JP3710644B2 - 電池パック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話機やモバイルコンピュータ等の携帯情報機器の電池電源として要求される小型軽量化及び薄型化を達成する電池パックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機やモバイルコンピュータ等の携帯情報機器の体積及び重量中に電池が占める比率は少なくなく、携帯情報機器の小型軽量化及び薄型化の鍵を電池が握っているといっても過言ではない。
【0003】
図10は、従来構成に係る携帯電話機の電池装填部分の断面を示し、リチウムイオン二次電池51を収容した電池パック49は、電池パック49のパックケース50の一方面が携帯電話機70の機器ケース48の一部を構成している。図からもわかるように、電池パック49は携帯電話機70の厚さの約1/2を占め、残る厚さ方向のスペースにプッシュキー45やキー接点回路を構成する多層回路基板46、プッシュキー45からの押圧力を支持すると共に電池パック49との間を遮蔽する支持板47が配設されている。また、電池は充放電や経年変化によって膨張するため、これを見越して電池パック49内には間隙Cが設けられ、電池パック49と携帯電話機のキー構造との間に隙間Gが設けられている。
【0004】
上記は携帯電話機の例であるが、モバイルコンピュータや電子手帳等も類似の構成であり、これらの携帯情報機器の小型軽量化、特に薄型化を実現するには電池の薄型化が不可欠の要素となる。しかしながら、従来のリチウムイオン二次電池のように正負極板を巻回構造に形成した電池では所要の電池容量を得るためには、その厚さを薄型化することに限界がある。また、電池の膨張に対応するために電池パック内及び機器内に間隙を設ける必要があるため、電池パック及び機器の薄型化を阻害している。
【0005】
そこで、リチウムポリマー二次電池のように極板を積層構造にしてラミネートシートのような軟質の外装体を電池ケースとした電池を採用することにより、薄型化と共に軽量化を図ることができ、携帯電話機やモバイルコンピュータの電池パックの薄型化、軽量化の達成が可能となる。しかし、このような電池を用いた電池パックは、携帯機器あるいは電池パックを落とした場合のような衝撃を受けた際にパックケース内で電池が移動すると、外装体が軟質であるが故に発電要素に衝撃が加わりやすく、発電要素の正負極板間の短絡を生じさせる危険性を孕んでいる。携帯機器は落下や衝突等を受けやすい使用環境にあり、衝撃により機器故障が生じることを抑制する対策が重要であり、特に電池パックの故障は機器の機能停止となってしまうため、衝撃に対する対策を充分に講じる必要がある。
【0006】
このような軟質の外装体を用いた電池により携帯機器の電池パックを構成するために、衝撃により電池がパックケース内で移動しないように収容する必要があり、電池はパックケースの内壁面で囲み、特に平板両面はパックケースに密着するように収容される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ラミネートシートのような軟質の外装体を電池ケースとした電池は,その外装が軟質であるが故に外形寸法、とくに厚さ寸法が一定一様でなく、外装体内に封入された電解液により弾力性に富む状態になるため、電池の厚さ方向で分割した一対の半殻体を電池の厚さ方向から合わせるように形成したパックケース内に電池を収容するとき、電池の反発により一対の半殻体間を位置合わせして接合する作業が困難になる問題点があった。
【0008】
一対の半殻体間が嵌合する周囲で充分な嵌合強度が得られる場合には、上記問題点は解決されるが、携帯機器に適用する電池パックの場合には、小型化、薄型化が要求されるため周囲に大きな嵌合箇所を設けることができない。そのため、位置決めを確認し、接合部位が当接するように加圧した状態で溶融接合により一対の半殻体間を接合しなければならない。
【0009】
