JP3705524B2 - Fmθ誘導用記録体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、再生すると、ヒトの脳波におけるFmθの出現を促す可聴音を与えるFmθ誘導用記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大脳皮質や頭皮上の相違する2点間に観察される電位差は「脳波」と呼ばれ、心身の状態に対応する独特の波形、律動を有している。脳波は、律動の周期に依って、通常、α波、β波、θ波及びδ波の4波に分類される。このうち、周期8乃至13ヘルツのα波は、心身が弛緩するにつれて、強く、広範囲に連続して出現するようになる。周期18乃至30ヘルツのβ波は、逆に、心身が緊張するにつれ、強く、広範囲に出現するようになる。周期4乃至8ヘルツのθ波と周期4ヘルツ未満のδ波は入睡眠に関連する脳波であり、入眠時にはθ波が強く現われ、睡眠が深くなるにつれてδ波が優勢になると言われている。イノウエ等『ジ・イー・イー・ジー・オブ・メンタル・アクティビティーズ』、第136〜148頁(1988年)に見られるように、θ波のうちでも、成人の前頭正中部付近に観察される6乃至7ヘルツの優勢なθ律動は「Fmθ」と呼ばれ、精神作業に深く関与すると言われている。精神作業しているヒトの脳波を分析すると、作業者の前頭正中部付近にFmθが出現しているのが観察され、その強度と分布は、作業者の注意力や集中力が高まれば高まるほど、強く、広範囲に出現するようになる。
【0003】
このように、Fmθが注意・集中力と密接な関係を有していることから、何等かの方法で人為的にFmθを誘導できれば、作業者の注意力や集中力を向上でき、作業の効率や精度を改善できると期待される。しかしながら、これまで、人為的にFmθを誘導し得る装置や方法は全く知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況に鑑み、この発明の目的は、人為的にFmθを誘導し得る記録体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者が斯かる課題を解決し得る手段について鋭意研究したところ、可聴域の低周波に周波数約20ヘルツ以下の超低周波が重畳してなる変調波は、対象者に聴かせると、Fmθがより強く、広範囲に出現することを見出した。この発明は、斯かる新規な知見に基づくものであり、可聴域の低周波に周波数約20ヘルツ以下の超低周波が重畳してなる変調波を磁気又は光学記録したトラックを有し、再生すると、その変調波を含む可聴音を与えるFmθ誘導用記録体を要旨とするものである。
【0006】
【発明の作用】
この発明のFmθ誘導用記録体は、適宜再生装置により再生すると、可聴域の低周波に周波数約20ヘルツ以下の超低周波が重畳してなる変調波を含む可聴音を与える。この可聴音は、対象者に聴かせると、その脳波におけるFmθの出現を促す。超低周波の周波数が約2乃至10ヘルツの範囲にあるときには、Fmθのみならず、α波の出現をも促す。
【0007】
以下、実施例、実験例などによりこの発明を詳細に説明するに、この発明でいう変調波とは、可聴域の低周波に、周波数約20ヘルツ以下の超低周波が重畳してなるものである。斯かる低周波としては、通常、超低周波の周波数を越え、約20,000ヘルツを越えない周波数の適宜波形の連続波やパルス波が使われる。本発明者が健常者を対象に種々試験したところ、低周波の周波数が約6,000ヘルツを越えると、被検者の一部が聴き取り難さや軽微な不快感を訴えることがあった。実際には、超低周波の周波数や再生装置の周波数特性などを勘案すると、通常、約50乃至3,000ヘルツ、望ましくは、約100乃至500ヘルツ、さらに望ましくは、約120乃至200ヘルツに設定するのがよい。波形についても同様に種々試験したところ、正弦波のような連続波や、例えば、鋸状波、方形波、矩形波などのパルス波であって、パルスの持続時間が比較的長いものが好適であった。一方、超低周波には、周波数約20ヘルツ以下、通常、約2乃至10ヘルツの連続波若しくはパルス波が望ましく、また、その波形は、低周波の場合と同様、正弦波のような連続波や、持続時間の比較的長いパルス波が好適である。
【0008】
