JP3715254B2 - 水素による尿石分解・脱臭殺菌作用を有するペレット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水を分解して還元性の高い水素やイオン及びラジカルを発生させる混合物の製造方法及び製造された混合物に関する。本発明は、水を分解して得られた高活性の水素やイオン及びラジカルの還元力を利用することによる、トイレの尿石分解及び脱消臭、女性生理の悪臭分解消臭、殺菌、食品の防腐及び乾燥防止、酸化防止などの分野で有効である。
【0002】
【従来の技術】
汚物除去、異臭消臭、殺菌など行う場合、地球環境の汚染防止の観点から洗剤、薬剤などの代替として、水の電気分解により得られる酸化還元電位(以下「ORP」という。)の高い水(以下「酸化水」という。)、及びORPの低い水(以下「還元水」という。)を利用することが多くなってきた。特に、還元水については、飲料水として体内に取り込むと、体内に存在する余剰の活性酸素と反応して、活性酸素を還元して無害化させるということで注目されている。
【0003】
従来、還元水を得るには、上述の通り、電気エネルギーにより水を分解する方法が主に用いられてきたが、常時、還元水を得る場合、電気料金が電気使用量に対して金額が高くなるので、ランニングコストを軽視することができなかった。また、電気分解装置の1台当たりの価格も高額であり、更なるコストの削減が求められていた。また、この電気分解装置は携帯性に優れておらず、使用場所が限られていた。
【0004】
また、電磁波により水を分解して還元水を得る場合、エックス線など波長の短い高エネルギーの電磁波の照射を必要とし、高エネルギーの電磁波を照射する装置を設ける必要があった。
また、高コスト機材を用いて発生させたエネルギーを使用しないで水の分解を行う方法として、太陽光を利用した光触媒がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、地球環境の汚染防止の観点から、洗剤、薬剤などの代替として、酸化水、還元水を利用した汚物除去や異臭消臭、殺菌、浄水などが注目を集めている。酸化水、還元水とは、水の分解によって得られる水溶液であり、一般にORPが約+200mV以上の水を酸化水、ORPが約+200mV以下の水を還元水と呼んでいる。通常の水と比較して、酸化水は酸素の含有量が高くかつ酸化力が強く、また還元水は水素の含有量が高くかつ還元力が強い。還元水は、従来、水の電気分解により得ていたが、この電気分解には、電解槽などを有する電気分解装置が必要であった。しかし、この電解装置は、少量の還元水の得るのに使用するには高コストであり、さらなるコストの削減が求められていた。また、電磁波により水を分解して還元水を得る場合、エックス線など波長の短い高エネルギーの電磁波の照射を必要としていた。そして、この高エネルギーの電磁波を照射する装置に対するコストがかかり、さらなるコストの削減が求められていた。また、上述の電解装置や電磁波を照射する装置は、携帯性を有しておらず、限られた場所以外では利用することができなかった。また、限られた場所で上述の電解装置や電磁波を照射する装置を利用する場合でも、これらの装置の設置場所を考慮しなければならず、狭い場所での設置には困難であった。
【0006】
また、上述した装置などの機材を用いずに水を分解して水素を発生させる物質として、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属があるが、これらの金属は禁水性及び自然発火物質として第3類危険物に指定されて取り扱いに困難であり、一般家庭における実用性はなかった。
【0007】
また、本発明の用途の1つには、トイレの尿石除去があり、尿石除去後の水は下水道へ流れるので、地球環境に配慮して有害な物質が水に溶け出さないものでなければならない。
