JP3719500B2 - 洗剤自動投入装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯槽に粉末洗剤を自動的に供給する洗濯機の洗剤自動投入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
使用者の洗剤投入負担を軽減するために、ストックした粉末洗剤を洗濯槽の上方から自動投入する洗剤自動投入装置が提案されている。例えば、特開平6−210098号公報に記載された洗剤自動投入装置は、コイル状の洗剤送出部材を回転させることにより洗剤量を調整しながら洗濯槽内に供給する構成である。そして、湿気の進入を防ぐために、出口部に有底筒状のキャップを設け、洗剤を供給するときにモータによりキャップを外すように構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この洗剤自動投入装置は、洗剤送出部材を回転させるモータとキャップ開閉を行うモータの2つのモータが必要である。また、洗剤通し口に残留した洗剤に該通し口の下の流路を流れる水の飛沫がかかりって該洗剤が湿潤すると、キャップを通し口に固着させ、その開閉動作を円滑に行うことができなくなる問題がある。
【0004】
周知のように、粉末洗剤には、(1)湿気により固まって搬送が困難になる、(2)装置を構成する部材に固着して該部材の運動を困難にする、(3)粉末を押し潰すと、内部水分に洗剤成分が高濃度に溶解することで粘度を増し、回転あるいは摺動部を固着させ、その動きを阻害する、と言う性質がある。
【0005】
本発明の1つの目的は、構成が簡単で信頼性が高く実用性に優れた洗剤自動投入装置を提供することにある。
【0006】
具体的には、1つの駆動用のモータによって投入容器を回転駆動することにより粉末洗剤の計量と投入を行うことができ、また、投入容器の洗剤吐出口から器内に湿気が進入するのを防止することができるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、洗濯槽の上部に位置して洗濯機外枠に設置される蓋付き洗剤貯蔵容器と、この洗剤貯蔵容器の底部に傾斜をもって形成された洗剤送出通路に嵌合され、回転することにより前記洗剤貯蔵容器から洗剤を受入れ、吐出口から洗濯槽に洗剤を投入する投入容器と、この投入容器を回転駆動するモータとを備えた洗剤投入装置において、前記洗剤貯蔵容器は前記投入容器を洗剤送出通路に嵌合した状態で前記洗濯機外枠に着脱可能状態に設置し、前記投入容器は、吐出口の内側に一定量の洗剤を保持するため鉤状の仕切り板で形成される洗剤保持部を設け、前記洗剤貯蔵容器より洗剤送出通路を通過して自重で投入容器内へ流入内に流入した洗剤の一部を回転により前記洗剤保持部に移入させることで計量し、前記洗剤保持部に移入した洗剤を前記吐出口からの自然落下で給水流路に投入するように構成し、
更に、前記投入容器の回転に伴う前記吐出口の回転軌道上の上部領域に位置させて上向きになった前記吐出口に当接する弾性体のキャップを前記洗剤貯蔵容器に設け、洗剤投入時以外には前記投入容器の吐出口を上に向けるように停止させることにより該吐出口を前記キャップに当接して塞ぐようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、前記投入容器の内側に、前記洗剤送出通路を貫通して貯蔵容器内まで達する撹拌棒を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、前記投入容器の下に位置して洗剤を受容する給水流路は、主流路と洗剤投入流路に分割し、前記洗剤投入流路の上流に給水流速を減らす減流部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、前記投入容器の回転回数によって洗濯槽に投入する洗剤量を制御することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図6および図7は、本発明の洗剤自動投入装置を備えた全自動洗濯機であつて、図6は外観斜視図、図7は縦断側面図である。
