JP3701874B2 - 配管寸法測定システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体曲げ加工された配管の寸法測定システムに係り、特に原子力発電プラントや火力発電プラントなどにおける配管の寸法計測に好適な寸法測定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電プラントや火力発電プラントなどの大型のプラント設備では、その容量にもよるが、一般に大径の管による大規模な立体配管路の設置を要し、しかも、その曲げ部分が立体的になっていることもあり、従って、プラント設置の現場での管材の曲げ加工は極めて困難である。
【0003】
そこで、配管に必要な管路を、立体的な曲げ加工を要する曲げ管部分と、直線のままの部分に分け、曲げ管部分については、予め工場などで曲げ加工して曲管とした上で設置箇所に運び込み、同じく予め所定の長さに加工してある直管と接合して、必要な配管路を作成するという工法が広く採用されている。
【0004】
ここで、これら直管や曲管を作成し用意することを、配管組み立ての下拵え作業というが、このとき、立体曲げ加工された曲管については、その寸法測定が不可欠であり、従って、配管組み立ての下拵え作業には、この寸法測定も含まれている。
【0005】
ところで、この配管組み立ての下拵え作業における寸法測定について、従来技術では、高周波ベンダやコールドベンダなどの曲げ加工装置で2回以上曲げ加工を行った曲管に対して、設計値との比較による寸法検査と、設計指示されている開先位置の製品へのケガキ(罫がき)作業、両端の余長部が長い場合での余長部の切断加工を行った後、開先加工を行っている。
【0006】
ここで、この従来技術による寸法検査では、曲げ加工終了後の曲管の直管部分の長さと曲げ角度を、作業員が作業盤上でスケールなどの計測具を用い測定し、指定寸法及び曲げ角度が、配管施工図に図示してある公差内に収まっているか否かを判定するものである。
【0007】
以下、この曲管のことを単に配管というが、以上のようにして、寸法検査に合格した配管(曲管)は、配管施工図に図示された開先加工面に対応する曲管表面の複数点に、ケガキ針によるケガキ作業が施こされるが、このケガキ作業に際しては、据付時の曲げ角度誤差が吸収できるような開先面の設定を実施する。
【0008】
また、このとき開先加工位置までの余長部がかなり長い場合には、開先加工時間を短縮するため、予め余長部が適切な長さになるように切断した後、開先加工機にケガキを基準にしてセットし、開先加工作業を行うのが一般的である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、配管組み立ての下拵え作業における寸法検査とケガキ位置の測定が手作業に依存している点に配慮がされておらず、作業工数が多く製作リードタイムの短縮が困難であるという問題があった。
すなわち、従来技術では、寸法検査とケガキ位置の測定が定盤上での手による作業であることから、多くの作業工程を要する上、大きな誤差を伴い易い。
【0010】
また、検査記録も全て手作業になっていることから、記録の転記にも多大の工数を必要とし、このとき誤記の有無のチェックも必要となり、それらが製作リードタイムの短縮についての隘路事項になってしまうのである。
【0011】
また、このように、手作業であることから、曲げ角度誤差の吸収に必要な開先面の補正作業についての精度もそれほど期待できず、実際の据付時に接続される配管の取り合い位置が大きくずれてしまうという課題を有しており、そのため据付現場における計画の見直しなど変更処理業務が発生し、これも従来技術での配管据付工程を遅延させる要因の一つとなっている。
【0012】
本発明の目的は、寸法検査、ケガキ位置の指定作業を自動化することで、作業時間を大幅に短縮でき、製品の品質と安全性の向上に寄与できる配管寸法測定システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、測定対象配管の表面をレーザ光で走査して、該測定対象配管の3次元モデルを作成する手段と、前記3次元モデルの表面位置データを設計データと照合し、前記測定対象配管の曲げ角度、長さが設計公差内に収まっているのかを検証する手段と、設定された配管の開先面輪郭の位置データと前記配管の表面位置データから、前記配管の開先面上で且つ当該配管表面上の点の方向を算出し、その位置に向けてレーザ光を照射する手段とが設けられていることにより達成される。
