JP3717139B2 - 粉末フィーダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末冶金法により焼結体を得るにあたり、原料の粉末を圧粉成形する際にダイのキャビティ内へ粉末を充填する粉末フィーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は、従来の粉末フィーダの一例を示している。図中1はダイであり、このダイ1には下パンチ2が下方から挿入され、下パンチ2とダイ1とによりダイ1内にキャビティ3が形成される。ダイ1は、キャビティ3の開口が上方に向く状態で水平なダイテーブル1Aに設置されている。ダイテーブル1A上には、直方体状で底無しのフィーダボックス10が載せられている。フィーダボックス10には、図示せぬ駆動源により駆動されるロッド(駆動手段)11が連結されている。フィーダボックス10は、ロッド11の作動により、図11に示す待機位置からダイ1のキャビティ3上に対してその下端縁がダイテーブル1A上を摺動しながら進退するよう成されている。フィーダボックス10がキャビティ3上に前進した際には、その開口はキャビティ3の開口を十分覆うように成されている。フィーダボックス10内には、上方に設けられたホッパ12からホース13を経て粉末Pが随時供給されて貯留されるようになっている。ホース13は、フィーダボックス10の移動に追従可能なようにフレキシブルなものとされている。
【0003】
この粉末フィーダによれば、待機位置にあるフィーダボックス10を、ロッド11によりダイ1のキャビティ3上まで前進させる。すると、フィーダボックス10内の粉末Pはキャビティ3内に落下して充填される。この後、ロッド11によりフィーダボックス10を待機位置まで後退させる。この後退動作中においてフィーダボックス10がダイ1上を通過していく際に、フィーダボックス10の下端縁により粉末Pが擦り切られ、キャビティ3内の粉末Pの上面はダイ1およびダイテーブル1Aの上面と面一に調整される。以上が、キャビティ3内への粉末充填の1サイクルである。このような充填方法は、予め形成したキャビティ3内に粉末Pを自由落下させる一般的な落とし込み法を採っており、この場合、ダイ1の上でフィーダボックス10をロッド11により前後に振動させて粉末Pの落下を促進させる手段を採ることが多い。
【0004】
図12(a)〜(d)は、落とし込み法による粉末の充填メカニズムを模式的に示している。この場合、フィーダボックス10は上方に開口したものとされ、その上方開口から複数サイクル分の粉末Pがフィーダボックス10内に供給されて貯留される。図12(a)は、待機位置においてフィーダボックス10内に粉末Pが貯留された状態を示している。図12(b)に示すように、フィーダボックス10が前進してキャビティ3上に停止すると、粉末Pはキャビティ3内の空気と混ざりながらキャビティ3内に落下し、キャビティ3内の空気と、その空気量に見合ったフィーダボックス10内の粉末Pが置換される。この状態をしばらく放置するか、あるいはフィーダボックス10を振動させると、図12(c)に示すように、フィーダボックス10内の空気が浮上し、フィーダボックス10内およびキャビティ3内の粉末P中に含まれる空気量のバランスがとれてキャビティ3内への粉末Pの充填量が決定する。次いで、図12(d)に示すように、フィーダボックス10を後退させるに伴い粉末Pが擦り切られ、充填が完了する。なお、図11に示したように、フィーダボックス10の上方が開口しておらず内部がほぼ密閉状態であり、フィーダボックス10内への粉末Pの供給がホッパ12からホース13を経て行われる場合には、キャビティ3内に充填された分だけフィーダボックス10内に粉末Pがホッパ13から供給され、キャビティ3内の空気は、フィーダボックス10内からホース13を伝って上方へ流れていく。
【0005】
