JP3703019B2 - 部品入れ容器の種類選択処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の部品を包装する容器のうち最適容器の種類を選択する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の部品等は、従来段ボール容器に収納されるのが一般的であり、ときに特定の部品については半永久的に使用できるような頑強な容器に収納されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし段ボール容器は1回使用されれば廃棄される使い捨て容器であり、部品の年間需要数に基づき年間費用が決まっており、段ボール容器を採用する限り更なる採算性の向上は図れない。
【0004】
一方半永久的に使用できるような頑強な容器は高価であり、半永久的に使用できても部品自体が製品のモデルチェンジなどで形状が変更されれば使用できなくなり、経済的でない。
【0005】
部品によっては単価が段ボール容器より高くても所定回数の繰り返し使用が可能な容器を用いた方がある期間に亘ると安価となり、部品形状の変更を考慮すると半永久使用容器より経済的である場合がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、部品によって最も採算性に優れた最適容器の種類を選択できる部品入れ容器の種類選択処理装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するために、本請求項1記載の発明は、一部品に対する使い捨て容器以外の各種容器について試作容器単価、1回当りの容器回収費、年間購入回数、耐用年数、年間需要数を設定し各種演算に供する演算制御手段(2)と、耐用年数が1年未満の容器について前記年間需要数と前記年間購入回数と前記試作容器単価に基づいて年間容器購入費を算出する年間容器購入費演算手段( 11 )と、前記年間需要数と前記容器回収費と前記年間購入回数に基づいて年間容器回収費を算出する年間容器回収費演算手段( 12 )と、前記年間容器購入費と前記年間容器回収費に基づき耐用年数が1年未満の容器の所定年間の合計費用を算出する合計費用演算手段( 13 )と、他方耐用年数が1年以上の容器について前記年間需要数と前記試作容器単価に基づいて初年度容器購入費を算出する初年度容器購入費演算手段( 21 )と、前記年間需要数と前記試作容器単価と年間補充率に基づき次年度容器購入費を算出する次年度容器購入費演算手段( 22 )と、前記年間需要数と前記容器回収費に基づいて年間容器回収費を算出する年間容器回収費演算手段( 23 )と、前記初年度容器購入費と前記次年度容器購入費と前記年間容器回収費に基づき耐用年数が1年以上の容器の所定年間の合計費用を算出する合計費用演算手段( 24 )と、使い捨て容器の所定年間の合計費用を記憶する使い捨て容器合計費用記憶手段( 30 )と、前記各演算手段により算出された各種容器の所定年間の合計費用と前記使い捨て容器合計費用記憶手段( 30 )が記憶している使い捨て容器の所定年間の合計費用のうち最低費用の最適容器の種類を選択する容器種類選択手段(3)とを備えたコンピュータにより処理する部品入れ容器の種類選択処理装置とした。
【0007】
使い捨て容器以外の各種容器について所定年間の合計費用を算出でき、使い捨て容器の所定年間の合計費用を含めて互いに比較して最低費用の最適容器の種類を選択することができる。
【0008】
したがって所定年間の合計費用を比較することで、使い捨て容器よりも採算性が良く、半永久的に使用できる容器よりも経済的な容器の種類を見出すことが可能である。
なお演算結果から部品によっては使い捨て容器が最も費用がかからず最適容器である場合もある。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の部品入れ容器の種類選択処理装置において、前記部品は自動車部品であり、前記所定年間は1年目から6年目までの6年間であることを特徴とする。
【0010】
自動車のモデルチェンジは、通常3〜4年周期で実施され、自動車部品の過去の稼動減衰率を調べると5年目以降に急激に下がる傾向にある。
そこで新規部品の最初に購入した1年目から稼動減衰率が急激に下がりはじめた年の次の6年目までの6年間の容器にかかる費用が、自動車部品の容器における最も現実に則した費用を示す。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の部品入れ容器の種類選択処理装置において、前記年間補充率は0.03であることを特徴とする。
