JP3712725B1 - ダイヤル錠 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のダイヤル錠と比較し構造が頗る簡単であり、操作性がよいなど従来の欠点を解消できると共に、十分なる防犯機能,信頼性を備え、かつ利便性に優れたダイヤル錠を提供する。
【解決手段】 外端部にダイヤル8a,8bが固設されたダイヤル軸9a,9bを複数設け、それぞれのダイヤル軸を互いに隣り合わせで平行なるように表板2に貫挿すると共に、該各ダイヤル軸の内端部に外形が非円形状又は非同心状に係合片14a,14bを固着してなる錠本体1と、該係合片と相対する位置に該係合片を通過させ得る係合孔14a,14bが貫通状に形成された受部材20と、を具備し、該受部材の係合孔14a,14bに前記錠本体1の係合片14a,14bを貫通させ前記ダイヤル軸9a,9bを回転することにより該係合片が該受部材内に係合し施錠されるようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ダイヤルを回転操作をすることにより開錠及び施錠ができるダイヤル錠に関する。
ダイヤル錠は、周知のようにダイヤルを回転操作し予め決められた数字や符号に目盛を合わせることにより開錠可能となるものであるので、特定の鍵を所持していなくても開錠でき、鍵を紛失するおそれがないなどの利便性がある。このため従来から住宅等の建物の扉,引き戸、さらに旅行用鞄等のかばん類や貴重品ケース等の施錠用に多々使用されてきた(例えば特許文献1〜3参照。)。
特開昭60−208573号公報 特開昭55−42999号公報 特開昭61−28682号公報
上記特許文献1〜3に示された錠前はいずれもこのようなダイヤル錠の一種で、特許文献1はダイヤルをボタン操作により回転操作し符号が合わせられるようにしたもの、特許文献2は複数のダイヤルリングが同軸状に配置されその中心に錠止部材が貫挿されたもの、特許文献3は複数のダイヤルリングを互いにスリーブ部を嵌合することで回転自在に設けてなるダイヤル錠を開示するものである。
ところで上記特許文献1に開示されたダイヤル錠は、ダイヤル目盛をボタン操作により回転できることで符号合わせ操作が容易にできるようにしたものであるが、操作ボタンと、該ボタン操作により回転する部分切欠状のドライブホイルと、該切欠中に係脱するスライダーとを別部品として形成することを要するものであったので、多くの構成部品を要し複雑な構成となり製造コストが高くなるものであった。
また、特許文献2及び特許文献3に示されたダイヤル錠は、外周面に符号が刻設された複数のダイヤルリングを同軸上に隣接させて配置した構成のものであるので、隣り合うダイヤルリング間の間隔が狭く、符号合わせ時にダイヤルリングを回転させる指先に負荷が掛かると共に、操作時に符号が指先で隠れるので操作し難いなどの問題があった。
また、ハンドバッグ等のかばん類,袋物や宝石箱等の収納箱類などにおいては、本体の取付部がそもそも小さいことから、ダイヤル軸方向の取り付けスペースに制限がありむやみにダイヤル軸を長くすることが不可能であった。
さらに、建物の引き戸,扉には従来、一般にシリンダー錠が使用されていたが、シリンダー錠を設けた住宅ではその鍵穴から針金等を差し込み、内部のロック片を動かし不正に開錠する、いわゆるピッキングによる被害が多発していることは周知のとおりである。
本発明は上記問題点を解決するもので、従来のダイヤル錠と比較し構造が頗る簡単であり、操作性が良いなど従来の欠点を解消できると共に、十分なる防犯機能,信頼性を備え、かつ利便性に優れたダイヤル錠を提供することを目的とする。
