JP3709559B2 - 乾接触高周波数超音波伝達方法とそのための装置、及び乾接触高周波数超音波探傷方法とそのための装置 - Google Patents
乾接触高周波数超音波伝達方法とそのための装置、及び乾接触高周波数超音波探傷方法とそのための装置 Download PDFInfo
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【産業上の利用分野】
本発明は、水分吸収を嫌う被検体へ水等に一切触れさせることなくドライコンタクトにより高周波数超音波を高効率に伝達する手法と、そのための装置を提供するとともに、それらの基礎技術を応用して水分吸収を嫌う被検体へドライコンタクトにより高分解能検査をする乾接触高周波数超音波探傷方法と、そのための装置を提供せんとするものに関する。本発明は、特に、水分吸収を嫌う電子パッケージをはじめとする電子デバイス製品、航空機等に利用されている複合材料および各種セラミック材料の非破壊検査等に好適な技術である。
【0002】
【従来技術】
従来より、電子材料などの高分解能な非破壊検査法として、被検体を水没させたうえ超音波を発信する超音波探触子を被検体に合わせて走査し、被検体の欠陥を見つける水浸式超音波探傷方法が知られている。しかし同方法は、被検体を水等の超音波伝達媒体に没入させる必要があるため、水分吸収を嫌う電子デバイス製品や複合材料等の被検体には適用が好ましくない手法であった。
【0003】
そこで、この技術課題を解決すべく次のような発明が提案されている。それは上面が柔軟性のある高分子シートで構成された検査ケースを用い、その検査ケース内に設置した被検体と高分子シートの間に有機溶媒を介在させた後、検査ケース内を減圧にして高分子シートと被検体を密着させ、検査ケースを水没させて行うことを特徴とする水浸式超音波欠陥検査方法である(特開平9−257758号)。しかし、この技術は、高分子シートと被検体の間には有機溶媒が介在していることと、検査時には検査ケースを水没させることから、真にドライコンタクト(乾接触)での検査を可能にするものでない。また、高分子シートと被検体を密着させるには検査ケースと有機溶媒とが必要であり、電子デバイス製品等のオンライン検査には不向きである。更にこの発明で使用する高分子シートは、柔軟性を有するものであればよく、その厚さは約0.01mm〜1mmのものとされているが、そのような物性と、厚さでは、特に高周波数帯域の超音波の伝達に最適ではない。また、当該公報で開示された技術内容には高周波数超音波の伝達に不可欠な制御した減圧機構を含んでおらず、有機溶媒の介在なしには高周波数超音波は伝達されない。従って、当該先行技術は、電子材料などの高分解能が要求される欠陥検査には向いていない。更に当該公報には、前記のように高分子シートと被検体の間に有機溶媒を介在させた発明の実施例と、同間に有機溶媒を介在させない比較例との両検査結果が開示されている。これによると有機溶媒を介在させないドライコンタクトの場合には、検出感度が低く、被検体底面からの反射エコーが現れないことを確認した旨明示されている。また、有機溶媒を介在させなくても欠陥を検出できる場合があるが、検出感度が低いとの記述より、この場合は高周波数超音波が伝達されていないことが明らかである。
【0004】
第2は、本発明者らの、本発明の前提となる研究の報告である。(坂 真澄 他、高分解能ドライコンタクト超音波伝達方式の新規開発、材料力学部門講演会講演論文集、日本、社団法人 日本機械学会、2001年 7月19日、 PAGE. 171-172 )。当該文献に記載の技術は、中間媒体としての水と被検査物との界面に弾性薄膜を用いるドライコンタクト超音波伝達方式で、弾性薄膜を接触させた後、圧力容器内の水を加圧してドライコンタクト界面を形成するものである。
【0005】
第3に、特開平11−304771号公報には、超音波プローブを用いて被検物のチューブの外周に可撓性薄膜を沿わせて水又はグリスを介して、管周囲、及び管軸方向に沿うように正圧又は負圧手段で変形させ、超音波プローブから水又はグリスを介して、発信とそのエコーによる受信との時間差により、スケールの有無や管壁状態を探査する小径管用探査装置が開示されている。当該文献には“正圧又は負圧付与手段”を設け、可撓性薄膜に正圧を加えるか、逆に可撓性薄膜の外部を負圧にすることにより、小径管外周に変形して密着するようにするとの記載があるが、それは超音波の発信とそのエコーによる受信との時間差による計測が出来るようにするためのものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、従来の水浸式超音波探傷方法は高分解能な欠陥検査方法であるが、検査時に被検体を水没させる必要があることから水分吸収を嫌う被検体には適用が好ましくない。例えば電子パッケージでは、封止樹脂が吸湿している状態でリフローはんだ付けを行うと、樹脂中に吸湿された水分がリフロー時の加熱によりパッケージ内部で水蒸気になり、その蒸気圧により剥離が生じ、進展するとともにき裂が生じるという問題が起きる。また、航空機の構造材料として複合材料が用いられているが、複合材料が水分を吸収した場合、著しく強度を低下させるという問題が起きる。
【0007】
