JP3718756B2 - 回収機構を備えた塗料カートリッジのストック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の色の塗料を少量の単位で選択的に塗装ロボットまたは自動塗装装置(以下、これら両者を合わせて塗装ロボットと記載する。)に供給することができる少量塗料供給システムに関し、より詳しくは、このシステムに使用される、塗料カートリッジのストック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば実公平 4-46846号公報、実公平 4-46847号公報等に参照されるように、従来より、塗装色の多様化に対応しかつ多色塗装の作業性の向上を図るべく、様々な多種少量塗料供給システムが提案され、開発されている。
そして、近年では、自動車ボディ等の塗装には塗装ロボットがよく利用されることから、最近では、数種ないし十数種の色の塗料を選択的に塗装ロボットに供給できるようにするべく改良されたところのいくつかの少量塗料供給システムが提案されている。
例えば、特公平 7-34882号公報は、各塗料色の複数の供給路P1〜P3をそれぞれ塗装ロボット14の作業域内に導き設け、ボトル形の貯槽22を各供給路の固定箇所にて連結し、そして、塗装時には、前記ロボット14の動作によって該貯槽は同ロボット14に担持されそしてロボット内の吹付け器20と連結されて、吹付け塗装をなしうるところの吹付け塗装器を開示している。
また、特開平 4-83549号公報は、各塗料色の塗装ガン35a 〜35n および塗料中間タンク21a 〜21n を塗装ロボット51の近くに、塗料色別に分けられた塗料循環系とそれぞれ接続・分離可能に配置し、そして装着ロボット41を使用して、選択的に塗装ガンおよび塗料中間タンクの一方または両方を塗装ロボット51に装着・離脱し、定流量手段61により塗料を吐出せしめることにより、選択的な多色塗装を可能にする多色塗装装置を開示している。
【0003】
しかし、上記の吹付け塗装器の発明にあっては、次のような問題がある。各塗料色の供給路を塗装ロボットの作業域内まで導く必要があるため、供給できる塗料色の数が一般に数種の程度に制限され、多色塗装の多様化を図る上で、一定の限界がある。その上、各塗料色の供給路を塗装ロボットの作業域内まで導くために、全体として大変大掛かりな設備を必要とする。さらに、塗料色の交換を塗装ロボット自体で行うため、色交換と塗装とを同時進行でなすことができず、しかも、色交換の度に貯槽22内の洗浄を行う必要があるため、多色塗装の作業効率が大変悪い。
また、上記の多色塗装装置の発明にあっては、塗装作業の効率の面で上記吹付け塗装器より改良されているが、なお次のような問題がある。塗料色の数を増やして一層の多色化を図る程、装着ロボットの作業域をより広い範囲に拡大することが必要とされ、設備の大型化とともに、塗装作業スペースの著しい広域化を招くという弊害が生じる。また、各塗料色ごとに塗料循環系を備えるため、塗装設備は全体として大規模なものになる。
さらに、上述のような従来の多色塗料供給システムは、1色当り比較的大量の塗料を塗装ロボットに選択的に供給する場合に適するものであった。最近では、例えば自動車ボディに用いられる塗料色は数十種ないしそれ以上にも及び、塗装の多色化がより一層進行し、そしてこれに伴い、白色塗料等の大量使用の塗料を除き、各色の塗料の使用量が相対的により少ないものとなっている。従って、かように数多い色の塗料をより少量の単位で選択的に塗装ロボットに供給することができるところの塗料供給システムの開発が求められていた。しかし、従来の多色塗料供給システムは、この要求を十分満たすことができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は、かかる背景の下、従来の多色塗料供給技術をさらに改良する新たな少量塗料供給システム、すなわち、より数多い色種の塗料をより少量の単位で選択的に塗装ロボットに供給することができ、しかも色交換を含む塗装作業全体の効率が大変高く、さらに設備全体が大変小型であるところの少量塗料供給システムを開発することを企画した。
そして、本発明者は、この開発企画の下、相対的に少量の塗料が充填された塗料カートリッジを数多くの塗料色について貯蔵するストック装置を備えるとともに、移載装置を用いて、塗料カートリッジを選択的にストック装置より塗装ロボットに供給し、他方、使用済みの塗料カートリッジを塗装ロボットよりストック装置に運び戻すことができるところの少量塗料供給システムを案出した。
塗料カートリッジのストック装置は、塗装ロボットより運び戻された使用済みの塗料カートリッジを回収する機構をさらに備えた構成とするのが、より便宜である。
この観点より、本発明者は、ストック装置に併設される塗料カートリッジの回収機構として、金属製の受けバーを上下にわたって左右交互に対向するように配置し、塗料カートリッジが上方の投入口より受けバーの間をジグザグに滑り落ちる回収通路を有する機構を試作してみた。
しかし、この回収機構は、塗料カートリッジが落下して受けバーと当る際、塗料カートリッジが強い反発を受けて大きく跳ね返り、時として、塗料カートリッジが回収通路内に詰まってしまう事態が起きることがあった。
また、塗料カートリッジと受けバーとの衝突の反発が大きいため、塗料カートリッジの損傷および変形が生じやすく、従って、塗料カートリッジを再使用できる回数が少ないものになることが予想された。
