JP3707884B2 - インクジェット用被記録材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録方式を利用した水性インキに対する記録媒体に関するものであり特に紙、樹脂コート紙、フィルム等を支持体とするインクジェット記録用被記録材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年インクジェット記録装置の高速化や記録画像の高精細化、フルカラー化に伴い被記録材に対する品質要求はますます厳しいものになってきている。さらにフルカラー記録用に開発されている各種インクジェットプリンターの中には画質的に従来の銀塩写真方式によるカラー画像に匹敵するまでの高精細な画像を出力できる性能の機種が開発されている現在においては、充分な画像濃度を得るためにインクドットとして被記録材表面に打ち込まれる液滴の量はますます増大し、被記録材のインク吸収容量としては例えば平米当たり20〜30グラム程度までのインクを吸収し、表面にインクが残存しないことが要求されるまでになってきている。
【0003】
こうした多量のインクを吸収するためには、インク吸収層を設け、このインク吸収層中に顔料等による多孔質構造を形成し、空隙中にインクを吸収する方法が有効ではあるが、こうした構成によるインク吸収層では顔料の光散乱による塗層表面の光沢が著しく低下するのが通常であり、さらにはインクドットの形状が乱れることによる画質の低下が問題となる場合がある。
【0004】
インクジェット被記録材として銀塩写真に匹敵する程度の表面光沢を有し、かつ良好なインク吸収容量を実現するための試みとして、インク吸収層を形成する場合に、表面光沢の低下の主たる要因である顔料等の微粒子をインク吸収層に導入せずに、もっぱら結着剤としてのポリマーそのものにこうしたインク吸収性をもたせることが提案されており、これらは透光性であることからOHPシートとしても利用されるが、例えば、特開昭61−19389号、同61−277483号、同61−287782号、特開昭62−9988号、特開昭63−207681号、特開平1−146784号、同1−280581号、同7−323656号公報等に見られるように各種天然もしくは合成ポリマーを主体とするインク吸収層の例が記載されている。
【0005】
上記のようなポリマーを主とするインク吸収層を形成した場合には、光沢あるいは透光性に優れた被記録材が得られるものの、ポリマー自体の耐水性が充分で無い場合や、あるいは印字されたインク染料を定着する機能に欠けるため、記録画像の耐水性が確保できない問題が発生した。このようなインク吸収層そのものを耐水化するための最も有効な手段の一つとしてインク吸収層を構成するポリマーを架橋耐水化することが挙げられ、例えば特開平6−340163号明細書にはエポキシ等の架橋剤によりインク吸収層を耐水化し、インク吸収性を損うことなく記録画像の耐水性を高める方法について開示を行っている。
【0006】
このように、銀塩写真に対抗する高画質インクジェット記録を実現するための被記録材としての要求項目は、インクの吸収容量が充分であること、および表面光沢がカラーペーパー並に良好であることに加えて、さらに記録画像の保存性についても良好であることが要求される。これは記録画像の耐水性、耐光性等が良好であるとともに、非印字部についても変色等の経時劣化が無いことが要求される。
【0007】
水性インクを利用したインクジェット記録方式においては、印字した画像を形成する色材は現在は主として水溶性染料が使用されているため、印字された部分でのこうした水溶性染料を何らかの形で不溶化あるいは固定化しない限り、画像の耐水性を実現することは困難である。従来よりこうした染料の耐水化剤あるいは定着剤として種々の系が提案されてきている。例えば、アミノ基等のアミン類ポリマーを利用した例としては、特開平7−304982号公報には媒染剤としての置換ポリエチレンイミンの例が記載され、特開平7−266689号公報にはポリアリルアミンが、また、特開昭56−84992号、特開昭57−36692号、特開昭61−72581号、同61−74880号、同61−27279号、特開昭63−264391号、特開昭64−8085号、特開平7−290817号、特開平7−125411号公報等に見られるように数多くのアミン系ポリマーが染料定着剤として記載されている。
【0008】
