JP3703986B2 - 摩擦帯電型不織布 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、マスク、空調機器用フィルターなどの濾材に用いて好適な摩擦帯電型の不織布に関するものであって、特に圧力損失が低く、捕集効率に優れた摩擦帯電型不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気中の塵埃を捕集するための濾材として、圧力損失が低く、しかも塵埃の捕集効率は可能な限り高いことが望まれており、種々の技術が提案されてきた。その中にあって、比較的精密な空気濾過を期待される用途においては、塵埃の大部分をプレフィルターで捕集し、その濾過空気流下流側に配置され、しかも極めて捕集性能の高い素材で構成されたメインフィルターの目詰まりを遅らせる構成が採用されている。
【0003】
このような2種類の機能素材を組み合わせたフィルターの構成例として、例えばプレフィルターには比較的嵩密度の高い(空隙率の大きい)ニードルパンチ法によって絡合された不織布を用い、メインフィルターには例えば水流絡合法によって形成された不織布やメルトブロー法による不織布のように嵩密度の低い緻密な不織布を配し、これら2枚の不織布を積層したものが知られている。
【0004】
一方、緻密な不織布を用いることによって圧力損失も大きくなることは周知の通りである。従って、このような繊維間隙を小さくする代わりに、構成繊維を帯電させ、しかも塵埃を静電気的な作用によって捕集することにより、捕集効率の低下を抑えて圧力損失を下げる技術も知られている。このような帯電技術として、コロナ放電などの帯電装置を利用する技術は一般的であるが、他の帯電手段として、異なる繊維成分同志が摩擦される際に生じる電荷を利用する技術も古くから知られている。その一例として、米国特許第4,798,850号(以下、文献1と称する)には、清浄なポリオレフィン系繊維と清浄なアクリル系繊維とをカード機によって繊維ウエブとし、この際の繊維間摩擦を利用して帯電不織布を得る技術が開示されている。尚、本明細書では、繊維に付着する潤滑剤や帯電防止剤といった帯電を妨げる添加剤が、非イオン性界面活性剤、アルカリ性水溶液、アルコールなどによって洗浄除去された繊維の状態を「清浄な」と称する。この文献1に開示されるポリオレフィン系繊維として、ポリエチレン樹脂、エチレン−ポリプロピレン共重合体またはポリプロピレン樹脂などを構成する炭化水素の一部をシアノ基、またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のものが挙げられている。また、アクリル系繊維として、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンとを共重合したモダクリル繊維が開示されている。
【0005】
さらに、特開平7−256024号公報(以下、文献2)では、上述した清浄なポリオレフィン系繊維をポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂とを芯鞘型またはサイドバイサイド型に配置した複合繊維とし、清浄なアクリル系繊維をハロゲン不含のポリアクリロニトリル繊維とし、これら2種類の繊維を摩擦帯電させ、しかも上記複合繊維によって熱融着性を持たせた空気濾過材を開示している。
【0006】
前述したように、塵埃捕集として有用なフィルター材として優れた捕集効率を実現するために、プレフィルターとメインフィルターとを積層構成した構造は広く知られており、メインフィルターとしては緻密で高捕集効率な布帛が用いられる。本出願の発明者は、特願平10−367756号(以下、文献3)において、メインフィルターとしてメルトブロー不織布を用いると共に、プレフィルターとして圧力損失の低減に有利な繊維摩擦を利用した帯電不織布を用い、これら2種類の不織布を備えた構造の帯電型エアフィルターを提案している。係る技術によって、比較的高い捕集効率を実現し、しかも圧力損失は従来技術とほぼ同等のエアフィルターを提供することが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の本願出願人が提案する技術においては比較的高い捕集効率を実現できるが、係る高捕集効率を維持し、しかも圧力損失を低減するには未だ課題を残していた。換言すれば、メルトブロー不織布を利用する場合、緻密な繊維構造を有することから圧力損失の大幅な低減を望むことが難しく、フィルター材として利用する場合に、例えば空調装置の送風装置能力の低減や、マスクとして利用する場合の装着者への吸気抵抗に対する負担低減を図るには未だ不十分であった。