さらに、受けバーも頻繁に損傷・変形を受けることが予想され、これは、回収機構、ひいてはストック装置の耐久性を低いものにする。
【0005】
本発明は、かかる問題を解消するべくなされたものであって、その課題とするところは、塗装ロボットより運び戻された塗料カートリッジをストック装置において、詰まりの事態が起きずに円滑に回収することができ、かつ塗料カートリッジおよび回収機構が損傷・変形する可能性が低く、これらの耐久性(可使用回数など)の面で優れているところの、回収機構を備えた塗料カートリッジのストック装置を提供することにある。
【0006】
本発明は、より明確には、筒形の使用済み塗料カートリッジを回収する機構を備え、該機構は、適当数のカートリッジ受け部材(例えば略U字形をなす屈曲した受けバー)を上下にわたって左右交互に斜め下がりの姿勢で対向するように配置し、塗料カートリッジが上方の投入口より該カートリッジ受け部材の間を通ってジグザグに滑り落ちる回収通路を形成してなり、そして前記カートリッジ受け部材は、落下する塗料カートリッジが当る部位に、衝撃吸収材、より好ましくは50ないし60のショアー硬度を有する合成樹脂またはゴム材料を設け、さらに、前記左右のカートリッジ受け部材は、それぞれ略U字形をなす屈曲した受けバーよりなり、該受けバーの中央辺部が実質平行となるように配置されており、そして前記衝撃吸収材は、前記受けバーを覆うカバー材よりなり、該受けバーの中央辺部の両端部位およびこれに連なる両側辺部に設けられていることを特徴とする、回収機構を備えた塗料カートリッジのストック装置に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
カートリッジ受け部材は、上下にわたって左右交互に斜め下がりの姿勢で対向するように配置され、その数はストック装置の規模にも依るが、同部材は、通常約10ないし約20個設けられる。
カートリッジ受け部材の構造は特に限定されないが、より好ましい態様としては、左右のカートリッジ受け部材が略U字形をなす屈曲した受けバーよりなり、そして、それらが上下にわたって交互に、斜め下がりの姿勢でそしてその受けバーの中央辺部が実質平行となるように配置される。
そして、かかるカートリッジ受け部材の配置により、塗料カートリッジが上方の投入口(塗料カートリッジを回収するための入口)より左右のカートリッジ受け部材の間を通ってジグザグに滑り落ちるところの回収通路が形成される。
塗料カートリッジがこの回収通路内を滑り落ちる際、左右のカートリッジ受け部材と当って反発を受ける。筒形の塗料カートリッジであるとき、その外周面が左右のカートリッジ受け部材と衝突して反発を受ける。そこで、本発明の回収機構は、この反発を緩和するべく、落下する塗料カートリッジが当る部位に、衝撃吸収材を設けた構成を有する。
衝撃吸収材は、落下する塗料カートリッジとの衝撃を吸収する性質を有する材料よりなるものであればよいが、本発明者は、鋭意研究したところ、上記の回収機構においては、50〜60のショアー硬度を有する合成樹脂(特に、ポリ塩化ビニル樹脂)またはゴム材料が最も効率の良い衝撃吸収材として採用されうるという事実を見い出した。
従って、本発明の主題は、上記の回収機構において、落下する塗料カートリッジが当る部位に設けられる衝撃吸収材が、50ないし60のショアー硬度を有する合成樹脂(特に、ポリ塩化ビニル樹脂)またはゴム材料よりなるところのストック装置にも関する。
【0008】
また、本発明者は、その鋭意研究により、左右のカートリッジ受け部材が上記の如く配置された略U字形の屈曲した受けバーよりなる場合には、衝撃吸収材として、その受けバーを覆うカバー材(特に、50〜60のショアー硬度を有するポリ塩化ビニル樹脂の管材)を採用し、かつ、それを受けバーの中央辺部の両端部位およびこれに連なる両側辺部に設けると(即ち、中央辺部の中央部位についてはカバー材を設けずにおくと)、筒形の塗料カートリッジが落下して受けバーと当る際の反発が最も効率よく緩和され、従って、最も円滑に塗料カートリッジを回収することができるという事実をも見い出した。本発明者の研究の中で、衝撃吸収材のカバー材を略U字形の屈曲した受けバーの全体に、特に受けバーの中央辺部の全部位に設けると、塗料カートリッジと受けバーとの衝突の反発が、受けバーの中央辺部の中央部位についてはカバー材を設けない場合と比較して、より高まるという事実が見られた。
従って、本発明の主題は、上記の回収機構において、左右のカートリッジ受け部材が、それぞれ略U字形をなす屈曲した受けバーよりなり、該受けバーの中央辺部が実質平行となるように配置されており、そして衝撃吸収材が、前記受けバーを覆うカバー材よりなり、該受けバーの中央辺部の両端部位およびこれに連なる両側辺部に設けられているところの上記のストック装置にも関する。
なお、カートリッジ受け部材への衝撃吸収材の付設により、塗料カートリッジが落下してカートリッジ受け部材と当る際の跳ね返りは大変小さなものとなる。しかしながら、長期間の使用のうちには、何らかの原因で塗料カートリッジがカートリッジ受け部材との衝突で大きく跳ね返り、損傷・変形を受けることもありうる。そこで、本発明の回収機構は、かかる塗料カートリッジの跳ね返りを実際に抑えることができる跳ね返り防止部材を設けた構成がより好ましい。そのような部材としては、カートリッジ受け部材(受けバー)の上方に設けられ、実際に跳ね返った筒形の塗料カートリッジの両端側の外周面と当って、その跳ね返りを抑えうるバー部材などが使用することができる。