本発明が目的とするところは、ラミネートシートによる外装ケースを用いた電池をパックケース内に収容した電池パックの組み立て作業を容易にする構造を備えた電池パックを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、平板形状に形成された電池の厚さ方向で上ケースと下ケースとに分割され、両ケースそれぞれに形成された接合部間で当接させて両ケースを衝き合わせたとき、電池の厚さに相当する内寸の電池収容スペースが形成されるパックケース内に電池を収容し、前記接合部で両ケース間を接合して一体化する電池パックにおいて、前記パックケースが、上ケース及び/又は下ケースの電池平板面に対面する面を弾性変形面に形成すると共に、電池を収容して両ケースを衝き合わせたときに前記接合部間が当接した位置決め状態を維持するように両ケース間で互いに嵌まり合う嵌合部が形成されてなり、このパックケース内に、軟質の外装体内に発電要素を収容してその厚さが一定一様でない平板形状に形成された電池を収容してなることを特徴とする。
【0011】
上記構成において、軟質の外装体内に発電要素を収容した電池は、金属ケースのような剛性の外装体内に発電要素を収容した電池に比して、軟質の外装体であるが故にその厚さは一定一様でなく、外装体内に電解液が注入されていることにより外圧に対して弾性を呈する。これを電池の厚さに相当する内寸の電池収容スペースが形成されたパックケース内に収容すると、電池の厚さにより上ケースと下ケースとを衝き合わせたときに、圧接しても両ケースの接合部間が当接せず、位置決めできない状態となる場合が生じる。上記構成では、上ケース及び/又は下ケースの電池平板面に対面する面が弾性変形面に形成され、両ケース間に嵌合部が形成されていることにより、上ケースと下ケースとを圧接して両ケースの接合部間を当接させると、電池の厚さ誤差は前記弾性変形面の変形によって吸収され、電池の弾性反発により両ケース間が位置決め状態から離反することは嵌合部による両ケース間の嵌合により阻止される。従って、両ケース間を超音波溶接等の接合手段により接合して一体化するときにも、接合部間の当接状態が維持されているので、厚さが一定一様でない電池を収容したパックケースの接合が安定してなされる。
【0012】
上記構成において、接合部がパックケースの外面より内側に設けられてなることによって、接合時の溶融物が外部に露出することがなく、電池パックの外観を損なうことがない。
【0013】
また、電池収容スペースの周囲に二次電池の側面を囲む壁面が形成され、この壁面の直近の外側に接合部が形成されてなるように構成することにより、接合面に外ケースが接合された壁面の強度が増し、衝撃による壁面の変形が防止されるので、壁面の変形による二次電池の損傷が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
本実施形態に係る電池パックは、携帯電話機の電池電源として構成した例を示すものである。
【0016】
図1は、実施形態に係る電池パックの構成を分解して示すもので、電池パック1は、上ケース2aと下ケース2bとからなるパックケース2内に、リチウムポリマー二次電池として構成された電池3と、この電池3を保護するセーフティユニット(以下、SU)を構成した回路基板14及び臨界温度抵抗素子であるPTC5を備えて構成された電池保護装置8とを収容し、外部出力端子6a、6b、6cの携帯電話機側接触端子との接触部を下ケース2bに形成された端子取付凹部19a、19b、19cから外部に露出させた状態に取り付けて構成されている。
【0017】
この電池パック1は、携帯電話機に着脱自在に装填できるように構成されており、パックケース2を構成する上ケース2aは携帯電話機の外装ケースの一部を構成する。従って、上ケース2aは機器外装としての強度と美観を呈するように形成される。この上ケース2a及び下ケース2bは樹脂成形により形成され、電池3及び電池保護装置8を収容して両ケース間は超音波接合により一体化され、薄型の電池パック1として完成される。
【0018】
