JP3704062B2 - Vehicle seat - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、乗り物用シート、特に追突時などの二次衝突荷重が発生した乗員の頸部を保護したアクティブヘッドレスト機構を備えた乗り物用シートの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のアクティブヘッドレスト機構を備えた乗り物用シートとしては、例えば特開2001−58528号公報に示すように、上面がフラットなアッパクロスメンバを有するシートバックフレームと、該シートバックフレームに前後回転自在に軸支されてなるヘッドレスト支持部材と、該ヘッドレスト支持部材の貫通孔に支持してなるヘッドレストホルダーと、該ヘッドレストホルダー内を上下動自在且つ適宜位置で係止可能なるステーと、該ステーにより保持されてなるヘッドレストと、前記ヘッドレスト支持部材より垂下されてなると共に乗員の背中に対応した位置に配してなるプロテクタを有する受圧部材とを少なくとも備えてなるものがある。前席用のヘッドレストホルダーと後席用のそれとは、アッパクロスメンバからの上下距離が異なり、前席用のそれが長く、後席用のそれは短いのが一般である。アクティブヘッドレスト機構を備えた前席用のヘッドレストホルダーは、短いものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、一般に前席用のヘッドレストホルダーが長いため、アクティブヘッドレスト機構を備えた前席にも長いヘッドレストホルダーを組み付けてしまうおそれがある。かかる場合、表皮を組み付けた後、表皮よりヘッドレストホルダーの頭部が大きく出っ張ってしまい、見栄えがよくないばかりか、後席乗員の頭部が干渉するおそれもあるので、再び表皮を取り外して修理し直す必要があり、誤組立防止の改善希望がある。
【0004】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、一般に前席用に使われている長尺のヘッドレストホルダーをアクティブヘッドレスト機構の有無に関わらず共用してヘッドレストホルダーの誤組付を防止した乗り物用シートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、アッパクロスメンバを有するシートバックフレームと、該シートバックフレームに前後回転自在に軸支されてなるヘッドレスト支持部材と、該ヘッドレスト支持部材のヘッドレストホルダー支持部に支持してなるヘッドレストホルダーと、該ヘッドレストホルダー内を上下動自在且つ適宜位置で係止可能なるステーと、該ステーにより保持されてなるヘッドレストと、前記ヘッドレスト支持部材より垂下されてなると共に乗員の背中に対応した位置に配してなるプロテクタを有する受圧部材とを少なくとも備えてなる乗り物用シートであって、前記ヘッドレスト支持部材の上面部における前記ヘッドレストホルダー支持部を凹部内に形成してなる。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、前記ヘッドレスト支持部材の上面部における前記ヘッドレストホルダー支持部を凹部内に形成してなることで、一般に前席用に使われている長尺のヘッドレストホルダーであるにも関わらず、ヘッドレスト支持部材の上面部を凹ませた分、シートバックの表皮から突出せず、従来の短尺のヘッドレストホルダーを採用したものと同じ状況になる。つまり、アクティブヘッドレスト機構を備えたシートか、該機構を備えていないシートかに関わらず、ヘッドレストホルダーを共用することができるので、ヘッドレストホルダーの誤組付を防止することができる。
【0007】
また、ヘッドレストを支持したヘッドレストホルダーを支持したヘッドレスト支持部材が、シートバックフレーム間に架設されているので、乗員の二次衝突力が発生したときには、ヘッドレストの前後移動が適切に行われ、乗員の頸部の保護がより確実に行われる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗り物用シートであって、前記シートバックフレームのアッパクロスメンバーの上面部は、前記ヘッドレスト支持部材の凹部に沿うように凹状に形成されてなる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、アッパクロスメンバーの上面部がヘッドレスト支持部材の凹部に沿うように凹状に形成されてなることにより、ヘッドレスト支持部材の回転時において、両者が干渉することがない。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の乗り物用シートであって、前記シートバックフレームのアッパクロスメンバーの後面で前記ヘッドレストホルダーの支持位置と左右略同一の位置には、前記ステーとの干渉を防止し得る所定の幅寸法を有する逃げ孔が形成されてなる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、逃げ孔がステーとの干渉を防止し得る所定の幅寸法を有するので、ステーがヘッドレスト回転時にアッパクロスメンバーの後面に干渉しないことは勿論、該逃げ孔に工具を挿入して、左右略同一の位置にあるヘッドレストホルダーの係合部のロックオフ作業ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、FRを前側、RRを後ろ側、UPは上側、LWRは下側として説明する。
