JP3707829B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、Spin Echo 法(SE法)、Fast Spin Echo法(FSE法、RARE法ともいう)、Gradient and Spin Echo法(GRASE法)、Echo Planar Imagimg 法(EPI法)等がある。特にFSE法、GRASE法、EPI法は、SE法に比べ短時間で同等な画質の画像が得られるため、T1 強調画像、T2 強調画像等の通常検査(ルーチン検査)でも、一般的に撮像時間が長いとされている3次元撮像が可能になりつつある。この3次元撮像法を以下「3DFT」又は単に「3D」と略す。
【0003】
図15に3次元離散フーリエイメージングの場合のK空間(空間周波数空間)上での各座標の定義とデータを収集する範囲を示す。図16にいわゆるRamp状のエンコード(Ge1)配列の3D−FSE法のパルスシーケンスチャートを、図17、図18には図16のパルスシーケンスによって得られるデータのK空間上での位置を示す。また、図19には同じく図16のパルスシーケンスにおいて、撮像対象の磁化スピンのT2 緩和によって各データの信号強度が変化する様子を模式的に示し、図19(a)には第1の位相エンコード方向ke1に沿った信号強度変化、図19(b)には第2の位相エンコード方向ke2に沿った信号強度変化を示す。
【0004】
図16で、90°は高周波励起パルスであり、 180°は高周波反転パルスである。Gsはスライス方向の勾配磁場、Ge1は第1の位相エンコード方向の勾配磁場、Geは第2の位相エンコード方向の勾配磁場、Grはリードアウト方向の勾配磁場である。第2の位相エンコード方向はスライス方向と等しく、実際はスライス方向の勾配磁場Gsの勾配磁場波形が重ね合わされる。
【0005】
この例ではエコー数5、第1の位相エンコード方向のステップ数20、第2の位相エンコード方向のステップ数21の場合を示している。両方の位相エンコード方向の波形には複数の強度をもつ部分が、それぞれ9か所あるが、これは1ShotのシーケンスをTR[秒]のくり返し周期で繰り返す毎に矢印に沿って強度を変化させていくことを示す。高周波励起パルスの印加から第5のエコーを取るまでの1回のシーケンスの実行を“shot”と言うとすると、Ge1の波形は4通りあり、Ge2の波形は21通りあるので、アベレージング数が1であっても、1回の撮影には84shotが必要である。
【0006】
図17は、図16のパルスシーケンスによって得られたK空間上のデータのke2=0のものを示したものである。左側のE1〜E5は、それぞれの実線で囲まれた領域の中にあるエコーデータが何番目のエコーのデータであるかを示したものであり、E1は1番目のエコー、E2は2番目のエコー、E3は3番目のエコー、E4は4番目のエコー、E5は5番目のエコーを示している。図18は同様にkr=0のものを示したものである。図17,図18からわかる通り、異なるエコー時間のエコーデータがke1方向に並んでいるため、図19(a)のように撮像対象の磁化スピンのT2 緩和により、K空間上でke1方向に信号強度が変化することになる。
【0007】
なお、1shot分のシーケンスの長さに対して繰り返し時間TRが2倍以上長い場合は、スライス方向のマトリクス数を増やす目的でマルチスラブ撮影も可能である。
【0008】
図20は図16の変形例で、いわゆるLow Pass状のエンコード(Ge1)配列の3D−FSE法のパルスシーケンスチャートを示す。図21、図22には、図20のパルスシーケンスによって得られるデータのK空間上での位置を示す。また、図23には、同じく図20のパルスシーケンスにおいて、撮像対象の磁化スピンのT2 緩和によって各データの信号強度が変化する様子を模式的に示す。
【0009】
図24に従来の3次元画像の再構成から表示までの手順を模式的に示す。後述する折り返しアーチファクトを避けるという目的から、第1の位相エンコード方向のマトリクス数は一般に余り少なくできないため、撮影時間を極力短くするためには、折り返しアーチファクトの問題のない第2の位相エンコード方向のマトリクスを少なく設定する。したがって3次元画像データをリード方向及び第1の位相エンコード方向を含む面で分割し、分割して得られた各断面の画像を第2の位相エンコード方向の位置に応じて順に画面上に並べて表示したり、順に上書きして表示する。