【0014】
この全自動洗濯機の外装は、鋼鈑製の外枠1とその上部に取り付けたトップカバー2により構成する。
【0015】
トップカバー2は、衣類投入口2aと、主に給水に関連する部品を収納する後部収納箱2bと、主に電気部品を収納する前部操作箱2cと、前記衣類投入口2aを開閉する蓋2dを備える。洗剤自動投入装置3は、後部収納箱2bに配置する。
【0016】
洗濯槽は、外槽4と該外槽4内に回転自在に設けた洗濯兼脱水槽5によって構成し、外槽4を防振支持装置6によつて前記外枠1に吊架する。洗濯兼脱水槽5の底部の中心部に回転翼7を回転自在に設ける。
【0017】
洗濯槽5および回転翼7を回転駆動する駆動装置8は、電動機と該電動機の回転を前記洗濯兼脱水槽5および回転翼7に伝達するための減速機構やクラッチ機構を備え、前記外槽4の底壁の下側に鋼鈑製の支持板9を用いて取り付ける。そして、この駆動装置は8、洗い工程および濯ぎ工程においては、洗濯槽5を静止させて回転翼7を時計方向(正方向)および反時計方向(逆方向)に繰り返し回転させ、脱水工程においては、洗濯槽5を一方向に高速度で回転させる。
【0018】
また、外槽4の底部に近い側壁に設けたエアートラップ4aには該外槽4内の水位(水圧)を水位センサ10に伝達する水位センサチューブ11を接続し、外槽4の底壁に設けた排水孔4bには洗濯水の排水を制御する排水装電磁弁12を介して排水ホース13を接続する。洗濯水は、排水装置12を閉じることによって外槽4内に溜め、排水装置12を開くことによって排水ホース13を通して洗濯機外に排出する。
【0019】
トップカバー2の後部収納箱2bには、前記洗剤自動投入装置3と水道栓口14と給水電磁弁と洗濯兼脱水槽5に向けて開口する給水流路15と風呂水ポンプなどを設置する。また、前部操作箱2cには、前記水位センサ10と、電源スイッチ16と操作パネル17と制御装置18などを設置する。前記操作パネル17は、入力スイッチと表示器を備える。
【0020】
次に、洗剤自動投入装置3について説明する。
【0021】
図1は、洗剤自動投入装置3周りの縦断正面図であり、図6におけるA−A断面図である。図2は、洗剤自動投入装置3周りの横断平面図であり、図1におけるC−C断面図である。図3は、洗剤自動投入装置3の縦断側面図であり、図1および図6におけるB−B断面図である。図4は、図3に示した洗剤自動投入装置3の動作状態を示す縦断側面図である。また、図5は、制御系のブロック図である。
【0022】
この洗剤自動投入装置3は、洗剤19を貯蔵する洗剤貯蔵容器20の洗剤送出通路21に投入容器22を回転可能に嵌着して接続している。洗剤貯蔵容器20の内容積は、市販の粉末洗剤の一箱分(約1.2kg)を収容することができるように構成する。投入容器22は、前記洗剤貯蔵容器20よりも小さい容量に構成する。
【0023】
洗剤貯蔵容器20は、上方を開口させて該開口を蓋23で覆うように構成し、下部の側面に円筒状の前記洗剤送出通路21を横向きに突出させる。この洗剤貯蔵容器20は、収容した粉末洗剤19を円滑に前記洗剤送出通路21に導くためには、下方に行くに従い先細りとなるように構成し、その頂点付近となる位置に前記洗剤送出通路21を設ける構成とすることが望ましい。この実施の形態では、洗剤貯蔵容器20の底部の内面を前記洗剤送出通路21の方向に低くなるように傾斜させることにより粉末洗剤19が自重によって前記洗剤送出通路21を通過して投入容器22内に滑り落ちるように該洗剤送出通路21の内面に滑らかに接続する形状に構成した。このために、洗剤送出通路21の内面を円錐状に形成し、洗剤貯蔵容器20の底部の内面はこの円錐を延長させた形状に形成している。
