JP3718689B2 - 同心形模様の作成方法及びその印刷物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、有価印刷物、あるいは重要書類に適する模様の作成方法とその印刷物に関するもので、特に模様そのものが構成する画線間隔(画線分布)の粗密による巨視的な濃度階調を連続的に持つ等の高度な意匠性を有し、且つ、複写機等による偽造防止の機能を有する同心円万線模様及び波状同心円万線模様等の同心形模様の作成方法とその印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の印刷技術の発展や複写機の著しい機能の進展と普及に伴い、有価証券の印刷物及び重要書類等の偽造防止、不正な複製を防止する為の技術の要請は非常に高まっている。こうした状況を背景とした偽造防止策の要素の一つとして、デザイン構成によるものがある。即ち、ケンプ彩紋彫刻機、又は電子彩紋機を始めとするCG(コンピュータグラフィックス)を用いて、複製困難な画線の構成により作成した彩紋模様を用いる方法である。一方、最近のデジタル複写機の著しい普及に伴い、デジタル複写機による複製を防止する技術として、画線の構成によるものがある。その一例として同心円万線画線を用いることによって、該画線構成を用いた印刷物を、デジタル複写機で複写しようとした場合には、該画線と複写機の走査線の干渉によるモアレが発生するという点を利用するものである。例えば、実開平5−12173号公報には、被複写紙上に一定間隔を隔てた多数の同心円、あるいは多数の放射線よりなる背景部を印刷形成し、デジタルコピー機による複写時に、上記背景部中のいずれかの部分が、デジタルコピー機の読取り方向に対して、モアレを発生させる傾斜角度のアミ点あるいは線群とさせることにより、複写紙上にこの部分を被複写紙の背景部にはないモアレ発生部として現出させることによって、どのような読取り方向から複写した場合でも被複写紙と同一の複写を行なわさせず、複写紙上に差異部を現出させて被複写紙との違いを明確とさせることが可能な、デジタルコピー機による複写偽造防止用の被複写紙が開示されている。また、特開平6−262893号公報に開示されるように、基紙の表面に施された潜像と背景の一方が150線10%程度の網点で形成されると他方が同心円パターンで形成され、同心円パターンの円形を構成する細線が1/10mmの太さを有し、且つ細線相互の間隔Sが1/2mm程度であり、潜像と背景は同色であり、同心円パターンを構成する細線は網点同様無数に存在し、且つ目立たないため、通常は網点との識別がつかず、肉眼で潜像と背景は一様平面に観察されるが、コピーをすると複写機の形式を問わず、また光の走査方向や用紙の置き方にも関係なく潜像が明瞭に現出するとともにモアレが発生することによって、潜像の視認性とモアレの視認性によって偽造防止する、複写機適応型コピー偽造防止用紙がある。
【0003】
しかし、前記複雑な画線による彩紋模様によって偽造を防止しようとする技術は、優れたGUI環境のもとで、各種の模様が作成できるCGを利用した線画作成ソフトの普及により、著しく偽造防止の抑止力が低下し、一方、前述した公報記載の同心円万線や、同心円万線と網点等を組み合わせて模様に見立て、複写機で複写した場合にモアレを発現させることによって複写物であると判定したりする技術も、それらの同心円そのものは市販のDTPソフトでも作成可能なため、複写抑止策としては十分でない。
【0004】
また、市販のDTPソフトにおいて、もとになる円または円周に起伏を持った波状円に対して、コピー機能等を用いて自動作成した図3(イ)及び図6(イ)、図9(イ)に示すような従来の同心円万線及び波状同心円万線は、デザインの過程において最も外側の輪郭をなす画線(図2、図5、図8)の形状と、同心円を構成する画線のピッチと本数を規定しうるだけであるから、その意匠性は非常に乏しい。また従来の同心円において、画線ピッチを複写機の解像度に等しくするなどして、複写機によるモアレ発現をねらったとしても、コピー時に発現するモアレは図3(ロ)、図6(ロ)、図9(ロ)に示すような単調なもので、真偽の判別要素としては十分ではないという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、既存の彩紋彫刻機や市販のDTPソフトでは自動作成できない技巧的で高度な画線構成による、偽造が困難な意匠性の高い同心円万線や波状同心円万線、即ち、中心を同じくする複数の画線によって形成される同心形の模様(以下、同心形模様という)であって、該同心形模様を複写機により複写すると、複写前には存在しない特徴的な線状性(Line-likeness)を持つモアレパターンやベタ状パターンが明瞭に発現する機能を有する彩紋模様の作成方法及びその印刷物の提供を目的としたものである。
