない。
【0114】
このため、折れたフェンスよりなる切片等が発生しないので、プラグ及び上層配線となる金属膜における第2の絶縁膜304の上に存在する部分をCMP法により除去する工程において、第2の絶縁膜304の上面にスクラッチが形成されない。また、金属膜のホール307への埋め込みが確実になるため、上層配線にボイドが形成されないので、上層配線の信頼性が向上する。
【0115】
尚、第3の実施形態においても、パッシベーション膜303として、SiC膜を用いることができ、第2の絶縁膜304として、SiOF膜、SiOC膜、熱酸化膜、TEOS膜、SiON膜、NSG膜、PSG膜又は有機無機ハイブリッド膜等を単層又は積層膜で用いることができる。
【0116】
また、第3の実施形態においても、剥離膜308の厚さはホール307の径の30%以下に設定することが好ましい。また、剥離膜308の膜厚をできるだけ小さくしたり、剥離膜308が金属元素を含まないようにすると、後工程での溝深さのばらつきを抑制することができる。
【0117】
また、第3の実施形態においても、剥離膜308に対するエッチング工程においては、第3の絶縁膜304のエッチングレートが小さくて且つ剥離膜308のエッチングレートが大きいようなエッチング条件を選択することが好ましい。例えば、剥離膜308として水酸化物又は水和物を多く含む膜、例えばBPSG膜を用いる一方、第2の絶縁膜304として水酸化物及び水和物を実質的に含まない膜、例えばSiOF膜、SiOC膜、熱酸化膜、TEOS膜、SiON膜、NSG膜、PSG膜又は有機無機ハイブリッド膜等を用いると、剥離膜308を気相フッ酸により除去する際のエッチング選択性が向上する。
【0118】
また、第2のレジストパターン310Aとして化学増幅型レジストを用いる場合でも、第2の絶縁膜304と第2のレジストパターン310Aとの間に剥離膜308が介在しているため、第2の絶縁膜304が化学増幅型レジストを失活させる恐れがなくなる。
【0119】
【発明の効果】
本発明に係る第1〜第3の半導体装置の製造方法によると、下層配線と上層配線との間の配線容量の低減を図り、下層配線にダメージ層が形成される事態を防止して下層配線の信頼性の向上を図り、また、配線溝の側壁上部に肩落ちを発生し難くして上層配線同士が短絡する事態を防止することができる。
【0120】
また、折れたフェンスよりなる切片等が発生しないと共に金属膜のホールへの埋め込みが確実になるので、上層配線の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図3】(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図5】(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図6】(a)及び(b)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図7】(a)及び(b)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図8】(a)及び(b)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図9】(a)及び(b)は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図10】(a)及び(b)は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図11】(a)及び(b)は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図12】(a)〜(c)は、第1の従来例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図13】(a)〜(c)は、第1の従来例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図14】(a)〜(c)は、第2の従来例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図15】(a)〜(c)は、第2の従来例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【符号の説明】
100 半導体基板
101 絶縁膜
102 下層配線
103 パッシベーション膜
104 第2の絶縁膜
105 反射防止膜
106 第1のレジストパターン
107 ホール
108 剥離膜
108a フェンス
109 レジスト膜
109A 第2のレジストパターン
110 配線溝
111 異物
112 金属膜
112A プラグ
112B 上層配線
200 半導体基板
201 第1の絶縁膜
202 下層配線
203 パッシベーション膜
204 第2の絶縁膜
205 反射防止膜
207 ホール
208 剥離膜
208a フェンス
209 有機膜
210 レジスト膜
210A 第2のレジストパターン
211 配線溝
212 異物
300 半導体基板
301 第1の絶縁膜
302 下層配線
303 パッシベーション膜
304 第2の絶縁膜
307 ホール
308 剥離膜
308a フェンス
309 有機膜
310 レジスト
310A 第2のレジストパターン
311 配線溝
312 異物

Claims (11)

  1. 半導体基板上に形成されホールを有する絶縁膜の上並びに前記ホールの底部及び壁部に剥離膜を前記ホールが埋まらないように堆積する工程と、
    レジスト膜を、前記剥離膜の上に全面に亘り且つ前記ホールの内部が充填されるように形成する工程と、
    前記レジスト膜を、前記ホールの周辺部に配線溝用開口部が形成されると共に前記ホールの内部に前記レジスト膜が残存するようにパターニングして、前記レジスト膜よりなるレジストパターンを形成する工程と、
    前記剥離膜及び前記絶縁膜に対して前記レジストパターンをマスクにエッチングを行なって、前記絶縁膜に前記ホールと連通する配線溝を形成する工程と、
    前記レジストパターンを除去した後、残存している前記剥離膜を除去する工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 半導体基板上に形成されホールを有する絶縁膜の上並びに前記ホールの底部及び壁部に剥離膜を前記ホールが埋まらないように堆積する工程と、
    有機膜を、前記ホールの内部における前記剥離膜の上に形成する工程と、
    レジスト膜を前記剥離膜及び前記有機膜の上に形成した後、前記レジスト膜を前記ホールの周辺部に配線溝形成用開口部が形成されるようにパターニングして、前記レジスト膜よりなるレジストパターンを形成する工程と、
    前記剥離膜及び前記絶縁膜に対して前記レジストパターンをマスクにエッチングを行なって、前記絶縁膜に前記ホールと連通する配線溝を形成する工程と、
    前記レジストパターン及び前記有機膜を除去した後、残存している前記剥離膜を除去する工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 半導体基板上に形成されホールを有する絶縁膜の上並びに前記ホールの底部及び壁部に剥離膜を前記ホールが埋まらないように堆積する工程と、
    有機膜を、前記剥離膜の上に全面に亘り且つ前記ホールの内部が充填されるように形成する工程と、
    レジスト膜を前記有機膜の上に形成した後、前記レジスト膜を前記ホールの周辺部に配線溝形成用開口部が形成されるようにパターニングして、前記レジスト膜よりなるレジストパターンを形成する工程と、
    前記剥離膜及び前記絶縁膜に対して前記レジストパターンをマスクにエッチングを行なって、前記絶縁膜に前記ホールと連通する配線溝を形成する工程と、
    前記レジストパターン及び前記有機膜をアッシングにより除去した後、該アッシング後の残渣をウェット洗浄により除去する工程と、
    前記ウェット洗浄後に残存している前記剥離膜を除去する工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 前記剥離膜の厚さは、前記ホールの径の30%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記絶縁膜は水酸化物及び水和物を実質的に含まない一方、前記剥離膜は水酸化物又は水和物を含み、
    残存している前記剥離膜を除去する工程は、気相フッ酸を用いて行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記剥離膜は、BPSG膜よりなり、
    前記絶縁膜は、フッ素含有シリコン酸化膜、TEOS膜、シリコン酸窒化膜、ノンドープシリケートグラス膜、リンドープトシリケートグラス膜、熱酸化膜、炭素含有シリコン酸化膜又は有機無機ハイブリッド膜よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記絶縁膜は、フッ素含有シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、炭素含有シリコン酸化膜又は有機無機ハイブリッド膜よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記絶縁膜及び前記剥離膜は、いずれも金属元素を含まないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記剥離膜は、CVD法により堆積されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記レジスト膜を形成する工程は、前記レジスト膜を熱リフローさせる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記有機膜を形成する工程は、前記有機膜を熱リフローさせる工程を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置の製造方法。
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