JP3704876B2 - 高温鋼材の水冷却方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温鋼材の冷却方法に関し、より詳しくは、高温鋼材を急速かつ均一に冷却する水冷却方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高温の鋼材に焼入れや制御冷却などを施すと、低合金鋼でも高強度や高靭性が得られるので溶接性が良好で経済性に富む鋼材が製造できる。このような処理を施す場合には、速い冷却速度が得られることと共に、均一に冷却できることが重要である。水を用いて高温の鋼材を急速冷却する場合には、水に沸騰現象があるために、急速かつ均一に冷却するのが困難な時がある。
【0003】
高温の鋼材に冷却水が触れると鋼材表面には瞬時に蒸気膜が発生する。蒸気膜が生じると鋼材の保有熱は蒸気層を介して冷却水側に移動することになるので冷却速度は遅い。この状態は膜沸騰と称される。鋼材の温度が低下して蒸気膜が生成しにくくなると鋼材と冷却水が直接接触する頻度が次第に増し、ついには固液接触状態が継続的に生じる。固液接触状態になると鋼材の保有熱は効率よく冷却水に移動するので冷却速度が速くなる。この状態は遷移沸騰、あるいは核沸騰と称される。
【0004】
水冷却法ではこのように膜沸騰現象があるために冷却初期の高温領域での冷却速度は比較的遅い。しかし、何らかの理由で早く冷却される部分があると、その部分は遷移沸騰に移行するので冷却速度はさらに速くなる。従い、高温の鋼材を急速冷却する場合には両方の沸騰領域が混在する状態で冷却すると冷却むらが生じやすい。冷却むらが生じると品質のばらつきや製品形状が悪化するので、急速冷却の適用が制約される。冷却むらは保有熱量が大きく、長時間にわたって高温を保つ厚肉鋼材で特に顕著となる。
【0005】
鋼材の冷却速度を高めたり冷却精度(冷却停止温度的中精度)を向上させるための改善が古くから試みられている。高温の鋼材の表面に存在するスケールも冷却に影響する。このため、近年では、冷却媒体の検討(例えば、高圧水を鋼板表面に均一に作用させるための冷却装置やその使用方法)に加えて、鋼材の表面性状、特にスケールの状態を考慮した冷却制御方法が提案されている。
【0006】
特開平6−79324号公報には、鋼板表面のスケール層の厚さを予測し、冷却直前のスケールが厚い場合には冷却を弱める方向に、薄い場合には冷却を強める方向に冷却条件を修正して冷却停止温度の的中精度を高める制御冷却鋼板の製造方法が開示されている。しかし、スケールの厚さは鋼板の長さ方向のみならず幅方向においても変動があり、この方法で均一冷却を実現するにはまだ問題がある。
【0007】
特開平6−330155号公報には、厚鋼板の冷却速度および冷却停止温度を制御する方法として、スケール除去用の高圧水の圧力を調整してスケールの厚さを制御して鋼板表面の熱伝達係数を制御する方法が開示されている。しかしこの方法ではスケールの厚さを精度よく制御するのは難しく、スケール除去用の高圧水の圧力を調節すれば逆にスケールの付着状態にむらが生じ、結果的に温度むらが生じる原因になるおそれもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、冷却水を用いて高温の鋼材を急速かつ均一に冷却する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は次に記載の高温鋼材の水冷却方法にある。
【0011】
Siを0.2質量%以上含有する鋼材の表面に厚さ20〜100μmのスケールを付着させたまま熱間仕上圧延し、900℃以下で熱間圧延を終了することによって、鋼材の表面の全面に均一に赤スケールを発生させた後に水を用いて冷却することを特徴とする、高温鋼材の水冷却方法。
【0012】
