JP3716377B2 - 筆記具のキャップ装着構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、マーカー等の直液式の筆記具のキャップ装着構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マーカー等の直液式の筆記具に装着されるキャップは、ペン先の乾燥及び熱等による筆記具本体内のインキの漏出を防止するため、キャップの装着時の気密性を重視するものであるが、キャップ装着時の気密性を重視すると、キャップの装着に伴って過剰な空気がキャップ内に圧縮、内包され、筆記具内への逆流と不完全なキャップの装着が発生することがあるため、何等かの手段によりキャップ装着時にキャップ内に圧縮、内包される空気を排出するために、例えば、筆記具本体には環状弾性体が装着されると共に、キャップには透孔が穿設されており、キャップの装着に伴ってキャップ内に圧縮、内包される空気を上記透孔から排出しつつ、最終的にこの透孔を環状弾性体により密閉し、キャップ内の気密性を保持してなるもの(実開平4−107086号)や頂部に通気孔を有するキャップ内に弾性シール部を取付部及び伸縮部を介して保持することで、この筆記具に装着する時、キャップ内に圧縮、内包される空気をキャップの頂部に有する通気孔から排出しつつ、最終的に弾性シール部により、キャップの頂部の通気孔を閉塞すると共に、筆記具のペン先にも密着して塞ぎ、インキの漏出等を防止してなるもの(実開平6−45779号)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のもののように、例えば実開平4−107086号の場合には、確かにキャップ装着過程で発生するキャップ内での空気の圧縮、内包はキャップの透孔により空気が排出されることにより行われると共に、この透孔自体も環状弾性体により最終的に密閉されるものであるため気密性は保たれるものとなるが、キャップの装着に伴って発生する圧縮、内包される空気の排出はキャップに穿設される透孔を通して行われるものであるため、キャップの装着し始めはキャップの開口部等も閉塞されていないため容易にキャップ内に圧縮、内包される空気が排出されるが、キャップの装着が終了する時点では既にキャップの開口部は筆記具本体により閉塞されておりキャップ内に圧縮、内包される空気の排出を行うことができないため、キャップの透孔からのみキャップ内に圧縮、内包される空気を確実に排出することができず、筆記具本体に対して装着するキャップにおいて確実に抵抗が発生或は増大するものとなるため、このキャップに対して発生する空気の抵抗によりキャップの装着が不完全になり易く、キャップ内の気密性の低下によるペン先の乾燥やインキの漏出等を招き、使用者において非常に不便を生じさせるものとなる欠点がある。
【0004】
また、実開平6−45779号の場合では、キャップの頂部に有する通気孔からキャップの装着に伴ってキャップ内に圧縮、内包される空気が容易に排出されると共に、キャップの装着後にはキャップ内に配置する弾性シール部によってキャップの頂部に有する通気孔及びペン先自体を密閉するため、キャップ内の気密性の保持及びインキなどの漏出をも防止することができるものとなるが、キャップの頂部に有する通気孔を閉塞すると共にペン先をも塞ぐ弾性シール部の取付構造が複雑であることから、筆記具に使用するキャップとしての製造コストが著しく上昇してしまい、低価格で販売される筆記具自体には適用し難い上、キャップの頂部を閉塞する弾性シール部が同時にペン先をも塞ぐものとなるから、キャップの脱着を繰り返すことにより、弾性シール部自体に反復するペン先の打突により破損が発生し易いものとなり、キャップ内での気密性やインキ等の漏出を防止することが困難となる問題もある。
【0005】
そこで、この発明は上記従来のものの持つ欠点を改善するものであり、簡単な構造により、筆記具に対するキャップの装着を簡易且つ確実に行って、キャップ内の気密性を保持しつつ、インキ等の漏出をも防止することができるようにするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために、ペン先を収容する内筒部と、内壁面の上部に環状係止突縁を、下部に係止突起を突設する外筒部とから構成されるキャップは、上記内筒部と外筒部との間に形成される環状凹溝の底部に外筒部内に連通する通気孔を筆記具の軸方向に穿設してなり、上記キャップの外筒部の内壁面は、供給過剰なインキを一時的に貯留させてなる蛇腹部を具え、内蔵されるインキ貯留部と通じる供給筒を介してペン先にインキを直接供給してなる筆記部を固持する筆記具本体に装着され、上記筆記具本体の上端縁には、内筒部底部の密着により変形する環状弾性体を設け、これによって上記キャップの通気孔を閉塞自在としてなるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の実施例であるキャップの装着構造は以上のように構成されるから、筆記具用キャップを筆記具本体に装着することで内筒部及び外筒部から構成される筆記具用キャップ内に発生する圧縮、内包される空気が、筆記具用キャップの開口部の他、内筒部と外筒部との間に形成される環状凹溝の底部において、外部と外筒部内とを連通する通気孔より効率よく排出することができるため、上記キャップ内の空気による抵抗が生じることがなく、筆記具本体に対する筆記具用キャップの装着を円滑に行うことができる。
