JP3718502B2 - 補強土構造体の連結構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、盛土法面が崩壊することを防止し、安定した法面を形成するために盛土に埋設して用いられる網シート状の補強材と連結パネルまたは壁面材とを連結する連結構造、および網シート状の補強材同士を接続する連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、道路や鉄道を敷設する場合などに行われる盛土工法では、法面の崩壊を防止するために土留壁体が設けられる。土留壁体にはコンクリート製のパネル壁体などが用いられており、また、盛土を補強するためには補強材が用いられるが、これらには支圧アンカーや鋼製ストリップ、および格子状鉄筋等が使用されてきた。
【0003】
しかし、この種の補強材および補強材の土留壁との接続はコストが高く、さらにボルトやナットなどの締結材料の使用による施工作業の手間という欠点があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる状況にあって、上記の従来の問題点の解消が本発明の目的であり、発明者は問題解消のために補強材の選択や連結構造を検討し、その結果、本発明に至ったものである。すなわち、本発明の目的は次のとおりである。
1.低コストで高強度な補強材を提供すること。
2.低コストの連結装置を提供すること。
3.壁面パネルと補強材の容易な連結方法を提供すること。
4.格子状鉄筋グリッド壁面材と補強材の容易な連結方法を提供すること。
5.連結装置の上記以外の利用法を提供すること。
上記5項目を満足することによって、低コストの補強土構造体を実現できる連結構造を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
明は(a)連結具が設けられ、盛土を補強して構築される補強土構造体の壁面を形成する壁面パネルと、
(b)縦材と横材とによって格子状に形成される補強材と、
(c)連結装置であって、
(c1)略コの字状または略U字状に形成され、壁面の延長方向に間隔をあけて設けられる複数の係止部と、各係止部の一端部同士を連結する一方底面部と、各係止部の他端部同士を連結する他方底面部とを有し、
(c2)各係止部間に形成される開放部に、補強材の縦材と連結具とが収容される連結装置と、
(d)開放部に収容される補強材の縦材および連結具に対して連結装置の各底面部とは反対側で、連結装置の各係止部に挿通される連結ピンとを含むことを特徴とする補強土構造体の連結構造である
【0006】
本発明に従えば、壁面パネルと補強材との連結にあたって連結装置および連結ピンが用いられる。連結装置は、略コの字状または略U字状に形成される複数の係止部と、各係止部の一端部同士を連結する底面部と、各係止部の他端部同士を連結する底面部とを有し、各係止部間に開放部が形成されている。この連結装置の開放部に、壁面パネルに設けられる連結具と、網シート状の補強材の縦材とが収容される状態で、連結装置の各係止部に、連結ピンが挿入される。連結ピンは、連結具および補強材の縦材に対して、連結装置の各底面部とは反対側に挿入される。これによって連結具および補強材の縦材が、開放部から抜出ることが防がれ、連結具および補強材が連結装置に係止され、壁面パネルと補強材とが連結される。
【0007】
このような連結構造は、壁面パネルが土圧を受け、これに伴って盛土内部に埋設されている補強材が変位しようとするときに、壁面パネルと補強材とが離脱しないように連結することができる。したがって補強材が受ける摩擦抵抗力は、壁面パネルが前方へ変位しようとするのを阻止するように作用する。このような連結構造により、壁面パネルと補強材とを一体化させる上で最も重要な連結部の安全性が高められるとともに、作用する土圧によって壁面パネルが変位を生じようとするのを補強材の摩擦抵抗力により阻止することができ、壁面パネルが変位することによる斜面の崩壊を確実に防止する。
【0008】
また壁面パネルと補強材との連結は、連結装置の開放部に連結具および補強材の縦材を収容し、連結装置の各係止部に連結ピンを挿入するだけでよく、ボルトやナットなどの締結部材を用いる必要がないので、容易な作業によって著しく現場の手間を少なくし、施工時間を短縮することが出来る。さらに連結装置は、各係止部の両端部が、個別の底面部によって互いに連結され、各係止部が位置決めされ、互いの間隔が変化しないように保たれる。しかもこの連結装置は、単純な工程で容易に形成することができる。