【0012】
耐用年数が1年を越える容器について、次年度までに破損などして補充を必要とする割合である年間補充率は、過去の実績の平均から0.03(3%)とすることが現実的である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1ないし図3に基づき説明する。
本実施の形態に係る部品入れ容器の種類を選択する作業は、自動車部品の容器に適用したものであり、コンピュータ1により実行される。
【0014】
コンピュータ1による制御系の機能ブロック図を図1に示す。
コンピュータ1は、演算制御手段2が入力手段5から各種データを入力して各演算手段に所要データを送って制御している。
【0015】
入力手段5による入力データは、ある自動車部品の各種容器についての試作容器単価u,1回当りの回収費r,年間購入回数n,耐用年数y,年間需要数D等である。
【0016】
演算手段には、耐用年数が1年未満の容器について年間容器購入費Cを算出する年間容器購入費演算手段11,年間容器回収費Rを算出する年間容器回収費演算手段12およびこれらの演算結果に基づく所定年間(6年間)の合計費用Zを算出する合計費用演算手段13があり、耐用年数が1年以上の容器については初年度容器購入費C1を算出する初年度容器購入費演算手段21,次年度容器購入費C2を算出する次年度容器購入費演算手段22,年間容器回収費Rを算出する年間容器回収費演算手段23およびこれらの演算結果に基づく所定年間(6年間)の合計費用Zを算出する合計費用演算手段24がある。
【0017】
以上の各演算手段11,12,13,21,22,23,24によりある部品の各種容器(使い捨て容器以外の容器)について合計費用を算出する。
またコンピュータ1は、使い捨て容器(段ボール容器)の単価および所定年間(6年間)の合計費用Zを記憶する使い捨て容器合計費用記憶手段30を備えている。
【0018】
さらにある部品の各種容器についてそれぞれ算出した合計費用Zと使い捨て容器合計費用記憶手段30が記憶している使い捨て容器の合計費用Zのうちで最も費用の小さい容器の種類を選択する容器種類選択手段3を有し、以上の演算結果を表示手段6に表示させる表示制御手段4を有する。
【0019】
以上の制御系により所定年間(6年間)の合計費用Zを算出する演算作業手順を図2のフローチャートに示し、同フローチャートに従って説明する。
まずある容器についての試作容器単価u,1回当りの回収費r,年間購入回数n,耐用年数y,年間需要数Dを入力に従って設定する(ステップ1)。
【0020】
次いで設定された耐用年数yが1年未満か否かを判別し(ステップ2)、1年未満ならばステップ3に進み、年間容器購入費演算手段11により年間容器購入費Cを算出する。
【0021】
耐用年数1年未満の容器について年間容器購入費Cは、年間需要数Dを12で除算した月間需要数に年間購入回数nと試作容器単価uとを乗算して求めることができる。
すなわち年間容器購入費C=(D/12)・n・uである。
【0022】
次のステップ4では年間容器回収費演算手段12により年間容器回収費Rを算出する。
年間容器回収費Rは、年間需要数Dに1回当りの回収費rと年間の回収回数の比率(1−n/12)を乗算して求める。
【0023】
すなわち年間容器回収費R=D・r・(1−n/12)である。
ここに年間12か月のうち年間購入回数n以外の月数(12−n)の12か月に対する割合(12−n)/12=1−n/12が年間の回収回数の比率である。
【0024】
自動車のモデルチェンジは、通常3〜4年周期で実施され、自動車部品の過去の稼動減衰率を調べると5年目以降に急激に下がる傾向にあるので、自動車部品については最初に購入した1年目から稼動減衰率が急激に下がりはじめた年の次の6年目までの6年間の容器にかかる合計費用Zを次のステップ5で算出する。
すなわち前記ステップ3,4で算出した年間容器購入費Cと年間容器回収費Rとから合計費用Z=6C+6Rである(ステップ5)。
【0025】
以上のように耐用年数yが1年未満の容器についてはステップ3,4,5にしたがって6年間の合計費用Zが算出される。
【0026】
耐用年数yが1年以上の容器についてはステップ2で判別されてステップ6に進む。
ステップ6では、初年度容器購入費演算手段21により初年度容器購入費C1を算出する。
【0027】
耐用年数1年以上の容器については容器の回収分を考慮して年間購入回数nが2として、初年度容器購入費C1は、月間需要数(D/12)に年間購入回数2と試作容器単価uとを乗算して求めることができる。