【0009】
本発明者が狙いとする少量塗料供給システムは、ストック装置において、数多くの塗料色の塗料カートリッジを貯蔵しかつその中より必要な塗料カートリッジを選択的に取り出しうるようにするとともに、移載装置を用いて、塗料カートリッジをそのストック装置より取り出して塗装ロボットに搭載し、その後、使用済みのものを塗装ロボットよりストック装置に回収することができるところのシステムである。以下、この少量塗料供給システムの概要を説明する。
【0010】
塗料カートリッジは、相対的に少量の塗料の容器、例えば合成樹脂製の塗料袋を詰め替え可能にカートリッジ本体内に装填するものであり、例えば略円筒形のカートリッジよりなる。
塗装ロボットは、塗装機構と塗料カートリッジの搭載部(塗料カートリッジを搭載する箇所)を有するロボットまたは装置であればよく、その構成について特に限定されないが、塗料カートリッジを例えばロボットの頭部、即ち第1アームの先端部または第2アームの後端部において搭載すると同時に、これを塗装機または色替装置に連結し、かつ、塗料カートリッジをエア押出し機構並びに洗浄シンナー・洗浄エア供給装置とも接続することができるような構成を有する塗装ロボットが利用されうる。
【0011】
ストック装置は、数多くの(例えば20種ないし100種前後の)塗料色の塗料カートリッジを貯蔵する装置であって、所要の塗料カートリッジの取り出しと新しい塗料カートリッジの装入とが可能となっている。
そして、ストック装置は、上記したような、移載装置により運び戻された使用済みの塗料カートリッジを回収する機構を備えている。
より好ましい態様のストック装置は、塗料カートリッジを、その装入箇所(新しい塗料カートリッジが外部より追加される箇所)およびその取出位置(塗料カートリッジを取り出す箇所)を通って回し運ぶように配備されたエンドレスコンベア装置と、エンドレスコンベア装置に組み付けられ、各塗料カートリッジをそれぞれ着脱可能に保持する適当数の保持手段と、そして、装入された塗料カートリッジのアドレス情報に基づいてまたはセンサで検知された塗料カートリッジの種類情報に基づいて前記エンドレスコンベア装置の駆動機構を動作せしめて、所要の塗料カートリッジを移載装置による取出位置まで回し運ぶ制御装置とを備えてなる。
かかる構成のストック装置は、数多くの塗料色の塗料カートリッジを貯蔵するともに、それら塗料カートリッジの中から所要の塗料カートリッジを移載装置によって選択的に取り出すことができる。
エンドレスコンベア装置は、無端のコンベア経路を有し、その経路に沿って塗料カートリッジを回し運ぶことができるコンベア装置であり、例えばエンドレスチェーンコンベア装置よりなる。このコンベア装置は、塗料カートリッジの装入箇所と塗料カートリッジの取出位置とを通る循環経路を有する。塗料カートリッジの装入箇所は例えばストック装置の下部に設けられ、塗料カートリッジの取出位置は例えばストック装置の上面に設けられる。
保持手段は、各塗料カートリッジをそれぞれ着脱可能に保持する手段であり、上記のエンドレスコンベア装置に組み付けられる。保持手段は、ストック装置に貯蔵される数多くの(例えば20種ないし100種前後の)塗料色の塗料カートリッジの数だけ、設けられる。
保持手段は、ストック装置の非稼働時だけでなく、エンドレスコンベア機構の運転時においても、即ちその無端コンベア経路に沿って塗料カートリッジが回し運ばれている間においても、塗料カートリッジを確実に保持することができる手段であることが求められ、また同時に、移載装置の下記のチャック手段による掴持動作により、塗料カートリッジが容易に取り出されうるような構成のものであることが求められる。さらに、保持手段は、塗料カートリッジの装入が容易な構成のものであることが求められる。
この観点より、より好ましい保持手段は、塗料カートリッジを受け取り収めうる収納枠と、収納枠の外側にて、屈曲部を中心に回動自在に支持された左右一組の屈曲した保持アームと、塗料カートリッジが掴持されるように左右の保持アームを内向きに付勢せしめるバネ手段より成り、左右の保持アームの各一腕部が外向きに押し広げられたとき、その他腕部がそれぞれ、収納枠内に装入された塗料カートリッジを押し出すことにより、塗料カートリッジは、移載装置によってストック装置より取り出し可能となるように構成される。とりわけ好ましい保持手段は、下記のトグル機構のように構成される。
収納枠は、塗料カートリッジを受け取り、収めることができる枠であり、例えば、塗料カートリッジが円筒形のカートリッジであるとき、収納枠は、該塗料カートリッジがその中に収められたとき、その前端面、後端面および外周面のうち適当な部位と当接して塗料カートリッジを安定に保持するように複数の枠棒を設けてなる。
保持アームは、収納枠の外側において取り付けられた、左右一組の屈曲したアームであって、その屈曲部を中心に回動自在に支持される。
バネ手段は、少なくとも、左右の保持アームを内向きに付勢せしめるバネ手段(例えばコイルバネ)であって、その付勢力によって、保持アームが収納枠内に装入された塗料カートリッジを押え込むことにより、該塗料カートリッジは収納枠内に掴持されるように構成される。
