JP3701384B2 - 柔軟型のスノーサーフィン用ブーツ - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、スノーサーフィン用ブーツ(特に「フリーライド」や「フリースタイル」といった専門種目の実施に適した柔軟型(ソフトタイプ)のブーツ)に関する。このようなブーツは、場合によりシェル上にヒンジ連結される堅固なスリーブに一般に組み付けられる同じく堅固な外部シェルを有するアルペンサーフィン種目の実施に適した「硬質」型(ハードタイプ)の靴とは逆に、大部分が柔軟な胴部を含む。
【0002】
これらの新種目を実施するサーファーは、益々複雑になりつつある一連の動きや空中での演技を実施し、この際に、サーファーは自分のサーフボードの前方または後方へ大きく傾斜した姿勢をとる。この場合、サーファーは、例として図1に示すように、両膝を近づける方向に脚部の一方を内側へ大きく曲げる必要がある。他方の脚部も、程度は小さいが、外側へ向けて側方傾斜を受ける。硬質型の靴の場合には、靴の長手方向面内に含まれる軸に沿ってシェル上にスポイラのヒンジ連結部を設けたとしても、このような傾斜度を得ることは不可能である。
【0003】
図2は、脚低部の側方撓曲状態を解剖学的に示す。傾斜角αは、踵の旋回によって得られる傾斜角α1と、踝の関節を中心とする旋回によって得られる傾斜角α2の和に等しい。足部と脚部が靴の拘束なしにこのような位置をとる場合には、足が捻れて踝が側方に屈曲し、踵がその支点上で揺動するのを観察することができる。
【0004】
硬い靴を使用する場合には、踵は、原則として、胴部の剛性のために角度α1だけ旋回することができず、踝を中心とする関節運動は、ヒンジ連結されたカラーを適合化させることによってのみ助長することができる。この硬い靴は、一般に、荷重の良好な伝達を可能にするが、「フリーライド」や「フリースタイル」のようないくつかの種目を実施する場合に脚部が屈曲運動するとき、足部と踝の自然な変形を妨げる。
【0005】
硬い靴底を有するスキー靴に関するドイツ公開特許出願第3742918号におけるように、硬質の靴にもいくつかの改良が加えられている。この靴は、弾性特性を有して変形可能な挿入部材を受け入れるためのくり抜き部が設けられて側方で受ける衝撃の吸収を改善できるようになっている。しかしながら、このような解決方法はサーフィンの実施には適しておらず、また、サーフィンの実施に関連する側方撓曲の問題とは全く異なる緩衝の問題を扱っている。
【0006】
オーストリー特許第2277/92号は、シェルと、スリーブと、靴底(側方に並べて配設した2の弾性底部材付きの支承面を備えた靴底)とを有する「硬質」型(ハードタイプ)のサーフィン用靴に関する。この目的は、靴が中央長手方向面に対して傾斜した枢軸を中心として傾動できるようにすることである。確かに、この解決方法によれば、行われる傾動によって踝領域の靱帯をいたわることができる。しかしながら、所定の傾動軸を中心として側方に傾動するのは、全体が硬い胴部であるという点が短所である。その結果、この側方の弛緩により、また硬質シェル内部での足の保持により感覚が大きく失われ、このことは最終的に一連の動きの中でサーフボードの操縦を妨げる。
【0007】
本発明の目的は、上述の諸問題に対する解決方法を提供することである。特に、本発明は、「フリースタイル」や「フリーライド」の実施に関連する演技の実行のために脚部の側方の移動性を非常に大きくできるようにするとともに、足の自然に捻れた位置やならびに踝の関節部分でのこの踝の撓曲を尊重するブーツを提案することを目的とする。他の1つの目的は、求める作用に反することになるであろう靴全体の傾動ではなく、ブーツ内部での足の可能な限り自然な移動に追従できるようにすることにより、サーファーの足が受け取るすべての感覚と情報を同時に保つことである。
【0008】
このために、本発明は、耐磨耗性のある比較的硬い材料でできた消耗性外底を含む柔軟型(ソフトタイプ)のスノーサーフィン用ブーツに関する。この靴底は、下記のような凸形をした3の異なる支承区域を有する:
− 踵の領域に位置する第一の支承区域。
− 中足骨の領域に位置する第二と第三の支承区域。これら両区域は、ブーツの長手方向に対して互いに横方向に離間し、それぞれブーツの内側および外側付近に局在する。
上記の外底は、各々、上記第二と第三の支承区域内に位置するとともに、柔軟で弾性圧縮可能な材料から成る前方内部部材が挿入される少なくとも2の前方内部溝穴を含む。
【0009】
実際、これら3の支承区域は、裸足の解剖学的主要支点に相当する。
【0010】
本発明のもう1つの特徴によれば、第一の踵支承区域は、長手方向中央垂直面を横断する方向に、全体形状が凸形をしている。この結果、角α1だけ踵の側方揺動が有利になる。
【0011】
さらに他の特徴によれば、前方内部部材は比較的様々な硬さ特性を有する。支持区域は互いに離れているので、必要に応じて異なる特性をもつ部材によってブーツ内でのつま先の移動性を制御できるのが有利である。
【0012】