一方、キャビティ3が狭かったり深かったりして落とし込み法では粉末Pを十分に充填させられない場合には、下パンチ2を上昇させておき、その上にフィーダボックス10を移動させ、この状態から下パンチ2を所定の充填深さまで下降させてキャビティ3を形成しながら、フィーダボックス10内の粉末Pをキャビティ3内に充填していく吸い込み法が採られる。いずれの方法も、粉末Pの充填量はキャビティ3の容積によって間接的に決まるので、粉末Pの見掛け密度や流動性が、均一な充填密度を得るための重要な因子となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記粉末フィーダによれば、落とし込み法では、キャビティ3内に粉末Pが充填されるに伴ってキャビティ3内の空気が追い出されることにより、粉末Pと空気の置換が図られるが、キャビティ3内に空気の閉じ込めが生じて充填密度が不均一になる場合があった。また、成形能率を上げるためにフィーダボックス10の進退速度を速くすることが行われた場合、キャビティ3はフィーダボックス10により瞬時に覆われることになり、このため粉末Pと空気の置換が円滑に行われず、かえって充填に要する時間が延びたり、充填密度が不均一になったりしていた。これらの問題は、フィーダボックス10の上壁部に通気孔を空けたりホース13の途中に分岐管を設けたりするなどして、キャビティ3内からの排気を補助することにより、一応の解決をみてきた。ところが、流動性に劣りブリッジングを起こしやすい粉末では、このような解決策でも不十分であり、充填時間(ダイ1上にフィーダボックス10を停止させている時間)を長くしたり、フィーダボックス10の振動回数を増やすなどの手段を採らざるを得ず、結果として成形能率の低下を招いていた。このような問題は、吸い込み法であっても同様に起こるものであった。
【0007】
したがって本発明は、たとえ粉末が流動性に劣るものであったり、フィーダボックスの移動速度が速かったりする場合であっても、キャビティ内への粉末の充填効率が向上するとともに充填密度の十分な均一化が図られ、欠陥のない圧粉成形体を得ることができる粉末フィーダを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の粉末フィーダは、キャビティを有するダイと、このダイがキャビティの開口を上方に向けて設置されるダイテーブルと、粉末がその内部に貯留されるとともに、ダイテーブル上に、待機位置からダイのキャビティに対してその下端縁が摺動しながら進退するよう設けられた無底状のフィーダボックスと、このフィーダボックスの駆動手段とを備え、待機位置にあるフィーダボックスを駆動手段によりダイのキャビティ上まで前進させることにより、フィーダボックス内の粉末をキャビティ内に流動させて充填し、この後、駆動手段によりフィーダボックスを待機位置まで後退させるよう成された粉末フィーダにおいて、フィーダボックスの粉末が接触する壁部に、内外に貫通する複数の通気孔が形成されているとともに、通気孔は、フィーダボックス内の粉末がキャビティ内に流動し始める充填初期に外部の空気をフィーダボックス内に流入させ、かつ充填過程の最中においてフィーダボックス内の下部に浮上した余剰な空気をフィーダボックス外部に排出することを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、フィーダボックス内の粉末がキャビティ内に流動し始めると外部の空気が通気孔からフィーダボックス内に流入し、この流入空気が粉末中に含まれることより、粉末の密度が粗になり、また、ブリッジングが生じている場合それが破壊されて、粉末の流動性が向上する。その結果、粉末は円滑にキャビティ内に流動していく。キャビティ内へ粉末が流動していくに伴い、キャビティ内の空気は浮上して粉末と空気の置換が行われるが、この置換の最中にあっては、流動する粉末中への空気の含有量が増え、流動性がさらに向上する。粉末と空気の置換が進むにつれて、キャビティ内に充填された粉末は、次々に充填されてくる粉末により徐々に緻密化し、フィーダボックス内およびキャビティ内の粉末中に含まれる空気量のバランスがとれると、キャビティ内の粉末の見掛け密度が安定して充填量が決定する。この充填過程の最中において、キャビティの上方であってフィーダボックス内の下部に浮上した余剰な空気は、通気孔からフィーダボックス外部に排出される。したがって、余剰な空気による粉末の流動停滞が抑えられ、充填時間の短縮ならびに充填密度の均一化が図られる。なお、キャビティ内に充填される粉末はフィーダボックス内の底部に存するものから順に落下していくから、通気孔は、フィーダボックスの底部もしくは底部にできるだけ近い位置に形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明では、次の各構成を好ましい態様としている。