特に好ましくは、保持手段は、保持アームの一腕部がある姿勢(例えば直立の姿勢)より内側に傾くと、左右の保持アームが内向きに付勢され、反対に、保持アームの一腕部がある姿勢より外側に傾くと、左右の保持アームが外向きに付勢されるという機構(所謂、トグル機構)を備えてなる。
従って、より好ましい態様にあっては、左右の保持アームがそれぞれ外向きに押し回され、左右の一腕部がある姿勢より外側に傾いたとき、左右の保持アームは、バネ手段の外向きの作用力によって外向きに勢いよく回動し、これにより、左右の保持アームの他腕部が収納枠内に装入された塗料カートリッジを収納枠内より外へ押し出す。従って、塗料カートリッジの容易な取り出しが可能である。また、その後、左右の保持アームはそれぞれ外向きに押し広げられた状態に保たれる。そして、塗料カートリッジを収納枠内に装入する際、装入された塗料カートリッジが左右の保持アームの他腕部を内向きに押し回し、そして左右の一腕部がある姿勢より内側に傾いたとき、左右の保持アームは、バネ手段の内向きの作用力によって内向きに勢いよく回動し、これにより、左右の保持アームの一腕部が収納枠内に装入された塗料カートリッジを押え付け、よって該塗料カートリッジは収納枠内に強固に掴持される。従って、塗料カートリッジの容易な装入が可能であり、また、その後において、塗料カートリッジを収納枠内に安定に保持することができる。
したがって、本発明においては、より好ましくは、移載装置のチャック手段が塗料カートリッジを掴持すると同時に、例えば該チャック手段の押し広げ部材が例えば保持アームの一腕部に設けたピンに当接しながら、左右の一腕部をそれぞれ外向きに押し回すことによって、左右の保持アームの一腕部がそれぞれ所定の姿勢より外側に傾いたとき、左右の保持アームの他腕部がそれぞれ収納枠内に装入された塗料カートリッジを外へ押し出す(例えば上方へ押し上げる)ことにより、該塗料カートリッジが上記チャック手段によって容易に掴持され運ばれるように、即ち、移載装置によって容易に取り出し可能となるように構成される。
ストック装置の制御装置は、エンドレスコンベア装置の駆動機構を動作せしめることにより、所要の塗料カートリッジを、移載装置により取り出されるところの取出位置まで回し運ぶという制御動作をなすものであり、その動作は、装入された塗料カートリッジのアドレス情報に基づいて、または、センサで検知された塗料カートリッジの種類情報に基づいて行われる。
アドレス情報に基づいて制御動作をなす場合には、制御装置として、エンドレスコンベア装置の駆動量に基づいて、装入された塗料カートリッジの無端コンベ経路内の位置を計算できる装置を使用し、そして、装入箇所にて各塗料カートリッジを装入する際、その塗料カートリッジのアドレスを自動読み取りまたは手入力によって制御装置に入力することにより、制御装置は無端のコンベア経路を循環する塗料カートリッジがいかなるアドレス順序で配列されているかを算出し、さらに、そのアドレス情報に基づいて、取り出そうとする塗料カートリッジを取出位置まで回し運ぶのに必要な量を算出し、そして、その必要な回し運びの量だけエンドレスコンベア装置を駆動させることにより、取り出そうとする塗料カートリッジを取出位置まで回し運ぶという制御がなされる。
また、種類情報に基づいて制御動作をなす場合には、例えば、各塗料色についての識別マークが予め付された塗料カートリッジを準備し、これをストック装置に装入するとともに、該識別マークが表わす各塗料色の情報を読み取ることができる光学的な読み取りセンサを、塗料カートリッジの取出位置またはその近くに配置し、そして、該センサが、回し運ばれる塗料カートリッジ群の中から、取り出そうとする塗料カートリッジを識別して検出し、続いて、その種類情報に基づいて取り出そうとする塗料カートリッジを取出位置にて停止させるという制御がなされる。
【0012】
また、移載装置は、装置本体の他に、移動体、2つのチャック手段、駆動装置および制御装置より成り、塗料カートリッジを支持(吊持)しながら、そのストック装置と塗装ロボットとの間で往復運搬し、そして、塗料カートリッジをストック装置より取り出して塗装ロボットに搭載するとともに、使用済みの塗料カートリッジを塗装ロボットより取り出してストック装置に回収することができるものである。
移載装置には、移載の動作に関して自由度がより高く、塗料カートリッジを運搬する軌跡が自在に変更されうるところの移載ロボットと、移載の動作に関して自由度がより低く、塗料カートリッジを運搬する軌跡が予め定まっているところの自動移載装置との双方が含まれる。
移載装置、特にその本体は、塗料カートリッジのストック装置および塗装ロボットの近くに、例えばそれらの上方または側方に配置される。
移動体は、その装置本体に対して、ストック装置と塗装ロボットとにわたって往復移動自在に、例えば装置本体に敷設された案内レールに沿って往復摺動自在に、支持された治具、構造体などである。
2つのチャック手段はそれぞれ、チャック対を開閉する機構、並びに、チャック対をストック装置内の塗料カートリッジに、また塗装ロボットに搭載された塗料カートリッジに接近しそしてそれより離隔する機構を備え、これらの動作により、各々塗料カートリッジを掴持および解放することができるものであって、上記の移動体に一緒に取り付けられる。塗料カートリッジへの接近・離隔をなす機構は、例えば、移載装置がストック装置および塗装ロボットの上方に配置される場合には、2つのチャック手段をそれぞれ、ストック装置内の塗料カートリッジに向けて、および、塗装ロボットに搭載された塗料カートリッジに向けて、上下動せしめる機構よりなる。