本発明者等は鋼板表面のスケールの性状が水冷却における冷却性能に及ぼす影響について調査した。その結果、適切な厚さのスケールが付着したままの鋼板を熱間圧延すると鋼板表面全体に赤スケールが形成され、通常であれば膜沸騰領域であるために冷却速度が遅い高温域においても速い冷却速度が得られることを見いだした。
【0013】
ここで赤スケールとは熱間圧延された鋼材の表面に形成される赤い色をしたスケールのことである。赤スケールの主組成は、赤鉄鉱の主成分であるFe2O3(ヘマタイト)である。
【0014】
以下に本知見を得るに至った実験結果について説明する。
【0015】
質量%でC:0.13%、Si:0.45%、Mn:1.02%、P:0.013%、S:0.005%を含有する厚さ12mm、幅145mm、長さ145mmの鋼板を1200℃に加熱し、1200℃での保持時間を調整して鋼板表面に所定の厚さのスケールを生成させた。この鋼板を加熱炉から取り出して900℃まで冷却し、スケールが付着したままの鋼板に実験用圧延機を用いて圧下率5%の圧延を施し、圧延終了後800℃まで放冷し、その後スプレーノズルによる水冷却を施して室温まで冷却した(鋼板A)。比較用として、化学組成と寸法が上記と同一の鋼板を上記と同様に1200℃に加熱した加熱炉で保持し、その表面にほぼ同じ厚さのスケールを生成させた。この鋼板を加熱炉から取り出して、圧延しないで800℃まで放冷し、その後、鋼板Aと同一の条件でスプレーノズルによる水冷却を施して室温まで冷却した(鋼板B)。いずれの鋼板にも表面から3mmの深さの所に予め熱電対を埋め込み、水冷却時の鋼板の温度履歴を測定した。
【0016】
図3にそれぞれの鋼板の冷却開始後の温度履歴を示す。図3で、実線で示したのはスケールが付着したまま圧延し、冷却した鋼板Aの温度履歴であり、破線で示したのは圧延しないで冷却した鋼板Bの温度履歴を示す。冷却後の鋼板表面は、鋼板Aは全面が赤色系統のスケール(以下、単に「赤スケール」と記す)で覆われており、鋼板Bでは通常認められる灰色もしくは銀白色のスケール(以下、単に「通常のスケール」と記す)で覆われていた。図3に示されているように、鋼板Aの450℃前後以上の膜沸騰領域に於ける冷却速度は、鋼板Bの約2倍になっている。
【0017】
一般に、560℃以上の大気中で生成するスケール層は、鋼材と接する内層にウスタイト(FeO)、中層にマグネタイト(Fe3O4)、表層にヘマタイト(Fe2O3)がある3層からなっている。それぞれの層の厚さはウスタイトが最も厚い。例えば700℃以上の温度域では、FeOがスケール層全体の厚さの95%以上を占め、Fe3O4が4〜5%、Fe2O3は1〜2%以下にすぎないとされている。また、1300℃以上になるとFe2O3の解離圧が空気中の酸素分圧0.21atmを超えるのでFe2O3は分解消滅する。また、スケール表面の酸素分圧が低下するとFe2O3の分解温度が低下するので、例えば水蒸気中ではFe2o3は形成されないとされている。
【0018】
このように通常の圧延においてはFe2O3は生成しにくく、赤スケールも生じにくい。例外的に圧延開始前のデスケーリング不良などがある場合に部分的に赤スケールが圧延方向に帯状に長く生成することがある。しかし、従来、熱間圧延(特に、熱延鋼板を製造する仕上圧延機)においては、表面欠陥が生じないようにするためにデスケーリングを施して仕上圧延されるので、鋼板表面が全面的に赤スケールで覆われるようなことはない。これに対し、上述したようにスケールがついたまま熱間圧延すると赤スケールが均一に生成した鋼板が得られる。赤スケールが発生する理由は定かではないが、主としてFeOで構成されている圧延前のスケールが、900℃以下の温度で圧延されることによって紛状に破壊され、酸化が促進されてFe2O3になるのではないかと推測される。
【0019】