そこで、水等の超音波伝達媒体と被検体の間に薄膜を介するだけのドライコンタクト超音波伝達方式が望まれるが、薄膜と被検体のドライコンタクト界面が離れてしまうことが多く、超音波がうまく伝達されない。このような現象が現実であることは、前記の通り、有機溶媒を介在させないドライコンタクトの場合には、検出感度が低く、被検体底面からの反射エコーが現れないことを先行発明で確認していることからも明らかである。その原因について、一般には、被検体の表面粗さによって、ドライコンタクト界面に空気層が生じることで、超音波の伝達が困難になるからと考えられている。このため、これまではシリコンゴムのような弾性薄膜を用いて被検体の表面粗さに対応した密着を実現させ、これによってドライコンタクトによる超音波の伝達を行おうとする方法が試みられた。同手法の場合、弾性薄膜の特性によっては低周波数帯域の超音波を伝達することが可能であるが、高周波数帯域の超音波を伝達することは困難であり、高分解能が要求される検査には利用できなかった。
【0008】
また同じような技術課題の認識から、上面が柔軟性のある高分子シートで構成された検査ケース内に被検体を設置し、有機溶媒を介在させて高分子シートと被検体を密着させ、そのうえで当該検査ケースを水没させて行う水浸式超音波欠陥検査方法が提案されている。しかし、この手法は、真にドライコンタクト(乾接触)ではなく、有機溶媒が介在するため、当該被検体が有機溶媒により汚されたり、影響を受ける場合がある。また、高分子シートと被検体を密着させるには検査ケースが必要であるうえ、これをいちいち水没させる必要もあるので、電子デバイス製品等のオンライン検査には不向きである。このように、前記先行発明は工業生産技術として手間もかかるし障害も多いので、実用性の面で満足できるものではなかった。
【0009】
本発明者らは、水等の超音波伝達媒体と被検体の間に薄膜を介するだけのドライコンタクト超音波伝達方式の場合に、何故超音波の伝達が大きく減少してしまうのか、特に高周波数帯域での超音波の伝達がなぜ困難となるのか、何故ドライコンタクト超音波伝達方式の場合には被検体の高分解能な検査が出来ないのか、その原因を究明すべく研究に努めた.その結果、原因は、薄膜と被検体とが柔軟性や弾性によって平時密着するように努めても超音波伝達時に生じる薄膜と被検体の弾性変形によって薄膜と被検体が離れてしまい、ドライコンタクト界面に空気層を生じるためであることが基礎実験により確認された。とりわけこの現象は高周波数超音波において顕著であり、弾性薄膜を用いたドライコンタクト手法によって低周波数超音波の伝達はある程度可能であるが、高周波数超音波はほとんど伝達されないことが解った。
【0010】
本発明は、このような研究により見出した新規知見に基づいて、その技術的課題を解消すべく研究した。その結果、密着性を有する高分子フィルムを使用することと負圧を利用したドライコンタクト界面の形成機構との組合せによって、前記高分子フィルムと被検体の少なくとも検査対象領域とが空気層が生じないように均一に且つ強力に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようになし、それによってドライコンタクトであっても高周波数超音波が高効率に伝達される方法とそのための装置の開発に成功した。また、そのようなドライコンタクトであっても高周波数超音波が高効率に伝達される方法と、そのための装置を応用してドライコンタクトであっても高分解能な被検体の検査ができる高周波数超音波探傷方法と、そのための装置を開発し、これらを提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、超音波伝達媒体とドライ空間に存在する被検体とを薄膜を介してドライコンタクトさせ、当該超音波伝達媒体領域に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装してこれから高周波数超音波を発信させ被検体に伝達させるようにした乾接触高周波数超音波伝達方法において、前記薄膜として密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを用い、当該高分子フィルムと被検体の間に負圧を作用させることで当該高分子フィルムのドライ空間側表面に被検体の少なくとも検査対象領域をドライコンタクトさせ、さらにそのドライコンタクト界面に作用する負圧により、当該被検体の少なくとも検査対象領域において空気層が生じていないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中に当該ドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようにしたうえ、前記超音波計測手段と接続された超音波探触子から高周波数超音波を発信させれば、高周波数超音波を被検体に高効率で伝達することが出来ることを確認して完成した。
【0012】
即ち、本願発明は、密着性を有する高分子フィルムと被検体に負圧を作用させ両者を均一に密着するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようにすることによって、ドライコンタクトでも高周波数超音波を被検体に高効率で伝達できるようにした従来にない乾接触高周波数超音波伝達方法である。当該発明は、このような新規な乾接触高周波数超音波伝達方法の原理となる基本的な方法の発明である。本願発明は、従来型の水浸法に比べて遜色のない信号強度を有する安定した高周波数超音波の伝達をドライコンタクトで可能にするものであり、受信信号の到達時間のみならず,振幅値等、従来の超音波法で利用される計測パラメータを利用できる。
【0013】