【0009】
また本発明は連結具は、略コの字状の連結金具または縦部材と横部材とによって形成される連結金網であることを特徴とする。
【0010】
本発明に従えば、略コの字状の連結金具または縦部材と横部材とによって形成される連結金網によって、連結具が実現される。これによって連結装置の開放部に収容させて、連結装置に係止可能な連結具を、具体的に実現することができる。
【0011】
また本発明は、(a)縦部材と横部材とによって格子状に形成される壁面材であって、盛土を補強して構築される補強土構造体の壁面を形成する立ち上り部と、立ち上り部から後方へ延びる底面部とを有する壁面材と、
(b)縦材と縦材とによって格子状に形成される補強材と、
(c)連結装置であって、
(c1)略コの字状または略U字状に形成され、壁面の延長方向に間隔をあけて設けられる複数の係止部と、各係止部の一端部同士を連結する一方底面部と、各係止部の他端部同士を連結する他方底面部とを有し、
(c2)各係止部間に形成される開放部に、補強材の縦材と壁面材の底面部における縦部材とが収容される連結装置と、
(d)開放部に収容される補強材の縦材および壁面材の底面部における縦部材に対して連結装置の各底面部とは反対側で、連結装置の各係止部に挿通される連結ピンとを含むことを特徴とする補強土構造体の連結構造である。
【0012】
本発明に従えば、壁面材と補強材との連結にあたって連結装置および連結ピンが用いられる。連結装置は、略コの字状または略U字状に形成される複数の係止部と、各係止部の一端部同士を連結する底面部と、各係止部の他端部同士を連結する底面部とを有し、各係止部間に開放部が形成されている。この連結装置の開放部に、壁面材の底面部における縦部材と、網シート状の補強材の縦材とが収容される状態で、連結装置の各係止部に、連結ピンが挿入される。連結ピンは、壁面材の底面部における縦部材および補強材の縦材に対して、連結装置の各底面部とは反対側に挿入される。これによって壁面材の底面部における縦部材および補強材の縦材が、開放部から抜出ることが防がれ、壁面材の底面部および補強材が連結装置に係止され、壁面材と補強材とが連結される。
【0013】
このような連結構造は、壁面材が土圧を受け、これに伴って盛土内部に埋設されている補強材が変位しようとするときに、壁面材と補強材とが離脱しないように連結することができる。したがって補強材が受ける摩擦抵抗力は、壁面材が前方へ変位しようとするのを阻止するように作用する。このような連結構造により、壁面材と補強材とを一体化させる上で最も重要な連結部の安全性が高められるとともに、作用する土圧によって壁面材が変位を生じようとするのを補強材の摩擦抵抗力により阻止することができ、壁面材が変位することによる斜面の崩壊を確実に防止する。
【0014】
また壁面材と補強材との連結は、連結装置の開放部に壁面材の縦部材および補強材の縦材を収容し、連結装置の各係止部に連結ピンを挿入するだけでよく、ボルトやナットなどの締結部材を用いる必要がないので、容易な作業によって著しく現場の手間を少なくし、施工時間を短縮することが出来る。さらに連結装置は、各係止部の両端部が、個別の底面部によって互いに連結され、各係止部が位置決めされ、互いの間隔が変化しないように保たれる。しかもこの連結装置は、単純な工程で容易に形成することができる。
【0015】
また本発明は、(a)縦材と横材とによって格子状に形成される網シート状の第1補強材と、
(b)縦材と縦材とによって格子状に形成され、第1補強材の後方側に設けられ、前方端部が、縦材の位置を合せて第1補強材の後方端部に重合わされる網シート状の第2補強材と、
(c)連結装置であって、
(c1)略コの字状または略U字状に形成され、壁面の延長方向に間隔をあけて設けられる複数の係止部と、各係止部の一端部同士を連結する一方底面部と、各係止部の他端部同士を連結する他方底面部とを有し、
(c2)各係止部間に形成される開放部に、第1および第2補強材の互いに重合わされる部分の縦材が収容される連結装置と、
(d)開放部に収容される第1および第2補強材の縦材に対して連結装置の各底面部とは反対側で、連結装置の各係止部に挿通される連結ピンとを含むことを特徴とする補強土構造体の連結構造である。
【0016】
