JP3700848B2 - 微小光源位置測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小光源の位置を測定する微小光源位置測定装置に関し、特に検査台に取り付けられた半導体レーザの正確な取付位置を測定するための微小光源位置測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長多重による光通信の送信装置に使用される半導体レーザの検査項目の1つとして、サイドモード抑圧比率(SMSR…Side-Mode Suppression Ratio)がある。SMSRの測定ではスペクトルアナライザを用いるが、この際、スペクトルアナライザに接続された光ファイバの一端に半導体レーザの出力光を高レベルで入射させる必要がある。すなわち、SMSRの測定においては、ピークの波長とサイドモードの波長との出力差が35dB程度あるので、サイドモードの成分がノイズに埋もれないようにするためには、半導体レーザと光ファイバとの位置合わせを正確に行って、半導体レーザの出力光を的確に光ファイバに入射させる必要がある。
【0003】
従来は、たとえば、スペクトルアナライザを観察しながら半導体レーザと光ファイバ端面の相対位置をXYZの各方向について少しずつ動かして、入力が最大になる位置を見つけ出すことで位置合わせを行っていた。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−139311号公報
【特許文献2】
特開平7−190773号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような位置合わせ方法では、SMSRの測定準備に長い時間を要し、検査効率を充分高めることができないという問題があった。一方、半導体レーザは既に検査台に固定されているので、その位置を正確に測定できれば、固定されている半導体レーザの位置に合わせて光ファイバを移動させることで、互いの位置合わせを自動化することが可能になる。
【0006】
本発明は、このような点に着目してなされたもので、検査台に取り付けられた半導体レーザなどの微小光源の正確な位置データを取得すること、および、XYZの各方向における位置データを迅速に取得することのできる微小光源位置測定装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]微小光源(2)の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源(2)からの光を集光するレンズ部(52)と、
前記レンズ部(52)によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段(54)と、
幅が次第に広がるスリット(61)を有するスリット部材(60)であって、前記レンズ部(52)の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリット(61)の幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記レンズ部(52)と前記受光手段(54)の間に配置されたものと、
前記レンズ部(52)を介して集光された光束が前記スリット(61)をその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材(60)と前記レンズ部(52)の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系(50)を前記X方向に移動させる移動手段(23)と、
前記移動光学系(50)の位置と前記受光手段(54)の出力値との関係に基づいて前記微小光源(2)の位置を解析する位置解析手段(81)を有し、
前記位置解析手段(81)は、前記移動手段(23)が前記移動光学系(50)を移動させた際における前記受光手段(54)の出力値の変化特性から前記光束の中心がスリット(61)に入ったときの前記移動光学系(50)のX方向位置と前記光束の中心がスリット(61)から出たときの前記移動光学系(50)のX方向位置とを求め、これらの間の距離と前記スリット(61)の幅の広がり具合との関係から前記微小光源(2)のY方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。
【0008】
[2]微小光源(2)の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源(2)からの光を集光するレンズ部(52)と、
前記レンズ部(52)によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段(54)と、
幅が左右対称に次第に広がるスリット(61)を有するスリット部材(60)であって、前記レンズ部(52)の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリット(61)の幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記レンズ部(52)と前記受光手段(54)の間に配置されたものと、
前記レンズ部(52)を介して集光された光束が前記スリット(61)をその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材(60)と前記レンズ部(52)の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系(50)を前記X方向に移動させる移動手段(23)と、
前記移動光学系(50)の位置と前記受光手段(54)の出力値との関係に基づいて前記微小光源(2)の位置を解析する位置解析手段(81)を有し、
前記位置解析手段(81)は、前記移動手段(23)が前記移動光学系(50)を移動させた際における前記受光手段(54)の出力値の変化特性から前記光束の中心がスリット(61)に入ったときの前記移動光学系(50)のX方向位置と前記光束の中心がスリット(61)から出たときの前記移動光学系(50)のX方向位置とを求め、これらの間の距離と前記スリット(61)の幅の広がり具合との関係から前記微小光源(2)のY方向位置を特定するとともに、前記光束の中心がスリット(61)に入ったときの前記移動光学系(50)のX方向位置と前記光束の中心がスリット(61)から出たときの前記移動光学系(50)のX方向位置との中心位置に基づいて前記微小光源(2)のX方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。