特許を受けようとする第1発明は、超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備えてなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の外側とドライ空間に存在する被検体との間に介在し得るアタッチメントにして、前記開口部に対応した狭空間窓口を設けるとともに、当該狭空間窓口内を必要に応じて負圧にできる負圧付与手段を備えてなる超音波伝達連結体とから構成されることを特徴とする乾接触高周波数超音波伝達装置を用意し、前記超音波伝達基体の容器の開口部外側に前記超音波伝達連結体を介して被検体を配置し、前記超音波伝達連結体の負圧付与手段を稼動して、その狭空間窓口内を負圧にすることにより被検体の少なくとも検査対象領域をドライコンタクトしたうえ、前記高分子フィルムと被検体の少なくとも検査対象領域との両者間に空気層が生じていないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようにし、そのうえで前記超音波計測手段と接続された超音波探触子から高周波数超音波を発信し、これを被検体に高効率で伝達するようにしたことを特徴とする乾接触高周波数超音波伝達方法である。
【0014】
当該発明の密着性および/または粘着性のある高分子フィルムとは、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルムのいずれか単体、若しくはこれらのうちの複数を組合せて多層構造体にしたもの、または前記単体若しくは前記多層構造体に粘着付与剤等の添加物を加えたものを含み、当該高分子フィルムの厚さが1μm〜100μmであることを特徴とするものである。
【0015】
また、当該発明の高周波数超音波として10MHz〜500MHz帯域の超音波を使用することが望ましい。
【0016】
特許を受けようとする第2発明は、超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備えてなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の外側とドライ空間に存在する被検体との間に介在し得るアタッチメントにして、前記開口部に対応した狭空間窓口を設けるとともに当該狭空間窓口内を負圧にできる負圧付与手段を備えてなる超音波伝達連結体とから構成されたことを特徴とする乾接触高周波数超音波伝達装置である。
【0017】
当該第2発明は、前記乾接触高周波数超音波伝達方法を実現するための基本的構成の装置発明である。開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備えたことと、当該狭空間窓口内を負圧にできる負圧付与手段を備えてなる点に主な特徴がある。
【0018】
特許を受けようとする第3発明は、超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを装着してなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の高分子フィルムとドライ空間に存在する被検体との間に介在して両者をドライコンタクトし得るアタッチメントにして、前記容器の開口部に対応した位置に貫通する狭空間窓口を穿設するとともに、当該狭空間窓口にはその狭空間窓口内を制御しながら負圧にできる負圧付与手段の負圧制御部を設けてなる超音波伝達連結体とからなり、前記超音波伝達基体の開口部に設けた高分子フィルム外面に超音波伝達連結体の狭空間窓口の一側を当接するとともに当該超音波伝達連結体の他側の狭空間窓口には被検体の少なくとも検査対象領域を当接することにより前記高分子フィルムと被検体の検査対象領域とが対応するように組合せ配置したうえ、前記負圧付与手段を稼動してその負圧制御部を操作することにより狭空間窓口内を制御しながら負圧になし、これによって前記高分子フィルムと被検体の少なくとも検査対象領域とをドライコンタクトさせ、両者間に空気層が生じないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようにしたことを特徴とする乾接触高周波数超音波伝達装置である。
【0019】
当該第3発明は、乾接触高周波数超音波伝達装置の標準的構成の乾接触高周波数超音波伝達装置である。特にドライコンタクト界面を減圧する際、負圧制御部を操作することにより狭空間窓口内を制御しながら負圧になし、空気層が生じないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるように調整できるようにした点が大きな特徴となる。
【0020】
特許を受けようとする第4発明は、超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備え、且つ当該高分子フィルムに振動付与手段を装備してなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の外側とドライ空間に存在する被検体との間に介在し得るアタッチメントにして、前記開口部に対応した狭空間窓口を設けるとともに、当該狭空間窓口を負圧にできる負圧付与手段を備えてなる超音波伝達連結体とから構成されることを特徴とする乾接触高周波数超音波探傷装置を用意し、前記超音波伝達基体の開口部の外側に超音波伝達連結体を介して被検体を組合せ配置したうえ、前記超音波伝達連結体の負圧付与手段を稼動して前記超音波伝達基体の開口部の外側と前記被検体の少なくとも検査対象領域とをドライコンタクトし、その狭空間窓口内に作用する負圧により、前記高分子フィルムと被検体の少なくとも検査対象領域の両者間に空気層が生じないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようになし、そのうえで超音波伝達基体に装備した振動付与手段を駆動して高分子フィルムを振動させながら前記超音波探触子から高周波数超音波を発信すると、発せられた当該超音波の伝達強度を共振効果により向上させながら被検体に高効率に伝達するようになし、この状態で超音波探触子を被検体に沿って走査して得たエコーを解析して当該被検体の高分解能検査をするようにしたことを特徴とする乾接触高周波数超音波探傷方法である。