アミン系以外の定着剤としては、例えば特開平7−1830号公報には低分子ホスホニウム化合物の例が記載されており、また無機系定着剤としては特開平3−215081号、同3−67684号公報等に記載されるアルミナゾルのようなカチオン性無機微粒子等が挙げられる。さらにホスホニウム塩基を側鎖に有するポリマーは従来より例えば写真感光材料の分野において媒染剤としての効果が見いだされており、例えば米国特許第3429839号、同第3547649号、同第4855211号などの特許にはいずれもホスホニウム塩基を有するポリマーの例が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、本発明が課題とするところは、印字画質が良好であり、インク吸収容量に優れ、かつ表面光沢が良好であり、印字前後におけるインクジェット被記録材そのものの耐水性、耐光性等が良好であるとともに、印字部の耐水性に優れ、変色等の経時劣化の無い被記録材を提供することにある。従来技術では上記全ての項目について同時に満足させる系が無く、解決の手段が切望されているのが現状であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下に述べる本発明により達成される。即ち、支持体上に少なくとも化1で示される官能基を有するモノマーと4級アンモニウム塩基あるいはホスホニウム塩基を官能基として有するモノマーを共重合成分として有する共重合体をインク受理層中に含むことを特徴とするインクジェット被記録材により課題が解決されることを見出した。
【0011】
【化2】
Figure 0003707884
【0012】
化2中、R2はアルキル基を表す。アルキル基としては特に制限は無いが、メチル基、エチル基の場合が好ましく用いられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記官能基を有する重合体を含む溶液を支持体上に塗布することでインク受理層を有するインクジェット被記録材が基本的には形成することが出来る。支持体としては木材パルプを主体とする紙およびポリエステル系フィルム、酢酸セルロース系フィルム等各種フィルム、あるいは紙にポリエチレン、ポリプロピレン等をラミネート加工したもの等が挙げられるが、紙シート以外の支持体を使用する場合には表面に塗工して使用することが好ましい。
【0014】
化2で示される官能基を有する重合体を得るための方法の一つとして、例えば化3〜化9で示されるモノマーを重合することで目的とする重合体を得ることが出来る。
【0015】
【化3】
Figure 0003707884
【0016】
【化4】
Figure 0003707884
【0017】
【化5】
Figure 0003707884
【0018】
【化6】
Figure 0003707884
【0019】
【化7】
Figure 0003707884
【0020】
【化8】
Figure 0003707884
【0021】
【化9】
Figure 0003707884
【0022】
化2で示される官能基を有する重合体は、化2の官能基を単独で含む場合もあり得るが、化2の官能基を有するモノマーとともにこれと共重合可能な他のモノマーと共重合することで得られる重合体である場合も好ましく行うことが出来る。こうした共重合可能なモノマーの例としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルのようなカルボキシ基を有するモノマー類、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを適宜共重合モノマーとして使用することが出来る。
【0023】
化2で示される官能基以外の官能基を有する共重合体の場合に、共重合体中に含まれる化2以外の共重合体繰返し単位の比率は99重量部以下であることが好ましく、これ以上の比率であれば共重合体中に含まれる化2で示される官能基の割合が少なく、その効果が現れないため好ましくない。
【0024】
こうした化2で示される官能基を有する重合体の好ましい例を以下に示す。
【0025】
【化10】
Figure 0003707884
【0026】
【化11】
Figure 0003707884
【0027】
【化12】
Figure 0003707884
【0028】
【化13】
Figure 0003707884
【0029】
【化14】
Figure 0003707884
【0030】
化2で示される官能基を有する重合体を単独で含むインク受理層を形成することでも、例えば塩基性雰囲気下で化2の官能基間あるいは化2以外の官能基との間での付加、縮合反応が生ずる場合があり、結果として形成される架橋重合体が良好な耐水性を示すと同時に、好ましいインク吸収性を発揮する場合がある。しかしながら、化2で示す官能基を有する重合体を積極的に架橋する意味で、架橋剤をさらに添加することが好ましく、こうした架橋剤としてアルデヒド型架橋剤もしくはN−メチロール型架橋剤を該重合体に添加して架橋反応を支持体上で進行させ、架橋皮膜からなるインク受理層を形成することが好ましい。
【0031】
アルデヒド型架橋剤として好ましい例は、ホルムアルデヒド、グリオキザール、サクシンアルデヒド、グルタルデヒド、ジアルデヒドスターチ、ポリアクロレイン等が挙げられ、またN−メチロール型架橋剤としては、例えば、ジメチロール尿素、トリメチロールメラミン、ジメチロールエチレン尿素、ヘキサメチロールメラミン、ジメチロールアルキルトリアゾン、メチル化ジメチロールウロン、ジメチロールヒドロキシエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールカルバメート類等の低分子架橋剤を好ましく使用することが出来る。