本発明に従えば、第1および第2補強材との連結にあたって連結装置および連結ピンが用いられる。連結装置は、略コの字状または略U字状に形成される複数の係止部と、各係止部の一端部同士を連結する底面部と、各係止部の他端部同士を連結する底面部とを有し、各係止部間に開放部が形成されている。この連結装置の開放部に、第1および第2補強材の互いに重合わされる部分の縦材が収容される状態で、連結装置の各係止部に、連結ピンが挿入される。連結ピンは、第1および第2補強材の縦材に対して、連結装置の各底面部とは反対側に挿入される。これによって第1および第2補強材の縦材が、開放部から抜出ることが防がれ、第1および第2補強材が連結装置に係止され、第1および第2補強材が連結される。
【0017】
このような連結構造は、第1および第2補強材が互いに離脱しようとするときに離脱しないように連結することができる。したがって第1および第2補強材を確実に連結することができる。
【0018】
また第1および第2補強材の連結は、連結装置の開放部に第1および第2補強材の縦材を収容し、連結装置の係止部連結ピンを挿入するだけでよく、ボルトやナットなどの締結部材を用いる必要がないので、容易な作業によって著しく現場の手間を少なくし、施工時間を短縮することが出来る。さらに連結装置は、各係止部の両端部が、個別の底面部によって互いに連結され、各係止部が位置決めされ、互いの間隔が変化しないように保たれる。しかもこの連結装置は、単純な工程で容易に形成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図5は本発明の第1および第2の実施の形態の補強土構造体10の内部構造を示す斜視図である。この図には土留壁背面に設けられている連結装置22は示されていないが、補強土構造体10は土留壁11と、背面盛土12と、盛土補強材13によって構成され、補強土構造体10は、たとえば道路や鉄道を敷設するにあたって斜面が崩れ落ちて崩壊することを防止し、安定した法面を形成するために構築される。このような補強土構造体10では、土留壁11と補強材13が一体化することで土留壁11に作用する土圧により土留壁11が前へ倒れようとする力を補強材13の引抜き抵抗力により抗していることから、土留壁11と補強材13の連結がもっとも重要とされる。土留壁11はコンクリート製の壁面パネル20で形成されており、従来の技術では土留壁11を壁面パネルとした場合には支圧アンカーや鋼製ストリップ等の補強体が用いられてきた。
【0021】
しかしながら、これらの補強体は壁面パネルと連結する際にボルトやナットなどの締結部材が必要とされ、コストも高く、施工に手間を費やしてきた現状があった。このような問題を解消するために、本発明の第1および第2の実施の形態である補強土構造体10は補強材に網シート状の補強材13を用いたことを特徴としている。
【0022】
図1は、壁面がパネル構造における補強土構造体10で、盛土12を補強するために盛土内部に埋設される材料が網シート状の補強材13であって、壁面パネル20と補強材13を連結せしめる連結部の断面図である。壁面パネル20は、たとえばコンクリートで形成されており、連結具である連結金具21は壁面パネル20の製造段階において上下方向は、たとえば60cm間隔、延長方向に複数固定される。この連結金具21に連結装置22を装着する。連結装置22は図8の形成工程に示されるように、複数の係止部31と開放部32を設けるためにパンチングされた薄型鋼板41を断面略コの字状24、もしくは略U字状25に形成されるようにプレス加工したものであり、通常市販、流通されている材料および単純な工程により容易に形成することができる。
【0023】
図7は連結装置を示す斜視図である。連結装置22は底面部33が形成され、補強材縦材14を開放部32に挿入した際に、連結装置内に留めるとともに、同じく壁面パネル20の背面に設けられている連結金具21を挿入した際に係止する役割を果たすものである。
【0024】
また、上方に複数の開放部32と係止部31が壁面の延長方向に交互に配置されている。補強材13との接続時に補強材13の縦材14を連結装置開放部32に挿入するため、連結装置開放部32の延長方向の間隔は、補強材縦材14の間隔と同じ間隔でなければならない。ただし、連結装置開放部32の1箇所に対して補強材縦材14を1本づつ挿入する必要はなく、連結装置開放部32の1箇所に対して補強材縦材14を複数本挿入すればよい。このようにすれば、連結装置22の開放部32を広くすることができ、施工現場で補強材縦材14を連結装置開放部32に収容する作業が容易になる。
【0025】
