JP3709584B2 - 画像信号処理装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブロック化された画像信号を圧縮する場合、データ伝送量をより削除することができる画像信号処理装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像圧縮では、量子化により発生するデータ量(以下、発生データ量と称する)を削除する有効な手法の1つとして、供給されたサンプル値とそのサンプル値から予測された予測値との差分によって、求められた予測残差を所定のビット数で量子化するものがあるが、予測残差すべてを量子化するので、かなりの発生データ量になる。
【0003】
また、画像中には、部分的に残差の多い部分と少ない部分とが発生し、その全てを量子化する必要はなく、ブロックに分割し、それぞれの部分が量子化すべきか否か、すなわち量子化することが有意か否かを判定する有意判定によって、さらに発生データ量を削除することが出来る。有意判定によって、ある程度のしきい値以上となるような部分は、有意ブロックとして量子化を行い、しきい値以下となるような部分は、予測残差0と見なしてしまうことで、残差の大きな部分のみを部分的に量子化する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このとき、ブロックサイズの大きさが小さい場合、有意ブロックの出現確率は減少するが、総ブロック数が増えるため、各ブロック当りに必ず係るフラグなどオーバーヘッドが増えてしまうため、結果的には、有意判定なしのときより発生データ量が増えてしまう。また、ブロックサイズの大きさが大きい場合、総ブロック数は、減少するのでオーバーヘッドの影響は小さいが、有意ブロックの出現確率が増えてしまうため、有意判定なしのときよりほんのわずかに発生データ量は減少するだけとなる。
【0005】
従って、この発明の目的は、これらを鑑みて発生データ量をより削除することが可能な画像信号処理装置および方法を提案することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ブロック毎に入力されるサンプル値とその予測値との残差信号に対して量子化を行う画像信号処理装置において、ブロック毎に入力されるサンプル値からサンプル値から予測される予測値を減算し、残差信号を生成する残差信号生成手段と、ブロックに含まれる残差信号としきい値とを比較することによって、有意か否かをブロック毎に判定する有意ブロック判定手段と、有意ブロック判定手段の判定結果に基づきフラグを出力する第1のフラグ出力手段と、有意と判定されたブロックについて、階層的にブロックのブロックサイズより小さいサイズであるサブブロックに含まれる残差信号としきい値とを比較することによって、有意か否かをサブブロック毎に判定する有意サブブロック判定手段と、有意サブブロック判定手段の判定結果に基づきフラグを出力する第2のフラグ出力手段と、有意ブロック判定手段および有意サブブロック判定手段において、有意と判定されたブロックと、ブロックおよびサブブロックとの何れか1つに含まれる残差信号に関する量子化値を選択するために用いられる所定の値と、しきい値とを比較し、当該比較結果に基づいて量子化値を選択し、出力する出力手段とからなり、しきい値は、出力手段から出力される量子化値に基づいて決定されることを特徴とする画像信号処理装置である。
【0007】
さらに、請求項に記載の発明は、ブロック毎に入力されるサンプル値とその予測値との残差信号に対して量子化を行う画像信号処理方法において、ブロック毎に入力されるサンプル値からサンプル値から予測される予測値を減算し、残差信号を生成する残差信号生成工程と、ブロックに含まれる残差信号としきい値とを比較することによって、有意か否かをブロック毎に判定する有意ブロック判定工程と、有意ブロック判定工程の判定結果に基づきフラグを出力する第1のフラグ出力工程と、有意と判定されたブロックについて、階層的にブロックのブロックサイズより小さいサイズであるサブブロックに含まれる残差信号としきい値とを比較することによって、有意か否かをサブブロック毎に判定する有意サブブロック判定工程と、有意サブブロック判定工程の判定結果に基づきフラグを出力する第2のフラグ出力工程と、有意ブロック判定工程および有意サブブロック判定工程において、有意と判定されたブロックと、ブロックおよびサブブロックとの何れか1つに含まれる残差信号に関する量子化値を選択するために用いられる所定の値と、しきい値とを比較し、当該比較結果に基づいて量子化値を選択し、出力する出力工程とからなり、しきい値は、出力工程から出力される量子化値に基づいて決定されることを特徴とする画像信号処理方法である。