【0032】
さらに、架橋剤として高分子タイプとして例えばポリ(N−メチロールアクリルアミド)のように側鎖にN−メチロール基を有する高分子量の架橋剤を使用した場合には、形成される架橋皮膜の吸液量が低分子の架橋剤を使用した場合に比べ増大する傾向にあり、インクに対する吸収能力がより高くなる場合があるため好ましく使用することが出来る。
【0033】
上記のような架橋剤を化2で示される官能基を有する重合体に添加してインク受理層を形成する場合において、該重合体100重量部に対する架橋剤の比率は30重量部を越えないことが好ましく、これを上回る量で架橋剤を添加した場合にはインク受理層を形成する該重合体の架橋度が上がりすぎ、インク吸収能が顕著に低下するため好ましくない。
【0034】
化2で示される官能基を有する重合体とともに必要に応じて他の任意のバインダーを併せて使用することが出来る。こうしたバインダーとしては、例えばセルロース誘導体として、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ジエチルアミノエチルセルロース、ジエチルアンモニウムクロリドヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドヒドロキシエチルセルロース等、澱粉、カチオン性澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉等各種変性澱粉や、或いはキトサン、カラギーナン、ゼラチンとして酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、各種変性ゼラチン、さらにはビニルポリマーとしてポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等の各種合成ポリマーを使用することが出来る。こうしたバインダーを化2で示される官能基を有する重合体と併用する場合には、バインダーの添加量は特に制限はないが、化2の官能基を有する重合体に対して例えば100倍量を越えてバインダーを使用した場合には本発明の効果が現れ難く好ましくない場合がある。
【0035】
上記のバインダーの内でも特にゼラチンを使用した場合には、化2で示す官能基がゼラチンと有効に結合することで架橋構造を形成することが可能であり、耐水性のあるインク受理層を形成する上できわめて好ましい。さらに、ゼラチンを併用するメリットとして、インクジェット記録を行った印字部のべたつきやブロッキングが起りにくいという好ましい特性を与えることが出来る。
【0036】
インクジェット被記録材そのものの耐水性は上記のように架橋耐水化したインク受理層を支持体上に形成することで達成されるが、さらに印字するインク中の色材が顔料分散物である場合には記録画像は印字後に水分が拡散、蒸発すると画像自他の耐水性が発現するが、一方でインク中の色材が水溶性染料である場合には、画像部の耐水性が十分でない場合がある。このような場合に、水溶性染料をインクジェット被記録材中に結合するための手段として、各種4級アンモニウム塩基もしくはホスホニウム塩基を有する重合体をインク受理層中に含むことがきわめて好ましいことが見いだされた。
【0037】
4級アンモニウム塩基もしくはホスホニウム塩基を有する重合体として、一つは、化2で示される官能基とを同一重合体内に併せ持つ場合が好ましく、架橋した重合体中にこうした4級塩基を含むことで、インクジェット記録の際に水溶性染料が結合し、記録層中で固定化、耐水化されるためきわめて好ましい。こうした重合体の好ましい例として、化15〜化20に示されるような重合体を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0038】
【化15】
Figure 0003707884
【0039】
【化16】
Figure 0003707884
【0040】
【化17】
Figure 0003707884
【0041】
【化18】
Figure 0003707884
【0042】
【化19】
Figure 0003707884
【0043】
【化20】
Figure 0003707884
【0044】
水溶性染料を含むインクによるインクジェット記録において同様に記録画像の耐水性を高めるための方策の一つとして、同様な4級塩基を有する重合体を化2で示される官能基を有する重合体にブレンドしてインク受理層を形成することも好ましく行われる。このようなブレンドして使用できる重合体の例としては下記の化21〜化24に示すような例が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
【化21】
Figure 0003707884
【0046】
【化22】
Figure 0003707884
【0047】
【化23】
Figure 0003707884
【0048】