近年、地球環境汚染防止の観点よる水を分解する有力な方法の1つとして、光触媒が挙げられる。光触媒は、太陽光などの光照射による光エネルギーを利用した触媒であり、主に光励起した電荷の移動により酸化還元反応を引き起こす。光触媒は、光エネルギーを利用して酸化還元反応を引き起こすので、水を分解する場合でも、クリーンで無尽蔵なエネルギーを使用できる利点があり、また、触媒であるので、酸化還元反応の前後で触媒自体は不変であり、有害な物質が溶け出すことがない。
【0008】
光触媒は、上述の通り、光触媒は太陽光などクリーンで無尽蔵な光エネルギーを利用して酸化還元反応を引き起こすので、地球環境汚染の心配もない。光触媒は光エネルギーにより水を分解して水素と水を発生させ、この発生した水素は水素エネルギーとして、将来的に化石燃料に変わる新しいエネルギーとして期待されている。そのため、今後光触媒に対する需要は増大すると思われるが、現在、光触媒の原材料として二酸化チタンなどの半導体を用いており、半導体以外の金属は用いられることは少ない。今後、光触媒を始めとして、このような光エネルギーを利用したテクノロジーの需要に伴い、原材料となる資源の多様化が求められ、さらにありふれた鉱物資源の利用が求められる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題に鑑み、本発明者は、マグネシウムを用いて水を分解する混合物を製造した。マグネシウムは、地殻構成物質の中で8番目に豊富な元素であり、マグネシウムを含む鉱物は地球上の広範囲に存在し、また、海水にも含まれており、枯渇の心配がない。光エネルギーを利用するに当たり、無尽蔵に使用できるマグネシウムを用いることは、今後、需要が増大する光エネルギーを用いた分野において、大変重要なことである。それでは、以下に本発明を詳述する。
【0010】
請求項1記載の発明は、第1の処理及至第4の処理を備えることを特徴とする混合物である。
第1の処理は、水と、ポリビニルアルコール、スクロース、シュウ酸、カルバゾール、アスコルビン酸とを混合させる。
第2の処理は、金属マグネシウムと、無水ホウ酸、金属アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、メチオニン、シリカゲル、グルタミン酸ナトリウム、尿素よりなる群から選ばれた1以上の化合物とを混合させる。
第3の処理は、前記第1の処理による混合物と前記第2の処理による混合物とを混合させることにより酸化還元反応を開始させる。
第4の処理は、前記第3の処理により酸化還元反応が開始した混合物を冷却することにより前記酸化還元反応を停止させる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、前記第4の処理により前記酸化還元反応が停止した混合物を脱水処理することを特徴とする請求項1に記載の混合物の製造方法である。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2の製造方法により製造された混合物である。この混合物は、還元性を有する活性な水素を発生させる混合物であり、上述した課題を解決するために、水と反応すると、水の分解により活性水素やイオン、電子、ラジカルなどの高い還元力を有する活性の高い物質を発生させる機能を有する。
【発明の実施の形態】
【0012】
請求項1記載の製造方法によれば、まず、水にポリビニルアルコール、スクロース、シュウ酸、カルバゾール、アスコルビン酸を溶解させ、混合水溶液Aを製造する。ただし、ポリビニルアルコールはこの原料の中で最も溶解しにくいので、最初に水に加えるのが好ましい。また、金属マグネシウム粉末、無水ホウ酸、金属アルミニウム粉末、硫酸アンモニウムアルミニウム、メチオニン、シリカゲル、グルタミン酸ナトリウム、尿素の原料群の中から、請求項3記載の混合物の利用環境に応じて、必要な原料試薬を1つ以上選択(実施例参照)し、この選択した原料を混合し、混合試薬Bを製造する。