上記目的を達成するべく、請求項1に記載の発明の要旨は、外端部にダイヤルが固設されたダイヤル軸を設けて、該ダイヤル軸を表板に貫挿すると共に該ダイヤル軸の内端部に外形が非円形状又は非同心状に係合片を固着してなる錠本体と、該係合片と相対する位置に該係合片を通過させ得る係合孔が貫通状に形成された受部材と、を具備し、該受部材の係合孔に前記錠本体の係合片を貫通させ前記ダイヤル軸を回転することにより該係合片が該受部材内に係合し施錠されるようにし、また前記係合片上に弾発性を有し上方へ弾性付勢される弾性突起体を設けると共に前記受部材に前記弾性突起体の頭部が挿入され得る凹所と前記錠本体から該凹所へ貫通する小孔とを具備する係止手段を設けて、錠本体側から細径のピンで該小孔を通って凹所内に在る弾性突起体を弾性付勢に抗して下降させ得るようにしたことを特徴とするダイヤル錠にある。
請求項1のダイヤル錠のごとく、外端部にダイヤルが固設された複数本のダイヤル軸を互いに隣り合わせで平行なるように表板に貫挿すると共に、該各ダイヤル軸の内端部に外形が非円形状又は非同心状に係合片を固着してなる錠本体と、該係合片と相対する位置に略同形の係合孔が貫通状に形成された受部材と、を具備すると、複数の係合片が破壊されない限り、施錠状態が破られることはない。また、シリンダー錠のように鍵孔を有しないので、いわゆるピッキングの被害を受けるおそれがなく、且つ操作が良く、簡単な構造でありながらも防犯性能が高い。
イヤル軸に前記係合片を着脱可能に固着することで該ダイヤル軸と該係合片との相対的回転角度を変更可能なるようにすると、開錠操作をするのに必要なダイヤルの設定符号を適宜変更することができ、必要に応じてこの変更を行うことによりこのダイヤル錠の防犯性能がさらに高められる。
イヤル軸の妄動回転を防ぐ摩擦抵抗手段を設けると、隣り合うダイヤルを回転操作しているときに他方のダイヤルが無用に回転してしまうようなことなく、開錠のためのダイヤルの設定符号合わせ操作を容易にする。
合片上に弾性突起体を設けると共に受部材に弾性突起体が挿入され得る凹所と錠本体から凹所へ貫通する小孔とを具備する係止手段を設けて、錠本体側から細径のピンで小孔を通って凹所内に在る弾性突起体を弾性付勢に抗して下降させ得るようにすると、係合片と係合孔の組合わせが一組であっても施錠機能を十分発揮できる。コンパクト化が可能で、デザイン的,外観が良好にしてハンドバッグ等のかばん類、袋物、宝石箱等の貴重品ケースなどのダイヤル錠に打ってつけとなる。
本発明のダイヤル錠方法は、構造が頗る簡単にして操作性が良好で、且つ小物のハンドバック等のかばん類,袋物などにも適用可能で、しかも十分なる防犯機能,信頼性を備えるなど優れた効果を発揮する。
以下、本発明に係るダイヤル錠を図面に従い詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図4は本ダイヤル錠の一形態で、引き戸に適用するものである。図1は錠本体及び受部材を前方から見た斜視図、図2は錠本体1の分解斜視図、図3はダイヤル錠を引き戸用戸板に取り付けたときの縦断面図、図4は図3のダイヤル錠の施錠時の縦断面図を示す。
錠本体1は略長方形状の表板2の一端縁に枢軸3を介して蝶番状に連なるように取付板4が回転自在に設けられる。符号4aは該取付板に開設された取付孔である。また、符号5は該表板の表面を被い得る大きさの略長方形状に形成され、その基部を枢軸3の両端部に枢着することにより開閉可能に設けられたカバー部材を示す。該表板2には適宜間隔を離して一対の円形の透孔6a,6bが並設される。符号7a,7bは該表板2の表面の透孔6a,6bの中心より真直上方位置に表示された直線状の目盛合わせ用指針を示す。
また、符号8a,8bは円盤形のダイヤル、符号9a,9bは外端部に該ダイヤルが設けられたダイヤル軸で、該ダイヤルの外周縁部に360度を60等分した目盛及び数字が表記されると共に、ダイヤル軸9a,9bの内端部外周にスプライン状に多数の係合溝10a,10bが形成される。符号11はダイヤル8a,8bの前面の偏心位置に形成された半球状の窪みで、該窪みに指の先端を係合させることにより該ダイヤルを回転操作し易いようにしている。また、符号12a,12bはシート状のフエルトを環状に切断してなる摩擦抵抗体(摩擦抵抗手段)で、図3に示されるように該摩擦抵抗体12a,12bにダイヤル軸9a,9bを串通すると共に該ダイヤル軸9a,9bを互いに隣り合わせで平行なるようにして表板2の透孔6a,6bに貫挿することにより、表板2とダイヤル8a,8bの間に該摩擦抵抗体12a,12bが挟着され、該摩擦抵抗体によって該ダイヤル8a,8bを回転させる際に適度な摩擦抵抗が与えられる構造としている。
