JP3712693B2 - 医療用マニピュレータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用マニピュレータに係り、特にマスタ部とスレーブ部とを有しマスタスレーブ方式で動作する医療用マニピュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、胆のう摘出手術などの腹腔鏡下手術においては、患者の腹部に小さな穴をあけ、その部分にトラカールを取り付け、トラカールを介して内視鏡や鉗子を挿入し、術者が内視鏡の映像をモニタで見ながら手術を行っている。このような手術方法は開腹を必要としないため患者への負担が少なく術後の回復や退院までの日数が大幅に低減される。このように腹腔鏡下手術は患者への負担が少ないという点で優れ適用分野の拡大が期待されるものである。しかしその反面、術者にとっては直接患部が見られない、開閉グリッパしか設けられていない操作性に乏しい鉗子を使用し、必ずしも手術に適したものとはいえず、術者の熟練した技術を要するものであった。
【0003】
そこで鉗子先端に姿勢の自由度を与え、複数の自由度を持つ操作部(マスタ部)を術者が操作し、複数の自由度を持つ先端の作業部(スレーブ部)が操作部の動きに合わせて動作するマスタスレーブ方式によって腹腔鏡下手術を行うことが研究され導入されつつある。
【0004】
マスタスレーブ方式の医療用マニピュレータのひとつとして、マスタ部とスレーブ部とが離れたところに位置する遠隔操作型がある。スレーブアームを患者の側に複数配し、患者から離れた所にあるマスタ部を操作し、医療用マニピュレータ先端の位置と姿勢を制御するものである。このシステムは複雑で大掛かりなものとなりコストやメンテナンス性が必ずしもよくない。また患者の側に術者が直接近づいて手術を行うことができず、緊急時の対処ができないため安全性に対し問題がある。
【0005】
もうひとつ、マスタスレーブ方式の医療用マニピュレータ構造として、マスタ部とスレーブ部が一部の共通軸を持ち簡素なシステムで導入しやすい一体型の医療用マスタスレーブマニピュレータがある。先に挙げた遠隔操作型のマニピュレータに対して、この一体型マニピュレータは術者が患者の側に立ち、直接マニピュレータを操作するので、安全性の問題が大幅に軽減する。
【0006】
これらマスタスレーブ方式の医療用マニピュレータは、従来の鉗子が操作性の劣る原因が鉗子の先端部に自由度が少ないことにあると判断し開発されてきたものである。自由度が増えたことで従来では不可能であった方向からも作業を行うことが可能となった。しかしながら、自由度が多くなったとしてもこれらの自由度を適切に操作制御できない場合も生じ、必ずしも操作性が向上したとは言えなかった。操作性が良くないと手術の正確さや安全性に関して問題が残る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
マスタスレーブ方式によって医療用マニピュレータを操作するにあたり、術者の思い通りにスレーブを操作できない場合が生じることがある。例えば、術者が意図しない動きをマニピュレータの先端部が動作してしまう場合等であり、このようなことは、術者が作業に不必要なマスタ部の操作軸を無意識に動作させていた場合に生じる。
【0008】
通常のマスタスレーブ方式では、マスタ部の座標系とスレーブ部の座標系との間に一定の関係が維持されており、マスタ部の姿勢とスレーブ部の姿勢との間には対応する自由度の間で常に一定の関係が一義的に定められている。これに対し、マスタ部の位置とスレーブ部の位置に関しては、マスタ部の位置とは独立にスレーブ部の位置を任意に停止したり移動したりすることが行われ、スレーブ部の姿勢のみをマスタスレーブ方式によって操作することで操作性を向上させることが行われてきた。しかしながら、マスタ部とスレーブ部との位置情報を切り離すという従来のこの方法では、マスタ部とスレーブ部が離れて位置する遠隔操作型には有効であるが、一体型のマスタスレーブ方式ではマスタ部とスレーブ部の位置関係が拘束されているため有効ではない。また、一体型と遠隔操作型の両者において、姿勢軸どうしの干渉に関する問題は解決されていない。
【0009】
マスタ部とスレーブ部との姿勢を規定する軸において違った動作比を与え、操作性を向上させようとする試みがある。これは操作する手が無理な姿勢とならないように、あらかじめマスタ部の動作比に対してスレーブ部の動作比を大きくしておくもの、また反対に、マニピュレータに微細な動作を行わせるために、マスタ部の動作に対しスレーブ部の動作比を小さくしておくものとがある。前者においては動作比が大きい軸が不必要な動作軸である場合にかえって操作性を悪化させてしまう。後者に対しては、ある範囲内の動作においては相対的に不必要な動作軸の影響が減少するが、任意の姿勢での作業を実現するために必要以上にマスタ部を動作させなければならないといった問題を生じる。
【0010】
また、スレーブ部に冗長軸を設けることで隣接するマニピュレータ同士が干渉しないように制御する方法や、スレーブ部の冗長軸を一時的に固定する方法があるが、これはマニピュレータ全体の姿勢を制御するものであって、先端の姿勢に対して行われるものではない。
【0011】
こういった問題に対し、スレーブ部の姿勢の自由度を拘束する方法が提案されている。作業空間に対して拘束条件を決定し、マスタスレーブ動作中に拘束指令を与え、予め決めたその拘束条件に従ってスレーブを動作させるものである。この方法では、作業対象とマスタスレーブマニピュレータがある座標系に固定されている必要があり、その座標系をもとに拘束条件を決定しているため、確かに、脳外科手術のように術部を完全に固定する作業においては有効ではあるが、腹部のように固定できない術部を作業対象とした場合には有効ではない。また、一体型の医療用マニピュレータのようなスレーブ部とマスタ部との位置関係が固定されている器具を使用し、その器具の動作が術部の座標系に対して任意に変化する場合、拘束条件を術部に対して設定するのは現実的ではない。また予め拘束条件を設定するための手続きに時間がかかり、手術の迅速性が失われるといった問題があった。さらには、いったん拘束条件を決めた後、術部が動いてしまったことなどにより、拘束条件の変更が必要な場合にも同じ問題が生じていた。
【0012】