このとき、混合水溶液Aの製造と混合試薬Bの製造、すなわち請求項1記載の水と、ポリビニルアルコール、スクロース、シュウ酸、カルバゾール、アスコルビン酸とを混合させる第1の処理と、金属マグネシウムと、無水ホウ酸、金属アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、メチオニン、シリカゲル、グルタミン酸ナトリウム、尿素よりなる群から選ばれた1以上の化合物とを混合させる第2の処理との2つの処理の順序は任意であり、どちらを先に行ってもよく、並列で行ってもよい。混合水溶液Aと混合試薬Bを5:1の割合で容器に入れ、攪拌する。攪拌すると徐々にゲル化しながら発泡、発熱が始まり、混合溶液全体から激しく発泡し始めたら、冷却して反応の進行を止める。当該反応は、常温・常圧下、空気中で行うが、厳密には酸素嫌気下で行うのが好ましい。冷却後、脱水して乾燥することにより水分を完全に除去する(脱水手段の一例に遠心分離機の利用があるが、特にこの方法に限定するものではない。また、遠心分離機により脱水をする場合、長時間脱水を行うと、樹脂に閉じ込められている水素も除去されてしまうので、短時間脱水を行うのが好ましい。)。乾燥後、請求項3記載の固い灰色の物質が得られる。
【0013】
上記の混合水溶液Aは、請求項3記載の混合物の樹脂成分を形成するために調製する。その樹脂であるポリマーの主鎖としてポリビニルアルコールを用いているが、このポリビニルアルコールを用いたのは、カルバゾールを導入し易いからである。また、カルバゾールを導入することでポリN−ビニルカルバゾールとなり、このポリN−ビニルカルバゾールは導電性高分子であり、電子移動が生じ易く、請求項3記載の混合物と水との酸化還元反応を促進する。スクロースは、グルコースとフルクトースとからなるニ糖の酸化糖であり、この酸化糖をシュウ酸によって単糖の還元糖に変える。単糖に分解されたグルコースとフルクトースは、それぞれアルデヒド基、ケトン基を有し、これらの官能基の紫外線領域から赤外線領域までの広範囲の吸収スペクトルによって、水中での請求項3記載の混合物の作用を強化する。
【0014】
混合試薬Bは、金属マグネシウム粉末と、さらに、無水ホウ酸、金属アルミニウム粉末、硫酸アンモニウムアルミニウム、メチオニン、シリカゲル、グルタミン酸ナトリウム、尿素の原料試薬群の中から、請求項3記載の混合物の利用環境に応じて必要な原料試薬を1または2以上選択した化合物とからなる。請求項3記載の混合物の利用環境に応じて、混合試薬Bの構成成分を変えるのは、請求項3記載の混合物によって水が分解された結果、水に含まれる水素分子や水素イオン、水素ラジカル、水和電子などの量が異なる、つまりORPが異なってくるからである。
【0015】
請求項3記載の混合物の合成における請求項1記載の製造方法で特徴的なことは、混合溶液Aと混合試薬Bとの反応を途中で強制的に停止させていることである。混合溶液Aと混合試薬Bとの反応は水が媒介することで反応が進行するが、この反応媒体ある水を取り除くことで、反応を一時停止させることができる。この水を取り除いた反応系、つまり請求項3記載の混合物は、再度水と接することで再び反応が始まる。ここで重要な点は、請求項3記載の混合物は、反応未完了の混合溶液Aと混合試薬Bとの混合物であるということである。混合溶液A及び混合試薬Bの未反応試薬が多いほど、水に対する請求項3記載の混合物の効力はより持続する。すなわち、混合溶液Aと混合試薬Bとを混ぜて反応を一時停止するまでの時間が短いほど、水に対する請求項3記載の混合物の効力は持続する。しかし、前記の時間が短すぎれば、混合溶液Aと混合試薬Bとの混合物は液状のままであり、取り扱いに不便である。そこで、取り扱いやすい固形の樹脂混合物を得るために、混合溶液Aと混合試薬Bとの混合物が発熱してゲル状になり、溶液全体が発泡し始めるまで反応させる。発泡が始まったら、混合溶液Aと混合試薬Bとの混合物を反応器より取り出し、氷水などの冷水で冷却する。冷却後、混合溶液Aと混合試薬Bの混合物から水を除去するために、混合溶液Aと混合試薬Bの混合物を乾燥し、請求項3記載の混合物が得られる。