【0009】
[3]微小光源(2)の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源(2)からの光を集光するレンズ部(52)と、
前記レンズ部(52)によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段(54)と、
幅が次第に広がるスリット(61)を有するスリット部材(60)であって、前記レンズ部(52)の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリット(61)の幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記レンズ部(52)と前記受光手段(54)の間に配置されたものと、
前記レンズ部(52)を介して集光された光束が前記スリット(61)をその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材(60)と前記レンズ部(52)の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系(50)を前記X方向に移動させる移動手段(23)と、
前記移動光学系(50)の位置と前記受光手段(54)の出力値との関係に基づいて前記微小光源(2)の位置を解析する位置解析手段(81)を有し、
前記位置解析手段(81)は、前記移動手段(23)が前記移動光学系(50)を移動させた際における前記受光手段(54)の出力値の変化特性から前記光束の中心がスリット(61)に入ったときの前記移動光学系(50)のX方向位置と前記光束の中心がスリット(61)から出たときの前記移動光学系(50)のX方向位置とを求め、これらの間の距離と前記スリット(61)の幅の広がり具合との関係から前記微小光源(2)のY方向位置を特定するとともに、前記光束の中心がスリット(61)に入ったときの前記移動光学系(50)のX方向位置と前記光束の中心がスリット(61)から出たときの前記移動光学系(50)のX方向位置との間をスリット(61)の左への広がり具合と右への広がり具合の比に応じて内分した位置に基づいて前記微小光源(2)のX方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。
【0010】
[4]微小光源(2)の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源(2)からの光を集光するレンズ部(52)と、
前記レンズ部(52)によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段(54)と、
幅が次第に広がるスリット(61)を有するスリット部材(60)であって、前記レンズ部(52)の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリット(61)の幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記レンズ部(52)と前記受光手段(54)の間に配置されたものと、
前記レンズ部(52)を介して集光された光束が前記スリット(61)をその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材(60)と前記レンズ部(52)の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系(50)を前記X方向に移動させる移動手段(23)と、
前記移動光学系(50)の位置と前記受光手段(54)の出力値との関係に基づいて前記微小光源(2)の位置を解析する位置解析手段(81)を有し、
前記位置解析手段(81)は、前記移動手段(23)が前記移動光学系(50)を移動させた際における前記受光手段(54)の出力値の変化特性から前記光束の中心がスリット(61)に入ったときの前記移動光学系(50)のX方向位置と前記光束の中心がスリット(61)から出たときの前記移動光学系(50)のX方向位置とを求め、これらの間の距離と前記スリット(61)の幅の広がり具合との関係から前記微小光源(2)のY方向位置を特定するとともに、前記光束の中心がスリット(61)に入ったときもしくはスリット(61)から出たときにおける前記移動光学系(50)のX方向位置を、そのときの光束中心のY方向位置と前記スリット(61)の広がり具合とから求めた当該Y方向位置におけるスリットエッジのX方向オフセット量で補正することにより、前記微小光源(2)のX方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。
【0011】
[5]前記レンズ部(52)によって前記微小光源(2)の映像が生成される点である映像点もしくはその近傍に前記スリット(61)が位置するように前記スリット部材(60)を配置する
ことを特徴とする[1]、[2]、[3]または[4]に記載の微小光源位置測定装置。
【0012】
[6]前記スリット(61)の幅方向と前記X方向との一致を検証する取付角検証手段(82)をさらに有し、
前記取付角検証手段(82)は、前記移動手段(23)が前記移動光学系(50)をX方向に移動させた際における前記受光手段(54)の出力値の変化特性を、前記スリット部材(60)をY方向にずらした2つの位置で測定し、前記変化特性の相違と前記スリット部材(60)のY方向への移動距離と前記スリット(61)の幅が広がる割合との関係から、前記スリット(61)の幅方向の向きと前記X方向との差を求める
ことを特徴とする[1]、[2]、[3]または[4]に記載の微小光源位置測定装置。
【0013】
[7]前記位置解析手段(81)は、前記移動手段(23)が前記移動光学系(50)をX方向に移動させた際に前記受光手段(54)の出力値の立ち上がりと立ち下がりのいずれか一方もしくは双方の急峻度を求めることを、前記移動光学系(50)を前記光軸方向であるZ方向にずらして、スリット(61)が前記微小光源(2)の映像が生成される点である映像点の手前にある状態と奥側にある状態とでそれぞれ少なくとも2箇所ずつ行い、これらの測定結果から前記急峻度が最大になる前記移動光学系(50)のZ方向位置を算出し、これに基づいて前記微小光源(2)のZ方向位置を特定する