【0010】
このように、3階層または2階層の量子化値とすることで、発生データ量をより削除することが可能となり、1フレーム毎の発生データ量を一定とすることも可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1は、この発明の画像信号処理装置の一実施例のブロック図を示す。1で示す入力端子にディジタル化された画像がブロック毎に入力され、そのディジタル画像は、減算器2および動き検出回路14へ供給される。減算器2では、入力されたディジタル画像から予測回路13から供給された予測値が減算され、残差信号が生成される。生成された残差信号は、階層化有意判定回路3およびメモリ4へ供給される。
【0012】
ここで、階層化有意判定回路3の一例のブロック図を図2に示す。入力端子21を介して残差信号が階層化有意判定回路3へ供給される。その残差信号は、第1階層条件判定回路22、第2階層条件判定回路23および第3階層条件判定回路24へ供給される。また、入力端子28を介して情報量制御回路7からのフィードバック信号がしきい値決定回路25へ供給され、そのフィードバック信号に応じてしきい値決定回路25では、しきい値THが決定される。
【0013】
このしきい値決定回路25では、一例として3、5、8、10、20の5種類のしきい値が情報量制御回路7からのフィードバック信号に応じて選択され、選択されたしきい値は、しきい値THとして、しきい値決定回路25から第1階層条件判定回路22、第2階層条件判定回路23および第3階層条件判定回路24へ供給される。
【0014】
第1階層条件判定回路22では、16ライン×16画素のブロック(以下、16×16)ブロックと称する)の中から最大となる残差信号(以下、最大残差信号と称する)を検出し、その最大残差信号の絶対値としきい値THとを比較して、最大残差信号がしきい値THより大きい場合、量子化を施す有意性のあるブロック(以下、有意ブロックと称する)と判断し、flag1=1として論理部26へ供給される。また、最大残差信号がしきい値TH以下の場合、量子化を施す有意性のないブロックと判断し、flag1=0として論理部26へ供給される。
【0015】
そして、第2階層条件判定回路23では、(8×8)ブロックの中から最大残差信号を検出し、その最大残差信号の絶対値としきい値THとを比較して、最大残差信号がしきい値THより大きい場合、そのブロックは、有意ブロックであると判定され、flag2=1として論理部26へ供給される。最大残差信号がしきい値TH以下の場合、そのブロックは、有意ブロックでないと判定され、flag2=0として論理部26へ供給される。
【0016】
また同様に、第3階層条件判定回路2では、(4×4)ブロックの中から最大残差信号を検出し、その最大残差信号の絶対値としきい値THとを比較して、最大残差信号がしきい値THより大きい場合、そのブロックは、有意ブロックであると判定され、flag3=1として論理部27へ供給される。最大残差信号がしきい値TH以下の場合、そのブロックは、有意ブロックでないと判定され、flag3=0として論理部27へ供給される。
【0017】
第2階層条件判定回路23および第3階層条件判定回路24で用いているブロックは、第1階層条件判定回路22で用いる(16×16)ブロックに含まれるブロックを用いているため、flag1=0となる場合、flag2およびflag3も必ず0となる。同様に、第3層条件判定回路24で用いているブロックは、第2階層条件判定回路23で用いる(8×8)ブロックに含まれるブロックを用いているため、flag2=0となる場合、flag3も必ず0となる。すなわち、論理部26では、flag1=1となる場合のみflag2を伝送し、さらに論理部26では、flag1=1且つflag2=1となる場合のみflag3を伝送し、その判定結果は出力端子29から伝送される。
【0018】
上述したように、このしきい値決定回路25では、一例として3、5、8、10、20の5種類の中からフィードバック信号に応じてしきい値が選択され、選択されたしきい値が、一例として8以上の場合、伝送されるデータが3階層のデータとして処理され、8未満の場合、伝送されるデータが2階層のデータとして処理される。この伝送されたデータが2階層のデータか3階層のデータかを示す制御用フラグが論理部27から出力端子30を介して伝送される。このしきい値決定回路25では、フィードバック信号に応じて1フレーム毎にしきい値THを変更することができる。
【0019】