しかしながら、連結装置22の係止部31に作用する荷重が、補強材13の横材15のせん断強度を上回れば横材15が破断する恐れがあるため、連結装置32の開放部1箇所に挿入される補強材縦材14の本数は横材15のせん断強度を満足する本数以下でなければならない。
【0026】
連結装置22の係止部31の幅は、係止部31が補強材13の開口部17に挿入されるため、開口部17の最小幅よりも若干細く形成される。図13に示されるように、補強材13の開口部17は補強材縦材14方向に細長く、幅は中央付近では太く端部、すなわち横材15付近では細く形成されている。したがって、係止部31の幅は補強材開口部17の端部の幅よりも細く形成される。
【0027】
さらに、補強材13には例えば5種類のされぞれの強度を備えた種類があり、単位幅当たり縦材14の本数や太さが異なる。したがって、連結装置22の開放部32の間隔および係止部31の幅や間隔は、補強材13の5種類すべてに対応できる寸法で形成されることが望ましい。
【0028】
図13は網シート状の補強材13の一部を示す平面図である。補強材13は、一方向に延びる縦材14と縦材14とは異なる方向に延びる横材15により形成され、可撓性を有し、たとえばポリエチレンから成る。具体的には、ポリエチレンを用いて成型して板状の素材を形成し、この素材を厚み方向に挿通する挿通孔をたとえばパンチングによって形成して格子状態を得り、このような格子状態を軟化点以上かつ融点未満の温度に加熱し、前記挿通孔を広げるように一方向に引張り、格子の状態に補強材13が形成される。さらにポリエチレンにカーボンを含有することによって紫外線の内方への浸透を防ぎ紫外線劣化を防止するようにしてもよい。
【0029】
次に、本発明の第1の実施の形態における壁面パネル20と補強材13の接続の方法を手順を追って説明する。
先ず、壁面パネル20はコンクリートで形成されており、背面には補強材13との接続のための複数の連結金具21が設けられている。連結金具21は壁面パネル20を形成する段階で固定されており、高さ方向がたとえば60cmの間隔で土留壁11の背面に壁面の延長方向に複数設けられている。
【0030】
所定の位置に壁面パネル20を設置し、背面に盛土12を行い転圧されたあと、補強材13を敷設する。補強材13は、その前方端部、すなわち土留壁側の端部を壁面パネル20の背面に設けられた連結金具21と接続される。接続方法は、図9(a)に示されるように、連結装置22を連結金具21の内側に挿通させ、連結金具21の内側から連結装置22の係止部31が連結金具21の外側へ突き出るように、連結装置22の開放部32に連結金具21を挿入する。このとき、連結装置22は連結金具21の上方に配置することが望ましい。また、配置した連結装置22は結束線等で軽く固定しておくことにより、次に行われる補強材13の設置が容易に行える。
【0031】
続いて、補強材13の前方端部の縦材14を連結装置22の開放部32に挿入する。このとき、挿入する補強材縦材14の前方には必ず横材15が存在していなければならない。次に、挿入された補強材縦材14および連結金具21と連結装置係止部31の間に係止部材である連結ピン23を連結装置端部34の左右どちらか一方向から挿通する。
【0032】
また、図9(a)に示されたような前述の連結装置22の設置手順に限らず、図9(b)に示されるように連結装置22の取り付けを連結金具21の外側から行ってもよい。この場合、予め補強材13の前方端部の縦材14を連結装置22の開放部32に挿入、もしくは連結金具21の内側に補強材前方端部の横材15を外側へ出した状態で連結装置22を連結金具21の外側から、連結装置22の開放部32に連結金具21を挿入する。
【0033】
連結装置22を連結金具21の内側から取り付けた場合でも、外側から取り付けた場合でも、その構成は違えど同じ連結部強度を保持することができる。これによって、施工作業においては接続作業を行う作業員が本人が作業をし易い方法を選択することができ、すなわち施工性の向上につながる。
【0034】
このようにして接続された壁面パネル20と補強材13は一体化され、補強土構造体10として盛土体の崩壊を防ぐものである。
【0035】
図2は、壁面がパネル構造における補強土構造体10で、盛土12を補強するために盛土内部に埋設される材料が網シート状の補強材13であって、壁面パネル20と補強材13を連結せしめる連結部の断面図である。壁面パネル20は、たとえばコンクリートで形成されており、連結具である連結金網51は壁面パネル20の製造段階において上下方向は、たとえば60cm間隔で延長方向に固定される。この連結金網51に連結装置22を装着する。連結装置22に関しては先に説明したとおりであり省略する。