【0021】
当該第4発明は、ドライコンタクトであっても高周波数超音波の発信により当該被検体の高分解能検査をすることが出来るようにしたことを特徴とする乾接触高周波数超音波探傷方法の発明である。
【0022】
特許を受けようとする第5発明は、超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器部に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備えてなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の外側とドライ空間に存在する被検体との間に介在し得るアタッチメントにして、前記開口部に対応した狭空間窓口を設けるとともに、当該狭空間窓口を必要に応じて負圧にできる負圧付与手段を備えてなる超音波伝達連結体とから構成され、前記超音波探触子から高周波数超音波を発信すると、発せられた当該超音波を被検体に高効率に伝達するようになし、この状態で超音波探触子を被検体に沿って走査して得たエコーを解析して、当該被検体の高分解能検査をするようにしたことを特徴とする乾接触高周波数超音波探傷装置である。
【0023】
第5発明は、ドライコンタクトであっても高周波数超音波の発信により当該被検体の高分解能検査をすることが出来るようにした基本的構成の乾接触高周波数超音波探傷装置である。
【0024】
特許を受けようとする第6発明は、前記超音波伝達基体の超音波伝達媒体を収容した容器の開口部に設けた前記高分子フィルムに振動付与手段を装備し、超音波伝達基体に装備した振動付与手段を駆動して当該高分子フィルムを振動させながら前記超音波探触子から高周波数超音波を発信すると、発せられた当該超音波の伝達強度を共振効果により向上させながら被検体に高効率に伝達するようになし、超音波探触子を被検体に沿って走査して得たエコーを解析して当該被検体の高分解能検査をするようにしたことを特徴とする第5発明に記載の乾接触高周波数超音波探傷装置である。
【0025】
第6発明は基本的構成の乾接触高周波数超音波探傷装置における前記高分子フィルムに振動付与手段を附加し、これによって発せられた当該高周波数超音波の伝達強度を共振効果により向上させながら被検体に高効率に伝達するようになした乾接触高周波数超音波探傷装置である。
【0026】
特許を受けようとする第7発明は、前記超音波伝達基体の超音波伝達媒体を収容した容器の中に内装する超音波計測手段と接続された超音波探触子を、その軸方向におよび/または水平方向に連続的に移動可能な超音波探触子移動手段を設け、超音波探触子移動手段を操作して超音波探触子を軸方向におよび/または水平方向に移動しながら被検体に沿って走査して、前記超音波探触子から高周波数超音波を送受信して当該被検体の高分解能検査をするようにしたことを特徴とする第5発明または第6発明に記載の乾接触高周波数超音波探傷装置である。
【0027】
当該第7発明は、基本的構成の乾接触高周波数超音波探傷装置における超音波計測手段と接続された超音波探触子を、その軸方向におよび/または水平方向に連続的に移動可能な超音波探触子移動手段を設け、超音波探触子を軸方向におよび/または水平方向に移動しながら被検体に沿って走査して得たエコーの周波数を解析して当該被検体の高分解能検査をすることができるので、コンパクトな装置で、当該被検体の高分解能検査をするようにした乾接触高周波数超音波探傷装置である。
【0028】
【実施例】
以下、本件発明の実施例を図面に基づいて、詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる乾接触高周波数超音波伝達方法とそのための装置及び乾接触高周波数超音波探傷方法とそのための装置の基本構成を示す断面説明図であり、図2は、貫通する狭空間窓口を穿設するとともに、当該狭空間窓口にはその狭空間窓口内を制御しながら負圧にできる負圧付与手段の負圧制御部を設けてなる超音波伝達連結体の一実施例を示すA−A線断面図であり、図3(イ)は、密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備えてなる超音波伝達基体と被検体との間に介在するアタッチメントとして配置してなる、通常時の超音波伝達連結体との構成を示す要部縦断説明図であり、同図(ロ)は、前記超音波伝達連結体の減圧時で、狭空間窓口内に負圧が作用されて高分子フィルムと被検体との界面が、空気層の生じないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、変位連続性が保持されるようになった状態を示す要部縦断説明図であり、図4は、本件発明にかかる乾接触高周波数超音波探傷装置の他実施例を示す縦断正面図である。
