JP3701646B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転子にリング磁石を備えた例えば小型モータ等のような回転電機に係り、特にコギングトルクの発生を抑制するためのリング磁石の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転電機においては、比較的に配向の容易な円弧状成形体を複数個円環状に組み合わせて円筒状に一体成形し、所定の磁極数に着磁することによりリング磁石を構成、又は、円弧状成形体に予め着磁を施した円弧状磁石を、回転軸の外周部の周方向に順次固着配置して所定の磁極とすることによりリング磁石を構成している(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−161512号公報(第3頁、図2)
【特許文献2】
特開平6−151159号公報(第1頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の回転電機では、比較的に配向の容易な円弧状成形体を円環状に組み合わせ、円筒状に一体成形して所定の磁極数に着磁することによりリング磁石を形成しているので、円弧状成形体個々には高い磁気特性が得られているにもかかわらず、つなぎ目の位置では、配向が不連続となり局所的に磁気特性が低下する。又、円弧状成形体に予め着磁を施した円弧状磁石を、回転軸の外周部の周方向に順次固着配置して所定の磁極数とすることによりリング磁石を形成しているので、仕上がり精度によって円弧状磁石間に隙間が生じる。そのため、コギングトルクが発生し特性に悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解消するために成されたもので、コギングトルクの発生を抑制して特性の改善を図ることが可能な回転電機を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る回転電機においては、コイルが巻回される所定の数のスロットが形成されたステータ、および回転軸の外周部に、複数の円弧状成形体を円環状に組み合わせて円筒状に一体成形し、所定の磁極数に着磁されたリング磁石が嵌合して固着されたロータを備えた回転電機において、リング磁石の円弧状成形体の数を、ステータのスロット数とリング磁石の磁極数の最小公倍数より、円弧状成形体の数とステータのスロット数の最小公倍数が大きくなるように設定したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における回転電機の構成を示す断面図、図2は図1における線II−IIに沿った断面を示す断面図、図3は図1における回転電機の要部の構成を示す断面図、図4は4極に着磁されたリング磁石を備えたロータ表面の磁束密度分布を示す特性図、図5は図1における回転電機のロータ表面の磁束密度分布を示す特性図、図6は図5における磁束密度の図4における磁束密度に対する変動分を示す特性図である。
【0008】
図において、回転電機1は枠体2に軸受3を介して支承されるロータ4、およびこのロータ4の周囲を取り囲むように枠体2に取り付けられたステータ5により構成されている。そして、このステータ5は環状の薄板部材6を積層一体化して形成され、内側に6個のスロット7が形成された積層コア部材8、および各スロット7間に巻回されるコイル9で構成されている。又、ロータ4は回転軸10、および5個の円弧状成形体12を円環状に組み合わせて円筒状に一体成形した後、4極に着磁され上記回転軸10の外周部に嵌合して固着されたリング磁石13で構成されている。
【0009】
上記のように構成される実施の形態1における回転電機のロータ表面の磁束密度分布は図5に示すようになる。そして、図6に示すようにその変動分は、図4に示すリング磁石に分割位置が存在しない回転電機のロータ表面の磁束密度との差分に相当する。
一般に、コギングトルクはロータの磁極と、ステータのスロットの吸引力の回転方向の変動として発生する。このため図6に示す変動分によりスロットの吸引力が変動し、さらにコギングトルクが増加する。
【0010】
今、仮に分割数、すなわち円弧状成形体12の個数を4とすると、スロット7の個数6と円弧状成形体12の個数4の最小公倍数である12周期のコギングトルクが、ロータ4が1回転する毎、すなわち回転角度で30゜毎に発生する。この場合、コギングトルク1周期に2箇所の分割位置が影響するため、コギングトルクは大きくなる。
【0011】
一方、上記実施の形態1におけるように、分割数、すなわち円弧状成形体12の個数を5個とすると、スロット7の個数6と円弧状成形体12の個数5の最小公倍数である30周期のコギングトルクが、ロータ4が1回転する毎、すなわち回転角度12゜毎に発生する。そしてこの場合、コギングトルク1周期に影響を及ぼす分割位置は1箇所であるため、コギングトルクを小さく抑えることができる。
勿論、円弧状成形体12の個数は5に限定されるものではなく、スロット7の個数とリング磁石13の磁極数の最小公倍数より、円弧状成形体12の個数とスロット7の個数の最小公倍数が大きくなるように円弧状成形体12の個数を設定すれば、上記と同様の効果を発揮することができる。
【0012】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2における回転電機の構成を示す断面図、図8は図7における回転電機の要部の構成を示す断面図、図9は図7における回転電機のロータ表面の磁束密度分布を示す特性図、図10は図9における磁束密度の図4における磁束密度に対する変動分を示す特性図である。
【0013】
図において、上記実施の形態1におけると同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。リング磁石14は所定のパターンにそれぞれ着磁された5個の円弧状磁石15を、回転軸10の外周部に順次固着配置して4極に形成されており、各円弧状磁石15間には成形時における加工誤差によりそれぞれ隙間gが存在している。