【0036】
図15は連結金網51を示す斜視図である。
連結金網51は土圧が作用する方向に沿って延びる縦部材52と、縦部材52に交差して固定される横部材53とによって、たとえば鉄筋で形成されている。縦部材52は前方側を壁面パネル20内に壁面パネル製造時に埋め込まれ、前方の先端部は壁面パネルからの抜け出しを防止するために略L字状に形成されている。また、縦部材52は壁面の延長方向に等間隔で複数取り付けられ、連結金網51の縦部材52と横部材53とが交差するところの溶接点が破断しないだけの本数、例えば100mm以下の間隔である。
【0037】
次に、本発明の第2の実施の形態における壁面パネル20と補強材13の接続の方法を手順を追って説明する。
先ず、壁面パネル20はコンクリートで形成されており、背面には補強材13との接続のための連結金網51が設けられている。連結金網51は壁面パネル20を形成する段階で固定されており、高さ方向がたとえば60cmの間隔で土留壁11の背面に壁面の延長方向に設けられている。
所定の位置に設置された壁面パネル20の背面に盛土12を行い転圧したあと、補強材13を敷設する。補強材13は、その前方端部、すなわち土留壁側の端部を壁面パネル20の背面に設けられた連結金網51と接続される。接続方法は、連結装置22を連結金網51の下方から、連結金網51の縦部材52を連結装置22の開放部32に収容するように装着する。このとき、連結装置22の係止部31が連結金網51よりも上方へ突き出てなり、また、連結金網51の横部材53は連結装置22の背後側になければならない。
【0038】
続いて、補強材13の前方端部の縦材14を連結装置22の開放部32に上方から挿入する。このとき、挿入する補強材縦材14の前方には必ず横材15が存在していなければならない。次に、挿入された補強材縦材14および連結金網縦部材52と連結装置係止部31の間に連結ピン23を連結装置端部34の左右どちらか一方向から挿通する。
【0039】
このようにして接続された壁面パネル20と補強材13は一体化され、補強土構造体10として盛土体の崩壊を防ぐものである。
【0040】
次に、本発明の第1および第2の実施の形態における補強土構造体10の形成方法を、図10に示された手順にしたがって説明する。図10は第1の実施の形態を描いた図面であるが、接続方法を除いては第1および第2の実施の形態ともに同じ形成手順である。
先ず、土留壁11が設置される所定の位置に基礎工16が構築され、基礎工16はたとえばコンクリートで形成されている。次に、基礎工16の上方に壁面パネル20を設置する。具体的には、壁面パネル20はクレーンによって吊り下げられて所定の位置に配置される。壁面パネル20の左右隣り合うパネル同士は、壁面パネル20の両端に設けられた凹凸により、左右のパネル同士は噛み合わされて連結される。具体的には、壁面パネル20の左側端部を凹所、右側端部を凸所とすることにより、左側の壁面パネルの右側端部凸所が右側に隣接する壁面パネル20の左側端部の係合凹所に挿入され、左右隣り合う壁面パネル20同士は連結される。
【0041】
次に、土留壁11の背後に盛土12を投入し、所定の高さになるように巻きだし、転圧を行う。なお、所定の高さとは図10(3)に示されるように、壁面パネル20の背面に設けられた連結金具21もしくは連結金網51の位置である。次に、図10(4)に示されるように、所定の高さに形成された盛土12の上面に補強材13を敷設する。補強材13の幅はたとえば1mで、補強材が隙間が生じないように壁面の延長方向に敷き並べる。
【0042】
次に、図10(6)に示されるように、補強材13を壁面パネル20に連結する。連結の方法および手順は、先に説明した方法と同じようにすればよい。
【0043】
壁面パネル20と補強材13の接続が完了すると、図10(7)に示されるように、補強材13の上方に盛土12を投入し、所定の高さになるように、巻きだし、転圧を行う。土留壁11の背後の盛土12が壁面パネル20の1枚分の高さまで到達すると、次に、図10(11)に示されるように次段の壁面パネル20を設置する。このような作業を繰り返すことによって、壁面がパネル構造で形成された補強土構造体10が構築されるものである。
【0044】