前記電池3は、その概略構成を図2(a)に断面図として示すように、シート状に形成された正極板と負極板とをポリマー電解質シートを介して複数層に積層した発電要素10を、ラミネートシートからなる軟質の外装ケース11内に収容して構成されている。この外装ケース11は、図2(b)に示すように、短冊状に切断されたラミネートシートを二つ折りにして、両サイドの斜線部を溶着シールして袋状に形成し、この中に前記発電要素10を収容し、発電要素10を構成する各正極板から正極リード12、各負極板から負極リード13を引き出し、リード引き出し辺11bを溶着シールし、外装ケース11内を密閉して形成される。両サイドのシール辺11aは、電解液の漏液を防止するためにシール幅を大きくして形成されるので、図1に示すように上面側に折り返し、透明粘着テープ71によって固定し、無駄な平面スペースの増加をなくしている。このように構成された電池3は、従来のリチウムイオン二次電池等のように正負極板を巻回構造にした構造に比して薄型の平板状に構成することができ、外装ケース11がラミネートシートで形成されていることと相まって電池の軽量化を図ることができ、電池パック1としても薄く軽く形成できるので、機器の薄型化、軽量化に寄与できるものとなる。
【0019】
図3は、下ケース2b上に前記外部出力端子6a、6b、6c及び電池保護装置8を装着した状態を示す平面図で、これらの下ケース2bへの装着は、次のようになされる。まず、下ケース2bの側面から裏面にかけて形成された端子取付凹部19a、19b、19cの底に設けられたスリット状の穴にコの字状に形成された外部出力端子6a、6b、6cをその先端から圧入して取り付け、検査用端子24a、24bを下ケース2bの所定位置に嵌入させる。次に、正極接続リード30を外部出力端子6aの先端に抵抗溶接し、負極接続リード33が取り付けられたPTC5のリード片を検査用端子24bの先端に抵抗溶接する。次いで、SUを構成した回路基板14を外部出力端子6a、6b、6c及び検査用端子24a、24bのコの字状の中に圧入し、回路基板14上に形成されたハンダ付けランドに各端子をハンダ付けして、図3に示す状態に外部出力端子6a、6b、6c及び電池保護装置8の装着がなされる。このように下ケース2b内の一端側に外部出力端子6a、6b、6c及び電池保護装置8が装着されると、図3に示すように電池収容スペース72が残されるので、ここに電池3を収容する。
【0020】
電池3のリード引き出し辺11bからは正極リード12と負極リード13とが引き出されているので、正極リード12と前記正極接続リード30とを超音波溶接することにより正極リード12を外部出力端子6aに接続し、負極リード13と負極接続リード33とを超音波溶接することにより負極リード13を電池保護装置8に接続する。前記電池収容スペース72に収納した電池3のリード引き出し辺11bは、図4に示すように、電池保護装置8上を覆うように配置され、正極リード12が接合された正極接続リード30及び負極リード13が接合された負極接続リード33は、図示するようにリード引き出し辺11bの上に折り曲げられる。
【0021】
前記電池収容スペース72の周囲には、図3に示すように、電池3の両サイドのシール辺11aが折り返された側面に当接するサイド壁面73a、73b、電池3の下側面に当接する下壁面74、電池3のリード引き出し辺11bの両端側にそれぞれ当接する上壁面75a、75bが形成されている。図4に示すように、電池3を前記サイド壁面73a、73b、下壁面74、上壁面75a、75bに囲まれた電池収容スペース72内に収納すると、電池3は所定位置に位置決めされると同時に、下ケース2bを上ケース2aで閉じると電池3は所定位置から不動の状態にしてパックケース2内に収容される。
【0022】
上記のようにして下ケース2b内に電池保護装置8及び電池3を収容した後、下ケース2bに上ケース2aを超音波接合することにより、図5に示すように薄型化された電池パック1に組み立てられる。図5(b)は電池パック1を下ケース2b側から見た平面図で、電池3の平板面に接する面は薄肉形成されて、電池3が膨張によりその厚さが変化した場合に弾性的に変形する弾性変形面15に形成されている。また、この弾性変形面15を取り囲むように突出形成された外周部16が形成されている。更に、弾性変形面15は薄肉形成されているので、刃物等による突き刺しにより電池3が損傷を受けることを防止するため、弾性変形面15の周辺部分を除いた部分にステンレス薄板7が貼着されている。このステンレス薄板7の角部には、外周部16に当接する突出部7aが形成され、ステンレス薄板7を弾性変形面15に貼着するときの位置決めができるように構成されている。