【0013】
図1乃至図12は、この発明の一実施形態を示すもので、符号1は「乗り物」としての自動車のシートで、シートバック2とシートクッション3とより構成されてなる。符号4は、シートバック2に支持されたヘッドレストである。
【0014】
前記シートバック2は、シートバックフレーム5と、該シートバックフレーム5を覆う図示しないパッドと、該パッドを覆うトリム6と、ヘッドレスト支持部材7と、受圧部材8と、ヘッドレストホルダー9とより構成されてなる。
【0015】
前記シートバックフレーム5は、両側部に配されてなる左右対称の鉄板よりなるサイドフレーム10,10と、該サイドフレーム10,10の上端部10a,10aの前側FR間に略水平状に架設されてなる断面コの字状の鉄板製のアッパクロスメンバ11と、前記サイドフレーム10,10の下端部10b,10bに略水平状に架設されてなる鉄板製のロアクロスメンバ12とよりなる。前記サイドフレーム10,10と、前記アッパクロスメンバ11と、前記ロアクロスメンバ12とは、相互に溶接GWにより支持されている。前記サイドフレーム10,10間には、通常使用時の荷重で撓むことにより乗員の乗り心地を良くするためのS字スプリング13が架設されてなる。
【0016】
前記ヘッドレスト支持部材7は、鉄板製で、図5,図6に示すように、上面部7aと後面部7bとが断面逆L字状に折り曲げられて形成されてなる。また、前記ヘッドレスト支持部材7は、図4に示すように、左右に延在されてなると共に、その左右端部が、前記後面部7b、7bから前側FRに折り曲げられた支持部7c、7cが形成されてなる。該支持部7c、7cは、前記サイドフレーム10.10の上端部10a,10aに、前記ヘッドレスト支持部材7の回転が可能なる段付きボルト14及び前記ヘッドレスト支持部材7の回転時の擦れ音や衝撃吸収のためのブッシュ15により、前後FR,RRに回転自在にそれぞれ軸支されてなる。
【0017】
前記ヘッドレスト支持部材7の上面部7aそのものは、図1に示すシートバック2の頂部2aの形状を決めるために、肩部7aa,7aaが両端に形成されていて、該肩部7aa,7aa間に所定の寸法分下がった凹部27が形成されてなり、該凹部27中に前記ヘッドレストホルダー9が挿通され且つ該ヘッドレストホルダー9の頭部9aが保持される「ヘッドレストホルダー支持部」である第1貫通孔16が形成されている。前記後面部7bより前側FRに曲折されて舌片状に突出した下面部7dには、前記ヘッドレストホルダー9の係合部9bが挿通支持される「ヘッドレストホルダー支持部」である第2貫通孔17が、前記第1貫通孔16と上下同軸状に左右に離間して形成されてなる。つまり、上側の第1貫通孔16には、前記ヘッドレストホルダー9の頭部9aが支持され、下側の第1貫通孔17には、前記ヘッドレストホルダー9の係合部9bが係合支持されてなる。また、前記ヘッドレストホルダー9及びヘッドレスト4のステー23の下端部の前側FRに位置する前記ヘッドレスト支持部材7の下面部7dには、前記シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11に干渉可能なるストッパブラケット24を備えてなる。
【0018】
前記受圧部材8は、前記ヘッドレスト支持部材7の後面部7bの左右方向の中央部7eの前側FRの面に、溶接GWにより上端部18aが固設されてなると共に垂下されてなる柱状部部材18と、該柱状部材18の下端部18bに支持されたプロテクタ19と、該プロテクタ19に中央が係止されて両端部が前記サイドフレーム10,10に支持されてなるアクティブヘッドレスト用リターンスプリング20とより構成されてなる。前記プロテクタ19が配される位置は、乗員の背中に対応した位置である。
【0019】
前記柱状部材18は、上端部18aと下端部18bとはそれぞれ側面視で平行な直線状をなし、適宜の曲がり部21で下端部18b側が上端部18aに対して若干前側FRに曲げられると共に適宜の曲がり部22で上端部18aに平行になるように再度曲がられている。該柱状部材18は、鉄板により左右幅よりも前後幅の方が小さく潰されていて、正面視で略I字状をなす。前記曲がり部21の位置は、シート1の後ろ側に座る乗員の膝位置との関係で決められる。
【0020】