しきい値THが供給されたそれぞれの条件判定回路では、しきい値THが8以上の場合、第1、第2および第3の階層条件判定回路で判定されたフラグが理部26および27を介して伝送されるが、しきい値THが8未満の場合、第1および第3の階層条件判定回路で判定されたフラグが論理部26および27を介して伝送される。
【0020】
このように階層化有意判定回路3からは、制御用フラグがメモリ4へ供給されるとともに、フラグが情報量制御回路7および論理部11へ供給される。メモリ4では、(16×16)ブロックの残差信号が記憶され、制御用フラグに基づいて後段の量子化回路5で量子化がなされる残差信号が量子化回路5へ供給される。量子化回路5では、有意ブロックであると判定された(4×4)ブロックの残差信号が量子化され、その量子化値は、可変長符号化回路6および逆量子化回路8へ供給される。可変長符号化回路6では、供給された量子化値をブロック毎にランレングス符号化、例えばMMR(Modefied MR )が行われ、その可変長量子化値は、情報量制御回路7へ供給される。
【0021】
逆量子化回路8では、供給された量子化値に対して、量子化回路5で行われた量子化の逆変換、すなわち復号が行われ、復号された残差信号は、メモリ9へ供給され、記憶される。論理部11では、階層化有意判定回路3から供給されたフラグを判定し、有意ブロックであると判定された場合、判定結果が1として選択回路10へ供給され、有意ブロックでないと判定された場合、判定結果が0として選択回路10へ供給される。
【0022】
選択回路10では、論理部11から供給された判定結果が1、すなわち有意ブロックであると判定された場合、メモリ9に記憶された(4×4)ブロックの残差信号が加算器12へ供給され、供給された判定結果が0、すなわち有意ブロックでないと判定された場合、0の値が加算器12へ供給される。すなわち、選択回路10では、論理部11の判定結果に基づいて、残差信号を後段に伝送するか、0の値を後段に伝送するかが選択される。
【0023】
加算器12では、予測回路13からの予測値と選択回路10からの値が加算され、その加算結果であるローカル復号画像は、予測回路13および動き検出回路14へ供給される。動き検出回路14では、入力端子1からのブロック化されたディジタル画像と加算器12からのローカル復号画像から、例えばブロックマッチング法などの手法により9ビットからなる動きベクトルMVが検出され、検出された動きベクトルMVは、予測回路13および情報量制御回路7へ供給される。予測回路13では、加算器12からのローカル復号画像と動きベクトルMVに応じて画像の動き補償が行われ、その予測値は、減算器2へ供給される。
【0024】
情報量制御回路7では、可変長符号化回路6からの可変長量子化値と、階層化有意判定回路3からのフラグと、動き検出回路14からの動きベクトルMVとが供給され、1フレーム毎にフレーム化がなされる。
【0025】
ここで、この発明の1実施例の符号化処理、特にフラグ(flag)の一例の説明を図3を用いて行う。この図3は、1ブロックの処理を示す。図3Aに示すように第1階層((16×16)ブロック)のflag1が有意ブロックであることを示す `1' であるため、第2階層((8×8)ブロック)が有意ブロックか否かが第2階層条件判定回路23によって判定される。そのflag1=1となるブロックの第2階層では、flag21 =0、flag22 =1、flag23 =1、flag24 =0であるから、flag22 、flag23 で示すサブブロックが有意ブロックである。
【0026】
よって、flag22 、flag23 で示すブロックの第3階層((4×4)ブロック)が有意ブロックか否かが判定される。まず、flag22 の第3階層では、flag321、flag322、flag323、flag324で示すサブブロックが有意ブロックか否かが第3階層条件判定回路24によって判定される。同様にflag23 の第3階層では、flag331、flag332、flag333、flag334で示すサブブロックが有意ブロックか否かが第3階層条件判定回路24によって判定される。
【0027】
これらのフラグ(flag)および可変長符号化の出力データ(量子化値)が図3Bに示すようにフレーム化される。まず、領域41には、ブロックの動きベクトルMV(9ビット)が配置され、領域42には、1ビットからなる第1階層のflag1が配置される。領域43には、各1ビットからなる第2階層のflag21 、flag22 、flag23 、flag24 が配置される。
【0028】