任意の方向からの作業を実現する可能性を持ったマスタスレーブ方式の医療用マニピュレータであっても、それを操作する術者の手の姿勢が任意の方向をとるように動作させることは人間工学的に不可能である。特に、一体型の医療用マニピュレータにおいては、マスタ部のジンバル中心を空間のある位置に固定したまま姿勢自由度を操作することは困難であり、スレーブ部の位置に対し意図しない動きを誘発することとなる。この解決手段として、制御軸ごとに動作レバーやボタンを割り当てたコントローラで操作する手段がある。この方法では複数の軸を同時に操作することが困難であり、また、マスタ部とスレーブ部との姿勢関係が著しく異なるため、直感的に操作できず操作性が悪いといった問題が生じていた。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記に述べた従来技術の有する問題を解消し、マスタスレーブ方式の医療マニピュレータの操作中に、特定したスレーブ部の特定自由度を所定拘束条件の下に制御的に拘束とその解除を行い、スレーブ部の操作可能な自由度数を変化させるとともに、その間にマスタ部の自由度を拘束せずにおき、マスタ部とスレーブ部との姿勢関係が一致しない状況を一時的に作り出すことで、操作性が向上した医療用マニピュレータを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の医療用マニピュレータは、複数の自由度で姿勢が制御され作業を行うためのスレーブ部と、前記スレーブ部の前記姿勢を操作指令するマスタ部と、前記マスタ部と前記スレーブ部とを一体的に接続する連結部と、前記スレーブ部の前記複数の自由度の中の特定した特定自由度の動作に対し所定拘束条件に従って拘束及びその解除を指令する拘束・解除司令部と、を有し、前記拘束・解除司令部の解除の指令によりマスタスレーブ動作に復帰する、マスタスレーブ方式の医療用マニピュレータであって、前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間に前記マスタ部の姿勢と前記スレーブ部の姿勢との間に生じる姿勢差を検出する姿勢差検出手段と、前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間に前記姿勢差検出手段で検出した姿勢差に基づき前記マスタ部の姿勢と前記スレーブ部の姿勢とが所定の姿勢関係を有するように前記スレーブ部の姿勢を調整し、前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が解除されると前記マスタ部と前記スレーブ部の姿勢差が解消されるように前記スレーブ部の姿勢を調整する姿勢調整部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、マスタスレーブ方式で動作する医療用マニピュレータであって、複数の自由度で作業を行うスレーブ部と、前記スレーブ部を操作指令するマスタ部と、前記スレーブ部の前記複数の自由度の中の特定した特定自由度の動作に対し所定拘束条件に従って拘束及びその解除を指令する拘束・解除司令部と、前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間に前記マスタ部の姿勢と前記スレーブ部の姿勢との間に生じる姿勢差を検出する姿勢差検出手段と、前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間に前記姿勢差検出手段で検出した姿勢差に基づき前記マスタ部の姿勢と前記スレーブ部の姿勢とが所定の姿勢関係を有するように前記スレーブ部の姿勢を調整し、前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が解除されると前記マスタ部と前記スレーブ部の姿勢差が解消されるように前記スレーブ部の姿勢を調整する姿勢調整部と、を備え、前記所定拘束条件は、前記拘束・解除司令部が拘束を指令する時点での前記スレーブ部の前記特定自由度の姿勢が所定の範囲にある場合に、マスタ部とスレーブ部の動作の比を1:γ(ただしγの値は1より小さい)として部分的に動作を可能にする非完全拘束条件であることを特徴とする。
【0017】
また、前記拘束・解除司令部の指令に基づいて前記特定自由度が拘束されている時間に渡って、前記特定自由度に対応する前記マスタ部の自由度の動作は継続することを特徴とする。
【0018】
また、前記特定自由度と前記所定拘束条件を表示する拘束状態表示部を備えることを特徴とする。
【0019】
また、前記拘束・解除司令部は、複数の前記特定自由度の指令を可能であり、特定する複数の前記特定自由度を段階的または同時に指令可能であることを特徴とする。
【0020】
また、前記特定自由度の拘束開始から拘束解除までの手順を術者に教示する教示手段を備えることを特徴とする。
【0021】
また、前記拘束・解除司令部は、まず拘束する前記特定自由度を選択し、その後に選択された前記特定自由度の拘束と解除を指定可能であることを特徴とする。
【0022】
本発明において、拘束・解除司令部によりスレーブ部の特定自由度の動作を所定拘束条件に従って拘束及びその解除を指令し、姿勢差検出手段により特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間にマスタ部の姿勢とスレーブ部の姿勢との間に生じる姿勢差を検出し、特定自由度の拘束が解除されると姿勢調整部によりマスタ部の姿勢とスレーブ部の姿勢との間に所定の姿勢関係を有するようにスレーブ部の姿勢を調整する。
【0023】
本発明によれば、マスタ部の意図しない動きによってスレーブ部が意図しない動作をしてしまうことを防止でき、また、特定自由度の拘束解除後にマスタ部とスレーブ部との間に生じる姿勢差を補完することを簡易に行うことができるので術者は次の作業へスムーズに移行でき、作業の迅速性を向上させ、安全性の高い医療用マニピュレータを提供することができる。
【0024】
また、特定自由度が拘束されている時間に渡って、特定自由度に対応するマスタ部の自由度の動作を継続でき、実作業を行うスレーブ部の特定自由度に対してのみ拘束するのであって実際に手が動作させるマスタ部の対応する自由度を拘束しないことで、手技を無理なく行うことができるとともに他の軸への悪影響を無くすることができる。また、スレーブ部の特定自由度に対応するマスタ部の自由度を術者が任意の姿勢に動作させることで、手技の行いやすい姿勢にして作業を続けることができる。
【0025】