赤スケールが生成した鋼板の冷却速度が速い理由は定かではないが以下のように推測される。赤スケールの表面層は圧延によって紛状に破壊されるので、表面粗さが通常のスケールに較べて粗くなっている。このため、冷却水がスケール表面に衝突したときに、冷却水とスケール表面との接触面積が増してスケールの表面層の冷却が促進される。また、赤スケールの内部には通常のスケールに較べて空隙が非常に多い。このためにスケール層内での熱移動に対する抵抗が増し、冷却水が衝突した瞬間にスケール層最表面の温度低下が著しい。これら2つの現象が生じる結果、赤スケールの表層部分では冷却水との固液接触が促進される。このために、赤スケールが生じている場合に冷却能が高くなるものと推測される。
【0020】
スケールの厚さが厚くなり、熱抵抗が大きくなると冷却能が増すことが知られているが、本発明の方法によれば、スケールの厚さを厚くしなくても効果的に冷却速度を高めることができる。
【0021】
本発明は、以上に述べたように鋼板表面に赤スケールが発生した鋼材では急速で均一な冷却が可能であるとの、新たな知見に基づいて完成されたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に説明する。
【0023】
本発明では、Siを0.2質量%以上含有する鋼材の表面に厚さ20〜100μmのスケールを付着させたまま熱間仕上圧延し、900℃以下で熱間圧延を終了することによって、鋼材の表面の全面に均一に赤スケールを発生させた後に水を用いて冷却する。
【0024】
本発明が対象とする赤スケールは、熱間圧延し、冷却した後の鋼材表面を目視観察して認められる赤色〜黄赤色をしたスケールである。本発明では赤スケールの色をマンセル色票系で以下のように定義する。即ち、マンセル色票系で定義される色相Hが1.5R〜10R(赤色)および0YR〜10YR(黄赤)、明度Vが2.0〜6.2、彩度Cが0.7〜5.0の範囲のものとする。ここでH:1.5Rは赤紫色に近い赤色であり、H:10YRは黄色に近い黄赤色である。また、明度Vとは、理想的な黒を0、白を10とし、その間を明るさの感覚の差が等度歩になるように数値化したものであり、彩度Cは無彩色を0として色のさえかたが増すにつれて数値が大きく表されるものである。
【0025】
赤スケールが占める面積比率が鋼材表面の80%以上あれば本発明が目的とする冷却速度を高める効果が得られる。これは、部分的に赤スケールでない部分が残り冷却速度が遅い部分があっても、その比率が20%未満であれば鋼材全体の冷却速度に対する影響が小さいからである。
【0026】
鋼材表面の全面にわたって赤スケールを均一に安定して発生させるために、鋼のSi含有量を0.2質量%以上に高めるとともに、鋼材の表面に適切な厚さの通常のスケールを付着させ、このスケールを除去しないで熱間仕上圧延し、900℃以下で熱間圧延を終了する。この場合、熱間圧延を終了する温度が低すぎると変形抵抗が高くなり圧延が困難になるので、熱間圧延は700℃以上で終了するのがよい。圧延前の鋼板表面の通常のスケールの厚さは20〜100μmの範囲とする。20μmよりも薄くなると圧延時にスケールが破砕され難くなり赤スケールが生成し難くなる。また、圧延前の鋼板表面の通常のスケールの厚さが100μmを超えると、圧延途中でスケールが剥離して赤スケールが均一に発生し難くなる。圧延前の鋼板表面の通常のスケールの厚さは20〜50μmの範囲とするのが好ましい。
【0027】
スケールの成長速度と温度と時間の間には下記の(1)および(2)式の様な関係がある。
【0028】
X2=Kp・t ------ (1)
Kp=K0・exp(−Q/RT) ------ (2)
但し、X:鋼の酸化による重量増加量、t:酸化時間、
KP:放物線速度定数、
K0:定数、
T:鋼の絶対温度、 R:ガス定数
