JP3715416B2 - エアフィルタ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品工場などに設置される空気調和システム、あるいはクリーンルームなどを構成するのに用いられるエアフィルタ装置に関するものである。さらに詳しくは、エアフィルタ装置のフィルタ材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気調和システムは現在、オフィスや工場、家庭など使用状況が広範なものとなっている。空気調和の目的としては、物の加工や製造、保存などを目的とする産業用空気調和と、労働者や居住者、輸送車両内の乗員の快適性を維持するための快適空気調和の二つに大別できる。空気調和とは、目的とする空間内の空気の温度、湿度、気流、清浄度をその目的に合った条件に調整し、これを室内に均一に分散させることと言える。
【0003】
空気調和システムに用いられるエアフィルタ装置としては各種のものがあり、たとえば、図1(A)、(B)に示すファンコイル型のエアフィルタ装置10(エアコン)では、送風機12によってケーシング11の下面から吸い込んだ空気をフィルタ材13を通して汚染物質を捕捉した後、冷温水コイル14を通して吹き出し口15からそのまま吹き出す。また、図1(C)に示すエアフィルタ装置20(エアコン)でも同様、送風機22によってケーシング21の下面から吸い込んだ空気を蒸発器24と一体に構成されたフィルタ材23を通して汚染物質を捕捉した後、吹き出しグリル25からそのまま吹き出す。
【0004】
これに対して、図1(D)に示す空気誘引型のエアフィルタ装置30(エアコン)では、ケーシング31内に吸い込んだ一次空気をノズル32から吹き出し口33を介して吹き出す際に、その負圧によって室内空気を吸い込み、この室内空気については、フィルタ材34および冷温水コイル35を介して吹き出し口33から吹き出すようになっている。
【0005】
このようなエアフィルタ装置を空気調和システムとして食品工場などに配置する際には、図2に示すように、フィルタ材13、23、34を冷温水コイル14、35や蒸発器24とともにハウジング内に着脱可能な状態に収納し、定期整備の際にはそれを外して洗浄などを施す。
【0006】
また、図3(A)、(B)に示されるクリーンルームにも、フィルタ材41、42を備えるフィルタ装置が配置されるが、図3(A)に示すフィルタ材41はソックチリングシステムのソックフィルタと言われるもので、繊維製の筒形状をもって吹き出し口に取り付けられる。このフィルタ材41(ソックフィルタ)は、図3(B)に示される一般的なフィルタ材42(強制対流方式の空気調和システム用)を用いた場合と比較して、室内気流を均一で低風速な状態に制御できるという利点がある。このようなフィルタ材41(ソックフィルタ)も、繊維間を気流が通過することからやはり汚染物質を捕捉できる。
【0007】
このようなエアフィルタ装置は、たとえば図4(A)、(B)に示すように、クリーンルームの各部屋毎にクリーンセルCCとして配置され、リターンダクトから吸い込んだ室内空気を清浄化して再び、各部屋に戻す。ここに示すクリーンルームは、図4(C)、(D)に示すように、各部屋がシリコンシーラーなどで壁パネルを介して実質的に密封状態に仕切られる。また、図5(A)、(B)に示すタイプのものは、図6(A)、(B)、(C)に示すように、フィルタ材66と一体に送風装置FFUを天井にアルミフレームおよび吊りボルトなどで固定して縦横に配列する一方、図5(A)、(B)に示すように、床面をグレーチングで底上げし、天井から床面に向けて清浄な空気を流すもので、エアシャワーを発生させる。
【0008】
このような空気調和システム(エアフィルタ装置)は、外気導入型と循環型とに大きく区別することもできる。前者は外部より外気ダクトを通じて空気を室内に給気するもので、その中でも、例えば冷房用空気調和システムであれば、その給気した空気を直接冷却してから室内に導入するか、あるいは空気を導入しながら独立して室内を冷却するものの二つのタイプがある。後者の循環冷却型は、外気を取り入れることなく、室内の空気の冷却が行われる。家庭用のエアコンがその代表例である。
【0009】
外気導入型の空気調和システムは室内の空気が何らかの原因によって著しく汚染される工場などで用いられている。たとえば、食品工場では小麦粉などの粉末製造工場、醤油や酢などの調味料製造工場などが挙げられる。その理由として、一つには工場内の空気が汚れるため、外気を導入して清浄化する必要があるからである。さらには空気調和システムはその多くが熱効率を良くするために一部銅管を用いており、その銅管が塩分や酸、硫化水素などを含むガスに弱いため、外気を導入しないと頻繁に故障してしまうためである。
【0010】
給排気は、以下に示す
(1)給気、排気ともに強制的に行われるタイプ、