【0006】
本発明は、得ようとする模様の輪郭をなす画線を基本線とし、基本線の円の半径をrとし、半径rに作用する振幅変調の振幅をAjとし、振幅変調の周波数をFjとし、振幅変調の位相をPjとし、角度tを媒介変数とした、式【数1】により基本線を生成し、前記生成段階により得られた基本線の半径内に、模様を構成する画線分布に周波数変調を作用させた、基本ピッチがpitで、num本より構成される同心形模様のための同次座標AScircle(x,y,1) を、基本線の同次座標をcircle(x,y,1)としたとき、数列An、Dnの項番号nに対し非線形な任意のαn項を含む非等差的な数列An、及びDnを、スケーリングのための成分として含むアフィン行列による行列変換式【数2】で表されるアフィン変換を利用した反復描画による複数の同心形画線として生成する。また前記生成段階により得られた基本線の半径内に、周波数変調の程度をΔPITpとし、粗密の回数をFpとし、位相をPpとし、模様を構成する画線分布に周波数変調を作用させた、基本ピッチがpitで、num本より構成される同心形模様のための同次座標AScircle(x,y,1) を、基本線の同次座標をcircle(x,y,1)としたとき、行列変換式【数3】で表されるアフィン変換を利用した反復描画による複数の同心形画線として生成することによって、任意な回数の周波数変調を施すことを特徴とし、模様そのものが複製困難であり、且つ、意匠性の高い同心形模様を作成する方法とその印刷物を提供するものである。更に、より詳細には、前記数式(1)において、Ajを0以外とすることにより得られる波状同心形模様の作成方法とその印刷物である。
【0007】
【作用】
本発明の上記の手段によれば、振幅変調(サイン関数の変位に応じて半径の伸長をもたらすこと)が施された同心形模様の輪郭をなす基本線に対して、描画回数nに従属したサイン関数の複数の和の項であるΣΔPITp/r・sin(Fp・n・2π/num+Pp)の振る舞いによって、非等差的に変化するAn及びDnをスケーリングのための成分としてもつアフィン変換行列による座標変換を繰り返し行うことで、生成される各画線の間隔は連続的に変化し、同心形画線に画線分布の周期的な粗密状態を作り出すことができる(以下、周波数変調という)。数式(3)において、周波数変調の程度としてΔPITp、粗密の出現回数としてFp、位相としてPpをそれぞれデザインのパラメータとして定義することで、画線分布に任意な周波数変調を施すことができるから、同心円を基本とした複製の極めて困難な、起伏を有した万線で構成する同心円万線模様を始めとする同心形模様が容易に作成できる。
【0008】
しかも、本発明による同心形模様の作成方法では、模様を形成する画線と画線の間隔、即ち、ピッチを任意に設定できるから、周波数変調を作用させる前段階のピッチ(以下、基本ピッチという)を、複写機の走査ピッチに等しく、若しくは整数倍のピッチに等しくすることにより、複写機によって複写すると万線模様を形成する画線と複写機の走査線が干渉し、複写前には存在しないモアレパターンが明瞭に発現し、複写物であることが一目瞭然となる。さらに前記同心形模様は、模様を形成する画線に周波数変調を施すことによって、画線間隔に粗密な階調が形成される。即ち、画線間隔が連続的に異なるように構成できるので、画線間隔を複写機の解像度を超える密構成にすると、複写機で複写した場合に、前記密構成の部位において、実際には間隔を有する各々の画線が解像されず、ベタ状のパターンとなって出現する。一方、画線間隔が粗構成である部分の画線は、複写機の走査線と干渉し、該部分に複写前には存在しないモアレ模様が発現し、複写物であることが一目瞭然となるので、複写防止の抑止効果に作用する。
【0009】
【実施例】
(実施例1)
