JP3705990B2 - バルブ付消火栓用t字管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は管路内の夾雑物を効率的に排出し、かつバルブの機能をも有するバルブ付消火栓用T字管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、処理の終わった適性な飲料水は管路網を流れて、末端の家庭や事務所などに供給される。膨大な管路のネットワークのどこかで老朽化した管の布設替え工事などが行われた場合、補修工事に伴って若干の夾雑物、たとえば土砂などが管内の通水に紛れ込む可能性がある。このような夾雑物が万一含まれると、折角、飲料水として調整した水質に影響することは言うまでもないから、仮に管内に夾雑物(異物、または固形物など)が紛れ込んだときは必ず排出することが強く求められる。
【0003】
特開平4−33992号の従来技術では、図5のように消火栓のベースパイプ101にL字形のスタンドパイプ102を着脱自在に取り付け、該スタンドパイプ102内に昇降自在にシャフト103を設け、該シャフト103の先端に主管路(消火栓管路)104の管底近傍に届き得る排出器105を連結した構成を示している。すなわち、通常は図示しない消火栓をベースパイプ101の上に連結しているが、必要あるときは消火栓上部を取り外してベースパイプの上にスタンドパイプ102を繋ぎ換え、先端の排出器から主管路104の内部、特に管底を流れるような比較的重い異物を吸い上げるとしている。
【0004】
別の従来技術として、図6(A)(B)の実用新案第2576036号では、主管路201の管底部近くに開口部202を設けて枝管203と連通させて一体成形し、管底部から管頂部に沿って流れる異物Sを開口部から取り込んで管外へ効率的に排出できると謳っている。その他、この改良技術と目される特開平9−3986号公報の従来技術も認められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図5の従来技術は、管路浄化の必要が生じたときには消火栓を取り外して特別の器具と繋ぎ換えなければならないという煩瑣な作業を強いられる。場合によっては極めて多数の繋ぎ換え作業を狭隘な消火栓ピットなどで行わなければならず、迅速な作業に支障をきたす原因となる。また、この従来技術では異物Sは重いからほとんど管底に集中して流下するという前提に立つが、夾雑物は単重の大きい砂粒だけであるとは限らず、比重が水に近い粒子や極めて微細な粘土質の粒子などは、管底に沈下しないで管内全断面に分散して流下する。
【0006】
一方、図6の従来技術についても、主管から連通する開口部を管底近くに設定しているから、効率的に重い異物を吸い上げて排出できることは事実であるにしても、必ずしも汚濁の全ての態様に追随して浄化できるとは限らず、管内全断面に分散して流れる懸濁物の排出には有効ではない。また地理的要因によって、管内圧や流量、流速にバラツキの生じることは国土の特性上避けられないし、混入する夾雑物粒子の形状や受けるべき浮力にも差が生じることは防ぎ難いから、一定の渦巻形状に基づく夾雑物の排出効果にも当然バラツキがあり、常に一定の信頼性が保たれる訳ではない。
【0007】
本発明は、管路内に夾雑物が混入したときでも、その比重の大小、形状の如何を問わず流水内の混入の態様とは一切無関係に全ての夾雑物を絶対的に排出することができるバルブ付消火栓用T字管を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るバルブ付消火栓用T字管は、地中に埋設される主管路1に介装接続されるT字形の分岐管2内にバタフライ形バルブ4を設け、そのバルブ4は、分岐管2の直管部21の軸線C1と分岐管2の分岐部22の軸線C2との交点Oを通りその両軸線C1、C2に直交して分岐管2を横切って配設した弁軸41と、弁軸41に固着して分岐管2の直管部21を開閉する弁体42と、弁軸41の回動をウォーム歯車機構を介して地上より操作できるように立設した操作軸43とからなり、前記弁体42を回動して前記直管部21の軸線C1と平行にして前記分岐管2内流路の直線状の流通を確保し、弁体42を回動して前記分岐管2の流路を斜めに遮断することにより直管部21内の流体の全てを分岐部22側へ切り替えて、管路内に流下する夾雑物をその形状、性状の如何に拘らず全て排出することで課題を解決した。