(2)給気は強制的に行われ、排気は自然にまかされるタイプ、
(3)給気は自然にまかされ、排気は強制的に行われるタイプ、
の三つのタイプに大別できる。
【0011】
このように幾種類もの空気調和システムがあるが、それに用いるいずれのエアフィルタ装置も、外気を導入する吸気部もしくは空気を吐出する給気部にフィルタ材(空気濾過器)が必ず取り付けられている。フィルタ材は、綿、ガラス繊維、不織布、プラスチックスポンジなどから構成され、通過する空気中から粉塵等の汚染物質を捕集するものである。特に、外気導入型の吸気には外気の粉塵が大量に含まれており、それらを高度に取り除くため孔の密度が異なる複数種類のフィルタ材が使用されている。基本的な組み合わせは、外気側から孔の密度が低い順に、プレフィルタ、中性能フィルタ、高性能フィルタと重ねられる。
【0012】
このようなエアフィルタ装置に用いるフィルタ材に多量の粉塵などが付着すると、フィルタ材の孔が詰まり、給気効率が落ちて結果として冷房効率などが低下する。また、フィルタ材に細菌や黴、酵母などが付着すると、粉塵や埃を温床としてこれらが繁殖する。そのまま放置しておけばフィルタ材として捕集するにも限界が訪れ、これらをエアフィルタ装置が逆に汚染物質を空間内に撒き散らしてしまい、由々しき事態となる。さらに、給気がされにくくなると吸気圧力が増加し、モーターに過剰な負荷がかかる。このため、フィルタ材を定期的に洗浄、再生する必要がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フィルタ材を洗浄するのはたとえ1枚でも極めて手間のかかる作業であり、その上、工場内に設置されているエアフィルタ装置のエアフィルタや吸気用プレフィルタなどのフィルタ材は極めて多数ある。従って、フィルタ材の洗浄には工場の規模によっては多くの時間と作業人員が必要であり、通常の生産業務に追われて敬遠されがちにされ、そのまま洗浄作業が行なわれずにいたりする。
【0014】
また、天井に取り付けられている天井型エアフィルタ装置のエアフィルタや外気導入型の外気ダクトに取り付けられているプレフィルタは、その位置が高いため、人が脚立などに上って取り外さなければ洗浄できない。それらの作業が煩雑であるため、やはりフィルタ材の洗浄は敬遠されてしまう。特に、接客業や終日営業している店舗に取り付けられたエアフィルタ装置のフィルタ材は、客がいる間は取り外しにくいため、手間のかかるフィルタ材の洗浄はどうしても後回しにされがちである。さらに、外気導入型の吸気用フィルタ材は、中性能フィルタ及び高性能フィルタは現状のものは洗浄が不可能であり、孔が詰まるほど汚れた時点で廃棄されている。
【0015】
しかも、中性能フィルタや高性能フィルタを使用している場合には、季節や天候、立地の違いによって外気の粉塵等の含有率が変動し、フィルタ材の汚染度合いが様々であるため、フィルタの孔が詰まる時期が一定でない。従って、交換時期が一定とならず、やはり放置されて細菌の繁殖後になってはじめて交換されているのが現状である。これらの行為は、特に物の加工や製造、保存などを目的とする産業用空気調和システムにおいては許されるものではない。
【0016】
このような洗浄や監視を省略できるといわれているものとして、巻取り型のフィルタ材がある。これは、図7および図8に示すように、フィルタ材51がロール状に巻かれており、給気状態もしくは吸気状態を風量で検知し、給気側と排気側の圧力差が所定の値になると自動的に減速モータ53が作動する。その結果、停止位置スイッチ57および濾材送りカム562の監視の下で、汚れた部分がガイドロール54、56を介してローラ55に所定の長さ分、巻き取られ、新たな濾材集塵面52が間欠的に繰り出される。そして、濾材押さえカム59を介して濾材押さえ板561および濾材終了スイッチ58が新たなフィルタ材51が終了したことを検知したときには、その旨の報知が行なわれる。
【0017】
しかしながら、このタイプのフィルタ材51でもそれを使用してしまえば、新しいロールに交換しなければならず、ロール交換を忘れ、巻取りの終点部分をそのまま継続使用していると、やはり細菌などの繁殖と撒き散らしとが起きてしまう。すなわち、巻き取り型フィルタでは洗浄工程が省略されてはいるものの、やはり常にフィルタ材の状況を頻繁に管理していなければならない。
【0018】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、フィルタ材の洗浄作業を極めて簡単に行なうことのできるエアフィルタ装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、通過する空気から汚染物質を捕捉するフィルタ材を有するエアフィルタ装置において、前記フィルタ材の表面には光触媒性材料を含む層が形成され、さらに、前記フィルタ材に紫外線を照射する紫外線照射装置と、前記フィルタ材に水を供給する給水装置と有することを特徴とする。