本発明を実施例に基づいて以下に説明する。図1は、本発明による同心形模様作成方法の処理手順を示す流れ図である。
【0010】
本発明の模様作成方法は、得ようとする模様の輪郭をなす線を基本線として、同心形模様を構成する画線を設ける手段を用いている。従って、まず始めに作成しようとする模様の輪郭をなす線、即ち、基本線を生成するために、基本線の座標値{ 以下、基本線circle(x,y)という} をコンピュータメモリ上に座標値データとして得ることが必要である。本発明においては、前記基本線circle(x,y)を得る方法として、角度t(ラジアン)を媒介変数とした下記の数式(1)を用いている。
【数1】
但し、rは基本線となる円の半径、Ajは半径rに作用する振幅変調の振幅、Fjは振幅変調の周波数、Pjは振幅変調の位相である。
【0011】
まずステップS1では、前記数式(1)を、予めコンピューターメモリ上の演算プログラムとして組み込み、得ようとする模様に従って、各々r、Aj、Fj、Pj等のパラメータを入力する。その後、ステップS2において、前記コンピューターメモリ上の演算プログラムによって、媒介変数tを0から2πまで変化させて基本線circle(x,y)を自動生成させる。この時、例えば入力するパラメータを、r=25mm、Aj=0mmとした時に得られる基本線circle(x,y) のベクトルデータを仮に可視的に表すと、図2に示すような輪郭線の軌跡となり、Ajを0としているので、振幅変調のない真円となる。
【0012】
なお、輪郭線をなめらかな画線とするために、tの送り幅は、画線中の隣合う座標の描画間隔が全座標の中で、最大でも120μmを超えない程度の微少量に設定することが好ましい。
【0013】
更に、tの送り幅を例えばπ/3のように極めて大きくした場合、tの値は、0、π/3、2π/3、・・・ 2πと変化し、図11のような六角形の輪郭線が生成される。また、n角形の輪郭線を得ようとする場合は、前記tの送り幅を2π/nラジアンにすれば良い。
【0014】
次にステップS3において、ステップS2で得られた基本線circle(x,y)のベクトルデータをコンピュータメモリ上でビットマップに展開、即ち、ディスプレー上にデータの可視化を行う。これによってディスプレー上に輪郭線形状が表示されるので、表示された輪郭線形状を参考に、得ようとする模様に合わせてステップS1におけるパラメータを変更することによって、自由な輪郭線形状のデザイニングが可能である。
【0015】
次にステップS4において、ステップS2で得られた基本線circle(x,y)データを基に、同心形化のための得ようとする模様を形成する半径内の総画線本数をnumとして、画線の基本ピッチをpitとして入力する。
【0016】
前記ステップS4において入力した総画線本数num本及び画線の基本ピッチpitより構成される同心形万線画線 AScircle(x,y) (同次座標は AScircle(x,y,1) )は、基本線circle(x,y)の同次座標をcircle(x,y,1)としたときの行列変換式、
【数4】
Figure 0003718689
によるアフィン変換を利用して、 num 回の反復描画によって得られる。但し、前記数式(4)のアフィン行列の成分である数列Anは、x軸方向におけるスケーリングのための成分であり、数列Dnはy軸方向におけるスケーリングのための成分である。ここでAn、Dnは、パラメータnum及びpitの設定により決定されるnによって変化する等差数列である。即ち、ステップS2で得られた基本線circle(x,y)を基準として、模様を形成する半径内の総画線本数num及び画線ピッチpitのパラメータを入力し、数式(4)によるコンピュータ上の演算プログラムにより、nを0からnum-1とするとともに等差数列An、及びDnを変化させて、num回のアフィン変換を基本線circle(x,y)に対して反復的に行い、同心形万線画線AScircle(x,y)の座標値を自動生成させる。この時、入力するパラメータを、総画線本数num=105本、画線の基本ピッチpit=0.248mmとすると、図3(イ)に示されるような同心円万線模様が得られる。
【0017】