符号14a,14bは各ダイヤル軸9a,9bの内端部に固着される外形が非円形状又は非同心状の係合片を示す。ここでの係合片14a,14bは外形が長方形した横長の板状体に形成され、その中心部に取付用ボス15a,15bが一体に形成されている。該取付用ボス15a,15bは筒状に形成され、その内周面に前記係合溝10a,10bと噛合し得るよう同ピッチで多数の係合溝16a,16bが形成されている。そして、該取付用ボス15a,15b中にダイヤル軸9a,9bの内端部を嵌合し該係合溝同士10a,16a(或いは10b,16b)を噛合させると共に、取付螺子17a,17bを該ダイヤル軸9a,9bの内端面に螺入締結することにより該係合片14a,14bを該表板2の裏側から該ダイヤル軸9a,9bの内端部に固着させる。なお、符号13a,13bは前記摩擦抵抗体12a,12bと同じくシート状のフエルトを環状に切断してなる摩擦抵抗体(摩擦抵抗手段)で、該摩擦抵抗体は図3のごとく表板2の裏面と取付用ボス15a,15bとの間に挟着される。摩擦抵抗体12a,12b,13a,13bはフェルトの他、不織布やプラスチックフォーム,ラバーフォーム等の発泡体シート状片を圧縮状態にし反発力を保有させて用いることもできる。
一方、受部材20は前記錠本体1に対する受け手側部材で、係合片14a,14bと相対する位置に該係合片を通過させ得る横長の係合孔21a,21bが貫通状に形成される。本実施形態の受部材20は図1に示されるように前記表板2と略同様の長方形板状体で、金属製板体をプレス加工により外周縁部を残して中央に前方膨部20aが形成される皿状体とし、該前方膨部20aに前記係合片14a,14bと相対する位置に同形の長方形の係合孔21a,21bが貫通状に形成される。本ダイヤル錠が被施錠物に取着された状態下、前方膨部20aの係合孔21a,21bに前記係合片14a,14bを嵌め合わせるようにして挿通させると、該係合片は前方膨部20aの膨らみで形成された皿状体の空所S内に入り込む(図3の鎖線)。図3中、符号251は戸板25に設けた取付螺子17a,17b用の凹部を示す。ここでの係合孔21a,21bは係合片14a,14bより若干大きめの相似形の長方形の通孔とする。なお、該受部材20の周縁部には取付孔22が形成される。
しかしてこのダイヤル錠は、引き戸に取り付ける場合、図3に示すように、柱23の内側に取付板4をその取付孔4aに螺子24を貫挿することにより固着すると共に、引き戸用戸板25の前面に受部材20を螺子26をその取付孔22に貫挿することにより固着する。そして、戸板25を閉めた状態にて図3の鎖線に示すように係合片14a,14bを係合孔21a,21bに貫通させ、しかる後、ダイヤル8a,8bを所定角度だけ回転する(図4)。これにより該係合片14a,14bが該受部材20内に係合し施錠される。横長の係合片14a,14bの少なくとも両端部が係合孔周りの受部材20に係る空所側内壁20a,20bに係合して(図8参照)、係合片14a,14bの係合孔21a,21bからの抜脱を不能にする。なお、カバー部材5は施錠時に閉じることにより錠本体1の前面を保護する。