【0021】
フィルタ材において、光触媒性材料を含む層を形成しないものは、水の接触角が70度から90度であり、この他の材料も数度程度にしかならない。しかるに、本発明では、エアフィルタ装置のフィルタ材の表面に光触媒性材料を含む層を形成するとともに、紫外線照射装置によって十分に紫外線を照射することにより、表面の水の接触角をほぼ0度としてある。従って、フィルタ材の表面に薄い水分子の層が形成され、その表面に汚染物質が捕捉されると考えられる。それ故、給水装置によってフィルタ材を水洗いするだけで、あるいは紫外線を照射した後の水洗いだけで汚染物質を簡単かつ自動的に洗い落とすことができる。
【0022】
本発明において、前記フィルタ材としては各種のものを使用でき、たとえば、不織布、金属繊維、天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維などから構成されたものを使用できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明を適用したエアフィルタ装置を、参考例とともに説明する。
【0026】
[参考例1]
本発明の参考例1に係るエアフィルタ装置は、それを構成する各構成要素としては、図1ないし図6を参照して説明したものと概ね同一であるが、これらのいずれのエアフィルタ装置においても、本形態では、不織布、金属繊維、天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、およびセラミックス繊維からなるフィルタ材、あるいはそれらを複合的に使用したフィルタ材の表面に対して、酸化チタンなどの光触媒性材料を含む層を形成したことを特徴とする。かかる光触媒性材料を含む層は、たとえば、シリコン樹脂と酸化チタンとを組み合わせたコート剤を、フィルタ材を構成する各繊維の表面に薄くコーティングすることによって構成できる。
【0027】
フィルタ材において、光触媒性材料を含む層を形成しないものは、水の接触角は70度から90度であり、この他の材料においても数度程度にしかならない。しかるに、本形態では、エアフィルタ装置のフィルタ材の表面に、光触媒性材料である酸化チタンとシリコーン樹脂を組み合わせたコート剤を用いて光触媒性材料を含む層を形成して、十分に紫外線を照射すると、表面の水の接触角がほぼ0度となる。このような現象を超親水化現象といい、このような性質を超親水性という。この理由は、図9に示すように、基材Rの表面が疎水性物質R0で覆われ水分を弾く性質をもっているのに対して、光触媒性材料を含む層Tに紫外線を照射することにより、この疎水性物質R0を分解し、表面に薄い水分子の層を安定的に形成するためと考えられる。その結果、フィルタ材の表面では薄い水分子の層の表面に汚染物質が捕捉されると考えられる。
【0028】
このように、超親水性を付与したフィルタ材では、表面の親水性が飛躍的に向上している。従って、従来であれば、フィルタ材表面などに付着した汚れや埃などの汚染物質は、吸引して除去するか洗剤などを用いて洗い落とすしか方法がなく、しかも、フィルタは小さな孔が密集しているため、孔の内部などの細部の汚染物質を全て取り除くのは困難であったが、本形態では、フィルタ材に超親水性を付与してあるため、例えば合成樹脂表面に光触媒性材料をコートした基材Rに油滴を付着させた場合でも、これを水中に沈めるだけで油が離脱するほどである。従って、本形態によれば、エアフィルタ装置から取り外したフィルタ材をそのまま水洗いするか、あるいは紫外線を照射してから水洗いするだけで、汚染物質を全て簡単に洗い落とすことができる。しかも、自動車排気ガスや油分を多く含んだ空気から付着した油汚れは、従来であれば、洗剤を用いて洗い落とすしか方法がなかったが、本形態であれば、フィルタ材に超親水性を付与してあるため、このような油汚れであっても、フィルタ材をそのまま水洗いするか、あるいは紫外線を照射してから水洗いするだけで、油汚れも簡単に洗い落とすことができる。
【0029】
しかも、光触媒性材料を含む層Tは、紫外線照射により一旦超親水化されると、その効果が長時間維持され、かつ、たとえ超親水性が低下してもそれを紫外線ランプからの光や太陽光に晒して紫外線を照射すれば、低下した超親水性が復帰するという利点がある。
【0030】
また、この光触媒性材料技術による洗浄方法はこれまで廃棄されていた中性能フィルタなどの洗浄も可能とし、その使用限界が大幅に延長される。また、従来のエアフィルタ装置を改良するといっても、超親水性を付与したフォルタ材を採用するだけのことなので、改良に要する費用はかからない。また、フィルタ材34に光触媒性材料をコートするといっても、酸化チタンおよびシリコーン樹脂の双方が安価であるため、材料コストの上昇はほとんどない。
【0031】