前記プロテクタ19の配設位置は、前記シートバック2に凭れる乗員による、追突に伴う二次衝撃荷重を受け得る位置であって、合成樹脂材よりなり、左右幅が100ミリメートル程度、高さが44ミリメートル程度である。該プロテクタ19は、前記柱状部材18の下端部18bに下側LWRから挿入支持される筒部19aと、該筒部19aより前記柱状部材18の左右幅とほぼ同じ幅分左右に張り出している前側FRの面が平滑状の翼部19b,19bと、該翼部19b,19bの裏面、即ち後ろ側RRに形成されてなるビード19c,19cと、前記筒部19aの裏面、即ち後ろ側RRに形成されてなる前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20の係止片19dとよりなる。前記ビード19c,19cは、図12の上下方向から型抜きしているので、成形性が良い。
【0021】
また、プロテクタ19の係止片19dに、前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20が係合されていることによって、前記受圧部材8の柱状部材18の下端部18bは、前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20により常時前側FRに付勢されてなる。つまり、前記ヘッドレスト支持部材7の後述する下端部7fが、前記アッパクロスメンバ11の後述する後面11dに当接する方向に常時付勢されている。前記プロテクタ19の係止片19dの後ろ側RRの面は、摩擦抵抗の少ない滑面に形成されているので、前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20が、該滑面上を上下左右にスライド自在である。
【0022】
前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20は、針金状に形成されてなり、断面が略真円でも略正多角形でもよく、それ自体が回転可能であれば良い。また、図示しない乗員の着座荷重では伸長せず、追突に伴う二次衝撃の荷重でのみ伸長が可能である「ばね力」を有するように、コイルスプリング20aを、前記アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20に一カ所形成してなる。
【0023】
前記アッパクロスメンバ11は、図1乃至図4に示すように、鉄板製で、左右に延在されてなる上面部11aと、前面部11bと、下面部11cとより前側FRが閉じられ且つ後ろ側RRが開口されてなる断面コの字状に形成されてなると共に該下面部11cの後ろ側RRより壁状に垂下されてなる後面11dとが一体に形成されてなる。前記上面部11aは、前記ヘッドレスト支持部材7の凹部27に沿うように凹状に形成されてなる。前記下面部11cには、前記受圧部材8の柱状部材18の上端部18aが挿入可能な第1孔11e及び前記ストッパブラケット24が挿入可能なると共に前記ヘッドレスト4の移動に伴って段付きボルト14を中心に前後移動可能なる前後に長い「貫通孔」である第2孔11fが形成されている。前記上面部11aには、前記ヘッドレスト4のステー23との干渉を防止する切り欠き11g、11gが形成されている。前記シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の後面11dで前記ヘッドレストホルダー9の支持位置と左右略同一の位置には、前記ステー23との干渉を防止し得る所定の幅寸法を有する逃げ孔28、28が形成されてなる。
【0024】
前記ストッパブラケット24は、鉄板製で、横断面コの字状にプレス成形されてなり、前記シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の第2孔11fの前端部に干渉可能なる前面24aが、略平面状に形成されてなり、側面24b、24bの前記前面24aと反対側のこば面24c、24cの下端部に、曲面部24d、24dが形成されてなる。前記第2孔11fは、通常時の前記ストッパブラケット24の前面24aとの前側FRの間隔は、段付きボルト14を中心とした回転角度で10度であり、後ろ側RRの間隔は、段付きボルト14を中心とした回転角度で10度以上であることが望ましい。
【0025】
前記ヘッドレスト支持部材7の後面部7bの中央部には、図6に示すように、前記受圧部材8の柱状部材18の上端部18aが溶接支持される固定部7eが形成され、該固定部7eからは、前記アッパクロスメンバ11から垂下された後面11dに対向した位置まで垂下されている下端部7fが形成されている。該下端部7fには、ゴム製の緩衝部材25が支持されていて、該緩衝部材25の第1緩衝部25aに、前記後面11dがぶつかって、それ以上の動きが停止される。つまり、前記ヘッドレスト支持部材7自体の後ろ側RRへの回転防止位置を特定している。
【0026】
前記ヘッドレストホルダー9は、前記したように、前記ヘッドレスト支持部材7に形成された前記第1,第2貫通孔16,17に係合して支持されてなると共に前記ヘッドレスト4のステー23を保持する合成樹脂製の部材である。該ヘッドレストホルダー9には、前記ステー23の上下位置を適宜移動可能なると共に適宜の位置で停止可能である周知のストッパ機構を有する。
【0027】
