JP3710511B2 - アーム駆動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、駆動力を有する介助アームによって使用者を保持する歩行訓練装置や歩行補助装置に係わり、特に、その介助アームの駆動を制御するアーム駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高齢者の増加や社会の変化によって脚力が著しく衰えた人が増えている。また、病気や事故によって歩行機能に障害を生じた人も増えている。このような人達に対するリハビリテーションの主要な方法として、歩行訓練がある。
従来、歩行訓練装置に関する公知技術としては、例えば以下のものがある。
▲1▼実開平2−42625号公報
この公知技術は、所定の吊り上げ力で吊り上げられるリング状部材を使用者(この場合、被訓練者)の両側に配置し、このリング状部材に紐を介して連結された浮き輪状の空気袋により棒状部材の吊り上げ力を被訓練者に与えるものである。これにより、被訓練者の疲労を抑えつつ長時間の訓練を可能とする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公知技術においては、所定の長さの歩行路を確保する必要があることから設置容積が大型化するという問題があった。
上記問題を解決するため、本件出願人は、特願平5−277031号(出願日:平成5年11月5日)において、被訓練者の歩道をなす環状ベルト、この環状ベルトの駆動手段及び速度検出手段、及びこの速度検出手段で検出されたベルト速度をもとに駆動手段を制御する速度制御手段を備えた歩行面装置と;環状ベルト上にある被訓練者の身体を支える介助アーム、この介助アームの姿勢を変化させる駆動手段、及び被訓練者が介助アームに印加している応力を測る応力測定手段を備えた介助装置と;歩行面装置及び介助装置の制御を行う統括制御装置とを有する歩行訓練装置を提案した。
しかし、上記した歩行訓練装置においては、駆動手段で介助アームの姿勢を変化させる際に、その駆動制御に関しなんら制限を設けておらず、介助者の誤操作や装置の故障による誤動作が発生した場合に対する配慮が十分でないという課題があった。
【0004】
ここにおいて、上記歩行訓練装置と同様に、駆動されるアームを備えたものとして産業用ロボットがあり、これに関する公知技術として、例えば以下のものがある。
▲2▼特開平3−55195号公報
この公知技術は、出力基準値生成回路が、アームを駆動するモータ駆動部の出力基準値を全自動モード時で運転する場合に比して低く設定し、異常検出回路がこの出力基準値とモータ駆動部から入力された駆動出力とを比較し、出力基準値以上の駆動力(又は速度)を検出した場合には制御回路若しくはモータ駆動部を停止するものである。これにより、使用者(この場合、作業者)がロボットの可動範囲内でロボットの手先を持って直接動かしながら教示を行うダイレクトティーチ時において、異常の発生を速やかに検出し作業者の安全を確保する。
【0005】
▲3▼特開平4−344505号公報
この公知技術は、判定手段がアーム先端における外力(又は速度)の大きさを監視し、そのアーム先端の外力(又は速度)が予め設定した値以上になった場合には、制御装置が強制的にロボットの動きを抑制するものである。これにより、上記▲1▼同様、ダイレクトティーチ時において、異常の発生を速やかに検出し作業者の安全を確保する。
【0006】
ここにおいて、歩行訓練装置における誤操作・誤動作時に配慮する観点から、上記産業ロボットに関する公知技術▲2▼及び▲3▼を歩行訓練装置における介助アームの駆動に適用することが考えられる。
しかしながら、このような適用を行った場合、以下の問題を生じる。すなわち、公知技術▲2▼ではアームの駆動力及び速度、公知技術▲3▼ではアーム先端の力及び速度によって異常を検知しており、アーム先端の位置そのものには特に配慮がなされていない。
【0007】
したがって、公知技術▲2▼▲3▼を歩行訓練装置に適用した場合、介助者の誤操作時や装置故障により介助アームが誤動作した時に、被訓練者や介助者等が、介助アームと装置の介助アーム以外の部位の間、若しくは、介助アームと装置周辺物の間の狭い空間で無理な体勢や不自然な姿勢を強いられる場合がある。また、介助者の誤操作や装置の故障によって介助アームが上方へ誤動作し、介助アームに保持されている被訓練者の身体が浮き上がって不自然な体勢となる場合がある。
そして、それらの人がその体勢・姿勢でいるまま、介助アームの力・速度等の異常が検知されて介助アームの動作が停止すると、その体勢・姿勢が長時間続いて疲労し肉体的負担が大きくなる。特に、歩行訓練装置の被訓練者は、自らが介助アームに保持されていて容易に介助アームから離れることができないので、その負担は大きい。
【0008】
また、比較的軽微な歩行障害を生じた者の自力歩行を補助するための歩行補助装置に備えられる介助アームに関しても、同様の問題がある。
【0009】
本発明の目的は、アームの位置に関して一定の可動範囲を設定しその範囲外へのアームの移動を制限することにより、使用者等の肉体的負担を軽減することができるアーム駆動制御装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、被訓練者の歩道をなす環状ベルトを有する歩行訓練装置に備えられた被訓練者介助用の介助アームを駆動する駆動手段を制御するアーム駆動制御装置において、前記アームの先端の位置を検出する検出手段と、前記介助アームの先端と前記介助アームを支持するアーム支持手段との距離が被訓練者の身体が占める空間の厚みより大きい値となる第1の所定値以上、前記介助アームの先端と前記環状ベルトとの距離が被訓練者の身体が占める空間の厚みより大きい値となる第2の所定値以上、前記介助アームの先端の前記環状ベルトからの高さが被訓練者の身長に応じて決定する値である第3の所定値以下となるように、前記アームが動き得る制限領域を設定する領域設定手段と、前記検出手段による検出結果と前記領域設定手段に設定した制限領域とを比較し、前記検出結果が前記制限領域を超えた場合に前記制限領域内で前記アームの動作を可能とする制限信号を前記駆動手段に出力する制限制御手段とを備えたことを特徴とする
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、前記駆動手段の動作を停止する駆動停止手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
更に、第3の発明は、第1の発明のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、アームを制限領域内に戻す方向へ駆動するための復帰駆動信号を前記駆動手段に出力する復帰駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、第4の発明は、第1の発明のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、アームをその位置で停止させるための停止位置信号を前記駆動手段に出力する停止位置指令手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
更に、第5の発明は、第2乃至第4の発明のいずれかのアーム駆動制御装置において、前記判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、前記使用者に警告を行う警告手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、第6の発明は、被補助者の歩行を補助しつつ走行する歩行補助装置に備えられた被補助者保持用の保持アームを駆動する駆動手段を制御するアーム駆動制御装置において、前記アームの先端の位置を検出する第1の検出手段と、前記歩行補助装置に設けられ、前記歩行補助装置が設置されている部屋の壁面との距離を検出する第2の検出手段と、前記保持アームの先端と前記歩行補助装置が設置されている部屋の壁面との距離が被補助者の身体が占める空間の厚みより大きい値となる第4の所定値以上、前記保持アームの先端と前記歩行補助装置が設置されている部屋の床面との距離が被補助者の身体が占める空間の厚みより大きい値となる第5の所定値以上、前記保持アームの先端の該歩行補助装置が設置されている部屋の床面からの高さが被補助者の身長に応じて決定する値である第6の所定値以下となるように制限領域を設定する領域設定手段と、前記第1及び第2の検出手段による検出結果と前記領域設定手段に設定した制限領域とを比較し、前記検出結果が前記制限領域を超えた場合に前記制限領域内で前記アームの動作を可能とする制限信号を前記駆動手段に出力する制限制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