【0014】
このとき、前記測定対象配管の直管部分の長さを設定する手段と、前記測定対象配管の両端の開先面の向きを設計された開先面に適合させる手段とを設け、前記開先面の面間距離を設計値に一致させるようにしてもよい。
【0015】
また、このとき、現地で据付けた配管の取合い面を測定する手段と、前記開先面の面間距離と当該開先面の向きが現地の取合いに一致するように配管開先面の設定をする手段とが設けられているようにしてもよい。
【0016】
こ結果、例えば、本発明では、配管の寸法測定にレーザを用いた形状測定装置を用い、レーザ測定により得られた配管モデルの寸法と、設計データベースから引き出した設計情報を比較し、測定した配管の寸法が設計情報との公差内にあるかを判定する装置により構成され、自動で配管の寸法検査を実施することが特徴とする。
【0017】
また、本発明では、立体曲げ加工後の配管をレーザ光測定装置により配管表面の点を測定し、数値制御部において配管の直管部長さと曲げ角度を算出した結果が、測定寸法が設計データベースなどに持っている設計寸法の公差内にあるかどうかを判定し、検査結果を電子データとして出力することができるため、検査記録の記入作業、管理作業の合理化が可能となる。
【0018】
次に、本発明では、上記で問題のなかった配管について、曲げ加工後の配管両端の、開先面の面間寸法が設計値の面間寸法とできるだけ一致するように直管部長さを適切に補正し、開先面の向きについては、両端の開先面が設計値の取り合いにフィットするような面の設定する手段を備えることを特徴とし、この結果、曲げ加工で生じた加工誤差を補正して、据付時に取合い面とフィットするような開先面を設定することが可能となる。
【0019】
更に、本発明では、設定する開先面の面間寸法と開先面の向きを設計値と合致させるのではなく、現地で施工した配管の取合い面の面間寸法と開先面の向きを測定した結果と合致させる手段を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、現地での据付作業が進捗し、当該曲げ管の両端が決定した状態で、据付誤差を持った取合い面に対してフィットするような、適切な開先面を設定することが可能となる。
【0021】
また、本発明では、開先面の輪郭線上の、任意の複数点の位置を算出し、その位置に向けてレーザ光を照射する演算処理装置をもつことを特徴とする。
本発明によれば、開先面にある配管表面上の点に向けてレーザが照射されるので、レーザの位置に合わせてケガキすることで、開先面を指示するためのケガキを正確かつ迅速に行うことが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による配管寸法測定システムについて、図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を設置して測定状態にした場合の一例を示したもので、ここで、1が測定対象である配管(曲管)で、例えば図示のように立体曲げ加工されているものである。
【0023】
次に、2はレーザ測定装置で、レーザ光の照射部と受光部を備え、走査機構3により矢印Hで示す水平方向と矢印Vで示す垂直方向に動かされ、レーザ光照射イメージ10で示すように、配管1にレーザ光を照射し、レーザ測定装置2から配管1の表面の各測定点までの距離を計測する。
このとき、レーザ測定装置2と走査機構3は、ネットワーク4を介して、演算処理装置5により制御される。
【0024】
そして、レーザ測定装置2の走査方向を表わす情報と、レーザ測定装置2から得られた配管1の表面の各測定点までの距離を表わす情報は、ネットワーク4を介して演算処理装置5に送られ、ここで配管1の円筒と中心線を持つ3Dモデルが得られる。
【0025】
このとき、演算処理装置5では、計測された配管1の寸法と、設計データベース6からLAN7を介して引き出された当該配管の設計寸法を比較し、公差内に収まっているのかを検証する。そして、検査結果はプロッタ8により出力することができる。
【0026】