前記受圧部材8の柱状部材18は、図2に示すように、正面視で垂直状をなし、該柱状部材18の保持位置は、前記ヘッドレスト支持部材7の固定部7eに固設されてなるので、自車が追突されたことにより、前記シートバックフレーム5の前側FRからの該乗員による荷重、つまり乗員がシートバック2に前側FRから押し付けられても、該乗員のショルダポイントが、柱状部材18に干渉しないことになる。
【0028】
次に、この実施形態に係る作動を説明する。
【0029】
前記ヘッドレスト支持部材7の上面部7aにおける第1貫通孔16を凹部27内に形成してなることで、一般に前席用に使われている長尺のヘッドレストホルダー9であるにも関わらず、ヘッドレスト支持部材7の上面部7aを凹ませた分、シートバック2の表皮6から突出せず、従来の短尺のヘッドレストホルダーを採用したものと同じ状況になる。つまり、アクティブヘッドレスト機構を備えたシートか、該機構を備えていないシートかに関わらず、ヘッドレストホルダー9を共用することができるので、ヘッドレストホルダー9の誤組付を防止することができる。
【0030】
また、ヘッドレスト4を支持したヘッドレストホルダー9を支持したヘッドレスト支持部材7が、シートバックフレーム5のサイドフレーム10,10間に架設されているので、乗員の二次衝突力が発生したときには、ヘッドレスト4の前後移動が適切に行われ、乗員の頸部の保護がより確実に行われる。
【0031】
シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の上面部11aは、前記ヘッドレスト支持部材7の凹部27に沿うように凹状に形成されてなることにより、ヘッドレスト支持部材7の回転時において、両者7,11が干渉することがない。
【0032】
シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の後面11dで前記ヘッドレストホルダー9の支持位置と左右略同一の位置には、前記ステー23との干渉を防止し得る所定の幅寸法を有する逃げ孔28が形成されてなることにより、ステー23がヘッドレスト4回転時にアッパクロスメンバー11の後面11dに干渉しないことは勿論、該逃げ孔28に工具を挿入して、左右略同一の位置にあるヘッドレストホルダー9の係合部9bのロックオフ作業ができる。
【0033】
前記シートバック2は、常時、アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20により、受圧部材8の柱状部材18の下端部18bのプロテクタ19が前側FRに押圧されてなるので、該受圧部材8の柱状部材18の上端部18aを支持したヘッドレスト支持部材7の中央部7eが、緩衝部材25を介してアッパクロスメンバ11の後面11dに当接していて、該ヘッドレスト支持部材7に支持されたヘッドレストホルダー9を介してヘッドレスト4が保持されている。
【0034】
前記シートバック2とシートクッション3とよりなる自動車のシート1のシートクッション3に乗員が着座し、前記シートバック2に背中を凭れかけない運転状態などでは、乗員の頭部とヘッドレスト4との間には、隙間があり、乗員の背中と受圧部材8との間にも隙間が形成されている。尤も、該乗員の背中と受圧部材8との間には、図示しないパッドやトリム6などが介在されているので、密着されている。また、着座時における乗員が、リラックス状態で、シートバック2に凭れかけると、乗員の背中から加えられた荷重により、パッド及びS字スプリング13の撓みによって、乗員の背中を柔らかに受け止めることができる状態にある。従って、着座感が良いものとなる。勿論、受圧部材8には、荷重が加わらない。
【0035】
この状態で、自車が追突されると、まず車体に加わった前側FRへの衝撃荷重となって、乗員はシートバック2から前側FRに投げ出される方向の荷重を受ける。次に、乗員には、後ろ側RRに移動される荷重、つまり二次衝撃荷重(二次衝突という)が加わることになる。かかる「二次衝突」に伴う衝撃値が、プロテクタ19を介してアクティブヘッドレスト用リターンスプリング20のコイルスプリング20aが伸長を始める荷重以上であると、アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20のコイルスプリング20aが伸張するに伴い、前記受圧部材8の柱状部材18の下端部18bに配設されてなるプロテクタ19が、後ろ側RRに移動される。
【0036】
前記受圧部材8の柱状部材18の下端部18bが後ろ側RRへ移動することにより、ヘッドレスト支持部材7の支持部7c,7cが、段付きボルト14及びブッシュ15を中心に、前側FRに回転する。前記ヘッドレスト支持部材7に支持されたヘッドレストホルダー9が、ヘッドレスト支持部材7と共に前側FRに回転して、該ヘッドレストホルダー9に支持されたステー23がヘッドレスト4と共に前側FRへ回転制御されることになり、乗員の頭部の後ろ側RRに移動することで、乗員の頭部を確実に保持できることによって、乗員の頚部の保護が可能となる。かかる回転制御は、瞬時に行われることは勿論である。
