JP3705219B2 - 電食防止転がり軸受の製造装置 - Google Patents

電食防止転がり軸受の製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄道車両用電動機等の回転支持部分に組み込まれる電食防止転がり軸受を造る為の製造装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両用電動機(主として車輪駆動用)の回転支持部分に組み込まれる転がり軸受には、何らの対策も施さないと電流が流れる。そして、電流が流れた場合には構成各部材同士の接触部でこれら各部材の金属表面が溶出する、所謂電食が発生する。この様な電食が発生すると、軌道輪に形成した軌道面や転動体の転動面に細かな凹凸が形成される等、転がり軸受の性能が著しく劣化して、この転がり軸受の耐久性を損なう。この為従来から、転がり軸受を構成する軌道輪の周面に絶縁皮膜を形成し、この軌道輪とこの軌道輪を嵌合させる相手部材との間に電流が流れる事を防止している。
【0003】
図8には、この様な目的で造られた電食防止転がり軸受の構造の2例を示している。先ず、図8(A)に示した第1例の構造に就いて説明する。この電食防止転がり軸受は、一般の転がり軸受と同様に、内周面に外輪軌道1を有する外輪2と、外周面に内輪軌道3を有する内輪4と、上記外輪軌道1と内輪軌道3との間に転動自在に設けられた複数個の転動体5、5とを有する。更に電食防止転がり軸受では、上記外輪2の外周面6と軸方向両端面7、7とのほぼ全面に、絶縁皮膜8を被覆している。尚、上記各面6、7にはそれぞれ凹溝9、9を形成し、上記絶縁皮膜8を構成する絶縁材の一部を各凹溝9、9に進入固化させて、この絶縁皮膜8と上記外輪2との結合強度を確保している。
【0004】
次に、図8(B)に示した第2例の構造に就いて説明する。上述の第1例の構造が、転動体5、5がころであるころ軸受を電食防止構造としているのに対して、この第2例の場合には、転動体5a、5aが玉である玉軸受を電食防止構造としている。又、絶縁皮膜8a、8aにより、外輪2aの外周面6a及び軸方向両端面7a、7aだけでなく、内輪4aの内周面及び軸方向両端面も被覆している。更に、これら絶縁皮膜8a、8aが、外輪2aの内周面両端部及び内輪4aの外周面両端部も被覆している。又、転動体5a、5aが玉である事に合わせて外輪軌道1a及び内輪軌道3aも、断面円弧形としている。その他の構成は上述した第1例と同様である為、同等部分には対応する符号にaを加えた符号を付して、重複する説明を省略する。
【0005】
上述の様に構成される電食防止転がり軸受により、例えば鉄道車両用電動機の回転軸を支持する場合には、前記外輪2、2aを電動機ケースの一部に内嵌固定すると共に、前記内輪4、4aを上記回転軸に外嵌固定する。電動機の運転時には、前記転動体5、5aの転動に基づいて上記内輪4、4aが、上記回転軸と共に回転する。鉄道車両用電動機の場合には、上記電動機ケースと回転軸との間に電位差を生じる。この為、一般的な転がり軸受を使用した場合には、上記転動体5、5aを通じて電流が流れ、前述した様な電食が発生する。これに対して、図8に示した様な電食防止転がり軸受を使用すれば、絶縁皮膜8、8aの存在に基づいて上記電流が流れなくなり、構成各部材同士の当接部に電食が発生する事を防止できる。
【0006】
上述の様な電食防止転がり軸受の絶縁皮膜8、8aを造る為の絶縁材料としては、従来から各種のものが知られている。例えば、特開平3−277818号公報には上記絶縁材料として、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド6(PA6)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ガラス繊維を含有したポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)が記載されている。更に、特願平5−79447号には、上記絶縁材料に加えて、ガラス繊維を含有する芳香族ポリアミド樹脂が記載されている。
【0007】
又、何れの絶縁材料を使用する場合でも、外輪2、2aの外周面6、6a及び端面7、7aを覆う絶縁皮膜8、8aを造る作業は、図9に示す様な製造装置により行なっている。この図9に示した製造装置は、図8(A)に示した構造を造る為のもので、固定側金型10とコアピン11と移動側金型12とを有する。このうちのコアピン11は、図9の左右方向に平行移動して、上記固定側金型10に対し遠近動する。そして、この固定側金型10への近接時にその先端面11aを、この固定側金型10の側面10aに密接させる。又、上記コアピン11の先端部11bは、上記外輪2を外嵌支持自在な外径寸法を有する円柱状に形成している。