【化24】
Figure 0003707884
【0049】
上記の例に示すような各種の4級塩を有する重合体をブレンドしてインク受理層を形成する場合の各重合体の比率については、4級塩ポリマーは全重合体100重量部中の50重量部以下の割合でブレンドすることが好ましく、これを越える比率で添加した場合インク受理層を形成する重合体皮膜の耐水性が低下することがあり好ましくない。
【0050】
化2で示される官能基を有する重合体を支持体に含浸あるいは塗布する場合に、目的とする効果を発揮させるために必要とされる重合体の量としては、支持体の表面積1平方メートル当たり0.1グラム以上20グラム以下の程度が好ましく、この範囲以下の量で使用した場合には重合体を添加した効果が認め難く、また20グラムを越えて使用しても過剰の重合体が存在するのみであり好ましくない。
【0051】
化2で示される重合体とともに、さらにコロイダルシリカ、アルミナゾルのような無機超微粒子分散体や、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、あるいは非晶質シリカ、無定形シリカ等の合成微粒子シリカ、さらには各種合成ラテックスや、ポリスチレンビーズ、ポリメタクリル酸メチルビーズ等のポリマー微粒子等をブロッキング防止、表面改質、隠蔽度向上等種々の目的で併用することも可能である。
【0052】
インクジェット被記録材として、例えば写真用カラーペーパーのように表面光沢が要求される場合においてはインク受理層は主としてバインダーから構成され、先に述べた無機、有機微粒子等の顔料成分の使用を最小限に留めるかあるいは使用しないことが好ましい。このような場合には、主としてバインダーから構成されるインク受理層のインク吸収容量が充分でありかつ吸収速度が早く、印字直後に印字面が乾燥していることが要求される。さらに、印字された部分の染料が耐水性を有し、印字直後に例えば指で印字面をなぞってもインクが転写しない等の特性を有することが実用上要求される。
【0053】
本発明で得られる重合体から構成されるインク受理層は、架橋しているにも関わらず良好なインク吸収性能を有することから、基本的には他の顔料やバインダー等の添加を必要とせず、該インク受理層単独で十分な品質のインクジェット記録を行うことが出来ることが特徴である。架橋していない場合にはインク受理層が耐水性を示さないことは自明である。
【0054】
合成例1(化10の合成例)
攪拌機、温度計、環流冷却管および窒素導入管を備えた1リッター4つ口フラスコ内に、化3で示すモノマー10グラム、アクリルアミド90グラムを導入し、水200グラムおよびエタノール100グラムを加え、70℃の水浴上で窒素ガスを導入しながら攪拌を行った。開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業製)を1グラム投入することで重合を開始し、6時間加熱攪拌を行い、重合体溶液を得た。
【0055】
合成例2(化17の合成例)
攪拌機、温度計、環流冷却管および窒素導入管を備えた1リッター4つ口フラスコ内に、化4で示すモノマー10グラム、ヒドロキシエチルメタクリレート65グラムおよびm,p−クロロメチルスチレンとジメチルアミノエタノールから合成されたN,N−ジメチル(2−ヒドロキシエチル)−m,p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドグラム25グラムを導入し、水200グラムおよびエタノール100グラムを加え、70℃の水浴上で窒素ガスを導入しながら攪拌を行った。開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業製)を1グラム投入することで重合を開始し、6時間加熱攪拌を行い、重合体溶液を得た。
【0056】
【実施例】
実施例1
表1に示す配合により固形分濃度が12重量%である塗工液を作成し、ポリエチレンで表面を被覆した写真用原紙上にドクトルバーを使用して、湿潤塗工量が100g/m2になるよう塗工し、70℃の温風乾燥機で乾燥した後、40℃の乾燥機内で1昼夜保存して記録シートを作成した。また同様な方法により、比較試料として表2で示す配合により作成した比較用記録シートをそれぞれ作成した。得られた記録シートをA4サイズに裁断し、インクジェットプリンターとしてキャノン社製BJC−600Jを使用して印字を行い、下記の項目について評価を行った。
(1)印字品質:単色および混色で構成された2センチ角の塗りつぶしパターンにおいて、インク濃度が均一であるか否かを評価した。印字を行った全面積において均一な濃度でパターンが描かれた場合を○とし、部分的に印字濃度にむらのある場合を△とし、さらに全面にわたって印字ムラを発生した場合を×とした。
(2)インク吸収性:上記の印字パターンの印字を行い、印字後にPPC用紙を印字面に押し当ててインクの転写が生じるか否かを評価した。印字直後にPPC用紙へのインクの転写が起こらない場合を◎とし、印字後直後では若干の転写が生ずるものの数分以内で転写が起こらなくなる場合を○とし、数分間以上10分以内に転写が起らなくなる場合を△とし、それ以上経過してもインクの転写が起こる場合を×とした。