【0029】
図1は、本発明に係る乾接触高周波数超音波伝達方法と乾接触高周波数超音波伝達装置の実施形態の一例を示すものである。先ず、水等の超音波伝達媒体7を収容した容器1の中に超音波計測手段8と接続された超音波探触子8aを内装するとともに、当該容器1の底部に設けた開口部1aに密着性および/または粘着性のある高分子フィルム2を装着して超音波伝達基体9となす。
【0030】
また、前記容器1の開口部1aの高分子フィルム2とドライ空間に存在する被検体10との間に介在して両者をドライコンタクトし得るアタッチメントにして、前記容器1の開口部1aに対応した位置に貫通する狭空間窓口12を穿設するとともに、当該狭空間窓口12にはその狭空間窓口12内を制御しながら負圧にできる外部に設けた負圧付与手段6をノズル5より狭空間窓口12の周囲に設けた負圧制御部6aとを連結して超音波伝達連結体4となす。
【0031】
次に、当該超音波伝達連結体4を、前記容器1の開口部1aの高分子フィルム2とドライ空間に存在する被検体10との間に介在して、前記超音波伝達基体9の開口部4aに設けた高分子フィルム2外面に超音波伝達連結体4の狭空間窓口12の一側を密着し、更に当該超音波伝達連結体4の他側の狭空間窓口12に被検体10の少なくとも検査対象領域が負圧付与手段6の稼動時に密着することにより前記高分子フィルム2と被検体10の検査対象領域とがドライコンタクトするアタッチメントとして機能させる。
【0032】
そのうえで、前記負圧付与手段6を稼動し、その負圧制御部6aを操作することにより狭空間窓口12内を制御しながら負圧になし、これによって前記高分子フィルム2と被検体10の少なくとも検査対象領域をドライコンタクトさせ、両者間に空気層が生じないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようにする。尚、この際、被検体10を保持するため、当該超音波伝達連結体4と容器1の間にパッキン3と負圧シール層13を介して固定されている。また、外部に設けた負圧付与手段6は、ノズル5により超音波伝達連結体4に設けた負圧制御部6aに接続するので、負圧付与手段6を操作し、負圧制御部6aの経路を介して狭空間窓口12を減圧するだけで、被検体10が超音波伝達連結体4に吸着、保持される。
【0033】
そのような状態で、超音波探触子8aにより超音波を入射すれば、被検体10を水等に一切触れさせることなく乾接触で効率の良い高周波数超音波伝達が可能である。また従来の水浸式超音波探傷方法と同様に、超音波探触子8aを走査して超音波計測手段8により欠陥検査を行えば、超音波探触子8aからの受信信号の振幅値等を画像化することで、被検体10を水等に一切触れさせることなく乾接触での高分解能欠陥検出が可能である。
【0034】
密着性および/または粘着性のある高分子フィルム2というのは、超音波伝搬中も被検体10から離れないように密着性および/または粘着性を有するものであれば特に制限されない。例えば、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられ、これらを多層構造にしたものや、粘着付与剤等の添加物を加えたものであっても構わない。高分子フィルムの厚さは数μm〜数十μmと高分子フィルムの種類により異なるが、減圧時に破裂しない厚さが必要である。
【0035】
負圧付与手段6と負圧制御部6aを備えた超音波伝達連結体4は、高分子フィルム2を被検体10との界面を均一に密着させ、超音波の伝搬中も高分子フィルム2が被検体10から離れないようになるのであれば、負圧制御部6aの形状は特に制限されない。尚、被検体10を保持するために負圧制御部6aの機構を兼用するようにしても良いし、場合によっては被検体10の保持を外部機構で行ってもよい。
【0036】
以下、図2に示した超音波伝達連結体4の負圧付与手段6と負圧制御部6aの一例を説明する。超音波伝達連結体4に設けた負圧制御部6aは、ノズル5に連結された環状の溝状に形成した円周経路となっているとともに、当該溝状の円周経路6bより垂直方向の垂直経路6cおよび円周方向から放射状経路6dが均等に配置されている。これにより負圧付与手段6により減圧した際、垂直経路6cが減圧されることで被検体10が超音波伝達連結体4に負圧シール層13を介して吸着、保持されるとともに、円周経路から放射状経路6dを介して減圧されることで高分子フィルム2が被検体10の界面に均一に密着する。
【0037】
叙上のように、水等の超音波伝達媒体7を収容した容器1の中に超音波計測手段8と接続された超音波探触子8aを内装するとともに、当該容器1の底部に設けた開口部1aに密着性および/または粘着性のある高分子フィルム2を装着して超音波伝達基体9と、前記容器1の開口部1aの高分子フィルム2とドライ空間に存在する被検体10との間に介在して両者を負圧付与手段6の稼動時にドライコンタクトし得るアタッチメントにして、前記容器1の開口部1aに対応した位置に貫通する狭空間窓口12を穿設するとともに、当該狭空間窓口12にはその狭空間窓口12内を制御しながら負圧にできる外部に設けた負圧付与手段6をノズル5より狭空間窓口12の周囲に設けた負圧制御部6aとを連結して超音波伝達連結体4とから構成し、前記負圧付与手段6を稼動して、狭空間窓口12内を制御しながら負圧になし、これによって前記高分子フィルム2と被検体10の少なくとも検査対象領域に負圧を作用させ、両者間に空気層が生じないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようにすると、従来の超音波探傷システムにも適用できる乾接触高周波数超音波伝達装置や乾接触高周波数超音波探傷装置を提供できる。