【0008】
一方、上記移動側金型12は、上記コアピン11の周囲に設けられて、このコアピン11と共に上記固定側金型10に対し遠近動自在である。即ち、これら移動側金型12とコアピン11とは、一体的に結合されている。この移動側金型12の一部で上記コアピン11の先端部11bの周囲部分には、円環状の凹部13を形成している。この凹部13の内径寸法は、上記先端部11bに外嵌支持される外輪2の外径寸法よりも僅かに大きい。従って、この外輪2の外周面6と上記凹部13の内周面との間には円筒状空間14が形成される。
【0009】
又、上記外輪2の片方(図9の左方)の端面7と上記凹部13の奥面13aとの間には円輪状空間15aを、上記外輪2の他方(図9の右方)の端面7と上記固定側金型10の側面10aに形成した円環状の凹部16との間には円輪状空間15bを、それぞれ形成している。これら両円輪状空間15a、15bの外周縁部と上記円筒状空間14の軸方向両端とが互いに連続して、絶縁皮膜8を射出成形する為のキャビティ17を構成している。
【0010】
又、上記固定側金型10の側面10aで、上記円輪状空間15bに対向する、上記コアピン11を中心とする単一円周上位置には、複数のゲート18、18を、円周方向等間隔に形成している。そして、上記固定側金型10の内部には通路19を設け、この通路19に送り込む溶融樹脂を、上記各ゲート18、18を介して上記キャビティ17内に送り込み自在としている。
【0011】
更に、上記移動側金型12の内側には複数本のエジェクトピン20、20を、この移動側金型12の移動方向(図9の左右方向)に出入り自在に設けている。このエジェクトピン20、20は、上記キャビティ17内に溶融樹脂を送り込む際には上記移動側金型12内に引っ込んで、その先端面を前記奥面13aと同一平面上に位置させる。そして、上記キャビティ17内に注入した樹脂が固化した後に上記各エジェクトピン20、20は、その先端部を上記奥面13aから突出させて、上記キャビティ17内で射出成形された絶縁皮膜8を、上記外輪2と共に移動側金型12に形成した凹部13の内側から押し出す。
【0012】
上述の様に構成される製造装置により、図8(A)に示す様な絶縁皮膜8を、外輪2の外周面6と端面7、7とを覆う状態で形成する作業は、次の様にして行なう。先ず、図9、10に示す様に、固定側金型10の側面10aとコアピン11の先端面11a及び移動側金型12の側面12aとを突き合わせる。この状態で、図11に示す様に上記通路19に溶融樹脂を圧入し、この溶融樹脂を、上記複数のゲート18、18を通じて上記キャビティ17内に送り込む。
【0013】
この様にしてキャビティ17内に送り込まれた溶融樹脂は、このキャビティ17内を軸方向及び円周方向に流れてこのキャビティ17内に充満し、短時間経過後に冷却固化する。そこで、冷却固化後に、先ず上記移動側金型12を固定側金型10から退避させ(図9の左方に移動させ)、この固定側金型10の側面10aとコアピン11の先端面11a及び移動側金型12の側面12aとを離隔させる。次いで、それまで引っ込んでいた上記エジェクトピン20、20を突出させ、成形直後の絶縁皮膜8を、外輪2ごと上記凹部13から押し出す。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述の様な従来から知られた絶縁材料は、電気絶縁性だけでなく熱絶縁性も高い(熱伝導率が悪い)為、これらの材料により電食防止転がり軸受の絶縁皮膜8、8aを造ると、次に述べる様な問題を生じる。
【0015】
即ち、電食防止転がり軸受を組み込む鉄道車両用電動機は、運転時に電機子部分等からの発熱によって温度上昇し、この熱が電動機の回転軸等を通じて電食防止転がり軸受の構成各部材に伝わる。この様に構成各部材に伝わった熱が、電動機ケース等に迅速に伝われば、特に問題を生じないが、上記絶縁皮膜8、8aの存在に基づき、この熱の伝達は必ずしも効率良く行なわれない。この結果、上記電動機の運転時に電食防止転がり軸受の温度が相当に上昇し、この電食防止転がり軸受の耐久性を損なう原因となる。
【0016】
この様な問題を解決する為に、上記絶縁皮膜8、8aを構成する絶縁材料中に、熱伝導性の高い充填材を混入する事も考えられる。ところが、現時点に於いては、熱伝導性が高くしかも十分な電気絶縁性を有し、且つ、上記絶縁皮膜8、8aを構成するのに適当な材料知られていない。従って、この様な方法は現実的ではない。
【0017】