本発明の補足的特徴によれば、外底は、踵支承区域に、後部溝穴を含み、この溝穴に柔軟な材料でできていて、かつ、良好な緩衝特性を有する後方内部部材が挿入される。踵区域における緩衝作用は、ジャンプの着地の際に、使用者に補足的な快適さを与える。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として本発明の実施態様を示す添付の図面を参照して、以下に述べる説明から明らかとなろう。
【0014】
図3に示すブーツは、サーフィン実施用のものである。このブーツは、意図的にありふれた型で示されているが、一般に専門家が「柔軟」なブーツと呼ぶ胴部分を有する。
【0015】
一般に、このようなブーツは、後程詳述する消耗性外底1と、ふくらはぎ上で多少とも情報に伸びることが可能な内靴(インナーブーツ)形をした柔軟で詰め物(パッド)を入れた内側部分2と、同じく大きな柔軟性を有するが、踵革(あるいはさらに、補強用挿入物またはヒンジ連結された内部または外部スポイラ)を備えることのできる、「胴部」と呼ばれる外側部分3とを有する。このようなブーツの構造は、ドイツ公開特許第4333503号あるいはまた本出願人名義のフランス特許出願第9408872号各明細書において各種の態様にしたがって詳述されている。
【0016】
本発明によるブーツ底1は、対磨耗性を有する硬い材料で製作される。この底は、ほぼ支持三角形6を構成する互いに独立した別個の3の支承区域10、11、12を含み、これにより、ブーツは、がたつきの恐れなしに、その支持体に対して唯一の位置に休止状態で置かれる。この点についての欠陥は加硫または射出によって得られるスポーツ靴の底に頻繁に見られる。
【0017】
また、この靴底は、中足骨の領域と踵の領域との間に局在する引掛け手段5を有する。この手段は中央にあること、すなわち、前方支承区域11、12と踵支承区域10との間で、支持三角形6の内部に位置するのが好ましい。引掛け手段5は、本出願人名義のフランス特許出願第9306006号および同第9408872号各明細書の対象となったサーフボード上にブーツを保持するためのユニットの一部分を成す。図3および図4に示す詳細な例において、靴底の引掛け手段5は、この靴底の中心軸I−I′によって具体化される長手方向を横断する方向のくり抜き部50と、該靴底の中心軸I−I′の長手方向に沿う形材51とを含む。
【0018】
ここでは図示されないが、この装置の他の部分は、くり抜き部50と共働するための補完形状と、形材51と共働するためのロック部材とを含む。
【0019】
もちろん、引掛け手段5は、図示されている長手方向の中心軸I−I′に対して外側(EXT)または内側(INT)に多少ずれていてもよい。
【0020】
3の支承区域10、11、12と、ほぼ支持三角形6の内部に局在する引掛け手段5を組み合わせることにより、「バックサイド」あるいは「フロントサイド」の方向転換を行う上で有利なようにサーフボードに対し前方または後方支承の剛性に直接関与する様々な組合せ、あるいはまた、特に空中でいくつかの演技を行うための撓曲または側方保持の諸特性に関与する様々な組合せが定められる。
【0021】
外底1は、当業者に公知で、かつ、図5および図6で示すように、その周囲で高くなった縁部13を有することを特徴とする皿形の底であるのが好ましい。更に、この底は、内部に、中足骨の領域で2の支承区域11、12内に局在する2の前方溝穴21、22を含む。これらの溝穴には、柔軟で弾性圧縮可能な材料から成る前方内部部材31、32が挿入される。これら前方内部部材は、比較した場合に異なる機械的特性を有し、場合により内側または外側でつま先の運動を助長するのが好ましい。特に、これらの部材は、異なる硬さ特性を有する。
【0022】
また、求める作用、サーファーの体格、あるいはまた、支承区域において求める感度に応じて、これらの部材の形状、柔軟性あるいはまた厚みを適合化させてもよい。
【0023】
踵支承区域10で、靴底は、後方溝穴20をも含み、この溝穴には、柔軟で良好な緩衝特性を有する材料から成る後方内部部材30が挿入される。このような部材は、エチレンビニルアセタート(EVA)、ポリウレタン、ポリエチレンおよびポリビニルクロリド(PVC)の中から選択するのが好ましい、ポリマーマトリクス型微小細胞状(ポーラス)材料で作られる。硬さおよび比重は、求める圧縮緩衝作用に応じて変えることができる。
【0024】
踵支承区域10は、図6で示すように、側方撓曲の際に一方側または他方側へ踵が揺動するのを助長するため、中心軸I−I′の長手方向に対してこれを横断する方向に全体形状が凸形をしている。
【0025】
所定の支承区域10、11、12における靴底の外面は、特に、歩行の際のグリップ力を改善するための凸形または凹形の細縞8を有してもよい。
【0026】
図5から図8に示す靴の内部構造は、本発明の本質的構成手段のみを示すために意図的に単純化したものである。特に、このブーツは、取付用内部敷き革と清潔用敷き革をも備えうることは言うまでもない。
【0027】
また、内靴を挿入して、この内靴の内部に足の内部締付け装置を設けてもよい。
【0028】
図7および図8は、異なる支承区域の箇所に側方撓曲付勢が掛かる場合のブーツの挙動を示す横断面図である。中足骨の領域において、ブーツの前部分は、撓曲時に、長手方向の中央垂直面Pに対して傾かず、単に、足7の前部がブーツの内部で動くとともに、弾性変形可能な材料から成る部材32内の1つに圧力を加える。足の運動を助長するために、この靴底は、少なくとも中足骨の領域において、接着および/または縫い付けによって縁部13に連結される柔軟な外被で形成される胴部4により覆われる。