斯かる変調波を発生するには、通常、変調波発生回路と呼ばれる電気回路が使われ、この変調波発生回路は、例えば、可聴域の低周波を発生する第一の発振回路と、周波数約20ヘルツ以下の超低周波を発生する第二の発振回路と、それら発振回路の出力端に接続された入力端を有し、前者の低周波を後者の超低周波で変調する振幅変調回路、位相変調回路、周波数変調回路又はパルス変調回路などの変調回路により構成される。普通一般には、第一の発振回路で発生させた低周波を第二の発振回路で発生させた超低周波により変調回路において振幅変調し、低周波に超低周波が重畳してなる変調波を得る。この変調波は、超低周波が低周波を包絡したような波形を有しており、低周波の電圧値が超低周波の周波数に応じて周期的に変動する。本発明者がFmθ誘導能と副作用に着目し、健常者を対象に当該変調波の変調度を種々変えて試験したところ、変調度が約30乃至100%、望ましくは、約60乃至90%の範囲にあるときに、不快感などの副作用を実質的に惹起することなく、最高レベルのFmθを誘導することができた。
【0009】
上記のようにして得られる変調波は磁気乃至光学記録装置に供給され、そこで再生可能に記録体のトラックに記録される。この発明でいう記録体とは、通常、磁気テープ、磁気ディスク、磁気フロッピーなどの磁気記録体や光ディスクなどの光学記録体を意味し、これら記録体に変調波を記録する方法は、使用する個々の記録体に応じた方法を採用すればよい。記録体が、例えば、コンパクトカセット方式の磁気テープである場合には、磁気ヘッドに接触させた状態で磁気テープを走行させ、その磁気ヘッドに変調波を含む電気信号を印加すればよい。記録体が、例えば、コンパクトディスクである場合には、変調波を含む電気信号を一旦デジタル信号に変換し、そのデジタル信号を光学読取可能に記憶した原盤を作製する。そして、その原盤をもとにポリカーボネートなどのディスク原料をプレス加工すれば、変調波を光学記録したトラックを有するコンパクトディスクが得られる。記録体がビデオテープやビデオディスクなどの画像記録可能な記録体である場合には、この発明による変調波に加えて、Fmθ及び/又はα波を誘導し得る画像を記録してもよい。
【0010】
この発明による可聴音は、対象者が片耳で聴いても両耳で聴いても、誘導されるFmθに実質的な違いがないので、上記記録方法はモノラル方式であってもステレオ方式であっても構わない。但し、ステレオ方式による場合には、例えば、第一のトラックに変調波を記録する一方、第二のトラックに無変調の低周波を記録することができるので、使用に際しては、通常、変調波を記録した第一のトラックのみを聴くこととし、必要に応じて、両方のトラックをステレオ方式で聴けるようにしておけば、対象者は変調波と無変調の低周波とを適宜切り換えて聴くことができる。対象者に依っては、変調波を含む可聴音を長時間聴かせると、疲労感を感じたり、可聴音への馴れが生じることがあり、上記のようにするときには、斯かる疲労感や馴れを最少限にすることができる。なお、録音方式がモノラル方式であるかステレオ方式であるかに拘らず、変調波及び/又は無変調の低周波とともに、それらを再生して得られる可聴音が対象者においてFmθを誘導するのを実質的に妨げない範囲で、例えば、音楽等のその他の適宜音響を記録しても構わない。
【0011】
この発明による記録体の使用方法について説明するに、この発明の記録体は、適宜再生装置で再生すると、変調波を含む可聴音を与える。斯かる可聴音が得られる限り、再生装置そのものについて特に制限はなく、通常、業務乃至民生用のオーディオ・ビデオ装置が使用される。使用目的にも依るが、一般に、この発明による可聴音は最初はやや強く、徐々に弱めていくのがよい。使用目的が精神作業時における注意力や集中力の向上にあるときには、必要に応じて、その都度その都度、作業前若しくは作業中に適当時間聴けばよい。疾病等の予防・治療が目的の場合には、対象者の状態を注意深く観察しつつ、例えば、1日に1乃至3回、1回当たり最長2時間を目安に、毎週1乃至7日、1カ月乃至1年に亙って聴かせればよい。使用目的や対象者にも依るが、そのときの可聴音の音圧は、通常、約20乃至90dB、望ましくは、約30乃至80dBとするのがよい。前述のとおり、この発明による可聴音は、片耳で聴いても両耳で聴いても、誘導されるFmθの強度や分布において実質的な違いがない。対象者にも依るが、この発明による可聴音には、長時間聴き続けると、その後はごく短時間聴くか、全く聴かなくてもFmθを促す性質がある。斯かる対象者にとって、この発明の記録体は、いわゆる「メンタルトレーニング」の手段として有用である。
【0012】
次に、以下の実施例に基づき、この発明を具体的に説明する。
【0013】
【実施例】
周波数約150ヘルツの正弦波を発生する第一の発振器と、周波数約8ヘルツの正弦波を発生する第二の発振器と、増幅回路を内蔵する変調器と、ステレオ方式の磁気記録装置を用意し、第一の発振器の出力端を変調器と磁気記録装置における入力端の一つに、第二の発振器の出力端を変調器の入力端に、変調器の出力端を磁気記録装置における残る入力端の一つに接続した。これら全ての装置を始動させ、変調器の出力端に現われる変調波の波形をオシロスコープで観察しながら、変調波の変調度を約80%に調節した。この状態で磁気記録装置に装填したコンパクトカセット方式の磁気テープを4.8センチメートル/秒で走行させ、磁気テープにおけるトラックの一つに変調波を、もう一つのトラックに無変調の低周波、すなわち、周波数約150ヘルツの正弦波を記録した。なお、磁気テープには、テープ幅3.81ミリメートルの通常品を使用した。