【0038】
また図1及び図3は、乾接触高周波数超音波伝達装置の実施例であるが、基本的構造に高分子フィルム2を振動させる振動付与手段11を備え、その振動付与手段11を稼動させることにより高分子フィルム2を振動させると、超音波探触子8aから発せられた超音波の伝達強度を共振等の効果により向上させながら被検体10に高効率に伝達するようになる。従って、これを乾接触高周波数超音波探傷装置に応用すれば、超音波探触子8aを被検体10に沿って走査して得たエコーを解析して当該被検体10の高分解能検査をすることができることとなる。
【0039】
さらに図4に示すように本発明を乾接触高周波数超音波探傷装置にする場合には、超音波計測手段8と接続された超音波探触子8aを、その軸方向におよび/または水平方向に連続的に移動可能な超音波探触子移動手段14を設け、超音波探触子8aを軸方向におよび/または水平方向に移動しながら被検体10に沿って走査して、当該被検体の高分解能検査をすることによって、コンパクトな装置によっても、被検体を確実に高分解能検査をすることができることとなる。
【0040】
また超音波の入射形態に関して、図1及び図3では超音波探触子を被検体の検査面に対して垂直に配置しており、この場合超音波は、被検体へ垂直入射されるが、超音波探触子を被検体の検査面に対して傾けた斜角入射としても良い。
【0041】
<実験例1> 以下に本発明にかかる乾接触高周波数超音波探傷装置を実施して被検体10を具体的に高分解能検査した事例を説明する。被検体10は、厚さ2mmのアクリル樹脂である。図3に示す乾接触高周波数超音波探傷装置において、高分子フィルムとして厚さ10μmのポリ塩化ビニルフィルムを用い、高周波数超音波の送受信には公称周波数50MHzの広帯域超音波探触子を用いた。
【0042】
当該乾接触高周波数超音波探傷装置を稼動し、前記超音波探触子8から高周波数超音波を被検体10に向かって発信して得た底面エコー(実施例1)を図5に実線で示し、一部の乾接触式超音波探傷方法で利用されているシリコンゴム薄膜を図1に示す装置の高分子フィルム2の替わりに適用した場合の底面エコー(比較例1)を図5に破線で示す。更に、従来の水浸式超音波探傷方法により得られた底面エコー(比較例2)を図5に一点鎖線でそれぞれ示す。図5より本発明にかかる乾接触高周波数超音波探傷方法により得た底面エコーは従来の水浸式超音波探傷方法により得られた底面エコーと比較して遜色のない充分な信号強度を有している。
【0043】
図5に実線で示す本発明の乾接触高周波数超音波伝達方法により得られた底面エコーの周波数解析結果を図6に実線で示し、図5に破線で示すシリコンゴム薄膜を高分子フィルム2の替わりに適用した場合に得られた底面エコーの周波数解析結果は、図6に破線で示し、図5に一点鎖線で示す従来の水浸式超音波探傷方法により得られた底面エコーの周波数解析結果を図6に一点鎖線でそれぞれ示す。図6より、本発明の乾接触式超音波探傷方法により得られた底面エコーは、高分解能検査に不可欠の高周波数成分を従来の水浸式超音波探傷方法によるものと比較して遜色のなく含んでいる。
【0044】
<実験例2> 被検体10は厚さ2mmのアクリル樹脂であり、裏面には図7(a)に示す幅150μm、深さ120μmの溝が120μm〜40μmの間隔で導入してある。図7(b)は被検体10裏面の顕微鏡写真である。これを図1に示す装置において、高分子フィルムにポリ塩化ビニルフィルムを用いた本発明の乾接触高周波数超音波探傷方法により、超音波探触子8aを走査して得た振幅値を画像化したもの(実施例2)を図8に示す。また、同じ被検体10を一部の乾接触式超音波探傷方法で利用されているシリコンゴム薄膜を図1に示す装置の高分子フィルム2の替わりに適用し、超音波探触子8aを走査して得た振幅値を画像化したもの(比較例3)を図9に、従来の水浸式超音波探傷方法により、超音波探触子8aを走査して得た振幅値を画像化したもの(比較例4)を図10に示す。図8に示す本発明の乾接触高周波数超音波伝達方法による画像より、図10に示す従来の水浸式超音波探傷方法による画像と同様に、溝間の微小な突出部分が明瞭に検出されている。
【0045】
<実験例3> 被検体10はシリコンチップと素子搭載板の間に剥離を生じている電子パッケージであり、シリコンチップと素子搭載板は封止樹脂により覆われている。これを図1に示す装置において、高分子フィルムにポリ塩化ビニルフィルムを用いた本発明の乾接触高周波数超音波伝達方法により、超音波探触子を走査して得た振幅値を画像化したもの(実施例3)を図11に示す。また、従来の水浸式超音波探傷方法により、超音波探触子8aを走査して得た振幅値を画像化したもの(比較例5)を図12に示す。両者を考察すると図11に示す本発明の乾接触高周波数超音波伝達方法による画像より、図12に示す従来の水浸式超音波探傷方法による画像と同様に、電子パッケージ内部のシリコンチップと素子搭載板の間に生じているはく離部が明瞭に検出されている。
【0046】
【発明の効果】