この為本発明者は、上記各絶縁皮膜8、8aの厚さ寸法を小さく(薄く)する事で、これら絶縁皮膜8、8aを通じての熱伝達効率を向上させる事を考えた。即ち、絶縁皮膜8、8aを通じて流れる熱の伝達量は、各絶縁皮膜8、8aの厚さ寸法に反比例する為、この厚さ寸法を小さくする事で十分な熱伝達量を確保すれば、電食防止転がり軸受の温度上昇を抑えられる。例えば、従来から使用されていた一般的な電食防止転がり軸受の場合には、絶縁皮膜8、8aの厚さ寸法が0.8〜1.0mm程度であったが、この厚さ寸法を0.6mm以下、好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.4mm程度にまで小さくすれば、十分な熱伝達量を確保できると考えられる。
【0018】
ところが、単に絶縁皮膜8、8aの厚さ寸法を小さくしただけでは、十分な性能(耐久性、信頼性を含む)を有する電食防止転がり軸受を得る事ができない。この様に、厚さ寸法を小さくする事で性能が不足する原因としては、次の▲1▼▲2▼の2通りの原因が考えられる。
【0019】
▲1▼ 絶縁皮膜8、8aを構成する絶縁材料として従来から知られていたものを使用したのでは、厚さ寸法を小さくする事で十分な性能を得られなくなる。
▲2▼ 従来の成形装置を使用したのでは、絶縁皮膜8、8aの厚さ寸法を小さくする事に伴って、成形直後の絶縁皮膜8、8aが破損し易くなる。
【0020】
先ず、上記▲1▼に就いて説明する。前述の従来から知られた各種絶縁材料のうち、例えばPPSや芳香族ポリアミド樹脂は、衝撃強度が弱く、電動機組立作業時等、電食防止転がり軸受の取り扱い中や、組立後電動機使用中に破損する可能性があり、厚さ寸法をあまり小さくした場合には、十分な信頼性を確保できない。又、PA66は耐熱性が不足し、鉄道車両用電動機の使用温度(一般に100〜120℃程度)に長期間曝らされた場合には劣化する為、耐久性が不十分となる。
【0021】
次に、上記▲2▼に就いて説明する。図9に示す様な製造装置により絶縁皮膜8、8aを造る場合、キャビティ17内に溶融樹脂を、複数のゲート18、18から高速で送り込む。隣り合うゲート18、18からキャビティ17内に送り込まれた溶融樹脂は、これらゲート18、18の中間位置で互いに合流し、合流部にウェルドと呼ばれる合わせ目を形成する。この様なウェルドには、上記溶融樹脂の送り込み前にキャビティ17内に存在した空気や、溶融樹脂から発生したガスが集中し易い。そして、これら空気やガスは、キャビティ17内に送り込まれる溶融樹脂の流れにより断熱圧縮されて温度上昇し、高温になる。この結果、上記ウェルド部分に存在する樹脂が高温により劣化する、所謂焼けを起こし、このウェルド部分の強度が低下する。
【0022】
この様にして生じるウェルド部分の強度低下は、電食防止転がり軸受の取り扱い時又は使用時に、外部から加えられた衝撃や樹脂中の残留応力等に起因して、当該部分に亀裂が発生する原因となる。この様にして亀裂が生じると、亀裂部分に摩耗金属粉等が進入する等により、電気絶縁性が損なわれ、電食を生じる原因となる。
【0023】
この様な絶縁皮膜8、8aの破損の原因となる残留応力とウェルド部分の強度との関係に就いて、本発明者が行なった実験に就いて説明する。溶融樹脂の射出成形に基づいて絶縁皮膜8の内部に生じる残留応力は、この絶縁皮膜8の外周面の接線方向に亙る応力と軸方向に亙る応力とに大別されるが、このうちの接線方向の応力が、上記ウェルド部分の破損に結び付く。又、この様な残留応力は、
(射出成形後の樹脂収縮率)×(樹脂の引っ張り弾性率)
で概算できる。
【0024】
そこで、上記絶縁皮膜8を形成するのに従来から一般的に使用されていた2種類の樹脂に就いて、その残留応力を計算により求めたところ、次の様な値を得た。尚、残留応力は、射出圧力等、成形時の条件により多少変動するので、次の値はあくまでも概算値である。
芳香族系ポリアミド樹脂である、三井石油化学株式会社製の『アーレン』(商品名)にガラス繊維を40重量%加えたものでは、40〜60MPa
PPSである、ポリプラスチック株式会社製の『フォートロン』(商品名)にガラス繊維を40重量%加えたものでは、40〜70MPa
これら2種類の材料により絶縁皮膜8を形成した場合、ウェルド部分には上述の様な大きさの残留応力が、このウェルド部分を破壊する(引き離す)方向の力として加わる。
【0025】
そこで、実際にこれら2種類の材料により上記絶縁皮膜8を造った場合に、ウェルド部分の引っ張り強度が上記残留応力に十分対抗できるか否かを知る為、次の様な実験を行なった。即ち、上記2種類の材料により、JIS1号引っ張り試験用ダンベル片を、射出成形により造って試験片とし、この試験片を引っ張り試験に供した。各試験片はその中央部に、図9に示した装置により造られる絶縁皮膜8の場合と同様のウェルド部を有する。引っ張り試験には、株式会社島津製作所製のオートグラフ AG50KNDを使用し、引っ張り速度5mm/minで各試験片を引っ張った。この結果、上記『アーレン』で造られた試験片のウェルド部分の引っ張り強度は71MPa 、『フォートロン』で造られたものの引っ張り強度は77MPa であった。