また、拘束条件を部分的に動作を可能にする非完全拘束条件とすることにより、定められた所定の範囲で動作することを許されるので、拘束動作中でも、許容動作範囲でスレーブ部の姿勢を微調整することができ、術部が動いてしまうためにスレーブ部とマスタ部との間で相対姿勢関係が多少くずれた場合においても、あるいは医療用マニピュレータをベース等に固定せずに使用する場合においても、拘束条件を新たに修正せずとも所望の動作を実現することができる。
【0026】
【発明の実施形態】
以下に図面を参照して、本発明の医療用マニピュレータの実施の形態について説明する。ここでは、一体型の医療用マニピュレータを例にとって説明する。なお、本願発明は、一体型の医療用マニピュレータに限らず、分離型の医療用マニピュレータに対しても適用できるのはいうまでもない。
【0027】
図1及び図2に示すように、マスタスレーブ方式で動作する一体型の医療用マニピュレータ1は、主に機械的動作を行うマニピュレータ本体部1aと、マニピュレータ本体部1aに対し種々の駆動制御を行う制御部1bとから構成されている。
【0028】
マニピュレータ本体部1aには、操作者(術者)20が操作を指令するマスタ部2と、マスタ部2の動きにしがって複数の自由度で作業を行う作業部として機能するスレーブ部3と、マスタ部2とスレーブ部3とを一体的に接続する連結部4と、マスタ部2の姿勢を検出する角度検出器11と、スレーブ部3の姿勢を検出する角度検出器12と、スレーブ部3を駆動するモータ13が設けられている。
【0029】
制御部1bには、マニピュレータ本体部1aを駆動制御するために種々の制御演算を行う制御演算部21と、術者20がスレーブ部3の複数の自由度の中から特定した特定自由度の動作を所定拘束条件に従って拘束及びその解除を指令する拘束・解除司令部22と、制御演算部21における演算結果に基づいてモータ13を駆動するためのモータ駆動回路等からなる駆動部23とが設けられている。拘束・解除司令部22による指令はスイッチによって行うことも可能であり、その指令をフットスイッチにより行う場合には手技の妨げにならないようにできる。
【0030】
また、医療用マニピュレータ1には、拘束・解除司令部22の指令によって特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間にマスタ部2の姿勢とスレーブ部3の姿勢との間に生じる姿勢差を検出する姿勢差検出手段6と、姿勢差検出手段6で検出した姿勢差に基づき、マスタ部2の姿勢とスレーブ部3の姿勢とが所定の姿勢関係を有するようにスレーブ部3の姿勢を調整する姿勢調整部8とが設けられている。ここで、マスタ部2の姿勢とスレーブ部3の姿勢とが所定の姿勢関係を有するとは、マスタ部2の姿勢とスレーブ部3の姿勢とは予め定めた既知の関係になることをいう。
【0031】
姿勢差検出手段6は、角度検出器11と角度検出器12と制御演算部21の一部とから構成されている。姿勢調整部8は、制御演算部21の一部と駆動部23とモータ13とから構成されている。
【0032】
拘束・解除司令部22の指令に基づいて特定自由度が指定されると、制御部1bはその特定自由度に対応するスレーブ部3の動作を拘束するが、この一方、スレーブ部3の特定自由度に対応するマスタ部2の自由度の動作は、拘束されることなく継続される。このため、スレーブ部3の特定自由度とこれに対応するマスタ部2の自由度との間には、特定自由度が拘束されている間に姿勢差が生じる。そして、拘束・解除司令部22の指令によって特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間にマスタ部2の姿勢とスレーブ部3の姿勢との間には対応関係が失われる。これに対し、次のようにして、生じた姿勢差の回復が図られる。
【0033】
特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間のマスタ部2とスレーブ部3の各々の姿勢情報を角度検出器11と角度検出器12とによって検出し、検出された姿勢情報より制御演算部21においてマスタ部2とスレーブ部3の姿勢差を演算する。制御演算部21において演算されたマスタ部2とスレーブ部3の姿勢差の情報に基づき、拘束した期間に生じたマスタ部2とスレーブ部3とにおける姿勢差を補完するために必要な駆動情報を制御演算部21において演算する。この駆動情報に基づき、姿勢調整部8における駆動部23及びモータ13によってスレーブ部3が、マスタ部2とスレーブ部3との間に一定の姿勢関係が回復されるように、駆動される。
【0034】
特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間における特定自由度を拘束する拘束条件は、その特定自由度に対応する動作が完全に禁止されるようにした完全拘束条件であってもよく、あるいは後述するように、部分的に特定自由度の動作を可能にする非完全拘束条件であってもよい。拘束条件を部分的に動作を可能にする非完全拘束条件とすることにより、定められた所定の範囲で動作することを許されるので、拘束動作中でも、許容動作範囲でスレーブ部の姿勢を微調整することができる。また、術部が動いてしまうためにスレーブ部3とマスタ部2との間で相対姿勢関係が多少くずれた場合においても、あるいは医療用マニピュレータ1をベース等に固定せずに使用する場合においても、拘束条件を新たに修正せずとも所望の動作を実現することができる。
【0035】
また、図2に示すように、医療用マニピュレータ1はどの自由度が特定自由度であるかと、その特定自由度を拘束する拘束条件の内容を表示する拘束状態表示部30を備えている。これによって、術者20は、スレーブ部3の作業部のどの軸がどのように拘束されているかについて、確実に認識することができる。拘束状態表示部30によって、完全拘束状態と非完全拘束状態との区別、及びそれらの拘束状態と非拘束状態との区別を術者20に呈示することも可能である。また、拘束状態を腹腔鏡映像に表示させることや術者の視界にあるライトで知らせることで動作する自由度の認識誤りによる誤操作を防ぐこともできる。
【0036】
また、拘束・解除司令部22は、拘束対象である複数の特定自由度を指定することも可能である。この場合、特定する複数の特定自由度を段階的に加えるようにしてもよく、あるいは拘束する複数の特定自由度を同時に指定するようにしてもよい。これによって、術者20のより高い操作性を確保することが可能になる。
【0037】
また、特定自由度の拘束開始から拘束解除までの手順を術者20に教示する教示手段を備えるようにしてもよい。この教示手段による教示内容は、拘束状態表示部30に表示するようにすればよい。