一方、開錠するに際しては、カバー部材5を開けてダイヤル8a,8bを回転操作し、目盛合わせ用指針7a,7bに該各ダイヤルの予め決められた数字,目盛(以下、設定符号という)を合わせることにより、係合片14a,14bを所定の回転状態とすることで該各係合片14a,14bを係合孔21a,21bに合致位置させる。係合孔21a,21bが係合片14a,14bよりも若干大きめの相似形にあるため、図3の鎖線に示すごとく係合片14a,14bの長端14a,14bを係合孔21a,21bの長孔端21a,21bの部位に一致させることで各係合片14a,14bが係合孔21a,21bから抜き出され、錠本体1を受部材20から離脱させることができ戸板25を開けられるようになる。なお、ダイヤル8a,8bは隣同士に並設され適宜間隔に設定できるので、回転操作し易く、特許文献2,3のようにダイヤルが接近することによる操作性の不具合は解消されると共に、摩擦抵抗体12a,12b,13a,13bの作用によりその妄動回転が防がれ、無用に回転してしまうことがなく設定符号に合わせ易い。また、ダイヤル操作によりカチカチといったような操作音がしないので、従来のように音変化を検知して錠破りが行われるような虞れもない。
またこのダイヤル錠では、2つのダイヤル8a,8bを回転操作し、係合片14a,14bを共に係合孔21a,21bと合致させないと、錠本体1を受部材20とを離脱させることができないので、ダイヤル8a,8bに60等分した目盛が表記されている場合、60×60=3600通りの数字が設定でき、この設定符号を予め知らない限り容易に開錠することはできない。
また上記設定符号は、ダイヤル軸9a,9bと係合片14a,14bとの嵌合位置関係、即ち、相対的回転角度に依るので、取付螺子17a,17bを外し、ダイヤル軸9a,9bを取付用ボス15a,15b中から一旦抜いて、係合溝16a,16bと係合溝10a,10bとが新たな係合位置関係にて噛合するように貫挿し直すことにより、設定符号を簡単に変更することができる。このためこの変更によって防犯性能が高められ、錠としての信頼性が一層高いものとなる。なお、本実施形態では互いに噛合するスプライン状の係合溝を形成したが、ダイヤル軸9a,9bの内端部外周面を多角形状にし、取付用ボス15a,15bに該多角形状に合致する多角形状の透孔を形成することによっても、ダイヤル軸9a,9bと係合片14a,14bとの相対的回転角度を変更し得る。
このように本ダイヤル錠は、複数の係合片が係合孔に係合することにより施錠されることから、施錠状態では該係合部がすべて破壊されない限り、施錠状態が破られることがなく、簡単な構造であるにも拘わらず防犯性能,信頼性は高い。施錠時には錠本体1の取付螺子24は戸板24で塞がれ、また受部材20の取付螺子26は表板2で覆われ塞がれてしまうので(図4)、錠本体1,受部材20を取り外して侵入されることもない。図4で表板4を上方へもう少し張り出せば螺子26は完璧に覆われ万全となる。加えて、係合片14a,14bを横長の板状体とすると共にこの板状体中央をダイヤル軸9a,9bの回転軸にし且つ該係合片を通過させ得る略同形の横長の係合孔21a,21bを設けているので、施錠される係合孔21a,21bの両側に位置する受部材20の空所側裏面に係合片14a,14bが係止され、各係合片の両側部分でロックがかかるので確実に施錠がなされる。係合片14a,14bの片端部だけが係止されるといった片持ちにならないので施錠状態が頑丈にして盗人がこじ開けることが困難な構造になっている。本実施形態に示す係合片14a,14bは外形を長方形とし、係合孔21a,21bはこれと同形である長方形にしたが、係合片14a,14bと係合孔21a,21bとは、該係合片を回転することにより係合孔内に貫通し得る形状であれば、長方形でなくても多角形,切欠円形等としても、或いは円形状としてもダイヤル軸9a,9bに対して偏心状に設けるなど非同心状に固着しさえすれば、その他の形状とすることができる。
また、ステンレス鋼,焼入鋼,チタン合金,セラミックス等の硬質耐熱性材料により、上記表板2,係合片14a,14b,受部材20等を構成することにより、ドリル,ガスバーナー等を使用する破壊に対する備えは一層強固なものとなる。
また本実施形態では、一対のダイヤル,係合片を並設したものを説明したが、3つ以上のダイヤル,係合片を設けることにより、設定符号をさらに多数桁の複雑なものにできることから、設定符号を知らない限り開錠することは一層困難となり、シリンダー錠のようなピッキングの被害を受けるおそれもないことと相俟って、このダイヤル錠の信頼性,防犯性をさらに高めることができる。