【0024】
投入容器22は、前記洗剤送出通路21の中心軸を回転軸心として洗剤貯蔵容器20の側面に添って回転できるように、この洗剤送出通路21の円筒状の外表面に回転可能に嵌合させる。この投入容器22の断面は、四角筒形でも円筒形でも良く、洗剤貯蔵容器20の外壁において、回転軸心からできる限り遠い位置に洗剤吐出口23を設けることが望ましい。このために、投入容器22には、その四角筒形の外壁より突出させて前記洗剤吐出口23を設けている。更に、この投入容器22には、前記洗剤貯蔵容器20とは反対側の外壁の外側に歯車24を固定し、モータ25の回転軸に取り付けた駆動歯車26に噛み合うように構成する。
【0025】
投入容器22の内側には、洗剤吐出口23の手前側に仕切り板27および鉤状の仕切り板28を設けて仕切った計量洗剤保持部29を形成する。また、投入容器22の内壁には、洗剤送出通路21の中を貫通して洗剤貯蔵容器20内まで伸びる撹拌棒30を取り付ける。この撹拌棒30は、投入容器22の回転軸心上でも、回転軸心上からずれていても良く、また、真っ直ぐでも、曲がっていても良い。また、この撹拌棒30には突起物31を設けことが望ましい。
【0026】
洗剤貯蔵容器20の内壁には、前記撹拌棒30の先端を回転自在に支持する受け部32を設ける。撹拌棒30の曲げ強度が強く、片持ち構造で洗剤の重さに耐え得る堅固なものであれば、受け部32を省略して撹拌棒30の基部を投入容器22に固定するだけの構成にしても良い。
【0027】
洗剤貯蔵容器20の側壁には、投入容器22が回転して洗剤吐出口23が上を向いたときに該洗剤吐出口23を上方より塞ぐように該洗剤吐出口23に当接するキャップ33を設ける。このキャップ33は、洗剤吐出口23に当接する部分に丸みを持たせた円筒状の弾性体で構成し、洗剤貯蔵容器20に上下方向に移動可能に取り付ける。洗剤貯蔵容器20の上部は、投入容器22の上方に迫り出させ、この迫り出した部分と洗剤吐出口23の間にキャップ33を挟み込むことにより該洗剤吐出口23を塞ぐように構成する。
【0028】
洗剤貯蔵容器20に対するキャップ33の取り付けは、投入容器22の回転に伴う洗剤吐出口23の回転軌道上の上部領域に位置し、洗剤吐出口23が上に向いたときに、その鉛直上にキャップ33が位置するように、洗剤貯蔵容器20の外壁に梁34を突設し、この梁34にキャップ33を上下動可能に取り付けることにより実現する。梁34は、キャップ33の内径より細いものとする。洗剤貯蔵容器20には、キャップ33の両脇に位置するようにガイド25a,25bを突設し、洗剤吐出口23に接触するキャップ33が横に逃げないように案内し、且つ上下に移動できるように構成する。更に、キャップ33が梁34から抜け出さないように該梁34の先端にストッパー35を設ける。
【0029】
投入容器22の回転位置を検出するために、投入容器22の外壁に磁石36を設け、後部収納箱2bにホール素子37を取り付ける。この磁石36とホール素子37は、洗剤吐出口23が上を向いた状態を検出することができるように、洗剤吐出口23が上を向いた状態で磁石36とホール素子37が対向する位置となるように両者を固定する。これは、洗剤投入終了時に洗剤吐出口23をキャップ33に当接させて塞いだ状態を検出して投入容器22の回転を停止させるのに有効な構成である。
【0030】
このように投入容器22を組み付けた洗剤貯蔵容器20を着脱自在に嵌着して設置するために、後部収納箱2bに、洗剤貯蔵容器設置凹部2eを形成する。この洗剤貯蔵容器設置凹部2eは、前記給水流路15の上方に位置するように設け、洗剤貯蔵容器20を嵌着することにより、前記歯車24が前記駆動歯車26に噛み合い、前記磁石36の回転軌道が前記ホール素子37に対向するように構成する。
【0031】