【0029】
逆に、踵支承区域10において、側方撓曲は、靴底の凸形状によって助長される該靴底の部分の転動を生じさせ、この結果、図8に示すように、面Pに対して踝/ブーツ全体の傾斜α1が得られる。
【0030】
図9は、脚部の枢動後、支持三角形6が別の三角形60へ変化する状態を概略的に示すものである。最初の三角形6は、支承区域10、11、12内に含まれるそれぞれの支点100、110、120によって画成される。枢動の後、支点100のみが、踵支承区域10の内部で踵の転動の作用により実際に移動して転100bとなる。もちろん、ここでは原理を説明しているのであり、実際には、100、110、120はサーファーの荷重に応じていずれかの方向に極めて僅かに移動する場合がある。同様に、厳密に言えば、靴底の圧縮変形を考慮すると、実際には、これは本来の意味での支点ではなく、むしろ、定められた支承区域に近い輪郭を有する支承面である。
【0031】
外底の構成材料については、加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムから成る群より選択する。
【0032】
言うまでもなく、本発明は、以上説明した実施態様にのみ限定されるものではなく、冒頭の特許請求の範囲に入りうる同等の技術を全て含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常の実演におけるサーファーの姿勢を示す概略図である。
【図2】図1のサーファーの右足の位置を示す解剖学的な概略図である。
【図3】本発明によるサーフィン用ブーツの下方斜視図である。
【図4】本発明のサーフィン用ブーツの底を示す底面図である。
【図5】図4のA−A線に沿ってみた断面図である。
【図6】図4のB−B線に沿ってみた断面図である。
【図7】図1のサーファーの姿勢において脚部が側方へ撓曲のする場合を示す図4のA−A線に沿ってみた図5に類似の概略断面図である。
【図8】図7と同じ構成において図1のB−B線に沿ってみた概略断面図である。
【図9】サーファーの脚部が枢動した後、支持三角形が変化する状態を示す図1に類似の概略図である。
【符号の説明】
1 消耗性外底
4 胴部
10、11、12 支承区域
20 後部溝穴
30 後方内部部材
31、32 前方内部部材

Claims (7)

  1. 耐磨耗性を有する比較的硬い材料でできた消耗性外底(1)を含む柔軟型のスノーサーフィン用ブーツにおいて、
    前記靴底は、凸形をした3の異なる支承区域(10,11,12)、すなわち踵の領域に位置する第一の支承区域(10)と;中足骨の領域に位置する第二の支承区域(11)および第三の支承区域(12)とを有し、前記第二と第三の支承区域は前記ブーツの長手方向に対して互いに側方に離間するとともに、それぞれ該ブーツの内側(INT)および外側(EXT)付近に局在し、
    前記外底(1)は、各々、前記第二と第三の支承区域(11,12)内に位置するとともに、柔軟で弾性圧縮可能な材料から成る前方内部部材(31,32)が挿入される、少なくとも2の前方内部溝穴(21,22)を含むことを特徴とするスノーサーフィン用ブーツ。
  2. 前記第一の踵支承区域(10)の全体形状が、長手方向中央垂直面(P)を横断する方向において、凸形であることを特徴とする請求項1によるスノーサーフィン用ブーツ。
  3. 前記前方内部部材(31,32)が異なる剛性を有することを特徴とする請求項1または2によるスノーサーフィン用ブーツ。
  4. 前記外底が、前記踵支承区域に後部溝穴(20)を含み、前記溝穴には、柔軟な材料から成るとともに、良好な緩衝特性を有する後方内部部材(30)が挿入されることを特徴とする請求項1、2または3によるスノーサーフィン用ブーツ。
  5. 前記後部内部部材(30)がエチレンビニルアセタート(EVA)、ポリウレタン、ポリエチレンおよびポリビニルクロリド(PVC)の中から選択した微小細胞状材料から成ることを特徴とする請求項4によるスノーサーフィン用ブーツ。
  6. 少なくとも中足骨の領域で、前記靴底(1)が柔軟な外被によって形成される胴部(4)により覆われ、前記外被は接着および/または縫い付けによって前記靴底に連結されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1によるスノーサーフィン用ブーツ。
  7. 前記外底(1)を構成する材料が加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムから成る群より選ばれることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1によるスノーサーフィン用ブーツ。
JP12117696A 1995-05-18 1996-05-16 柔軟型のスノーサーフィン用ブーツ Expired - Lifetime JP3701384B2 (ja)

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