更に、第7の発明は、第6の発明のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、前記駆動手段の動作を停止する駆動停止手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、第8の発明は、第6の発明のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、アームを制限領域内に戻す方向へ駆動するための復帰駆動信号を前記駆動手段に出力する復帰駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
更に、第9の発明は、第7または第8の発明のアーム駆動制御装置において、前記判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、前記使用者に警告を行う警告手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0029】
【作用】
以上のように構成した本発明においては、例えば歩行訓練装置に適用した場合を考えると、まず、訓練の介助を行う介助者が、訓練メニューや介助方法等を選択するときに同時に領域設定手段で介助アームが動き得る制限領域を設定する。このときの領域設定方法としては、介助アーム先端が、歩行訓練装置の介助アーム以外の部分(例えば、介助アームを支持するアーム支持手段、被訓練者の歩道をなす環状ベルト等)と所定距離以上離れるように設定する方法、あるいは介助アーム先端の高さ(例えば、環状ベルトからの高さ)を被訓練者の身長に対応した所定値以下となるように設定する方法、等がある。
このような領域設定が終了した後、車椅子中の被訓練者に介助アーム先端を近づけて介助アームと被訓練者とを一体化させる。その後、介助アームを上方へ動かし被訓練者を車椅子から引き上げて訓練位置まで誘導し、歩行訓練を開始する。訓練中の介助アームは、鉛直上方への一定の力と歩行方向への力とを被訓練者に対して作用させ、これによって被訓練者は適正な抵抗を受けつつ歩行訓練を行うことができる。
この訓練前〜訓練中における一連の介助アームの全動作中を通じ、介助アーム先端の位置が検出手段によって検出されており、この検出手段による検出結果と領域設定手段による制限領域設定とに従い、制限制御手段によって上記した制限領域内でのみ介助アームの動作を可能とする領域制限制御が行われている。
これにより、たとえ介助者が誤操作したり、あるいは故障により介助アームが誤動作した場合であっても、介助アームは制限領域外において動作することはない。よって例えば、介助アーム先端がアーム支持手段や環状ベルトに接近し過ぎて、被訓練者や介助者が介助アーム先端とアーム支持手段・環状ベルトとの間の狭い空間で無理な体勢・不自然な姿勢となったり、介助アーム先端が上方へ移動し過ぎて、被訓練者の身体が浮いて不自然な体勢となったりすることが防止され、被訓練者・介助者の肉体的な負担を軽減することができる。
【0030】
一方例えば、歩行補助装置に適用した場合を考えると、まず、補助されつつ歩行を行おうとする被補助者が、動作モード等を選択するときに領域設定手段で保持アームが動き得る制限領域を設定する。このときの領域設定方法としては、保持アーム先端が歩行補助装置外の周辺部材(例えば、歩行補助装置が設置してある部屋の床面・壁面等)と所定距離以上離れるように設定する方法、あるいは保持アーム先端の高さ(例えば、歩行補助装置が設置してある部屋の床面からの高さ)を被補助者の身長に対応した所定値以下となるように設定する方法、等がある。
このような領域設定が終了した後、被補助者は保持アーム先端を把持しつつ歩行を開始する。歩行中の保持アームは、鉛直上方への一定の力と歩行方向への力とを被補助者に対して作用させており、これによって被補助者は体重のうちの一部を適正な割合で補助されつつ自身の脚力で歩行することができる。
この補助前〜補助中における一連の保持アームの全動作中を通じ、保持アーム先端の位置が検出手段によって検出されており、この検出手段による検出結果と領域設定手段による制限領域設定とに従い、制限制御手段によって上記した制限領域内でのみ保持アームの動作を可能とする領域制限制御が行われている。
これにより、たとえ被補助者が誤操作したり、あるいは故障により保持アームが誤動作した場合であっても、保持アームは制限領域外において動作することはない。よって例えば、保持アーム先端が部屋の壁面や床面に接近し過ぎて、被補助者が保持アーム先端と壁面・床面との間の狭い空間で無理な体勢・不自然な姿勢となったり、保持アーム先端が上方へ移動し過ぎて、被補助者の身体が浮いて不自然な体勢となることが防止され、被補助者の肉体的な負担を軽減することができる。
【0031】
また、歩行訓練装置に適用する場合、領域設定手段で、介助アームの先端とアーム支持手段との距離が第1の所定値以上となるように制限領域を設定することにより、たとえ介助者が誤操作したり、あるいは故障により介助アームが誤動作した場合であっても、介助アーム先端がアーム支持手段に接近し過ぎて被訓練者や介助者が介助アーム先端とアーム支持手段との間の狭い空間で無理な体勢・不自然な姿勢となることが防止される。
さらに、歩行訓練装置に適用する場合、領域設定手段で、介助アームの先端と環状ベルトとの距離が第2の所定値以上となるように制限領域を設定することにより、たとえ介助者が誤操作したり、あるいは故障により介助アームが誤動作した場合であっても、介助アーム先端が環状ベルトに接近し過ぎて被訓練者や介助者が介助アーム先端と環状ベルトとの間の狭い空間で無理な体勢・不自然な姿勢となることが防止される。
また、第1及び第2の所定値は、それぞれ、被訓練者及び介助者の身体が占める空間の厚みより大きい値であることにより、狭小空間による肉体的な負担を確実に軽減することができる。
さらに、歩行訓練装置に適用する場合、領域設定手段で、介助アームの先端の環状ベルトからの高さが、第3の所定値以下となるように制限領域を設定することにより、たとえ介助者が誤操作したり、あるいは故障により介助アームが誤動作した場合であっても、介助アーム先端が上方へ移動し過ぎて被訓練者の身体が浮き不自然な体勢となることが防止される。
また、歩行訓練装置に適用する場合、第3の所定値を、被訓練者の身長に応じて決定される固有値とすることにより、被訓練者の体型に応じて、適切に肉体的な負担を軽減することができる。
さらに、複数の被訓練者に関する固有値を、情報バンクに書き込み・読み出し可能に管理保管することにより、被訓練者の体型に応じたアーム駆動制御が容易に行える。
また、歩行補助装置に適用する場合、領域設定手段で、保持アームの先端と歩行補助装置が設置されている部屋の壁面との距離が第4の所定値以下となるように制限領域を設定することにより、たとえ被補助者が誤操作したり、あるいは故障により保持アームが誤動作した場合であっても、保持アーム先端が壁面に接近し過ぎて被補助者が保持アーム先端と壁面との間の狭い空間で無理な体勢・不自然な姿勢となることが防止される。
さらに、歩行補助装置に適用する場合、センサによって移動体の移動に合わせて移動体と壁面との距離をリアルタイムで計測するとともに対応する信号を出力し、領域設定手段が、このセンサからの信号の値に応じて制限領域を設定することにより、被補助者が歩行するに伴って動く移動体の位置に応じ、リアルタイムで制限領域を随時修正することができる。
また、歩行補助装置に適用する場合、領域設定手段で、保持アームの先端と歩行補助装置が設置されている部屋の床面との距離が第5の所定値以上となるように制限領域を設定することにより、たとえ被補助者が誤操作したり、あるいは故障により保持アームが誤動作した場合であっても、保持アーム先端が床面に接近し過ぎて被補助者が保持アーム先端と床面との間の狭い空間で無理な体勢・不自然な姿勢となることが防止される。