【0010】
このような従来の3DETには次のような問題がある。
(a)RFコイルの感度領域に比べ撮像領域(Field of View ; FOV)が小さく、しかも、そのRFコイルの感度領域でFOV以外の部分に信号源となるものがあると、離散フーリエ変換の性質上、エリアシング(折り返しアーチファクト)が起こるという問題がある。
【0011】
図25にこのエリアシングによるMR画像の折り返し現象を模式的に示す。図25(a)は撮像対象とFOVの関係を示した図であり、図25(b)は、得られた再構成像を示す。この図に示す通り撮像対象が位相エンコードの方向pe1又はpe2の方向にFOVよりもはみ出しており、しかも、はみ出し部分がRFコイルの感度領域の中であるなら、再構成像では、エリアシング(おり返し)がおこる。
【0012】
このため、2つの異なる部位の画像が重ってしまい、画質が著しく劣化する。撮像断面、FOVの位置あるいは方向を決める際、この問題を考慮する必要があり、撮像条件の設定に手間がかかり、撮像時間自体ものびてしまうという問題があった。
【0013】
(b)画像のぼけの大きさ(程度)が画像内の方向により異なる。図19、図23に示すようにT2 緩和による信号強度の変化が大きいGpe1(ke1)の方向には、画像のぼけが激しく、その程度が読みだし勾配磁場方向Gr、第2位相エンコード方向Gpe2と比べ大きいため、後処理として、いろいろな方向の断面表示をした場合、画像の方向によりぼけの大きさが異なり、使用上不都合である。
【0014】
通常、FSE等の高速撮像法で3次元撮像を行う場合、なるべく短時間にマトリクス数の多い撮像を行いたいという要請により、非常にエコートレイン数の長いパルスシーケンを用いる例が多い(例えば、128エコー)。
このため、この問題は3次元撮像の場合特に深刻であるといえる。
【0015】
(c)3D撮像で、スライス方向のマトリクス数が比較的多い場合、マルチスラブ撮影を行うが、非常にエコートレイン数の長いパルスシーケンスでは、時間的制約により、マルチスラブ数があまり増やせない。
【0016】
FSE,GRASEではRFの被爆の面からも同様にマルチスラブ数が制限される。このため、何回かに分けて撮像するため、撮像時間が伸びてしまうという問題がある。
【0017】
(d)図26(a)に示すように撮像対象に各種となる元素をもち、共鳴周波数の異なる2つの物質、例えば水と脂肪がある場合に、図24のように画像表示を行うと、ケミカルシフトによる共鳴周波数の差により図26(b)のようにそれぞれの物質の相対的な位置関係が正しくなくなるという問題があり誤診につながる恐れがある。
【0018】
(e)3D撮像の設定法及び表示法は、上記の諸問題を考慮したり、数多くあるパラメータを巧みに設定する必要があり、ある程度の経験を必要とし、ルーチン検査として、高いスループットを維持しつつ運用するのは、難しい。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、エリアシングを解消できる磁気共鳴イメージング方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、画像の方向によるぼけの程度の相違を抑えることのできる3次元撮像の磁気共鳴イメージング方法を提供することである。
本発明の第3の目的は、比較的短い撮像時間でマルチスラブ数を増加させることのできる3次元撮像の磁気共鳴イメージング方法を提供することである。
本発明の第4の目的は、ケミカルシフトによる物質間での相対的な位置ずれを解消する3次元撮像の磁気共鳴イメージング方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の局面では、1回の高周波励起パルスに続いて、複数の高周波反転パルスを用いて複数のエコー信号を発生させ、前記複数のエコー信号それぞれに異なる大きさの位相エンコードを施すという一連の操作を複数回行う磁気共鳴イメージング装置において、K空間においてリード方向の座標軸に関して対称の位置にあるエコーデータどうしのエコー時間を同一であるように位相エンコードを施すとともに、前記エコー信号から得られた3次元再構成画像データを前記リード方向に分割し、縦横が位相エンコード方向となる複数の2次元画像を得ることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