【0014】
本例の記録体は、再生すると、周波数約150ヘルツの正弦波を含む可聴音と、図1に示すように、その正弦波に周波数約8ヘルツの正弦波が重畳してなる変調波を含む可聴音を与えた。本例の記録体は通常一般の再生装置で再生でき、しかも、取扱いや持ち運びも容易なことから、作業者が実際に精神作業する場所に再生装置とともに携帯し、作業中、必要に応じてこの発明による可聴音を聴くことができる。
【0015】
次に、実験例に基づき、この発明の奏する効果について説明する。
【0016】
【実験例】
精神神経疾患のない20歳台の男女それぞれ5名を被検者とし、その頭部にステレオヘッドホンとともに、脳波計測用生体電極を『国際脳波学会連合標準電極配置法』にしたがって装着した。脳波測定用生体電極にはデータ処理装置を備えたNEC三栄株式会社の製造・販売する脳波計『1A97A型』を、また、ステレオヘッドホンには超低周波の周波数範囲を適宜変更した以外、実施例と同様に作製した記録体を装填した磁気再生装置を接続した。次に、先ず、被検者を可聴音を聴かせない状態で、精神作業としてクレペリン試験(連続一位加算作業)を15分間負荷し、その間、被検者の脳波を検出し、増幅した後、ティアック株式会社の製造・販売するデータレコーダ『XR−710型』に記録した。前半の試験が終了した後、被検者を5分間休憩させ、今度は、可聴音を聴かせながら後半15分間のクレペリン試験を負荷するとともに、その間、前記と同様にして被検者の脳波を検出し、得られたデータを増幅した後、データレコーダに記録した。なお、可聴音の音圧は、被検者の鼓膜上で約70dBになるように設定した。
【0017】
試験終了後、データレコーダに記録したデータをNEC三栄株式会社が製造・販売するシグナルプロセッサ『7T18A型』により9回加算演算処理し、周波数解析した後、被検者10名のFmθを平均して1分間当たりのトポグラフとして表示した。それとともに、前半、後半それぞれ15分間に亙る精神作業中、被検者頭部におけるF3、Fz及びF4部位から導出したFmθにつき、前半15分間及び後半15分間についてそれぞれ1分間当たりの平均強度(マイクロボルト)を求め、得られた平均強度を部位ごとに数1に代入してFmθ増加率(%)を計算した。これらトポグラフとFmθ増加率をもって、各可聴音のFmθ誘導能を判断する目安とした。結果を表1及び図2、図3に示す。
【0018】
【数1】
【0019】
対照として、可聴音を全く聴かせない系(以下、「対照1」と言う。)と無変調波、すなわち、周波数約150ヘルツの正弦波のみを聴かせる系(以下、「対照2」と言う。)などを設け、これら対照についても前述と同様に試験した。
【0020】
【表1】
【0021】
表1の結果から明らかなように、全ての可聴音が共通して周波数約150ヘルツの正弦波を含んでいながら、そのFmθ増加率には顕著な違いが認められた。すなわち、超低周波の周波数が約20ヘルツ以下の範囲にあると、F3、Fz及びF4の全ての部位においてFmθ増加率が顕著に上昇し、導出部位に依っては対照1の約130%にも達することがあった。図2、図3のトポグラフも、この発明による可聴音を聴きながら精神作業すると、Fmθが被検者の前頭正中部を中心に強く、広範囲に出現するようになったことを裏付けている。表1における対照3、対照4の結果に見られるように、超低周波の周波数が20ヘルツを上回ると、Fmθ増加率において対照1や対照2との有意差が認められなくなり、被検者に依っては軽微な不快感や集中力の低下を訴えたり、クレペリン試験の進捗に明らかな遅延が認められた。
【0022】
以上の実験事実から、超低周波の周波数としては約20ヘルツ以下、とりわけ、約2乃至10ヘルツの範囲の適していることが理解される。データは示していないものの、超低周波の周波数を8ヘルツ付近に固定する一方、低周波の周波数を50乃至6,000ヘルツの範囲で適宜変更しながら前記と同様に試験したところ、低周波の周波数が約100乃至500ヘルツのときにFmθ増加率が有意に上昇し、約120乃至200ヘルツのときにピークに達した。また、周波数約150ヘルツの正弦波に周波数約8ヘルツの正弦波が重畳してなる可聴音につき、変調波の変調度を適宜変更しながら前記と同様に試験したところ、変調度が約30乃至100%のときに、Fmθ増加率がピークに達した。正弦波以外に、鋸状波、方形波、三角波、矩形波などのパルス波についても試験したところ、持続時間が比較的長いパルスは、正弦波に比べるとやや劣るものの、ほぼ同等の結果が得られた。
【0023】