【0016】
上述の通り、請求項3記載の混合物は、反応を一時停止している状態のものであり、一部は反応が起こり合成物が生成しているが、大半が未反応であり、樹脂成分により未反応の原材料が包まれて外観として1つの物質を形成しているものである。従って、本発明の製造物は化合物とは言えず、混合物と表現している。
【0017】
【実施例】
以下に請求項1及び請求項2記載の製造方法、その製造方法により製造された請求項3記載の混合物の有効性を確認した測定結果、及びその使用方法の一例を詳述する。
【0018】
[実施例1] 請求項3記載の混合物を上水道で使用する場合の製造方法を以下に記載する。
(1)まずは、樹脂成分の調合をする。攪拌している水にポリビニルアルコール(3重量%)を少量づつ加え、スクロース(2.5重量%)、シュウ酸(0.01重量%)、カルバゾール(1重量%)、アスコルビン酸(0.1重量%)を入れる。5〜6時間攪拌後、これらの原料が溶解する。ただし、攪拌を止めるとポリビニルアルコールが沈殿、硬化するので注意を要する。
(2)次に、金属マグネシウム粉末(80メッシュ)、無水ホウ酸、硫酸アンモニウムアルミニウムを、それぞれ45%:35%:20%の重量比率で混ぜる。
(3)上記(1)で調製した水溶液と上記(2)で調製した混合原料を5:1の重量比率で反応器に入れ、攪拌する(約250回転/分)。約30秒間攪拌すると、徐々に発泡、発熱する。約5分で、反応前の体積に対して約5倍程度発泡し、反応溶液の温度が約40℃まで上昇すると、発泡物の表面から水が出てくる。発泡物の表面から水が出てきたら、発泡物を反応器から取り出し(発泡物の表面から水が出てくるのを待って発泡物を反応器から取り出すのは、発泡物の表面から水が出ることで反応器と発泡物の間に水の層ができ、反応器から発泡物を取り出し易いためである。)、取り出した発泡物を氷水に入れ、30分から40分間冷却する。冷却後、冷却した発泡物を遠心分離機で3分程度脱水を行った後、100℃で2時間乾燥する。乾燥後、固い灰色の混合物が得られる。
【0019】
[実施例2] 請求項3記載の混合物を中水道で使用する場合の製造方法を以下に記載する。
(1)まずは、実施例1の(1)と同様の操作をする。
(2)次に、金属マグネシウム粉末(80メッシュ)、無水ホウ酸、グルタミン酸ナトリウム、尿素、メチオニンを、それぞれ70%:20%:4%:2%:4%の重量比率で混ぜる。
(3)実施例1の(3)と同様の操作をする。
【0020】
[実施例3] 請求項3記載の混合物を海水中で使用する場合の製造方法を以下に記載する。
(1)まずは、実施例1の(1)と同様の操作をする。
(2)次に、金属マグネシウム粉末(100メッシュ)、無水ホウ酸、硫酸アンモニウムアルミニウム、金属アルミニウムを、それぞれ45%:30%:20%:5%の重量比率で混ぜる。
(3)実施例1の(3)と同様の操作をする。
【0021】
[実施例4] 請求項3記載の混合物を飲料水中で使用する場合の製造方法を以下に記載する。
(1)まずは、実施例1の(1)と同様の操作をする。
(2)次に、金属マグネシウム粉末(30メッシュ)、粉砕したシリカゲルを、それぞれ30%:70%の重量比率で混ぜる。
(3)実施例1の(3)と同様の操作をする。
【0022】
[実施例5] 実施例1の製造物を直径5mm程の大きさの粒子状にして、上水中で水を還元する作用の強さ及び持続性の測定を行った。測定条件は、常温・常圧下で、直射日光が当たらないが、反射光が入ってくる室内で行った。
(測定方法) 使用する水は上山市上水道より摂取した上水を用いた。まず、この摂取した水のORPを測定し、+604mVという結果が得られた。次にろ紙を袋状にし、その中に直径5mm程に粒子状にした実施例1の製造物を10g入れ、その袋の口を閉じた。500mlの水に前記の袋を入れて、経過時間に対するORPの変化を追跡した。測定1日目は、時間単位でのORPの遷移を測定し、2日目以降は、毎日水を替えて、その水を替えてから24時間後の水のORPを測定した。表1はこの測定結果を示したものである。水を替えるとき以外は、水は静止させていた。