【0026】
この様にして求めた、実際のウェルド部分の引っ張り強度と、残留応力に基づいてこのウェルド部分に加わると考えられる応力の概算値とを比較すると、引っ張り強度が応力を上回ってはいるが、その差が小さい事が解る。従って、外部から上記ウェルド部分を破壊する方向に少しの力が加わった場合でも、このウェルド部分が破損する可能性が高い。特に、上記絶縁皮膜8を薄くする事で、上記ウェルド部分の絶対強度が低下した場合には、この傾向が顕著になる。従って、絶縁皮膜8を薄くし、しかも十分な耐久性、信頼性を確保する為には、上記ウェルド部分の強度を向上させる事が重要になる。
【0027】
又、ウェルド部分に集中した空気やガスは、ボイドと呼ばれる気泡となってこのウェルドの内部に残り易い。このボイドは、その内部に油分、水分、グリース等の異物が進入し易い。従って、上記ボイドが、絶縁皮膜8の内周面から外周面まで連続した状態で形成されていると、このボイド内に進入した導電性の異物によって電気絶縁性が損なわれ、やはり電食を生じる原因となる。
【0028】
更に、図9に示す様な従来装置により外輪2の外周面を覆う状態で絶縁皮膜8を形成する場合、次の様な理由で、十分に薄くしかも大きな強度を有する絶縁皮膜8を形成する事ができない。即ち、上記絶縁皮膜8を形成する場合に上記外輪2は、図10に示す様にコアピン11の先端部11bの周囲に、緩く外嵌する。この状態で上記外輪2の内周縁と上記先端部11bの外周面との間には、数μm〜数十μm程度の隙間21が存在する。
【0029】
一方、上記絶縁皮膜8の強度を高める為には、前記キャビティ17内に溶融樹脂を送り込む際の射出圧力を高くする事が効果がある。ところが、キャビティ17内に送り込む樹脂の圧力が高くなると、射出に伴って上記外輪2の外周面6に、直径方向内方に向いた強い力が加わり、この外輪2の直径が弾性的に縮まる。この様にして縮まった外輪2の直径は、樹脂の送り込み停止に伴って弾性的に広がり、成形直後の絶縁皮膜8の外周面を、移動側金型12の凹部13の内周面に向け強く押圧する。
【0030】
この結果、成形直後の絶縁皮膜8の外周面と凹部13の内周面との間に大きな摩擦力が作用する。この状態でエジェクピン20を突出させ、上記絶縁皮膜8を設けた外輪2を上記凹部13から押し出そうとすると、上記絶縁皮膜8の一部でエジェクピン20により押される部分に過大な圧縮応力が加わる。又、上記絶縁皮膜8の一部で上記凹部13の内周面と外輪2の外周面6との間部分に過大な剪断応力が加わる。この結果、成形直後の絶縁皮膜8が破損する可能性が高くなる等、円滑な離型作業を行なえなくなる。
【0031】
この様に離型作業の妨げとなる上記摩擦力の大きさは、上記キャビティ17内に送り込む溶融樹脂の圧力にほぼ比例する。この為、図9に示す様な従来の製造装置を使用する限り、上記圧力を十分に高くできず、射出圧力を高める事による絶縁皮膜8の強度向上を図る事ができない。この様な現象は、図8(B)に示した構造で、内輪4aの内周面に絶縁皮膜8aを形成する場合にも、(内外周方向に逆になるが)同様に現われる。
【0032】
本発明の電食防止転がり軸受の製造装置は、上述の様な事情に鑑みて発明したものである。
0033
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明の電食防止転がり軸受の製造装置は、軌道面を形成した第一の周面と軌道面を形成していない第二の周面とを有する軌道輪に、上記第二の周面を覆う状態で絶縁皮膜を形成するものである。
この様な本発明の電食防止転がり軸受の製造装置は、固定側金型と、この固定側金型に対し遠近動自在で、その先端部に軌道輪を、上記第一の周面側で嵌合支持自在とし、上記固定側金型への近接時にその先端面をこの固定側金型の側面に突き合わせ自在な保持部材と、この保持部材と同心に設けられて、この保持部材と共に上記固定側金型に対し遠近動自在な移動側金型と、この移動側金型の一部周面と上記保持部材の先端部に支持された軌道輪の第二の周面との間の円筒状空間を含んで形成されるキャビティと、上記固定側金型の側面でこのキャビティに対向する部分の円周方向等間隔位置に形成された複数のゲートと、上記固定側金型の内部に設けられ、上記各ゲートを介して上記キャビティ内に溶融樹脂を送り込む通路と、上記移動側金型の内側に、この移動側金型の移動方向に亙る出入り自在に設けられ、突出時に上記キャビティ内で射出成形された絶縁皮膜を上記軌道輪と共に移動側金型の内側から押し出すエジェクトピンとを備える
【0035】