この後、演算処理装置5は、寸法検査によって得られた寸法と、設計寸法、又はプラントなどの現地に据付け済みの配管(アズビルト配管と呼ばれることもある)情報とから適切な開先面を演算し、配管1の該当する開先面に向けてレーザ光が照射できるようにするため、この開先面の演算結果に基づいて、走査機構3に走査方向を制御する信号を供給し、レーザ測定装置2から配管1にレーザ光を照射し、レーザ光点を該当する開先面位置に映出させる。
【0027】
図2は、上記のようにして計測され、得られた立体曲げ配管の寸法データを表わすモデル1Mを示したものであるが、ここで、配管1の寸法検査で得られる値として、図示のような2回曲げ配管の場合は、各直管部分の長さL1、L2、L3と、各曲げ部分の角度θ1、θ2、θ3がある。
【0028】
このとき、通常のプラント用では、曲げ加工後の配管の両端部に開先加工を施すのが通例なので、その端部12は長めに作られており、このため、曲げ加工後の寸法検査で重要になるのは、長さL2と角度θ1、θ2、θ3である。
【0029】
ここで、この図2は、配管の測定によって得られた、レーザ測定装置2からの距離と、走査機構3による照射方向のデータから、演算処理装置5の処理によって、配管表面の計測点の座標が得られ、計測点を走査することによって得られる配管表面上の点座標の集合(クラウド)から、前述の寸法データを得るための解説図である。
【0030】
ところで、図2に示した各々の長さL1、L2、L3と角度θ1、θ2、θ3を求めるためには、レーザ測定装置2から見渡せる配管1の全面を計測する必要はなく、直管部分の代表区間▲1▼と▲2▼、▲3▼の3箇所と、端面の部分▲4▼と▲5▼を測定すればよい。
【0031】
すなわち、直管部分の代表区間▲1▼、▲2▼、▲3▼のクラウドから、グローバル誤差最小化法を用い、それらを最もよく近似する円筒のモデルを算出することにより、まず、円筒の中心軸のなす角度θ1、θ2、θ3と、長さL2を求めることができ、次に、端面12と円筒の中心軸の交点から円筒中心軸上にある配管の端点を決定し、それらの結果から長さL1、L3を得ることができる。
【0032】
図3は、このときの本発明の実施形態による寸法検査の作業フローを示したもので、まず、寸法測定を行う配管を定盤上に固定し(ステップS1)、配管を効率よく測定できる位置にレーザ測定装置2を設置する(ステップS2)。
【0033】
次に、レーザ測定装置2に所定の較正作業(キャリブレーション)を施し(ステップS3)、その後、配管の寸法計測を行う(ステップS4)。そして、計測した測定データはネットワーク4を介して演算処理装置5に供給される。
【0034】
演算処理装置5では、入力された測定データに基づいてクラウドを得、近似円筒からなる3次元モデルを算出し、配管の軸の像を得ることにより、配管の寸法である長さL2と角度θ1、θ2、θ3を求める(ステップS5)。
【0035】
次いで演算処理装置5は、LAN7を介して、3次元設計データベース6から各データL2、θ1、θ2、θ3の設計値を引き出し、計測寸法が予め設定してある設計値の公差内に収まっているか否かを判定する(ステップS6)。
【0036】
ここで、計測寸法が設計値の公差内に収まっていたときは、次のステップに進み、計測寸法が設計の公差内に収まっていない場合は、当該配管の再生が指示が出される(ステップS7)。また、このときの計測結果と判定結果は、何れの場合もプロッタ8により出力され(ステップS7)、検査記録として残される。
【0037】
寸法計測の結果、公差内に収まっていた配管については、測定データと配管設計寸法のデータをもとに開先面の位置と、その方向の設定演算を行い(ステップS8)、開先面の位置が設定されたら、開先面と配管表面の交線(開先加工線)上に任意の数点を設定し(ステップS9)、それらの点にレーザ光を照射させるのに必要な走査方向の演算を行う(ステップS10)。
【0038】
そして、レーザ測定装置2によるレーザ光の照射方向を制御し、その方向に向けてレーザ光を照射し、レーザ光が配管1に当り、光点が現われている位置に合せてケガキを実施する(ステップS11)のである。
これらのステップS9、S10、S11の作業を数回繰り返し、開先加工位置がケガキされた配管1は、次の程に送られることになる。