駆動装置は、上記の移動体の往復運動と2つのチャック手段の動作とを行なう駆動手段であって、必ずしも一体の装置である必要はない。例えば、移動体を往復移動させるコンベア機構(好ましくは防爆ACサーボモータ)と、チャック手段を上下動させるシリンダ装置と、チャック対を開閉させるシリンダ装置との組合せよりなる。
従って、以上の構成より、2つのチャック手段で以てそれぞれ、塗料カートリッジを掴持しながら、それを移動体の往復動によりストック装置と塗装ロボットとの間で運搬し、その後、必要なときに、それを解放するという動作をなすことができる。
また、移載装置の制御装置は、移動体の往復移動を含め、移載装置の動作全体を制御する装置であって、特に、移動体がストック装置側に位置するときには、使用済みの塗料カートリッジを運搬してきた一方のチャック手段が、ストック装置内の投入口に接近し、続いてその使用済み塗料カートリッジを解放することにより、それをストック装置の投入口に投入し、これとともに、他方のチャック手段が、ストック装置内の取出位置に接近し、続いて、その取出位置に予め運ばれている塗装しようとする塗料色の塗料カートリッジを掴持することにより、その所要の塗料カートリッジをストック装置より取り出し、また、移動体が塗装ロボット側に位置するときには、一方のチャック手段が、塗装ロボットの搭載部に接近し、既にそこに搭載され塗装に利用された使用済みの塗料カートリッジを掴持することにより、それを塗装ロボットより取り出し、これに続いて、所要の塗料カートリッジを運搬してきた他方のチャック手段が、塗装ロボットの搭載部に接近し、続いてその所要の塗料カートリッジを解放することにより、これを塗装ロボットに搭載するという一連の動作を制御する機構を備えてなる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面により説明する。この実施例は、非制限的な例であって、本発明がこれに限定されないことは、言うまでもない。
【0014】
この実施例の少量塗料供給システムは、図1および図2に示すように、塗装ブース内(図示せず)において、塗装ロボット1の側方に塗料カートリッジ2・・のストック装置3を配置し、そしてそのストック装置3の上方に移載装置4、即ち塗料カートリッジ2・・をストック装置3より取り出して塗装ロボット1に搭載する装置を備えてなる。
塗料カートリッジ2は、詳細に図示しないが、合成樹脂製の塗料袋が装填された円筒形の金属またはプラスチック容器である。塗料袋には、ある特定の塗料色の少量の塗料、例えばワーク1台の塗装においてその色について必要とされる量の塗料が充填されている。
塗装ロボット1は、図2に示すように、その頭部、即ち、第2アームの後端部の上面に、塗料カートリッジを搭載できるスペース部5とともに、色替え装置6(ロボット1のベル型塗装機7と接続されている)およびエア押出し機構8などを備えてなり、そして、塗料カートリッジ2がロボット1の頭部上面に搭載されたとき、これと同時に塗料カートリッジ2は色替え装置6およびエア押出し機構8と結合され、続いてエア押出し機構8の働きによって、塗料カートリッジ2内の塗料が押出され、色替え装置6を経てロボット1の塗装機7に供給されるようになっている。なお、図中、pは、塗装ロボット1の旋回中心を示す。
【0015】
移載装置4は、塗料カートリッジ2の塗装ロボット1への搭載と塗装ロボット1からの回収とをなすための、図3ないし図5に詳細に示す装置であって、装置本体9の他に、移動体10、2つのチャック手段11a、11b、駆動装置12および制御装置(図示せず)よりなる。
装置本体9は、案内レール13を水平に塗装ロボット1上方とストック装置3上方とにわたって敷設する構造体である。
移動体10は、装置本体9の案内レール13に往復摺動自在に支持された部品であって、コンベア機構14、即ち防爆ACサーボモータ18の運転によって案内レール13に沿って水平に滑り往復移動することができる。
また、移動体10は、左右2つのチャック手段11a、11bを一緒に所定の間隔で平行に吊持してなる。
各チャック手段11a、11bは、揺動自在な2つのチャック対15a、15bをベース部16に取り付け、そしてシリンダ装置の運転によって開閉動作をするように備え、これとともに、該ベース部16をシリンダ装置17の運転によって上下動可能に備えてなる。したがって、各チャック手段11a、11bは、ベース部16の昇降動作によってチャック対15a、15bを、下方に位置する塗料カートリッジ2に接近させあるいはそれより離隔させることができ、また、これに伴うチャック対15a、15bの開閉動作によって塗料カートリッジ2を掴持および解放することができる。
以上より、移載装置4は、2つのチャック手段11a、11bにより、それぞれ、塗料カートリッジ2を掴持・解放し、そして塗料カートリッジ2を吊持しながら、移動体10の往復動により塗装ロボット1とストック装置3との間で往復運搬することができる。
【0016】