上記移動側金型は、上記第二の周面に対向する部分に位置する第一部分と、この第二の周面に対向する部分から軸方向に外れた部分に位置する第二部分とから成る。そして、上記第一部分は、上記ゲートの数と同数で、それぞれが上記軌道輪の直径方向に変位自在な複数の金型素子から成り、この複数の金型素子が合わさって上記第二の周面と対向する円筒面を構成する。又、隣り合う金型素子の円周方向端面同士の合わせ面は、隣り合うゲートの円周方向中間位置に存在し、上記エジェクトピンは上記第二部分の内側に設けられている。
【0036】
【作用】
上述の様に構成される本発明の電食防止転がり軸受の製造装置によれば、十分な電気絶縁性を確保し、しかも絶縁皮膜を薄くして熱を外部に逃がす性能の優れた電食防止転がり軸受を得られる。
0037
【0038】
即ち、本発明の電食防止転がり軸受の製造装置によれば、キャビティ内に送り込む溶融樹脂の圧力を高くしても、成形後の絶縁皮膜を含む軌道輪の取り出しを、成形直後の絶縁皮膜に無理な応力を加える事なく行なえる。又、ウェルド部分にボイドが形成されにくくなって、このウェルド部分の強度並びに電気絶縁性の向上を図れる。
【0039】
【実施例】
図1〜4は、本発明の電食防止転がり軸受の製造装置の第一実施例を示している。この製造装置は、前述の図9に示した従来から知られた製造装置と同様に、固定側金型10と、保持部材であるコアピン11と、移動側金型12Aとを有する。このうちのコアピン11は、図1の左右方向に平行移動して、上記固定側金型10に対し遠近動する。そして、この固定側金型10への近接時にその先端面11aを、この固定側金型10の側面10aに密接させる。又、上記コアピン11の先端部11bは、軌道輪である外輪2を、その内周面(第一の周面)部分で外嵌支持自在な外径寸法を有する、円柱状に形成している。
【0040】
一方、上記移動側金型12Aは、上記コアピン11の周囲に設けられて、このコアピン11と共に上記固定側金型10に対し遠近動自在である。即ち、これら移動側金型12Aとコアピン11とは、一体的に結合されている。この移動側金型12Aの一部で上記コアピン11の先端部11bの周囲部分には、円環状の凹部13Aを形成している。この凹部13Aの内径寸法は、上記先端部11bに外嵌支持される外輪2の外径寸法よりも僅かに(例えば直径で0.8mm程度)大きい。従って、この外輪2の外周面6(第二の周面)と上記凹部13Aの内周面との間には円筒状空間14Aが形成される。
【0041】
又、上記外輪2の片方(図1の左方)の端面7と上記凹部13Aの奥面13aとの間には円輪状空間15aを、上記外輪2の他方(図1の右方)の端面7と上記固定側金型10の側面10aに形成した円環状の凹部16との間には円輪状空間15bを、それぞれ形成している。これら両円輪状空間15a、15bの外周縁部と上記円筒状空間14の軸方向両端とが互いに連続して、絶縁皮膜8を射出成形する為のキャビティ17Aを構成している。
【0042】
又、上記固定側金型10の側面10aで上記キャビティ17Aを構成する円輪状空間15bに対向する、上記コアピン11を中心とする単一円周上位置に、複 数のゲート18、18を、円周方向等間隔に形成している。そして、上記固定側金型10の内部に通路19を設け、この通路19に送り込む溶融樹脂を、上記各ゲート18、18を介して上記キャビティ17A内に送り込み自在としている。
【0043】
又、上記移動側金型12Aの内側に複数本のエジェクトピン20、20を、この移動側金型12Aの移動方向(図1の左右方向)に出入り自在に設けている。このエジェクトピン20、20は、上記キャビティ17A内に溶融樹脂を送り込む際には上記移動側金型12A内に引っ込んで、その先端面を前記奥面13aと同一平面上に位置させる。そして、上記キャビティ17A内に注入した樹脂が固化した後に上記各エジェクトピン20、20は、その先端部を上記奥面13aから突出させて、上記キャビティ17A内で射出成形された絶縁皮膜を、上記外輪2と共に移動側金型12Aに形成した凹部13Aの内側から押し出す。
【0044】
更に、本発明の電食防止転がり軸受の製造装置に於いては、上記移動側金型12Aは、上記外輪2の周囲に位置する第一部分22と、この外輪2の周囲から外れた部分に位置する第二部分24とから成る。又、上記第一部分22は、複数の金型素子23、23を組み合わせて成る。これら各金型素子23、23の数は、上記ゲート18、18の数と同数(第一実施例の場合には4個)としている。又、これら各金型素子23、23は、それぞれが上記外輪2の直径方向に変位自在である。
【0045】