【0009】
主管路1の軸線C1はそのまま分岐管2の軸線と一致し、これと直交する分岐部22の軸線C2との交点Oは、管路内を通過する流路の中心に位置する。この交点Oにバルブ4設け、このバルブ4の弁軸41を前記交点Oを通り前記両軸線C1、C2に直交するように横架して装着した弁体42を回動することによって全流路は全開し、または全閉する。従って通常時は弁体42を流路と平行に開いて全流量を確保し、必要あるときにのみ回動して斜めに流路を遮断すれば、上下流の何れか一方の流水だけが分岐部22と連通し、他方を完全に閉塞するから、流水中の管底近くを沈下しつつ流れて来た重い夾雑物も、軽くて微細な懸濁状に管流の中層、上層に巻き込まれて流下してきた微小な夾雑物も、一切の区別なく全て分岐部22を通して消火栓3側へ排出される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1(A)(B)(C)は本発明の一実施の形態を示し、同図(A)は分岐管2の側面断面図、同図(B)は平面断面図および同図(C)は同図(A)におけるA−A矢視図である。同図において、2は主管路1の軸線方向の適所に介装接続した分岐管で、分岐管2はT字形のダクタイル鋳鉄管として一体的に製造され、図示しない主管路に継合するためにダクタイル鋳鉄直管と同様に規格化された挿し口23、受口24を両端に具えている。この実施形態ではK形であるが、その他、NS形などダクタイル鋳鉄管に規定される全ての規格を準用した形状を採れることは言うまでもない。
【0011】
図2は本発明の使用形態の全体を示し、分岐管2の交点Oから直角に上方へ分岐する分岐部22には消火栓3が締結し、一方ほぼ水平の直管部21の左右両端には同じ軸線C1を具えた主管路1と継合し、これらの3つの軸線は何れも単一の直線C1に統一される。
【0012】
4は分岐管2に組み込んだバルブ、すなわち回動形の仕切弁(バタフライ形バルブ)で、図1のように、交点Oを通り前記両軸線C1、C2に直交するように弁軸41を軸架し、弁体42を共動きするように固着する。飲料水など管内水の水質に影響を与えないように、弁軸41はステンレス鋼などの合金鋼を採用する。また弁体42は金属製の楕円板とし耐食性と耐摩耗性の確定したゴムライニングで全面被覆して装着するか、または弁体42の回動部全域の直管部21内面に円筒状ゴム部材を嵌め込むことにより、弁体42の全閉時において該ゴムを圧縮し流路遮断時の止水を行なう。
【0013】
弁軸41の回動は地上からの操作によって行う。通常の使用状態は、図2のように主管路1に適宜設けられた消火栓桝5において消火栓3と同様に操作する。図2では主管路1,その間に介装し消火栓桝5へ分岐部22を露呈した分岐管2、分岐管2の上へ載置して管路との開閉を切り換える補修弁6,補修弁6の上へ取り付けた消火栓3,消火栓3の排出口31にワンタッチで着脱する排出ホース32を示し、この図の消火栓桝5内に仕切弁4の操作軸43と操作ハンドル45を略示しているが、図1(B)(C)にもその形態を例示する。弁軸41は分岐管2の管路を横断して回動自在に軸支され、一端は管壁に自由支持され、他端は管外周面から突出したギヤボックス46内で軸支される。ギヤボックス46内には弁軸41の軸受け47と弁軸の先端に固着した歯車48と螺合するウォーム歯車49およびウォーム歯車49に先端を固定して共廻りし、他端に操作ハンドル45を有する操作軸43を立設する。
【0014】
仕切弁4の操作は、操作軸43の四角錐台形状のキャップ44に、これと嵌合する先端を持つT字形状の操作ハンドル45で行なう。操作の手順としては、図2に示すように消火栓3の排出口31に排出ホース32を取り付け、キャップ44または操作ハンドル45を回動して弁体42を作動し流路を閉塞する。その後キャップ33を回動して消火栓3を開くことにより、全管路断面に分散した全ての夾雑物を伴って消火栓3の排出口31から排出ホース32を経て地上へ排出される。