【0039】
ところで、以上は、プラントなどに新たに配管を行う場合であるが、上記したアズビルト配管の開先面に、適合(フィット)させるべき配管1の開先面を指定する場合は、基本的には上記の場合と同じであるが、この場合は、ステップS2、S3、S4、S5と同じ作業を現地で行うようにする。
【0040】
つまり、この場合は、現地にあるアズビルト配管の、対象配管1と取合う両端面がよく見える位置に、レーザ測定装置2などの3次元測定装置を設置し(ステップS12)、較正した後(ステップS13)、取合い両端面付近の3次元測定を実施する(ステップS14)のである。
【0041】
そして、これにより、まず、アズビルト配管の端部のモデルを作成し(ステップS15)、次いで、この端部のモデルに基づいて仮の設計モデルを作成(ステップS16)する。そして、この後、この仮の設計モデルをベースにして、曲げ管の開先面の設定を行うのである。
従って、この場合も、ステップS16以降は、上記のステップS8からステップS11の処理により開先面の設定を行うことになる。
【0042】
次に、この実施形態において、計測された曲管モデル1Mの寸法測定値から開先面の位置と方向を求める方法について、図4により説明する。
まず、ここでは、曲管寸法の設計値を表すため、端部の開先加工を行う面と配管の中心軸の交点をA、この交点Aから最初の曲げ部の仮想交点をB、第2の曲げ部の仮想交点をC、交点Aと反対の開先加工を行う面と、配管の中心軸の交点をDとする。
【0043】
次に、配管の寸法測定を行った結果、得られる3次元モデルの、設計値に対応する点をそれぞれ、A1、B1、C1及びD1とする。ここで、寸法検査に合格した配管に対して各点A1、D1の位置を決定する必要がある。
【0044】
また、配管の据付時に要求される主要寸法として、取り合い点となる面間寸法ADがあり、開先位置を決定するときは、これを可能な限り設計値に一致させる必要がある。
【0045】
また、取り合い位置A1、D1を決定する方法としては、AD=A1D1で、且つAB:A1B1=CD:C1D1となるように、各点を設定する方法があるが、この場合は、直管部長さA1B1及びC1D1がそれぞれ許容される寸法公差内にあることを確認する必要がある。
【0046】
そして、少なくとも何れか一方が許容公差内にない場合には、面間距離A1D1を許容誤差範囲内で変化させ、A1D1≒AD、AB:A1B1=CD:C1D1で再設定し、A1B1及びC1D1が共に公差内に収まるように各点を設定する作業を繰り返し、直管部長さA1B1及びC1D1がそれぞれ許容される寸法公差内になったところでA1、B1の位置を決定する。
【0047】
次に、同じく図4を用いて、今度は開先面の向きを設定する方法について説明する。
この場合、設計値からなるモデルの各点A、B、C、Dは座標上に固定し、ここで、点A、Dでの開先面をそれぞれ平面PA、平面PDとする。このとき、通常は、AB⊥PA、DC⊥PDである。
【0048】
ここで、AD=A1D1の場合、計測によって得られたモデルをA=A1、D=D1となるように配置し、AD≠A1D1であった場合は、点A1、D1を、直線AD上で、且つA、1A=D、1Dとなるように配置する(但しA1はA側に配置する)。このとき、点B1、C1は直線A1D1を軸とした円弧RB、RC上を回転することができるだけの自由度を持っている。
【0049】
ここで、いま、点C1を、点ABCを含む平面上の、直線ADに対してC側に配置したとすると、線分DCと線分D1C1のなす角を最小値にすることができる。
通常、配管曲げ加工の角度公差は0.5°程度であるので、C1点から点Cまでの距離か最小になるように設定すれば、B1点もある程度、点Bに近い位置に配置される。
【0050】
こうして、配置位置が決まった点A1、B1、C1及びD1に対して、線分A1B1を軸とする直管と平面PAの交線及び線分C1D1を軸とする直管と平面PDの交線が、求める開先の輪郭であり、この輪郭に合せて開先加工を行えば、据付時に、配管の取合い位置と取合い開先面の角度をフィットさせることができる。
【0051】
図5は、本発明の実施形態において、開先面の位置と方向を求めるためのプログラムの一例を示すフローチャートである。