ことを特徴とする[1]、[2]、[3]または[4]に記載の微小光源位置測定装置。
【0014】
[8]微小光源(2)の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源(2)からの光を集光するレンズ部(52)と、
前記レンズ部(52)によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段(54)と、
スリット(61)を有するスリット部材(60)であって、前記レンズ部(52)の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリット(61)の幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記微小光源(2)の映像が生成される点である映像点の近傍に配置されたものと、
前記レンズ部(52)を介して集光された光束が前記スリット(61)をその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材(60)と前記レンズ部(52)の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系(50)を前記X方向に移動させる移動手段(23)と、
前記移動光学系(50)の位置と前記受光手段(54)の出力値との関係に基づいて、前記光軸方向であるZ方向における前記微小光源(2)の位置を解析する位置解析手段(81)を有し、
前記位置解析手段(81)は、前記移動手段(23)が前記移動光学系(50)をX方向に移動させた際に前記受光手段(54)の出力値の立ち上がりと立ち下がりのいずれか一方もしくは双方の急峻度を求めることを、前記移動光学系(50)を前記光軸方向であるZ方向にずらして、スリット(61)が前記微小光源(2)の映像が生成される点である映像点の手前にある状態と奥側にある状態とでそれぞれ少なくとも2箇所ずつ行い、これらの測定結果から前記急峻度が最大になる前記移動光学系(50)のZ方向位置を算出し、これに基づいて前記微小光源(2)のZ方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。
【0015】
[9]微小光源(2)の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源(2)からの光を集光するレンズ部(52)と、
前記レンズ部(52)によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段(54)と、
スリット(71)がその幅方向に多数併設された格子スリット部材(70)であって、前記レンズ部(52)の光軸をZ方向としかつ光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記レンズ部(52)の光軸に垂直かつ前記スリット(61)の併設方向とX方向とを一致させた状態に対して前記スリット(71)の併設方向と光軸の成す角が90度から外れるように斜めに倒した状態で前記微小光源(2)の映像が生成される点である映像点の近傍に配置されたものと、
前記レンズ部(52)を介して集光された光束が前記映像点の前後で前記多数のスリット(71)をそれらの併設方向に横切って移動するように前記格子スリット部材(70)と前記レンズ部(52)の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系(50)を前記X方向に移動させる移動手段(24)と、
前記移動光学系(50)の位置と前記受光手段(54)の出力値との関係に基づいて前記微小光源(2)の位置を解析する位置解析手段(81)とを有し、
前記位置解析手段(81)は、前記移動手段(23)が前記移動光学系(50)を移動させた際における前記受光手段(54)の出力値の変化特性を微分して絶対値をとり、これにおいて最大値が現れるであろう前記移動光学系(50)のX方向位置を求め、これに基づいて前記微小光源(2)のZ方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。
【0016】
[10]微小光源(2)の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源(2)からの光を集光するレンズ部(52)と、
前記レンズ部(52)によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段(54)と、
スリット(71)がその幅方向に多数併設された格子スリット部材(70)であって、前記レンズ部(52)の光軸をZ方向としかつ光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記レンズ部(52)の光軸に垂直かつ前記スリット(61)の併設方向とX方向とを一致させた状態に対して前記スリット(71)の併設方向と光軸の成す角が90度から外れるように斜めに倒した状態で前記微小光源(2)の映像が生成される点である映像点の近傍に配置されたものと、
前記レンズ部(52)を介して集光された光束が前記映像点の前後で前記多数のスリット(71)をそれらの併設方向に横切って移動するように前記格子スリット部材(70)と前記レンズ部(52)の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系(50)を前記X方向に移動させる移動手段(24)と、
前記移動光学系(50)の位置と前記受光手段(54)の出力値との関係に基づいて前記微小光源(2)の位置を解析する位置解析手段(81)とを有し、
前記位置解析手段(81)は、前記移動手段(23)が前記移動光学系(50)を移動させた際における前記受光手段(54)の出力値の変化特性に現れた多数のピークから、最大ピーク値が現れるであろう前記移動光学系(50)のX方向位置を求め、これに基づいて前記微小光源(2)のZ方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。
【0017】