本発明の第2の局面では、1回の高周波励起パルスに続いて、複数の高周波反転パルスを用いて複数のエコー信号を発生させ、前記複数のエコー信号それぞれに異なる大きさの位相エンコードを施すという一連の操作を複数回行う磁気共鳴イメージング装置において、エコー時間が同一の複数のエコー信号はK空間上でのリード方向の座標軸を中心軸とした円筒、長方形又は正方形の断面をもった筒状の領域に配置されるよう位相エンコードを施すとともに、前記エコー信号から得られた3次元再構成画像データを前記リード方向に分割し、縦横が位相エンコード方向となる複数の2次元画像を得ることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置が提供される。
【0023】
【作用】
本発明によると、K空間においてリード方向の座標軸から等距離にあるエコー信号どうしのエコー時間は同一であるので、位相エンコード方向を複数設定する3D撮像法であってもT2 緩和による画像のぼけが位相エンコード方向間で略等しくなる。さらに、本発明によると、エコー信号から得られた3次元再構成画像データをリード方向に分割し、縦横が位相エンコード方向となる複数の2次元画像を得るので、リード方向(周波数エンコード方向)に関しては2次元画像を構成する必要が無く、2次元画像内でケミカルシフトによる水と脂肪等の異物質間での位置ずれが生じないし、また静磁場の不均一性による画像のひずみも生じない。そして、データサンプリング間隔を短くすれば原理上撮像時間は一定のままでスライス数を増やすことができる。
【0026】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明による磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の一実施例を説明する。
図1に本実施例に係るMRI装置の構成を示す。一般には、ホストコンピュータが用いられるパルスシーケンス計算手段1で、後述するパルスシーケンスの高周波パルスの印加タイミングや強度、各チャンネルの傾斜磁場の波形等が計算される。パルスシーケンス計算手段1の計算結果に応じて、シーケンスコントローラとしてのパルスシーケンス波形生成手段2において傾斜磁場パルス波形及び高周波パルス波形が生成される。これらの波形は傾斜磁場電源3や高周波増幅器4により増幅され、静磁場マグネット5によって発生している静磁場中に置かれた傾斜磁場コイル6、高周波コイル7によって撮像対象に印加される。撮像対象に含まれる核種となる元素(主にプロトン)は、励起され、後述するパルスシーケンスチャートに示すタイミングでエコー信号(微弱な高周波信号)を発生する。このエコー信号は再び高周波コイル7により受信され、位相検波器8で検波、アナログディジタル変換器(A/D変換器)9でデジタル値に変換され、再構成計算手段10で再構成され、画像処理手段11で画像処理され、例えばCRTディスプレイ等を含む画像表示手段12で磁気共鳴画像としてビジュアルに表示される。
【0027】
図2に3D高速SE法(3次元高速スピンエコー法)のパルスシーケンスチャートを示す。図2は、従来の図16と対比して参照されたい。なお、ここでは、3D高速SE法を一例に説明するが、3次元EPI法、3次元GRASE法についても同様に適用することができる。3D高速SE法では、エコー信号には2方向に関して位相エンコードが施される。その一方は第1の位相エンコード方向Ge1、他方は第2の位相エンコード方向Ge2である。第1の位相エンコード方向Ge1と、第2の位相エンコード方向Ge2とはリード方向Grに直交し、互いに平行でなく、直交するように設定される。第2の位相エンコード方向Ge2はスライス方向Gsと同じ方向であるとする。
【0028】
図2に示す通り、高周波励起パルス(90°パルス)は、第1の位相エンコード方向Ge1の勾配磁場(第1の傾斜磁場)と共に印加される。このため、第1の位相エンコード方向Ge1に有限な幅をもった領域(第1の領域)内にある核種だけが励起され、横磁化が発生する。1回の高周波励起パルスに続いて、従来と同様に複数の高周波反転パルス(180°パルス)を繰り返し印加しながら複数のエコー信号を発生させる。高周波反転パルスは、第2の位相エンコード方向Ge2の勾配磁場(第2の傾斜磁場)と共に印加される。これにより、第2の位相エンコード方向Ge2に有限な幅をもった領域(第2の領域)内の磁化スピンのみが位相反転し、横磁化がリフォーカスする。
