JP3707944B2 - プロジェクション型映像投影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロジェクション型映像投影装置に関し、特に、スクリーンがない空間に映像を映し出すことが可能な投影装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来の投射映像では、プロジェクタで直接スクリーンに映像を投影することにより、映されたスクリーン上の映像を見ている。このようにこの方式では、かならずスクリーン上に投影するので、投影面のない空間に映像を形成することができない。
空間に映像を形成することができる技術としては、例えば、液晶シャッタ付きの眼鏡を用いるものがある。これは、各個人が着用した液晶シャッタ付き眼鏡の開閉と同期して、右目と左目用の映像をスクリーン上に交互に投影し、これにより三次元映像を生成することにより、仮想的に空間内に映像を得ることができる。しかし、各聴視者が着用する液晶シャッタ付き眼鏡や、この眼鏡にシャッタの開閉に同期した映像を送り出すための装置等高価な設備が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、簡単な設備で、射影面(スクリーン等)が存在しない空間上に映像を形成することができる映像投影装置を提供することが目的である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、プロジェクタと、前記プロジェクタからの映像を、プロジェクタとは反対側の面に映す1次スクリーンと、前記1次スクリーン上に映された映像を反射することができる透明な2次スクリーンとを備え、前記1次スクリーンは、間隔をあけて設置された複数の液晶スクリーンで構成し、前記複数の液晶スクリーンは、選択的にそのうちの1つが前記プロジェクタからの映像をプロジェクタとは反対側の面に映すことが可能な状態となり、他の液晶スクリーンは透明状態となるように制御して、映像の映される位置を奥行き方向に動かすことを特徴とする映像投影装置である。
この構成により、プロジェクタからの映像を1次スクリーン上に映し、透明な2次スクリーンで反射することにより、スクリーンのない空間上に映像を映し出すことが可能となる。
本発明は、例えば、博物館、テーマパーク、美術館、ショーウインドウなど、ガラス等のケース内にあるディスプレイや展示品に対してや、水族館の水槽中の水中に映像を映すことが可能であるので、これを利用して説明的な映像を映したり、特殊効果を演出したりするのに用いることができる。
【0005】
また、少なくとも前記プロジェクタと前記1次スクリーンとが傾斜して設けることにより、設置位置等をある程度自由にすることもできる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の原理を図1を用いて説明する。図1において、10はプロジェクタで、再生した動画や静止画を投影することができる。20は半透過面を有する1次スクリーンで、プロジェクタ10から投影された映像を投影された面の裏側でも鮮明に見ることができる。40は反射も行う透過面を有するガラス等で構成された2次スクリーンである。プロジェクタ10は、図示しないビデオ等の再生装置や、全体を制御するコンピュータ・システム等に接続されている。
【0007】
1次スクリーンは、プロジェクタ10から投影された映像が、1次スクリーン20のプロジェクタの設置されている面の裏側からも鮮明に見える半透明の構成である。1次スクリーンの構成例は、図2に示している。図2において、ガラス22のプロジェクタ側の表面には、乳白色のシート24を貼りつけている。また、乳白色のシート24を貼りつけていない面は、不要な光が散乱したい仕上げを行っている。このような構成で、裏側にも投影された映像が鮮明に見えるスクリーンを構成することができる。
【0008】
このような構成例で、本発明の動作を説明する。図1において、プロジェクタ10からの映像は、1次スクリーン20に投影される。この映像は1次スクリーンの裏面にも映像30として鮮明に映される。映像30は、2次スクリーン40の表面で反射されて、2次スクリーンの設置されている方向を見ている人60にも見ることができる。2次スクリーン40は透明なので、見ている人60に対しては、2次スクリーンから反射された映像は、2次スクリーンを介して見える景色等と一緒に、スクリーンのない空間上に虚像50として見えることになる。この虚像50は、2次スクリーンから1次スクリーンまでの距離lだけ、2次スクリーンから離れた空間上に見える。プロジェクタからの映像を1次スクリーン上に映すことで、例えばCRTのような画像を映し出す映像装置が視聴者に見えないので、映像のみが空間上に映されているように見える。このように、本発明の構成により、スクリーンのない空間上に映像を映し出すことが可能となる。
【0009】
本発明は、例えば、博物館、テーマパーク、美術館、ショーウインドウなど、ガラス等のケース内にあるディスプレイや展示品に対してや、水族館の水槽中の水中に映像を映すことが可能であるので、これを利用して説明的な映像を映したり、特殊効果を演出したりするのに用いることができる。
また、本発明の構成を、科学的な研究の際に観察対象の傍らに可視化データを映すことに応用することができる。
【0010】
図1の構成は、1次スクリーンおよび2次スクリーンが直立している場合で説明している。しかし、例えば図3に示すように、1次スクリーン20や2次スクリーンを傾けることも可能である。この場合、視聴者60に対する、2次スクリーンへの映像の入射角度が、2次スクリーンを構成するガラスが全反射する角度内となる必要がある。このような構成で、プロジェクタ等の位置をある程度自由に設定することができる。
【0011】