本願発明は、密着性を有する高分子フィルムを使用することと負圧を利用したドライコンタクト界面の形成機構との組合せによって、前記高分子フィルムと被検体の少なくとも検査対象領域とに空気層が生じないように均一に且つ強力に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようになし、それによってドライコンタクトであっても高周波数超音波が高効率に伝達される乾接触高周波数超音波伝達方法とそのための乾接触高周波数超音波伝達装置が提供できた。これらの発明は、従来型の水浸法に比べて遜色のない信号強度を有する安定した高周波数超音波の伝達をドライコンタクトで可能にするものであり、受信信号の到達時間のみならず、振幅値等、従来の超音波法で利用される計測パラメータを利用できる便利なものである。
【0047】
また、本発明は、ドライコンタクトであっても高周波数超音波が高効率に伝達される方法とそのための装置を応用してドライコンタクトであっても高分解能な被検体の検査ができる高周波数超音波探傷方法とそのための装置を開発し、これらを提供することができた。
【0048】
更に、乾接触高周波数超音波伝達装置の基本的構造に高分子フィルムを振動させる振動付与手段を備え、その振動付与手段を稼動させることにより高分子フィルムを振動させると、超音波探触子から発せられた超音波の伝達強度を共振等の効果により向上させながら被検体に高効率に伝達するようになる。従って、これを乾接触高周波数超音波探傷装置に応用すれば、超音波探触子を被検体に沿って走査して得たエコーを解析して当該被検体の高分解能検査をすることができることとなった。
【0049】
更に又、基本的構成の乾接触高周波数超音波探傷装置における超音波計測手段と接続された超音波探触子を、その軸方向におよび/または水平方向に連続的に移動可能な超音波探触子移動手段を設け、超音波探触子を軸方向におよび/または水平方向に移動しながら被検体に沿って走査して得たエコーを解析して当該被検体の高分解能検査をすることができるので、コンパクトな装置で、当該被検体の高分解能検査をすることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる乾接触高周波数超音波伝達方法とそのための装置及び乾接触高周波数超音波探傷方法とそのための装置の基本構成を示す断面説明図である。
【図2】 貫通する狭空間窓口を穿設するとともに、当該狭空間窓口にはその狭空間窓口内を制御しながら負圧にできる負圧付与手段の負圧制御部を設けてなる超音波伝達連結体の一実施例を示すA−A線断面図である。
【図3】 (イ)は、密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備えてなる超音波伝達基体と被検体との間に介在するアタッチメントとして配置してなる通常時の超音波伝達連結体との構成を示す要部縦断説明図であり、(ロ)は、前記超音波伝達連結体の減圧時で、狭空間窓口内に負圧が作用されて高分子フィルムと被検体との界面が、空気層の生じないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、変位連続性が保持されるようになった状態を示す要部縦断説明図である。
【図4】 本件発明にかかる乾接触高周波数超音波探傷装置の他実施例を示す縦断正面図である。
【図5】 実施例1、比較例1および比較例2のアクリル樹脂の底面エコーを示すグラフである。
【図6】 実施例1、比較例1および比較例2の周波数スペクトルを示すグラフである。
【図7】 (a)被検体の寸法と(b)その顕微鏡写真である。
【図8】 実施例2の振幅値を示すグラフと、それを画像化したものである。
【図9】 比較例3の振幅値を示すグラフと、それを画像化したものである。
【図10】 比較例4の振幅値を示すグラフと、それを画像化したものである。
【図11】 実施例3の振幅値を画像化したものである。
【図12】 比較例5の振幅値を画像化したものである。
【符号の説明】
1: 容器
1a: 開口部
2: 高分子フィルム
3: パッキン
4: 超音波伝達連結体
5: ノズル
6: 負圧付与手段
6a: 負圧制御部
6b: 円周経路
6c: 垂直経路
6d: 放射状経路
7: 超音波伝達媒体
8: 超音波計測手段
8a: 超音波探触子
9: 超音波伝達連結体
10: 被検体
11: 振動付与手段
12: 狭空間窓口
13: 負圧シール層
14: 超音波探触子移動手段
Claims (7)
- 超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備えてなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の外側とドライ空間に存在する被検体との間に介在し得るアタッチメントにして、前記開口部に対応した狭空間窓口を設けるとともに、当該狭空間窓口内を負圧にできる負圧付与手段を備えてなる超音波伝達連結体とから構成されることを特徴とする乾接触高周波数超音波伝達装置を用意し、前記超音波伝達基体の容器の開口部外側に前記超音波伝達連結体を介して被検体を配置し、前記超音波伝達連結体の負圧付与手段を稼動して、その狭空間窓口内を負圧にすることにより被検体の少なくとも検査対象領域をドライコンタクトしたうえ、前記高分子フィルムと被検体の少なくとも検査対象領域との両者間に空気層が生じていないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようにし、そのうえで前記超音波計測手段と接続された超音波探触子から高周波数超音波を発信し、これを被検体に高効率で伝達するようにしたことを特徴とする乾接触高周波数超音波伝達方法。