領域44は、第2階層のflag2が `1' となったサブブロックの第3階層のflag3が配置される。この領域44は、第2階層において `1' となるflag2がn個の場合、4×nビットの幅を有する。また、領域45は、第3階層のflag3が `1' となったブロックに含まれる残差信号の量子化値が配置され、第3階層において `1' となるflag3がm個の場合、第3階層は(4×4)ブロックからなるため4×4×mビットの幅を有する。このとき、量子化値は、1ビット量子化が行われたものとする。
【0029】
この一例では、上述したように説明を容易とするため1ブロック毎のフレーム化を用いたが、1フレーム毎のフレーム化を用いることも可能である。
【0030】
ここで、符号化されたデータを復号する復号側の一例のブロック図を図4に示す。51で示す入力端子から符号化されたデータが供給され、そのデータは、デフレーミング化回路52へ供給される。デフレーミング化回路52では、供給されたデータが動きベクトルMV、フラグおよび量子化値へ分解される。すなわち、デフレーミング化回路52では、供給された1フレーム毎に逆フレーム化がなされた後、動きベクトルMV、フラグおよび量子化値へ分解される。分解されたフラグは、論理部53へ供給され、残差信号は、逆可変長符号化回路55へ供給され、動きベクトルMVは、予測回路54へ供給される。
【0031】
論理部53では、供給された1ブロック毎のフラグに基づいて制御用フラグが生成され、生成された制御用フラグは、選択回路58へ供給される。この論理部53では、上述したように3階層または2階層さらには、flag1、flag2およびflag3の状態が判断され、制御用フラグが生成される。逆可変長符号化回路55では、上述した可変長符号化の復号が行われ、量子化値が生成される。同様に、逆量子化回路56では、生成された量子化値の復号が行われ、残差信号が生成され、メモリ57へ供給され、残差信号は記憶される。
【0032】
選択回路58では、論理部53からの制御用フラグに基づいて、メモリ57から供給される残差信号と0とが選択され、加算器59へ供給される。加算器59では、残差信号または0と予測回路54からの予測値とが加算され、加算値は、画素値として予測回路54へ供給されるとともに、出力端子60から伝送される。予測回路54では、画素値と動きベクトルMVとから予測値が生成され、生成された予測値は、加算器59へ供給される。
【0033】
ここで、有意判定をソフトウェアで実施するための一実施例を図5のフローチャートに示す。まず、1フレーム毎のサンプル値と予測値との残差信号が供給されステップ71では、供給された1フレーム毎の残差信号が(16×16)ブロックにブロック分割が行われ、1フレームの総ブロック数BLKが求められる。ステップ72では、第1階層のカウント値L1に0が設定され、ステップ73では、(16×16)ブロックのブロック毎、すなわち第1階層の最大となる誤差が検出される。
【0034】
ステップ73において検出された最大誤差は、ステップ74において、しきい値THより大きいか否かが判断され、最大誤差がしきい値THより大きい場合、ステップ77へ制御が移り、小さい場合ステップ75へ制御が移る。ステップ75では、そのブロックの第1階層のflag1に0が設定されステップ76において、第1階層のカウント値L1をインクリメント( `+1' )し、ステップ73へ制御が移る。また、ステップ77では、そのブロックの第1階層のflag1に1が設定され、ステップ78へ制御が移る。
【0035】
すなわち、ステップ74では、そのブロックの有意判定が行われ、そのブロックの第1階層のflag1に0が設定される場合、そのブロックは、有意ブロックでないと判断され、flag1に1が設定される場合、そのブロックは、有意ブロックであると判断される。そして、有意ブロックであると判断されたブロックを縮小し、縮小したブロックの中からさらに有意ブロックを検出し、その有意ブロックのデータが伝送される。
【0036】
ステップ78では、ステップ74において使用したしきい値THが8より小さいか否かが判断され、しきい値THが8より小さい場合、ステップ86へ制御が移り、大きい場合、ステップ79へ制御が移る。このステップ78は、このブロックの構成を3階層とするか2階層とするかの分岐処理である。しきい値THが小さければ、伝送されるデータ数が増えるため2階層とし、しきい値THが大きければ、伝送されるデータ数が少なくてすむため3階層とすることから、この分岐処理は、しきい値THによって判断される。
【0037】
ステップ79では、サブブロック数SB1に4が設定され、また第2階層のカウント値L2に0が設定される。ステップ80では、第2階層のカウント値L2とサブブロック数SB1が等しいか否かが判断され、等しくないと判断された場合、すなわち、まだ第2階層の有意判定が終了していないと判断され、ステップ81へ制御が移り、カウント値L2とサブブロック数SB1が等しいと判断された場合、ステップ86へ制御が移る。ステップ81では、(8×8)ブロックのブロック毎、すなわち第2階層の最大となる誤差が検出される。
