JP3716209B2 - 警報機制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、列車を検知して警報機の鳴動を制御する警報機制御装置及び警報機制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の踏切制御装置(警報機制御装置)は、交友社出版、「信号」に掲載された閉電路式踏切制御子及び開電路式踏切制御子が、一般に知られている。閉電路式踏切制御子は、送信回路がレールの一端から信号波を送信し、受信回路がレールの他端で信号波を受信できるか否かにより列車検知を行って警報機を鳴動させもので、踏切制御の始動点に設置される。開電路式踏切制御子は、送信回路及び受信回路が進行方向に間隔を置かずに配置されて、信号波を受信できるか否かで列車を検知するもので、踏切制御の終了点に設置される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の警報機制御装置は以上のように構成されているので、レール間が車輪で短絡されたことにより列車の在線を検知するため、外部ノイズや天候の影響を受けてS/Nが低下するという問題点があった。
この発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、外部ノイズや天候の影響が少ない警報機制御装置及び警報機制御方法を提供することを目的としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかわる警報機制御装置は、警報機を挟んで第1の列車検知装置の反対側に第2の列車検知装置を設置して列車を検知し、警報機の鳴動制御を行う警報機制御装置において、列車に向かって所定の範囲に第1の送信波を発射する第1の送信アンテナと、列車で反射した第1の送信波の第1の反射波を受信する第1の受信アンテナと、第1の搬送波を擬似雑音符号によりスペクトラム拡散変調して第1の送信波を作成すると共に、第1のアンテナで受信した第1の反射波が第1の送信アンテナから発射された第1の送信波のものであることを確認して第1の列車検知信号を出力する第1の信号検知手段と、第1の列車検知信号により列車を検知すると共に、第1の反射波により列車の進行方向を判断する第1の列車判定手段とで第1の列車検知装置を構成し、列車に向かって所定の範囲に第2の送信波を発射する第2の送信アンテナと、列車で反射した第2の送信波の第2の反射波を受信する第2の受信アンテナと、第2の搬送波を擬似雑音符号によりスペクトラム拡散変調して第2の送信波を作成すると共に、第2のアンテナで受信した第2の反射波が第2の送信アンテナから発射された第2の送信波のものであることを確認して第2の列車検知信号を出力する第2の信号検知手段と、第2の列車検知信号により列車を検知すると共に、第2の反射波により列車の進行方向を判断する第2の列車判定手段とで第2の列車検知装置を構成し、第1の列車検知装置が列車を検知して列車の進行方向が警報機側に向かっているときに警報機を鳴動させ、第1の列車検知装置が判断した列車の進行方向と、第2の列車検知装置が判断した列車の進行方向とが一致すると共に、列車が警報機の鳴動領域を通過したと判断したとき警報機の鳴動を停止させる鳴動制御手段を備えたものである。
【0005】
さらに、警報機を挟んで第1の列車検知装置の反対側に第2の列車検知装置を設置して列車を検知し、警報機の鳴動制御を行う警報機制御方法において、第1の列車検知装置で第1の搬送波を擬似雑音符号によりスペクトラム拡散変調して第1の送信波を作成して、列車に向かって所定の範囲に第1の送信波を発射し、列車から反射した第1の送信波の第1の反射波を受信し、受信した第1の反射波が第1の送信波のものであることを確認して列車を検知すると共に、第1の反射波により列車の進行方向を判断し、第2の列車検知装置で第2の搬送波を擬似雑音符号によりスペクトラム拡散変調して第2の送信波を作成し、列車に向かって所定の範囲に第2の送信波を発射して、列車で反射した第2の送信波の第2の反射波を受信し、受信した第2の反射波が第2の送信波のものであることを確認して列車を検知すると共に、第2の反射波により列車の進行方向を判断し、第1の列車検知装置が警報機に向かって走行してくる列車を検知したときに警報機を鳴動させ、各反射波により判断した列車の進行方向が一致すると共に、列車が警報機の鳴動領域を通過したと判断したとき警報機の鳴動を停止させるようにしたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は実施の形態1の警報機制御装置を踏切に適用した例を示す構成図、図2及び図3は実施の形態1の構成図である。