別途、前記の被検者10名を対象に、この発明による可聴音がα波の出現に及ぼす影響について試験した。すなわち、被検者の頭部に脳波測定用生体電極とステレオヘッドホンを装着させ、できるだけリラックスして閉眼座位した状態で60分間に亙って周波数約150ヘルツの正弦波に周波数約8ヘルツの正弦波が重畳してなる変調波を含む可聴音を聴かせた。そして、その間、常法により脳波を測定し、増幅した後、データレコーダに記録した。試験終了後、記録したデータを周波数解析し、周期8乃至10ヘルツのα波につき、測定開始直後から20分間に亙り、5分間隔で1分間当たりのトポグラフとして表示した。3日後、同じ被検者を対象に、可聴音を聴かせなかった点を除き、全く同じ実験を行った。その結果、この発明による可聴音を聴かせると被検者のα波に顕著な変化が現われ、可聴音を聞かせないときのα波が図4に見られるとおりであったところ、この発明による可聴音を聴かせると、図5に見られるように、可聴音を聴かせ始めてから15分間の時点で被検者の頭頂部を中心にα波が強く、極めて広範囲に出現しているのが認められた。それと同時に、β波の出現も顕著に抑制されていた。この傾向は、超低周波の周波数を約2乃至10ヘルツの範囲で変えても概ね変わらなかった。
【0024】
これらのことは、この発明による可聴音がFmθの出現を促すのみならず、α波の出現を促すと同時に、β波の出現を抑制する作用のあることを示唆している。前述のとおり、α波とβ波は、それぞれ心身の弛緩又は緊張に対応する脳波であることから、この発明の記録体は、開眼して使用するとFmθを誘導して注意・集中力を高め、閉眼して使用するとα波を誘導するとともにβ波を抑制して心身を弛緩・安静化させるということになる。
【0025】
前述のとおり、Fmθは注意・集中力のよい指標であることから、本実験例の結果は、この発明の記録体が、精神作業一般に使用して、使用者の注意・集中力を高め、精神作業の効率・精度を高水準に保つことを示唆していると言える。そして、このことは、クレペリン試験の進捗率(%)からも窺われ、表1に示すように、この発明による可聴音を聴かせた場合には、作業の進捗率が有意に高まっていた。
【0026】
【発明の効果】
この発明の記録体は斯く構成されているので、その可聴音は、対象者に聴かせると、その脳波におけるFmθの出現を促す。とりわけ、超低周波の周波数が約2乃至10ヘルツの範囲にあるときには、Fmθだけではなく、α波の出現をも促す。したがって、この発明による可聴音は、対象者に聴かせることにより、Fmθやα波が係わる心身の望ましい状態、すなわち、注意力や集中力の向上、さらには、心身の弛緩・安静化を促す。
【0027】
このようなことから、この発明の記録体が与える可聴音は、注意力や集中力の向上に止どまらず、心身の弛緩・安静化や学習力、創作力の向上、さらには、例えば、ノイローゼ、精神衰弱症、心身症、躁欝症、慢性アルコール依存症などの精神疾患や、例えば、テレビ受像機、ビデオディスプレー、OA機器、自動車点火プラグなどから輻射される電磁波による、いわゆる、テクノストレスを含むストレス症一般による思考力、集中力、労働意欲の低下、不眠、倦怠感、脅迫観念、恐怖症、不充実感などの軽減や緩解に効果を発揮する。したがって、この発明の記録体は、一般家庭、職場、競技場、学校、学習塾、教習所、訓練所、研究所、アトリエなどにおいては精神作業の効率・精度、学習力、学術研究力、創作力、あるいは、競技中の集中力を高める手段として、また、職場、診療所、病院、療養所などにおいてはストレスを始めとする各種精神疾患を予防・治療するための手段として有用である。対象者に依っては、この発明による可聴音を長期間聴き続けると、その後はごく短時間聴くか、全く聴かなくてもFmθの出現が促進されることがある。斯かる対象者にとって、この発明の記録体は、いわゆる「メンタルトレーニング」の手段として有用である。
【0028】
このように、この発明は斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の磁気記録体を再生して得られる可聴音の波形図である。
【図2】 可聴音を聴かせることなく被検者に精神作業を負荷したときのFmθを示すトポグラフである。
【図3】 この発明による可聴音を聴かせながら被検者に精神作業を負荷したときのFmθを示すトポグラフである。
【図4】 可聴音を聴かせることなく被検者を閉眼座位させたときのα波を示すトポグラフである。
【図5】 この発明による可聴音を聴かせながら被検者を閉眼座位させたときのα波を示すトポグラフである。
【発明の属する技術分野】