【0008】
更に、最終的に筆記具用キャップを筆記具本体に嵌着させる場合、すなわち、筆記具用キャップを内筒部と共に構成する外筒部の内壁面の上部及び下部において突設する環状係止突縁及び係止突起と筆記具本体とを係合させる時には、最後まで外筒部の壁面において、外部に連通するものであって、筆記部を固持する筆記具本体の上端縁において装着される環状弾性体に対する内筒部底部の密着に伴う変形によって閉塞自在となる通気孔から筆記具用キャップ内で圧縮、内包される空気が排出され、空気による抵抗が生じることがないため、筆記具用キャップを筆記具本体に対して確実に嵌着することができると同時に、上記外筒部の通気孔を、筆記部を固持する筆記具本体の上端縁において装着される環状弾性体において、その環状弾性体に対する内筒部底部の密着と同時に起こる変形により閉塞するものとなるため、筆記具用キャップ内の気密性は確実に保持され、インキ等の漏出を防止することができるものである。
【0009】
【実施例】
この発明を図に示す実施例により更に説明する。(1)はこの発明の実施例である筆記具のキャップ装着構造における筆記具用キャップであり、この筆記具用キャップ(1)は、筆記具本体(14)のペン先(19)を収容する内筒部(2)と、クリップ(5)を具え、その内壁面(6)の上部に環状係止突縁(7)を、下部に係止突起(8)を突設する外筒部(4)とから一体に構成されるものである。
【0010】
そして、上記筆記具用キャップ(1)を構成する内筒部(2)と外筒部(4)との間に形成される環状凹溝(9)の底部(10)において外筒部(4)内外を連通する通気孔(11)を筆記具の軸方向に穿設すると共に、外筒部(4)の壁面(12)において、図2に示すように筆記具本体(14)には外部に連通するものであって、供給過剰なインキを一時的に貯留させてなる蛇腹部(16)を設け、内蔵されるインキ貯留部(17)と通じる供給筒(18)を介してペン先(19)にインキを直接供給してなる筆記部(15)を固持してなり、この筆記具本体(14)の上端縁に装着される環状弾性体(20)は、上記キャップ(1)の内筒部底部(3)の密着に伴う変形によって通気孔(11)を閉塞自在としてなるものである。
【0011】
この発明の実施例である筆記具用キャップ(1)は以上の構成を具えるので、この筆記具用キャップ(1)を筆記具本体(14)に装着するに当たって、筆記具用キャップ(1)を筆記具本体(14)に装着するにつれて内筒部(2)及び外筒部(4)から構成される筆記具用キャップ(1)内に発生する圧縮、内包される空気が、筆記具用キャップ(1)の開口部(21)の他、内筒部(2)と外筒部(4)との間に形成される凹溝(9)の底部(10)の外筒部(4)内外を連通する通気孔(11)より効率よく排出することができるため、上記筆記具用キャップ(1)内の空気による抵抗が生じることがなく、筆記具本体(14)に対する筆記具用キャップ(1)の装着を軽快に、且つ円滑に行うことができる。
【0012】
更に、最終的に筆記具用キャップ(1)を筆記具本体(14)に嵌着させる場合、すなわち、筆記具用キャップ(1)を内筒部(2)と共に構成する外筒部(4)の内壁面(6)の上部及び下部において突設する環状係止突縁(7)及び係止突起(8)と筆記具本体(14)とを係合、固定させる時には、上記環状係止突縁(7)が内筒部(2)の開口部に近接して位置するから最後まで外筒部(4)の壁面(12)において、外部に連通する通気孔(11)から筆記具用キャップ(1)内で圧縮、内包される空気が排出され、このキャップ(1)内の空気による抵抗が生じることがないため、筆記具用キャップ(1)を筆記具本体(14)に対して確実に嵌着することができると同時に、上記外筒部(4)の通気孔(11)を、ペン先(19)を具える筆記部(15)を固持する筆記具本体(14)の上端縁において、装着される環状弾性体(20)の内筒部底部(3)の密着と同時に起こる変形により閉塞するものとなるため、筆記具用キャップ(1)の内筒部(2)内の気密性は確実に保持され、インキ等の漏出を防止することができるものである(図2参照)。なお、内筒部(2)の開口縁に内方に突出する複数のリブ(13)は、キャップ(1)に挿嵌する筆記具本体(14)の上端縁に当接し、ストッパーとなるものであり、この上端縁に装着する環状弾性体(20)の位置ぎめを図り、これによって環状弾性体(20)による通気孔(11)の閉鎖のバラツキを調整することができる。
【0013】