まず、レーザ測定によって得られた計測値の中の点B1、C1の座標と直線A1B1及び直線C1D1の方向を取り込む。一方、設計モデルのデータからは、の点A、B、C、Dの座標のデータを取り込む(ステップSA1)。
【0052】
次に、点A1、D1をそれぞれ計測モデルの直管部分で移動させ、A1D1=AD、AB:A1B1=CD:C1D1となる点A1、D1を設定する(ステップSA2)。
【0053】
ここで、直線A1B1と直線C1D1が共に予め設定されている設計公差内に入っている場合は、そのまま次のステップに進むが、少なくとも一方が設計公差内に入っていない場合には、点A1、D1の再設定を行う。すなわち、直線ADの設計公差より十分小さい値の角度ΔLを任意に設定し、点A1、D1を計測モデルの直管部で移動させて、A1D1=AD±nΔL(n=1、2、3、・・・)となるように設定するのである(ステップSA4)。
【0054】
これを直線A1B1とC1D1が共に予め設定された設計公差内に収まるまで繰り返し計算を行い、設計公差内に収まったところで次のステップ、すなわちステップSA5に移行する。
【0055】
このステップSA5では、次の処理を実行する。
まず、上記のステップにより得られた点A1、B1、C1、D1の座標を、適当な平行移動と回転移動をさせることにより、直線A1B1、C1D1の形状を保ったまま、点A1を点A上に、点B1を点B上に移動させる。但し、このときAB≠A1B1の場合は、点A1、B1を直線AB上で、且つ直線A1B1の中点と、直線ABの中点が一致するように配置する。
【0056】
そして、こうして移動された各点の座標をA1’、B1’、C1’、D1’とする。但し、点C1’、D1’の位置は直線ADを軸として回転可能なので、一意には決まらない。そこで、点C1’が点A、B、Cを含む平面上の点で、かつ直線ADに対してC側にあるように設定してやる。
【0057】
こうして、A1→A1’、B1→B1’、C1→C1’、D1→D1’と移動させることによって開先面を設定するための座標に、測定した3次元モデルを移動する(ステップSA5)のである。
【0058】
この座標系で、直管部の点A1’B1’と、点C1’D1’を軸とする配管1の円筒と開先平面PA、PDの交線を求めることにより、開先加工を表す曲線(楕円)が得られ(ステップSA6)、この曲線を先程の点A1、B1、C1、D1から点A1’、B1’、C1’、D1’に移した変換の逆変換により移動させることにより、求める3次元モデルでの開先面の輪郭の像を得ることができる(ステップSA7)。
【0059】
次に、図6はアズビルト配管を対象として、現地での据付状態の測定から開先面の設定を行うまでのプログラムのフローチャートである。
ここで、上記したように、アズビルト配管の3次元モデルを測定する場合、異なるのは測定対象が配管ではなく、据付けられた配管の取合い部分であるという点だけで、測定システムの配置は基本的には図1に準ずる。
【0060】
図7は、この場合の3次元計測により得られたアズビルト配管13のモデルから、仮の設計モデルを設定するための説明図で、図1に示したレーザを用いた寸法計測などの3次元計測により、現地の取合い配管の開先面の位置と、配管の軸のモデルが得られる。
【0061】
そして、この図7において、取合い部の直管の軸と開先平面の交点で、配管の設計値モデルの端点A、Dに対応する点を、夫々点A2、D2とする。
【0062】
図6に戻り、まず、上記した点A2、D2の座標と、配管の軸のデータを取り込む(ステップSB1)。
【0063】
次に、点A2、D2から、それぞれの取合い配管13の、軸の延長線上で、距離AB、CDだけ離れた点をそれぞれB2、C2とし、その座標を演算する(ステップSB2)。但し、距離AB、CDは、夫々曲管(配管1)の設計寸法から得られる。ここで、取合い配管13の開先面をPA2、PD2とするが、通常、A2B2⊥PA2、D2C2⊥PD2である。
【0064】
次に、こうして得られた点A2、B2、C2、D2の座標データと開先面PA2、PD2のデータを設計値A、B、C、Dの代りに、仮の設計モデルの座標として出力し(ステップSB3)、更に、図5のフローチャート中、ステップSA1〜SA7の処理に代入し、開先面設定のプログラムを実行させる(ステップSA4)ことにより、アズビルト配管データに適合する開先面の設定を行うことができる。