図1から図3において、1はレール、2はレール1上に在線する上りの列車で、例えば図1の図示左方から右方へ進行中である。3は踏切、4は踏切3に設置された警報機である。5は第1の列車検知装置、6は第2の列車検知装置である。なお、第2の列車検知装置6は警報機4を挟んで第1の列車検知装置5の反対側に設置されている。そして、第1の列車検知装置5は、以下の7〜10で構成されている。7は後述の信号検知手段9で作成された第1の送信波を警報機4とは反対方向のレール1に向けて発射する第1の送信アンテナで、例えば図1に示すように警報機4に向かってくる列車2に対向する向きに設置されている。又、第1の送信アンテナ7は図4に示すように、前方20m〜40mの検知範囲で列車2の検知を行う。
【0007】
8は列車2から反射された第1の反射波を受信する第1の受信アンテナで、警報機4とは反対方向のレール1に向けて設置されている。9は第1の信号検知手段で、第1の搬送波をPN(擬似雑音)符号でスペクトラム拡散(SS)変調して第1の送信波を作成すると共に、第1の受信アンテナ8が受信した第1の反射波を逆拡散により復調して、第1の反射波が第1の送信波のものであると確認したら第1の信号検知信号を出力する。10は第1の列車判定手段で、第1の反射波の受信レベルが所定のしきい値以上のとき、レール1上に列車2が存在することを検知する。さらに、第1の列車判定手段10は第1の反射波によるドップラー効果を利用して列車2の速度を算出し、速度の正負の符号により列車2の進行方向を判断する。
【0008】
第2の列車検知装置6は、以下の11〜14で構成されている。11は後述の信号検知手段13で作成された第1の送信波を警報機4とは反対方向のレール1に向けて発射する第2の送信アンテナで、警報機4に向かってくる列車2に対向する向きに設置されている。又、第2の送信アンテナ11は図4に示すように、前方20m〜40mの検知範囲で列車2の検知を行う。12は列車2から反射された第2の反射波を受信する第2の受信アンテナで、警報機4とは反対方向のレール1に向けて設置されている。13は第2の信号検知手段で、第2の搬送波をPN(擬似雑音)符号でスペクトラム拡散(SS)変調して第2の送信波を作成すると共に、第2の受信アンテナ12が受信した第2の反射波を逆拡散により復調して、第2の反射波が第2の送信波のものであると確認したら第2の信号検知信号を出力する。14は第2の列車判定手段で、第2の反射波の受信レベルが所定のしきい値以上のとき、レール1上に列車2が存在することを検知する。さらに、第2の列車判定手段14は第2の反射波によるドップラー効果を利用して列車2の速度を算出し、速度の正負の符号により列車2の進行方向を判断する。15は警報機4の鳴動を制御する鳴動制御手段である。
【0009】
次に、図1から図4で動作について説明する。図1において列車2が図示左方から右方へ進行しているとする。ここで、各列車検知装置5,6の各信号検知手段9,13で作成した各送信波を、予め設定した検知範囲内のレール1に向けて各送信アンテナ7,11から発射する。列車2が検知範囲内に存在しないときは、レール1で発射した各反射波を各受信アンテナ8,12が受信し、各反射波を各信号検知手段9,13で逆拡散により復調する。そして、各反射波から抽出されたPN符号と、各搬送波をSS変調したPN符号とが一致したとき、各受信アンテナ8,12で受信された各反射波が各送信アンテナ7,11から発射された各送信波のものであると判定する。
ここで、図5は各物体からの反射波のレベルを示す説明図である。そして、列車判定手段10,14には列車2以外の物体からの反射波による物体信号16a,16b、列車2からの反射波による列車信号17、及び列車2と物体とを判別するしきい値18を記憶している。なお、しきい値18は反射波の反射点までの距離と反射波の受信レベルがセットで記憶されている。