まず、フィーダボックスに形成される通気孔は、フィーダボックスの外部側に向かって上向きに傾斜していることが、フィーダボックス外部への粉末の漏出がなるべく抑えられるので好ましい。また、通気孔はフィーダボックスの底部に形成されていることが好ましいことは前述した通りであり、これを具体化する構成として、フィーダボックスにおけるダイテーブルへの摺動部分である下端縁に、溝状に通気孔を形成する。これにより通気孔はフィーダボックスのもっとも底部に形成され、空気の流入出による粉末の円滑な充填がより効果的に成される。また、これら形態の通気孔からフィーダボックスの外部上方に延びる外側通気管を設けることにより、通気孔からの粉末の漏出を効果的に防止することができる。
【0011】
本発明では、粉末の漏出を防ぐ手段として、前述のように通気孔を傾斜させたり通気孔に外側通気管を設けたりする他に、フィーダボックスに、通気孔を外側から覆い、かつダイテーブル上をフィーダボックスと一体に摺動するカバーを設ける手段を採用することができる。この手段によれば、粉末が通気孔から漏出してもその粉末はカバーでせき止められ、カバーの外には漏出せず回収することができる。したがって、粉末の使用量が増大することがなく、また、粉末によってダイテーブル上が汚染することが防がれる。
【0012】
また、本発明では、フィーダボックス内が上方への開口を有する形態とされ、かつフィーダボックスにその開口を外側から覆うカバーを設けた構成を採用することもできる。この構成によれば、上方への開口がない場合と比べると、粉末がキャビティ内に充填されてフィーダボックス内の粉末全体が下降していく際、フィーダボックス内の上部空間は開口から外部の空気が流入することにより負圧にならず、したがって、粉末全体の下降が円滑に進み、ひいてはキャビティ内への粉末の充填効率が向上する。また、開口からフィーダボックス外に飛散する粉末があっても、その粉末はカバー内にとどまり、周囲への汚染が防止される。
【0013】
また、本発明は、次の構成をもう一つの主たる特徴としている。
すなわち、キャビティを有するダイと、このダイがキャビティの開口を上方に向けて設置されるダイテーブルと、粉末がその内部に貯留されるとともに、ダイテーブル上に、待機位置からダイのキャビティに対してその下端縁が摺動しながら進退するよう設けられた無底状のフィーダボックスと、このフィーダボックスの駆動手段とを備え、待機位置にあるフィーダボックスを駆動手段によりダイのキャビティ上まで前進させることにより、フィーダボックス内の粉末をキャビティ内に流動させて充填し、この後、駆動手段によりフィーダボックスを待機位置まで後退させるよう成された粉末フィーダにおいて、フィーダボックス内に、その一端開口がフィーダボックス内に貯留された粉末中に埋まり、かつその他端開口が少なくともフィーダボックス内の上部空間に至るまで延びる内部通気管が設けられており、内部通気管の一端に、その溝状開口が下向きとされ、かつ内部通気管内に連通する樋状の通気拡張部材が、ダイテーブルとの間に隙間が空く状態で設けられている。
【0014】
この構成によれば、キャビティ内の空気と粉末の置換が進行し、フィーダボックス内の下部に空気が浮上すると、その空気は、内部通気管の一端開口から内部通気管内に流入し、他端開口からフィーダボックス内の上部空間に排出される。このため、キャビティ内から浮上した空気によってキャビティ内へ流動する粉末の停滞が抑えられ、粉末の流動性が向上し、充填時間の短縮が図られる。なお、内部通気管は、その他端開口側の端部がフィーダボックスを貫通し、他端開口がフィーダボックスの外部に臨んでいる態様とし、空気をフィーダボックス外部に排出する構成であってもよい。いずれの場合も、内部通気管の一端開口は、フィーダボックスの底部もしくは底部にできるだけ近い位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