(2)実施形態2
本実施形態は図5〜図9のごとくハンドバッグ等のかばん類に適用したダイヤル錠である。図5はダイヤル錠をハンドバッグに設けたときの斜視図、図6は錠本体及び受部材の断面図、図7は受部材の係合孔に前記錠本体の係合片を合わせ貫通させた状態の一部断面平面図、図8は図7の状態からダイヤル軸を回転することにより該係合片が該受部材内に係合し施錠される状態にした一部断面平面図、図9は図8のI-I線矢視図を示す。尚、図7,図8では取付用ボス,係合溝の図示を省略する。
本実施形態のダイヤル錠では、開閉自在に設けられたハンドバッグのカバー部30の前面に錠本体1を固着すると共に、カバン本体31の前面に受部材20を固着する。該受部材の係合孔21a,21b内に錠本体1の前記係合片14a,14bを貫通し、該受部材20に係る空所S側の裏面で係合孔21の周りに係合,係止させるようにして施錠する一方、ダイヤル8a,8bを所定の設定符号に回転操作することで開錠し得るダイヤル錠になっている。
係合片14a,14bを横長の小判形にする一方、係合孔21a,21bは該係合片が通過し得る横幅を有する横長孔として(図7)、ダイヤル操作で係合片14a,14bを係合孔21a,21bに合わせないと該係合片が該係合孔を貫通できなくしている。図6の係合片14bはその長端14bが係合孔の長孔端21bの部位に一致するが、係合片14aは係合孔21aと不一致状態にある。ダイヤル操作で図7の状態にして係合片14aが係合孔21aを通過する。係合孔21a,21bを貫通した係合片14a,14bはダイヤル軸9a,9bを数度ほど回転するだけで該係合片の両端部が受部材20内に係合し施錠される(図8)。係合孔21a,21b回りの膨部裏面20a,20bに係合片14a,14bが係止されて、該係合片を係合孔21a,21bから抜脱不能にする。ここでの受部材20は厚肉の金属加工品で、受部材20の底面から突設するピン201をかばん本体31に設けた取付孔311に通し、リベット止め202することによって、該受部材がかばん本体31に固着される。受部材20の係合孔21a,21bの周りには中空楕円盤状の膨部20a,20bが形成され、かばん本体31に取り付けられた受部材20には係合孔21a,21bを貫通した係合片14a,14bがダイアル軸9a,9bの回転操作によって回転できる空所Sが形成される。取付け螺子17a,17bは皿螺子にして、ダイヤル軸9a,9bの内端部に係合片14a,14bを固着したとき該係合片の底面と略面一にする。他の構成は実施形態1と同様でその説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。ダイヤル8a,8bの表面中央にブランド,ロゴマーク等が適宜表示される。
このように、本ダイヤル錠は、簡単な構成であることからコンパクト化が図れ、低コスト製造することができ、加えて信頼性も高いのでハンドバッグ,カバン,宝石箱等の身の回り品の錠として使用するのに極めて適している。ハンドバッグなどではダイヤル錠が小型化するが、小型化しても操作性に優れる。施錠状態下において、係合孔21a,21bの両側の膨部裏面20a,20bに係合片14a,14bが係止されてロックがかかるので、小型化しても頑強にして錠として十分機能を発揮する。他の効果は実施形態1と同様でその説明を省く。
(3)実施形態3
本実施形態は図10〜図12のごとくハンドバッグ等のかばん類に適用したダイヤル錠である。図10は受部材の係合孔に前記錠本体1の係合片を貫通させた後、ダイヤル軸を所定角度回転することにより該係合片が該受部材内に係合し施錠される状態とした一部断面平面図、図11は図10のII-II線矢視図、図12は係止機構の拡大図を示す。