そして、これら複数の金型素子23、23が上記直径方向の内側に変位した場合に、隣り合う金型素子23、23の円周方向端面同士が合わさって、上記外輪2の外周面6を囲む円筒面25を構成する。又、隣り合う金型素子23、23の円周方向端面同士の合わせ面26、26は、隣り合うゲート18、18の中央位置に存在する。更に、上記複数のエジェクトピン20、20は、上記第二部分24の内側に設けられている。
【0046】
上述の様に構成する本発明の電食防止転がり軸受の製造装置によれば、キャビティ17A内に送り込む溶融樹脂の圧力を高くしても、成形後の絶縁皮膜8を含む外輪2の取り出しを、成形直後の絶縁皮膜8に無理な応力を加える事なく行なえる。又、ウェルド部分にボイドが形成されにくくなって、このウェルド部分の強度並びに電気絶縁性の向上を図れる。
【0047】
即ち、上記絶縁皮膜8を射出成形する際には、上記複数の金型素子23、23を直径方向内方に変位させる事により、隣り合う金型素子23、23の円周方向端面同士を突き合わせる。そして、図3に示す様に、上記内輪2の外周面6を囲む円筒面25を形成する。そして、この状態で、これら外周面6と円筒面25とで囲まれるキャビティ17A内に、前記複数のゲート18、18から溶融樹脂を、十分に高圧で送り込む。尚、各ゲート18、18からキャビティ17A内への溶融樹脂の送り込みは、各ゲート18、18ごとに同じ条件(同量、同圧)で行なう。
【0048】
この様に複数のゲート18、18からキャビティ17A内に送り込まれた溶融樹脂は、このキャビティ17A内を軸方向に流れると同時に円周方向に流れて、このキャビティ17A内に充満する。隣り合うゲート18、18からキャビティ17A内に送り込まれた溶融樹脂は、隣り合うゲート18、18の丁度中間位置で合流し、ウェルドを形成する。この様にウェルドを形成する部分には、丁度円周方向に隣り合う金型素子23、23の合わせ面26、26が存在する。
【0049】
この合わせ面26、26を構成する、上記各金型23、23の円周方向端面は、これら端面同士を密接させるべく、平滑面に仕上げられている。しかしながら、上記合わせ面26、26部分には、加工精度上不可避な、微細な隙間が存在する。この様な隙間には、溶融樹脂は殆ど入り込まないが、この溶融樹脂に押された気体は入り込む。従って、上記隣り合うゲート18、18から送り込まれた溶融樹脂に押されて、上記キャビティ17Aの一部(ウェルド部分)に集中した空気やガスは、これら隙間を通じて排出される。
【0050】
従って、これら空気やガスがウェルド部分にボイドを造る事がなくなり、ボイドの存在によりウェルド部分の強度や電気絶縁性が低下する事を防止できる。又、上記空気やガスが断熱圧縮される事がなくなる為、上記ウェルド部分で焼けが生じる事もなくなり、やはりこのウェルド部分の強度向上を図れる。
【0051】
上述の様にして、キャビティ17A内に溶融樹脂を送り込む事で、外輪2の外周面6及び両端面7、7を覆う絶縁皮膜8を成形した後、この絶縁皮膜8を外輪2と共に取り出す際には、先ず、図4に示す様に、第一部分22を構成する複数の金型素子23を直径方向外方に変位させる。この結果、これら複数の金型素子23の内周面と、形成されたばかりの絶縁皮膜8の外周面とが離隔する。この状態で、前記複数のエジェクトピン20を前記凹部13Aの奥面13aから突き出せば、上記絶縁皮膜8の外周面と上記各金型素子23の内周面とを摺接させる事なく、移動側金型12Aの内部から絶縁皮膜8を形成した外輪2を取り出せる。従って、絶縁皮膜8の強度を向上させるべく、上記キャビティ17A内に送り込む溶融樹脂の圧力を高くしても、取り出し作業時に上記絶縁皮膜8に無理な応力が作用しない。
【0052】
次に、図5は本発明の製造装置の第二実施例を示している。本実施例の場合には、円筒状空間14Aの外周面と円輪状空間15aの外側面とを滑らかに連続させる為の湾曲部27を、第一部分22を構成する各金型素子23、23の内周面に形成している。その他の構成及び作用は、上述した第一実施例と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0053】
次に、図6〜7は本発明の製造装置の第三〜第四実施例を示している。前述した第一実施例は、移動側金型12Aの第一部分22を、4個の金型素子23、23により構成していた。これに対し、これら各実施例の場合には、3個の金型素子23a、23a(図6に示した第三実施例)、或は6個の金型素子23b、23b(図7に示した第四実施例)により構成している。その他の構成及び作用は、前述した第一実施例と同様である。
【0054】