この発明は、再生すると、ヒトの脳波におけるFmθの出現を促す可聴音を与えるFmθ誘導用記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大脳皮質や頭皮上の相違する2点間に観察される電位差は「脳波」と呼ばれ、心身の状態に対応する独特の波形、律動を有している。脳波は、律動の周期に依って、通常、α波、β波、θ波及びδ波の4波に分類される。このうち、周期8乃至13ヘルツのα波は、心身が弛緩するにつれて、強く、広範囲に連続して出現するようになる。周期18乃至30ヘルツのβ波は、逆に、心身が緊張するにつれ、強く、広範囲に出現するようになる。周期4乃至8ヘルツのθ波と周期4ヘルツ未満のδ波は入睡眠に関連する脳波であり、入眠時にはθ波が強く現われ、睡眠が深くなるにつれてδ波が優勢になると言われている。イノウエ等『ジ・イー・イー・ジー・オブ・メンタル・アクティビティーズ』、第136〜148頁(1988年)に見られるように、θ波のうちでも、成人の前頭正中部付近に観察される6乃至7ヘルツの優勢なθ律動は「Fmθ」と呼ばれ、精神作業に深く関与すると言われている。精神作業しているヒトの脳波を分析すると、作業者の前頭正中部付近にFmθが出現しているのが観察され、その強度と分布は、作業者の注意力や集中力が高まれば高まるほど、強く、広範囲に出現するようになる。
【0003】
このように、Fmθが注意・集中力と密接な関係を有していることから、何等かの方法で人為的にFmθを誘導できれば、作業者の注意力や集中力を向上でき、作業の効率や精度を改善できると期待される。しかしながら、これまで、人為的にFmθを誘導し得る装置や方法は全く知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況に鑑み、この発明の目的は、人為的にFmθを誘導し得る記録体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者が斯かる課題を解決し得る手段について鋭意研究したところ、可聴域の低周波に周波数約20ヘルツ以下の超低周波が重畳してなる変調波は、対象者に聴かせると、Fmθがより強く、広範囲に出現することを見出した。この発明は、斯かる新規な知見に基づくものであり、可聴域の低周波に周波数約20ヘルツ以下の超低周波が重畳してなる変調波を磁気又は光学記録したトラックを有し、再生すると、その変調波を含む可聴音を与えるFmθ誘導用記録体を要旨とするものである。
【0006】
【発明の作用】
この発明のFmθ誘導用記録体は、適宜再生装置により再生すると、可聴域の低周波に周波数約20ヘルツ以下の超低周波が重畳してなる変調波を含む可聴音を与える。この可聴音は、対象者に聴かせると、その脳波におけるFmθの出現を促す。超低周波の周波数が約2乃至10ヘルツの範囲にあるときには、Fmθのみならず、α波の出現をも促す。
【0007】
以下、実施例、実験例などによりこの発明を詳細に説明するに、この発明でいう変調波とは、可聴域の低周波に、周波数約20ヘルツ以下の超低周波が重畳してなるものである。斯かる低周波としては、通常、超低周波の周波数を越え、約20,000ヘルツを越えない周波数の適宜波形の連続波やパルス波が使われる。本発明者が健常者を対象に種々試験したところ、低周波の周波数が約6,000ヘルツを越えると、被検者の一部が聴き取り難さや軽微な不快感を訴えることがあった。実際には、超低周波の周波数や再生装置の周波数特性などを勘案すると、通常、約50乃至3,000ヘルツ、望ましくは、約100乃至500ヘルツ、さらに望ましくは、約120乃至200ヘルツに設定するのがよい。波形についても同様に種々試験したところ、正弦波のような連続波や、例えば、鋸状波、方形波、矩形波などのパルス波であって、パルスの持続時間が比較的長いものが好適であった。一方、超低周波には、周波数約20ヘルツ以下、通常、約2乃至10ヘルツの連続波若しくはパルス波が望ましく、また、その波形は、低周波の場合と同様、正弦波のような連続波や、持続時間の比較的長いパルス波が好適である。
【0008】
斯かる変調波を発生するには、通常、変調波発生回路と呼ばれる電気回路が使われ、この変調波発生回路は、例えば、可聴域の低周波を発生する第一の発振回路と、周波数約20ヘルツ以下の超低周波を発生する第二の発振回路と、それら発振回路の出力端に接続された入力端を有し、前者の低周波を後者の超低周波で変調する振幅変調回路、位相変調回路、周波数変調回路又はパルス変調回路などの変調回路により構成される。普通一般には、第一の発振回路で発生させた低周波を第二の発振回路で発生させた超低周波により変調回路において振幅変調し、低周波に超低周波が重畳してなる変調波を得る。この変調波は、超低周波が低周波を包絡したような波形を有しており、低周波の電圧値が超低周波の周波数に応じて周期的に変動する。本発明者がFmθ誘導能と副作用に着目し、健常者を対象に当該変調波の変調度を種々変えて試験したところ、変調度が約30乃至100%、望ましくは、約60乃至90%の範囲にあるときに、不快感などの副作用を実質的に惹起することなく、最高レベルのFmθを誘導することができた。