本実施形態は、外端部にダイヤル8aが固設されたダイヤル軸9aを一つ設けて、該ダイヤル軸9aを表板2に貫挿すると共に該ダイヤル軸の内端部に小判形状した係合片14aを固着した錠本体1とする。そして、該係合片と相対する位置に該係合片を通過させ得る係合孔21aが貫通状に形成された受部材20を備え、該受部材の係合孔21aに前記係合片14aを貫通させダイヤル軸9aを所定角度(数度で足りる)だけ回転することにより係合片14aが受部材20内に係合し施錠されるようにする。係合孔21aは係合片14aの平面視大きさよりも若干大きめで該係合片と略同形にして、開錠する際のダイヤル操作の位置合わせに高い精度が要求されるよう設定する。さらに、前記係合片14a上に弾発性を有し上方へ弾性付勢される弾性突起体8を設け、前記受部材20に弾性突起体8の頭部83が挿入され得る凹所942と錠本体1から該凹所へ貫通する小孔9とを具備する係止手段を設けて、錠本体1側から細径のピンで該小孔を通って凹所942内に在る弾性突起体8を弾性付勢に抗して下降させ得るダイヤル錠とする。
本実施形態のダイヤル錠は実施形態2で外端部にダイヤル8aが固設されたダイヤル軸9aを一個設けたダイヤル錠とし、該ダイヤル軸を表板2に貫挿すると共に、該ダイヤル軸の内端部に外形が非円形状又は非同心状に係合片14aを固着したものとする一方、受部材20も該係合片と相対する位置に該係合片を通過させ得る係合孔21aが一個貫通状に形成されたものとする。一個のダイヤル付きダイヤル軸9a,係合片14aに一個の係合孔21aが形成された錠本体1,受部材20とする。一個の係合片14aと一個の係合孔21aしか形成されてない錠本体1と受部材20であるため、実施形態1,2のように、ダイヤル8a,8bに60等分した目盛を表記して60×60=3600通りの数字設定することができない。本実施形態では錠本体1と受部材20を備え、さらに係止手段(係止装置)を設けて防犯機能が高められたダイヤル錠としている。
係止手段は図12のごとく窪み部14aと弾性突起体8と凹所942と小孔9とを具備する。窪み部14aは係合片14aの上面で、弾性突起体8が設けられる部位を一段下げて形成される。該窪み部の底に弾性突起体8の底片81が固着される。弾性突起体8は底片81の中央に立棒82が立設し、該立棒の頂部に半球状に丸くした椀状体の頭部83が一体化する。立棒82は下部の軸棒82aに上部の円筒体82bが上下動可能に嵌挿してなり、該円筒体が最大高さを超えて軸部から外れないようその下端にストッパを形成する。立棒82には底片81と前記頭部83の間に圧縮コイルバネ84を介装し、係合片14a上に設けた窪み部14aに底片81を固着することによって頭部83がコイルバネ84の弾発性によって係合片14aよりも上方へ弾性付勢されるようにしている。
凹所942は受部材20の膨部の空所側内上壁に設けられる前記頭部83に対応する大きさの凹みである。凹所942は例えば図10のごとく係合孔21aに錠本体1の係合片14aを貫通させダイヤル軸9aを約90度回転させた位置に設けたダイヤル孔91の下方に該ダイヤル孔と孔芯を一致させて空所側(下方側)に開口がある拡径穴とする。係合孔21aに錠本体1の係合片14aを貫通させた後、弾性突起体8の頭部83を押し沈めてダイヤル軸9aを回していくと凹所942の所で頭部83がコイルバネ84の弾性付勢力に押されて上動し該凹所内に挿入する。この挿入によって係合片14aはその回転が規制され受部材20が係止状態となる。凹所942への弾性突起体8の挿入による係止は、錠本体1から該凹所へ貫通する小孔9を利用して解除できる。該小孔は錠本体1の前記ダイヤル孔91と、表板2に設けた表板孔92と、カバー部30に設けたカバー部孔93と、受部材20の上面から凹所942へ貫通する小孔部941とが縦通し得る細い孔の連なりで形成されたものである。ダイヤル軸9aを回していき、ダイヤル孔91が図10の位置に配されたときに、ダイヤル8a,ダイヤル軸9aはロックがかかって動かなくなる。しかるに、錠本体1側から細径のピンで該小孔を通って凹所942内に在る弾性突起体8を弾性付勢に抗して下降させることで、前記受部材20に係止状態にある係合片14aを解除し、ダイヤル軸9aを回動可能にして開錠できるようになっている。