さらに、第4及び第5の所定値を、それぞれ、被補助者の身体が占める空間の厚みより大きい値とすることにより、狭小空間による肉体的な負担を確実に軽減することができる。
また、歩行補助装置に適用する場合、領域設定手段で、保持アームの先端の歩行補助装置が設置されている部屋の床面からの高さが、第6の所定値以下となるように制限領域を設定することにより、たとえ被補助者が誤操作したり、あるいは故障により保持アームが誤動作した場合であっても、保持アーム先端が上方へ移動し過ぎて被補助者の身体が浮き不自然な体勢となることが防止される。
さらに、第6の所定値が、被補助者の身長に応じて決定される値であることにより、被補助者の体型に応じて、適切に肉体的な負担を軽減することができる。
また、複数の被補助者に関する固有値を、情報バンクに書き込み・読み出し可能に管理保管することにより、被補助者の体型に応じたアーム駆動制御が容易に行える。
さらに、制限制御手段において、判定手段でアームが制限領域内にあるかどうかを判定し、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、駆動停止手段で駆動手段の動作を停止する、すなわち例えば、駆動手段に駆動停止信号を出力するか、あるいは駆動手段の電力供給を遮断する等により、制限領域内でのみアームの動作を可能とする手段を実現することができる。
また、判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、復帰駆動手段で、アームを制限領域内に戻す方向へ駆動するための復帰駆動信号を駆動手段に出力することにより、制限領域内でのみアームの動作を可能とする手段を実現することができる。
さらに、判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、停止位置指令手段で、アームをその位置で停止させるための停止位置信号を駆動手段に出力することにより、制限領域内でのみアームの動作を可能とする手段を実現することができる。
また、判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、警告手段で使用者に警告を行うことにより、使用者に注意を喚起することができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図1〜図17により説明する。
本発明の第1の実施例を図2〜図11により説明する。本実施例は、本発明を、歩行機能障害者の歩行訓練を行う歩行訓練装置に適用した場合の実施例である。
本実施例の対象となる歩行訓練装置1の全体構成を示す概念図を図2に示す。
図2において、歩行訓練装置1は、可動リンク機構2A、回転機構2B、保持機構2F(後述)を備え、被訓練者Uの身体を支えて被訓練者の姿勢の矯正と負荷軽減を図る介助アーム装置2と、回転機構2Bを被うとともに介助アーム装置2を支持するカバー3と、床面または地上に固定され、例えば環状ベルトから構成される歩行面4Aを備えた歩行面装置4と、CRT50、計算機51、及びキーボード(マウス含む)52によって構成され、介助アーム装置2及び歩行面装置4を制御する制御装置5とを有する。
なお、この歩行訓練装置1の操作は主として図示しない介助者が行い、またこの介助者は必要に応じて被訓練者Uの訓練の介助を行う。
【0033】
歩行面装置4の詳細構造を示す概念図を図3に示す。
図3において、歩行面装置4は、被訓練者Uの左・右の足に対応した2本の歩行面4A(すなわち左歩行面4AL及び右歩行面4AR)と、これら左・右歩行面4AL,4ARの回転にともない、これら左・右歩行面4AL,4ARの速度を検出する左歩行面速度検出手段70A及び右歩行面速度検出手段70Bと、これら左・右歩行面4AL,4ARの移動距離を検出する左歩行面距離検出手段及び71A及び右歩行面距離検出手段71Bと、左歩行面4AL及び右歩行面4ARをそれぞれ駆動する左歩行面駆動手段69A及び右歩行面駆動手段69Bとを有する。
【0034】
左・右歩行面駆動手段69A,Bは、制御装置5の歩行面制御部5Bによって制御される。すなわち、歩行面制御部5Bは、被訓練者Uが左・右歩行面4AL,4ARを後方に蹴って歩行する際に左・右歩行面速度検出手段70A,70Bによって検出される速度を基にして、被訓練者Uの両足に適正な粘性抵抗を与えるようにして駆動速度を計算し、この駆動速度を左・右歩行面4AL,4ARに与える。このような歩行面制御部5Bによる制御内容を表すブロック図を図4に示す。
図4において、歩行面制御部5Bによる制御は左・右両側で同一のシステム構成となっており、あらかじめ歩行面制御部5B内に設定された速度目標Voと歩行面速度検出手段70A(又は70B)から検出された速度情報VA(又はVB)との差に、あらかじめ歩行面制御部5Bに設定された速度ゲインKを乗算し、この結果すなわちK(VA−V)(又はK(VB−V))を最終的な指令値として左・右歩行面駆動手段69A,Bに出力する。なお、速度目標VA,VB及び速度ゲインKは、図示しない入力手段や制御装置5の他の部分からの指示によって変更可能に構成してもよい。
これにより、被訓練者Uの速度に応じた適正な粘性抵抗力を被訓練者Uの足に加えることになる。
【0035】
なお左・右歩行面4AL,4ARは互いに接していてもよい。
【0036】
介助アーム装置2の詳細構造を表す側面図を図1に示す。
介助アーム装置2を支持するカバー3は、歩行面装置4の歩行面4Aの前方上面に据え付け固定されている。可動リンク機構2Aを動かす回転機構2Bは、このカバー3の上部に収納され、かつ被訓練者Uの歩行方向(図1中右方向)と鉛直方向とがなす平面(以下適宜、矢状面という)に関し、左右対象の構造となっている。ここで、右とは図1の紙面手前側、左とは図1の紙面奥側を指す。
【0037】
回転機構2Bの詳細構造を図1中P−Q断面図である図5に示す。
図5において、回転機構2Bは、互いに独立して回転する右側回転軸74C及び左側回転軸74Dとを有する。右側回転軸74Cの右側端部には回転駆動軸74A、左側回転軸74Dの左側端部には回転駆動軸74Bが設けられている。この回転駆動軸74A,74Bは例えばプーリであり、回転指示部76A,76Bの指令に応じて回転する。すなわち回転指示部76A,76Bがクラッチ機構である場合には、プーリである回転駆動軸74A,74Bは例えばベルトを介して駆動される。
【0038】
なお、回転機構2Bには、アーム制御部5A(後述)の一部を構成する、図示しない左・右角度センサ、左・右角速度センサ、及び左・右トルクセンサが設けられている。これらの取り付け部位は、回転軸74C,D、回転駆動軸74A,Bのいずれでもよい。
【0039】
また、可動リンク機構2Aは金属性の素材から構成されており、縦駆動リンク2Aa、横駆動リンク2Ab、短従動リンク2Ac、長従動リンク2Adを備えている。これら各リンク2Aa〜dは形状的・構造的に類似したものであり、それぞれ略平行面辺形をなす。これらのうち、長従動リンク2Adを例にとってさらなる詳細構造を図6に示す。
図6において、長従動リンク2Adは、互いに対向する「へ」の字型の2つの腕79a,79bを有し、その端部は部材79c,79dで固定されている。さらに腕79aと腕79bは、中間部どうしが部材79eで溶接連結されている。
なお、他のリンク、すなわち縦駆動リンク2Aa、横駆動リンク2Ab、短従動リンク2Acも、構造はほぼ同様である。
【0040】
図1に戻り、縦駆動リンク2Aa及び横駆動リンク2Abは、それぞれ右側回転軸74C及び左側回転軸74Dに連結しており、右側回転軸74Cの回転にしたがって縦駆動リンク2Aaは図1中の矢印のように上下動し、左側回転軸74Dの回転にしたがって横駆動リンク2Abは図1中の矢印のように横移動する。すなわち、回転駆動軸74A,74Bの回転可能角度は、縦駆動リンク2Aa及び横駆動リンク2Abを矢印のように動かすような限定された角度範囲である。
縦駆動リンク2Aaの回転軸74Cから反対側(図示右側)の端部と短従動リンク2Acの下側の端部とは回転可能な節2Cで連結され、短従動リンク2Acの上側の端部と長従動リンク2Adの被訓練者Uから反対側(図示右側)の端部とは回転可能な節2Dで連結されている。また、長従動リンク2Adの部材79eの中央部分は、回転可能な節2Eを介し横駆動リンク2Abの回転軸74dから反対側の端部に連結され、長従動リンク2Adの被訓練者U側の端部には保持機構2Fが設けられている。
【0041】