また図4において示されるものは、この発明のその他の実施例である筆記具用キャップ(1’)であり、この筆記具用キャップ(1’)は、幼児等が誤飲して気道中にキャップ(1’)が詰まってしまっても窒息することなく呼吸を確保することができるようにしたものであり、ペン先(19)を収容する内筒部(2)と、クリップ(5)を具え、その内壁面(6)の上部に環状係止突縁(7)を、下部に係止突起(8)を突設する外筒部(4)とから一体に構成されるものであって、上記内筒部(2)を外筒部(4)との間に形成される縦リブ(22)により支持することで、外筒部(4)内外を連通する空気流通路(23)[通気孔(11)に相当]を形成すると共に、前述した実施例と同様に外筒部(4)の壁面(12)において、外部に連通するものであって、筆記具本体(14)は供給過剰なインキを一時的に貯留させてなる蛇腹部(16)を周設し、内蔵されるインキ貯留部(17)と通じる供給筒(18)を介してペン先(19)にインキを直接供給してなる筆記部(15)を固持し、上記筆記具本体(14)の上端縁において装着される環状弾性体(20)の内筒部底部(3)の密着に伴う変形は、上記縦リブ(22)下方にあって内方に突出するリブ(13)により、一定に保持されることとなる。
【0014】
この発明のその他の実施例のキャップ装着構造における筆記具用キャップ(1’)は以上の構成を具えるので、前述した実施例で説明する筆記具用キャップ(1)と同様に、筆記具本体(14)に対してこの筆記具用キャップ(1’)を装着するにあたっては、このキャップ(1’)の装着に伴ってキャップ(1’)内で発生する圧縮、内包される空気が、本来幼児等の誤飲に際して気道中に詰まっても窒息せずに呼吸を確保することができるように作用する空気流通路(23)及びキャップ(1’)の開口部(21)より確実に排出され、軽快に且つ円滑にその作業を行うことができると共に、最終的に筆記具用キャップ(1’)を筆記具本体(14)に係合、固定する際にも、上記空気流通路(23)から確実にキャップ(1’)内の圧縮、内包される空気は排出されると同時に、この筆記具用キャップ(1’)の装着時に発生する内筒部底部(3)の筆記具本体(14)の上端縁に装着される環状弾性体(20)への密着及び、この密着に伴う環状弾性体(20)の変形により、この筆記具用キャップ(1’)内の気密性が保持され、インキ等の漏出を防ぐことができる上、更に幼児等の誤飲により気道中にこの筆記具用キャップ(1’)が詰まってしまっても、内筒部(2)と外筒部(4)との間に形成される空気流通路(23)によってこの筆記具用キャップ(1’)を構成する外筒部(3)内とも空気の流通を確保できることとなるため、窒息せずに呼吸を確保できるものとなり、幼児等に対する安全性をも確実に向上させることができるものとなる。
【0015】
【発明の効果】
以上のとおりの筆記具のキャップ装着構造をもつから、筆記具用キャップの装着作業を軽快且つ円滑に、しかも確実に行うことができ、この確実な筆記具用キャップの装着により、筆記具用キャップ内の気密性を保持して特に直液式筆記具のペン先の乾燥を防ぎ、またインキ等の漏出をも確実に阻止することもできる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例である筆記具のキャップ装着構造における筆記具用キャップの断面図である。
【図2】筆記具本体への装着状態を示す筆記具のキャップ装着構造の断面図である。
【図3】この発明の実施例における筆記具用キャップの上方からの正面図である。
【図4】この発明のその他の実施例である筆記具のキャップ装着構造における筆記具用キャップの断面図である。
【図5】筆記具本体への装着状態を示す筆記具のキャップ装着構造の断面図である。
【図6】この発明のその他の実施例における筆記具用キャップの上方からの正面図である。
【符号の説明】
1 筆記具用キャップ
1’筆記具用キャップ
2 内筒部
3 内筒部底部
4 外筒部
5 クリップ
6 内壁面
7 環状係止突縁
8 係止突起
9 凹溝
10 底部
11 通気孔
12 壁面
13 リブ
14 筆記具本体
15 筆記部
16 蛇腹部
17 インキ貯溜部
18 供給筒
19 ペン先
20 環状弾性体
21 開口部
22 縦リブ
23 空気流通路
Claims (1)
- ペン先を収容する内筒部と、内壁面の上部に環状係止突縁を、下部に係止突起を突設する外筒部とから構成されるキャップは、上記内筒部と外筒部との間に形成される環状凹溝の底部に外筒部内に連通する通気孔を筆記具の軸方向に穿設してなり、上記キャップの外筒部は内壁面が筆記具本体に装着され、その筆記具本体は供給過剰なインキを一時的に貯留させてなる蛇腹部を具え、内蔵されるインキ貯留部と通じる供給筒を介してペン先にインキを直接供給してなる筆記部を固持し、上記筆記具本体の上端縁には、内筒部底部の密着により変形する環状弾性体を設け、これによって上記キャップの通気孔を閉塞自在としてなる筆記具のキャップ装着構造。
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