次にステップS5において、前記ステップS4で得られた同心形模様を構成する画線分布に階調をもたせるために、画線分布に周波数変調を作用させた同心形模様を生成するためのパラメータを入力する。同心形模様を構成する各画線のピッチを連続的に変化させるためには、総画線本数がnum本で、基本ピッチがpitで構成される同心形模様のための同次座標AScircle(x,y,1) を、基本線の同次座標をcircle(x,y,1)とした時、数列An、Dnの項番号nに対し非線形な任意のαn項を含む非等差的な数列An、及びDnを、スケーリングのための成分として含むアフィン行列による行列変換式
【数2】
で表されるアフィン変換を利用した反復描画によって得ることができる。ここでαnは、適切な定数Kによる、例えばKn2、Klognなどの非線形成分であり、数式(4)におけるスケーリングの線形性を失わせるものであれば任意である。本発明では、周波数変調の程度をΔPITpとして、粗密の出現回数をFpとして、位相をPpとして、非線形成分αnを、
【数5】
Figure 0003718689
と定義した。数式(5)を任意個のサイン関数の和として、各サイン関数の振幅、周波数、位相の値をデザインパラメータとして使用することで、周波数変調の諸条件を的確に設定することができる。スケーリングのための成分An、Dnは、式
【数6】
Figure 0003718689
で表されるので、ΔPITp、Fp、Ppの各パラメータを入力することによって、同心形模様を形成する画線の線分布に周波数変調を作用させた、同心形模様を作成することができる。本実施例では、入力するパラメータとしてステップS4で設定した基本ピッチpitと本数num、及びΔPIT1=0.13mm、F1=3.75回、P1=0ラジアンを入力する。ここでΔPIT1の値は、基本ピッチ0.248mmで画線の基本となる配置がされるのに対して、最大で0.13mm、最小で-0.13mm中心方向へオフセットされる値に対応している。
【0018】
次にステップS6において、行列変換式、
【数3】
によるコンピュータメモリ上の演算プログラムにより、nを0からnum-1とするとともに等差数列An、及びDnを変化させて、num回のアフィン変換を反復的に行い、同心形万線画線AScircle(x,y)を自動生成させる。
【0019】
本実施例では、スケーリングのための数列がx軸方向、y軸方向で等しい(An=Dn)場合について述べた。しかし、An、Dnを異なった数列と定義すれば、従来にはない意匠性の高い模様が生成できる。例えば、総画線本数numは同一とし、画線の基本ピッチpitだけを、pitx、pityというように、x軸方向とy軸方向で異なって設定すれば、周縁から中心へと向かうに従って、各画線が楕円に変化するような同心形画線が生成可能である。また、総画線本数numと画線の基本ピッチpitは同一で、ΣΔPITp/r・sin(Fp・n・2π/num+Pp)におけるデザインのパラメータΔPITpを、ΔPITxp、ΔPITypと異なって設定することで、x軸方向とy軸方向で周波数変調の程度が異なる同心形万線模様が生成可能である。
【0020】
ステップS7において、前記同心形万線画線AScircle(x,y)の座標値のベクトルデータをディスプレー上に可視像とするため、コンピュータメモリ上でビットマップに展開する。図4(イ)はディスプレー上に可視化された模様を示したものである。
【0021】
ステップS8において、前記コンピュータメモリ上の同心形万線画線AScircle(x,y)の座標値のベクトルデータに、露光用レーザのオン・オフや、線幅情報等の出力機用のコードを付加し、テキストデータファイルとした。なお、このデータ形式は、本実施例で後述するガーバー社の出力機に対応したもので、ガーバーフォーマットと呼ばれる。
【0022】
(実施例2)
次に、本発明の他の例による模様の作成方法について説明する。まず、ステップS1において、得ようとする模様の輪郭をなす基本線circle(x,y)を得るため、前記数式(1)を予めコンピュータメモリ上の演算プログラムとして組み込み、得ようとする模様に従って各々r、Aj、Fj、Pj等のパラメータを設定し、ステップS2において、実施例1と同様にして基本線circle(x,y)の座標値を自動生成させる。入力するパラメータを、r=26mm、A1(振幅)=1.63mm、F1(周波数)=12、P1(位相)=0ラジアンとした時に得られる基本線circle(x,y)のベクトルデータを仮に可視的に表すと、図5に示すような輪郭線の軌跡となる。