【0038】
検出された最大誤差は、ステップ82において、しきい値THと比較され、最大誤差がしきい値THより大きいと判断された場合、ステップ83へ制御が移り、そのステップ83において、第2階層のflag2に `1' が設定され、最大誤差がしきい値THより小さいと判断された場合、ステップ84へ制御が移り、そのステップ84において、第2階層のflag2に `0' が設定される。このflag2に設定される `1' または `0' は、上述したflag1に設定される `1' または `0' と同様に、そのブロックが有意ブロックか否かを示している。そして、ステップ85において、第2階層のカウント値L2をインクリメント( `+1' )し、ステップ80へ制御が移り、そのステップ80において、第2階層の有意判定が終了したと判断されると、ステップ86へ制御が移る。
【0039】
ステップ86では、サブブロック数SB2に16が設定され、また第3階層のカウント値L3に `0' が設定される。ステップ86では、第3階層のカウント値L3とサブブロック数SB2が等しいか否かが判断され、等しくないと判断された場合、すなわち、まだ第3階層の有意判定が終了していないと判断され、ステップ88へ制御が移り、カウント値L2とサブブロック数SB1が等しいと判断された場合、ステップ93へ制御が移る。ステップ88では、(4×4)ブロックのブロック毎、すなわち第3階層の最大となる誤差が検出される。
【0040】
検出された最大誤差は、ステップ89において、しきい値THと比較され、最大誤差がしきい値THより大きいと判断された場合、ステップ90へ制御が移り、そのステップ90において、第3階層のflag3に `1' が設定され、最大誤差がしきい値THより小さいと判断された場合、ステップ91へ制御が移り、そのステップ91において、第3階層のflag3に `0' が設定される。このflag3に設定される `1' または `0' は、上述したflag1またはflag2に設定される `1' または `0' と同様に、そのブロックが有意ブロックか否かを示している。そして、ステップ92において、第3階層のカウント値L3をインクリメント( `+1' )し、ステップ87へ制御が移り、そのステップ87において、第3階層の有意判定が終了したと判断されると、ステップ93へ制御が移る。
【0041】
ステップ93では、第1階層のカウント値と1フレームの総ブロック数BLKとが等しいか否かが判断され、等しくないと判断された場合、ステップ76へ制御が移り、等しいと判断された場合、すなわち1フレーム分の有意判定が終了したと判断された場合、ステップ94へ制御が移る。ステップ94では、1フレーム分のデータのフレーム化がなされ、そのデータは、伝送されるとともに、ステップ95へ制御が移る。ステップ95では、フレーム化がなされたデータに基づいて、次のフレームのしきい値THが上述したように3、5、8、10、20の中から決定され、ステップ73へ制御が移る。
【0042】
また、この実施例では、図示していないが、ステップ94のフレーム化の前段に量子化を施すステップと、可変長符号化を施すステップとを設けることも何ら問題はない。
【0043】
具体的には、上述したように第1階層の有意判定を行い、その結果が `0' となる場合、第2および第3階層の有意判定を行わず、そのブロックのフレーム化を行う。そして、第1階層の有意判定が `1' となり、そのブロックの伝送されるデータ構成として3階層が選択された場合、第2階層の有意判定を行った後、第3階層の有意判定を行い、フレーム化されたデータは、伝送される。
【0044】
ここで、一例として、動いている鳥カゴ、人形などのチルト画像を入力ソースとした時の損益率を検証してみた。この損益率とは、(16×16)ブロックの画素に対して1ビットの圧縮を行った時の総情報量を `1' とし、上記有意判定法で画素1ビットの圧縮を行ったときの情報量の割合であり、上述の例では、次式のようになる。
【0045】
ブロックサイズ(16×16)の画素に対して1ビット圧縮を行うときの総情報量は、各ブロックに対する動きベクトル(9ビット)、画素当りのビット数(1ビット)から
(9+16×16)×総ブロック数 (1)
となる。
【0046】