【0015】
図3(A)(B)(C)は、ギヤボックス46にインジケータ50を取り付けた他の実施の形態を示し、弁体42が上下流何れの通水を排出しているのか、またその開度は全開なのか、またはどの方向に開いているのかを知るためのインジケータ50をギヤボックス46付近に取り付ける。すなわち、弁軸41と同調して回転する指針51、ギヤボックス46の外部に突出させた突出部41aに取り付ける。
さらに、ギヤボックス46の上面には弁の開度状態と対応するようなマークや文字、例えば管路のどちら側から排水しているかを示す矢印や中立位置(全開)を示すNなどを鋳出しやその他の容易に消えないような方法で表示する表示部52を設ける。
【0016】
なお、消火栓桝5内に本発明の仕切弁4を取り付けるとき、図4に示すように管1、2の管中心深さ55位までコンクリートやモルタル54を打設する場合がある。このような施工がなされるとインジケータ50が動かなくなることがある。このような場合に対処するためには、コンクリート54を打設する前に、例えばカバー53を取り付けておく。
カバー53はギヤボックス46のインジケータ50周辺にコンクリートやモルタルが入らないよう空間を設けると同時に、前記した開度表示機能を付しておくことができ、コンクリート54の有無にかかわらずカバー53を取り付けることは好都合である。なお、カバー53の材質は樹脂製のみならず、同様の機能を果たすものであれば材質は問わない。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上述べたように都市部などに設けた消火栓桝(ピット)を利用し、管路内に流下する夾雑物をその形状、性状の如何に拘わらず全て排出するから、従来技術における同排出装置よりも対象となる夾雑物の範囲に制約がなく、また、たとえば、地理的要因などによる流況の変動にも全く影響を受けることなく全量補促することができるとともに、バルブとしても機能するため仕切弁の数を削減できて部品点数の減小によるコスト低減にも役立つ、という大きな利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る要部の断面側面図(A)、断面平面図(B)および図(A)におけるA−A断面矢視図(C)である。
【図2】本発明の実施の形態に係る全体の一部断面正面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る要部の一部断面側面図(A)、断面図(B)および要部の一部平面図(C)である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る全体の一部断面正面図である。
【図5】従来技術の断面側面図である。
【図6】別の従来技術の断面側面図(A)と断面正面図(B)である。
【符号の説明】
1 主管路
2 分岐管
3 消火栓
4 バルブ(仕切弁)
5 消火栓桝
6 補修弁
21 直管部
22 分岐部
41 弁軸
42 弁体
43 操作軸
C1 軸線(主管路および分岐管の直管部)
C2 軸線(分岐管の分岐部)
O C1とC2の交点

Claims (1)

  1. 地中に埋設される主管路1に接続されるT字形の分岐管2にバタフライ形バルブ4を設け、そのバルブ4は、分岐管2の直管部21の軸線C1と分岐管2の分岐部22の軸線C2との交点Oを通りその両軸線C1、C2に直交して分岐管2を横切って配設した弁軸41と、弁軸41に固着して分岐管2の直管部21を開閉する弁体42と、弁軸41の回動をウォーム歯車機構を介して地上より操作できるように立設した操作軸43とからなり、前記弁体42を回動して前記直管部21の軸線C1と平行にして前記分岐管2内流路の直線状の流通を確保し、弁体42を回動して前記分岐管2の流路を斜めに遮断することにより直管部21内の流体の全てを分岐部22側へ切り替えて、管路内に流下する夾雑物をその形状、性状の如何に拘らず全て排出するようにしたことを特徴とするバルブ付消火栓用T字管。
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