保持機構2Fは、被訓練者Uを直接把持する把持部82と、把持部82と長従動リンク2Adとを連結する支持部81と、支持部81に設けられた応力センサ81Aとを備えている。応力センサ81Aは、X軸方向(図1中左方向)、Y軸方向(図1中上方向)、Z軸方向(図1において紙面に向かって手前から奥方向)の応力と各軸まわりのモーメントを測定する機能を有し、把持部82を介し被訓練者Uと介助アーム装置2との間に作用する力を測定する。また、把持部82はアタッチメント型であって種々の形式が準備されており、支持部81に自在に取り付けて用いられる。この把持部82近傍の詳細構造を表す側面図を図7に示す。
図7において、把持部82は、被訓練者Uの肩部を支えるための肩部保持部材82Aと、肩部保持部材82Aの位置を被訓練者Uの身長・肩幅に合わせるための調整機構82Bとからなる。把持部82の動作領域は矢状面内にあるので、介助アーム装置2は把持部82を介して被訓練者Uに矢状面内で力を及ぼすことになる。よって回転軸74C及び74Dを回転させ被訓練者Uが把持部82へ加える力(外力)の反力となるように介助アーム装置2を動作させることにより、把持部82において被訓練者Uからの力と可動リンク機構2Aからの力とが平衡することとなる。
【0042】
介助アーム装置2の動作は、制御装置5内のアーム制御部5Aによって制御される。本実施例の要部であるこのアーム制御部5Aによる制御内容を表すブロック図を図8に示す。
図8に示すアーム制御部5A内において、まず、前述した左・右角度センサによって検出された回転機構2Bの回転軸74C,D(又は回転駆動軸74A,B)の回転角度θ12が、先端位置算出器5Aaに入力される。先端位置算出器5Aaは、入力された回転角度θ12から、保持機構2Fが取り付けられる長従動リンク2Adの先端位置を算出する。この算出方法を図9により説明する。図9は、介助アーム装置2の可動リンク機構2Aと、回転機構2Bの回転軸位置を原点とする基準座標系との関係を簡略化して示したものである。
図9において、長従動リンク2Aaの節2Eから先端側の長さをl1、横駆動リンク2Abの長さをl2とすると、長従動リンク2Adの先端位置84のx座標及びy座標は、以下のように表されることになる。
【0043】
x = l1cosθ1+l2cosθ2 …(1)
y = l1sinθ1+l2sinθ2 …(2)
このようにして算出したx,y座標は、比較処理器5Abへ送られる。
【0044】
このとき一方、比較処理器5Abには、介助者によって介助アーム装置2の可動範囲の設定値がキーボード52を介して入力される。この設定入力方法を図1により説明する。
すなわち、介助者は、介助アーム装置2の可動範囲の設定値として、
▲1▼長従動リンク2Adの先端84とカバー3との間の距離の最小値L1
(被訓練者及び介助者の身体が占める空間の厚みより大きい値、例えばL1=300mm)
▲2▼長従動リンク2Adの先端84と歩行面4Aとの間の距離の最小値L2
(被訓練者及び介助者の身体が占める空間の厚みより大きい値、例えばL2=300mm)
▲3▼長従動リンク2Adの先端84の歩行面4Aからの高さの最大値L3
(被訓練者Uの身長に応じて決定する値、例えばL3=1100mm)
の3つを設定する。
なお、これらの操作は、装置を使用する毎に行っても良いし、一度設定した値を記憶しておき、操作者が変更しないかぎりその値を使用しても良い。
【0045】
ここにおいて、上記▲1▼〜▲3▼の設定条件は、前述した基準座標系で表すと、以下のようになる。
▲1▼は、基準座標原点からカバー3までのx軸方向の距離をαとして、
min = α+L1 = α+300
▲2▼は、基準座標原点から歩行面4Aまでのy軸方向の距離をβとして、
min = −β+L2 = −β+300
▲3▼は、基準座標原点から歩行面4Aまでのy軸方向の距離をβとして、
max = −β+L3 = −β+1100
なおこのymaxは被訓練者Uによって変化する値なので、操作者が訓練を行う毎に入力するか、情報バンクを設け、被訓練者個人情報として書き込み・読み出し可能に管理保管しても良い。これにより、被訓練者の体型に応じた介助アーム装置2の駆動制御を容易に行うことができる。
【0046】
上記▲1▼〜▲3▼の設定により、長従動リンク2Adの先端84の可動範囲は、
x ≧ α+300 …(3)
かつ、
−β+300 ≦ y ≦ −β+1100 …(4)
となり、図1中斜線で示した領域が設定した可動範囲となる。
【0047】
そして、比較処理器5Abは、(1)式により算出されたxが(3)式の条件を満たしているかどうか、及び(2)式により算出されたyが(4)式の条件を満たしているかどうか比較を行う。
【0048】
図8に戻り、x及びyが(3)式(4)式の条件をすべて満たしている場合は、比較処理器5Abはサーボ制御処理器5Acへ正常状態を通知する。サーボ制御処理器5Acでは、正常時のサーボ処理を行い、回転機構2Bの左・右回転指示部76A,76Bにモータ駆動指令値を出力する。
【0049】
サーボ制御処理器5Acにおけるサーボ制御の詳細を表すブロック図を図10に示す。
図10において、まず、長従動リンク2Adの先端に発生させる力Fを、応力目標値とする。
そして、この目標値Fを基にして変換行列乗算器101で左・右回転駆動軸74A,74Bへのトルク目標値Toを算出する。すなわち、変換行列乗算器101において、左・右回転駆動軸74A,74Bの角度と各リンク2Aa〜dの長さから求められるヤコビアン行列の転置Tf(変換行列)を応力目標値Fに乗じてトルク目標値Toとする。求められたトルク目標値Toは減算器102及び加算器104へと送られる。この加算器104へ向かう流れは、いわゆるフィードフォワード制御に該当する。
減算器102は、トルク目標値Toと前述した左・右トルクセンサとの応答Tとの偏差To−Tを求め、トルクフィードバックゲイン乗算器103へと送る。
トルクフィードバックゲイン乗算器103は、予め設定されたトルクフィードバックゲインKtを偏差To−Tに乗じて操作量X1を算出し、加算器104へ送る。このときの減算器102及びフィードバックゲイン乗算器103がいわゆるフィードバック制御系を構成する。
加算器104は、変換行列乗算器101からのトルク目標値Toと、フィードバックゲイン乗算器103の操作量X1との和を求め、結果を減算器106へ送る。
【0050】
一方このとき、前述した左・右角速度センサからの応答ωに対して、速度ゲイン105において予め設定された速度フィードバックゲインKvが乗じられており、その結果が操作量X2として減算器106へ送られている。
そして、減算器106では、加算器104からのTo+X1と、速度ゲイン105からのX2との差を操作量信号X3として回転機構2Bの左・右回転指示部76A,76Bに送信する。回転指示部76A,Bは、この操作量信号X3に基づき左・右回転駆動軸74A,74Bを回転制御し、これによって、保持機構2Fには、被訓練者Uに作用する力が与えられる。
【0051】
以上のようなアーム制御部5Aにおける介助アーム装置2の動作の制御により回転軸74Cが回転し、この回転軸74Cの回転角度にしたがって縦駆動リンク2Aaが上下動し、そしてこの動きに連動して短従動リンク2Acが上下動する。同様に介助アーム装置2の動作の制御により回転軸74Dが回転し、回転軸74Dの回転角度にしたがって横駆動リンク2Abが横移動する。この結果、長従動リンク2Adは、横駆動リンク2Ab及び短従動リンク2Acの動きに追従して動く。このような動作挙動の例を図11(a)〜(d)に示す。
図11(a)は初期姿勢を表している。この状態から、右側回転軸74Cに固定された横駆動リンク2Aaが回転せず、左側回転軸74Dに固定された縦駆動リンク2Abのみが回転すると、図11(b)に示すように主として長従動リンク2Adが横方向へスライドする動きのみを示す。なお図では長従動リンク2Adに取り付けられた保持機構2Fの支持部81が被訓練者U側(図中左側)へ突き出る動きを示しているが、逆方向へもスライド可能であることはいうまでもない。
一方、図11(a)の初期姿勢状態から、左側回転軸74Dに固定された縦駆動リンク2Abが回転せず、右側回転軸74Cに固定された横駆動リンク2Aaのみが回転すると、図11(c)に示すように支持部81が主として上下方向へ動く。
そしてさらに、図11(d)に示すように、縦駆動リンク2Ab及び横駆動リンク2Acを同時に動かすと、矢状面内のかなり広い範囲で支持部81を動かすことができる。よって、保持機構2Fを広範囲に動かすことができる。