上記内部通気管に接触するか、もしくは近い箇所を流動する粉末は、内部通気管の周囲を通過すると、内部通気管の下方が空いていることにより密度が粗になって空気を多く含み、流動性が向上する。また、内部通気管に粉末が衝突することにより、ブリッジングが破壊されやすくなるといった利点もある。ここで、粉末中に埋まる内部通気管の一端に、その溝状開口が下向きとされ、かつ内部通気管内に連通する樋状の通気拡張部材を、ダイテーブルとの間に隙間が空く状態で設けると好ましい。これによると、通気拡張部材を通過することにより粉末の密度が粗になる割合が増える。また、キャビティ内からフィーダボックス内に浮上した空気は通気拡張部材の開口から内部通気管内に流入していき、空気の排出がより円滑に進む。これらの作用により、粉末の充填効率がより向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、参照する各図において前記図11と同様の構成要素には同一の符合を付し、それらの説明を省略する。
(1)第1の実施形態
図1および図2は、本発明の第1の実施形態の粉末フィーダを示している。この第1の実施形態では、フィーダボックス10の前壁部10aおよび左右(図2で上下)の側壁部10bの下部に、複数の通気孔20が形成されている。これら通気孔20は同一径の円形であり、前壁部10aおよび側壁部10bに、水平方向にバランスよく等間隔に配されている。通気孔20が形成された部分は、元来、フィーダボックス10内に貯留された粉末Pがその内面に常に接触するに十分な下部である。また、フィーダボックス10の外側には、通気孔20を外側から覆い、かつダイテーブル1A上をフィーダボックス10と一体に摺動するカバー30が、連結片31を介して取り付けられている。このカバー30と、フィーダボックス10の前壁部10aおよび側壁部10bとの間には隙間が空いており、またカバー30の高さは、通気孔20の形成部分から十分高く、フィーダボックス10の高さの半分以上である。
【0017】
上記第1の実施形態によれば、フィーダボックス10がキャビティ3上に前進してフィーダボックス10内の粉末Pがキャビティ3内に充填される際、粉末Pがキャビティ3内に流動(落下)し始めると、外部の空気が各通気孔20からフィーダボックス10内に流入し、この流入空気が粉末P中に含まれることより、粉末Pの密度が粗になり、また、ブリッジングが生じていた場合にはそれが破壊されて粉末Pの流動性が向上する。その結果、粉末Pは円滑にキャビティ3内に流動していく。キャビティ3内へ粉末が流動していくに伴い、キャビティ3内の空気は浮上して粉末Pと空気の置換が行われるが、この置換の最中にあっては、流動する粉末P中への空気の含有量が増え、流動性がさらに向上する。粉末Pと空気の置換が進むにつれて、キャビティ3内に充填された粉末Pは、次々に充填されてくる粉末Pにより徐々に緻密化し、フィーダボックス10内およびキャビティ3内の粉末P中に含まれる空気量のバランスがとれると、キャビティ3内の粉末Pの見掛け密度が安定して充填量が決定する。この充填過程の最中において、キャビティ3の上方であってフィーダボックス10内の下部に浮上した余剰な空気は、少なくとも1つの通気孔20からフィーダボックス10外部に排出される。したがって、余剰な空気による粉末Pの流動停滞が抑えられ、充填時間の短縮ならびに充填密度の均一化が図られる。また、粉末Pは、フィーダボックス10内の底部に存するものから順にキャビティ3内に流動していくから、通気孔20がフィーダボックス10の下部に形成されていることにより、上記作用がスムーズに進行する。
【0018】
また、本実施形態では、フィーダボックス10内の粉末Pが通気孔20からフィーダボックス10外に漏出する可能性が高いが、その漏出した粉末Pはカバー30でせき止められてカバー30より外部に漏出することが防がれ、また、カバー30とフィーダボックス10との間に溜まった粉末Pは回収することができる。したがって、粉末Pの使用量が増大することはなく、また、粉末Pでダイテーブル1A上が汚染することがない。なお、前壁部10aとカバー30との間に溜まった粉末Pは、フィーダボックス10の移動に伴い、次の充填時にキャビティ3内へ充填される。
【0019】