代表的な化学組成の鋼について、 (1) および (2)式の諸係数を実験的に求めておけば、最終のデスケーリングが終了した後圧延されるまでの温度と時間を予測して圧延直前のスケールの厚さを予測することが出来る。スケール厚さは、鋼の温度(T)、デスケーリング後圧延されるまでの時間(t)などにより所定の厚さに調整できる。
【0029】
最終の圧延での圧下率は特に規定するものではないが、鋼板表面のスケールを十分に破砕させるには、圧下率で5%以上圧下するのが望ましい。鋼板全面に均一な赤スケールを生成させるためには、10%以上の圧下率で圧延するのがより好適である。圧下率の上限はいくら高くても構わない。ホットストリップミルのように連続的に複数の圧延機で圧延される場合には、圧延機群の入側から出側迄の合計の圧下率は90%を超える場合もあるが、それでも構わない。
【0030】
最終の圧延をおこなった後に水冷却を行う。この冷却方法は任意であり、通常用いられているラミナーフロー方式、高圧スプレー方式、高圧空気と冷却水の混合体であるミスト冷却方式などいずれの方法でも構わない。最終の圧延が終了した後冷却開始までの時間は特に限定するものではなく、通常施されている条件で構わない。
【0031】
本発明の冷却方法は、Siを0.2質量%以上含有する普通鋼及び特殊鋼のいずれにも適用できる。Siを0.2質量%以上含有すると、赤スケールが生成しやすいからである。Si含有量が0.5質量%以上の鋼であれば更に好ましい。
【0032】
従来は赤スケールが鋼材表面に帯状に局部的に生成することが多く、製品の外観を損ねるうえ、冷却むらの原因になっていた。本発明では、Siを0.2質量%以上含有する鋼材の表面に厚さ20〜100μmのスケールを付着させたまま熱間仕上圧延し、900℃以下で熱間圧延を終了することによって、鋼材の表面の全面に均一に赤スケールを発生させた後に水を用いて冷却する。従って、従来の赤スケールが部分的に生成した鋼材に較べると外観品質は向上する。
【0033】
本発明の方法によれば、高温域での急速冷却が可能なうえ、鋼材全体が比較的均一に冷却される。このため、外観品質よりも機械的性質が要求される溶接構造物等の素材となる熱延鋼板、厚板その他の熱間圧延鋼材に適用するのが好適である。鋼の形態は、鋼板、型鋼、条鋼などいずれの形態でも構わない。特に、赤スケールが均一に生成しやすい熱延鋼板の製造に適する。必要に応じて冷却後に酸洗等の処理を施し赤スケールを取り除いて用いることもできる。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
連続式熱間圧延機を用いて熱延鋼板を圧延した。用いた熱間圧延機は、粗圧延機、仕上圧延機、冷却帯および巻取機で構成される。粗圧延機および仕上圧延機の前には高圧水によるデスケーリング装置がある。仕上圧延機は7スタンドからなる。鋼板の幅方向のほぼ中央部分の表面温度を測定するための赤外線放射温度計が仕上圧延機の出側と冷却帯の中間に設置されている。また、巻取機の入側には、鋼板の幅方向での温度分布が測定できる赤外線放射温度計が設置されている。冷却帯の中間に設置された温度計で鋼板表面温度を測定し、鋼板の温度が目標とする中間温度から外れている場合には、目的とする巻取温度が得られるように中間温度計以降の冷却条件が調整される。
【0035】
用いた鋼の化学組成は、質量%でC:0.07%、Si:0.78%、Mn:1.49%、P:0.01%、S:0.005%、残Feおよび不可避的不純物である。この化学組成の鋼のスラブ2本を、通常の方法にしたがって高圧水でデスケーリングした後粗圧延した。粗圧延された鋼は搬送ロールによって仕上圧延機前まで搬送した。その内の1本の鋼は、仕上圧延機前のデスケーリングをおこなわないで、搬送される途中で生成したスケールが表面に付着した状態で仕上圧延機で圧延した(本発明例)。圧延寸法は、厚さ2.9mm、幅835mmであった。この鋼の仕上圧延機入り側での表面のスケールの厚さは予め求めておいた前記(1)、(2)の予測式で50μmと予測された。