次に、本発明の第3の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図6は本発明の第3の実施の形態の補強土構造体9の内部構造を示す斜視図である。補強土構造体9は土留壁11と、背面盛土12と、盛土補強材13によって構成され、土留壁として格子状鉄筋グリッドで形成された鋼製枠壁面材43、盛土補強材として網シート状の補強材13を連結することにより、土留壁11に大きな土圧が作用し土留壁11が前方へ抜け出そうとするのを補強材13の引抜き抵抗力により阻止することができ、土留壁11に大きな土圧が作用するのを防ぐとともに斜面の崩壊を確実に防止する。
【0045】
図3は、壁面が鋼製枠壁面構造における補強土構造体9で、盛土12を補強するために盛土内部に埋設される材料が網シート状の補強材13であって、鋼製枠壁面材43と補強材13を連結せしめる連結部の断面図である。鋼製枠壁面材43は、土圧が作用する方向に沿って延びる縦部材28と、縦部材28に交差して固定される横部材29とによって格子状に、たとえば鉄筋で形成されている。連結装置22および網シート状の補強材13は先に説明したとおりであり省略する。
【0046】
次に、格子状鉄筋グリッド壁面材43と補強材13の接続の方法を手順を追って説明する。
先ず、所定の位置に配置された壁面材43の底面部27の下方から、壁面材25の縦部材28を連結装置22の開放部32に収容するように装着する。このとき、連結装置22の係止部31が壁面材25の底面部27よりも上方へ突き出てなり、また、連結装置22の背後側には少なくとも1列以上の壁面材43の横部材29がなければならない。
【0047】
続いて、補強材13の前方端部の縦材14を連結装置22の開放部32に上方から挿入する。このとき、挿入する補強材縦材14の前方には必ず横材15が存在していなければならない。次に、挿入された補強材縦材14および壁面材縦部材28と連結装置係止部31の間に連結ピン23を連結装置端部34の左右どちらか一方向から挿通する。
【0048】
このようにして接続された鋼製枠壁面材43と補強材13は一体化され、補強土構造体9として盛土体の崩壊を防ぐものである。
【0049】
次に、本発明の第3の実施の形態における補強土構造体9の形成方法を、図11に示された手順にしたがって説明する。
先ず、図11(1)に示すように、土留壁11が設置される所定の位置に基礎工40が構築され、たとえば基礎工40は砕石で形成されている。次に、図11(2)に示すように、基礎工40の上方に壁面材43を設置する。具体的には、壁面材43は軽量であるため人力作業により所定の位置に配置され、壁面材43の立ち上がり部26の背面には壁面緑化をするための植生マットや土こぼれ防止のための不織布やメッシュ状シートが貼り付けられる。
【0050】
次に、図11(3)に示すように、壁面材43の底面部27の下方から連結装置22を係止部31が上方にくるように、また、壁面材43の縦部材28を連結装置22の開放部32に収容するように装着する。このとき、連結装置22の背後側には少なくとも1列以上の壁面材43の横部材29がなければならない。
【0051】
次に、図11(4)に示すように補強材13を敷設する。このとき、敷設した補強材13の前方端部の縦材14を連結装置22の開放部32に上方から挿入する。このとき、挿入する補強材縦材14の前方には必ず横材15が存在していなければならない。次に、挿入された補強材縦材14および壁面材縦部材28と連結装置係止部31の間に連結ピン23を連結装置端部34の左右どちらかの一方向から挿通し、壁面材43と補強材13は連結装置22により係止される。
【0052】
次に、図11(5)に示すように、壁面材43の背後に盛土12を巻きだし、転圧する。このとき、盛土12は、たとえば30cmの厚さとする。これは、盛土材を十分に締固めるためであり、締固めが不足すると盛土層の不等沈下が発生する恐れがあるからである。したがって、壁面材43の1段当たりの高さは30cm間隔となるが、壁面材43は人力により作業が行える程度の高さ、たとえば60cmである。
【0053】
次に、図11(6)に示すように、壁面材43の高さまで盛土12を巻きだし、転圧を行えば、次に図11(7)に示すように次段の壁面材43を設置する。このような作業を繰り返すことにって、壁面が格子状鉄筋グリッド壁面材43で形成された補強土構造体9が構築されるものである。
【0054】