【0038】
また、拘束・解除司令部22は、まず拘束する特定自由度を選択し、その後に選択された特定自由度の拘束と解除を指定することも可能である。この場合、特定自由度を選択することと、選択された特定自由度の拘束と解除の指定とが分離されているので、ある特定自由度を選択した状態で、その拘束と解除とを頻繁に繰り返すことができる。
【0039】
スレーブ部3は術部に処置を施すための自由度を有し、先端の姿勢が変化することができるとともに、先端に取り付けられたグリッパの開閉自由度をあわせ持ち、それぞれ術者20の指令に応じて動作する。スレーブ部3はワイヤやロッド、及びギヤなどで構成される動力伝達部を介してモータ13の動力が伝わることで動作する。
【0040】
医療用マニピュレータ1がマスタスレーブ方式で動作しているとき、通常、マスタ部2とスレーブ部3との姿勢関係は一致している。しかし、グリッパのように姿勢3軸以外に付加された軸に関しては、その軸に係る姿勢に合わせた機構がマスタ部2に設けられているとは限らない。この場合、例えば、スイッチ等によりグリッパの開閉動作を指令することもある。
【0041】
次に、マスタスレーブ動作中にスレーブ3の任意の軸を制御的に拘束する手続きを説明する。
【0042】
術者20がマスタスレーブ方式で医療用マニピュレータ1を操作している最中でもスレーブ部3の特定自由度を停止させることができる。術者20が拘束・解除司令部22を操作すると、制御演算部21へスレーブ部3の特定自由度の拘束の指令が伝わる。この指令は通常、フットスイッチで行われるが、手元のスイッチやキーボード入力、タッチパネル、音声入力等を用いたものであっても構わない。また、拘束状態表示部30によって、術者20にスレーブ部3の拘束制御状態を認識させることができる。拘束状態表示部30は、拘束状態であるか否か、どの自由度が拘束されているかといった拘束情報を、内視鏡モニタに表示したりライトを点灯したりすることで呈示することが可能である。制御演算部21は、拘束・解除司令部22から拘束指令が入力されるとこの入力時点におけるスレーブ部3の特定自由度の姿勢を基準とし、姿勢差検出手段6による検出結果に基づき、マスタ部2とスレーブ部3との間の姿勢差を演算する。姿勢調整部8は、拘束・解除司令部22によって拘束の解除の指令が発せられると、制御演算部21における演算結果に基づき、マスタ部2とスレーブ部3との間の姿勢差が解消されるようにスレーブ部3を駆動する。
【0043】
次に、拘束条件が、部分的に特定自由度の動作を可能にする非完全拘束条件である場合について、図10を参照して説明する。なお、以下に述べる非完全拘束条件の下でも、角度検出器11と角度検出器12とによって常にマスタ部2とスレーブ部3の姿勢を検出しているので、姿勢差検出手段6は完全拘束条件の下である場合と同様にマスタ部2とスレーブ部3との間の姿勢差を検出することができる。
【0044】
拘束指令部22から拘束指令が入力された時点での特定自由度の姿勢角度を基準姿勢θとし、拘束されるスレーブ部3の特定自由度の範囲を決定する特定自由度に対応するマスタ部2の両端の姿勢角度をαおよびβとし、基準姿勢に対して
α≦θ≦β 式(1)
となるように定める。マスタ部の姿勢角度θに対応するスレーブ部の姿勢角度をf(θ)と定義すれば、スレーブ部3は式(1)に対して
f(α)≦f(θ)≦f(β) 式(2)
と定められる。
【0045】
スレーブ部3の特定自由度の基準姿勢が式(2)を満たさない場合、すなわち姿勢角度f(θ)が姿勢角度f(α)より小さいかあるいは姿勢角度f(β)より大きい場合には、特定自由度をその限度の姿勢角度に完全拘束する。スレーブ部3の特定自由度の基準姿勢f(θ)が式(2)を満たす場合は、決められた条件のもとで特定自由度を拘束する制御指令を生成する。ここで、決められた条件とは、マスタ部2からの入力情報とスレーブ部3の姿勢を制御する出力情報との関係を与えるものであり、通常のマスタスレーブ動作においてはこの入力と出力の両者の比は1対1であるのに対し、式(1)を満たす非完全拘束領域下では両者の比を1:γとする。このγの値を1より小さくすることで、非完全拘束領域下でのスレーブ部3の動きに制限をかけ、術者20に対しても拘束感を出すことができる。さらにマスタ部2からの比較する入力信号にはフィルタ処理を施し、手ぶれなどにより発生する高い周波数入力をカットする。また同時に、姿勢角度θの変化分の大きさによって、その変化分がある値より大きいものは意味のある動きと解釈しカットせずに非完全拘束条件下で動作させる。拘束条件下での操作であるから術者20はその操作に慎重になっており、ある時間に渡って大きな振れ(変化分)を続けていたらそれは意味があると解釈すべきである。ただし、振れの往復回数が少ない場合は意図しないことがあるので、その場合は入力をカットしてスレーブ部3を動作させる。非完全拘束領域を決める姿勢角度αおよびβや値γを予め術者20によって任意に与えることができ、また、操作中も制御部1bに姿勢角度αおよびβや値γを入力することで作業状況に合わせて適宜変化させることできる。これらの値を導入することで、スレーブ部3は拘束・解除司令部22から拘束指令を発した後も式(1)を満たす範囲で動作することが許可され、作業対象が微動しても、マニピュレータの位置関係が変化しても、拘束条件設定に誤差があっても、その状況に応じて拘束条件を変更することなくスレーブ部3を所望な姿勢へ誘導することができる。
【0046】
また、基準姿勢θについては、はじめに決められた非拘束領域内での動きの入力情報を記憶して蓄え、その動きに統計処理を施しある傾向を見出すことができる。この結果が当初の基準姿勢と異なる場合には、当初の基準姿勢を統計処理で見い出された方向へずらすことで、ずらした場合の基準姿勢を新たな基準姿勢とする。このように基準姿勢を変化させることで自動的に拘束条件誤差を吸収し、より高度に操作性を向上させることができる。
【0047】
スレーブ部3の特定自由度の軸が制御的に拘束されている間、その特定自由度に対応するマスタ部2の自由度に係る姿勢を任意に動かしても、スレーブ部3の動作は影響されない。このため、マスタ部2の対応する自由度が意図せずに動いてもスレーブ部3が意図しない動作をすることが起こらなくなる。なお、意図せず動くということは、人間工学的にいえば、その軸が動くことにより生じる姿勢が、手のとる姿勢として安定しているからである。すなわち、スレーブ部3の軸を拘束したとき、その拘束に合わせてマスタ部2も同時に拘束し両者の姿勢を一致させようとすると、術者20は無理な動きを強いられることとなり、操作性が悪化することになる。スレーブ部3を拘束中であってもマスタ部2を拘束しない機能を備えることによって、術者20の手技を無理なく実現でき、より正確で安全な処置を可能にすることができる。