【0023】
【表1】
【0024】
(測定結果1) 図1は、表1の測定開始時点から24時間以内のORPの遷移を抜粋し、グラフ化したものである。測定開始時点では、ORPが+604mVであったが、30分経過後にはORPが−356mVまで急激に降下し、1時間経過後は、さらにORPが−684mVまで降下している。その後のORPの遷移の経過を見てみると、急激な降下は見られないが徐々に降下し続け、測定開始から4時間以上経過すると、ORPが約−800mVで収束する傾向が見られる。還元水を飲料水として用いる場合、適当なOPRは約−250mVであり、このORP以下の水は還元性が高く、殺菌や消毒などの用途で使用される。このことを鑑みても−800mVは非常に高い還元性を有しており、十分実用に耐えうるものである。
【0025】
(測定結果2) 図2は、表1の測定開始時点から60日間における日付単位のORPの遷移を抜粋し、グラフ化したものである。2日目以降も約−800mVという高い還元性を示し、この状態が15日経過後頃まで続いている。16日以降は徐々にORPが上昇するが、約45日経過後まで約−300mV以下を保っており十分還元性を有している。その後はORPが−200mV付近まで上昇し、還元性が相当弱まるが、一般の上水が約+600mVということを考慮すると、まだ実施例1の製造物の効力は持続している。以上の測定結果より、水500mlに対して、直径5mm程の粒子状にした実施例1の製造物10gの効力は約60日持続する。この60日という持続期間は、実用的な面から見ても十分な期間である。
【0026】
[実施例6] 便器に付着している尿石の除去及び消臭を目的とした請求項3記載混合物の使用の一例を示す。実施例1の製造物を直径5mm程の大きさの粒子状にする。次にろ紙を袋状にし、その袋の中に粒子状にした前記の製造物を10g入れ、その袋の口を閉じる。水洗式便器の水洗用タンクの中の溜まっている水に、前記の製造物の入った袋を入れる。水洗式便器の水洗レバーを回して、水洗用タンクから便器内に水を導入する。
【0027】
【発明の作用】
請求項3記載の混合物を水と接触させると、原材料と、反応により生成した化合物とこれらの混合物との相互作用により、水の分解が行なわれる。本発明での水の分解機構は、マグネシウムと未反応物質、もしくは反応生成物との間での酸化還元反応が主であり、水素分子、水素イオン、電子、水酸化物イオンなどが発生する。次に、これらの発生した物質がさらに他の原材料または反応により生成した化合物と酸化還元反応を誘発し、請求項3記載の混合物の還元性を高めている。さらに、これらの発生した物質が水と酸化還元反応を連鎖的に繰り返すことで、還元性の高い水を生成している。
【0028】
さらに、光照射下(特に紫外光が好ましいが、自然光でもよい)で、請求項3記載の混合物を水と接触させると、原材料や、反応により生成した化合物、及びこれらの混合物が光により励起され、上記の酸化還元反応が促進される。このとき、光の照射は、直射の方が好ましいが、実施例5の測定結果より、反射光でも十分に還元水は生成する。なお、請求項3記載の混合物には、反応で生じた多くの水素が含まれており、光がなくてもこの含有水素を接触している水に対して放出することができ、還元水を生成することができる。
【0029】
以上より、光照射下での請求項3記載の混合物と水との酸化還元反応では、マグネシウムと、その他の原材料と、及び反応により生成した化合物との相互作用により水素イオン、水酸化物イオン、電子が発生し、それぞれが水中において、電子は水を配位して水和電子になり、水素イオンはヒドロニウムイオンになり、水酸化物イオンは2量体を形成してヒドロペルオキシドラジカルになり、さらに、水素イオンは水和電子と結合して水和水素等核二原子分子になる。