給水流路15は、洗濯兼脱水槽5に向けて開口する洗剤投入流路15aとその両側のバイパス流路15b,15cを備え、トップカバー2の後部収納箱2b内に、一体的または別部材によって、外周壁38と隔壁39,40を起立させることにより形成する。この給水流路15の洗剤投入流路15aとバイパス流路15b,15cは、奥部は合流した共通の受水路15dを形成し、洗剤投入流路15aの流入口には、繊維の集合体によって構成した流速制限(減速)部材41を設置することにより洗剤投入流路15aを流れる水が落下洗剤によって飛散して洗剤吐出口23に付着するのを防止する。前記受水路15dは、水道栓口14から給水電磁弁42を介して給水を受け、流路15a〜15cに分流させると共に呼び水管43を介して風呂水ポンプ44に呼び水を供給し、前記風呂水ポンプ44から給水を受ける。
【0032】
このような給水流路15の上に設けた洗剤貯蔵容器設置凹部2eに嵌着した洗剤貯蔵容器20は、投入容器22を回転させて洗剤吐出口23を下向きにすると、この洗剤吐出口23は、洗剤投入流路15aの上に開口して粉末洗剤を該洗剤投入流路15a上に落下させる。
【0033】
制御装置18は、図5に示すように、マイクロプロセッサ18aとドライバ18bを備え、操作パネル17からの指示信号に従って洗濯および脱水制御プログラムを実行し、水位センサ10およびホール素子37からの検出信号を参照し、給水電磁弁42,排水電磁弁12および風呂水ポンプ44を制御して洗濯水の給排水を制御し、モータ25を制御して適量の洗剤投入し、駆動装置8を制御して回転翼7および洗濯兼脱水槽5を回転させることによって洗濯および脱水を実行する構成である。
【0034】
次に、この全自動洗濯機による洗濯および脱水運転について説明する。洗剤自動投入装置3における投入容器22は、洗剤吐出口23を上向きに位置させてキャップ33をガイド20a,20bに沿って押し上げるように該キャップ33に当接して出口を塞ぎ、容器内に湿気が進入するのを防止するように停止している。
【0035】
使用者は、洗剤貯蔵容器20に粉末洗剤19を収容し、洗濯兼脱水槽5に洗濯物を投入し、操作パネル17を操作して洗濯および脱水条件を設定し、スタートスイッチを押すことにより、制御装置18が洗濯および脱水工程の運転制御を開始する。
【0036】
洗濯および脱水運転制御を開始した制御装置18は、先ず、洗濯物の布量を測定する。この布量測定は、洗濯物を乾布状態のままにして駆動装置8を運転して回転翼7を回転させ、停止させるときの惰性回転特性を検出することにより行う。駆動装置8の惰性回転特性は、惰性回転時のモータの誘起電圧を測定することにより検出することができる。そして、この布量測定結果に応じて洗濯水量と洗剤投入量を設定する。
【0037】
その後、制御装置18は、給水電磁弁42を開いて給水しながらモータ25を運転して投入容器22を回転させることにより粉末洗剤19を洗剤投入流路15a上に落下させて洗濯兼脱水槽5内に流し込む。
【0038】
洗剤自動投入装置3は、投入容器22の洗剤吐出口23が上を向いている状態では、図3に示すように、粉末洗剤19は、洗剤貯蔵容器20および投入容器22の下部、更に、計量洗剤保持部29に溜めている。
【0039】
給水電磁弁42を開くことにより、水道水は、水道栓口14から給水電磁弁42を通って給水流路15の受水路15dに給水され、洗剤投入流路15aとバイパス流路15b,15cを分流して洗濯兼脱水槽5に流れ込むと共に呼び水管43を通して風呂水ポンプ44に呼び水として流れ込む。この状態で粉末洗剤19を投入するために、モータ25を所定時間運転して駆動歯車26を回転させて歯車24を回転させることにより投入容器22を左回りに回転させ、図4に示すように、洗剤吐出口23を下向きにする。モータ25の所定の運転時間は、洗剤吐出口23が凡そ180度回転するために要する駆動時間に設定する。このとき、投入容器22に固定した撹拌棒30も回転して突起物31が洗剤貯蔵容器20内の粉末洗剤19を撹拌して固化を防止する。