他の構成は実施形態2と同様でその説明を省く。実施形態2と同一符号は同一又は相当部分を示す。
このように構成したダイヤル錠は、ダイヤル8a,係合片14a及び係合孔21aが各一つだけになるので、ハンドバッグ等のかばん類や宝石箱等の小物類でも場所をとらず、装飾効果を一段と高めた見栄えあるダイヤル錠とすることができる。係合片14a,係合片14aが一つになることによる施錠としての機能低下は弾性突起体8と凹所942と小孔9を設けることによって改善される。錠本体1と受部材20によるダイヤル錠の作用,効果は実施形態2の係合片付きダイヤル軸9aと係合孔21aの一組分にとどまるが、ダイヤル軸9aを回し凹所942に弾性突起体8の頭部挿入することによって、係止ロックをかけ施錠機能を十分発揮できる。開錠する際は、錠本体1側から細径のピン先でダイヤル孔91,表板孔92,カバー部孔93,小孔部941を通って弾性突起体8の頭部を突き、該頭部を弾性付勢力に抗して沈めて、次いで、ダイヤル軸9aを係合片14aが係合孔21aに一致する所に回した後、カバー部30を持ち上げる。かくしてカバー部30がかばん本体31から解除でき開錠される。
尚、本発明においては、前記実施形態,実施例に示すものに限ることなく、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。錠本体1,表板2,ダイヤル8a,8b,ダイヤル軸9a,9b,係合片14a,14b,係合孔21a,21b等の形状,大きさ,個数,材質等は用途等に合わせて適宜選択できる。例えば、実施形態1,2では2つのダイヤル、2つの切欠円板を並設したものを説明したが、3つ以上の係合片14,係合孔21を並設したり、設定符号をさらに多数桁の複雑なものにできる。そうすると、設定符号を知らない限り開錠することは一層困難となりダイヤル錠の信頼性,防犯性はさらに高められる。
実施形態1に示すダイヤル錠の錠本体及び受部材の斜視図である。 図1に示すダイヤル錠の錠本体の分解斜視図である。 図1に示すダイヤル錠を引き戸に取り付けたときの縦断面図である。 図3のダイヤル錠の施錠時の縦断面図である。 実施形態2に示すダイヤル錠で、該ダイヤル錠をハンドバッグに設けたときの斜視図である。 錠本体及び受部材の断面図である。 受部材の係合孔に前記錠本体の係合片を合わせ貫通させた状態の一部断面平面図である。 図7の状態から係合片が受部材内に係合し施錠される状態にした一部断面平面図である。 図8のI-I線矢視図である。 実施形態3のダイヤル錠で、係合孔に係合片を貫通後、ダイヤル軸を回転し施錠状態とした一部断面平面である。 は図10のII-II線矢視図である。 係止機構の拡大図である。
符号の説明
1 錠本体
2 表板
8a,8b ダイヤル
9a,9b ダイヤル軸
12a,12b,13a,13b 摩擦抵抗体(摩擦抵抗手段)
14a,14b 係合片
20 受部材
21a,21b 係合孔
8 弾性突起体
83 頭部
9 小孔
942 凹所

Claims (1)

  1. 外端部にダイヤルが固設されたダイヤル軸を設けて、該ダイヤル軸を表板に貫挿すると共に該ダイヤル軸の内端部に外形が非円形状又は非同心状に係合片を固着してなる錠本体と、該係合片と相対する位置に該係合片を通過させ得る係合孔が貫通状に形成された受部材と、を具備し、該受部材の係合孔に前記錠本体の係合片を貫通させ前記ダイヤル軸を回転することにより該係合片が該受部材内に係合し施錠されるようにし、また前記係合片上に弾発性を有し上方へ弾性付勢される弾性突起体を設けると共に前記受部材に前記弾性突起体の頭部が挿入され得る凹所と前記錠本体から該凹所へ貫通する小孔とを具備する係止手段を設けて、錠本体側から細径のピンで該小孔を通って凹所内に在る弾性突起体を弾性付勢に抗して下降させ得るようにしたことを特徴とするダイヤル錠。
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