【0048】
また、図3に示すように、このマスタ部が非拘束であることを利用し、スレーブ部3を拘束する前に作業方向を決定した時点でこのままの姿勢から作業を続けることが困難と判断された場合、スレーブ部3の拘束後に、作業をしやすい姿勢までスレーブ部3の拘束される軸に対応するマスタ部2の軸を動作させることで、安定した処置を実現することができる。図3においてマスタ部2が示されており、マスタ部2の第1操作軸45はスレーブ部3の拘束される特定自由度に対応する自由度の軸である。術者20は、操作部41を把持しながら、操作部44を第1操作軸45の回りや第2操作軸42の回りに回転するように力を加え、スレーブ部3に操作指令を送る。図3の(a)は無理な姿勢を示し、図3の(b)は楽な姿勢を示す。
【0049】
また、スレーブ部3による目的の動作が終了すると、術者20が拘束・解除司令部22へ拘束の解除の指令を送ることにより、前述したように、制御演算部21における演算結果に基づき、マスタ部2とスレーブ部3との間の姿勢差が解消されるようにスレーブ部3が駆動され、再びマスタ部2とスレーブ部3との間の姿勢関係が一致している通常のマスタスレーブ方式で動作することが可能になる。
【0050】
次に、以下に上述の実施形態の種々の実施例について説明する。
【0051】
[実施例1]
ここでは、マスタスレーブ方式で動作する一体型の医療用マニピュレータ1を操作し、腹腔鏡下手術で難しいとされる縫合作業に、本発明を適用した例を述べる。縫合作業は、図4に示すようにグリッパ52に保持された糸53のついた彎曲針51を術部50に円弧軌道を描くように刺入・刺出することで達成される。この彎曲針51の刺入中において、刺入方向以外に誤って誘導すると、必要以上に術部の細胞組織を傷つけてしまうため、刺入方向はより正確であることが求められる。また、より正確に誘導することで彎曲針51に余計な外力が加わりにくくなり、誤った誘導を軽減する。
【0052】
マスタスレーブ方式の医療用マニピュレータ1を用いることで、任意の方向への縫合が可能となる。このことは彎曲針51を円弧軌道に沿って誘導するのに一見適しているようではあるが、実際はそうではない。この原因のひとつは、スレーブ部3を円軌道に沿って誘導しても彎曲針51が操作者の意図した通りに誘導できているとは限らないからである。なぜなら、刺入中に針に外力が加わることで、スレーブ部3の姿勢に対し彎曲針51の姿勢が変化してしまうからである。
【0053】
このようなとき、刺入中の彎曲針51の変動を認識し、その変化を修正しようとマニピュレータを操作すればよいと考えられる。その方法のひとつに、彎曲針51を持っている力覚を術者20に提示する方法がある。しかしこの方法を実現するためには作業部であるスレーブ部3に力覚センサを装着しなければならず、医療器具の洗浄・滅菌処理に対して適しているとは言えない。また力覚センサを使用して微細な針の回転や位置ずれを検出するのは困難である。さらに付け加えるならば、彎曲針51の先端は細胞組織の中を通過しているので、その際の位置を腹腔鏡の映像では確認することができず、視覚による修正も困難である。従って、縫合を行う医療用マニピュレータ1に要求されることは、刺入中に彎曲針51が変動しない強い把持力と、より簡易に彎曲針51を円弧軌道上に誘導する機能を備えていることである。前述した通り、任意の方向へマスタ部2を正確に円弧軌道で誘導することは、術者20が意図せず動かす動作軸が存在し困難である。
【0054】
そこで、図5に示すように彎曲針51をヨー軸56に対し直角に把持し、先端のロール軸57を使うことで円弧軌道誘導を直感的かつ容易にする。このとき、ヨー軸56を制御的に拘束することで彎曲針誘導に関係のない軸が意図せず動作してしまうことを防ぐことができる。
【0055】
なお、実際の作業で彎曲針51を直角に把持することは困難である。直角に把持できていない状態でヨー軸56を完全に拘束すると、ロール軸57だけの動作となり、本来の目的である彎曲針51を正確に円弧軌道で誘導することができない。そこで彎曲針51を完全には直角に把持できなくとも、その誤差を修正する動作が必要である。それはヨー軸56の動作を非完全拘束することによって可能になる。そこで、この非完全拘束の範囲を式(1)に示されるように、決める姿勢角度αおよびβを定めることで、その範囲ではヨー軸56の動作を許可し、彎曲針51を術部50に対して正確に誘導するようにする。手ぶれのような高い周波数の入力はカットされ、直角に把持できなかった姿勢を修正する比較的ゆっくりとした動作のみを伝えることを可能にする。
【0056】
ここで、仮に刺入中に通常のマスタ部2とスレーブ部3の間の姿勢関係が一致しているマスタスレーブ動作に戻りたい場合は、グリッパ52をいったん開いて彎曲針51を放し、術部50から少し離れたところでスレーブ部3の拘束を解除し、自動姿勢合わせ動作により復帰する。刺入中にこのような事が発生するような緊急時でもっとも危険なことは、彎曲針51を誤って動作させ周辺の組織を傷つけることであるが、マニピュレータは彎曲針51を放すのでこの点において有効な方法である。
【0057】
刺入方向によっては、その開始姿勢がすでに手にとって無理な姿勢となることがある。このようなとき、ヨー軸56を制御的に拘束した後、その状態のまま、マスタ部2においてヨー軸56(図3における第1操作軸45に相当する)を動作させ、それ以降の刺入動作、ここではロール軸動作が行いやすい姿勢へ手を誘導する。その後あらためてロール軸(図3における第2操作軸42に相当する)を操作し縫合作業を完遂する。
【0058】
[実施例2]
ここでは、医療用マニピュレータ1を操作し、胆管60から結石61を取り出す処置について説明する。図6に示すように、この処置は胆管60に沿って把持鉗子62で絞るようにして結石61を送り出す。この際、胆管60に沿ってマニピュレータを誘導し、胆管60に必要以上の外力を加え損傷させてはならない。従来の鉗子では自由度の不足により困難な作業であった。医療用マニピュレータを使用することで胆管60に余分な力を与えず処置することを可能とした反面、胆管60と垂直方向にさらに余分な外力を与えてしまう可能性を秘めることとなり安全性に問題が生じる。
【0059】
