JP3710161B2 - 電子写真機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子複写機,レーザプリンタ,ファクシミリ等の静電潜像形成に静電気を利用する電子写真機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電子写真機としては、例えば、図11に示す電子複写機がある。この電子複写機では以下のようにして入力情報が複写される。
【0003】
まず、コロナ帯電部1において、暗所で、コロナ放電を利用して感光体と呼ばれる半導体層が帯電される。次に、露光部2において、複写したい原稿(入力情報)に光が照射され、原稿と同じパターンを有する静電潜像が感光体上に形成される。次に、現像部3において、静電潜像と反対極性に帯電したトナーと呼ばれる着色微粒子が感光体上に振り掛けられる。このトナーはプラスチックでできており、通常は黒色をしている。次に、転写部4において、感光体上のトナーによる複写像が静電気力によって白い紙に写しとられる。次に、定着部5において、トナーに熱が加えられて溶かされ、紙の繊維の間に染み込まされてトナーが紙に固着する。次に、清掃部6において、感光体が除電され、残留トナーが清掃されて初期状態に戻される。この感光体は繰り返し使用される。このような一連の処理は数秒以内に終了する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電子複写機においては、感光体表面を帯電する帯電部1や、感光体表面を除電する清掃部6においてコロナ放電が用いられている。このため、コロナ放電時に有害なオゾンやNOxが多量に発生し、地球環境上好ましくなく、その対策が事務機器業界の大きな課題になっている。
【0005】
また、一連の電子複写処理が終了するのに上記のように6工程が必要とされるため、電子写真形成の高速化には限度があった。
【0006】
さらに、従来の電子写真形成の心臓部とも言える感光体を有した感光ドラムまたはベルトには、感光性と電荷保持性の双方の性質が必要とされる。しかも、これら性質は感光体に均一にもたらす必要がある。また、この感光体は現像,クリーニング工程において紙やブラシ,ローラ等に接触するため、耐磨耗性も要求される。従って、寿命等の問題も含めて考えると、感光体に採用することのできる素材範囲は大きく制限される。また、感光ドラムやベルトの価格の点においても、例えば小型なものでも3〜5万円であり、機器内部品としては高価なものになっている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解消するためになされたもので、閉ループ状に形成されこの閉ループに沿って移動する基体と、この基体表面に形成された電荷保持材料からなる帯電層と、原稿に対応した光情報又は電気情報が入力され、入力された光情報又は電気情報をX線情報に変換し、基体の移動方向に交差する方向における一次元のX線情報として帯電層にX線を照射して、この帯電層表面に静電潜像を形成するX線発生手段と、この静電潜像に着色微粒子を付着させる現像手段と、この着色微粒子が付着した複写像を紙に転写する転写手段と、紙に転移した着色微粒子を定着させる定着手段と、基体表面に残留した着色微粒子を清掃する清掃手段とを備え、電子写真機を構成した。
【0008】
また、上記の電荷保持材料を高分子材料またはセラミックまたはガラスとして電子写真機を構成した。
【0009】
また、上記清掃手段にX線発生手段を備えた。
【0010】
【作用】
X線発生手段によって帯電層表面に入力情報に対応してX線が照射されることにより、このX線が照射された帯電層表面には入力情報に対応した静電潜像が形成される。
【0011】
また、帯電層の電荷保持材料に用いられる高分子材料またはセラミックまたはガラスは耐磨耗性がよく、しかも、安価に得られる。
【0012】
また、清掃手段にX線発生手段を備えることにより、X線照射によって生じるイオンによって残留微粒子の残留電荷が中和される。
【0013】
【実施例】
図1は本発明の第1の実施例による電子複写機の概略構造を示す斜視図である。
【0014】
基体を構成するアルミニウム等からなる金属ドラム11は円筒形状をしており、その円筒面は閉ループ状になっている。この金属ドラム11はその円筒軸を中心に上記閉ループに沿って矢示の向きに移動する。金属ドラム11の外周面には、高分子材料からなる電荷保持機能を有する帯電層12が形成されている。この高分子材料には例えばポリエチレン,ポリフッ化ビニリデン,ナイロンなどの安価で耐磨耗性のよい材料が選択される。また、高分子材料の金属ドラム11表面への形成方法としては、コーティング法や、パイプ状のものをドラム外周に被覆する方法などが考えられる。帯電層12の近接した上部には、金属ドラム11の円筒面に沿って光励起X線発生手段13が設けられている。この光励起X線発生手段13は帯電書込部を構成しており、光励起X線管14とコリメータ(またはキャピラリー)15とから形成されている。光源16から原稿17に光が照射され、原稿17の縦方向に走査したライン状の原稿情報が一次元レンズ18によってX線管14に入射される。