これに対して、(16×16)ブロックから(4×4)ブロックへの2階層化による有意判定とその画素に対して1ビット圧縮を行うときの総情報量は、各ブロックに対する動きベクトル(9ビット)、各ブロックおよびサブブロックに対する有意判定フラグ(1ビット)、画素当りのビット数(1ビット)、ブロックに対するサブブロック数(16ブロック)、最下層ブロックサイズ(4×4=16)から
(9+1+16×α0 +16×4×4×α1 )×総ブロック数 (2)
となる。
【0047】
ここで、α0 は、有意ブロックの出現確率であり、α1 は、有意サブブロックの出現確率であり、それぞれ次のように表される。
Figure 0003709584
【0048】
よって、損益率は、
Figure 0003709584
となる。
【0049】
次に、(16×16)ブロックから(8×8)ブロックさらに(4×4)ブロックへの3階層化による有意判定とその画素に対して1ビット圧縮を行うときの総情報量は、各ブロックに対する動きベクトル(9ビット)、各ブロックおよびサブブロックに対する有意判定フラグ(1ビット)、画素当りのビット数(1ビット)、各階層でのブロックに対するサブブロック数(4ブロック)、最下層ブロックサイズ(4×4=16)から
(9+1+4×α0 +16×α1 +16×4×4×α2 )×総ブロック数(6)
となる。
【0050】
ここで、α0 は、有意ブロックの出現確率であり、α1 は、第2階層の有意サブブロックの出現確率であり、α2 は、第3階層の有意サブブロックの出現確率であり、それぞれ次のように表される。
Figure 0003709584
【0051】
よって、損益率は、
Figure 0003709584
となる。
【0052】
このように、式(5)および式(10)によって、求められたこの実施例の損益率を図6に示す。この図を見て分かるように2階層および3階層を比較するとしきい値=9の前後で損益率の逆転が起こっていると予想できる。この予想から適応的有意判定によって効率の良い圧縮が行えることがわかる。この図は、しきい値が小さいほど、動き量が小さく、しきい値が大きいほど、動き量が大きい。
【0053】
ここで、この実施例では、有意判定を行うのにブロック内の最大残差信号を用いたが、ブロック内の全ての残差信号を累積し、累積した残差信号としきい値を比較することで有意判定を行っても良い。
【0054】
【発明の効果】
この発明に依れば、発生データ量に応じてしきい値を変化させ、それに連動して適応的に階層間の分岐を変えることで、常に効率のよい有意判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の画像信号処理装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】この発明に係る階層化有意判定回路の一例を示すブロック図である。
【図3】この発明に係るデータ配列の説明に用いる略線図である。
【図4】この発明の画像信号処理装置の復号側の一実施例を示すブロック図である。
【図5】この発明に係る階層化有意判定の一例を示すフローチャートである。
【図6】この発明に係るしきい値と階層の説明に用いる略線図である。
【符号の説明】
3 階層化有意判定回路
4、9 メモリ
5 量子化回路
6 可変長符号化回路
7 情報量制御回路
8 逆量子化回路
10 選択回路
11 論理部
13 予測回路
14 動き検出回路

Claims (9)

  1. ブロック毎に入力されるサンプル値とその予測値との残差信号に対して量子化を行う画像信号処理装置において、
    ブロック毎に入力されるサンプル値から上記サンプル値から予測される予測値を減算し、残差信号を生成する残差信号生成手段と、
    上記ブロックに含まれる上記残差信号としきい値とを比較することによって、有意か否かを上記ブロック毎に判定する有意ブロック判定手段と、
    上記有意ブロック判定手段の判定結果に基づきフラグを出力する第1のフラグ出力手段と、
    有意と判定された上記ブロックについて、階層的に上記ブロックのブロックサイズより小さいサイズであるサブブロックに含まれる上記残差信号としきい値とを比較することによって、有意か否かを上記サブブロック毎に判定する有意サブブロック判定手段と、
    上記有意サブブロック判定手段の判定結果に基づきフラグを出力する第2のフラグ出力手段と、
    上記有意ブロック判定手段および上記有意サブブロック判定手段において、有意と判定された上記ブロックと、上記ブロックおよび上記サブブロックとの何れか1つに含まれる上記残差信号に関する量子化値を選択するために用いられる所定の値と、上記しきい値とを比較し、当該比較結果に基づいて上記量子化値を選択し、出力する出力手段とからなり、