次に、絶縁皮膜8を構成する材料として、ガラス繊維を含むポリアミド46を使用し、これを本発明の製造装置により射出成形して絶縁皮膜とする事による効果を確認する為、本発明者が行なった実験に就いて説明する。実験は、図8(A)に示す様な電食防止転がり軸受の外輪2に、同図に示す様な絶縁皮膜8を形成して、本発明の実施例となる試験片を3種類、本発明からは外れる比較例としての試験片を4種類、合計7種類の試験片を作成する事で行なった。そして、これら各試験片の絶縁皮膜8の寸法安定性、電気絶縁性能、耐クリープ性、耐衝撃性を測定した。尚、使用した外輪2の外径寸法×幅寸法は160×37mmである。又、絶縁皮膜8の形成作業には、図1〜4(厚さが0.4mmの絶縁皮膜8の製造時)又は図9(同じく1.0mmの絶縁皮膜の製造時)に示す様な製造装置を使用した。
【0055】
絶縁皮膜8を形成する為の絶縁材料としては、ガラス繊維を含有するポリアミド46の他、PPS、芳香族ポリアミド樹脂を使用した。ポリアミド46は帝人株式会社製の『テイジンナイロン46』(商品名)を、PPSはポリプラスチック株式会社製の『フォートロン』(商品名)を、芳香族ポリアミド樹脂としては三井石油化学株式会社製の『アーレン』(商品名)を、それぞれ使用した。又、ガラス繊維としては何れも、繊維径が10〜15μmで、長さが0.2〜1.0mmのものを使用した。
【0056】
尚、上記した4種類の試験項目は、次の点で、電食防止転がり軸受にとって重要である。先ず、寸法安定性は、絶縁皮膜8を設けた外輪2をハウジングに対し、精度良く内嵌固定する為に重要である。この様な寸法安定性の試験は、試験片を水中に浸漬して20時間放置し、浸漬前後の寸法変化量を、上記絶縁皮膜8の厚さ寸法として測定した。変化量(増加量)が8μm以下であれば合格(次表の○)とし、8μmを越えた場合には不合格(同じく×)とした。
【0057】
次に、電気絶縁性能は、転がり軸受の構成各部材の電食を防止する為に重要である。この様な絶縁性能の試験は、上記寸法安定性の試験後、表面に付着した水を拭き取った後、上記絶縁皮膜8の外周面に金属製の環体を装着し、この環体と外輪2との間の電気抵抗値を測定する事で行なった。抵抗値が2000MΩ以上の場合に合格とし、2000MΩ未満の場合には不合格とした。
【0058】
又、耐クリープ性は、ハウジングに内嵌固定した外輪2が、長時間経過後にもこのハウジングの内側でがたつかない様にする為に重要である。即ち、電食防止転がり軸受は使用時に比較的高温に曝らされる場合が多い。高温に曝らされると、上記絶縁皮膜8を構成する樹脂材料が、ハウジング内周面から加えられる押圧力により側方に逃げ(クリープし)、上記絶縁皮膜8の厚さ寸法が減少する傾向になる。この様にして発生する厚さ寸法の減少量が多くなると、ハウジングの内側で外輪2ががたつく様になり、電食防止転がり軸受を組み込んだ回転支持部で異音や振動が発生する、ハウジングに対し外輪2が回転して、上記絶縁皮膜8の外周面が摩耗してよりがたつきが大きくなる、等の不具合が生じる。
【0059】
そこで、前記各試験片を締め代30μmで鋼製のハウジングに圧入し、100℃の雰囲気中に100時間放置して、放置前後の寸法変化を、上記絶縁皮膜8の厚さ寸法として測定した。変化量(減少量)が8μm以下であれば合格とし、8μmを越えた場合には不合格とした。
【0060】
更に、耐衝撃性は、絶縁皮膜8の破損防止を図る為に重要である。この耐衝撃性を測定すべく、前記各試験片を100mmの高さから鋼製定盤の上に落下させ、上記絶縁皮膜8に亀裂が発生するか否かを観察する事で行なった。亀裂が発生しなかったものを合格、発生したものを不合格とした。上述の様にして行なった実験の結果を次表に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0003705219
【0062】
この表の記載から明らかな通り、本発明の製造装置によりポリアミド46を射出成形して絶縁皮膜8を形成した電食防止転がり軸受の場合には、寸法安定性、絶縁性能、耐クリープ性、耐衝撃性の何れの点でも実用上十分な性能を発揮できる。尚、ガラス繊維は耐クリープ性を向上させる為に含有させるが、含有量が10重量%未満の場合には効果が不十分となる。又、60重量%を越えて含有させた場合には、溶融樹脂の流動性が悪化し、この溶融樹脂を前記キャビティ17A内にまんべんなく行き渡らせる事が難しくなる。従って、ポリアミド46中へのガラス繊維の含有量は、10〜60重量%、更に好ましくは20〜40重量%とする。
【0063】
尚、図示の実施例は、外輪2の外周面6及び両端面7、7を覆う絶縁皮膜8を形成する為の製造装置に就いて示したが、本発明は、図8(B)に示す様な、内輪4aの内周面及び両端面を覆う絶縁皮膜8aを造る為の製造装置にも適用できる。但しこの場合には、内輪4aの内周面と対向する円筒面を構成する為の金型素子を、絶縁皮膜8aを射出成形した後、直径方向内方に退避させる必要がある。そこで、隣り合う金型素子の円周方向端縁同士の干渉を防止すべく、これら隣り合う金型素子の円周方向両端面同士の間にスペーサを設ける。このスペーサは、軸方向に変位する事で、上記両端面同士の間に出入りする。