すなわち初年度容器購入費C1=(D/12)・2・uである。
【0028】
次のステップ7では次年度容器購入費演算手段22により次年度容器購入費C2を算出する。
耐用年数1年以上の容器の次年度容器購入費C2は、破損した容器の補充費用に相当し、初年度容器購入費C1に年間補充率を乗算して算出する。
【0029】
年間補充率は、過去の実績の平均から0.03(3%)とする。
したがって次年度容器購入費C2=(D/12)・2・u・0.03である。
【0030】
そして次のステップ8では、年間容器回収費演算手段23により年間容器回収費Rを算出する。
耐用年数1年以上の容器の年間回収費用は、容器を新規購入した月は回収不要ということで、年間1か月分が除いた年間比率11/12を、年間需要数Dと1回当りの回収費rの積に乗算する。
すなわち年間容器回収費R=D・r・(11/12)である(ステップ8)。
【0031】
以上の初年度容器購入費C1,次年度容器購入費C2,年間容器回収費Rを算出した処で、ステップ9に進み容器の耐用年数yが2年未満か否かが判別され、2年未満ならばステップ10に進み、毎年初年度容器購入費C1と年間容器回収費Rがかかることから6年間の合計費用Z=6C1+6Rが算出される。
【0032】
耐用年数yが2年以上の場合はステップ9からステップ11に進み、容器の耐用年数yが3年未満か判別され、3年未満ならばステップ12に進み、6年間の合計費用Z=3C1+3C2+6Rが算出される。
【0033】
すなわち耐用年数yが2年以上3年未満の容器については、初年度容器購入費C1と次年度容器購入費C2が6年間に3回ずつかかるので、6年間の合計費用Z=3C1+3C2+6Rとなる。
【0034】
耐用年数yが3年以上の場合はステップ11からステップ13に進み、容器の耐用年数yが6年未満か判別され、6年未満ならばステップ14に進み、6年間の合計費用Z=2C1+4C2+6Rが算出される。
【0035】
すなわち耐用年数yが3年以上6年未満の容器については、初年度容器購入費C1を2回払えば、後の4回は次年度容器購入費C2を払うことで6年間の容器購入費が賄えるので、6年間の合計費用Z=2C1+4C2+6Rとなる。
【0036】
耐用年数yが6年以上の場合はステップ13からステップ15に進み、6年間の合計費用Z=C1+5C2+6Rが算出される。
すなわち耐用年数yが6年以上の容器については、初年度容器購入費C1を1回払えば、後の5回は次年度容器購入費C2を払うことで6年間の容器購入費が賄えるので、6年間の合計費用Z=C1+5C2+6Rとなる。
【0037】
以上のようにして各種容器について6年間の合計費用Zが算出される。
一方、自動車の部品入れ容器として現行の段ボール容器は、使い捨てであり、収納する部品によって容器の単価は既知であり、年間需要数を乗算すれば年間段ボール容器購入費が算出され、6年間の合計費用はその6倍である。
【0038】
こうして求められた段ボール容器の6年間の合計費用は、使い捨て容器合計費用記憶手段30に記憶されている。
使い捨てでなく何回か使用可能な各種容器については前記フローチャートに従った演算により6年間の合計費用を算出し、段ボール容器の合計費用も含めて比較して最低費用の最適容器の種類を選択することができる。
【0039】
実際のいくつかの自動車部品について通常の段ボールをより強化した黒段容器(黒段ボール容器)と化学強化容器(段ボールに化学処理を施し強化した容器)とPP容器(樹脂製容器)の3種類の容器の費用を演算し、段ボール容器とも比較してみる。
【0040】
年間購入回数は、黒段容器が6回、化学強化容器が3回で、PP容器が2回であり、耐用年数は黒段容器と化学強化容器が1年未満であるのに対して、PP容器は6年以上である。
【0041】
図3の表1に需要数の大きい順に部品番号1番から11番までの各部品の需要数(年間,月間)、試作容器単価(黒段容器,化学強化容器,PP容器)、1回当りの容器回収費を表示している。
試作容器単価は、黒段容器,化学強化容器,PP容器の順に高くなっている。
1回当りの容器回収費は、部品や容器の種類によらず一律400円である。
【0042】
この3種の容器について年間容器購入費C,C1,C2および年間容器回収費Rを算出した結果を図3の表2に示す。
そしてこの年間容器購入費C,C1,C2と年間容器回収費Rをもとに3種の容器について6年間の合計費用Zを算出した結果を示したものが図3の表3である。
【0043】
表3には、比較のため現行の使い捨て段ボール容器の単価、年間購入費、合計費用(6年間)も同時に示している。