【0008】
従って、本発明は上述した従来の問題点に鑑みなされたものであって、優れた捕集効率を確保し、かつ、圧力損失低減を図ることが可能な摩擦帯電型不織布を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的の達成を図るため、本発明の摩擦帯電型不織布の構成によれば、メルトブロー繊維と短繊維とで構成され、かつ、少なくとも前記短繊維が摩擦帯電されていると共に、このメルトブロー繊維と摩擦帯電された清浄な短繊維とが混合された繊維混合層を含んでおり、しかも、清浄な短繊維がポリオレフィン系繊維と、無機系溶媒によって紡糸されたアクリロニトリル系繊維とを組み合わせたものであることを要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施に好適な形態につき説明する。始めに、本発明の摩擦帯電型不織布として好適な構造について、摩擦帯電型不織布の概略断面により示した図1及び図2を参照して説明する。まず、本発明を適用した第一の好適形態として、図1に示すように、メルトブロー繊維と摩擦帯電された短繊維とが混合された繊維混合層11と、摩擦帯電された短繊維層13とが連続的に積層された摩擦帯電型不織布15が挙げられる。さらに、同様に図示する図2から理解できるように、第二の好適形態として、メルトブロー繊維と摩擦帯電された短繊維とが混合された、即ち、実質的に上述した繊維混合層11のみからなる摩擦帯電型不織布17を挙げることができる。
【0011】
これら2つの好適形態に示すように、繊維混合層11では、メルトブロー繊維と摩擦帯電された短繊維とが混合された状態で空隙を構成するため、メルトブロー繊維のみで構成されたメルトブロー不織布に比べて繊維間隙が広がって圧力損失が大幅に低減され、しかも当該層11に存在する摩擦帯電された短繊維が静電的に塵埃を捕集するため、優れた捕集効率を維持することができる。
【0012】
また、図1に示す摩擦帯電型不織布15においては、従来技術として述べたプレフィルターとメインフィルターとの積層構成を、繊維混合層11と短繊維層13とが連続的に(一体的に)積層された1枚の不織布としていることから、当該不織布15を加工する際に取り扱いが容易であり、比較的嵩高い短繊維層13を空気流の上流側に配置することによって塵埃捕集量を大きく採ることができる。
【0013】
次いで、本発明の摩擦帯電型不織布に用いて好適な各繊維について説明する。本発明の摩擦帯電型不織布では、メルトブロー繊維と、清浄なポリオレフィン系繊維並びに無機系溶媒によって紡糸された清浄なアクリル系繊維といった短繊維とを用いるのが好ましい。
【0014】
まず、メルトブロー繊維を構成する樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂など、空気濾材分野で用いられている種々の樹脂とすることができる。また、メルトブロー繊維の平均繊維径は設計に応じて任意好適な値とすることができるが、平均繊維径として20μm以下、好ましくは10μm以下とするのが好ましい。この平均繊維径の設計に当たっては、本発明の摩擦帯電型不織布の構成をメルトブロー繊維と摩擦帯電された短繊維との組合せとしていることから、例えば0.01乃至0.1μm程度の従来一般に用いられている繊維径よりも細い繊維径とした場合であっても、短繊維の介在しない1枚のメルトブロー不織布として用いる場合に比べて強度に優れ、しかも圧力損失を低く抑えることができる。
【0015】
次いで、摩擦帯電される好適な短繊維について説明する。まず、清浄なポリオレフィン系繊維は特に限定されるものではないが、前述した文献1及び文献2に開示されるポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、または、これら樹脂の一部をシアノ基やハロゲンで置換した樹脂などを単独若しくは複合繊維として組み合わせたものを用いることができる。さらには、例えば芯鞘型の複合繊維において、その鞘成分として上記一連の樹脂から選ばれた樹脂を備えたものであっても良い。
【0016】