【0023】
次にステップS3において、ステップS2で得られた基本線circle(x,y)のベクトルデータを、ディスプレイ上に可視化するために、コンピュータメモリ上でビットマップに展開し、データの可視化を行い、ディスプレイ上に示される形状が求めるものであるか否かを確認することができる。本実施例ではF1=12の設定を行っているので、図5に示すように、起伏が12個ある模様の輪郭線、即ち、基本線が得られる。
【0024】
次に、複数のサイン関数を用いて、振幅変調を半径に作用させた基本線の例について説明する。ステップS1において、基本線circle(x,y)のベクトルデータを得るために、デザインパラメータとして、A1=1.63mm、F1=12、P1=π/2ラジアン、及びA2=1.5mm、F2=6、P2=-π/2ラジアンのデザインパラメータを入力し、前述したステップS2の処理により基本線circle(x,y)のベクトルデータを生成し、これをステップS3においてコンピュータメモリ上でビットマップに展開し、データの可視化をすると、二つのサイン関数の和による振幅変調を施した輪郭線が図8のように得られる。
【0025】
次に、前記した図5及び図8の各々の輪郭線のベクトルデータをもとに、実施例1と同様にステップS4において、ステップS2で得られた基本線circle(x,y)データを基に、得ようとする同心形化した模様を形成するためのパラメータとして、総画線本数num=105本と画線の基本ピッチpit=0.248mmとを入力し、数式(4)によるコンピュータ上の演算プログラムにより、等差数列An、及びDnを変化させて、num回のアフィン変換を反復的に行うと図6(イ)及び図9(イ)に示されるような等ピッチの波状同心形万線模様が得られる。
【0026】
次にステップS5において、前記図6(イ)及び図9(イ)の波状同心形万線模様を形成する画線に階調をもたせるために、画線分布に周波数変調を有した画線として自動生成するためのパラメータ入力を行う。実施例1と同様に、前記ステップS2で得られた基本線circle(x,y)のデータを基に、線分布に周波数変調を作用させた波状同心円模様の生成のためのパラメータ設定を行う。この時に入力するパラメータは、前記ステップS4で設定した基本ピッチpitと本数num、及びΔPIT1=0.13mm、F1=3.75回、P1=0ラジアンである。
【0027】
次にステップS6において、前記ステップS4、ステップS5で設定されたパラメータをもとにして、アフィン変換を利用して、アフィン行列のスケーリング変換の成分An、及びDnを変化させながらAScircle(x,y)を生成する。生成方法については、実施例1と同様の数式(3)によるコンピュータ上の演算プログラムにより行う。
【0028】
ステップS7において、前記アフィン行列の成分を変化させながら反復描画して得たベクトルデータを、コンピュータメモリ上でビットマップに展開し、データの可視化をすると、ディスプレイ上に図7(イ)及び図10(イ)に示すような階調を持った形状の波状同心形万線模様が表示される。
【0029】
ステップS8において、実施例1と同様に、前記コンピュータメモリ上の波状同心形万線画線AScircle(x,y)の座標値のベクトルデータに、露光用レーザのオン・オフや、線幅情報等出力機用のコードを付加し、テキストデータファイルとした。
【0030】
図7(イ)及び図10(イ)のように、得られた波状同心円万線の基本線半径方向には、パラメータF1の入力どおりに画線分布の粗密が構成されている(ここではF1=3.75回に設定しているので3.75ケ所)。パラメータΔPITpは、図7(イ)及び図10(イ)で巨視的に観察される階調のγ値に対応している。粗密の傾斜具合、即ち、γ値を高くするためには、パラメータΔPITpの値を大きくすればよい。また、このパラメータΔPITpの増加によって、密構成の部位では各画線がより集結した状態になり、実際には分離している画線が、複写時には複写機の解像能力を超えているため分離できずに、つぶれたベタ状態になる。本実施例において使用されているサイン関数の個数は1個であるが、数式(3)におけるパラメータΔPITpを複数個(p>1)使用して和を作ることによって、より複雑な階調カーブ、粗密の出現間隔を部分的に変化させることができる。また、この画線の分布状態はサイン関数の変位によりもたらされるものなので、連続的な線間隔の変化を有している。従って、パラメータΔPITpにより最も密構成な部位の画線間隔を約200μmに設定しておくことで、任意の解像度の異なる複写機により複写した場合、前記ベタ状複写不能領域の面積の大小はあるにせよ、確実にパラメータF1の入力値と同一回数のベタ状複写領域が出現する。