次に、本発明の第4の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図4は、本発明の第4の実施の形態を示す網シート状の補強材同士の接続を示す断面図である。補強土構造体9および10等に用いられる補強材13は、ロール状で運搬された補強材13を補強土壁の安定計算で定められた設計長さに、はさみやカッターナイフで切断し盛土内に敷設されるものである。ロールの長さは補強材の種類によって異なるが、たとえば100m、75m、50m、30mの長さである。このようにロール状で搬入された補強材13を所定の長さに切断した場合、かならず若干の端数が余ることになる。この端数が積もり積もれば、場合によっては補強材の不足が生じることもある。
【0055】
以上のような問題を解決するために、端数として余った補強材13同士を接続し所定の設計長さにせしめるもので、この際に用いる連結装置は本発明の第1〜3の実施の形態に用いられる連結装置22を流用できる特徴を持つ。
【0056】
次に、本発明の第4の実施の形態における網シート状の補強材同士の接続方法を説明する。
図12は、網シート状の補強材13同士の接続を示す断面図と平面図である。敷設された所定の設計長さに満たない第1補強材18の後方に、新たに継ぎ足される第2補強材19を敷設する。このとき、第1補強材18の後方端部と第2補強材19の前方端部は、縦材の位置を合わせるとともに上下方向に重合わせておく。
【0057】
次に、重合わされた2枚の補強材13の下方から連結装置22を係止部31が上方にくるように、また、補強材13の縦材14が開放部32に収容するように装着する。このとき、補強材13が連結装置22の係止部31に係止されるために、連結装置22の後方側には少なくとも1本以上の第1補強材18の横材15が、また、連結装置22の前方側には少なくとも1本以上の第2補強材19の横材15が存在していなければならない。
【0058】
次に、挿入された第1補強材18および第2補強材19の縦材14連結装置係止部31の間に連結ピン23を連結装置端部34の左右どちらか一方向から挿通する。
【0059】
以上のような、土留壁11と補強材13、または、補強材13同士の接続に関して、連結装置22および係止部材である連結ピン23を用いて連結することで、単純な部材、簡単、容易な作業によって、容易に連結することができる。したがって、現場での手間を極力少なくし、施工時間の短縮を図るとともに、低コストで補強土構造体を構築することができる。特に、道路もしくは鉄道を敷設する場合など、広範囲にわたって斜面を補強しなければならない場合には、施工時間を大幅に短縮することができる。
【0060】
【発明の効果】
請求項1〜3記載の本発明によれば、補強土構造体において、壁面パネルまたは壁面材と網シート状の補強材とを連結するにあたって、前述の連結装置および連結ピンを備える連結構造が用いるので、壁面パネルまたは壁面材と網シート状の補強材とが確実に連結され、壁面パネルまたは壁面材に作用する土圧に補強材の抵抗力で抗し、壁面パネルまたは壁面材の変位を阻止することができる。
【0061】
請求項4記載の本発明によれば、網シート状の補強材同士を連結するにあたって、前述の連結装置および連結ピンを備える連結構造が用いるので、網シート状の2つの補強材確実に連結され、所定の補強材としての効果を発揮することができる。
【0062】
上述のような連結装置を用いることにより、単純な部材、簡単、容易な作業によって、容易に連結することができる。したがって、現場での施工性が著しく向上し、施工時間の短縮を図るとともに、低コストで補強土構造体を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の接続部を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の接続部を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の接続部を示す断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態の接続部を示す断面図である。
【図5】本発明の第1および第2の実施の形態の補強土構造体の内部構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の補強土構造体の内部構造を示す斜視図である。
【図7】連結装置を示す斜視図である。