【0023】
図6は、図5(b)におけるX−X線矢視断面を示し、前記弾性変形面15は本構成においては厚さ0.22mmに薄肉形成され、この弾性変形面15の周囲には所定高さに外周部16が形成されている。この外周部16の頂部と弾性変形面15に貼着されたステンレス薄板7の表面との間には段差Hができるように外周部16の突出高さが形成される。尚、本構成での段差Hは0.4mmに設定されている。
【0024】
電池3は、充放電の繰り返しや経年変化により電極板が膨張して電池3の厚さが増加する。電池3の膨張によりその厚さが増加して上ケース2aと下ケース2bとの間の電池収容空間の高さを越えたとき、電池3の膨張による圧力は薄肉形成されて変形しやすくなっている弾性変形面15を押し出して弾性変形させる。極板を積層構造にした電池3の極板の膨張は電池3全体の厚さ変化として生じるので、弾性変形面15は電池3と接触する面が平均的に押し上げられ、変形は外周部16に接する周辺部で弾性変形する。本構成におけるリチウムポリマー二次電池の厚さは3.91mmで、これが充放電を繰り返した全寿命経過における膨張による厚さは4.31mmとなり、0.4mmの膨張が生じるデータが取得されている。前述したように、弾性変形面15上には外周部16に囲まれた高さ0.4mmの段差Hによる空間が形成されているため、電池パック1の全寿命が経過した状態でも電池パック1の最大厚さに変化は生じない。
【0025】
本構成のように電池3をパックケース2内の厚さ方向に密着するように収容する場合に、下ケース2bを上ケース2aで閉じるために下ケース2bの所定位置に上ケース2aを重ね合わせると、外装ケース11が柔軟で厚さが一定でない電池3は上ケース2aを押し上げるような力を及ぼす場合があり、図6及び図7に示すように、下ケース2bと上ケース2aとの間を超音波溶着する周囲の嵌合部位は浅い嵌合状態にあるので、超音波溶接装置にセットするまでに上ケース2aと下ケース2bとの嵌合位置が位置ずれする恐れがある。下ケース2bと上ケース2aとの間の嵌合部位は、深い嵌合距離を設けて嵌合強度を向上すれば電池3の反発を抑えることができるが、小型化、薄型化が要求される携帯電話機のような携帯機器では、嵌合部位を大きく取ることができない。本実施形態に係る電池パック1の場合においても、図9に示すように、携帯電話機9への装着構造から周囲に大きな嵌合部位を設けることができない。そこで、本構成においては、下ケース2bと上ケース2aとの間を超音波溶着するまでの間に上ケース2aが所定位置から位置ずれすることを防止することができる嵌合構造が設けられている。
【0026】
図1及び図3に示すように、下ケース2bの上下両端側に上嵌合凹部61a、61b、下嵌合凹部62a、62bが形成されており、この下ケース2bに上ケース2aを重ね合わせたとき、前記上嵌合凹部61a、61b及び下嵌合凹部62a、62bそれぞれに、上ケース2aに形成された上嵌合凸部63a、63b及び下嵌合凸部64a、64bが嵌入し、下ケース2bに上ケース2aが嵌合接続される。
【0027】
図7は、図5(b)におけるY−Y線矢視断面を示すもので、前記上嵌合凹部61aと上嵌合凸部63aとの嵌合状態、下嵌合凹部62aと下嵌合凸部64aとの嵌合状態が示されている。この嵌合構造により下ケース2bと上ケース2aとの間が超音波溶着されるまで下ケース2bの所定位置に上ケース2aが嵌合した状態が維持されるので、この状態で上ケース2aと下ケース2bとの間に超音波を加えて周囲の溶着部位(接合部)66で超音波接合する。
【0028】