【0009】
上記のようにして得られる変調波は磁気乃至光学記録装置に供給され、そこで再生可能に記録体のトラックに記録される。この発明でいう記録体とは、通常、磁気テープ、磁気ディスク、磁気フロッピーなどの磁気記録体や光ディスクなどの光学記録体を意味し、これら記録体に変調波を記録する方法は、使用する個々の記録体に応じた方法を採用すればよい。記録体が、例えば、コンパクトカセット方式の磁気テープである場合には、磁気ヘッドに接触させた状態で磁気テープを走行させ、その磁気ヘッドに変調波を含む電気信号を印加すればよい。記録体が、例えば、コンパクトディスクである場合には、変調波を含む電気信号を一旦デジタル信号に変換し、そのデジタル信号を光学読取可能に記憶した原盤を作製する。そして、その原盤をもとにポリカーボネートなどのディスク原料をプレス加工すれば、変調波を光学記録したトラックを有するコンパクトディスクが得られる。記録体がビデオテープやビデオディスクなどの画像記録可能な記録体である場合には、この発明による変調波に加えて、Fmθ及び/又はα波を誘導し得る画像を記録してもよい。
【0010】
この発明による可聴音は、対象者が片耳で聴いても両耳で聴いても、誘導されるFmθに実質的な違いがないので、上記記録方法はモノラル方式であってもステレオ方式であっても構わない。但し、ステレオ方式による場合には、例えば、第一のトラックに変調波を記録する一方、第二のトラックに無変調の低周波を記録することができるので、使用に際しては、通常、変調波を記録した第一のトラックのみを聴くこととし、必要に応じて、両方のトラックをステレオ方式で聴けるようにしておけば、対象者は変調波と無変調の低周波とを適宜切り換えて聴くことができる。対象者に依っては、変調波を含む可聴音を長時間聴かせると、疲労感を感じたり、可聴音への馴れが生じることがあり、上記のようにするときには、斯かる疲労感や馴れを最少限にすることができる。なお、録音方式がモノラル方式であるかステレオ方式であるかに拘らず、変調波及び/又は無変調の低周波とともに、それらを再生して得られる可聴音が対象者においてFmθを誘導するのを実質的に妨げない範囲で、例えば、音楽等のその他の適宜音響を記録しても構わない。
【0011】
この発明による記録体の使用方法について説明するに、この発明の記録体は、適宜再生装置で再生すると、変調波を含む可聴音を与える。斯かる可聴音が得られる限り、再生装置そのものについて特に制限はなく、通常、業務乃至民生用のオーディオ・ビデオ装置が使用される。使用目的にも依るが、一般に、この発明による可聴音は最初はやや強く、徐々に弱めていくのがよい。使用目的が精神作業時における注意力や集中力の向上にあるときには、必要に応じて、その都度その都度、作業前若しくは作業中に適当時間聴けばよい。疾病等の予防・治療が目的の場合には、対象者の状態を注意深く観察しつつ、例えば、1日に1乃至3回、1回当たり最長2時間を目安に、毎週1乃至7日、1カ月乃至1年に亙って聴かせればよい。使用目的や対象者にも依るが、そのときの可聴音の音圧は、通常、約20乃至90dB、望ましくは、約30乃至80dBとするのがよい。前述のとおり、この発明による可聴音は、片耳で聴いても両耳で聴いても、誘導されるFmθの強度や分布において実質的な違いがない。対象者にも依るが、この発明による可聴音には、長時間聴き続けると、その後はごく短時間聴くか、全く聴かなくてもFmθを促す性質がある。斯かる対象者にとって、この発明の記録体は、いわゆる「メンタルトレーニング」の手段として有用である。
【0012】
次に、以下の実施例に基づき、この発明を具体的に説明する。
【0013】
【実施例】
周波数約150ヘルツの正弦波を発生する第一の発振器と、周波数約8ヘルツの正弦波を発生する第二の発振器と、増幅回路を内蔵する変調器と、ステレオ方式の磁気記録装置を用意し、第一の発振器の出力端を変調器と磁気記録装置における入力端の一つに、第二の発振器の出力端を変調器の入力端に、変調器の出力端を磁気記録装置における残る入力端の一つに接続した。これら全ての装置を始動させ、変調器の出力端に現われる変調波の波形をオシロスコープで観察しながら、変調波の変調度を約80%に調節した。この状態で磁気記録装置に装填したコンパクトカセット方式の磁気テープを4.8センチメートル/秒で走行させ、磁気テープにおけるトラックの一つに変調波を、もう一つのトラックに無変調の低周波、すなわち、周波数約150ヘルツの正弦波を記録した。なお、磁気テープには、テープ幅3.81ミリメートルの通常品を使用した。
【0014】