続いて、短繊維のうち、清浄なアクリル系繊維について説明する。一般的なアクリル系繊維については、例えば文献4:「繊維便覧−原料編−」(繊維学会編,丸善株式会社刊,1970年10月発行,第727頁〜第779頁参照)に詳説されている。既に述べたように、アクリル系繊維は、その樹脂組成により、文献1に採用されるモダクリル系と、ポリアクリロニトリル系とに大別される。このうち、ポリアクリロニトリル系繊維は、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、アセトンなどの有機系溶媒を用いて紡糸したものと、硝酸、塩化亜鉛水溶液、塩化カルシウム水溶液、ロダン塩(チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カルシウム)水溶液などの無機系溶媒を用いたものとが知られている。本発明者によれば、上述したポリオレフィン系繊維に、これらアクリル系繊維の何れを組み合わせても摩擦帯電させて使用することができるが、本発明に適用して好適なアクリル系繊維は、何れもアクリロニトリル系のアクリル繊維であって、帯電状態を良好に形成し得ることから、特に、その紡糸工程で無機系溶媒を用いて調製されたものが好ましい。
【0017】
これら無機系溶媒によって紡糸された市販のアクリル系繊維として、「ベスロン」(東邦レーヨン(株)製,商品名)、「カシミロン」(旭化成工業(株)製,商品名)、「エクスラン」(日本エクスラン工業(株)製,商品名)、「クレスラン」(米国American Cyanamid Co.製,商品名)、「ゼフラン」(米国The Dow Chemical Co.製,商品名)、「コーテル」(米国Courtaulds Co.製,商品名)などが挙げられる。
【0018】
これら短繊維の重量混合比は、摩擦による帯電効率を確保するため、上述したポリオレフィン系繊維と上記アクリル系繊維とを30:70〜80:20の範囲内として構成するのが好ましい。
【0019】
以下、本発明の摩擦帯電型不織布を得るために好適な製造工程を、装置の概略構成により示す図3を参照して説明する。まず、上述した短繊維を所定の重量混合比で混綿した後、これら短繊維を既に述べた洗浄剤によって清浄化しておく。然る後、既に述べた所望の樹脂をメルトブロー装置用のダイ19から溶融吐出させてメルトブロー繊維21を形成する。このメルトブロー繊維21に対して、開繊機23によって開繊時に摩擦帯電され、かつ空気流に運ばれた短繊維25を吹き付け、コンベアーなどの捕集体27上に堆積することによって、メルトブロー繊維21と摩擦帯電された短繊維25とが1枚の不織布、即ち、前述した摩擦帯電型不織布15若しくは摩擦帯電型不織布17として形成される。
【0020】
上述した本発明に係る不織布の製造工程において、摩擦帯電された状態の短繊維25をメルトブロー繊維21に対して吹き付けるに当たっては、カード機やガーネット機などを利用した周知のウエブフォーミング技術によって実施することもできるが、例えば本出願人が特開平5−9813号公報(以下、文献5)に提案するような、複数の開繊シリンダーをハウジング内に収納し、これらシリンダーを高速で回転させることによって、シリンダーの周縁に積極的に空気流を発生させ、この空気流によって短繊維を所定方向に吹き飛ばし得る装置を用いるのが好ましい。即ち、この様に空気流を積極的に発生させる過程で短繊維同志の摺擦摩擦を充分に行うことができるため良好な摩擦帯電状態を実現し得る。
【0021】
次いで、前段で図1及び図2を参照して説明した本発明の好適な形態についてより詳述すれば、図3に示す装置の運転条件を任意好適に設計することによって、これら2つの不織布を実現することができる。まず、図2に示す繊維混合層11のみで構成される摩擦帯電型不織布17は、ダイ19から吐出されるメルトブロー繊維21の吐出量と開繊機23から吹き飛ばされる短繊維25の吹き飛ばし量をほぼ同等とすることにより得ることができる。
【0022】
さらに、図1に示すような繊維混合層11と短繊維層13とが、連続的に一体化された摩擦帯電型不織布15は、メルトブロー繊維21の吐出量に対して、短繊維25の吹き飛ばし量を大きく採ることにより形成することができる。この吐出量と吹き飛ばし量との比率は、主として短繊維25を吹き飛ばすための空気流速度等によっても異なるが、「吹き飛ばし量/吐出量」の重量比率が少なくとも1.5以上、好ましくは2以上に設計するのが好ましい。この様にして得られた摩擦帯電型不織布15では、図1に波線を付して模式的に示すように、繊維混合層11と実質的に短繊維25が主体となる短繊維層13とが界面Aを介して連続的に一体化され、1枚の不織布として形成される。