【0040】
投入容器22の洗剤吐出口23が下を向くと、図4に示すように、計量洗剤保持部29内の粉末洗剤19は、自重によって洗剤吐出口23から洗剤投入流路15a上に落下する。投入容器22内に溜められている他の粉末洗剤19は、仕切り板27,28に遮られるために洗剤吐出口23から落下することはない。
【0041】
洗剤投入流路15aに落下した粉末洗剤19は、そこを流れる給水によって洗濯兼脱水槽5内へ押し流される。このように洗剤吐出口23を下に向けた状態では、投入容器22に取り付けた磁石36はホール素子37から遠ざかるために該ホール素子37からの検出信号は低レベルとなる。
【0042】
この状態から、モータ25を逆回転方向に運転することにより投入容器22を逆に右回りに戻していき、ホール素子37からの検出信号が高レベルなったところでモータ25の運転を停止することにより投入容器22を停止させ、図3に示す状態に戻す。投入容器22は、この右回りの回転運動により、仕切り板27,28で囲まれた部分にあった粉末洗剤19が掻き揚げられ、図3に示すように、計量洗剤保持部29に進入して溜まる。この間、撹拌棒30が回転して洗剤貯蔵容器20内の粉末洗剤19を撹拌する。また、粉末洗剤19が計量洗剤保持部29に移動することによって投入容器22の下部の粉末洗剤が減少するが、洗剤貯蔵容器20内で撹拌されて動き易くなった粉末洗剤19が、傾斜した洗剤送出通路21を自重によって伝って投入容器22内に流入することにより該投入容器72内の粉末洗剤19を補充する。
【0043】
投入容器22が1往復回転することにより洗剤投入流路15aに投入され、計量洗剤保持部29に進入する粉末洗剤19の量は、仕切り板27,28で囲まれた領域に納まる一定量の粉末洗剤19となる。この一定量は、投入容器22の幅W(図1に示す)と仕切り板28の高さh1と仕切り板27の高さh2(図3に示す)で区画される領域の容積で決められる。つまり、凡そ、図3に網掛けで示す容積の粉末洗剤19が計量洗剤保持部29に流入して保持され、洗剤投入流路15aに投入される。従って、洗濯に必要な粉末洗剤量の供給は、投入容器22の往復回転の回数で制御することができる。
【0044】
例えば、洗濯物の布量が4.8kgの場合には、洗い水の量は56L(リットル)であり、標準的な粉末洗剤の量は約39gである。計量洗剤保持部29に溜まる粉末洗剤19の量が3gに設計されていれば、投入容器22の投入動作を13回繰り返すことにより相当量の粉末洗剤19を投入することができる。56Lの洗い水の給水は、約4分で行うことができるので、この間の給水流で流し込むことができるように投入容器22を往復回転させる。
【0045】
計量洗剤保持部29に進入する粉末洗剤量は、投入容器22の復動回転(洗剤吐出口23を上向きにしていく回転)の回転速度を遅くすると減少する傾向を示す場合がある。このようなものでは、投入容器22の復動回転速度を変化させることにより洗剤移動量をより細かく調整することができ、投入容器22の往復回転回数と回転速度によって洗剤投入量を調整するようにしても良い。
【0046】
制御装置18は、このようにして所定量の粉末洗剤19を投入すると、洗剤吐出口23を上向きにしてキャップ33に当接した状態とするまで投入容器22を回転させてからモータ25の運転を停止する。このように洗剤吐出口23を上向きにした状態は、洗剤投入流路15aを流れる水が飛散して洗剤吐出口23に付着しないようにするのに好適である。そして、所定量の洗い水を給水した後に給水電磁弁42を閉じて給水を終了する。
【0047】
この給水の間に、必要に応じて、布質の測定を行う。この布質の測定は、複数の給水レベルにおいて回転翼7を回転させて惰性回転特性を検出することにより行う。
【0048】
給水終了後、回転翼7を正転および逆転を繰り返すように駆動装置8を運転して洗い工程を実行する。