図3および図4は、粉末Pの漏出を抑えるための変形例を示している。図3のフィーダボックス10には、通気孔20からフィーダボックス10の外部上方に延び、その上端開口がフィーダボックス10の上端面よりも下側に位置する外側通気管21が設けられている。また、図4の通気孔20は、フィーダボックス10の外部側に向かって上向きに傾斜している。いずれの場合も、フィーダボックス10外への粉末Pの漏出がなるべく抑えられる構成となっている。
【0020】
(2)第2の実施形態
図5は、本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態では、第1の実施形態の通気孔20に代わるものとして、フィーダボックス10の前壁部10a、側壁部10bおよび後壁部10cの下端縁に、溝状の通気孔20aが形成されている。この場合、フィーダボックス10の後壁部10cにも通気孔20aが形成されていることにより、粉末Pの漏出を防ぐカバー30は後壁部10c側に延長して設けられている。
【0021】
フィーダボックス10内の粉末Pは、フィーダボックス10内の底部に存するものから順にキャビティ内に流動していくことは前述した通りであり、したがって、通気孔は、フィーダボックス10の底部もしくは底部にできるだけ近い位置に形成されていることが好ましい。よって本実施形態では、通気孔20aがフィーダボックス10のもっとも底部に形成されているので、空気の流入出による粉末Pの円滑な充填作用がより効果的に成される。
【0022】
(2)第3の実施形態
図6は、本発明の第3の実施形態を示している。本実施形態では、第1の実施形態と同様のフィーダボックス10の上板部10dにおける前方(図6で左方)に、フィーダボックス10内の上部空間とフィーダボックス10外とを連通する開口40が形成されている。そして、フィーダボックス10の外側には、前壁部10aおよび左右の側壁部10bの全面を覆うカバー32が、連結片31を介して取り付けられている。このカバー32と、フィーダボックス10との間には隙間が空いており、通気孔20と開口40は、カバー32に覆われている。
【0023】
本実施形態によれば、キャビティ内への粉末Pの充填に伴って通気孔20から排出された空気が、カバー32とフィーダボックス10との間の隙間を上昇して開口40からフィーダボックス10内の上部空間10Aに流入する。このため、その上部空間10Aは負圧にならず、したがって、粉末P全体の下降が円滑に進み、ひいてはキャビティ内への粉末Pの充填効率が向上する。また、開口40からフィーダボックス10外に飛散する粉末Pがあっても、その粉末Pはカバー32内にとどまり、周囲への汚染が防止される。
【0024】
図7は、上記第3の実施形態の変形例を示している。この変形例では、カバー32とフィーダボックス10とでホース13への接続部が形成されている。また、フィーダボックス10は上板部10dを有しておらず上方への開口40が拡大され、ホース13から流入する粉末Pは開口40よりフィーダボックス10内に流入して貯留される。この変形例の場合も、キャビティ内への粉末Pの充填時に、フィーダボックス10内の上部空間10Aに通気孔20から排出された空気が回り込む空気の流動作用が起こり、粉末Pの充填効率が向上する。
【0025】
(4)第4の実施形態
図8は、本発明の第4の実施形態を示している。本実施形態では、上記通気孔は形成されておらず、その代わりに、フィーダボックス10内に、複数の円筒状の内部通気管50が、その軸方向を上下方向に向けて設けられている。これら内部通気管50は、フィーダボックス10の幅方向中央に、前後方向にバランスよく等間隔に配置され、連結片51を介して上板部10dに吊り下げられた状態で取り付けられている。これら内部通気管50の下端開口はフィーダボックス10内の下部に位置し、粉末P中に埋まるように成されている。また、その上端開口は、フィーダボックス10内の上部空間10Aに位置するよう成されている。また、内部通気管50の下端に、左右(図8の紙面表裏方向)に延びる断面L字状の樋状部材(通気拡張部材)60が、その溝状開口を下方に向け、かつダイテーブル1Aとの間に隙間を空けた状態で取り付けられている。内部通気管50は樋状部材60を貫通しており、したがって、樋状部材60の溝状開口は内部通気管50内に連通している。
【0026】