【0015】
図2はこの帯電書込部を拡大して示す斜視図であり、図3はこの帯電書込部を構成する光励起X線管14およびコリメータ15を拡大して示す断面図である。
【0016】
レンズ18からの光は光励起X線管14のガラス窓19の内面に形成された光電面20に入射し、この光電面20で光電変換されて電子が放出される。X線管14はガラス窓19とX線放射窓21との間に絶縁物22が挟持されて構成されており、その内部は真空状態に保たれている。光電面20から放出された電子は、3〜10kVの高電圧により、X線管14の窓21の内表面に形成されたターゲット23に衝突する。このターゲット23はタングステン膜が蒸着されて形成されており、電子を受けるとX線を放射する。このX線はベリリウムまたはカーボンからなる上記のX線放射窓21を透過し、この窓21に密着して設けられた数μm〜数十μmのコリメータ15に入射する。このコリメータ15を通過したX線は、その広がりが最小限に抑えられて帯電層12の表面に照射され、帯電層12の表面には入力像に対応した高精細なX線像が形成される。このX線は帯電層12の上部の空気を電離し、イオンを生じさせる。帯電層12の下層部の金属ドラム11は接地されているため、X線が照射された帯電層12の表面にはプラスイオンが帯電する。この帯電によって帯電層12の表面に高精細な潜像電荷が形成される。原稿情報はこのように光→電子→X線→イオンと変換され、帯電像が形成されることになる。マイナスイオンまたは電子は、コリメータ15の表面の電極24に捕らえられる。
【0017】
帯電層12の表面に形成された静電潜像には現像部25においてトナー26が付着される。トナー26が付着した複写像は転写部27において紙28に転写される。紙28に転移したトナー26はローラー状の定着ヒーター29で加熱され、トナー26が紙28に定着させられる。帯電層12の表面に残留したプラスイオンは、X線管30から帯電層12の表面にX線が照射されることによって中和される。つまり、このX線の照射によって帯電層12の上部の空気が電離し、帯電層12の表面にプラスおよびマイナスのイオンが生じる。このうちのマイナスイオンは帯電層12の表面に残留したプラスイオンを中和し、トナー26に残留した電荷が除電される。除電されたトナー26はクリーニング部31において集められ、帯電層12の表面が清浄化される。
【0018】
このような本実施例による電子複写機によれば、X線発生手段13によって帯電層12の表面に入力情報に対応してX線が照射されることにより、このX線が照射された帯電層12の表面には入力情報に対応した静電潜像が形成される。従って、本装置の帯電書込機構によれば、従来の電子複写機における、感光ドラム全面を帯電させる帯電工程と、感光体を露光して感光体に原稿情報の書込を行う露光工程とが一度になされ、従来のこの露光工程は不要になる。よって、ドラムには感光性の機能が必要とされず、電荷(像)の保持機能のみを有していれば足りる。このため、従来、ドラムの表面には感光性の材料であるセレンやCdS,アモルファスシリコンまたは有機光導電体(OPC)を形成したが、本装置ではドラムの表面材料に上述した安価で耐磨耗性のよい高分子材料を用いることが可能になる。よって、本実施例による電子複写機によれば、電子複写が高速に行えると共に、寿命の長い装置が安価に得られる。なお、帯電層12の材料には上記の高分子材料以外にも同様に安価で耐磨耗性のよいセラミックやガラス材料などを用いることができ、この場合には、金属ドラム11の外周面にこれらセラミックやガラスを薄く形成することによって帯電層12が実現される。
【0019】
また、残留電荷の除電にもX線管30を用いることにより、従来用いられていたコロナ放電を使用することなく帯電および除電をすることが可能となる。このため、地球環境上好ましい電子複写機が実現される。
【0020】
図4は本発明の第2の実施例による電子複写機の概略構造を示す図であり、上記第1実施例によるドラム方式の複写機以外によく用いられているベルト方式の電子複写機である。
【0021】
基体であるベルト31は閉ループを形成している。このベルト31の外表面には高分子材料からなる帯電層12が形成されており、ベルト31上に形成されたこの帯電層12は駆動ローラ32によって上記閉ループに沿って移動する。また、この帯電層12に近接してX線発生手段33から構成される帯電書込部が設けられている。このX線発生手段33は電気入力X線管34とコリメータ(またはキャピラリ)15とで構成されている。
【0022】