【0049】
洗い工程を終了すると、排水電磁弁12を開いて洗い水を排水し、洗濯兼脱水槽5を回転させて洗濯物に含まれる洗い水も脱水して排水する。そして、排水電磁弁12を閉じて給水電磁弁42を開いて濯ぎ水を給水する。所定の濯ぎ水を給水した後に回転翼7を正転および逆転を繰り返すように駆動装置8を運転して濯ぎ工程を実行する。このような濯ぎ工程は、必要に応じて、複数回実行する。
【0050】
濯ぎ工程を終了すると、排水電磁弁12を開いて濯ぎ水を排水し、洗濯兼脱水槽5を回転させて洗濯物に含まれる濯ぎ水を脱水して排水する脱水工程を実行する。
【0051】
このような全自動洗濯機によれば、1つのモータ25によって投入容器22を回転させることによって粉末洗剤19の投入と計量を行うことができ、また、停止時には投入容器22の洗剤吐出口23をキャップ33で塞いで湿気の流入を防止することができる。
【0052】
風呂水を給水する場合には、先ず、給水電磁弁42を短時間開いて受水路15dに給水し、風呂水ポンプ44へ呼び水を供給する。その後、給水電磁弁42を閉じて風呂水ポンプ44を運転する。風呂水ポンプ44は、浴槽までの吸水ホース内の空気を排出し、風呂水を揚水して受水路15dに給水する。その後は、水道水の吸水と同様に粉末洗剤19の自動投入を開始する。
【0053】
次に、洗剤自動投入装置3の他の実施の形態について、図8,図9を参照して説明する。図8は、この実施の形態における洗剤自動投入装置3の縦断側面図であり、図9は、その動作過程を示す洗剤自動投入装置3の縦断側面図である。
【0054】
この実施の形態は、投入容器22内の鉤状の仕切り板を変形することにより該投入容器22を一方向に連続的に回転させることによって洗剤投入と計量を実現するように構成したことを特徴とし、その他の構成は前述した実施の形態と同一である。
【0055】
この実施の形態における投入容器22内の鉤状の仕切り板45は、その先端に仕切り板46を連結して仕切り板27に対向させて洗剤計量領域を区画し、前記連結部に断面3角形状の突起47を設けることにより計量洗剤保持部29を区画する。
【0056】
このように構成した洗剤自動投入装置3は、投入容器22の洗剤吐出口23が上を向いている状態において、粉末洗剤19は、洗剤貯蔵容器20と投入容器22の下部、更に、計量洗剤保持部29の下部に溜めている。
【0057】
洗剤投入時には、この状態から、モータ16を運転して投入容器7を右回りに回転させる。図9は、投入容器22が90〜145度程度傾いた状態を示している。この状態では、計量洗剤保持部29内の粉末洗剤19は、突起47に遮られて投入容器22内に戻らずに該計量洗剤保持部29内に保持される。
【0058】
投入容器22が右回りに更に回転して180度程度回転することにより洗剤吐出口23が下向きの状態になると、計量洗剤保持部29内の粉末洗剤19は突起47に沿って滑り落ちて洗剤吐出口23から落下する。投入容器22に溜められている他の粉末洗剤19は、仕切り板27,45〜47により遮られて洗剤吐出口23から容器外に吐き出されることがない。
【0059】
投入容器22を更に右回りに回転させると、仕切り板27,46で囲まれた計量領域に進入している粉末洗剤19が掻き揚げられて仕切り板46を滑り落ち、図4に示すように、計量洗剤保持部29の下部に進入して溜まる。
【0060】
このように投入容器22を右回りの一方向に1回転させることにより、仕切り板27,46で囲まれた計量領域で粉末洗剤19を計量し、計量した粉末洗剤19を突起47により保持しながら回転させて計量洗剤保持部29に進入させて保持し、洗剤吐出口23を下に向けたときに計量洗剤保持部29内の計量された粉末洗剤19を落下させて供給することができる。
【0061】