そこで、胆管60の長手方向に垂直な方向への動きに対しスレーブ部3の動作軸を制御的に拘束する。胆管60に沿った拘束条件を設定する際に、胆管60の正確な位置情報が必要となってくるが、それを認識し、拘束条件へ変換することは容易ではない。まして胆管60などの内臓をある位置に固定しておくこと自体困難であり、手術全体の効率を著しく低下させてしまう。このような状況に適した拘束方法は、胆管60のある程度の変動に対しても順応できる拘束であることであって、そのための手続きにおいて術者20の負担を与えないものである。そこである範囲を持ち高い外乱入力はカットする非完全拘束状態で操作するのである。
【0060】
これにより、胆管60の微妙な曲がり具合にも作業中の胆管60の動きにも、迅速に対応でき、かつ余計な損傷を与える動きが拘束されることで、胆管60を損傷せずより安全に結石61を取り出すことができるようになる。
【0061】
[実施例3]
ここでは図7を参照して、医療用マニピュレータ1を操作し、血管等の組織70を切断する処置を行う場合の説明をする。切断面71を決定した後、スレーブ部のグリッパ72(はさみ)を操作し対象の組織70を切断する。切断においては、周辺の損傷を最小に抑えるために切断中に、その切断面71がぶれることが無いように注意する。医療用マニピュレータを使用することで、任意の切断面71を実現できるようになった反面、グリッパ軸以外の姿勢軸が可動であるため、切断面71がぶれやすくなるという問題が生じる。
【0062】
そこで切断面71を決定した後、グリッパ軸以外のスレーブ部3の制御軸を拘束することで、上記で述べた問題を解消する。このときマスタ部2は拘束されないので、切断操作で手に余分な力がかかりマスタ部2側の意図しない自由度を動作させても、スレーブ部3に対し不必要な変動を与えることがない。
【0063】
これは先端部に自由度を持ち、電気メスや超音波メスの機能を備えた医療用マニピュレータに関しても同様であり、切断面71に対しスレーブ部3の姿勢を固定し作業を行うことで、組織70の損傷を最小にできるために有効である。
【0064】
また、超音波メスのように自らが振動する部分を持つような器具の場合、その振動が術者20の手に伝わりさらに器具を振動させてしまうといった悪循環が起きることがある。このような器具を大きく速く動作させることは通常ないので、非完全拘束の領域を広めに設定し、周波数カット能力の範囲を広げることで速い動きと振動を抑制し、操作性のよい器具を提供することができる。
【0065】
[実施例4]
医療用マニピュレータを操作する上で、針や組織を把持したまま長時間手技を続けるのは、術者20にとって負担となる。そこで対象をつかんだ後、スレーブ部3のグリッパ軸のみ制御的に拘束する。
【0066】
把持動作において制御したいのは、その把持力であることが多い。スレーブ部3の作業部の把持力をマスタ部2のグリッパ(例えば、図3における操作部41に相当)の軸の開閉角度と対応させ、開閉角度の大きさにより把持力の大きさを指令するものである。組織をつかむ作業においては、把持力が小さいと把持できず大きすぎると組織を破壊してしまうので、適切な大きさの力で把持しなければならない。そのためにはマスタ部2のグリッパ角度を適切な値で保持しておかねばならないが、この角度を維持しながら他の作業と併せて行うことは困難である。そこでマスタ部2のグリッパ角度とスレーブ部3の把持力との関係を調べておくか、グリッパ角度の大きさを検出するセンサの出力をスレーブ部3の把持力に変換するかすることで、スレーブ部3の把持力を知り、その把持力の値に対して非完全拘束を行う。これは、入力情報はマスタ部2の角度であるのに対し、出力情報がスレーブ部3が行う作業における力情報である例である。このように、非完全拘束条件を力情報で表現することにより、現実の実作業に適合した拘束条件を構築することが可能になるとともに、非完全拘束であるために把持力の大きさの微調整も可能になる。把持対象の部位によっては、その変形具合から把持力の大きさを拘束した後、微調整が必要である場合があり、このような場合の要求に対しては、完全拘束で対応することは困難であり、上述のように非完全拘束によりある程度の範囲に渡って部分的に拘束することが有用である。これにより、掴むといった、手に力がかかる動作を持続させる必要がなくなり、術者20の負担を軽減させることができる。
【0067】
[実施例5]
従来の鉗子での操作に慣れた術者20にとって、医療用マニピュレータ1を導入しても、すぐにその操作に精通するのもではない。そのような状態で手術を行うのは安全上問題がある。そこでスレーブ部3のグリッパ軸以外の自由度をすべて拘束し、医療用マニピュレータ1を従来鉗子と同じ自由度にすることで、従来鉗子を操作している感覚でマニピュレータを操作することを可能とする。
【0068】
また、医療用マニピュレータ1の操作練習において、熟練度に合わせて自由度拘束の数を徐々に減らすということが可能であり、効果的な訓練装置を提供することができる。さらに、作業中またはその練習中に、予め作業を決めておくことで、その作業を行う時点で拘束すべき軸を内視鏡映像やマニピュレータ制御器に呈示する。例えば、医療用マニピュレータ1を用いた縫合練習の際、刺入位置に来た後、マニピュレータの拘束手順が内視鏡映像に呈示される。そこにはヨー軸を固定する手順が記載され、その手順を踏むごとに次の手順を示して縫合完了まで操作を導く。このように、その拘束の操作手順を教示することで、術者20は効率よく操作を習得することができ、また術中の誤動作を未然に防ぐことができる。
【0069】
[実施例6]
医療用マニピュレータ1の先端部が術中に腹腔鏡視野から外れることがある。現在の処置に対して、一時的に不要となったマニピュレータを体内に退避しておく必要があるときに頻繁に起こる現象である。このとき術者20は視野内の作業に集中し、視野から外れたマニピュレータに対しては注意力が低下する。
【0070】
このようなときに発生する事故、すなわちマニピュレータを誤動作させ周辺の組織を損傷するといった事故を未然に防ぐために、スレーブ部3のグリッパ軸以外の自由度を拘束する。グリッパ軸は緊急時に対象を離すときに有効であるため拘束しない。こうすることで、術者20は視野内の作業に集中できる。
【0071】
[実施例7]