【0052】
図8に戻り、一方、比較処理器5Abにおいて、x及びyが、(3)式(4)式の3つの条件のうちいずれか1つでも満たしていないことが判明した場合は、比較処理器5Abは、サーボ制御処理器5Acへ異常状態を通知すると共に、回転機構2Bの左・右回転指示部76A,76Bへ停止指令を出力する。この結果サーボ制御処理器5Acは比較処理器5Abから正常状態の通知が来るまで待機し、また左・右回転指示部76A,76Bは、それぞれ左・右回転駆動軸74A,Bの駆動を停止する。
なおこの時、比較処理器5Abが左・右回転駆動軸74A,Bへの電力供給を遮断する構成にしても良い。この場合、比較処理器5Abは、駆動手段の電力供給を遮断する遮断手段をも構成する。
【0053】
上記一連の制御処理は、歩行訓練装置の駆動開始から終了まで一定時間間隔で繰返し行う。
【0054】
なお、上記したアーム制御部5Aにおいて、回転機構2Bに設けられた図示しない角度センサと先端位置算出器5Aaとが、アームの先端の位置を検出する検出手段を構成し、キーボード52がアームが動き得る制御領域を設定する領域設定手段を構成し、比較処理器5Abがアームが制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段を構成し、左・右回転指示部76A,76Bが駆動手段の動作を停止する駆動停止手段を構成する。
【0055】
以上のように構成した本実施例においては、まず、訓練の介助を行う介助者が、訓練メニューや介助方法等を選択するときに同時にアーム制御部5Aのキーボード52を介して介助アーム装置2の長従動リンク2Adの先端84が動き得る可動範囲を、例えばx≧α+300かつ−β+300≦y≦−β+1100と設定する。このような範囲設定が終了した後、(a)車椅子中の被訓練者Uに介助アーム装置2の長従動リンク2Ad先端を近づけて被訓練者Uを保持機構2Fと一体化させる。その後、(b)長従動リンク2Adを上方へ動かし被訓練者Uを車椅子から引き上げて訓練位置まで誘導し、(c)歩行面4Aを駆動させるとともに長従動リンク2Adに所定の反力を与え歩行訓練を開始する。なおこれら(a)(b)(c)の手順における長従動リンク2Adの移動は、被訓練者U又は介助者が手で軽く動かすとこれに回転機構2Bによる長従動リンク2Ad等の動きが追従する構成でもよいし、介助者が制御装置5のキーボード52等によって長従動リンク2Ad等の動きを操作してもよい。そして訓練中の介助アーム装置2は、鉛直上方への一定の力と歩行方向への力とを被訓練者Uに対して作用させ、これによって被訓練者Uは適正な抵抗を受けつつ歩行訓練を行う。
この訓練前〜訓練中における一連の介助アーム装置2の全動作中を通じて、角度センサからの入力信号に基づき、アーム制御部5Aの先端位置算出器5Aaにおいて長従動リンク2Adの先端84の位置が検出されており、この先端位置算出器5Aaによる算出結果と、可動範囲であるx≧α+300かつ−β+300≦y≦−β+1100とが比較処理器5Abで比較され、この範囲内にあればサーボ制御処理器5Acで通常の制御を行い、範囲内になければ左・右回転指示部76A,76Bを介して、右回転駆動軸74A,Bの駆動を停止する。すなわち、上記した可動範囲内でのみ動作可能とする制限制御が行われる。
これにより、たとえ介助者が誤操作したり、あるいは故障により介助アームが誤動作し、被訓練者Uを保持する保持機構2Fがカバー3や歩行面4Aに接近し過ぎて、被訓練者Uや介助者が保持機構2F・長従動リンク2Adとカバー3・歩行面4Aとの間の狭い空間で無理な体勢・不自然な姿勢となったり、保持機構2Fが上方へ移動し過ぎて、被訓練者Uの身体が浮いて不自然な体勢となったりすることが防止され、被訓練者U・介助者の肉体的な負担を軽減することができる。
【0056】
なお、上記第1の実施例においては、比較処理器5Abにおいて、x及びyが、(3)式(4)式の3つの条件のうちいずれか1つでも満たしていないことが判明した場合は、回転機構2Bの左・右回転指示部76A,76Bへ停止指令を出力したが、これに限られず、例えば下記の2つの変形例が考えられる。
(i)復帰指令を出す構成
例えば、比較処理器5Abからの指令を受け復帰制御を行う復帰制御処理器を別途設けるものである。すなわち、比較処理器5Abにおいて、x及びyが、(3)式(4)式の3つの条件のうちいずれか1つでも満たしていないことが判明した場合は、比較処理器5Abは、長従動リンク2Adの先端84の位置指令値xref,yrefとして、
x<xminの場合、 xref=xmin+a,yref=y (例えばa=5mm)
y<yminの場合、 xref=x,yref=ymin+b (例えばb=5mm)
y>ymaxの場合、 xref=x,yref=ymax−c (例えばc=5mm)
を復帰制御処理器に出力する。
復帰制御処理器では、上記の位置指令値xref,yrefに基づき、下記の2つの式、すなわち、
Figure 0003710511
によって回転機構2Bの左・右回転駆動74A,Bの回転角度θ1ref2refを算出し、左・右回転指示部76A,76Bにこの角度θ1ref2refに対応するモータ駆動指令値を出力する。これに応じて左・右回転指示部76A,76Bが左・右回転駆動軸74A,74Bを駆動させるので、長従動リンク2Adの先端84が可動範囲内に復帰する。
なお、このとき復帰制御処理器は、復帰駆動信号を駆動信号に出力する復帰駆動手段を構成する。また、復帰制御処理器を新たに設けず、サーボ制御処理器5Acにこの機能を持たせてもよい。
【0057】
(ii)停止指令を出す構成
例えば、比較処理器5Abからの指令を受け停止制御を行う停止制御処理器を別途設けるものである。すなわち、比較処理器5Abにおいて、x及びyが、(3)式(4)式の3つの条件のうちいずれか1つでも満たしていないことが判明した場合は、比較処理器5Abは、左・右回転駆動軸74A,Bの回転角度位置指令値θ1ref,θ2refとして、左・右角度センサによって検出された回転角度θ12を停止制御処理器に出力する。
【0058】
停止制御処理器では、上記の位置指令値θ1ref,θ2refに基づき、左・右回転指示部76A,76Bにこの角度θ1ref2refに対応するモータ駆動指令値を出力する。これに応じて左・右回転指示部76A,76Bは左・右回転駆動軸74A,74Bの駆動を現在位置に停止させる。
【0059】
なお、このとき、停止制御処理器は、アームを停止させるための停止位置信号を出力する停止位置指令手段を構成する。また、停止制御処理器を新たに設けず、サーボ制御処理器5Acにこの機能を持たせてもよい。
【0060】
本発明の第2の実施例を図12により説明する。本実施例も、本発明を歩行訓練装置に適用した場合の実施例である。
本実施例の対象となる歩行訓練装置が第1の実施例の歩行訓練装置1と異なる点は、制御装置5のアーム制御部5Aに、長従動リンク2Adの先端84が可動範囲外にあると判定された場合にそのことを被訓練者U・介助者に警告する介助アーム状態警告器15を設けたことである。介助アーム状態警告器15は、ランプまたはブザーまたは、ディスプレイの表示など、被訓練者U・介助者に可動範囲を超えたことを知らせることができる機器によって構成されており、この介助アーム状態警告器15の動作中には、介助者等が長従動リンク2Adの先端84を可動範囲内に戻す方向へ操作を行うまで、介助アーム装置2は待機状態となるように構成される。
【0061】
その他の構成は、上記第1の実施例とほぼ同様である。
【0062】
本実施例によっても、第1の実施例と同様の効果を得る。
【0063】
本発明の第3の実施例を図13〜図17により説明する。本実施例は、本発明を、比較的軽微な歩行障害を生じた者の自力歩行を補助する歩行補助装置に適用した場合の実施例である。
本実施例の対象となる歩行補助装置320の全体構成を示す概念図を図13に示す。
図13において、歩行補助装置320は、移動機構327と、この移動機構327に設けられた支柱354と、この支柱354の上端に設けられた保持アーム装置306とを有する。
【0064】