【0023】
また、本発明に係る摩擦帯電型不織布の面密度は、その用途に応じて任意好適に設計することができるが、ウエブ強度確保の観点から40g/m2以上、好ましくは150g/m2以上とするのが良い。
【0024】
加えて、良好なウエブ強度を実現するために不織布をポイントシールする事も有効であるが、帯電状態にある布帛に加熱処理を施すことにより電荷の散逸を生じ、帯電の低下を来すことも知られている。従って、このようなポイントシールによって強度向上を図るに当たっては、例えば超音波シール技術等を採用し、本発明の摩擦帯電型不織布に対する熱的な悪影響を最小限に留めるのが好ましい。
【0025】
さらに、本発明に係る摩擦帯電型不織布の利用形態として、所定の枠に取り付けてフィルターユニットとして用いたり、或いは立体的に成型し、または端部をシールすることなどによってマスクとして使用することもできる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。以下の実施例では、本発明の好適例としての摩擦帯電型不織布と、これを構成する摩擦帯電された短繊維のみで構成された摩擦帯電不織布とメルトブロー不織布とを積層構成した比較例1、及び摩擦帯電を実質的に生じない短繊維不織布とメルトブロー不織布とを積層構成した比較例2との間で、捕集効率と圧力損失との経時変化を測定した結果について説明する。尚、この実施例では、本発明の理解を容易とするため、特定の数値条件などを例示して説明するが、本発明はこれら特定の条件にのみ限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で任意好適な設計の変更及び変形を行うことができる。
【0027】
本実施例では、摩擦帯電するための短繊維の組合せとして、市販のポリプロピレン繊維である「ダイワボウ PN805」(大和紡績(株)製,商品名:繊度2デニール,繊維長51mm)を用いると共に、無機系溶媒で紡糸された市販のアクリル系繊維の一例として、塩化亜鉛水溶液で紡糸された「ベスロン W241B」(東邦レーヨン(株)製,商品名:繊度2デニール,繊維長51mm)を用いた。また、メルトブロー繊維を形成するため、市販のポリプロピレンペレット(MI=60)を用いた。以下、測定に供した各サンプルの調製について具体的に説明する。
【0028】
実施例
本実施例として、前述した図1に示す形態を採用した。まず、前述した市販のポリプロピレンペレットによって平均繊維径8μmのメルトブロー繊維21を吐出させると共に、前述したポリプロピレン繊維とアクリル系繊維とを重量比4:6で混綿、清浄化した後に開繊機23にかけて吹き飛ばし、メルトブロー繊維とこれら短繊維との重量比が1:3であり、面密度が約320g/m2(1m2当たりメルトブロー繊維80g、上述の重量比で摩擦帯電された短繊維240gを含む)、見掛け厚さが30mmの実施例に係る摩擦帯電型不織布15を得た。
【0029】
比較例1
上述したポリプロピレンペレットによって、平均繊維径8μm、面密度80g/m2、厚さ1mmのメルトブロー不織布を得た。また、上述した実施例と同条件で混綿、清浄化された短繊維を通常のカード機にかけて帯電させ、ニードルパンチ法によって針密度100本/cm2で絡合させることにより補助的に帯電させ、面密度240g/m2、見掛け厚さ3.5mmの帯電不織布を得た。これら2枚の不織布をシールすることなく重ねることによって、未帯電の緻密なメルトブロー不織布を備えた構造の比較例1に係る摩擦帯電不織布を得た。
【0030】
比較例2
また、ポリプロピレン繊維のみを清浄化することなくカード機にかけてウエブ形成し、これと上述したメルトブロー不織布を重ねて調製したことを除いては比較例1と同様な、比較例2に係る積層型の不織布を得た。
【0031】