制御装置は、移載装置4の動作全体を制御する装置である。ストック装置3は下記で述べるように、その上部に塗料カートリッジ2の取出位置19および投入口20とを設けてなる(図6参照)。そして、上記の制御装置は、移動体10がストック装置3側に位置するとき、使用済みの塗料カートリッジ2を運搬してきたチャック手段11aが、ストック装置3の投入口20に接近し、続いて、その使用済み塗料カートリッジ2を解放して投入口20内に投入し、これとともに、チャック手段11bがストック装置3の取出位置19に接近し、続いて、塗装しようとする塗料色の所要の塗料カートリッジ2を掴持してストック装置3より取り出し、また、移動体10が塗装ロボット1側に位置するとき、チャック手段11aが、塗装ロボット1の搭載用スペース部5に接近し、既にそこに搭載されている使用済みの塗料カートリッジ2を掴持して塗装ロボット1より取り出し、これに続いて、所要の塗料カートリッジ2を運搬してきたチャック手段11bが、塗装ロボット1の搭載用スペース部5に接近し、その所要の塗料カートリッジ2を解放して塗装ロボット1に搭載するという一連の動作を制御する。
なお、本例においては、各チャック手段11a、11bはそれぞれ、ベース部16の左右両端に押し広げ部材21、21を備えており、図8および図9に示すように、チャック対15a、15bが保持手段30によって保持された塗料カートリッジ2に接近するとき、左右の押し広げ部材21、21はそれぞれ、左右の上腕部23、23のピン28に当接しながら、保持アーム22、22(押え部材24、24)を外向きに押し回し、そして、左右の上腕部23、23が直立の姿勢より外側に傾いたとき、左右の保持アーム22、22の上腕部23、23は勢いよく回動し、その下腕部25先端の押出し部材26、26がそれぞれ、収納枠27内に装入された塗料カートリッジ2を上方へ押し上げ、従って、チャック対15a、15bによる塗料カートリッジ2の掴持が容易になされうるようになっている。なお、図中、56は、塗料カートリッジ2が掴持されているかどうかを検知するセンサである。
【0017】
また、ストック装置3は、図6、図7に示す装置であって、エンドレスチェーンコンベア装置29と、これに組み付けられた約30個の保持手段30・・と、コンベア装置29の運転を制御する制御装置(図示せず)を備えてなり、約30種の塗料色の塗料カートリッジ2・・を貯蔵するとともに、それらの中より所要の塗料カートリッジ2が移載装置4によって選択的に取り出されうる構成となっている。さらに、ストック装置3は、図6に示すように、使用済みの塗料カートリッジ2を回収する回収機構31をもエンドレスチェーンコンベア装置29に併設してなる。
エンドレスチェーンコンベア装置29は、左右一対のエンドレスチェーン32、32(各チェーン32はそれぞれ5個のスプロケット33・・に巻き掛けられている)を一定の間隔を開けて並設し、そして、一つのスプロケット軸34を防爆インバータモータ35および減速機36とカップリング37を介して接続してなり、これら駆動機構38の運転によって、左右のエンドレスチェーン32、32間に保持された塗料カートリッジ2を回し運ぶことができる。ストック装置3の下部には、塗料カートリッジ2の装入箇所39が設けられている。従って、エンドレスチェーンコンベア装置29は、塗料カートリッジ2の装入箇所39および取出位置19を通る無端のコンベア経路を有する。
保持手段30は、各塗料カートリッジ2をそれぞれ着脱可能に保持する手段であり、ストック装置3に貯蔵される約30種の塗料カートリッジ2・・の数だけ設けられる。この保持手段30は、図8および図9に示すように、塗料カートリッジ2を受け取り収めうる収納枠27と、左右一組の屈曲した保持アーム22、22と、該保持アーム22、22に付設されたコイルバネ40、40よりなる。収納枠27は、塗料カートリッジ2を囲いうるようにいくつかの直立した枠棒41・・を枠ベース42に配設してなり、塗料カートリッジ2をその中に収めたとき、枠棒41が塗料カートリッジ2の前端面、後端面および外周面と隙間なく当接することにより、塗料カートリッジ2を安定に保持することができる。
また、左右の保持アーム22、22はそれぞれ、略直角に屈曲したアームであって、収納枠27の外側にて、その屈曲部43を中心に回動自在にそしてそれぞれの内角側が対向するように支持されている。保持アーム22の上腕部23の先端には、押え部材24が取り付けられ、一方、その下腕部25の先端には、押出し部材26が取り付けられている。
コイルバネ40、40はそれぞれ、保持アーム22の上腕部23と収納枠27の枠ベース42との間に介装され、これにより上腕部23が直立の姿勢より内側に傾くと、左右の保持アーム22、22はそれぞれ内向きに付勢され、反対に、上腕部23が直立の姿勢より外側に傾くと、左右の保持アーム22、22はそれぞれ外向きに付勢されるという機構(所謂、トグル機構)が備えられている(図8参照)。従って、左右のコイルバネ40、40の内向きの作用力によって、保持アーム22、22の上腕先端の押え部材24、24がそれぞれ収納枠27内に装入された塗料カートリッジ2を押圧することにより、該塗料カートリッジ2は強固に掴持されるようになっている。