【0037】
こうして、乗員の背中が、衝撃によって、後ろ側RRに移動することで、残される挙動をするはずの乗員の頭部が、ヘッドレスト4の前側FRへの移動により、確実に保持されることになる。ヘッドレスト4を支持したヘッドレストホルダー9を支持したヘッドレスト支持部材7が、サイドフレーム10,10間に架設されているので、乗員の二次衝突力が発生したときには、ヘッドレスト4の前後移動が適切に行われ、乗員の頸部の保護がより確実に行われる。また、ヘッドレスト支持部材7に支持された受圧部材8のプロテクタ19は、翼部19b、19bにより左右に幅広のため、乗員の着座位置がアウトポジション、つまり予測しないような位置に着座していても、確実に受圧し、受圧部材8のプロテクタ19への荷重の伝達が確実となる。しかも、この状態で、前記柱状部材18の途中に、曲がり部21により、前側FRに「く」の字状に曲がっているので、受圧部材8の柱状部材18が後ろ側RRに移動した時に、受圧部材8の柱状部材18が後ろ側RRに出っ張らず、後席乗員との空間が確保されることになる。
【0038】
また、前記ヘッドレストホルダー9に対して、前記ヘッドレスト4のステー23が上下移動自在に支持されてなるので、体格の異なる乗員の頭部の位置に適宜ヘッドレスト4の上下位置を合致させることができる。
【0039】
また、シートバック2のシートバックフレーム5は、サイドフレーム10,10と、アッパクロスメンバ11と、ロアクロスメンバ12とにより方形をなすので、シートバック2の強度が著しく向上し、二次衝突を受圧する受圧部材8を支持するヘッドレスト支持部材7が変形するような支障を来すようなことがない。
【0040】
また、前記受圧部材8の柱状部材18は、アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20により、前側FRに付勢されてなると共に着座荷重では伸長せず、追突に伴う衝撃荷重でのみ伸長可能なるので、通常時の乗員の着座やリラックス状態においては、該乗員の背中による背凭れ荷重に対応してアクティブヘッドレスト用リターンスプリング20が伸長せず、S字スプリング13により快適に乗員の背中部を保持できることになる。また、追突による二次衝突による荷重が加わった時には、アクティブヘッドレスト用リターンスプリング20のコイルスプリング20aが伸張することが可能であるので、受圧部材8の柱状部材18が移動することに支障を与えないことになり、確実に移動できる。
【0041】
追突に伴う衝撃荷重を受け得る位置である乗員の背中に相当する受圧部材8の柱状部材18が、正面視で略I字状であるので、著しい軽量化が図れる。
【0042】
前記ヘッドレスト4を支持したヘッドレストホルダー9を支持したヘッドレスト支持部材7が、上面部7aと後面部7bと下面部7dとにより一体に形成されてなるので、個々の部材の支持手段を不要とし、支持することによって生じるひずみの発生がないことになる。従って、ヘッドレスト4のステー23の操作力にバラツキが生ぜず、常に安定した操作力のヘッドレスト4を得られる。
【0043】
ヘッドレスト支持部材7のヘッドレストホルダー9及びステー23の下端部の前側FRには、シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の第2孔11fに干渉可能なるストッパブラケット24を備えてなることで、ヘッドレスト4のみに荷重が加わった場合、該ヘッドレスト4のステー23が直接又はステー23を介してヘッドレストホルダー9がストッパブラケット24を押圧するが、該ストッパブラケット24がシートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の第2孔11fに干渉することで、荷重が吸収され、ヘッドレスト4を支持したヘッドレスト支持部材7の変形が生じない。
【0044】
ストッパブラケット24のシートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の第2孔11fに干渉可能なる前面24aが、略平面状に形成されてなることで、ストッパブラケット24によってシートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の第2孔11fに加わった荷重が、所定の面積の面で受けられることになり、シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の第2孔11fへの負荷が集中応力とならずに分散でき、シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の変形がより防止できる。
【0045】