    上記しきい値は、上記出力手段から出力される上記量子化値に基づいて決定される
    ことを特徴とする画像信号処理装置。
  2. さらに、上記有意ブロック判定手段および上記有意サブブロック判定手段から供給される判定結果と、上記出力される上記量子化値とをフレーム化するときに、伝送される上記残差信号の情報量を略々一定とする情報量制御手段を備え、
    上記しきい値は、上記量子化された上記残差信号の情報量に応じて決定されることを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。
  3. 上記サブブロックのブロックサイズは、上記しきい値に応じて、上記ブロックサイズの1/(4n)(nは自然数)が選択される
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。
  4. 有意と判定された上記サブブロックについて、階層的に上記サブブロックのブロックサイズより小さいサイズである第2のサブブロック含まれる上記残差信号としきい値とを比較することによって、有意か否かを上記第2のサブブロック毎に判定する第2の有意サブブロック判定手段と、
    上記第2の有意サブブロック判定手段の判定結果に基づきフラグを出力する第3のフラグ出力手段とを有し、
    上記出力手段では、上記有意ブロック判定手段、上記有意サブブロック判定手段および上記第2の有意サブブロック判定手段において、有意と判定された上記ブロックと、上記ブロックおよび上記サブブロックと、上記ブロック、上記サブブロック、および上記第2のサブブロックとの何れか1つに含まれる上記残差信号に関する量子化値を選択するために用いられる所定の値と、上記しきい値とを比較し、当該比較結果に基づいて上記量子化値を選択し、出力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。
  5. 上記有意の判定は、上記しきい値に対して、上記残差信号のうちの最大残差信号が大きい場合に有意ブロック又は有意サブブロックであると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 上記予測値は、復号された画像と、上記復号された画像から得られる動きベクトルとに基づいて画像の動き補償がなされることによって得られることを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。
  7. 上記出力された量子化値を復号する画像信号処理装置において、
    上記量子化値に対して逆量子化し、残差信号を復号する復号手段と、
    復号された上記残差信号または0がフラグにより選択される選択手段と、
    選択された信号と予測値を加算する手段と
    からなることを特徴とする請求項に記載の画像信号処理装置。
  8. 上記ブロック、上記サブブロックおよび上記第2のサブブロックを上記しきい値に応じて変化させ、上記選択出力される上記残差信号に関する量子化値の量を略々一定とするように制御することを特徴とする請求項5に記載の画像信号処理装置。
  9. ブロック毎に入力されるサンプル値とその予測値との残差信号に対して量子化を行う画像信号処理方法において、
    ブロック毎に入力されるサンプル値から上記サンプル値から予測される予測値を減算し、残差信号を生成する残差信号生成工程と、
    上記ブロックに含まれる上記残差信号としきい値とを比較することによって、有意か否かを上記ブロック毎に判定する有意ブロック判定工程と、
    上記有意ブロック判定工程の判定結果に基づきフラグを出力する第1のフラグ出力工程と、
    有意と判定された上記ブロックについて、階層的に上記ブロックのブロックサイズより小さいサイズであるサブブロックに含まれる上記残差信号としきい値とを比較することによって、有意か否かを上記サブブロック毎に判定する有意サブブロック判定工程と、
    上記有意サブブロック判定工程の判定結果に基づきフラグを出力する第2のフラグ出力工程と、
    上記有意ブロック判定工程および上記有意サブブロック判定工程において、有意と判定された上記ブロックと、上記ブロックおよび上記サブブロックとの何れか1つに含まれる上記残差信号に関する量子化値を選択するために用いられる所定の値と、上記しきい値とを比較し、当該比較結果に基づいて上記量子化値を選択し、出力する出力工程とからなり、
    上記しきい値は、上記出力工程から出力される上記量子化値に基づいて決定される
    ことを特徴とする画像信号処理方法。
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