【0014】
上記のように構成される実施の形態2における回転電機においては、5個の円弧状磁石15を周方向に順次配置してリング磁石14を構成しているので、各円弧状磁石15間において図10に示すように図4における磁束密度との差分に相当する変動が生じ、隙間gが存在しているだけ実施の形態1におけるよりもその量は増大している。
しかしながら、円弧状磁石15の個数を5として、スロット7の個数6とリング磁石14の磁極数4の最小公倍数12より、円弧状磁石15の個数5とスロット7の個数6の最小公倍数30が大きくなるようにしているので、コギングトルク1周期に影響を及ぼす箇所を少なくすることができ、コギングトルクを小さく抑えることができる。
【0015】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3における回転電機の構成を示す断面図である。
図において、上記実施の形態1におけると同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。リング磁石16は上記実施の形態2におけるリング磁石14と同様に、所定のパターンにそれぞれ着磁された5個の円弧状磁石15を、回転軸10の外周部に順次固着配置して4極に形成されており、各円弧状磁石15間には成形時における加工誤差によりそれぞれ隙間が存在するが、磁極の領域内に位置する隙間gの幅Wを、磁極の境界に位置する隙間gの幅Wより狭小となるように配置されている。
【0016】
上記のように構成される実施の形態3における回転電機においては、上記実施の形態2におけると同様、円弧状磁石15の個数を5として、スロット7の個数6とリング磁石16の磁極数4の最小公倍数12より、円弧状磁石15の個数5とスロット7の個数6の最小公倍数30が大きくなるようにしているので、コギングトルク1周期に影響を及ぼす箇所を少なくすることができ、コギングトルクを小さく抑えることができることは勿論、磁極の領域内に位置する隙間gの幅Wを、磁極の境界に位置する隙間gの幅Wより狭小となるように配置しているので、磁束密度の大きな磁極の領域内においても変動は比較的なくなり、さらにコギングトルクを小さく抑えることができる。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、この発明によればコイルが巻回される所定の数のスロットが形成されたステータ、および回転軸の外周部に、複数の円弧状成形体を円環状に組み合わせて円筒状に一体成形し、所定の磁極数に着磁されたリング磁石が嵌合して固着されたロータを備えた回転電機において、リング磁石の円弧状成形体の数を、ステータのスロット数とリング磁石の磁極数の最小公倍数より、円弧状成形体の数とステータのスロット数の最小公倍数が大きくなるように設定したので、コギングトルクの発生を抑制して特性の改善を図ることが可能な回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における回転電機の構成を示す断面図である。
【図2】 図1における線II−IIに沿った断面を示す断面図である。
【図3】 図1における回転電機の要部の構成を示す断面図である。
【図4】 4極に着磁されたロータ表面の磁束密度分布を示す特性図である。
【図5】 図1における回転電機のロータ表面の磁束密度分布を示す特性図である。
【図6】 図5における磁束密度分布の図4における磁束密度分布に対する変動分を示す特性図である。
【図7】 この発明の実施の形態2における回転電機の構成を示す断面図である。
【図8】 図7における回転電機の要部の構成を示す断面図である。
【図9】 図7における回転電機のロータ表面の磁束密度分布を示す特性図である。
【図10】 図9における磁束密度分布の図4における磁束密度分布に対する変動分を示す特性図である。
【図11】 この発明の実施の形態3における回転電機の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
4 ロータ、5 ステータ、7 スロット、8 積層コア部材、9 コイル、10 回転軸、12 円弧状成形体、13,14,16 リング磁石、15 円弧状磁石。

Claims (3)

  1. コイルが巻回される所定の数のスロットが形成されたステータ、および回転軸の外周部に、複数の円弧状成形体を円環状に組み合わせて円筒状に一体成形し、所定の磁極数に着磁されたリング磁石が嵌合して固着されたロータを備えた回転電機において、上記リング磁石の円弧状成形体の数を、上記ステータのスロット数と上記リング磁石の磁極数の最小公倍数より、上記円弧状成形体の数と上記ステータのスロット数の最小公倍数が大きくなるように設定したことを特徴とする回転電機。
  2. コイルが巻回される所定の数のスロットが形成されたステータ、および回転軸の外周部に、周方向に複数の円弧状磁石を順次固着配置して所定の磁極数を有するリング磁石が形成されたロータを備えた回転電機において、上記リング磁石の円弧状磁石の数を、上記ステータのスロット数と上記リング磁石の磁極数の最小公倍数より、上記円弧状磁石の数と上記ステータのスロット数の最小公倍数が大きくなるように設定したことを特徴とする回転電機。
  3. コイルが巻回される所定の数のスロットが形成されたステータ、および回転軸の外周部に、周方向に複数の円弧状磁石を順次固着配置して所定の磁極数を有するリング磁石が形成されたロータを備えた回転電機において、上記リング磁石の円弧状磁石を、上記磁極の領域内に位置する上記円弧状磁石間の隙間幅が、上記磁極の境界に位置する上記円弧状磁石間の隙間幅より狭小となるように配置したことを特徴とする回転電機。
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