図3の表3をもとに黒段容器,化学強化容器,PP容器に段ボール容器を加えた4種類の容器について6年間の合計費用を比較した棒グラフを図4に示す。
【0044】
需要数の全般に亘る部品番号1番から11番までの全ての部品について、黒段容器,化学強化容器,PP容器の順に費用がかからず、特にPP容器は段ボール容器を含めても常に低コストであり、6年以上の耐用年数を有するPP容器が単価は高いものの6年間の合計費用をみると、最も採算性に優れていることが分かる。
【0045】
このPP容器を除いて3種の容器について比較すると、部品番号1番から4番,8番から10番の部品については化学強化容器が低コストであるが、それ以外の部品番号5番から7番および11番の部品については、現行段ボール容器の方が採算性が良い。
【0046】
以上のように自動車部品の上記に挙げた11種の部品については、最も現実に則した6年間の合計費用を黒段容器,化学強化容器,PP容器の3種の容器について演算して算出することができ、現行段ボール容器の合計費用も含めて比較して、11種全ての部品についてPP容器が最も採算性に優れていることを知ることができる。
【0047】
このように部品入れ容器の製作用費用の効率向上が測れ、コストの削減を達成できる。
作業員は、入力手段5により試作容器単価などの値を入力する簡単なマニュアル化された作業を行えばよい。
【0048】
したがって部品形状の変更における容器へのフレキシブルな対応が可能となり、搬送・保管時の部品品質の精度向上を図ることができる。
最適な部品入れ容器の選択作業を標準化でき、該作業をより幅広い人員により実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る部品入れ容器の種類選択方法のコンピュータによる制御系の機能ブロック図である。
【図2】同制御系による演算作業手順を示すフローチャートである。
【図3】一実施例について同フローチャートに従って算出した結果を示す表である。
【図4】同実施例の6年間の合計費用をグラフ化した図である。
【符号の説明】
1…コンピュータ、2…演算制御手段、3…容器種類選択手段、4…表示制御手段、5…入力手段、6…表示手段、
11…年間容器購入費演算手段、12…年間容器回収費演算、13…合計費用演算手段、
21…初年度容器購入費演算手段、22…次年度容器購入費演算手段、23…年間容器回収費演算手段、24…合計費用演算手段、
30…使い捨て容器合計費用記憶手段。
Claims (3)
- 一部品に対する使い捨て容器以外の各種容器について試作容器単価、1回当りの容器回収費、年間購入回数、耐用年数、年間需要数を設定し各種演算に供する演算制御手段(2)と、
耐用年数が1年未満の容器について前記年間需要数と前記年間購入回数と前記試作容器単価に基づいて年間容器購入費を算出する年間容器購入費演算手段( 11 )と、
前記年間需要数と前記容器回収費と前記年間購入回数に基づいて年間容器回収費を算出する年間容器回収費演算手段( 12 )と、
前記年間容器購入費と前記年間容器回収費に基づき耐用年数が1年未満の容器の所定年間の合計費用を算出する合計費用演算手段( 13 )と、
他方耐用年数が1年以上の容器について前記年間需要数と前記試作容器単価に基づいて初年度容器購入費を算出する初年度容器購入費演算手段( 21 )と、
前記年間需要数と前記試作容器単価と年間補充率に基づき次年度容器購入費を算出する次年度容器購入費演算手段( 22 )と、
前記年間需要数と前記容器回収費に基づいて年間容器回収費を算出する年間容器回収費演算手段( 23 )と、
前記初年度容器購入費と前記次年度容器購入費と前記年間容器回収費に基づき耐用年数が1年以上の容器の所定年間の合計費用を算出する合計費用演算手段( 24 )と、
使い捨て容器の所定年間の合計費用を記憶する使い捨て容器合計費用記憶手段( 30 )と、
前記各演算手段により算出された各種容器の所定年間の合計費用と前記使い捨て容器合計費用記憶手段( 30 )が記憶している使い捨て容器の所定年間の合計費用のうち最低費用の最適容器の種類を選択する容器種類選択手段(3)とを備えたことを特徴とするコンピュータにより処理する部品入れ容器の種類選択処理装置。 - 前記部品は自動車部品であり、前記所定年間は1年目から6年目までの6年間であることを特徴とする請求項1記載の部品入れ容器の種類選択処理装置。
- 前記年間補充率は0.03であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の部品入れ容器の種類選択処理装置。
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