これにより、列車2以外の動物、自動車、人等の物体がレール1上に存在する場合は、図5に示すように物体信号16a,16bがしきい値18以下となるので、受信レベルの違いにより判断する。このように、各受信アンテナ8,12が受信した反射波が送信アンテナ8から発射された送信波のものであることを確認する自己チェック機能により、装置の健全性を常時チェックすることができる。
【0010】
一方、第1の列車検知装置5の検知範囲内のレール1上に列車2が存在するときは、列車2で反射した第1の反射波を第1の列車検知装置5の第1の受信アンテナ8が受信する。この場合、第1の受信アンテナ8が受信する第1の反射波の受信レベル(振幅)はレール1で反射した場合に比べて大きく、図5に示す列車信号17のように所定のしきい値18以上となる。第1の受信アンテナ8で受信された第1の反射波第1の信号検出手段9で逆拡散により復調される。そして、第1の反射波から抽出されたPN符号と、第1の搬送波をSS変調したPN符号とが一致するか自己相関をとることにより、一致することが確認されたら第1の列車検知信号9aを出力する。列車判定手段10では列車検知信号9aにより列車2の存在を検知すると共に、第1の反射波の列車信号17の受信レベルがしきい値18以上であり、第1の列車検知装置5の検知範囲内のレール1上に列車2が存在すると判定する。続いて、列車2の存在を検知した第1の列車検知装置5の列車判定手段10では、列車2からの第1の反射波によるドップラー効果を利用して式(1)により列車2の速度を算出する。
V=fb *C/2fo ・・・・・(1)
ここで、Vは列車2の速度、fb は送信波と反射波との周波数の差、Cは光速度及びfo は中心周波数である。
第1の列車検知装置5は式(1)の正負の符号により列車2の進行方向を判断して列車検知信号5aを出力する。鳴動制御手段15は列車検知信号5aから速度Vの符号を確認して列車2が踏切3の方向に接近していると判断したとき警報機4を鳴動させる。
【0011】
さらに、列車2が図1の図示右方へ進んで踏切3を越えてから第2の列車検知装置6の検知範囲内に入ると、第2の列車検知装置6の第2の送信アンテナ11から発射された第2の送信波が列車2で反射される。そして、列車2で反射された第2の反射波を第2の受信アンテナ12が受信し、第1の列車検知装置5と同様に列車2の進行方向を判断して列車検知信号6aを出力する。鳴動制御手段15は列車検知信号5aから第1の列車検知装置5が判断した列車2の進行方向と、検知信号6aから第2の列車検知装置6が判断した列車2の進行方向とが一致して、第2の信号検知信号13aがなくなったとき、列車2が警報機4の鳴動領域を通過したと判断して警報機4の鳴動を停止させる。
【0012】
以上のように、列車2で反射した第1の反射波を第1の受信アンテナ8で受信して、受信した第1の反射波が第1の送信アンテナ7から発射されたものであることを確認し、第1の反射波から列車2の進行方向を判断して、第1の列車検知装置5が列車2を検知して列車2の進行方向が警報機4側に向かっているとき警報機4を鳴動させ、第1の列車検知装置5と第2の列車検知装置6とが判断した列車2の進行方向が一致すると共に、列車2が警報機4の鳴動領域を通過したと判断したとき警報機4の鳴動を停止させることにより、列車2又は他の物体からの反射波の受信レベルに基づいて、列車2か他の物体かを判定するので、判定精度を向上させることができると共に、外部ノイズや天候の影響を低減させることができる。
【0013】
実施の形態1において、列車2が図示の左方から進行しているものについて説明したが、図示右方から列車2が進行してくる場合は、第1の列車検知装置5と第2の列車検知装置6との配置を逆にすることにより同様の効果を期待することができる。
また、実施の形態1において、警報機制御装置を踏切に適用した例について説明したが、保線工事等の作業現場に設置しても同様の効果を期待することができる。
【0014】
【発明の効果】
この発明によれば、受信した各反射波が列車から反射された各送信波のものであることを確認して列車を検知すると共に、各反射波により列車の進行方向を判断し、第1の列車検知装置又は上記第2の列車検知装置のいずれかが警報機に向かって走行してくる列車を検知したときに警報機を鳴動させ、各反射波により判断した列車の進行方向が一致すると共に、列車が警報機の鳴動領域を通過したと判断したとき警報機の鳴動を停止させることにより、外部ノイズや天候の影響を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の警報機制御装置を踏切に適用した例を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の要部を示す構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の要部を示す構成図である。