移動機構327は、その後方に左右に設けた駆動輪328と、駆動輪328の近傍に設けられそれらを駆動する駆動モータ362と、前方に設けられた従動輪329と、これらの動作を制御する移動機構制御装置365と、後述する距離センサ336Aとを有している。また、この移動機構制御装置365の近傍には、後述する距離センサ366aを備え、保持アーム装置306を制御する保持アーム制御装置366と、距離センサ366A及び後述する角度センサ・角速度センサを制御するセンサ制御装置367と、電源装置368等が設けられており、これらはいずれも移動機構327、支柱354等ともにカバー369によって被われている。
移動機構327の駆動輪328及び従動輪329は、車輪として図示してあるが、脚・キャタピラ・その他の方式でもよい。駆動輪328は、駆動モータ362から図示しない変速機構・ベルト等によって動力が伝達されており、左・右2つの駆動輪328の駆動速度の差や駆動方向の違いによって操舵方向を決定する方式で信地旋回など小さな回転半径を実現する構成としている。また従動輪329はキャスタータイプのものが1つ設けられており車輪の向きは駆動輪328によって操舵方向に自由に向く構成である。
また移動機構制御装置365による移動機構327の制御は、保持アーム321の根元に配置された作用力検出器374により検出された前方向の力が利用される。すなわち、並進用駆動モータ324及び回転用駆動モータ325,364により可動アーム322の姿勢が変化すると、これによって保持アーム321の位置が(図13の紙面内で)2次元的に変化する。保持アーム321の位置変化は被補助者Vとの相対位置変化となり、それにより被補助者Vから保持アーム321への作用力が変化し、作用力検出器374により検出される。検出された移動方向への作用力は移動機構制御装置365に入力され、移動機構制御装置365は被補助者Vが進みたいとしている方向と作用力とを演算し、その作用力があらかじめ図示しない記憶装置に記憶されている目標値と常に等しくなるように駆動輪328の駆動力を制御する。この目標値は、例えば作用力の20%と設定し記憶しておけば、常に前方向移動力の20%が歩行補助装置320により補助される一方、残りの移動力は被補助者V自らの力で発生させて移動を行うことで、移動補助が実現される。
【0065】
保持アーム装置306は、可動アームホルダ307と、可動アームホルダ307の内部に内蔵された並進用駆動モータ324と、両端にストッパ310及び使用者である被補助者Vの身体を支える保持アーム321を備えた可動アーム322と、保持アーム321の付け根部分に設けられた作用力検出器324と、保持アーム321の近傍で被補助者Vが腕をかけたときに手が届く範囲に設けられ、被補助者Vの意思を伝えるとともに装置の状態を被補助者Vに示す操作盤312と、回転軸323を中心に可動アーム322を回転するために設けられ、支柱354の上部と可動アームホルダ307を斜めに支持する回転用駆動モータ325,364とを有している。また各駆動モータ324,325,364には、保持アーム制御装置の一部を構成し、各駆動モータ324,325,364による角度及び角速度を検出する図示しない角度センサ及び角速度センサがそれぞれ設けられている。
【0066】
保持アーム装置306の動作は、保持アーム制御装置366によって制御される。本実施例の要部であるこの保持アーム制御装置366による制御内容を表すブロック図を図14に示す。
図14に示す保持アーム制御装置366内において、まず、前述した角度センサによって検出された各駆動モータ324,325,364の回転軸の回転角度が、先端位置算出器366aに入力される。先端位置算出器366aは、入力された回転角度から、保持アーム321が取り付けられる可動アーム322の先端位置を算出する。この算出方法を図15により説明する。図15は、保持アーム装置306の可動アーム322と、回転軸323の位置を原点とする基準座標系との関係を簡略化して示したものである。
図15において、可動アーム322の回転軸323から先端側の長さをd、水平方向となす角をθ3とすると、可動アーム322の先端位置314のx座標及びy座標は、以下のように表されることになる。
【0067】
x = d×cosθ3 …(11)
y = d×sinθ3 …(12)
すなわち、先端位置算出器366aは、角度センサからの各駆動モータ324,325,364の3つの回転角度から角度θ3及び並進距離dを算出し、このθ3及びdを用いて上記(11)(12)式からx,y座標を算出して、比較処理器366bへ送る。
【0068】
図14に戻り、このとき、比較処理器366bには、保持アーム制御装置366に備えられた入力手段(例えば操作盤312に設けられていてもよい)を介し、被補助者によって可動アーム322の可動範囲の設定値が入力されている。この設定入力方法を図16により説明する。図16は、図15で示した基準座標上における歩行補助装置320と可動範囲の設定値との関係を示した概念図である。
図16において、被補助者は、保持アーム装置306の可動範囲の設定値として、
▲1▼可動アーム322の先端314と障害物(例えば歩行補助装置320が設置される壁面341)との間の距離の最大値T1
(被訓練者及び介助者の身体が占める空間の厚みより大きい値、例えばT1=300mm)
▲2▼可動アーム322の先端314と歩行補助装置320が設置される床面340との間の距離の最小値T2
(被補助者の身体が占める空間の厚みより大きい値、例えばT2=300mm)
▲3▼可動アーム322の先端314の床面340からの高さの最大値T3
(被補助者Vの身長に応じて決定する値、例えばT3=1100mm)
の3つを設定する。
なお、これらの操作は、装置を使用する毎に行っても良いし、一度設定した値を記憶しておき、操作者が変更しないかぎりその値を使用しても良い。
【0069】
ここにおいて、上記▲1▼〜▲3▼の設定条件は、前述した基準座標系で表すと、以下のようになる。
▲1▼は、基準座標原点から距離センサ336Aまでのx軸方向の距離をγ、距離センサ336Aが検出した障害物までの距離をxsensorとして、
max = γ+xsensor−T1 = γ+xsensor−300
なお、xsensorの値は時々刻々変化するものであり、図14に示すように、距離センサ336Aがリアルタイムで計測して比較処理器366bに入力する。
【0070】
▲2▼は、基準座標原点から床面340までのy軸方向の距離をβとして、
min = −β+T2 = −β+300
▲3▼は、基準座標原点から床面4Aまでのy軸方向の距離をβとして、
max = −β+T3 = −β+1100
なおこのymaxは被補助者Vによって変化する値なので、歩行補助を行う毎に入力するか、情報バンクを設け、被補助者個人情報として書き込み・読み出し可能に管理保管しても良い。これにより、被補助者の体型に応じた保持アーム装置306の駆動制御を容易に行うことができる。
【0071】
上記▲1▼〜▲3▼の設定により、可動アーム322の先端314の可動範囲は、
x ≧ γ+xsensor−300 …(13)
かつ、
−β+300 ≦ y ≦ −β+1100 …(14)
となり、図16中斜線で示した領域が設定した可動範囲となる。
【0072】
図14に戻り、比較処理器366bは、(11)式により算出されたxが(13)式の条件を満たしているかどうか、及び(12)式により算出されたyが(14)式の条件を満たしているかどうか比較を行う。
【0073】
x及びyが(13)式(14)式の条件をすべて満たしている場合は、比較処理器366bはサーボ制御処理器366cへ正常状態を通知する。サーボ制御処理器366cでは、正常時のサーボ処理を行い、駆動モータ324,325,364に対応するモータ駆動指令値を出力する。
【0074】
サーボ制御処理器366cにおけるサーボ制御の詳細を表すブロック図を図17に示す。
サーボ制御処理器366cにおける駆動モータ324,325,364の制御は、保持アーム321の付け根に設けた作用力検出器374で検出された下方向の力を利用して行われ、3つの駆動モータ324,325,364に関し互いにほぼ同様に以下のようにして行われる。
すなわち、図17において、保持アーム321への作用力は、作用力検出器374で検出され、変換器345に入力される。変換器345では、入力された作用力を、駆動モータ324,325,364への指令値と同じ物理量(例えば駆動トルク)をもつ制御量346に変換する。変換された制御量346は、減算器355へと送られる。
一方このとき、被保持者Vを支持する支持力の目標値があらかじめ図示しない記憶装置に記憶されており、この目標値が同様に変換器342に入力され、駆動モータ324,325,364への指令値343となる。そしてこの指令値343は、減算器355及び加算器357へ送られる。なお加算器357へと向かう流れがいわゆるフィードフォワード制御である。