本実施形態によれば、キャビティ内への粉末Pの充填時に、キャビティ内の空気と粉末Pの置換が進行してフィーダボックス10内の下部に空気が浮上すると、その空気は、内部通気管50の下端開口から内部通気管50内に流入し、上端開口からフィーダボックス10内の上部空間10Aに排出される。このため、キャビティ内から浮上した空気によってキャビティ内へ流動する粉末Pの停滞が抑えられ、粉末Pの流動性が向上して充填時間の短縮が図られる。粉末Pは、フィーダボックス10内の底部に存するものから順にキャビティ内に流動していくから、内部通気管50の下端開口は、フィーダボックス10の底部もしくは底部にできるだけ近い位置に配されていることが好ましい。また、内部通気管50に接触するか、もしくは近い箇所を流動する粉末Pは、内部通気管50の周囲を通過すると、内部通気管50の下方が空いていることにより密度が粗になって空気を多く含み、流動性がより向上する。さらに、内部通気管50に粉末Pが衝突することにより、ブリッジングが破壊されやすくなる。
【0027】
このように内部通気管50の下端に樋状部材60を取り付けると、キャビティ内への粉末Pの充填時において、樋状部材60を通過することによりフィーダボックス10内の粉末Pの密度が粗になる割合がさらに増えるとともに、樋状部材60に粉末Pが衝突してブリッジングが破壊される割合が増える。また、キャビティ内からフィーダボックス10内に浮上した空気は樋状部材60の溝状開口から内部通気管50内に流入していき、空気の排出がより円滑に進む。これらの作用により、粉末Pの充填効率がより向上する。
【0028】
図9(a)、(b)は、樋状部材60および内部通気管50の別態様を示している。(a)に示す樋状部材60は、断面半円弧状である。また(b)では、内部通気管50が断面正方形状の角筒であり、樋状部材60は図8に示した断面L字状である。
【0029】
(5)第5の実施形態
図10は、本発明の第5の実施形態を示している。本実施形態では、上記第4の実施形態の内部通気管50の代わりに、上端部がフィーダボックス10の上板部10dをから突出しないで貫通し、上端開口がフィーダボックス10外に臨む内部通気管52が設けられている。さらに、上記第4の実施形態と同様に、内部通気管52の下端部に、内部通気管52内に連通する左右に延びる樋状部材60が取り付けられている。この場合、キャビティ内への粉末Pの充填時においてフィーダボックス10内の粉末P中にキャビティ内から浮上した空気は、内部通気管52内を上昇してフィーダボックス10外に排出され、これにより上記第4の実施形態と同様の効果が奏される。また、樋状部材60は、図9(a)に示した断面半円弧状のものであり、上記第4の実施形態と同様の効果が奏される
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、キャビティ内への粉末充填時に、粉末への空気の混入と、キャビティ内から浮上する空気の排出とが効果的に成されることにより、キャビティ内への粉末の流動性が向上し、粉末の充填効率向上ならびに充填密度の均一化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る粉末フィーダの側断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態に係る粉末フィーダの平断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態に係る粉末フィーダの一変形例を示す側面図である。
【図4】 本発明の第1の実施形態に係る粉末フィーダの他の変形例を示す側断面図である。
【図5】 本発明の第2の実施形態に係る粉末フィーダのフィーダボックスを示す側断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施形態に係る粉末フィーダのフィーダボックスを示す側断面図である。
【図7】 本発明の第3の実施形態の変形例を示す側断面図である。
【図8】 本発明の第4の実施形態に係る粉末フィーダのフィーダボックスを示す側断面図である。
【図9】 (a)、(b)は、それぞれ本発明の第4の実施形態に係る樋状部材および内部通気管の別態様を示す斜視図である。
【図10】 本発明の第5の実施形態に係る粉末フィーダのフィーダボックスを示す側断面図である。