【0031】
ステップS9において、前記実施例1及び実施例2によって得られた6種類のそれぞれのデータ{前述した図3(イ)、図4(イ)、図6(イ)、図7(イ)、図9(イ)、図10(イ)}に基づいて、全ての画線幅を101μmとし、出力機(ガーバー社製、フォトプロッターR9650型)によりフィルム出力し、刷版用フィルムを得た。
【0032】
次に、刷版用フィルムから得られた刷版を用いて、市販のコート紙上に、インキのレオロジー適性は、粘度99ポアズ、タック値4.4とした市販のオフセットインキ(グレー)で、印刷機器の調整は一般の平版オフセット印刷に等しく、特別に調整することなくオフセット印刷を行った。印刷物図3(イ)、図4(イ)、図6(イ)、図7(イ)、図9(イ)、図10(イ)のように複雑な形状の万線で構成された意匠性の高い彩紋模様が得られる。
【0033】
本発明の前記印刷物図3(イ)、図4(イ)、図6(イ)、図7(イ)、図9(イ)、図10(イ)を、デジタルカラー複写機(キャノン・カラーレーザーコピア470)により複写すると、市販のDTPソフトで作成可能な図3(イ)、図6(イ)、図9(イ)を複写した、図3(ロ)、図6(ロ)、図9(ロ)には単純なモアレ模様が発現するのに対し、本発明の方法による画線構成により作成した図4(イ)、図7(イ)、図10(イ)を複写した図4(ロ)、図7(ロ)、図10(ロ)には、複写前には存在しない特徴的な線状性(Line-likeness)を持つモアレパターンが発現した。また、従来の画線間隔が一定の同心円形万線模様では、複写時のモアレが単一方向だけなのに対し、本発明では入力用イメージセンサの配列方向以外にも複数方向にモアレが出現した。また、画線が集結した密部{例えば図7(イ)においては3.75ケ所}では、画線の分離が不可能なベタ状パターンが明瞭に発現した。
【0034】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明による同心形万線の作成方法によれば、既存のDTPソフト等では作成することのできない万線模様が作成可能であり、模様そのものが複製困難な偽造防止性を有しているうえ、万線模様のデザイニングも自在であり、意匠性が高く、印刷物の図柄構成全体とのデザインの調和がはかりやすい。また本発明において、基本pitの適切な設定と、線分布の周波数変調がなされた同心形万線模様は、複写機により複写すると、放射線方向に特異な線状性を有するモアレによる模様が生じるので、複写物であることが一目瞭然となる。また任意の解像度の複写機による複写に対しても、隣合う画線が分離不能な複写不能領域を必ず有しているため、画線つぶれによるベタ状パターンが必ず生じるので、真偽判定が確実に行える。このように本発明の同心形万線模様は、複写防止を必要とする印刷物に最適な万線模様となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による同心形模様作成方法の処理手順を示す流れ図。
【図2】 振幅変調のない真円の輪郭線を示す図。
【図3】 同心円万線模様及び複写物を示す図。
【図4】 階調を持った同心円形状の模様及び複写物を示す図。
【図5】 起伏が12個ある模様の輪郭線を示す図。
【図6】 波状同心円万線模様及び複写物を示す図。
【図7】 階調を持った波状同心円形状の模様及び複写物を示す図。
【図8】 二つの正弦波の和による振幅変調を施した起伏が12個ある模様の輪郭線を示す図。
【図9】 二つの正弦波の和による振幅変調を施した波状同心円万線模様及び複写物を示す図。
【図10】 二つの正弦波の和による振幅変調を施した階調を持った波状同心円形状の模様及び複写物を示す図。
【図11】 六角形の輪郭線を示す図。

Claims (6)

  1. 得ようとする模様の輪郭をなす画線を基本線とし、基本線の円の半径をrとし、半径rに作用する振幅変調の振幅をAjとし、振幅変調の周波数をFjとし、振幅変調の位相をPjとし、角度tを媒介変数とした、式