本例の記録体は、再生すると、周波数約150ヘルツの正弦波を含む可聴音と、図1に示すように、その正弦波に周波数約8ヘルツの正弦波が重畳してなる変調波を含む可聴音を与えた。本例の記録体は通常一般の再生装置で再生でき、しかも、取扱いや持ち運びも容易なことから、作業者が実際に精神作業する場所に再生装置とともに携帯し、作業中、必要に応じてこの発明による可聴音を聴くことができる。
【0015】
次に、実験例に基づき、この発明の奏する効果について説明する。
【0016】
【実験例】
精神神経疾患のない20歳台の男女それぞれ5名を被検者とし、その頭部にステレオヘッドホンとともに、脳波計測用生体電極を『国際脳波学会連合標準電極配置法』にしたがって装着した。脳波測定用生体電極にはデータ処理装置を備えたNEC三栄株式会社の製造・販売する脳波計『1A97A型』を、また、ステレオヘッドホンには超低周波の周波数範囲を適宜変更した以外、実施例と同様に作製した記録体を装填した磁気再生装置を接続した。次に、先ず、被検者を可聴音を聴かせない状態で、精神作業としてクレペリン試験(連続一位加算作業)を15分間負荷し、その間、被検者の脳波を検出し、増幅した後、ティアック株式会社の製造・販売するデータレコーダ『XR−710型』に記録した。前半の試験が終了した後、被検者を5分間休憩させ、今度は、可聴音を聴かせながら後半15分間のクレペリン試験を負荷するとともに、その間、前記と同様にして被検者の脳波を検出し、得られたデータを増幅した後、データレコーダに記録した。なお、可聴音の音圧は、被検者の鼓膜上で約70dBになるように設定した。
【0017】
試験終了後、データレコーダに記録したデータをNEC三栄株式会社が製造・販売するシグナルプロセッサ『7T18A型』により9回加算演算処理し、周波数解析した後、被検者10名のFmθを平均して1分間当たりのトポグラフとして表示した。それとともに、前半、後半それぞれ15分間に亙る精神作業中、被検者頭部におけるF3、Fz及びF4部位から導出したFmθにつき、前半15分間及び後半15分間についてそれぞれ1分間当たりの平均強度(マイクロボルト)を求め、得られた平均強度を部位ごとに数1に代入してFmθ増加率(%)を計算した。これらトポグラフとFmθ増加率をもって、各可聴音のFmθ誘導能を判断する目安とした。結果を表1及び図2、図3に示す。
【0018】
【数1】
【0019】
対照として、可聴音を全く聴かせない系(以下、「対照1」と言う。)と無変調波、すなわち、周波数約150ヘルツの正弦波のみを聴かせる系(以下、「対照2」と言う。)などを設け、これら対照についても前述と同様に試験した。
【0020】
【表1】
【0021】
表1の結果から明らかなように、全ての可聴音が共通して周波数約150ヘルツの正弦波を含んでいながら、そのFmθ増加率には顕著な違いが認められた。すなわち、超低周波の周波数が約20ヘルツ以下の範囲にあると、F3、Fz及びF4の全ての部位においてFmθ増加率が顕著に上昇し、導出部位に依っては対照1の約130%にも達することがあった。図2、図3のトポグラフも、この発明による可聴音を聴きながら精神作業すると、Fmθが被検者の前頭正中部を中心に強く、広範囲に出現するようになったことを裏付けている。表1における対照3、対照4の結果に見られるように、超低周波の周波数が20ヘルツを上回ると、Fmθ増加率において対照1や対照2との有意差が認められなくなり、被検者に依っては軽微な不快感や集中力の低下を訴えたり、クレペリン試験の進捗に明らかな遅延が認められた。
【0022】
以上の実験事実から、超低周波の周波数としては約20ヘルツ以下、とりわけ、約2乃至10ヘルツの範囲の適していることが理解される。データは示していないものの、超低周波の周波数を8ヘルツ付近に固定する一方、低周波の周波数を50乃至6,000ヘルツの範囲で適宜変更しながら前記と同様に試験したところ、低周波の周波数が約100乃至500ヘルツのときにFmθ増加率が有意に上昇し、約120乃至200ヘルツのときにピークに達した。また、周波数約150ヘルツの正弦波に周波数約8ヘルツの正弦波が重畳してなる可聴音につき、変調波の変調度を適宜変更しながら前記と同様に試験したところ、変調度が約30乃至100%のときに、Fmθ増加率がピークに達した。正弦波以外に、鋸状波、方形波、三角波、矩形波などのパルス波についても試験したところ、持続時間が比較的長いパルスは、正弦波に比べるとやや劣るものの、ほぼ同等の結果が得られた。
【0023】