図5はこのX線管34の概略構造を示す斜視図である。カソード35は電子放出陰極であり、このカソード35はガラス基板36上に形成された導電層37,およびこの導電層37上に10μmピッチ程度で1次元アレイ状に配置された円錐状突起部38によって構成されている。この突起部38は半導体微細加工によって形成されている。突起部38の頭部近傍周辺には絶縁層39を介してゲート電極40が設けられており、このゲート電極40は突起部38の頭部近傍に形成される電界を制御する。ターゲット41は例えばアルミニウム,タングステン,チタンなどの薄膜で形成され、突起部38から放出された電子を受けてX線を放射する。アレイ状に配置された突起部38およびターゲット41間の距離は0.5〜1mm程度に設定されるが、これら間に図示しないガラス板やセラミック製ボール等が挟持されることにより、突起部38およびターゲット41間は数百μmの間隔に正確に設定される。気密容器42はこれらカソード35,ゲート電極40およびターゲット41を真空状態に保っている。この気密容器42にはX線を透過するX線窓43が形成されている。このX線窓43は例えばBeやアモルファスカーボン等の材料によって形成されており、X線窓43には図4に示すようにコリメータ15が密着して設けられている。
【0023】
ゲート電極40には数10[V]程度のゲート電圧が印加され、ターゲット41のターゲット電圧は3〜10[kV]の電圧範囲に設定される。この電圧印加により円錐状突起部38の頭部周辺に形成される電界によって電子eが真空中へ放出される。この電子eはターゲット41に衝突し、ターゲット41はX線を放射する。このターゲット41から放射されるX線は窓43から容器外へ出射される。突起部38から放出される電子eはゲート電極40に印加するゲート電圧によって自由に制御される。従って、このゲート電圧に情報を入力することにより、原稿に対応した電気入力情報をX線情報に変換することができる。X線管34から放射されたX線はコリメータ15によってその広がりが抑えられ、ベルト31の表面に形成された帯電層12に照射される。このX線照射により帯電層12の上部の空気は電離し、イオンを生成する。ベルト31の閉ループ内には接地された電極35が設けられているため、X線照射によって生じたプラスイオンは帯電層12の表面に引き寄せられ、帯電層12の表面を帯電させる。この帯電によって帯電層12のX線照射部に静電潜像が形成される。
【0024】
以後の複写工程は上記の第1実施例と同様に行われる。つまり、帯電層12の表面に形成された静電潜像には現像部25においてトナー26が付着される。トナー26が付着した複写像は転写部27において紙28に転写される。紙28に転移したトナー26はローラー状の定着ヒーター29で加熱され、トナー26が紙28に定着させられる。帯電層12の表面に残留したプラスイオンは、X線管30から帯電層12の表面にX線が照射されることによって中和される。つまり、このX線の照射によって帯電層12の上部の空気が電離し、帯電層12の表面にプラスおよびマイナスのイオンが生じる。このうちのマイナスイオンは帯電層12の表面に残留したプラスイオンを中和し、トナー26に残留した電荷が除電される。除電されたトナー26はクリーニング部31において集められ、帯電層12の表面が清浄化される。
【0025】
このような本実施例による電子複写機によっても、上記実施例と同様な効果が奏され、電子複写が高速に行えると共に、寿命の長い電子複写機が安価に得られる。また、コロナ放電を使用することもないため、地球環境上好ましい電子複写機が実現される。
【0026】
また、この第2実施例による電子複写機の帯電書込部には、半導体微細加工によって形成された電子放出カソードを有する電気入力X線管34を用いたが、前述の第1実施例に用いた光励起X線管14をこの帯電書込部に用いても良い。逆に、前述の第1実施例の電子複写機にこの第2実施例に用いた電気入力X線管34を用いても良い。いずれの場合においても同様な効果が奏される。
【0027】
また、上述した第1および第2の実施例の帯電書込部における光励起X線管14および電気入力X線管34の代わりに、図6に示すブラウン管型X線管41を用いても良い。このX線管41は一次元タイプのブラウン管型X線管である。カソード42はヒーター43によって加熱され電子eを放出する。カソード42から発せられた電子eは、グリッド44に入力された原稿の濃淡強度情報信号(映像強度信号)によって制御され、偏向電極45に入力された原稿の映像位置信号により偏向されてターゲット46に入射する。このターゲット46は、バルブ47の窓48の内側にタングステン薄膜が蒸着して形成されている。バルブ47はガラスまたはセラミックからなり、その内部は真空状態に保たれている。また、窓48はベリリウムまたはカーボンからなる。カソード42およびターゲット46間には3〜10kVの高電圧が印加されており、ターゲット46からはこの印加電圧に応じたX線が出射される。このX線はコリメータ15を通過して高分子材料等からなる帯電層12に上述したように静電潜像を形成する。このようなブラウン管型X線管41を用いて帯電書込部を構成しても上記各実施例と同様な効果が奏される。
【0028】
また、上述した第1および第2の各実施例において除電部を構成するX線管30は、上述した光励起X線管14,電気入力X線管34またはブラウン管型X線管41のいずれを用いて構成しても良い。