【図11】 従来の粉末フィーダの一例を示す一部断面側面図である。
【図12】 (a)〜(d)は従来の粉末フィーダの稼動行程ならびに粉末の流動状態を順に示す側断面図である。
【符合の説明】
1…ダイ、1A…ダイテーブル、3…キャビティ、10…フィーダボックス、11…ロッド(駆動手段)、20,20a…通気孔、21…外側通気管、30,32…カバー、40…開口、50,52…内部通気管、60…樋状部材(通気拡張部材)、P…粉末。
Claims (8)
- キャビティを有するダイと、
このダイがキャビティの開口を上方に向けて設置されるダイテーブルと、
粉末がその内部に貯留されるとともに、前記ダイテーブル上に、待機位置から前記ダイのキャビティに対してその下端縁が摺動しながら進退するよう設けられた無底状のフィーダボックスと、
このフィーダボックスの駆動手段とを備え、
前記待機位置にある前記フィーダボックスを前記駆動手段により前記キャビティ上まで前進させることにより、フィーダボックス内の粉末をキャビティ内に流動させて充填し、この後、駆動手段によりフィーダボックスを待機位置まで後退させるよう成された粉末フィーダにおいて、
前記フィーダボックスの粉末が接触する壁部に、フィーダボックス内外に貫通する複数の通気孔が形成されているとともに、
前記通気孔は、前記フィーダボックス内の粉末が前記キャビティ内に流動し始める充填初期に外部の空気をフィーダボックス内に流入させ、かつ充填過程の最中においてフィーダボックス内の下部に浮上した余剰な空気をフィーダボックス外部に排出することを特徴とする粉末フィーダ。 - 前記通気孔は、前記フィーダボックスの外部側に向かって上向きに傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の粉末フィーダ。
- 前記通気孔は、前記フィーダボックスにおける前記ダイテーブルへの摺動部分である下端縁に溝状に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の粉末フィーダ。
- 前記フィーダボックスに、前記通気孔からフィーダボックスの外部上方に延びる外側通気管が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末フィーダ。
- 前記フィーダボックスに、前記通気孔を外側から覆い、かつ前記ダイテーブル上をフィーダボックスと一体に摺動するカバーが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粉末フィーダ。
- 前記フィーダボックスは上方への開口を有し、フィーダボックスには、該開口を外側から覆うカバーが設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粉末フィーダ。
- キャビティを有するダイと、
このダイがキャビティの開口を上方に向けて設置されるダイテーブルと、
粉末がその内部に貯留されるとともに、前記ダイテーブル上に、待機位置から前記ダイのキャビティに対してその下端縁が摺動しながら進退するよう設けられた無底状のフィーダボックスと、
このフィーダボックスの駆動手段とを備え、
前記待機位置にある前記フィーダボックスを前記駆動手段により前記ダイのキャビティ上まで前進させることにより、フィーダボックス内の粉末をキャビティ内に流動させて充填し、この後、駆動手段によりフィーダボックスを待機位置まで後退させるよう成された粉末フィーダにおいて、
前記フィーダボックス内に、その一端開口がフィーダボックス内に貯留された粉末中に埋まり、かつその他端開口が少なくともフィーダボックス内の上部空間に至るまで延びる内部通気管が設けられており、
前記内部通気管の一端に、その溝状開口が下向きとされ、かつ内部通気管内に連通する樋状の通気拡張部材が、前記ダイテーブルとの間に隙間が空く状態で設けられていることを特徴とする粉末フィーダ。 - 前記内部通気管の他端開口側の端部が前記フィーダボックスを貫通し、他端開口がフィーダボックスの外部に臨んでいることを特徴とする請求項7に記載の粉末フィーダ。
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