別途、前記の被検者10名を対象に、この発明による可聴音がα波の出現に及ぼす影響について試験した。すなわち、被検者の頭部に脳波測定用生体電極とステレオヘッドホンを装着させ、できるだけリラックスして閉眼座位した状態で60分間に亙って周波数約150ヘルツの正弦波に周波数約8ヘルツの正弦波が重畳してなる変調波を含む可聴音を聴かせた。そして、その間、常法により脳波を測定し、増幅した後、データレコーダに記録した。試験終了後、記録したデータを周波数解析し、周期8乃至10ヘルツのα波につき、測定開始直後から20分間に亙り、5分間隔で1分間当たりのトポグラフとして表示した。3日後、同じ被検者を対象に、可聴音を聴かせなかった点を除き、全く同じ実験を行った。その結果、この発明による可聴音を聴かせると被検者のα波に顕著な変化が現われ、可聴音を聞かせないときのα波が図4に見られるとおりであったところ、この発明による可聴音を聴かせると、図5に見られるように、可聴音を聴かせ始めてから15分間の時点で被検者の頭頂部を中心にα波が強く、極めて広範囲に出現しているのが認められた。それと同時に、β波の出現も顕著に抑制されていた。この傾向は、超低周波の周波数を約2乃至10ヘルツの範囲で変えても概ね変わらなかった。
【0024】
これらのことは、この発明による可聴音がFmθの出現を促すのみならず、α波の出現を促すと同時に、β波の出現を抑制する作用のあることを示唆している。前述のとおり、α波とβ波は、それぞれ心身の弛緩又は緊張に対応する脳波であることから、この発明の記録体は、開眼して使用するとFmθを誘導して注意・集中力を高め、閉眼して使用するとα波を誘導するとともにβ波を抑制して心身を弛緩・安静化させるということになる。
【0025】
前述のとおり、Fmθは注意・集中力のよい指標であることから、本実験例の結果は、この発明の記録体が、精神作業一般に使用して、使用者の注意・集中力を高め、精神作業の効率・精度を高水準に保つことを示唆していると言える。そして、このことは、クレペリン試験の進捗率(%)からも窺われ、表1に示すように、この発明による可聴音を聴かせた場合には、作業の進捗率が有意に高まっていた。
【0026】
【発明の効果】
この発明の記録体は斯く構成されているので、その可聴音は、対象者に聴かせると、その脳波におけるFmθの出現を促す。とりわけ、超低周波の周波数が約2乃至10ヘルツの範囲にあるときには、Fmθだけではなく、α波の出現をも促す。したがって、この発明による可聴音は、対象者に聴かせることにより、Fmθやα波が係わる心身の望ましい状態、すなわち、注意力や集中力の向上、さらには、心身の弛緩・安静化を促す。
【0027】
このようなことから、この発明の記録体が与える可聴音は、注意力や集中力の向上に止どまらず、心身の弛緩・安静化や学習力、創作力の向上、さらには、例えば、ノイローゼ、精神衰弱症、心身症、躁欝症、慢性アルコール依存症などの精神疾患や、例えば、テレビ受像機、ビデオディスプレー、OA機器、自動車点火プラグなどから輻射される電磁波による、いわゆる、テクノストレスを含むストレス症一般による思考力、集中力、労働意欲の低下、不眠、倦怠感、脅迫観念、恐怖症、不充実感などの軽減や緩解に効果を発揮する。したがって、この発明の記録体は、一般家庭、職場、競技場、学校、学習塾、教習所、訓練所、研究所、アトリエなどにおいては精神作業の効率・精度、学習力、学術研究力、創作力、あるいは、競技中の集中力を高める手段として、また、職場、診療所、病院、療養所などにおいてはストレスを始めとする各種精神疾患を予防・治療するための手段として有用である。対象者に依っては、この発明による可聴音を長期間聴き続けると、その後はごく短時間聴くか、全く聴かなくてもFmθの出現が促進されることがある。斯かる対象者にとって、この発明の記録体は、いわゆる「メンタルトレーニング」の手段として有用である。
【0028】
このように、この発明は斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の磁気記録体を再生して得られる可聴音の波形図である。
【図2】 可聴音を聴かせることなく被検者に精神作業を負荷したときのFmθを示すトポグラフである。
【図3】 この発明による可聴音を聴かせながら被検者に精神作業を負荷したときのFmθを示すトポグラフである。
【図4】 可聴音を聴かせることなく被検者を閉眼座位させたときのα波を示すトポグラフである。
【図5】 この発明による可聴音を聴かせながら被検者を閉眼座位させたときのα波を示すトポグラフである。
Claims (1)
- 磁気又は光学方式により記録したトラックを有し、そのトラックが、再生すると、周波数約120乃至200ヘルツの低周波に、振幅が該低周波の約80%である周波数約2乃至10ヘルツの一定周期の超低周波が重畳した波形を有する可聴音であって、対象者が覚醒開眼した状態で知覚すると、ヒトの脳波におけるFmθの出現を誘導し、精神作業における注意・集中力を高める可聴音を与えるものであることを特徴とするFmθ誘導用記録体。
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