この溶着部位66は、図6に示すように、下ケース2bに形成されたサイド壁面73a、73bの直近の外側に設けられている。また、溶着部位66は、図3及び図4に示すようにライン状に設けられ、パックケース2の周囲を一周するように形成されている。下ケース2bに上ケース2aを前記上嵌合凹部61a、61bと下嵌合凹部62a、62bとで嵌合させて重ね合わせると、下ケース2bに上ケース2aが溶着部位66で当接する。このように重ね合わせた上ケース2aと下ケース2bとを、その当接方向から超音波溶接装置のホーンと受け治具とで挟圧することにより、前記溶着部位66で上ケース2aと下ケース2bとが密着するので、ホーンから超音波加振することにより溶着部位66の密着間が溶融して上ケース2aと下ケース2bとは接合し、パックケース2として一体化される。このようにサイド壁面73a、73bは、その直近の外側で上ケース2aが接合されるので変形強度が強化され、衝撃等による変形加圧に対する強度が向上し、収容された電池3を保護して衝撃による損傷を防止することができる。また、図7に示すように、上壁面75a、75b及び下壁面74は、それらの背後に形成された上嵌合凹部61a、61b及び下嵌合凹部62a、62bにそれぞれ嵌入する上嵌合凸部63a、63b及び下嵌合凸部64a、64bにより変形強度が強化される。
【0029】
また、図6及び図7に示すように、溶着部位66はパックケース2の外部露出面より内側に設定されているので、溶融部が外部に露出せず、電池パック1としての外観を損なうことがない。また、上ケース2aと下ケース2bとが対向方向に密着する部位は溶着部位66のみで、他の部位では僅かな隙間が形成されているので、超音波加振により溶融することはなく、溶融部が外部に露出することはない。
【0030】
以上説明したように、電池3は、その平板面は上ケース2aと下ケース2bとに密着した状態にパックケース2内に収容され、シール辺11aを上平面に折り返した両側面は下ケース2bに形成されたサイド壁面73a、73bに、下側面は下壁面74に、当接もしくは僅少間隙を隔てた状態にパックケース2内に収容される。また、リード引き出し辺11b側は、図8に示すように、上壁面75aに位置決め支持された負極接続リード33に位置決めされる状態にあり、図4に示すように、正極リード12側では上壁面75bに位置決め支持された正極接続リード30に折り返されたシール辺11aのリード引き出し辺11b側が、負極リード13側では上壁面75aにシール辺11aのリード引き出し辺11b側が当接もしくは僅少間隙を隔てた状態にパックケース2内に収容される。電池3はその外装ケース11がラミネートシートにより形成されているので、金属ケースの場合に比して外形寸法の誤差が大きく、電池収容スペース72の寸法は電池3プラス側誤差の状態で各壁面に当接するように設定されているので、マイナス側誤差の状態では各壁面との間には僅少な間隙が生じる。
【0031】
このように電池3をパックケース2内に収容して電池パック1を構成することにより、落下等による衝撃が加わったときにパックケース2内で電池3が移動し難くなるので、衝撃に伴う電池3の移動により軟質の外装ケース11を通して内装された正極板と負極板との間の短絡等の障害の発生が防止される。即ち、上下の平板面が上ケース2a及び下ケース2bの平面部に密着していることによる摩擦抵抗により移動し難くなり、周囲側面は各壁面に当接または僅少間隙で囲まれているので更に移動し難くなり、ラミネートシートにより形成された外装ケースを用いた電池3により電池パック1を薄型化及び軽量化した構成における衝撃対策が図られている。また、電池3の側面を囲む下ケース2bの各壁面は、その直近の外側で上ケース2aが接合されるので強固になり、衝撃による各壁面の変形が電池3に及ぶことが防止される。
【0032】
上記構成になる電池パック1は、図9に断面図として示すように、携帯電話機9に装填される。先に図10に示した従来構成になる電池パックに比して薄型化されているため携帯電話機9自体も薄型化され、ポケットに挿入できるまでのスリムな形態の携帯電話機9が実現される。携帯電話機9内の電池パック1が装填される反対面(表面側)には、プッシュキー17、このプッシュキー17による接点回路が形成された多層回路基板18、この多層回路基板18を支持する支持板19が配設され、この支持板19と電池パック1との間は、外周部16との間に約0.05mmの間隙、弾性変形面15上に貼着されたステンレス薄板7との間に約0.45mmの間隙が設けられている。この構成によって、携帯電話機9の表面側から強い押圧が加わったときには外周部16が支持板19の変形を支える作用をなす。また、電池3は充放電あるいは経年変化により極板の膨張が生じて電池の厚さが増加するが、弾性変形面15は電池3の膨張に対応して弾性変形し、前述したように外周部16で囲まれた中に形成された空間で膨張による厚さ変化が収まり、膨張の影響を機器側に及ぼすことがない。