医療用マニピュレータ1をトラカール5へ挿入するときやトラカール5から抜くときに、スレーブ部3の先端部が任意の姿勢をとれるとすると、図8に示すように、領域75の部分がトラカール5を通過できない。このような状態でトラカール5を通過させようとすると、マニピュレータが損傷したり、トラカール5が抜けたりするといった事故を招く恐れがある。これはトラカール5内をスレーブ部3の先端部が通過中でも同様であり、スレーブ部3とトラカール5の内壁がこすれて、同様の事故が発生しうる。このような場合に対し、トラカール5から抜くと決定したならば、スレーブ部3の姿勢をトラカール5を通過可能な姿勢に操作し、自由度を拘束する。これにより安全にトラカール5を通過させることができる。
【0072】
[実施例8]
図9において、マスタスレーブ方式で動作する一体型の医療用マニピュレータ本体とそれを支持する支持装置80とを備えた医療用マニピュレータ1が示されている。この医療用マニピュレータ1によれば、術者20はマニピュレータ本体の体感重量を軽減でき操作性を向上させることができる。図9に示す支持装置80の各軸81,82,83にはアクチュエータが取り付けられ任意の角度に制御できるように構成されている。医療用マニピュレータ本体は、その一部で支持装置80に支持され、さらに位置が決まっているトラカール5を通過していることから、この支持装置80は一体型マニピュレータのスレーブ部3の先端部の位置を制御する働きを併せ持つ。マニピュレータが作業できる領域には制限があり、その領域で操作すると体内に損傷を与える恐れが著しく高い危険領域が存在することがある。そのような危険領域にスレーブ部3の先端部が入り込まないように、支持装置80の自由度を選択的に拘束することで、先端位置の自由度を拘束することができる。ただし拘束条件は患者の体に固定されたトラカール5の位置をもとに算出されているため、拘束条件を非完全拘束で設定し、患者の体が動くことが発生しても対応できる状態を保ち手術の安全を図ることができる。
【0073】
[実施例9]
前述の実施例1で説明した医療用マニピュレータを使用した縫合作業において、刺入方向を決定しヨー軸56を拘束した後に、さらにグリッパ52のグリッパ軸を制御的に拘束することで、術者20は残りのロール軸57の操作に集中することができ、かつ術者20の楽な姿勢でマスタ部2を操作できる。これによって、より操作性を向上させることができる。このように複数の自由度の拘束を作業に応じて段階的に行うことにより安定した処置を実現することができる。また、複数の自由度を拘束する場合に、各々の自由度を作業のどの段階において拘束するかは術者20の意思によって決定することが可能であるため、その術者20の扱いやすい自由度の数を場面に応じて提供するようにしてもよい。なお、複数の自由度の拘束やその解除は、段階的ではなく同時的に行うことも可能である。
【0074】
[実施例10]
医療用マニピュレータが普及するにつれ、作業に応じた自由度数、術者20の好みに合った自由度数といった要求が出てくる。この要求に対し、共通のマニピュレータ本体を使用し、その機能を変化させることで対応する方法について説明する。
【0075】
スレーブ部3の先端部に任意の姿勢を実現するためには、ロール、ピッチ、ヨーの3軸が必要である。これに把持する機能を有するグリッパ軸を付加すると、その自由度があらたに必要となる。これはマスタ部2に対しても同様である。しかし作業内容や術者20の扱い方などの違いから、必ずしも全ての自由度が必要とは限らず、かえって手技の阻害になる場合が考えられる。だからといって、その作業目的に応じて自由度の組み合わせ構成の異なる医療用マニピュレータを持ち替えて作業を行うのは手術の迅速性を損なう。さらに、種々の自由度の組み合わせ構成の医療用マニピュレータをそろえることは利用者側に経済的負担を課すことになる。そのため汎用でありかつ上記の要求が満たされる医療用マニピュレータが望まれる。
【0076】
そこで、姿勢3自由度とグリッパ軸のような付加自由度をすでに持ち合わせたマニピュレータを基本型としたものに、あらかじめスイッチにより拘束自由度を任意に指定させる機能を備えるようにする。マニピュレータ本体には4つのスイッチが装着されており、それぞれのスイッチはロール、ピッチ、ヨーの3軸及びグリッパ軸の自由度に対応している。このスイッチがONの状態であると、それを認識した制御部1bはその自由度を拘束する。スイッチのON/OFFの操作はその軸の種類、軸数に関わらず術者20が任意に行うことができる。このようにして、同じマニピュレータであるにも関わらず、自由度数が異なり、マニピュレータとして違う機能を備えたものを提供することができる。拘束自由度の指定は、スイッチの代わりに、制御部1bに直接入力したり、接点数が違うものを本体の所定の箇所にはめ込み、その接点数の違いで自由度の拘束指定を制御部1bに識別させることもできる。この接点カバーの色をその接点数に応じて変えることで、術者20は、色と機能との関連でそのマニピュレータの動きを判断するので、自分が操作しているマニピュレータの動きに対しての誤認識を減少させることができる。この自由度数の変更要求は、操作性が向上することで処置を安全に行うために必要であるからで、それに応えたマニピュレータを提供することができる。
【0077】
さらには、スレーブ部3の先端部を取り替えることのできる医療用マニピュレータにおいて、その自由度の配置を取り付け接点によって自動的に制御部1bに認識させることで、マスタ部2側が共通であり、自由度数の違う種々のスレーブ部3の先端部を交換可能にすることができる。
【0078】
[実施例11]
スレーブ部3側はロール軸、ヨー軸、グリッパ軸の3軸を有し、マスタ部2側はそれに加えてピッチ軸の計4自由度を有している医療用マニピュレータにおいて、その構成を実現するために、実施例10で述べたように、ピッチ軸を見かけ上拘束し、ピッチ軸に対応するマスタ部2からの指令を止める。
【0079】
このマニピュレータを操作しロール軸を90度回転させた姿勢で処置を続けようとすると、手の姿勢がすでに90度ひねられた状態にあるので、操作性が低下する。ここで、ある自由度を拘束することで作業が成り立つならば、その自由度を拘束し、手の負担が軽い姿勢にて作業を続ける方法は実施例1に示した。しかし、どの自由度も作業を続けるために必要である場合、この方法は成立しない。
【0080】