ヘッドレスト4が前側FRに移動することで、該ヘッドレスト4を支持したヘッドレスト支持部材7の後面部7bが後ろ側RRに回転する際、ストッパブラケット24のシートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の第2孔11fに干渉可能なる前面24aと反対側のこば面24cが、シートバックフレーム5のアッパクロスメンバー11の第2孔11fの後端部に近接するが、該こば面24cの下端部に曲面部24dが形成されてなることで、第2孔11fの後端部に干渉しないし、より大きくヘッドレスト4を前側FRに傾かせることができる。
【0046】
前記第1貫通孔16と、前記第2貫通孔17とが、一体のヘッドレスト支持部材7に形成されてなるので、両貫通孔16,17の中心位置が確実に直線上に形成されてなり、ヘッドレスト4を上下動させる際にスムースに上下動できるし、擦れ音が発生しない。
【0047】
前記作動説明で、乗員の頭部が、ヘッドレスト4の移動により、確実に保持されるとしたが、ヘッドレスト4の移動と、シートバック2の移動とは、相対的なものであり、乗員の背中によってシートバック2が後ろ側RRに移動しても、乗員の頭部に対してヘッドレスト4が移動せず、その位置に保持されることで、乗員の頭部が保護されるものと説明されるものも含むものである。
【0048】
前記実施形態で、ストッパブラケット24は、横断面コの字状として説明したし、前面24aは平面として説明したが、これに限定されるものではなく、横断面で無端的な円環でも無端的な三角形でも良い。また、ストッパブラケット24に干渉可能なものとして「前記ヘッドレストホルダー9及びヘッドレスト4のステー23の下端部の前側」として説明したが、これに限定されるものではなく、前記ヘッドレストホルダー9のみでもヘッドレスト4のステー23の下端部の前側のみでも良い。
【0049】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、前記ヘッドレスト支持部材の上面部における前記ヘッドレストホルダー支持部を凹部内に形成してなることで、一般に前席用に使われている長尺のヘッドレストホルダーであるにも関わらず、ヘッドレスト支持部材の上面部を凹ませた分、シートバックの表皮から突出せず、従来の短尺のヘッドレストホルダーを採用したものと同じ状況になる。つまり、アクティブヘッドレスト機構を備えたシートか、該機構を備えていないシートかに関わらず、ヘッドレストホルダーを共用することができるので、ヘッドレストホルダーの誤組付を防止することができる。
【0050】
また、ヘッドレストを支持したヘッドレストホルダーを支持したヘッドレスト支持部材が、シートバックフレーム間に架設されているので、乗員の二次衝突力が発生したときには、ヘッドレストの前後移動が適切に行われ、乗員の頸部の保護がより確実に行われる。
【0051】
請求項2に記載の発明によれば、アッパクロスメンバーの上面部がヘッドレスト支持部材の凹部に沿うように凹状に形成されてなることにより、ヘッドレスト支持部材の回転時において、両者が干渉することがない。
【0052】
請求項3に記載の発明によれば、逃げ孔がステーとの干渉を防止し得る所定の幅寸法を有するので、ステーがヘッドレスト回転時にアッパクロスメンバーの後面に干渉しないことは勿論、該逃げ孔に工具を挿入して、左右略同一の位置にあるヘッドレストホルダーの係合部のロックオフ作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るシートを示す斜視図。
【図2】図1のシートバックフレームの正面図。
【図3】図2の斜視図。
【図4】図3の分解斜視図。
【図5】図3のSA−SA線に沿った断面図。
【図6】図3のSB−SB線に沿った断面図。
【図7】図2のプロテクタの拡大正面図。
【図8】図7の側面図。
【図9】図7の上面図。
【図10】図9の矢視Cにかかる説明図。
【図11】図7のSD−SD線に係る断面図。
【図12】図7のSE−SE線に係る断面図。
【符号の説明】
1 自動車のシート(乗り物のシート)
2 シートバック
4 ヘッドレスト
5 シートバックフレーム
7 ヘッドレスト支持部材
7a ヘッドレスト支持部材の上面部
7d ヘッドレスト支持部材の下面部
8 受圧部材
9 ヘッドレストホルダー
11 アッパクロスメンバー
11a アッパクロスメンバーの上面部
11d アッパクロスメンバーの後面
16,17 第1,第2貫通孔(ヘッドレストホルダー支持部)
19 プロテクタ
23 ステー
26 ヘッドレストホルダー支持部
27 凹部
28 逃げ孔
FR 前側
RR 後ろ側
UP 上側
LWR 下側[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a vehicle seat, and more particularly to a structure of a vehicle seat including an active headrest mechanism that protects a neck of an occupant who has generated a secondary collision load such as a rear-end collision.