続いて、これら不織布に関し、圧力損失及び捕集効率を評価するに当たって、防じんマスクに適用されている「防じんマスクの規格」(昭和63年労働省告示第19号)第6条に記載される試験方法に準じて行った。まず、粉塵の通過面積が直径85mmの円形となるように各サンプルを所定形状に裁断して測定試料とし、規定の測定装置に装着した。続いて、粒径が2μm以下の石英を粉塵として用い、粉塵濃度が30mg/m3、かつ流量を30L/分(0.03m3)として測定試料上流側から供給し、測定試料上流側及び測定試料下流側の粉塵量を光散乱式粉塵濃度計で測定した。尚、測定した3サンプルは何れも表裏を有するが、実施例においては短繊維層13が、比較例1においては帯電不織布が、また比較例2においてはポリプロピレン繊維を用いたニードルパンチ不織布が、各々測定試料上流側となるように測定を行った。この測定結果は、供給された粉塵量に対して下流側で観測された粉塵量の割合(下流側粉塵量/供給粉塵量)を捕集効率(%)とし、経時的に記録した。さらに、各測定点での圧力損失は、測定試料上流側と測定試料下流側での圧力差をマノメーターで測定し記録した。これら結果について、図を参照して説明する。
【0032】
まず、図4は粉塵堆積量(mg)を横軸に採ると共に、捕集効率(%)を縦軸にとって示す捕集効率に関わる特性曲線図である。この図4から理解できるように、捕集効率は実施例に係るサンプルの方が優れるものの、相対的に、これら2つのサンプルの間で大きな捕集効率の差は認められなかった。また、比較例2に係るサンプルでは、帯電された短繊維を含まないことから極めて低い捕集効率しか実現できなかった。比較例2の測定結果に関する図4へのプロットは省略するが、例えば粉塵堆積量が2(mg)の時点での捕集効率は約95%、40(mg)の時点で98%、80(mg)の時点で98.5(%)であった。この結果から、比較例2では粉塵が捕集されるに従って捕集効率が徐々に向上する、所謂、メカニカル濾過作用を示すものの、摩擦帯電した短繊維を含む実施例及び比較例1に比べて捕集効率の点で劣ることが判った。
【0033】
また、図5は縦軸に圧力損失(Pa)を採ったことを除いては、図4と同様に示す圧力損失に関わる特性曲線図である。図4の結果から、捕集効率自体に大きな差が認められない実施例並びに比較例1に係るサンプルの間であっても、実施例に係るサンプルでは比較例に比べて1/3から1/5といった、極めて低い圧力損失を実現することができた。また、これら2つのサンプルに比べて捕集効率に劣る比較例2においては急激に圧力損失が上昇し、前述のメカニカル濾過状態にあることが認められた。
【0034】
これら図4及び図5の測定結果から明らかなように、本発明の要旨である、繊維混合層を含む構成を適用することによって、メルトブロー不織布を用いた場合に比べて、優れた捕集効率を損なうことなく、圧力損失の低減を実現することができた。
【0035】
【発明の効果】
上述した説明から明らかなように、本発明の摩擦帯電型不織布の主たる構成によれば、メルトブロー繊維と清浄な短繊維で構成され、かつ少なくともこの短繊維が摩擦帯電されると共に、上記メルトブロー繊維と上記短繊維とが混合された繊維混合層を含むことを特徴としている。このような構成を採用することによって、優れた捕集効率を確保し、かつ、圧力損失低減を図ることが可能な摩擦帯電型不織布を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な形態を説明するため、不織布の概略断面により示す説明図、
【図2】 本発明の他の好適な形態を説明するため、図1と同様に示す説明図、
【図3】 本発明の好適な形態の説明に供する製造工程図、
【図4】 本発明の実施例を説明するため、捕集効率の測定結果を示す特性曲線図、
【図5】 本発明の実施例を説明するため、圧力損失の測定結果を示す特性曲線図。
【符号の説明】
11:繊維混合層、13:短繊維層、15,17:摩擦帯電型不織布、
19:(メルトブロー用)ダイ、21:メルトブロー繊維、23:開繊機、
25:短繊維、27:捕集体。
Claims (2)
- メルトブロー繊維と、帯電を妨げる添加剤が非イオン性界面活性剤、アルカリ性水溶液、またはアルコールによって洗浄除去された清浄な短繊維とで構成され、かつ、少なくとも前記短繊維が摩擦帯電されると共に、該メルトブロー繊維と摩擦帯電された清浄な短繊維とが混合された繊維混合層を含んでなり、当該清浄な短繊維を、ポリオレフィン系繊維と無機系溶媒によって紡糸されたアクリロニトリル系繊維としてなることを特徴とする摩擦帯電型不織布。
- 前記メルトブロー繊維と前記摩擦帯電された短繊維とが混合された繊維混合層と、前記摩擦帯電された短繊維層とが連続的に積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の摩擦帯電型不織布。
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