(3)インク定着性:上記の印字パターンの印字を行った後に、水滴を印字部に落とし10分間放置した。水滴をふき取った際に、印字部の染料が流れ出し、画像濃度が低下するとともに印字部周辺にインクが広がった場合を×とし、逆に染料が溶出せず、画像部周辺へのインクの広がりも生じなかった場合を○とし、両者の中間を△とした。
(4)耐水性: 上記の印字パターンの印字を行った後に、記録シートを40℃の温水中に浸し、30分間放置した。印字部あるいは非印字部いずれかでも支持体から溶解もしくは脱落した場合を×とし、浸漬した後も何等影響がない場合を○とし、部分的に溶解等が生じる場合を△とした。
(5)高湿下保存性:上記の印字パターンを印字後、試料を30℃、85%相対湿度の雰囲気下で1週間保存した。染料の拡散による印字パターンの広がりが発生あるいはブロッキングが発生した場合を×とし、ブロッキングおよび染料の拡散のいずれも軽度の場合を△とし、何等影響がない場合を◎とした。△と◎の中間を○とした。
(6)耐光性: 上記の印字パターンを印字したシートを蛍光灯照射下の室内に1週間放置し、印字部の退色および非印字部の黄変等色調変化、濃度変化を測定した。著しい色調変化あるいは退色、印字部の黄変等が見られた場合を×とし、若干の濃度変化は認められるものの色調自体の変化が軽微であるかもしくは変化が認められず、非印字部においても黄変が認められない場合を○とし、両者の中間を△とした。評価が○のものについてはさらに引続き蛍光灯照射下の室内に1週間放置し、変化が認められなかった場合を◎とし、それ以外を○とした。
(7)光沢度: 上記の印字パターンの印字を行ったシートについて、非印字部および印字部の両方において光沢が良好であるものを○とし、両方において光沢が劣るものを×とし、両者の中間を△とした。
【0057】
上記の評価基準に基づき、表1および表2の配合により作成した記録シートを評価した結果を表3にまとめた。
【0058】
【表1】
Figure 0003707884
【0059】
表1中括弧内の数値は重量部を表す。全重合体を100重量部として、これが10重量%となるように塗工液を作成した。
【0060】
【表2】
Figure 0003707884
【0061】
表中括弧内の数値は重量部を表す。全重合体を100重量部とし、固形分濃度が10重量%となるよう塗工液を作成し同様に塗布、乾燥して記録シートを作成した。
【0062】
【化25】
Figure 0003707884
【0063】
【化26】
Figure 0003707884
【0064】
【表3】
Figure 0003707884
【0065】
実施例2
合成非晶質シリカ(トクヤマ製ファインシールX−37B)20部を水80部を使用して分散を行い、これにけん化度97%のポリビニルアルコール(クラレ製PVA117)10%溶液70部、蛍光増白剤(日本曹達製ケイコールBBL、有効成分50%)を2部添加し、さらに本発明に係わる重合体溶液もしくは比較化合物の10%溶液(配合は下記の表4に示した)を30部加えて塗工液とし、これを坪量92g/m2の原紙上にワイアバーを使用して約150g/m2程度の湿潤塗工量になるように塗布し、熱風乾燥器中で乾燥後、線圧49N/cmにて表裏1回づつカレンダー処理することでインクジェット被記録媒体を作成した。インクジェットプリンターを使用した印字評価は実施例1と全く同様に行った。評価項目の内、実施例1における(7)光沢度にかえて(7)塗層強度の評価を実施した。塗層強度については印字後の表面にセロテープを張付け、引き剥がす際に画像に影響を与えなかった場合に○、塗層が引き剥がされる場合を×とし、部分的にもはがれた場合を△とした。
【0066】
上記の評価基準に基づき、表4の構成より作成した記録シートを評価した結果を表5にまとめた。表4の構成で全体の固形分濃度が10重量%になるように調製した溶液を上記の処方において30部加えた塗工液を使用した。表4中の括弧内の数字は重量部を表す。
【0067】
【表4】
Figure 0003707884
【0068】
【表5】
Figure 0003707884
【0069】
【発明の効果】
本発明により印字品質の良好な光沢および保存性に優れた耐水性のあるインクジェット記録用被記録材が得られる。

Claims (1)

  1. 支持体上にインク受理層を有するインクジェット用被記録材において、少なくとも化1で示される官能基を有するモノマーと4級アンモニウム塩基あるいはホスホニウム塩基を官能基として有するモノマーを共重合成分として有する共重合体をインク受理層中に含むことを特徴とするインクジェット被記録材。
    Figure 0003707884
    (化1中、R1はアルキル基を表す。)
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