ここで、処置を困難にしているスレーブ部3の姿勢は、初期の状態に対しヨー軸とピッチ軸が入れ替わった姿勢と見なすことができる。そこで、一時的にグリッパ軸以外の自由度を拘束し、マスタ部2を操作し手に負担のない姿勢、つまり初期姿勢に戻した後、術者20の指令により、マスタ部2とスレーブ部3のヨー軸とピッチ軸の対応関係を入れ替える。その後に拘束を解除することで、自由度数を減少させることなく、手の姿勢の負担が軽減された状態で処置を続行することが可能となる。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、マスタ部の意図しない動きによってスレーブ部が意図しない動作をしてしまうことを防止でき、また、特定自由度の拘束解除後にマスタ部とスレーブ部との間に生じる姿勢差を補完することを簡易に行うことができるので術者は次の作業へスムーズに移行でき、作業の迅速性を向上させ、安全性の高い医療用マニピュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である一体型の医療用マニピュレータの概略構成を示す図。
【図2】マスタスレーブ方式で動作する医療用マニピュレータの構成を示すブロック図。
【図3】マスタ部の操作において手の姿勢によって作業が困難性の有無を示し、(a)は無理な姿勢を示し、(b)は楽な姿勢を示す。
【図4】彎曲針を用いた縫合作業の流れを表した図。
【図5】縫合作業時にスレーブ部が彎曲針を刺入方向に対し直角に把持している様子を表した図。
【図6】胆管内の結石を、医療用マニピュレータを操作して取り出す作業を表した図。
【図7】医療用マニピュレータを操作して血管切断作業を行う様子を表した図。
【図8】医療用マニピュレータのスレーブ部の姿勢によってトラカールから抜くことが不可能であることを表した図。
【図9】医療用マニピュレータ本体が支持装置に装着された医療用マニピュレータ1の構成を表した図。
【図10】非完全拘束状態における入力と出力の関係を表した図。
【符号の説明】
1 医療用マニピュレータ
1a マニピュレータ本体部
1b 制御部
2 マスタ部
3 スレーブ部
4 連結部
6 姿勢差検出手段
8 姿勢調整部
11 角度検出器
12 角度検出器
21 制御演算部
22 拘束・解除司令部
30 拘束状態表示部

Claims (7)

  1. 複数の自由度で姿勢が制御され作業を行うためのスレーブ部と、
    前記スレーブ部の前記姿勢を操作指令するマスタ部と、
    前記マスタ部と前記スレーブ部とを一体的に接続する連結部と、
    前記スレーブ部の前記複数の自由度の中の特定した特定自由度の動作に対し所定拘束条件に従って拘束及びその解除を指令する拘束・解除司令部と、を有し、
    前記拘束・解除司令部の解除の指令によりマスタスレーブ動作に復帰する、マスタスレーブ方式の医療用マニピュレータであって、
    前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間に前記マスタ部の姿勢と前記スレーブ部の姿勢との間に生じる姿勢差を検出する姿勢差検出手段と、
    前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間に前記姿勢差検出手段で検出した姿勢差に基づき前記マスタ部の姿勢と前記スレーブ部の姿勢とが所定の姿勢関係を有するように前記スレーブ部の姿勢を調整し、前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が解除されると前記マスタ部と前記スレーブ部の姿勢差が解消されるように前記スレーブ部の姿勢を調整する姿勢調整部と、
    を備えることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  2. マスタスレーブ方式で動作する医療用マニピュレータであって、
    複数の自由度で作業を行うスレーブ部と、
    前記スレーブ部を操作指令するマスタ部と、
    前記スレーブ部の前記複数の自由度の中の特定した特定自由度の動作に対し所定拘束条件に従って拘束及びその解除を指令する拘束・解除司令部と、
    前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間に前記マスタ部の姿勢と前記スレーブ部の姿勢との間に生じる姿勢差を検出する姿勢差検出手段と、
    前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が開始されてから拘束が解除されるまでの間に前記姿勢差検出手段で検出した姿勢差に基づき前記マスタ部の姿勢と前記スレーブ部の姿勢とが所定の姿勢関係を有するように前記スレーブ部の姿勢を調整し、前記拘束・解除司令部の指令によって前記特定自由度の拘束が解除されると前記マスタ部と前記スレーブ部の姿勢差が解消されるように前記スレーブ部の姿勢を調整する姿勢調整部と、を備え、
    前記所定拘束条件は、前記拘束・解除司令部が拘束を指令する時点での前記スレーブ部の前記特定自由度の姿勢が所定の範囲にある場合に、マスタ部とスレーブ部の動作の比を1:γ(ただしγの値は1より小さい)として部分的に動作を可能にする非完全拘束条件であることを特徴とする医療用マニピュレータ。
  3. 前記拘束・解除司令部の指令に基づいて前記特定自由度が拘束されている時間に渡って、前記特定自由度に対応する前記マスタ部の自由度の動作は継続する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の医療用マニピュレータ。
  4. 前記特定自由度と前記所定拘束条件を表示する拘束状態表示部を備える
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の医療用マニピュレータ。
  5. 前記拘束・解除司令部は、複数の前記特定自由度の指令を可能であり、特定する複数の前記特定自由度を段階的または同時に指令可能である
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の医療用マニピュレータ。
  6. 前記特定自由度の拘束開始から拘束解除までの手順を術者に教示する教示手段を備える
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の医療用マニピュレータ。
  7. 前記拘束・解除司令部は、まず拘束する前記特定自由度を選択し、その後に選択された前記特定自由度の拘束と解除を指定可能である
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の医療用マニピュレータ。
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