【0029】
第1の領域と第2の領域との共通領域が第1の位相エンコードの方向及び第2の位相エンコードの方向の撮像領域内に収まるよう高周波励起パルスの周波数帯域、高周波反転パルスの周波数帯域、第1の勾配磁場の強度及び第2の勾配磁場の強度が調整される。
【0030】
第1、第2の位相エンコード方向に関しては、共通領域であり、リード方向に関しては、エコー信号が位相検波器8の受信フィルタの帯域内の部分のみが再構成後画像として現れる。このため、この共通領域外にエコー信号を生ずる対象があり、また、その部分でも、高周波コイル7の感度がある場合、従来法では現れていた図25のようなエリアシングアーチファクトが現れない。
【0031】
したがって、スライス、エンコード方向のマトリクス数を必要以上に多くする必要がなく、撮像時間を短かくすることができる。なお、図3に3D高速SE法の他のパルスシーケンスチャートを示す。図3は、従来の図20と対比して参照されたい。
【0032】
図4に3D高速SE法の他のパルスシーケンスチャートを示す。図5(a)にke2=0のkr×ke1の断面のデータ順序を、図5(b)にkr任意の場合のke1×ke2の断面のデータ順序を示す。図6及び図7に、各shotにおける各位相エンコード用勾配磁場パルスの面積値(時間積分値)の対応関係を示し、図6は1回目のshotから42回目のshotまで、図7に43回目のshotから84回目のshotまでを示す。図8(a)にkrが任意の場合のke1方向(ke2=0)の撮像対象のT2 緩和による信号強度の変化の様子を示し、す。図8(b)にkrが任意の場合のke2方向(ke1=0)の撮像対象のT2 緩和による信号強度の変化の様子を示す。
【0033】
図5(a),(b)のE1〜E5の領域は図4に示す通りエコー時間TEの異なるE1〜E5のエコー信号がそれぞれ担当する。K空間のkr×ke1の面及びke1×ke2の面においてリード方向の座標軸に関して対称の位置にあるエコーデータどうしのエコー時間は同一であるように位相エンコードが施される。また、エコー時間TEの短いエコーデータほどK空間の中心に近い位置に、またエコー時間TEの長いエコーデータほどK空間の周辺に配置されるように位相エンコードを施す。K空間上でのそれぞれのエコーの担当する領域内のデータはどのような順序で収集してもよい。それぞれのデータを何番目のshotでとるかについても、各エコーの領域で独立に設定可能である。図6及び図7はその1例で従来と同様、エコー数5、第1の位相エンコード方向のステップ数20、第2の位相エンコード方向のステップ数21の場合、図4のS11〜S25に示す位相エンコード用勾配磁場の面積値(時間積分値)をどのように各shot毎に変化させればよいかを示している。
【0034】
上述したような位相エンコードを施すことにより、図8(a),(b)に示す通り、エコー信号の振幅の変化の激しさ(程度)が2つの位相エンコード方向のどちらも同程度となる。従来の図23(a),(b)を比較参照されたい。本実施例の方が従来例より、位相エンコード方向によるK空間上でのエコー信号の振幅の変化の差が減少する。これは、画像のボケの程度が各位相エンコード方向で同程度になることを意味し、特に任意断面表示の際の画質が向上される。
【0035】
次に他の位相エンコードの施し方を説明する。図9、図10、図11は、3種類の位相エンコードの施し方によるke1×ke2面のデータ配列を示したものである。なお図10で斜線部分は、実際に収集せず0という値を入れる部分である。図9は四角形の領域を基本にしたもの、図10、図11は円形の領域を基本にしたものである。エコー時間が同一の複数のエコー信号は、K空間上でのリード方向の座標軸を中心軸とした円筒、長方形又は正方形の断面をもった筒状の領域に配置されるよう位相エンコードが施される。また、K空間の中心を含む領域を最もエコー時間TEの短かいエコーE1のデータが担い、中心から遠い領域ほどTEの長いエコーE5(又はE4)のデータが担うように位相エンコードが施される。つまりK空間の中心から周辺に向かって、E1→E2→E3→E4→E5の順に例を示した。逆にE5→E4→E3→E2→E1の順やE1→E2→E5→E4→E3のように任意に順序を入れかえても良い。
【0036】