【図4】 図2及び図3の送信アンテナの検知範囲を示す説明図である。
【図5】 図2及び図3の反射波の受信レベルを示す説明図である。
【符号の説明】
1 レール、2 列車、4 警報機、5 第1の列車検知装置、
6 第2の列車検知装置、7 第1の送信アンテナ、8 第2の受信アンテナ、
9 信号検知手段、10 第1の列車判定手段、11 第2の送信アンテナ、
12 第2の受信アンテナ、13 第2の信号検知手段、
14 第2の列車判定手段、15 鳴動制御手段。

Claims (2)

  1. 警報機を挟んで第1の列車検知装置の反対側に第2の列車検知装置を設置して列車を検知し、上記警報機の鳴動制御を行う警報機制御装置において、上記列車に向かって所定の範囲に第1の送信波を発射する第1の送信アンテナと、上記列車で反射した上記第1の送信波の第1の反射波を受信する第1の受信アンテナと、第1の搬送波を擬似雑音符号によりスペクトラム拡散変調して上記第1の送信波を作成すると共に、上記第1のアンテナで受信した上記第1の反射波が上記第1の送信アンテナから発射された上記第1の送信波のものであることを確認して第1の列車検知信号を出力する第1の信号検知手段と、上記第1の列車検知信号により上記列車を検知すると共に、上記第1の反射波により上記列車の進行方向を判断する第1の列車判定手段とで上記第1の列車検知装置を構成し、上記列車に向かって所定の範囲に第2の送信波を発射する第2の送信アンテナと、上記列車で反射した上記第2の送信波の第2の反射波を受信する第2の受信アンテナと、第2の搬送波を擬似雑音符号によりスペクトラム拡散変調して上記第2の送信波を作成すると共に、上記第2のアンテナで受信した上記第2の反射波が上記第2の送信アンテナから発射された上記第2の送信波のものであることを確認して第2の列車検知信号を出力する第2の信号検知手段と、上記第2の列車検知信号により上記列車を検知すると共に、上記第2の反射波により上記列車の進行方向を判断する第2の列車判定手段とで上記第2の列車検知装置を構成し、上記第1の列車検知装置が上記列車を検知して上記列車の進行方向が上記警報機側に向かっているときに上記警報機を鳴動させ、上記第1の列車検知装置が判断した上記列車の進行方向と、上記第2の列車検知装置が判断した上記列車の進行方向とが一致すると共に、上記列車が上記警報機の鳴動領域を通過したと判断したとき上記警報機の鳴動を停止させる鳴動制御手段を備えたことを特徴とする警報機制御装置。
  2. 警報機を挟んで第1の列車検知装置の反対側に第2の列車検知装置を設置して列車を検知し、上記警報機の鳴動制御を行う警報機制御方法において、上記第1の列車検知装置で第1の搬送波を擬似雑音符号によりスペクトラム拡散変調して第1の送信波を作成して、上記列車に向かって所定の範囲に上記第1の送信波を発射し、上記列車から反射した上記第1の送信波の第1の反射波を受信し、受信した上記第1の反射波が上記第1の送信波のものであることを確認して上記列車を検知すると共に、上記第1の反射波により上記列車の進行方向を判断し、上記第2の列車検知装置で第2の搬送波を擬似雑音符号によりスペクトラム拡散変調して第2の送信波を作成し、上記列車に向かって所定の範囲に上記第2の送信波を発射して、上記列車で反射した上記第2の送信波の第2の反射波を受信し、受信した上記第2の反射波が上記第2の送信波のものであることを確認して上記列車を検知すると共に、上記第2の反射波により上記列車の進行方向を判断し、上記第1の列車検知装置が上記警報機に向かって走行してくる上記列車を検知したときに上記警報機を鳴動させ、上記各反射波により判断した上記列車の進行方向が一致すると共に、上記列車が上記警報機の鳴動領域を通過したと判断したとき上記警報機の鳴動を停止させるようにしたことを特徴とする警報機制御方法。
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