【図8】連結装置の形成工程を示す斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の2通りの接続方法を示す断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の補強土構造体の形成手順を示す断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態の補強土構造体の形成手順を示す断面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態の接続部を示す断面図および平面図である。
【図13】補強材の一部を示す平面図である。
【図14】格子状鉄筋グリッド壁面材を示す斜視図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態における連結金網を示す斜視図である。
【符号の説明】
9 補強土構造体
10 補強土構造体
11 土留壁
12 盛土
13 補強材
14 補強材縦材
15 補強材横材
16 基礎工
17 補強材開口部
18 第1補強材
19 第2補強材
20 壁面パネル
21 連結金具
22 連結装置
23 連結ピン
24 略コの字状連結装置
25 略U字状連結装置
26 立ち上がり部
27 底面部
28 縦部材
29 横部材
31 連結装置係止部
32 連結装置開放部
33 連結装置底面部
34 連結装置左右端部
41 薄型鋼板
42 パンチ穴
43 格子状鉄筋グリッド壁面材
51 連結金網
52 連結金網縦部材
53 連結金網横部材
54 連結金網縦部材短尺部
55 連結金網縦部材長尺部

Claims (4)

  1. (a)連結具が設けられ、盛土を補強して構築される補強土構造体の壁面を形成する壁面パネルと、
    (b)縦材と横材とによって格子状に形成される補強材と、
    (c)連結装置であって、
    (c1)略コの字状または略U字状に形成され、壁面の延長方向に間隔をあけて設けられる複数の係止部と、各係止部の一端部同士を連結する一方底面部と、各係止部の他端部同士を連結する他方底面部とを有し、
    (c2)各係止部間に形成される開放部に、補強材の縦材と連結具とが収容される連結装置と、
    (d)開放部に収容される補強材の縦材および連結具に対して連結装置の各底面部とは反対側で、連結装置の各係止部に挿通される連結ピンとを含むことを特徴とする補強土構造体の連結構造。
  2. 連結具は、略コの字状の連結金具または縦部材と横部材とによって形成される連結金網であることを特徴とする請求項1記載の補強土構造体の連結構造
  3. (a)縦部材と横部材とによって格子状に形成される壁面材であって、盛土を補強して構築される補強土構造体の壁面を形成する立ち上り部と、立ち上り部から後方へ延びる底面部とを有する壁面材と、
    (b)縦材と縦材とによって格子状に形成される補強材と、
    (c)連結装置であって、
    (c1)略コの字状または略U字状に形成され、壁面の延長方向に間隔をあけて設けられる複数の係止部と、各係止部の一端部同士を連結する一方底面部と、各係止部の他端部同士を連結する他方底面部とを有し、
    (c2)各係止部間に形成される開放部に、補強材の縦材と壁面材の底面部における縦部材とが収容される連結装置と、
    (d)開放部に収容される補強材の縦材および壁面材の底面部における縦部材に対して連結装置の各底面部とは反対側で、連結装置の各係止部に挿通される連結ピンとを含むことを特徴とする補強土構造体の連結構造
  4. (a)縦材と横材とによって格子状に形成される網シート状の第1補強材と、
    (b)縦材と縦材とによって格子状に形成され、第1補強材の後方側に設けられ、前方端部が、縦材の位置を合せて第1補強材の後方端部に重合わされる網シート状の第2補強材と、
    (c)連結装置であって、
    (c1)略コの字状または略U字状に形成され、壁面の延長方向に間隔をあけて設けられる複数の係止部と、各係止部の一端部同士を連結する一方底面部と、各係止部の他端部同士を連結する他方底面部とを有し、
    (c2)各係止部間に形成される開放部に、第1および第2補強材の互いに重合わされる部分の縦材が収容される連結装置と、
    (d)開放部に収容される第1および第2補強材の縦材に対して連結装置の各底面部とは反対側で、連結装置の各係止部に挿通される連結ピンとを含むことを特徴とする補強土構造体の連結構造。
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