【0065】
次に、図3におけるステップS8〜ステップS11による処理について、図8を用いて説明する。
この図8において、まず14は、この実施形態において、レーザにより配管端面近辺を走査して得られた点集合、すなわちクラウドを示したものである。
【0066】
そして、このクラウド14の中から、ステップA8の処理で得られた開先面の輪郭の像15の近傍で、開先輪郭をまたいで存在する距離の近い任意の2点16を選び出し、これらの点16を結ぶ直線と開先輪郭の交点の座標を演算する(ステップS9)。
【0067】
このときの交点は、図1から明らかなように、レーザ測定装置2によるレーザの照射が可能な配管1の表面上にある点であるから、この座標点に向けてレーザ光を照射するように、演算処理5により走査角度を逆演算し(ステップS10)、走査機構3を制御し、レーザ測定装置2をその方向に向け、開先輪郭上のある1点に向けてレーザ光を照射させ、レーザ光点により指示された位置にケガキ作業を施すのである(ステップS11)。
【0068】
これらステップS9、S10、S11の処理は複数回繰り返され、開先面を指定するためのケガキが行われ、この結果、ケガキ線で開先位置が描かれた配管1を得ることができ、この後、開先加工工程に送られるのである。
【0069】
従って、この実施形態によれば、立体曲管の寸法測定が自動的に行われ、設計値との比較検査記録が出力できるので、寸法測定作業を迅速且つ正確に行うことができ、検査記録の管理の効率化が図れる。
【0070】
また、加工によって生じた曲げ角度誤差を吸収するための開先面も自動的に設定され、開先面がレーザ光点により指示されるので、ケガキ作業の精度と効率が大幅に向上される。
【0071】
次に、図9は、本発明の一実施形態による測定システムの詳細ブロック図で、図において、設計データベース6とLAN7、プロッタ8、それにネットワークーク9は、図1と同じである。
【0072】
そして、まず、この図9におけるレーザ検出器2Aとレーザ照射装置2Bが、図1のレーザ測定装置2に含まれ、鉛直面内仰角ポテンションメータ3Aと水平面内回転角ポテンションメータ3B、それにサーボモータ3Cが走査機構3に含まれている。
【0073】
また、この図9のA/D変換器5Aとインプット・ボード5B、制御用パソコン5C、演算・制御ソフト5D、アウトプット・ボード5E、それにD/A変換器5Fが、図1の演算処理装置5に含まれる。
【0074】
鉛直面内仰角ポテンションメータ3Aと水平面内回転角ポテンションメータ3Bにより検出されたレーザ光の照射方向を決める走査機構3の仰角と方位を表わす情報と、レーザ検出器2Aで検出された距離情報はA/D変換器5Aに入力され、ディジタル変換された上でインプットボード5Bを介して制御用パソコン5Cに取り込まれる。
【0075】
レーザ光検出器2Aから制御用パソコン5Cに取り込まれた波形データは、内蔵されている演算・制御ソフト5Dにより処理され、レーザ光照射装置2Bから照射点までの距離に演算された後、この距離と方位のデータから座標点に演算され、座標点の集合であるクラウドから配管の近似円筒モデルが作成される。
【0076】
また、制御用パソコン5Cは、設計データベース6からLAN7を経由して配管製作用の設計情報を取り込み、内蔵される演算・制御ソフト5Dにより、曲管寸法の測定値が設計値の公差内に収まっているかの検証を行い、ネットワークーク9を介して結果をプロッタ26に供給し、検査記録として出力させる。
【0077】
更にまた、制御用パソコン5Cは、その演算・制御ソフト5Dにより、配管寸法の測定結果から適切な開先面を演算し、開先面上の点にレーザ光を照射するために必要な制御データを出力する。
【0078】
そして、この出力データは、アウトプットボード5EからD/A変換器5Fを経由し、アナログ信号として走査機構3のサーボモータ3Cに供給され、この結果、走査機構3によりレーザ照射装置2Bからのレーザ照射方向が制御され、レーザ照射装置2Bからレーザを配管1に照射することにより、レーザ光点によるケガキ位置の指示が得られることになる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によるレーザを用いた配管寸法測定システムによれば、立体曲管の寸法測定が自動的に得られ、設計値との比較検査記録が出力できるので、寸法測定作業を迅速且つ正確に行うことができ、検査記録の管理の効率化が図れる。
