JP3705709B2 - 導電性高分子複合紙の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、導電性高分子複合紙の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、紙ベースの電子部材、計測部材等として有用な、高付加価値紙製品の展開を可能とする、新しい導電性複合紙の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、古い歴史を有する紙製品については、その用途の多様化とともに各種の機能が付与されたものが開発されてきている。
しかしながら、古来からの紙パルプを主として抄造される紙製品については、たとえば電子・光機能等の先端的な機能が付与されたものは数が少く、実際的には、技術革新の時代に即応した高付加価値品の展開はあまり進んでいないのが実情である。
【0003】
そこで、この出願の発明は、以上のような状況に鑑みて、紙パルプを主とする抄造製品について、その用途の多様化と高付加価値化を図ることができる、新しい導電性複合紙の製造方法を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記のとおりの課題を解決するものとして、まず第1には、紙パルプにエメラルデインベースの導電性高分子を内添し、抄紙した後に酸処理する導電性高分子複合紙の製造方法であって、導電性高分子がポリアニリン系高分子、ポリピロール系高分子、またはポリチオフェン系高分子であることを特徴とする導電性高分子複合紙の製造方法を提供し、第2には、エメラルデインベースとして、紙パルプとの合計量に対して1〜40重量%の割合で内添されている導電性高分子複合紙の製造方法を提供する。
【0006】
以上のとおりのこの出願の発明の導電性高分子複合紙の製造方法は、混合抄紙によって安価に作成できる上に、作成されたものは劇的な電気伝導度と色調の変化、および水素イオンセンシング機能を有する等から、たとえば静電防止梱包紙、コンデンサー電極、酸性度の検出素子等の用途への展開に有用なものとなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
この出願の発明の実施の形態について以下に説明する。
まず、この発明の導電性高分子複合紙については、前記のとおり、紙パルプを主として、これに導電性高分子が内添されて抄紙されたものであることを本質的な特徴としている。
【0008】
この場合の紙パルプは、従来より使用されているものをはじめとして各種のものであってよい。製紙用として使用することができる、針葉樹や広葉樹の木材パルプをはじめ、非木材系のリンターパルプ等であってよく、製造法としての区分では、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプのうちの各種のもの、あるいはそれらの混合であってよい。
【0009】
一方、内添される導電性高分子も各種のものでよく、たとえば代表例としては、ポリアニリン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリチオフェン系高分子等が挙げられる。
ここで、たとえば、ポリアニリン系高分子と表現する場合の「系」については、高分子の基本主鎖構造がポリアニリンであって、これに各種の化学修飾が行われているもので、導電性を示すことのできる各種のものが含まれることを意味している。つまり、ポニアニリンとその修飾体としての導電性高分子が意味されている。他の場合についても同様である。
【0010】
これらの導電性高分子は、この発明においては、いわゆる脱ドープされている非酸化状態のエメラルデインベースとして、あるいは酸化状態にあるエメラルデインソルトとして添加混合することができる。
たとえばポニアニリンのエメラルデインベース状態のものを使用する場合について説明すると、エメラルデインベースとは、前記のとおり、脱ドープした状態のポニアニリンをさす。このため、この状態では導電性は生じないが塩酸などで酸処理してpHを下げ、いわゆるドーピング処理を行うことにより、酸化状態にするとエメラルデインソルトという導電性状態に変化する。紙に内添したポリアニリンも同様に絶縁性状態から導電性状態に変化する。それとともに色が深い青からエメラルドグリーンに変化する。この状態でこの導電性高分子複合紙の導電性が生ずる。また酸化状態のエメラルデインソルトと紙パルプより、最初から導電性を有する状態で抄紙することも可能であり、酸による上記のドーピング処理を行うこと無しに導電性の紙が作製できる。
【0011】
いずれの場合も、複合紙は紙パルプと混合抄紙することで作製できるので極めて製法が容易である。電気伝導度や色の変化は内添するポリアニリンの量を変化させることにより調節できる。また、前記例示の他の導電性高分子であるポリピロールやポリチオフェンでも同様な複合紙を作製でき、同様な性能を得ることができる。
【0012】
なお、エメラルデインソルトの状態(導電性状態)にしてからアンモニアなどのアルカリに、気相ないしは液相で接触させると絶縁体に変化することから、この発明の導電性複合紙はアルカリセンサーとしても用いることができる。
紙パルプへの導電性高分子の配合割合については特に限定はなく、使用する導電性高分子の種類、所望の電気伝導度のレベル等により適宜に調整される。一般的には、エメラルデインベースとして、紙パルプとの合計量に対して1〜40重量%、さらには5〜25重量%程度が適当な目安となる。
【0013】
そして、この発明においては、より具体的には、電気伝導度が1S/cm以上である導電性高分子複合紙が提供されることになる。
もちろん、この発明の複合紙においては、所望により他の配合成分が適宜に添加されてもよいことは言うまでもない。また、抄紙については、従来同様の方法、そして装置が適宜に使用できることになる。
【0014】
また、エメラルデインベースで内添した後の酸処理には、塩酸が最も簡便に使用できるが、これに限定されることはなく、pHを下げ、酸化状態とすることのできる鉱酸あるいは有機酸のうちの各種のものであってよい。塩酸を用いる場合には、常温、常圧で、空気中で蒸発するHClによるドープとして行うことができる。たとえば塩酸以外には、硫酸、ギ酸等も例示される。また、酸処理は導電性を賦活するためのドープとして行われるものであるが、この賦活のためのドープは、ヨウ素やヒ素(AsF5 等による)で行ってもよい。
【0015】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
紙パルプ:NBKP(針葉樹パルプ)/LBKP(広葉樹パルプ)(重量比)=70/30にポリアニリンエメラルデインベースを13.5重量%内添し、抄紙装置により複合紙を作製した。この場合、坪量は195g/m2 であった。これを常温、常圧で塩酸蒸気にさらすことにより最高1.95S/cmの電気伝導度が発生することが確認された。添付の図1に示したように、塩酸蒸気にさらす前は絶縁体の領域であったが塩酸蒸気に接触させるとほぼ同時に導体の領域に電気伝導度が向上した。その上昇率は一億倍であった。
【0017】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、混合抄紙という簡単な手段で、紙パルプを主とする導電性複合紙の製造方法を提供することができる。
この複合紙は、製法が容易であるだけでなく、電気伝導度や色の変化は内添するポリアニリンの量を変化させることにより調節でき、また、水素イオンセンシング機能を有し、色および電気伝導度の劇的な変化から酸性度のチェック、および静電防止梱包剤等に用いることができる。さらにはアルカリセンサーとしても使用することができる。またポリアニリン等の導電性高分子の単体にはない、紙特有の柔らかさ、安価性、しなやかさ、強靱性を有するため、製紙業界の電子分野における新たな分野の開拓に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エメラルデインベースのポリアニリンの内添の紙についての塩酸処理にともなう電気伝導度の変化を例示した図である。
Claims (2)
- 紙パルプにエメラルデインベースの導電性高分子を内添し、抄紙した後に酸処理する導電性高分子複合紙の製造方法であって、導電性高分子がポリアニリン系高分子、ポリピロール系高分子、またはポリチオフェン系高分子であることを特徴とする導電性高分子複合紙の製造方法。
- エメラルデインベースとして、紙パルプとの合計量に対して1〜40重量%の割合で内添されている請求項1の導電性高分子複合紙の製造方法。
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