- 超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備えてなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の外側とドライ空間に存在する被検体との間に介在し得るアタッチメントにして、前記開口部に対応した狭空間窓口を設けるとともに当該狭空間窓口内を負圧にできる負圧付与手段を備えてなる超音波伝達連結体とから構成されたことを特徴とする乾接触高周波数超音波伝達装置。
- 超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを装着してなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の高分子フィルムとドライ空間に存在する被検体との間に介在して両者をドライコンタクトし得るアタッチメントにして、前記容器の開口部に対応した位置に貫通する狭空間窓口を穿設するとともに、当該狭空間窓口にはその狭空間窓口内を制御しながら負圧にできる負圧付与手段の負圧制御部を設けてなる超音波伝達連結体とからなり、前記超音波伝達基体の開口部に設けた高分子フィルム外面に超音波伝達連結体の狭空間窓口の一側を当接するとともに当該超音波伝達連結体の他側の狭空間窓口には被検体の少なくとも検査対象領域を当接することにより前記高分子フィルムと被検体の検査対象領域とが対応するように組合せ配置したうえ、前記負圧付与手段を稼動してその負圧制御部を操作することにより狭空間窓口内を制御しながら負圧になし、これによって前記高分子フィルムと被検体の少なくとも検査対象領域とをドライコンタクトさせ、両者間に空気層が生じないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようにしたことを特徴とする乾接触高周波数超音波伝達装置。
- 超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備え、且つ当該高分子フィルムに振動付与手段を装備してなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の外側とドライ空間に存在する被検体との間に介在し得るアタッチメントにして、前記開口部に対応した狭空間窓口を設けるとともに、当該狭空間窓口を負圧にできる負圧付与手段を備えてなる超音波伝達連結体とから構成されることを特徴とする乾接触高周波数超音波探傷装置を用意し、前記超音波伝達基体の開口部の外側に超音波伝達連結体を介して被検体を組合せ配置したうえ、前記超音波伝達連結体の負圧付与手段を稼動して前記超音波伝達基体の開口部の外側と前記被検体の少なくとも検査対象領域とをドライコンタクトし、その狭空間窓口内に作用する負圧により、前記高分子フィルムと被検体の少なくとも検査対象領域の両者間に空気層が生じないように均一に密着したドライコンタクト界面を形成するとともに、高周波数超音波伝達中もドライコンタクト界面の変位連続性が保持されるようになし、そのうえで超音波伝達基体に装備した振動付与手段を駆動して高分子フィルムを振動させながら前記超音波探触子から高周波数超音波を発信すると、発せられた当該超音波の伝達強度を共振効果により向上させながら被検体に高効率に伝達するようになし、この状態で超音波探触子を被検体に沿って走査して得たエコーを解析して当該被検体の高分解能検査をするようにしたことを特徴とする乾接触高周波数超音波探傷方法。
- 超音波伝達媒体を収容した容器の中に超音波計測手段と接続された超音波探触子を内装するとともに、当該容器部に設けた開口部に密着性および/または粘着性のある高分子フィルムを備えてなる超音波伝達基体と、前記容器の開口部の外側とドライ空間に存在する被検体との間に介在し得るアタッチメントにして、前記開口部に対応した狭空間窓口を設けるとともに、当該狭空間窓口を負圧にできる負圧付与手段を備えてなる超音波伝達連結体とから構成され、前記超音波探触子から高周波数超音波を発信すると、発せられた当該超音波を被検体に高効率に伝達するようになし、この状態で超音波探触子を被検体に沿って走査して得たエコーを解析して、当該被検体の高分解能検査をするようにしたことを特徴とする乾接触高周波数超音波探傷装置。
- 前記超音波伝達基体の超音波伝達媒体を収容した容器の開口部に設けた前記高分子フィルムに振動付与手段を装備し、超音波伝達基体に装備した振動付与手段を駆動して当該高分子フィルムを振動させながら前記超音波探触子から高周波数超音波を発信すると、発せられた当該超音波の伝達強度を共振効果により向上させながら被検体に高効率に伝達するようになし、超音波探触子を被検体に沿って走査して得たエコーを解析して当該被検体の高分解能検査をするようにしたことを特徴とする請求項5記載の乾接触高周波数超音波探傷装置。
- 前記超音波伝達基体の超音波伝達媒体を収容した容器の中に内装する超音波計測手段と接続された超音波探触子を、その軸方向におよび/または水平方向に連続的に移動可能な超音波探触子移動手段を設け、超音波探触子移動手段を操作して超音波探触子を被検体に沿って軸方向におよび/または水平方向に移動しながら走査して、前記超音波探触子から高周波数超音波を送受信して当該被検体の高分解能検査をするようにしたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の乾接触高周波数超音波探傷装置。
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