【0064】
射出成形時には、各スペーサが上記両端面同士の間に入り込んで、上記各金型素子と共に、上記内輪4aの内周面と対向する円筒面を形成する。絶縁皮膜8aを射出成形した後は、各スペーサを軸方向に移動させ上記両端面同士の間から抜き出した後、上記各金型素子を直径方向内方に変位させる。更に、本発明の製造装置は、特にガラス繊維を含有したポリアミド46により0.6mm以下の絶縁皮膜を形成する場合に限定されず、PPS、芳香族ポリアミド樹脂を0.5〜0.6mm程度の厚さ寸法にしたり、更には他の材料により、より厚い絶縁皮膜を形成する場合にも利用できる事は明らかである。
【0065】
【発明の効果】
本発明の電食防止転がり軸受の製造装置は、以上に述べた通り構成され作用するので、十分な電気絶縁性を確保し、しかも絶縁皮膜を薄くして熱を外部に逃がす性能の優れた電食防止転がり軸受を得られる。又、薄いにも拘らず、優れた耐衝撃性を有する絶縁皮膜を得られる。従って、電食防止転がり軸受を組み込んだ回転支持部分の信頼性、耐久性を向上させる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電食防止転がり軸受の製造装置の第一実施例を示す要部断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】絶縁皮膜を射出成形する状態を示す、図1のB部に相当する図。
【図4】射出成形後に絶縁皮膜及び外輪を取り出す状態を示す、図3と同様の図。
【図5】本発明の電食防止転がり軸受の製造装置の第二実施例を示す要部断面図。
【図6】同第三実施例を示す、図2と同様の図。
【図7】同第四実施例を示す、図2と同様の図。
【図8】従来から知られた電食防止転がり軸受の2例を示す断面図。
【図9】従来の電食防止転がり軸受の製造装置を示す要部断面図。
【図10】絶縁皮膜を射出成形前の状態で示す、図9のC部に相当する図。
【図11】絶縁皮膜を射出成形している状態で示す、図10と同様の図。
【符号の説明】
1、1a 外輪軌道
2、2a 外輪
3、3a 内輪軌道
4、4a 内輪
5、5a 転動体
6、6a 外周面
7、7a 端面
8、8a 絶縁皮膜
9、9a 凹溝
10 固定側金型
10a 側面
11 コアピン
11a 先端面
11b 先端部
12、12A 移動側金型
12a 側面
13、13A 凹部
13a 奥面
14、14A 円筒状空間
15a、15b 円輪状空間
16 凹部
17、17A キャビティ
18 ゲート
19 通路
20 エジェクトピン
21 隙間
22 第一部分
23、23a、23b 金型素子
24 第二部分
25 円筒面
26 合わせ面
27 湾曲部

Claims (1)

  1. 軌道面を形成した第一の周面と軌道面を形成していない第二の周面とを有する軌道輪に、上記第二の周面を覆う状態で絶縁皮膜を形成する、電食防止転がり軸受の製造装置であって、
    固定側金型と、この固定側金型に対し遠近動自在で、その先端部に軌道輪を、上記第一の周面側で嵌合支持自在とし、上記固定側金型への近接時にその先端面をこの固定側金型の側面に突き合わせ自在な保持部材と、この保持部材と同心に設けられて、この保持部材と共に上記固定側金型に対し遠近動自在な移動側金型と、この移動側金型の一部周面と上記保持部材の先端部に支持された軌道輪の第二の周面との間の円筒状空間を含んで形成されるキャビティと、上記固定側金型の側面でこのキャビティに対向する部分の円周方向等間隔位置に形成された複数のゲートと、上記固定側金型の内部に設けられ、上記各ゲートを介して上記キャビティ内に溶融樹脂を送り込む通路と、上記移動側金型の内側に、この移動側金型の移動方向に亙る出入り自在に設けられ、突出時に上記キャビティ内で射出成形された絶縁皮膜を上記軌道輪と共に移動側金型の内側から押し出すエジェクトピンとを備え、
    上記移動側金型は、上記第二の周面に対向する部分に位置する第一部分と、この第二の周面に対向する部分から軸方向に外れた部分に位置する第二部分とから成り、
    上記第一部分は、上記ゲートの数と同数で、それぞれが上記軌道輪の直径方向に変位自在な複数の金型素子から成り、この複数の金型素子が合わさって上記第二の周面と対向する円筒面を構成するものであり、
    隣り合う金型素子の円周方向端面同士の合わせ面は、隣り合うゲートの円周方向中間位置に存在し、
    上記エジェクトピンは上記第二部分の内側に設けられている
    電食防止転がり軸受の製造装置。
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