【0029】
図7は本発明の第3の実施例による複写機の概略構成を示す斜視図である。同図において、図6と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0030】
この第3実施例による複写機は、帯電書込部に図6に示すブラウン管型X線管41が用いられている点が第1実施例による複写機と相違している。しかし、第1実施例による複写機と同様に原稿は光情報として取り入れられる。つまり、原稿17からの光はレンズ52を介して回転ミラー53に入射し、この反射光がホトダイオード51で電気信号に変換され、ブラウン管型X線管41に原稿情報が入力される。ブラウン管型X線管41は前述したように入力電気信号に応じてX線を出射し、金属ドラム11の表面に形成された帯電層12に静電潜像を形成する。
【0031】
図8は電子写真機の一つである本発明の第4の実施例によるレーザプリンタの概略構成を示す斜視図である。同図において、図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0032】
パーソナルコンピュータ等からの原稿映像信号は、従来のレーザプリンタと同様にレーザダイオード(またはHe−Neレーザ等)51に入力される。レーザダイオード51は入力信号に応じて発光し、この出力光はレンズ52を介して回転ミラー53に入射する。回転ミラー53に入射した光は反射し、前述の第1実施例に用いられた光励起X線管14に入射させられる。この際、回転ミラー53の回転は金属ドラム11の回転と十分に同期している。光励起X線管14は入射光に応じて前述のようにX線を出射し、このX線は金属ドラム11の表面に形成された帯電層12に静電潜像を形成する。以後、前述した第1実施例と同様な工程によって原稿情報が紙28に記録される。
【0033】
このようなレーザプリンタにおいても、前述の各実施例と同様な効果が奏され、高速に原稿情報を印刷することのできる寿命の長い装置が安価に実現される。さらに、オゾンを発生することもないので環境にも好ましい。
【0034】
図9は本発明の第5の実施例によるレーザプリンタの概略構成を示す斜視図である。同図において、図1,図4および図5と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0035】
この第5実施例によるレーザプリンタの帯電書込部は前述した第2実施例に用いた電気入力X線管34が用いられており、閉ループ状に形成された基体には前述した第1実施例に用いた金属ドラム11が用いられている。このレーザプリンタにおいては、原稿映像信号は、電気入力X線管34の電界放出型カソード制御回路に順次入力され、X線管34はこの入力信号に応じてX線を順次出射する。出射されたX線は前述のように帯電層12に静電潜像を形成する。以後の工程は前述した第1実施例と同様に行われ、原稿情報が紙28に記録される。
【0036】
本実施例によるレーザプリンタも上記の第4実施例によるレーザプリンタと同様な効果を奏する。また、これら第4および第5の実施例によるレーザプリンタは、デジタル複写機と呼ばれる、原稿情報をCCDなどの撮像素子に一度取り込んで映像電気信号に変換する方式の複写機にも応用することが可能である。また、レーザプリンタに代表されるページプリンタと呼ばれるプリンタには、この他にLEDアレイや液晶シャッター方式を用いたものがある。これら方式を用いた装置についても、上記第4実施例と同様に、LEDアレイや液晶シャッターにより制御された原稿の映像光信号を光励起X線管14に入射させ、静電潜像をドラム11の表面に形成することが可能である。
【0037】
図10は本発明の第6の実施例によるレーザプリンタの概略構成を示す斜視図である。同図において、図6および図9と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0038】
この第6実施例によるレーザプリンタは、帯電書込部に図6に示すブラウン管型X線管41が用いられている点が第4実施例によるレーザプリンタと相違している。しかし、第5実施例によるレーザプリンタと同様に原稿は映像信号として取り入れられる。つまり、原稿映像信号がブラウン管型X線管41に入力される。ブラウン管型X線管41は前述したように入力電気信号に応じてX線を出射し、金属ドラム11の表面に形成された帯電層12に静電潜像を形成する。
【0039】
この第6の実施例によるレーザプリンタもデジタル複写機に応用することが可能であり、また、上述した実施例と同様な効果を奏する。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、X線発生手段によって帯電層表面に入力情報に対応してX線が照射されることにより、このX線が照射された帯電層表面には入力情報に対応した静電潜像が形成される。このため、ドラム等の基体表面には電荷保持機能のみを有する帯電層を形成すれば足りる。従って、この帯電層の材料の選択の幅は広くなり、高分子材料またはセラミックまたはガラスといった安価で耐磨耗性の良い材料を用いることが可能となる。このため、従来の感光ドラムの欠点であった磨耗による寿命を向上させることが可能となり、メンテナンスの期間を長くすることができる。また、本発明によれば従来の露光工程が不要になるため、高速で動作する寿命の長い電子写真機が安価に提供される。