この動作を繰り返すことにより、洗い工程で必要な量の粉末洗剤を投入することができる。このとき、モータ25は一方向に連続回転するような運転状態に制御し、ホール素子37の検出信号を監視して投入回数を計測すると共に、終了時(規定回数投入後)にはホール素子37の検出信号が高レベルとなったときに停止して図8に示す状態に戻すようにする。
【0062】
このように投入容器22を一方向に連続的に回転させることにより粉末洗剤19の計量と投入を実現する構成は、投入容器22を駆動するモータ25を正逆転させる必要がなくなり、従って、使用できるモータの種類が増え、コストを下げることができる。
【0063】
また、図8に示すように、洗剤吐出口23を上に向けた状態で、計量洗剤保持部29が洗剤送出通路21の横に配置するように構成することにより、洗剤吐出口23と投入容器22の回転軸心の距離を短くすることができる。従って、洗剤自動投入装置3と洗剤投入流路15aとの距離を短くすることができ、洗剤自動投入装置3をトップカバー2内のより深い位置に装着することができ、トップカバー2より上に飛び出す部分を低く抑えることができる。
【0064】
次に、更に他の実施の形態を図10を参照して説明する。図10は、図6に示した全自動洗濯機における洗剤自動投入装置3のA−A線に沿う縦断正面図である。
【0065】
この実施の形態は、投入容器22の内側に設けた計量洗剤保持部29を洗剤送出通路21の出口よりも先に配置することによって洗剤送出通路21の断面を広くしたことを特徴とするものであり、その他の構成は、前述した実施の形態と同一である。
【0066】
図3に示した実施の形態において、計量洗剤保持部29を区画する仕切り板27,28は、投入容器22の歯車24を設けた側の内壁からそれに対向する面まで達するものである。
【0067】
しかし、この実施の形態においては、仕切り板27,28は内壁からその対向する面まで届かせずに途中で切断し、更に、それらの切断面を覆う仕切り板48を設けて計量洗剤保持部29を形成している。更に、投入容器22内に伸びる洗剤送出通路21の先端を前記仕切り板48の手前まで、もしくは接触するまでとすることにより、計量洗剤保持部29の制約を受けずに洗剤送出通路21の断面積を大きくすることができる。従って、洗剤送出通路21の断面の大きさを投入容器22が許す限り大きくすることができ、粉末洗剤19を投入容器22内にスムーズに流入させることができるようになる。更に、撹拌棒30に取り付ける突起物31を長くすることができ、洗剤貯蔵容器20内の粉末洗剤19を撹拌して固化を防ぐ効果も大きくなる。
【0068】
前述した各実施の形態において、洗剤吐出口23を塞ぐキャップ33は、円筒状の弾性体で構成したが、次のように変形することができる。
【0069】
図11は、キャップの変形例を示す縦断側面図である。この変形例におけるキャップ49は、先に丸みを持たせた棒状の弾性体で構成し、両脇をガイド20a,20bで挟み込むように進退自在に案内し、キャップ49とその上方に迫り出した洗剤貯蔵容器20の外壁とをばね50で接続した構成である。
【0070】
このように構成したキャップ49は、投入容器22の洗剤吐出口23を押し当てるとばね50を圧縮するように後退して洗剤吐出口23に馴染むように当接して該洗剤吐出口23を塞ぐ。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明は、1つの駆動用のモータによって投入容器を回転駆動することにより粉末洗剤の計量と投入を行うことができ、また、洗剤投入後は洗剤吐出口を上向きにした状態で停止させることによって洗剤貯蔵容器に設けた弾性体のキャップを該洗剤吐出口に当接して塞ぐようにしたことにより、各種の給水によって投入容器の洗剤吐出口から器内に湿気が進入するのを防止することができる。
【0072】
また、投入容器の回転と共に撹拌棒を回転させて洗剤貯蔵容器内の粉末洗剤を撹拌することにより、粉末洗剤の固化を防止することができる。