[参考例2]
図10(A)、(B)はそれぞれ、参考例2に係るエアフィルタ装置の構成を模式的に示す外観図および概略構成図である。ここでは、図1(D)に示した誘引型のエアコン用のエアフィルタ装置を例に説明する。なお、図1(D)に示した構成部分と共通する機能を有する部分には同一の符号を付してある。
【0032】
図10(A)、(B)において、このエアフィルタ装置30では、ケーシング31内に吸い込んだ一次空気をノズル32から吹き出し口33を介して吹き出す際に室内空気も吸い込み、この室内空気については、フィルタ材34および冷温水コイル35を通して吹き出し口33から吹き出すようになっている。
【0033】
このように構成したエアフィルタ装置30でも、参考例1と同様、フィルタ材34を構成する各繊維表面には、酸化チタンなどの光触媒性材料を含む層を形成し、それに紫外線を照射して超親水性を付与してある。
【0034】
また、本形態では、フィルタ材34の下方位置には、それに向けて紫外線を照射する紫外線ランプ39(紫外線照射装置/ 殺菌灯)を配置してあり、この紫外線ランプ39からはフィルタ材34に向けて定期的に紫外線が照射される。
【0035】
このように構成すると、フィルタ材34がハウジング内で紫外線が自然には届かない状態にあっても、フィルタ材34には紫外線ランプ39から紫外線が照射される。従って、フィルタ材34の表面は常時、高いレベルの超親水性を有するとともに、紫外線照射によって、そこに繁殖しようとする細菌や黴に対して殺菌処理を施すことができる。
【0036】
また、酸化チタン自身には抗菌作用があることが認められており、酸化チタンによる光触媒性材料を含む層自身の細菌や黴の付着防止も期待できるので、紫外線による殺菌と併せて細菌や黴などの繁殖抑制により一層の効果がある。
【0037】
なお、紫外線照射はフィルタ材34の両面から行なう方がよいことは勿論である。
【0038】
[実施の形態]
図11(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態に係るエアフィルタ装置の構成を模式的に示す外観図および概略構成図である。ここでも、図1(D)に示した誘引型のエアコン用のエアフィルタ装置に本発明を適用した例を説明する。なお、図1(D)に示した構成部分と共通する機能を有する部分には同一の符号を付してある。
【0039】
図11(A)、(B)において、このエアフィルタ装置30でも、ケーシング31内に吸い込んだ一次空気をノズル32から吹き出し口33を介して吹き出す際に、室内空気も吸い込み、この室内空気については、フィルタ材34および冷温水コイル35を通して吹き出し口33から吹き出すようになっている。
【0040】
このようなエアフィルタ装置30において、フィルタ材34の洗浄が敬遠される大きな理由としては、その取り外し作業の煩雑さがある。
【0041】
そこで、本形態では、まず、参考例1、2と同様、フィルタ材34を構成する各繊維表面には、酸化チタンなどの光触媒性材料を含む層を形成し、それに紫外線を照射して超親水性を付与してある。また、本形態では、参考例2と同様、フィルタ材34の下方位置には、それに向けて紫外線を照射する紫外線ランプ39(紫外線照射装置/ 殺菌灯)を配置してあり、この紫外線ランプ39からはフィルタ材34に向けて定期的に紫外線が照射される。従って、フィルタ材34の表面は、紫外線を受けて高いレベルの超親水性を有する。
【0042】
さらに、本形態では、超親水化したフィルタ材34の表面に定期的あるいは必要に応じて水を適量ずつかける給水装置60を構成してある。本形態では、この給水装置60については、給水配管61の途中位置に電磁弁62を介挿させたもので構成し、制御装置63が電磁弁62を開閉する。ここで、制御装置63は、フィルタ材34の汚れ度合いを監視するセンサーや一定時間毎に給水を指令するタイマーなどを備え、これらのセンサーやタイマーの指令に基づいて電磁弁62を開閉する。
【0043】
また、本形態では、冷温水コイル35の表面にも前記の超親水化処理を施してその集水機能を高め、そこで集めた水をフィルタ材34に上に通水治具64で自動的に導くようになっている。この通水治具64にも前記の超親水化処理を施してある。
【0044】
このように構成したエアフィルタ装置30では、紫外線ランプ39からの紫外線の照射によってフィルタ材34の表面は高いレベルの超親水性を有する。このため、給水装置60を構成する給水配管61から供給される水、あるいは給水装置60を構成する通水治具64を伝ってくる冷温水コイル35からの水によって、フィルタ材34の表面は洗浄され、常に清浄に保たれる。それ故、フィルタ材34を取り外して洗剤に漬け置いたりブラシなどを用いて洗浄しなくても、小さな孔や凸凹などの複雑な形状の部分に保持された汚染物質も自動的に完全に除去される。なお、フィルタ材34の表面を洗浄し終えた水は透明なドレン65によって受け、所定の位置から排出すればよい。