減算器355においては、変換器342から入力された指令値343と変換器345から入力された制御量346との偏差347が求められ、この偏差347が制御ゲイン348へと送られる。制御ゲイン乗算器348においては、入力された偏差347にフィードバックゲインKtを乗じて操作量が求められ、この操作量が加算器357に送られる。なお減算器355及び制御ゲイン乗算器348がいわゆるフィードバック制御系を構成する。
【0075】
加算器357においては、変換器342からの指令値343と制御ゲイン乗算器348からの操作量とが加算されて駆動モータ目標値349となり、減算器356へ送られる。
【0076】
また一方、角速度検出手段で検出された各駆動モータ324,325,364で検出された角速度350は、速度ゲイン乗算器351に入力され、あらかじめ設定されている速度フィードバックゲインKvが乗じられる。そしてこのKvを乗じた結果が操作量として減算器356へ送られる。
【0077】
減算器356においては、加算器357からの駆動モータ目標値349と速度ゲイン乗算器351からの操作量との偏差を求め、これを駆動モータ制御量偏差352として各駆動モータ324,325,364へ送られる。
【0078】
上記一連の制御により、保持アーム装置306からの作用力が常に一定に被補助者Vに作用し、常に一定の支持力で被補助者Vを保持する制御が実現できる。
また、記憶装置内の目標値を適宜変更することで、被補助者Vの障害の度合いに応じた適切な補助を実現することができる。
【0079】
図14に戻り、一方、比較処理器366bにおいて、x及びyが、(13)式(14)式の3つの条件のうちいずれか1つでも満たしていないことが判明した場合は、第1の実施例同様、比較処理器366bは、サーボ制御処理器366cへ異常状態を通知すると共に、駆動モータ324,325,364へ停止指令を出力する。この結果サーボ制御処理器366cは比較処理器366bから正常状態の通知が来るまで待機し、また駆動モータ324,325,364は駆動を停止する。
なおこの時、比較処理器366bが駆動モータ324,325,364への電力供給を遮断する構成にしても良い。
【0080】
上記一連の制御処理は、歩行訓練装置の駆動開始から終了まで一定時間間隔で繰返し行う。
【0081】
なお、上記した保持アーム制御装置366において、駆動モータ324,325,364に設けられた図示しない角度センサと、先端位置算出器366aとが、アームの先端の位置を検出する検出手段を構成し、T1,T2,T3を設定入力する入力手段が、アームが動き得る制御領域を設定する領域設定手段を構成し、比較処理器366bが制限領域内でのみアームの動作を可能とする制限制御手段を構成する。
【0082】
以上のように構成した本実施例においては、まず、補助されつつ歩行を行うことする被補助者Vが、動作モード等を選択するときに同時に入力手段を介して可動アーム322の先端314が動き得る可動範囲を、例えばx≧γ+xsensor−300かつ−β+300≦y≦−β+1100と設定する。このような範囲設定が終了した後、被補助者Vは保持アーム321を把持しつつ歩行を開始する。なお可動アーム322の姿勢変更動作は、被補助者Vが手で軽く動かすとこれに駆動モータ324,325,364による動きが追従する構成でもよいし、保持アーム制御装置366に備えられた図示しない入力手段等によって可動アーム322が操作される構成でもよい。そして歩行補助中の保持アーム装置306は、鉛直上方への一定の力と歩行方向への力を被補助者Vに対して作用させており、これによって被補助者Vは体重のうちの一部を適正な割合で補助されつつ自身の脚力で歩行することができる。
この補助前〜補助中における一連の保持アーム装置306の全動作中を通じて、角度センサからの入力信号に基づき、保持アーム制御装置366の先端位置算出器366aにおいて可動アーム322の先端314の位置が検出されており、この先端位置算出器366aによる算出結果と、可動範囲であるx≦γ+xsensor−300かつ−β+300≦y≦−β+1100とが比較処理器366bで比較され、この範囲内にあればサーボ制御処理器366cで通常の制御を行い、範囲内になければ駆動モータ324,325,364の駆動を停止する。すなわち、上記した可動範囲内でのみ動作可能とする制限制御が行われている。
これにより、たとえ被補助者が誤操作したり、あるいは故障により可動アーム322が誤動作し、被補助者Vを保持する保持アーム321が床面340や壁面341に接近し過ぎて、被補助者Vが保持アーム321と床面340・壁面341との間の狭い空間で無理な体勢・不自然な姿勢となったり、保持アーム321が上方へ移動し過ぎて、被補助者Vの身体が浮いて不自然な体勢となったりすることが防止され、被補助者Vの肉体的な負担を軽減することができる。
【0083】
なお、上記第3の実施例においては、比較処理器366bにおいて、x及びyが、(13)式(14)式の3つの条件のうちいずれか1つでも満たしていないことが判明した場合は、駆動モータ324,325,364へ停止指令を出力したが、これに限られず、第1の実施例同様、例えば下記の2つの変形例が考えられる。
(i)復帰指令を出す構成
例えば、比較処理器366bからの指令を受け復帰制御を行う復帰制御処理器を別途設けるものである。すなわち、比較処理器366bにおいて、x及びyが、(13)式(14)式の3つの条件のうちいずれか1つでも満たしていないことが判明した場合は、比較処理器366bは、可動アーム322の先端314の位置指令値xref,yrefとして、
x>xmaxの場合、 xref=xmax−a,yref=y (例えばa=5mm)
y<yminの場合、 xref=x,yref=ymin+b (例えばb=5mm)
y>ymaxの場合、 xref=x,yref=ymax−c (例えばc=5mm)
を復帰制御処理器に出力する。
復帰制御処理器では、上記の位置指令値xref,yrefに基づき、対応する可動アーム322の回転角度の指令値θref及び並進距離の指令値drefを算出し、各駆動モータ324,325,364にこのθref及びdrefに対応するモータ駆動指令値を出力する。これにより、可動アーム322の先端314が可動範囲内に復帰する。
なお、この場合、比較処理器366bは制限制御手段のうち、アームが制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段のみを構成し、復帰制御処理器が復帰駆動信号を出力する復帰駆動手段を構成することとなる。また、復帰制御処理器を設けず、サーボ制御処理器366cにこの機能を持たせてもよい。
【0084】
(ii)停止指令を出す構成
例えば、比較処理器366bからの指令を受け停止制御を行う停止制御処理器を別途設けるものである。すなわち、比較処理器366bにおいて、x及びyが、(13)式(14)式の3つの条件のうちいずれか1つでも満たしていないことが判明した場合は、比較処理器366bは、各駆動モータ324,325,364の位置指令値θref,drefとして、角度センサによって検出された回転角度θ,dを出力する。
【0085】
停止制御処理器では、上記の位置指令値θref,drefに基づき、各駆動モータ324,325,364にこのθref及びdrefに対応するモータ駆動指令値を出力する。これに応じて各駆動モータ324,325,364は現在位置に停止する。なお、この場合、比較処理器366bは制限制御手段のうち、アームが制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段のみを構成し、停止制御処理器がアームを停止させる信号を出力する停止位置指令手段を構成することとなる。また、停止制御処理器を設けず、サーボ制御処理器366cにこの機能を持たせてもよい。
【0086】