次に画像再構成の方法について図12を参照して説明する。従来の図24を比較参照されたい。3次元逆フーリエ変換等の再構成手法により3次元再構成画像データが得られる。ここで重要なのは、同じリード方向の位置をもつ2次元平面状のデータ毎に分割し、2次元画像を第1、第2の位相エンコード方向ke1,ke2に相当するxe1×xe2の面で構成し、リード方向krに相当するxrの方向にマルチスライス化する点にある。また、xrに沿って2次元画像を配列して表示する。
【0037】
このような表示方法を行なうと、第1位相エンコードと第2位相エンコード方向に関して構成されるため、換言するとリード方向(周波数エンコード方向)に関しては2次元画像が構成されずマルチスライスの方向とされるため、図26(c)に示されるように2次元画像内でケミカルシフトによる水と脂肪等の異物質間での位置ずれが生じない。また、静磁場の不均一性による画像のひずみも生じない。
【0038】
この表示方法を従来のマルチスライス撮像を比較すると、従来のマルチスライス撮像法が1shotあたりのシーケンスの長さと繰り返し時間の関係上、撮影時間によりスライス枚数が制限されていたのに対し、本実施例は、データサンプリングの間隔を短かくすれば原理上何枚でもスライスが増やせるという特徴をもっている。例えば、heavy T2 強調のコントラストを目的として、TR=4000msで1shotあたりのシーケンスの長さが400msのパルスシーケンスを行う場合、従来のマルチスライス撮像法で撮像を行うと、最大10枚しかスライスがとれない。一方、本実施例のように撮像すると、スライスは、サンプリング間隔が設定できさえすれば撮像時間は一定のままで任意の枚数のスライス(例えば、1024枚)が得られる。
【0039】
ただし、1shotあたりのエコー数とshot数との積が2次元画像のxe1の横方向とxe2の縦方向とのマトリクス数の積に等しくなければならない。この方法は縦、横方向のマトリクス数に比べて、スライス枚数が多い場合、例えば棒状(角柱状)の撮像領域を撮像する場合に特に向いているといえる。
【0040】
次に画像処理について図13、図14を参照して説明する。図中の長方形は、3次元画像を複数の2次元画像に分割したもの(スライス)を横から見たものを模式的に示している。また、図中の矢印は、加算処理、又は平均処理を示している。リード方向(リード方向に相当するxr)に沿って隣接している複数の2次元画像をフレーム間で加算又は平均する。図13(a)は2フレーム間での加算又は平均処理を示す。加算又は平均処理対象の画像の位置を、図13(b)に示すようにシフトすることができる。また、加算又は平均処理対象の画像の枚数(フレーム数)を、図13(c)に示すように、調整することができる。図13(d)に示すようにシフト調整及び枚数調整を同時に行うことができる。また、図14(a)乃至(c)に示すように、加算又は平均処理対象の画像を重複させたり、その重複枚数を調整することができる。これらの画像処理の調整量の変更は変更されるたびに画像表示を行いなおしてもよい。
本発明は、上述した実施例に限定されることなく種々変形して実施可能であるのは勿論である。
【0041】
【発明の効果】
本発明によると、K空間においてリード方向の座標軸から等距離にあるエコー信号どうしのエコー時間は同一であるので、位相エンコード方向を複数設定する3D撮像法であってもT2 緩和による画像のぼけが位相エンコード方向間で略等しくなる。さらに、本発明によると、エコー信号から得られた3次元再構成画像データをリード方向に分割し、縦横が位相エンコード方向となる複数の2次元画像を得るので、リード方向(周波数エンコード方向)に関しては2次元画像を構成する必要が無く、2次元画像内でケミカルシフトによる水と脂肪等の異物質間での位置ずれが生じないし、また静磁場の不均一性による画像のひずみも生じない。そして、データサンプリング間隔を短くすれば原理上撮像時間は一定のままでスライス数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による磁気共鳴イメージング装置の構成図。
【図2】本実施例による3D高速SE法のパルスシーケンスチャートを示す図。
【図3】本実施例による3D高速SE法の他のパルスシーケンスチャートを示す図。
【図4】本実施例による3D高速SE法のさらに他のパルスシーケンスチャートを示す図。