【0073】
また、粉末洗剤を給水によって流し出す洗剤投入流路に減流部材を設置して水流を減流するようにしたので、粉末洗剤投入時に給水が飛散して洗剤吐出口に付着して粉末洗剤を融着させるのを防止することができる。
【0074】
そして、投入容器の回転回数を制御することによって適量の粉末洗剤を正確に投入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す洗剤自動投入装置周りの縦断正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態における洗剤自動投入装置周りの横断平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における洗剤自動投入装置の縦断側面図である。
【図4】図3に示した洗剤自動投入装置の動作状態を示す縦断側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における制御系のブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態における全自動洗濯機の外観斜視図である。
【図7】図6に示した全自動洗濯機の縦断側面図である。
【図8】本発明の洗剤自動投入装置の他の実施の形態を示す縦断側面図である。
【図9】図8に示した洗剤自動投入装置の動作過程を示す縦断側面図である。
【図10】本発明の更に他の実施の形態を示す洗剤自動投入装置の縦断正面図である。
【図11】本発明の洗剤自動投入装置におけるキャップの変形例を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
2b…後部収納箱、2e…洗剤貯蔵容器設置凹部、3…洗剤自動投入装置、15…給水流路、15a…洗剤投入流路、20…洗剤貯蔵容器、21…洗剤送出通路、22…投入容器、23…洗剤吐出口、25…モータ、29…計量洗剤保持部、30…撹拌棒。
Claims (4)
- 洗濯槽の上部に位置して洗濯機外枠に設置される蓋付き洗剤貯蔵容器と、この洗剤貯蔵容器の底部に傾斜をもって形成された洗剤送出通路に嵌合され、回転することにより前記洗剤貯蔵容器から洗剤を受入れ、吐出口から洗濯槽に洗剤を投入する投入容器と、この投入容器を回転駆動するモータとを備えた洗剤投入装置において、
前記洗剤貯蔵容器は前記投入容器を洗剤送出通路に嵌合した状態で前記洗濯機外枠に着脱可能状態に設置し、
前記投入容器は、前記吐出口の内側に一定量の洗剤を保持するため鉤状の仕切り板で形成される洗剤保持部を備え、前記洗剤貯蔵容器より洗剤送出通路を通過して自重で投入容器内へ流入内に流入した洗剤の一部を回転により前記洗剤保持部に移入させることで計量し、前記洗剤保持部に移入した洗剤を前記吐出口からの自然落下で給水流路に投入するように構成し、
前記投入容器の回転に伴う前記吐出口の回転軌道上の上部領域に位置させて上向きになった前記吐出口に当接する弾性体のキャップを前記洗剤貯蔵容器に設け、洗剤投入時以外には前記投入容器の吐出口を上に向けるように停止させることにより該吐出口を前記キャップに当接して塞ぐようにしたことを特徴とする洗剤自動投入装置。 - 請求項1において、前記投入容器の内側に、前記洗剤送出通路を貫通して洗剤貯蔵容器内まで達する撹拌棒を設けたことを特徴とする洗剤自動投入装置。
- 請求項1または2において、前記投入容器の下に位置して洗剤を受容する給水流路は、主流路と洗剤投入流路に分割し、前記洗剤投入流路の上流に給水流速を減らす減流部材を設けたことを特徴とする洗剤自動投入装置。
- 請求項1〜3の1項において、前記投入容器の回転回数によって洗濯槽に投入する洗剤量を制御することを特徴とする洗剤自動投入装置。
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