また、上記第3の実施例においても、第2の実施例と同様、可動アーム322の先端314が可動範囲外にあると判定された場合、そのことを被訓練者Vに警告する保持アーム状態警告器を設けてもよく、この場合も同様の効果を得る。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、一連のアームの全動作中を通じ、検出手段による検出結果と領域設定手段による制限領域設定とに従って、制限制御手段で領域制限制御が行われるので、たとえ使用者等が誤操作したり、あるいは故障によりアームが誤動作した場合であっても、アームは制限領域外において動作することはない。よって、アーム先端が例えばアーム支持手段・環状ベルト・設置された部屋の壁面・床面に接近し過ぎて使用者等が狭い空間で無理な体勢・不自然な姿勢となったり、アーム先端が上方へ移動し過ぎて使用者の身体が浮いて不自然な体勢となったりすることが防止される。よって、使用者等の肉体的な負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の対象となる歩行訓練装置の介助アーム装置の詳細構造を表す側面図である。
【図2】図1に一部を示した歩行訓練装置の全体構成を示す概念図である。
【図3】図2に示した歩行訓練装置に備えられた歩行面装置の詳細構造を示す概念図である。
【図4】図3に示した歩行面装置を制御する歩行面制御部による制御内容を表すブロック図である。
【図5】図1に示した回転機構の詳細構造を示す断面図である。
【図6】図1に示した長従動リンクの詳細構造を示す側面図である。
【図7】図1に示された保持機構に備えられた把持部近傍の詳細構造を表す側面図である。
【図8】アーム制御部による制御内容を表すブロック図である。
【図9】介助アーム装置の可動リンク機構と、回転機構の回転軸位置を原点とする基準座標系との関係を簡略化して示した説明図である。
【図10】図8に示されたサーボ制御処理器におけるサーボ制御の詳細を表すブロック図である。
【図11】介助アーム装置の動作挙動の例を示す概念図である。
【図12】本発明の第2の実施例によるアーム制御部による制御内容を表すブロック図である。
【図13】本発明の第3の実施例の対象となる歩行補助装置の全体構成を示す概念図である。
【図14】図13に示された歩行補助装置に備えられた保持アーム制御装置による制御内容を表すブロック図である。
【図15】保持アーム装置の可動アームと、回転軸の位置を原点とする基準座標系との関係を簡略化して示した説明図である。
【図16】図15で示した基準座標上における歩行補助装置と可動範囲の設定値との関係を示した概念図である。
【図17】図14に示されたサーボ制御処理器におけるサーボ制御の詳細を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 歩行訓練装置
2 介助アーム装置
2A 可動リンク機構
2B 回転機構部
2Aa 縦駆動リンク
2Ab 横駆動リンク
2Ac 短従動リンク
2Ad 長従動リンク
2C 回転可能な節
2D 回転可能な節
2E 回転可能な節
2F 保持機構
3 カバー(アーム支持手段)
4 歩行面装置
4A 歩行面(環状ベルト)
5 制御装置
5A アーム制御部(アーム駆動制御装置)
5Aa 先端位置算出器
5Ab 比較処理器(判定手段)
15 アーム状態警告器(警告手段)
50 CRT
51 計算機
52 キーボード(領域設定手段)
76A 左回転指示部(駆動停止手段)
76B 右回転指示部(駆動停止手段)
84 長従動リンクの先端
320 歩行補助装置
321 保持アーム
322 可動アーム
324 並進用駆動モータ
325 回転用駆動モータ
364 回転用駆動モータ
366 保持アーム制御装置(アーム駆動制御装置)
366A 距離センサ(センサ)
366a 先端位置算出器
366b 比較処理器(制限制御手段)
369 カバー
1 長従動リンクの先端とカバーとの間の距離の最小値(第1の所定値)
2 長従動リンクの先端と歩行面との間の距離の最小値(第2の所定値)
3 長従動リンクの先端の歩行面からの高さの最大値(第3の所定値)
1 可動アームの先端と壁面との間の距離の最大値(第4の所定値)
2 可動アームの先端と歩行補助装置が設置される床面との間の距離の最小値(第5の所定値)
3 可動アームの先端の床面からの高さの最大値(第6の所定値)
U 被訓練者
V 被補助者

Claims (9)

  1. 被訓練者の歩道をなす環状ベルトを有する歩行訓練装置に備えられた被訓練者介助用の介助アームを駆動する駆動手段を制御するアーム駆動制御装置において、前記アームの先端の位置を検出する検出手段と、前記介助アームの先端と前記介助アームを支持するアーム支持手段との距離が被訓練者の身体が占める空間の厚みより大きい値となる第1の所定値以上、前記介助アームの先端と前記環状ベルトとの距離が被訓練者の身体が占める空間の厚みより大きい値となる第2の所定値以上、前記介助アームの先端の前記環状ベルトからの高さが被訓練者の身長に応じて決定する値である第3の所定値以下となるように、前記アームが動き得る制限領域を設定する領域設定手段と、前記検出手段による検出結果と前記領域設定手段に設定した制限領域とを比較し、前記検出結果が前記制限領域を超えた場合に前記制限領域内で前記アームの動作を可能とする制限信号を前記駆動手段に出力する制限制御手段とを備えたことを特徴とするアーム駆動制御装置。
  2. 請求項1記載のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、前記駆動手段の動作を停止する駆動停止手段とを備えたことを特徴とするアーム駆動制御装置。
  3. 請求項1記載のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、アームを制限領域内に戻す方向へ駆動するための復帰駆動信号を前記駆動手段に出力する復帰駆動手段とを備えたことを特徴とするアーム駆動制御装置。
  4. 請求項1記載のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、アームをその位置で停止させるための停止位置信号を前記駆動手段に出力する停止位置指令手段とを備えたことを特徴とするアーム駆動制御装置。
  5. 請求項2乃至4のいずれかに記載のアーム駆動制御装置において、前記判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、前記使用者に警告を行う警告手段をさらに備えたことを特徴とするアーム駆動制御装置。
  6. 被補助者の歩行を補助しつつ走行する歩行補助装置に備えられた被補助者保持用の保持アームを駆動する駆動手段を制御するアーム駆動制御装置において、 前記アームの先端の位置を検出する第1の検出手段と、前記歩行補助装置に設けられ、前記歩行補助装置が設置されている部屋の壁面との距離を検出する第2の検出手段と、前記保持アームの先端と前記歩行補助装置が設置されている部屋の壁面との距離が被補助者の身体が占める空間の厚みより大きい値となる第4の所定値以上、前記保持アームの先端と前記歩行補助装置が設置されている部屋の床面との距離が被補助者の身体が占める空間の厚みより大きい値となる第5の所定値以上、前記保持アームの先端の該歩行補助装置が設置されている部屋の床面からの高さが被補助者の身長に応じて決定する値である第6の所定値以下となるように制限領域を設定する領域設定手段と、前記第1及び第2の検出手段による検出結果と前記領域設定手段に設定した制限領域とを比較し、前記検出結果が前記制限領域を超えた場合に前記制限領域内で前記アームの動作を可能とする制限信号を前記駆動手段に出力する制限制御手段とを備えたことを特徴とするアーム駆動制御装置。
  7. 請求項6記載のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、前記駆動手段の動作を停止する駆動停止手段とを備えたことを特徴とするアーム駆動制御装置。
  8. 請求項6記載のアーム駆動制御装置において、前記制限制御手段は、前記アームが前記制限領域内にあるかどうかを判定する判定手段と、この判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、アームを制限領域内に戻す方向へ駆動するための復帰駆動信号を前記駆動手段に出力する復帰駆動手段とを備えたことを特徴とする アーム駆動制御装置。
  9. 請求項7または8に記載のアーム駆動制御装置において、前記判定手段でアームが制限領域外にあると判定されたときには、前記使用者に警告を行う警告手段をさらに備えたことを特徴とするアーム駆動制御装置。
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