【図5】ke2=0のkr×ke1の断面のデータ順序、kr任意の場合のke1×ke2の断面のデータ配列を示す図。
【図6】1回目のshotから42回目のshotまでの各shotにおける各位相エンコード用勾配磁場パルスの面積値(時間積分値)の対応関係を示す図。
【図7】43回目のshotから84回目のshotまでの各shotにおける各位相エンコード用勾配磁場パルスの面積値(時間積分値)の対応関係を示す図。
【図8】krが任意の場合のke1方向(ke2=0)の撮像対象のT2 緩和による信号強度の変化の様子と、krが任意の場合のke2方向(ke1=0)の撮像対象のT2 緩和による信号強度の変化の様子を示す図。
【図9】第1種の位相エンコードの施し方によるke1×ke2面のデータ配列を示す図。
【図10】第2種の位相エンコードの施し方によるke1×ke2面のデータ配列を示す図。
【図11】第3種の位相エンコードの施し方によるke1×ke2面のデータ配列を示す図。
【図12】画像再構成方法についての説明図。
【図13】画像処理方法についての説明図。
【図14】他の画像処理方法についての説明図。
【図15】3D−FSE法でのK空間上での各座標の定義とデータを収集する範囲を示す図。
【図16】従来のRamp状のエンコード(Ge1)配列の3D−FSE法のパルスシーケンスチャートを示す図。
【図17】図16のパルスシーケンスによって得られるデータのK空間のkr×ke1面上での配置を示す図。
【図18】図16のパルスシーケンスによって得られるデータのK空間のke1×ke2面上での配置を示す図。
【図19】図16のパルスシーケンスにおいて、撮像対象の磁化スピンのT2 緩和によって各データの信号強度が変化する様子を模式的に示す図。
【図20】従来のLow Pass状のエンコード(Ge1)配列の3D−FSE法のパルスシーケンスチャートを示す図
【図21】図20のパルスシーケンスによって得られるデータのK空間のkr×ke1面上での配置を示す図。
【図22】図20のパルスシーケンスによって得られるデータのK空間のke1×ke2面上での配置を示す図。
【図23】図20のパルスシーケンスにおいて、撮像対象の磁化スピンのT2 緩和によって各データの信号強度が変化する様子を模式的に示す図。
【図24】従来の3次元画像の再構成から表示までの手順を模式的に示す図。
【図25】エリアシングによるMR画像の折り返し現象を模式的に示す図。
【図26】ケミカルシフトによる水と脂肪との位置ずれの説明図。
【符号の説明】
1…パルスシーケンス計算手段、2…パルスシーケンス波形生成手段、
3…傾斜磁場電源、 4…高周波増幅器、
5…静磁場マグネット、 6…傾斜磁場コイル、
7…高周波コイル、 8…位相検波器、
9…A/D変換器、 10…再構成計算手段、
11…画像処理計算手段、 12…画像表示手段。
Claims (2)
- 1回の高周波励起パルスに続いて、複数の高周波反転パルスを用いて複数のエコー信号を発生させ、前記複数のエコー信号それぞれに異なる大きさの位相エンコードを施すという一連の操作を複数回行う磁気共鳴イメージング装置において、
K空間においてリード方向の座標軸に関して対称の位置にあるエコーデータどうしのエコー時間を同一であるように位相エンコードを施すとともに、前記エコー信号から得られた3次元再構成画像データを前記リード方向に分割し、縦横が位相エンコード方向となる複数の2次元画像を得ることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 1回の高周波励起パルスに続いて、複数の高周波反転パルスを用いて複数のエコー信号を発生させ、前記複数のエコー信号それぞれに異なる大きさの位相エンコードを施すという一連の操作を複数回行う磁気共鳴イメージング装置において、
エコー時間が同一の複数のエコー信号はK空間上でのリード方向の座標軸を中心軸とした円筒、長方形又は正方形の断面をもった筒状の領域に配置されるよう位相エンコードを施すとともに、前記エコー信号から得られた3次元再構成画像データを前記リード方向に分割し、縦横が位相エンコード方向となる複数の2次元画像を得ることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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