【0036】
同じ化学組成の鋼の他のスラブは、通常の方法に従ってデスケーリング後粗圧延し、仕上圧延機の入り側で高圧水によるデスケーリングを施して同一寸法に仕上圧延した(比較例)。いずれの鋼板とも仕上圧延の出口速度は570mpm、出側温度は830℃であり、仕上圧延機を出た後1.5秒後にラミナー方式による水冷却を開始し、450℃を目標に冷却してコイル状に巻取った。
【0037】
本発明例の鋼板表面には全面に黒味がかった赤茶色のスケールが生成していた。この赤茶色のスケールは、仕上圧延開始後から冷却装置入り口までの間に生じたものである。その色彩は、マンセル色票系で、色相H:7.2〜10Rおよび0〜3.1YR、明度V:3.5〜5.5、彩度C:0.8〜2.3の範囲であった。比較例の鋼板表面のスケールは、灰色ないし銀白色であり、赤スケールは生じなかった。
【0038】
本発明の条件に従って圧延し冷却した時の冷却帯中間での温度は590℃であり、比較例の鋼板の冷却帯中間での温度は630℃であった。比較例は本発明の方法に較べて40℃高温になった。冷却帯の中間温度計の位置までは両者とも同じ条件で冷却されている。従い、本発明の方法によればこの間の冷却速度が比較例よりも20%速くなったことがわかった。また、450℃まで冷却するために、比較例においては中間温度計以降の冷却帯の冷却水量を本発明例よりも15%増加した急速冷却を施さなければならなかった。
【0039】
図1および図2に、巻取機直前で測定した鋼板幅方向の温度分布を示す。図1は本発明例の場合であり、図2は比較例の場合である。図1に示されているように、本発明例では幅方向均一にほぼ450℃に冷却されている。図2に示されるように、比較例においては温度が異常に低下している部分が板幅方向の数ヶ所において認められる。上述したように、比較例においては、450℃に冷却するために冷却帯の後半部分での冷却水量を本発明例以上に増して急冷しなければならなかった。このため、比較例においては膜沸騰領域から部分的に遷移沸騰または核沸騰領域に移行し、その部分が過冷却されたものと考えられる。本発明例においては、冷却帯前半での冷却が十分であったために後半の冷却は弱冷却にすることができた。これにより、膜沸騰の状態が最後まで保たれ、均一に冷却されたものと考えられる。
【0040】
鋼の機械的性質を良好にするために高温域を急冷し、低温域を弱冷にする冷却パターンが好まれる場合が多い。これは高温域を急冷することで結晶組織が微細になり、後半を弱冷にすることで内部の歪を除去して性質を整える効果が得られるからである。本発明の方法によれば、冷却帯の前半では急速冷却が可能であるので後半の冷却を弱冷却にすることができる。このため、優れた機械的性質を得るのに好ましい方法である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、高温の鋼材を冷却むらなく速い冷却速度で冷却することができる。このため、鋼材の焼入れや制御冷却の適用が容易になる。しかも、特殊な設備が不要であり、経済性に優れる方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用して熱間圧延して冷却した鋼板の板幅方向の温度分布を示す図である。
【図2】従来の方法で熱間圧延して冷却した鋼板の板幅方向の温度分布を示す図である。
【図3】赤スケールの有無による鋼板の冷却状況を比較した実験の結果を示す図である。
Claims (1)
- Siを0.2質量%以上含有する鋼材の表面に厚さ20〜100μmのスケールを付着させたまま熱間仕上圧延し、900℃以下で熱間圧延を終了することによって、鋼材の表面の全面に均一に赤スケールを発生させた後に水を用いて冷却することを特徴とする、高温鋼材の水冷却方法。
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