【0041】
また、清掃手段にX線発生手段を備えることにより、X線照射によって生じるイオンによって残留微粒子の残留電荷が中和される。このため、帯電および除電にコロナ放電を用いる必要がなくなり、オゾンを発生しない地球環境上好ましい電子写真機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるドラム方式の電子複写機の概略構造を示す斜視図である。
【図2】第1実施例による電子複写機の帯電書き込み部を拡大して示す斜視図である。
【図3】第1実施例による電子複写機の光励起X線管およびコリメータの部分を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるベルト方式の電子複写機の概略構造を示す図である。
【図5】第2実施例による電子複写機に用いられる電気入力X線管の斜視図である。
【図6】第1実施例および第2実施例による各電子複写機に用いられるブラウン管型X線管を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例によるブラウン管型X線管を用いた光入力複写機の概略構造を示す斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施例による光励起X線管を用いた光入力レーザプリンタの概略構造を示す斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施例による電気入力X線管を用いた電気入力レーザプリンタの概略構造を示す斜視図である。
【図10】本発明の第6の実施例によるブラウン管型X線管を用いた電気入力レーザプリンタの概略構造を示す斜視図である。
【図11】従来の電子複写機の概略構造を示す図である。
【符号の説明】
11…金属ドラム、12…帯電層、13…帯電書込部、14…光励起X線管、15…コリメータ、16…光源、17…原稿、18…レンズ、19…ガラス窓、20…光電面、21…X線放射窓、22…絶縁層、23…ターゲット、24…電極、25…現像部、26…トナー、27…転写部、28…紙、29…定着ヒーター、30…除電用X線管、31…クリーニング部。

Claims (6)

  1. 閉ループ状に形成されこの閉ループに沿って移動する基体と、
    この基体表面に形成された電荷保持材料からなる帯電層と、
    原稿に対応した光情報又は電気情報が入力され、入力された前記光情報又は前記電気情報をX線情報に変換し、前記基体の移動方向に交差する方向における一次元のX線情報として前記帯電層にX線を照射して、この帯電層表面に静電潜像を形成するX線発生手段と、
    この静電潜像に着色微粒子を付着させる現像手段と、
    この着色微粒子が付着した複写像を紙に転写する転写手段と、
    紙に転移した前記着色微粒子を定着させる定着手段と、
    前記基体表面に残留した前記着色微粒子を清掃する清掃手段とを備えて構成された電子写真機。
  2. 前記電荷保持材料は高分子材料またはセラミックまたはガラスであることを特徴とする請求項1記載の電子写真機。
  3. 前記X線発生手段は、光入力によって電子を放出する光電面と、放出された電子を受けてX線を放射するターゲットと、このターゲットから放射されるX線を透過する窓と、この窓に設けられたコリメータまたはキャピラリーとを備えて構成されることを特徴とする請求項1記載の電子写真機。
  4. 前記X線発生手段は、映像信号入力によって電子ビームを放射するブラウン管と、このブラウン管の電子ビーム放射面に設けられたターゲットと、このターゲットから放射されるX線を透過する窓と、この窓に設けられたコリメータまたはキャピラリーとを備えて構成されることを特徴とする請求項1記載の電子写真機。
  5. 前記X線発生手段は、半導体微細加工により一次元または二次元アレイ状に配置された突起部を有する電子放出陰極と、この突起部近傍に形成される電界を制御する制御電極と、前記電子放出陰極から放出された電子を受けてX線を放射するターゲットと、このターゲットから放射されるX線を透過する窓と、この窓に設けられたコリメータまたはキャピラリーとを備えて構成されることを特徴とする請求項1記載の電子写真機。
  6. 前記清掃手段はX線発生手段を備え、このX線発生手段から出射されるX線によって生じるイオンによって残留微粒子の残留電荷を中和することを特徴とする請求項1記載の電子写真機。
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