【0045】
また、紫外線ランプ39や給水装置60自身は決して高価なものでないので、従来のエアフィルタ装置を改良するにも、多大な費用が発生しない。
【0046】
[その他の実施の形態]
なお、給水装置60としては、空気調和システムで回収された凝結ドレン水などを利用することも十分に可能であり、この場合には、特別な配管を追加する必要がない。例えば、図11に示す冷温水コイル4に凝結した凝結水は、一旦ドレンパン(図示せず。)に集められるので、凝結ドレン水をくみ上げてフィルタ材34の表面に適量ずつ流してもよい。なお、洗浄し終えたフィルタ材34の表面は、給排気により空気の流れがある限り、自然に乾燥する。
【0047】
また、光触媒性材料と有機酸などの嫌菌材料との組み合わせにより、フィルタ材34の表面に嫌菌性も付与してもよい。この嫌菌性は、各種細菌が存在しがたい環境を形成することにより、細菌が繁殖しない環境を形成するものであり、それ自体が必ずしも殺菌作用を有するものではない。具体的な態様としては、シリコン樹脂に光触媒性材料と嫌菌材料とを混練りする等の方法がある。
【0048】
さらに、上記形態で説明したフィルタ材についてはエアコン用に限らず、空気清浄器用に用いてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るエアフィルタ装置では、フィルタ材表面を超親水化することで、フィルタ材からの汚れは紫外線照射と水洗いのみで容易に除去できる。また、フィルタ材に水をかけるだけで汚れを簡単に除去できるので、エアフィルタ装置内にフィルタ材表面に紫外線照射装置と給水装置を設けておけば、フィルタ材を取り外さなくても、フィルタ材の洗浄を自動的に行うことができ、便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はファンコイル型のエアフィルタ装置の説明図、(C)は別のファンコイル型のエアフィルタ装置の説明図、(D)は空気誘引型のエアフィルタ装置の説明図である。
【図2】図1に示すエアフィルタ装置を大型化したときのフィルタ装置の説明図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ、ソックチリングタイプの空気調和システムの説明図、および強制対流式の空気調和システムの説明図である。
【図4】空気調和システムの説明図である。
【図5】別の空気調和システム全体の説明図である。
【図6】(A)、(B)はいずれも、図5に示す空気調和システムのフィルタ材の固定方法を示す説明図、(C)はこのフィルタ材の配置を示す平面図である。
【図7】ロール状のフィルタ材を用いたエアフィルタ装置の説明図である。
【図8】ロール状のフィルタ材の使用形態を示す説明図である。
【図9】本発明に用いた光触媒性材料を含む層の作用を説明するための図である。
【図10】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態2に係るエアフィルタ装置の構成を模式的に示す外観図および概略構成図である。
【図11】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の実施の形態3に係るエアフィルタ装置の構成を模式的に示す外観図および概略構成図である。
【符号の説明】
10、20、30 エアフィルタ装置
11、21、31 ケーシング
12、22 送風機
13、23、34、41、42、51、66 フィルタ材
14、35 冷温水コイル
15、33 吹き出し口
24 蒸発器
25 グリル
32 ノズル
39 紫外線ランプ(紫外線照射装置/ 殺菌灯)
52 新たな濾材集塵面
53 減速モータ
54、56 ガイドロール
55 ローラ
60 給水装置
61 給水配管
62 電磁弁
63 制御装置
64 通水治具
65 ドレン
CC クリーンセル
Claims (3)
- 通過する空気から汚染物質を捕捉するフィルタ材を有するエアフィルタ装置において、
前記フィルタ材の表面には光触媒性材料を含む層が形成され、
さらに、前記フィルタ材に紫外線を照射する紫外線照射装置と、前記フィルタ材に水を供給する給水装置と有することを特徴とするエアフィルタ装置。 - 請求項1において、前記光触媒性材料が酸化チタンであることを特徴とするエアフィルタ装置。
- 請求項1または2において、前記フィルタ材は、不織布、金属繊維、天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、およびセラミックス繊維からなる群から選ばれた1種もしくは2種以上の繊維からなることを特徴とするエアフィルタ装置。
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