[0002]
[Prior art]
As a conventional vehicle seat equipped with an active headrest mechanism, for example, as disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-58528, a seat back frame having an upper cross member with a flat upper surface, and the seat back frame can be rotated back and forth. A headrest support member that is pivotally supported, a headrest holder that is supported by a through-hole of the headrest support member, a stay that can move up and down in the headrest holder and can be locked at an appropriate position, and is held by the stay And a pressure receiving member having a protector that is suspended from the headrest support member and disposed at a position corresponding to the back of the occupant. The headrest holder for the front seat and the headrest holder for the rear seat are different in the vertical distance from the upper cross member, and it is generally longer for the front seat and shorter for the rear seat. A short headrest holder with an active headrest mechanism is used.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, in such a conventional technique, since the headrest holder for the front seat is generally long, there is a possibility that the long headrest holder may be assembled to the front seat provided with the active headrest mechanism. In such a case, after attaching the epidermis, the head of the headrest holder protrudes larger than the epidermis and not only looks good, but the head of the rear seat occupant may interfere with it. There is a need for improvement, and there is a hope of improving misassembly prevention.
[0004]
The present invention has been made by paying attention to such a conventional technology, and it is common to use a long headrest holder commonly used for a front seat regardless of the presence or absence of an active headrest mechanism. The present invention provides a vehicle seat that is prevented from being assembled.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The invention according to
[0006]
According to the first aspect of the present invention, the headrest holder supporting portion on the upper surface portion of the headrest supporting member is formed in the recess, so that the headrest holder is generally used for a front seat. In spite of the fact that the upper surface of the headrest support member is recessed, it does not protrude from the skin of the seat back, and the situation is the same as that in which a conventional short headrest holder is adopted. That is, since the headrest holder can be shared regardless of whether the seat is provided with an active headrest mechanism or a sheet not provided with the mechanism, erroneous assembly of the headrest holder can be prevented.
[0007]
In addition, since the headrest support member that supports the headrest holder that supports the headrest is installed between the seat back frames, when the occupant's secondary collision force occurs, the headrest is moved back and forth appropriately, The neck is more reliably protected.
[0008]
The invention according to
[0009]
According to the invention described in
[0010]
A third aspect of the present invention is the vehicle seat according to the first or second aspect, wherein the rear surface of the upper cross member of the seat back frame is substantially at the same position as the support position of the headrest holder. Is formed with a relief hole having a predetermined width dimension capable of preventing interference with the stay.
[0011]
According to the third aspect of the present invention, since the escape hole has a predetermined width dimension that can prevent interference with the stay, the stay does not interfere with the rear surface of the upper cross member when the headrest rotates. The tool can be inserted into the right and left, and the lock-off operation of the engaging portion of the headrest holder at the substantially same position can be performed.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Preferred embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings. In the following description, FR is the front side, RR is the rear side, UP is the upper side, and LWR is the lower side.
[0013]
1 to 12 show an embodiment of the present invention.
[0014]
The
[0015]
The
[0016]
The
[0017]
The
[0018]
The
[0019]
In the
[0020]
The
[0021]
The active
[0022]
The active
[0023]
As shown in FIGS. 1 to 4, the
[0024]
The
[0025]
As shown in FIG. 6, a fixed
[0026]
As described above, the
[0027]
As shown in FIG. 2, the
[0028]
Next, the operation according to this embodiment will be described.
[0029]
The first through
[0030]
In addition, since the
[0031]
The
[0032]
A
[0033]
In the seat back 2, the
[0034]
In a driving state where an occupant sits on a seat cushion 3 of an
[0035]
In this state, when the own vehicle is collided, first, an impact load is applied to the front FR applied to the vehicle body, and the occupant receives a load in a direction thrown out from the seat back 2 to the front FR. Next, a load moved to the rear side RR, that is, a secondary impact load (referred to as a secondary collision) is applied to the occupant. When the impact value resulting from such “secondary collision” is equal to or greater than the load at which the
[0036]
When the
[0037]
Thus, the occupant's back moves to the rear side RR due to the impact, so that the occupant's head, which should be left behind, is reliably held by the movement of the headrest 4 to the front side FR. . Since the
[0038]
In addition, since the
[0039]
Further, since the seat back
[0040]
Further, the
[0041]
Since the
[0042]
The
[0043]
The headrest 4 is provided with a
[0044]
Since the
[0045]
When the headrest 4 moves to the front side FR and the
[0046]
Since the first through-
[0047]
In the above description of the operation, it is assumed that the head of the occupant is securely held by the movement of the headrest 4, but the movement of the headrest 4 and the movement of the seat back 2 are relative, and the occupant's back Therefore, even if the seat back 2 moves to the rear side RR, the headrest 4 does not move relative to the head of the occupant and is held at that position, so that the occupant's head is protected. Including things.