    Figure 0003718689
    により基本線の座標circle(x,y)を生成する段階と、前記基本線の同次座標を circle(x,y,1) とし、基本ピッチを pit とし、本数を num 本とし、 An 及び Dn を非線形な任意のα n 項を含む非等差的な数列とした、前記 An 及び Dn をスケーリングのための成分として含むアフィン行列による行列変換式
    Figure 0003718689
    により、 num 回のアフィン変換を反復的に行い、前記基本線の半径内に、画線分布に周波数変調を作用させた num 本から構成される同心形万線画線 AScircle(x,y,1) を生成する段階とを備えたことを特徴とする複写により複写前には存在しないパターンが発現する同心形模様を有する印刷物の作成方法。
  2. 得ようとする模様の輪郭をなす画線を基本線とし、基本線の円の半径をrとし、半径rに作用する振幅変調の振幅をAjとし、振幅変調の周波数をFjとし、振幅変調の位相をPjとし、角度tを媒介変数とした、式【数1】により基本線の座標circle(x,y)を生成する段階と、前記基本線の同次座標を circle(x,y,1) とし、基本ピッチを pit とし、本数を num 本とし、 An 及び Dn を非線形な任意のα n 項を含む非等差的な数列とした、前記 An 及び Dn をスケーリングのための成分として含むアフィン行列による行列変換式 【数2】により、 num 回のアフィン変換を反復的に行い、前記基本線の半径内に、画線分布に周波数変調を作用させた num 本から構成される同心形万線画線 AScircle(x,y,1) を生成する段階とによって得られる複写により複写前には存在しないパターンが発現する同心形模様を有した印刷物。
  3. 得ようとする模様の輪郭をなす画線を基本線とし、基本線の円の半径をrとし、半径rに作用する振幅変調の振幅をAjとし、振幅変調の周波数をFjとし、振幅変調の位相をPjとし、角度tを媒介変数とした、式【数1】により基本線の座標circle(x,y)を生成する段階と、前記基本線の同次座標を circle(x,y,1) とし、基本ピッチを pit とし、本 数を num 本とし、周波数変調の程度をΔ PITp とし、粗密の回数を Fp とし、位相を Pp とした、 An 及び Dn をスケーリングのための成分として含むアフィン行列による行列変換式
    Figure 0003718689
    により、 num 回のアフィン変換を反復的に行い、前記基本線の半径内に、画線分布に周波数変調を作用させた num 本から構成される同心形万線画線 AScircle(x,y,1) を生成する段階とを備えたことを特徴とする複写により複写前には存在しないパターンが発現する同心形模様を有する印刷物の作成方法。
  4. 得ようとする模様の輪郭をなす画線を基本線とし、基本線の円の半径をrとし、半径rに作用する振幅変調の振幅をAjとし、振幅変調の周波数をFjとし、振幅変調の位相をPjとし、角度tを媒介変数とした、式【数1】により基本線の座標circle(x,y)を生成する段階と、前記基本線の同次座標を circle(x,y,1) とし、基本ピッチを pit とし、本数を num 本とし、周波数変調の程度をΔ PITp とし、粗密の回数を Fp とし、位相を Pp とした、 An 及び Dn をスケーリングのための成分として含むアフィン行列による行列変換式 【数3】により、 num 回のアフィン変換を反復的に行い、前記基本線の半径内に、画線分布に周波数変調を作用させた num 本から構成される同心形万線画線 AScircle(x,y,1) を生成する段階とによって得られる複写により複写前には存在しないパターンが発現する同心形模様を有する印刷物の作成方法。
  5. 前記数式(1)において、Ajを0以外とすることにより得られる特許請求の範囲第1項又は第3項記載の波状同心形模様の作成方法。
  6. 前記数式(1)において、Ajを0以外とすることにより得られる特許請求の範囲第2項又は第4項記載の波状同心形模様を有した印刷物。
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