【0080】
また、加工によって生じた曲げ角度の誤差を吸収するための開先面が容易に設定でき、開先面をレーザ光点により指示させることができるので、ケガキ作業の精度と効率が大幅に向上される。
【0081】
更に、開先面が現地の据付け状態に合せて設定できるので、現地での据付け精度の向上が図れ、この結果、配管組み立ての下拵え作業工数が大幅に削減され、製品の品質とコスト削減効果が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による配管寸法測定システムの一実施形態の設置状態の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態による配管の計測部位と、測定によって得られる立体曲げ配管モデルの説明図である。
【図3】本発明の一実施形態による作業処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態による開先加工位置設定処理の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態による開先面設定用プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態によるアズビルト配管のモデルから開先面を設定するプログラムのフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態によるアズビルト配管のモデルから仮の設計配管モデル設定する処理の説明図である。
【図8】本発明の一実施形態によりレーザ測定で得られた配管表面のクラウドと設定された開先面輪郭とからレーザを照射する位置を設定する処理の説明図である。
【図9】本発明の一実施形態によるシステムの一例を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
1 配管(曲管)
1M 曲管モデル
2 レーザ測定装置
3 走査機構
4 ネットワーク
5 演算処理装置
6 設計データベース
7 LAN
8 プロッタ
9 ネットワーク
10 レーザ照射イメージ
12 曲管の端部
13 アズビルト配管のモデル
14 開先面の輪郭近傍のクラウド
15 開先面の輪郭
16 開先輪郭をまたいで存在する距離の近い2点
2A レーザ検出器
2B レーザ照射装置
3A 鉛直面内仰角ポテンションメータ
3B 水平面内回転角ポテンションメータ
3C サーボモータ
5A A/D変換器
5B インプットボード
5C 制御用パソコン
5D 演算・制御ソフト
5E アウトプットボード
5F D/A変換器
V 水平面内の回転(方位)
H 鉛直面内の回転(仰角)
▲1▼、▲2▼、▲3▼ 曲管の直管部分のモデル
▲4▼、▲5▼ 曲管の端部のモデル

Claims (3)

  1. 測定対象配管の表面をレーザ光で走査して、該測定対象配管の3次元モデルを作成する手段と、
    前記3次元モデルの表面位置データを設計データと照合し、前記測定対象配管の曲げ角度、長さが設計公差内に収まっているのかを検証する手段と
    設定された配管の開先面輪郭の位置データと前記配管の表面位置データから、前記配管の開先面上で且つ当該配管表面上の点の方向を算出し、その位置に向けてレーザ光を照射する手段とが設けられていることを特徴とする配管寸法測定システム。
  2. 請求項1に記載の発明において、
    前記測定対象配管の直管部分の長さを設定する手段と、
    前記測定対象配管の両端の開先面の向きを設計された開先面に適合させる手段とを設け
    前記開先面の面間距離が設計値に一致させるように構成されていることを特徴とする配管寸法測定システム。
  3. 請求項2に記載の発明において、
    現地で据付けた配管の取合い面を測定する手段と、
    前記開先面の面間距離と当該開先面の向きが現地の取合いに一致するように配管開先面の設定をする手段とが設けられていることを特徴とする配管寸法測定システム。
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