[0048]
In the above embodiment, the
[0049]
【The invention's effect】
According to the first aspect of the present invention, the headrest holder supporting portion on the upper surface portion of the headrest supporting member is formed in the recess, so that it is a long headrest holder generally used for a front seat. In spite of the fact that the upper surface of the headrest support member is recessed, it does not protrude from the skin of the seat back, and the situation is the same as that in which a conventional short headrest holder is adopted. That is, since the headrest holder can be shared regardless of whether the seat has the active headrest mechanism or the seat without the mechanism, erroneous assembly of the headrest holder can be prevented.
[0050]
In addition, since the headrest support member that supports the headrest holder that supports the headrest is installed between the seat back frames, when the occupant's secondary collision force occurs, the headrest is moved back and forth appropriately, The neck is more reliably protected.
[0051]
According to the invention described in
[0052]
According to the invention described in claim 3, since the escape hole has a predetermined width dimension that can prevent interference with the stay, the stay does not interfere with the rear surface of the upper cross member when the headrest rotates. The tool can be inserted into the left and right to perform the lock-off operation of the engaging portion of the headrest holder at substantially the same position on the left and right.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing a seat according to an embodiment of the present invention.
2 is a front view of the seat back frame of FIG. 1. FIG.
FIG. 3 is a perspective view of FIG. 2;
4 is an exploded perspective view of FIG. 3. FIG.
5 is a cross-sectional view taken along line SA-SA in FIG.
6 is a cross-sectional view taken along the line SB-SB in FIG. 3;
7 is an enlarged front view of the protector of FIG. 2;
8 is a side view of FIG. 7. FIG.
9 is a top view of FIG.
FIG. 10 is an explanatory diagram according to an arrow C in FIG. 9;
11 is a cross-sectional view taken along line SD-SD in FIG.
12 is a cross-sectional view taken along line SE-SE in FIG.
[Explanation of symbols]
1 Car seat (vehicle seat)
2 Seat back
4 Headrest
5 Seat back frame
7 Headrest support member
7a Upper surface of the headrest support member
7d The lower surface of the headrest support member
8 Pressure receiving member
9 Headrest holder
11 Upper cross member
11a Upper surface of upper cross member
11d Rear side of upper cross member
16, 17 First and second through holes (headrest holder support)
19 Protector
23 Stay
26 Headrest holder support
27 recess
28 escape hole
FR front
RR rear side
UP Upper side
LWR lower side
Claims (3)
前記ヘッドレスト支持部材の上面部における前記ヘッドレストホルダー支持部を凹部内に形成してなることを特徴とする乗り物用シート。A seat back frame having an upper cross member, a headrest support member pivotally supported by the seat back frame so as to be able to rotate back and forth, a headrest holder supported by a headrest holder support portion of the headrest support member, and the headrest holder A stay that can be moved up and down and locked at an appropriate position, a headrest that is held by the stay, a protector that is suspended from the headrest support member and disposed at a position corresponding to the back of the occupant A vehicle seat comprising at least a pressure receiving member,
The vehicle seat, wherein the headrest holder support portion on the upper surface portion of the headrest support member is formed in a recess.
前記シートバックフレームのアッパクロスメンバーの上面部は、前記ヘッドレスト支持部材の凹部に沿うように凹状に形成されてなることを特徴とする乗り物用シート。The vehicle seat according to claim 1,
The vehicle seat according to claim 1, wherein an upper surface portion of the upper cross member of the seat back frame is formed in a concave shape along the concave portion of the headrest support member.
前記シートバックフレームのアッパクロスメンバーの後面で前記ヘッドレストホルダーの支持位置と左右略同一の位置には、前記ステーとの干渉を防止し得る所定の幅寸法を有する逃げ孔が形成されてなることを特徴とする乗り物用シート。The vehicle seat according to claim 1 or 2, wherein
On the rear surface of the upper cross member of the seat back frame, a clearance hole having a predetermined width dimension capable of preventing interference with the stay is formed at a position substantially the same as the support position of the headrest holder. A feature vehicle seat.
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