また、保持アーム22の上腕部23は、左右それぞれ、図8、図9に示すように細長いピン28を水平に植設してなる。一方、上記に述べた移載装置4のチャック手段11bは、図8、図9に示すようにそのベース部16の左右両端に、押し広げ部材21、21をそれぞれ付設してなる。しかして、保持手段30が塗料カートリッジ2の取出位置19に停止するとき、その位置の直上方に到来したチャック手段11bが下降し、これとともに、押し広げ部材21、21が左右のピン28、28に当接しながら、左右の保持アーム22、22の上腕部23、23をそれぞれ外向きに押し回し、そして左右の上腕部23、23が直立姿勢より外側に傾いたとき、左右の保持アーム22、22は、左右のコイルバネ40、40の外向きの作用力によって、外向きに勢いよく回動し、よって、その下腕先端の押出し部材26、26がそれぞれ、収納枠27内に装入された塗料カートリッジ2を上方へ押し上げる。かかる構成により、チャック手段11bは、取出位置19において塗料カートリッジ2を容易に掴持して運び去ることができ、つまり、移載装置4による塗料カートリッジ2の容易な取り出しが可能となっている。
塗料カートリッジ2の取り出し後において、保持手段30は、左右の保持アーム22、22がそれぞれ外向きに押し広げられた状態に保たれる。
しかして、この保持手段30が塗料カートリッジ2の装入箇所39にまで回し運ばれ、そして作業者が新たな塗料カートリッジ2を装入する際、装入された塗料カートリッジ2が左右の保持アーム22、22の押出し部材26、26を下方へ押し、左右の下腕部25、25を内向きに押し回し、そして、左右の上腕部23、23が直立姿勢より内側に傾いたとき、左右の保持アーム22、22は内向きに勢いよく回動し、よって、その上腕先端の左右の押え部材24、24がそれぞれ、装入された塗料カートリッジ2を上方より押え付け、収納枠27内に保持する。かかる構成により、塗料カートリッジ2の容易な装入が可能となっている。
【0018】
ストック装置3の制御装置は、エンドレスチェーンコンベア装置29の駆動機構を適当量動作せしめることにより、所要の塗料カートリッジ2を取出位置19まで回し運ぶという制御を、塗料カートリッジ2のアドレス情報に基づいて行なう装置である。すなわち、この制御装置は、エンドレスチェーンコンベア装置29の駆動量(チェーンコンベア32の進行量)に基づいて、装入された塗料カートリッジ2の無端コンベア経路内の位置を計算できる装置であり、各塗料カートリッジ2の装入の際に自動読み取りまたは手入力によって入力されたアドレス情報に基づいて、無端コンベア経路を循環する塗料カートリッジ2・・が原位置を基にいかなるアドレス順序で配列されているかを算出し、そして、これに基づいて、取り出そうとする塗料色の塗料カートリッジ2を取出位置19まで回し運ぶのに必要な駆動量を算出し、そして、その必要な回し運びの量だけエンドレスチェーンコンベア装置29を駆動させることにより、取り出そうとする塗料色の塗料カートリッジ2を取出位置19まで回し運ぶという制御を行なう。
なお、図中、44は、回し運びの量の算出に利用される原位置確認センサ(近接スイッチ)であり、また45は、取出位置19において塗料カートリッジ2の回し運び後の停止を検知する停止確認センサ(近接スイッチ)である。さらに、46は、取出位置19の近上方に設けた光学的な読み取りセンサであり、これを用いて、取出位置19に到来する塗料カートリッジ2の塗料色種を識別することにより、所要の塗料カートリッジ2を取出位置19に停止させるという制御を行なってもよい。
【0019】
また、回収機構31は、図6に示すように、塗料カートリッジ2の投入口20より下方にて、受けバー47・・を上下にわたって左右交互に配置し、塗料カートリッジ2が投入口20より受けバー47・・間を通ってジグザグに滑り落ちる回収通路48を上下に形成してなり、さらに、この回収通路48に続いて、水平に延びる回収通路49を形成してなり、従って、使用済みの塗料カートリッジ2は、投入口20より投入されたとき、これらの通路48、49を通って、最終的に、ストック装置3側面の取出し口50より回収されるようになっている。
図10ないし図12に詳細に示すように、受けバー47は、ストック装置本体の支持ベース51に固定された略U字形の屈曲した金属製のバーであって、左右の受けバー47・・は、斜め下がりの姿勢で対向するようにそしてその中央辺部52が実質平行となるように配置されている。
また、各々の受けバー47には、それを覆うカバー材53が、受けバー47の中央辺部52の両端部位およびこれに連なる両側辺部54に設けられている。カバー材53は、50ないし60のショアー硬度を有するポリ塩化ビニル樹脂よりなる。
さらに、各受けバー47の左右の側辺部54、54の近傍には、それぞれ、略U字形をなす跳ね返り防止バー55、55が上下の方向に設けられている。この跳ね返り防止バー55の中央辺部は支持ベース51に固定され、従って、防止バー55の上下の側辺部は支持ベース51より遠ざかるように延長されている。つまり、跳ね返り防止バー55の上側の側辺部は、受けバー47の側辺部54の上方にて、その側辺部54とほぼ平行に対向するように設けられている。
【0020】
而して、上記のストック装置3においては、約30種の数多い色の塗料をその中に貯蔵することができるとともに、塗装すべき塗料色をストック装置3の制御装置に指定すると、その制御に従って、まず、エンドレスチェーンコンベア装置29がその運転を開始し、その塗料色の塗料カートリッジ2が取出位置19まで回し運ばれる。
一方、移載装置4は、その制御に従い、次のような動作を行なう。まず、チャック手段11bが下降して取出位置19に接近し、塗装すべき塗料色の所要の塗料カートリッジ2を掴持してストック装置3より取り出し、そして、チャック手段11bの上昇に続いて、移動体10が水平に移動し、所要の塗料色の塗料カートリッジ2を塗装ロボット1の上方まで運搬し、その後、チャック手段11bが搭載用スペース部5まで下降し、所要の塗料色の塗料カートリッジ2を解放して塗装ロボット1に搭載する。したがって、本システムでは、所要の色の塗料を少量の単位で(塗料カートリッジ2の形態で)塗装ロボット1に選択的に供給することができる。