【0030】
上記で発生した分子やイオンやラジカルは活性が高く、不飽和化合物への水素付加や、分子間水素移動などによる酸化還元反応によって、有機化合物や無機化合物などの分解、菌類や細菌類などの微生物の殺菌、食品などの防腐、脱消臭が可能となる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、水と反応すると水を高い還元性を有する水に変化させる。そして、この高い還元力を利用することで、トイレの尿石分解及び脱消臭、女性生理の悪臭分解消臭、殺菌、食品の防腐及び乾燥防止、酸化防止などに有効である。
【0032】
また、本発明を利用する場合、粒子状にして用いるが、この粒子の大きさを調整することにより、水を高い還元性を有する水に変化させる効力の持続期間を調整することができる。なぜなら、この持続期間は、請求項3記載の混合物に含まれるマグネシウムの残量に依存するが、さらに、利用時における請求項3記載の混合物と水との反応、つまり請求項3記載の混合物に含まれるマグネシウムがイオン化して水に溶け出す割合に依存するからである。つまり、請求項3記載の混合物を砕いて粒子の大きさを小さくするほど、水と接する割合が大きくなり、マグネシウムが水に溶け出す量が増えるので、水を高い還元性を有する水に変化させる効力の持続期間は短い。しかし、その代わりに短時間で高い還元性を有する水を生成する。直径約5mmの粒子の大きさでは、請求項3記載の混合物は約60日間持続する。
【0033】
また、本発明は還元水を得るための電解槽を用いた従来方法などと比べ、低コストで大量に製造でき、常温・常圧下で湿気のない場所であれば、効力を失活せず保存することが可能である。また、請求項3記載の混合物は、物理的衝撃にも強く、取り扱いも簡単なので、輸送費も高コストになることはない。また、本発明の製造物は、携帯性を有しているので電解槽などの機材の設置場所を設ける必要がなく、使用場所が限定されない。
【0034】
また、光照射下で、請求項3記載の混合物を水と接触させると、本発明と水との酸化還元反応が促進され、還元水を生成する効率を上昇させることができる。さらに、請求項3記載の混合物は、水に溶け出す成分はマグネシウムのみであり、マグネシウムはミネラル成分としてミネラル水に溶けている物質なので、地球環境を汚染することはない。また、地球上に豊富に存在するマグネシウムを利用しているので、枯渇の心配をする必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1の測定開始時点から24時間以内のORPの遷移を抜粋し、グラフ化したものである。
【図2】表1の測定開始時点から60日間における日付単位のORPの遷移を抜粋し、グラフ化したものである。
Claims (3)
- 水と、ポリビニルアルコール、スクロース、シュウ酸、カルバゾール、アスコルビン酸とを混合させる第1の処理と、
金属マグネシウムと、無水ホウ酸、金属アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、メチオニン、シリカゲル、グルタミン酸ナトリウム、尿素よりなる群から選ばれた1以上の化合物とを混合させる第2の処理と、
前記第1の処理による混合物と前記第2の処理による混合物とを混合させることにより酸化還元反応を開始させる第3の処理と、
前記第3の処理により酸化還元反応が開始した混合物を冷却することにより前記酸化還元反応を停止させる第4の処理と、
を備えることを特徴とする混合物の製造方法。 - 前記第4の処理により前記酸化還元反応が停止した混合物を脱水処理することを特徴とする請求項1に記載の混合物の製造方法。
- 請求項1又は2の製造方法により製造された混合物。
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