【0033】
また、携帯電話機のような携帯情報機器は、機器自体あるいは電池パックを落下させたり衝突させてしまう危険性を孕んでおり、それによる衝撃により機能停止に至らないような対策を講じる必要があるが、前述のように電池3をパックケース2により強固に保護し、パックケース2内で移動しないように構成しているので、衝撃により電池3が損傷することを防止することができる。
【0034】
以上説明した電池パックの構成は、携帯電話機の電池電源として適用した例について述べたが、モバイルコンピュータや電子手帳、トランシーバ等においても同様の構成を適用することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明によれば、内ケースと外ケースとを嵌合させる嵌合部が形成されていることにより、二次電池をその平板面を内ケース及び外ケースの内面に密着させてパックケース内に収容する場合に、内ケースに外ケースを重ねたとき二次電池の反発により外ケースが内ケースの所定の接合位置から浮いて位置ずれすることがなく、所定位置に位置決め固定される。この嵌合接続により内ケースに外ケースが位置決め固定された後、当接した接合部間で溶融接合することによって内ケースの所定位置に外ケースが接合され、二次電池をその平板面を内ケース及び外ケースの内面に密着させてパックケース内に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る電池パックの構成を示す分解斜視図。
【図2】電池の概略構成を示す(a)は断面図、(b)は平面図。
【図3】下ケースに電池保護装置を配設した状態を示す平面図。
【図4】下ケースに電池保護装置及び電池を配設した状態を示す平面図。
【図5】電池パックの外観を示す(a)は外部出力端子側から見た側面図、(b)は下ケース側から見た平面図。
【図6】図5(b)におけるX−X線矢視断面図。
【図7】図5(b)におけるY−Y線矢視断面図。
【図8】電池のリード引き出し辺側の位置決め状態を示す断面図。
【図9】電池パックを携帯電話機に装填した状態を示す断面図。
【図10】従来構成になる電池パックの携帯電話機への装填状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 電池パック
2 パックケース
2a 上ケース
2b 下ケース
3 電池
6a、6b、6c 外部出力端子
8 電池保護装置
10 発電要素
11 外装ケース
11b リード引き出し辺
12 正極リード
13 負極リード
61a、61b 上嵌合凹部(嵌合部)
62a、62b 下嵌合凹部(嵌合部)
63a、63b 上嵌合凸部(嵌合部)
64a、64b 下嵌合凸部(嵌合部)
66 溶着部位(接合部)
72 電池収容スペース
73a、73b サイド壁面
74 下壁面
75a、75b 上壁面

Claims (3)

  1. 平板形状に形成された電池の厚さ方向で上ケースと下ケースとに分割され、両ケースそれぞれに形成された接合部間を当接させて両ケースを衝き合わせたとき、電池の厚さに相当する内寸の電池収容スペースが形成されるパックケース内に電池を収容し、前記接合部で両ケース間を接合して一体化されてなる電池パックにおいて、
    前記パックケースが、上ケース及び/又は下ケースの電池平板面に対面する面を弾性変形面に形成すると共に、電池を収容して両ケースを衝き合わせたときに前記接合部間が当接した位置決め状態を維持するように両ケース間で互いに嵌まり合う嵌合部が形成されてなり、このパックケース内に、軟質の外装体内に発電要素を収容してその厚さが一定一様でない平板形状に形成された電池を収容してなることを特徴とする電池パック。
  2. 接合部がパックケースの外面より内側寄りに設けられてなる請求項1記載の電池パック。
  3. 電池収容スペースの周囲に二次電池の側面を囲む壁面が形成され、この壁面の直近の外側に接合部が形成されてなる請求項1記載の電池パック。
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