また、塗装の完了後においては、チャック手段11aが塗装ロボット1の搭載用スペース部5まで下降し、続いて、使用済みの塗料カートリッジ2を掴持して塗装ロボット1より取り出し、そして、チャック手段11aの上昇に続いて、移動体10がストック装置3寄りに移動して使用済みの塗料カートリッジ2をストック装置3まで運搬し、続いて、チャック手段11aが下降し投入口20に接近した段階で塗料カートリッジ2を解放する。投入口20に投入された塗料カートリッジ2は、ストック装置3の通路48、49を経て取出し口50より回収される。従って、本システムでは、塗料カートリッジ2の塗装ロボット1への搭載に加え、使用済み塗料カートリッジ2を回収することもできる。
とりわけ、本例の回収機構31は、上記したように、ジグザグに滑り落ちる塗料カートリッジ2を受ける略U字形の受けバー47・・に、PVC製のカバー材53、つまりショアー硬度50〜60の衝撃吸収材を設けたことより、塗装ロボット1より運び戻された使用済みの塗料カートリッジ2をストック装置3において、回収通路48内で詰まりの事態が起きることなく、円滑に回収することができた。仮に塗料カートリッジ2が受けバー47と衝突して跳ね返ったとしても、跳ね返り防止バー55、55が実際に跳ね返った塗料カートリッジ2の左右両端の外周面と当り、その跳ね返りを抑えることができる。従って、かかる回収に伴う塗料カートリッジ2および回収機構31の損傷・変形の可能性が、大変低いものとなった。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、使用済みの塗料カートリッジをストック装置において、詰まりの事態が起きずに円滑に回収することができ、また、その回収において、塗料カートリッジおよび回収機構が損傷・変形する可能性が低く、従って、塗料カートリッジについては高い可使用回数、そして回収機構については十分な寿命が得られ、耐久性の点で優れているという効果が得られる。
その上、本発明に係る回収機構は、小型な設備で済み、ストック装置全体の小型化に寄与しうる点で大変有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のストック装置を備えた少量塗料供給システムを示す全体図である。
【図2】図1に示される少量塗料供給システムを上方より見た図である。
【図3】図1に示される少量塗料供給システムに使用される移載装置の全体を示す正面図である。
【図4】図3に示される移載装置の移動体およびチャック手段を拡大して示す正面図である。
【図5】図3に示される移載装置のチャック手段を拡大して示す側面図である。
【図6】実施例のストック装置の内部を概略的に示す正面図である。
【図7】図6に示されるストック装置を側方より見た側面図である。
【図8】図6に示されるストック装置に使用される保持手段および移載装置のチャック手段の下部を示す図である。
【図9】塗料カートリッジの保持(左半図)およびその取り出し(右半図)の様子を示す図である。
【図10】図6に示されるストック装置における塗料カートリッジの回収機構を矢印A−Aの方向より見た図である。
【図11】図6に示される回収機構の上部を拡大して示す図である。
【図12】図10に示される回収機構の上部を拡大して示す図である。
【符号の説明】
1 塗装ロボット
2 塗料カートリッジ
3 ストック装置
4 移載装置
7 塗装機
20 投入口
31 回収機構
47 受けバー
48 回収通路
50 取出し口
52 中央辺部
53 カバー材(衝撃吸収材)
54 側辺部
55 跳ね返り防止バー
Claims (3)
- 筒形の使用済み塗料カートリッジを回収する機構を備え、該機構は、適当数のカートリッジ受け部材を上下にわたって左右交互に斜め下がりの姿勢で対向するように配置し、塗料カートリッジが上方の投入口より該カートリッジ受け部材の間を通ってジグザグに滑り落ちる回収通路を形成してなり、そして前記カートリッジ受け部材は、落下する塗料カートリッジが当る部位に、衝撃吸収材を設け、さらに、前記左右のカートリッジ受け部材は、それぞれ略U字形をなす屈曲した受けバーよりなり、該受けバーの中央辺部が実質平行となるように配置されており、そして前記衝撃吸収材は、前記受けバーを覆うカバー材よりなり、該受けバーの中央辺部の両端部位およびこれに連なる両側辺部に設けられていることを特徴とする、回収機構を備えた塗料カートリッジのストック装置。
- 前記衝撃吸収材は、50ないし60のショアー硬度を有する合成樹脂もしくはゴム材料よりなることを特徴とする、請求項1記載のストック装置。
- 前記衝撃吸収材は、ポリ塩化ビニル樹脂よりなることを特徴とする、請求項2記載のストック装置。
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1997
- 1997-05-30 JP JP15815597A patent/JP3718756B2/ja not_active Expired - Lifetime
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