さて、前述のように、図1において、空間に虚像50が見える位置は、1次スクリーン20と2次スクリーン40との間の距離lに依存している。したがって、図1や図3のように1次スクリーン20の位置が固定されている構成では、奥行き方向には虚像50を動かすことができない。
【0012】
図4に、奥行き方向に映像を動かすことができる構成例を示す。図4において、1次スクリーンとしては、複数の液晶スクリーン25を間隔を持って設置した構成を有している。この複数の液晶スクリーンは、それぞれの液晶に印加する電圧を制御することにより、選択的に1つのみ白濁状態とし、他の液晶スクリーンは透明状態とすることができる。選択的に、複数の液晶スクリーン25の1つにプロジェクタ10からの映像を映し、これを2次スクリーン40で反射する。これにより、より手前にある存在するように映したい映像は、2次スクリーン40に近い液晶スクリーン25に映す。このようにして、液晶スクリーン25の異なる位置に対応した虚像55を空間上に見える様にする。
【0013】
この液晶スクリーンの構成の例を図5に示す。図5において、液晶スクリーン25は、透明電極153および157を有する2枚のガラス板152および156の間に液晶シート154を挟んだ構成である。この構成において、透明電極153および157の間に電圧をかけることにより、液晶シート154を透明状態から白濁状態へと状態を変えることができる。液晶シートの種類により、電圧をかけないとき白濁状態である場合と、透明状態である場合とがある。電圧をかけることにより、液晶シートの状態を変化させることができる。
【0014】
図4に戻り、複数設けた液晶スクリーン25を制御することにより、虚像55の見える位置を変化させることができる。すなわち、例えば液晶スクリーン25のうち液晶スクリーンA上に映された映像は、虚像A’として液晶スクリーンAの位置と対応した位置に見える。同様に、液晶スクリーンB〜D上の映像は、虚像B’〜D’として液晶スクリーンB〜Dに対応した位置にそれぞれ見ることができる。この様にして、奥行き方向にも映像を動くように見せることができるように構成することができる。勿論、1次スクリーン自体を動く様に構成して奥行き方向の動きを実現してもよい。これらの液晶スクリーンの制御は、前述の図示しない制御装置を用いて行うことができる。
【0015】
図6は、図4に示した本発明の構成を、例えば、水族館に適用した例を示している。図6において、プロジェクタ10、液晶スクリーン25は、図4と同じものである。2次スクリーンとして、水槽200の壁面220に設けた窓210のガラス面を利用している。この窓に反射された映像は、虚像55として水槽200中に映されたように見える。これを利用して、例えば、魚230の説明を水中に映し出したように見せることが可能になる。しかも、魚が動いても、奥行き方向の動きにもある程度追随することが可能である。
【0016】
上述の構成において、プロジェクタから映し出す映像は、テレビ信号を再生した静止画でも動画でもよい。また、CGグラフィクスのようなコンピュータが作成した画像でもよい。映画やスライド写真等からの映像でもよい。
また、映像に同期して、複数の液晶スクリーンを制御することにより、擬似的に3次元画像を得ることも可能である。
【0017】
【発明の効果】
上記の説明のように、本発明は、半透過面を有する1次スクリーン、透過面を有する2次スクリーンを組み合わせることにより、簡単な構成で、映写面が存在しない空間に映像を再生したように見せることが可能である。
【0018】
本発明は、例えば、博物館、テーマパーク、美術館、ショーウインドウなど、ガラス等のケース内にあるディスプレイや展示品に対してや、水族館の水槽中の水中に映像を映すことが可能であるので、これを利用して説明的な映像を映したり、特殊効果を演出したりするのに用いることができる。
また、科学的な研究の際に観察対象の傍らに可視化データを映すことに応用することができる。
【0019】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の1次スクリーンの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の奥行き方向の動きを実現するための構成例を示す図である。
【図5】本発明で用いている液晶スクリーンの構成を示す断面図である。
【図6】水族館に本発明を摘要した場合の示した図である。
【符号の説明】
10 プロジェクタ
20 1次スクリーン
22 ガラス
24 シート
25 液晶スクリーン
30 映像
40 2次スクリーン
50 虚像
55 虚像
60 視聴者
152 ガラス板
153 透明電極
154 液晶シート
200 水槽
210 窓
220 壁面
230 魚
Claims (2)
- プロジェクタと、前記プロジェクタからの映像を、プロジェクタとは反対側の面に映す1次スクリーンと、前記1次スクリーン上に映された映像を反射することができる透明な2次スクリーンとを備え、
前記1次スクリーンは、間隔をあけて設置された複数の液晶スクリーンで構成されており、該複数の液晶スクリーンは、選択的にそのうちの1つが前記プロジェクタからの映像をプロジェクタとは反対側の面に映すことが可能な状態となり、他の液晶スクリーンは透明状態となることを特徴とするプロジェクション型映像投影装置。 - 少なくとも前記プロジェクタと前記1次スクリーンとが傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1記載のプロジェクション型映像投影装置。
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1998
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