[11][1]、[2]、[3]または[4]に記載の微小光源位置測定装置と、[9]または[10]に記載の微小光源位置測定装置とを少なくともレンズ部(52)を共用して備えるとともに、前記レンズ部(52)によって集光された光束を第1光束と第2光束に分岐するビームスプリッタ(53)を有し、
前記ビームスプリッタ(53)の出力する前記第1光束を[1]、[2]、[3]または[4]に記載の微小光源位置測定装置で使用し、
前記ビームスプリッタ(53)の出力する前記第2光束を[9]または[10]に記載の微小光源位置測定装置で使用するように構成した
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。
【0018】
[12]前記移動光学系(50)をX方向に移動させることに代えて前記光束が前記スリット(61)をその幅方向に横切って移動するように前記レンズ部(52)を回転させるとともに、前記移動光学系(50)のX方向の位置および移動距離に代えて前記レンズ部(52)の角度および回転角を用いることを特徴とする[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]、[7]、[8]、[9]、[10]または[11]に記載の微小光源位置測定装置。
【0019】
前記本発明は次のように作用する。
検査台に固定された半導体レーザなどの微小光源(2)からの光はレンズ部(52)を介して集光される。受光手段(54)は、レンズ部(52)で集光された光束を受光する。幅が次第に広がるスリット(61)を有するスリット部材(60)は、レンズ部(52)と受光手段(54)の間に配置されている。またスリット部材(60)は、レンズ部(52)の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、スリット(61)の幅方向がX方向と一致する向きにして、レンズ部(52)と受光手段(54)の間に配置されている。好ましくは、スリット(61)は、レンズ部(52)によって形成される映像点もしくはその近傍に配置される。映像点とは、レンズ部(52)によって微小光源(2)の映像(実像)が生成される箇所である。言い換えると、レンズ部(52)によって集光された光束の径が最も細くなる部分(ビームウェスト)の存する点である。
【0020】
スリット(61)の形状は、たとえばその底辺をスリットの幅方向とした二等辺三角形であったり、一辺をX方向、他辺をY方向とした直角三角形であったりしてもよい。スリットの左右のエッジはY方向に対して必ずしも左右均等に広がる必要はない。さらにスリットのエッジは、必ずしも直線である必要はなく、幅が次第に広がるものであれば、曲線であってもよい。
【0021】
移動手段(23)は、スリット部材(60)とレンズ部(52)の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系(50)をX方向に移動させる。スリット(61)はその幅方向がX方向と一致するように設定されているので、この移動により、レンズ部(52)を介して集光された光束が、スリット(61)を幅方向に横切って移動する。移動光学系(50)は、スリット部材(60)のみでも良いし、レンズ部(52)だけでもよい。さらにスリット部材(60)とレンズ部(52)の双方を一体として移動させてもよい。
【0022】
位置解析手段(81)は、移動手段(23)が移動光学系(50)を移動させた際における受光手段(54)の出力値の変化特性から、光束の中心がスリット(61)に入ったときの移動光学系(50)の位置と光束の中心がスリット(61)から出たときの移動光学系(50)の位置とを求め、これらの間の距離とスリット(61)の幅の広がり具合との関係からY方向における微小光源(2)の位置を特定する。すなわち、光束の中心がスリット(61)に入ってから出るまでの移動距離を把握することで光束の中心がスリット(61)のどの幅の部分を横切ったかを認識する。スリット(61)は、幅が次第に広がるように形成されているので、該当する幅になっている箇所が、スリット(61)の幅方向と直交するY方向のどの位置であるかを求めることができ、さらにこれに基づいて微小光源(2)のY方向位置を特定することができる。
【0023】
ここで、光束が横切って移動する部分におけるスリット(61)の幅が光束の直径より大きくなるようにしておく。すなわち、横切る際に必ず光束の全体がスリット内に入り得るようにしておく。このようにすれば、光束がまったくスリット(61)に入っていない状態と受光手段(54)の出力特性がピークに達した位置(光束の全体がスリット(61)に入った位置)との中間位置を、光束の中心がスリット(61)に入った位置として特定することができる。たとえば、光束がスリット(61)を通過する際のピーク値に対して、受光手段(54)の出力の立ち上がり時に、その値がピークのN%(たとえば10%など50%より十分低い割合)になる位置と、M%(たとえば90%など50%より十分高い割合)になる位置とを求め、これらの位置の中心位置を光束の中心がスリット(61)に入ったときの位置と判断する。
【0024】
スリット(61)の幅がスリット(61)を通過する光束の直径より大きくするためには、光束の径が最も細くなる箇所(ビームウェスト)、言い換えるとレンズ部(52)によって微小光源(2)の映像が生成される映像点、もしくはその近傍にスリット部材(60)を配置することが望ましい。スリット(61)を横切る光束の径が小さければ小さいほど、スリット(61)の幅を狭くすることができる。その結果、移動光学系(50)の移動範囲が少なくなり、検査をより迅速に行うことが可能になる。また光束がスリット(61)に出入りする際の受光手段(54)の出力値は、光束の径が小さいほど、急峻に変化するので、光束の中心がスリット(61)に出入りする位置を的確に把握することができ、測定精度を高めることができる。
【0025】
さらに、スリット(61)をその幅が左右対称に広がるようにしておき、位置解析手段(81)は、光束の中心がスリット(61)に入ったときの移動光学系(50)の位置と光束の中心がスリット(61)から出たときの移動光学系(50)の位置との中心位置を求め、これをX方向における微小光源(2)の位置として特定する。このように、スリット(61)が左右対称に広がっているので、出入りの中心位置を求めることで、光束がY方向のどの位置でスリット(61)を横切ったかにかかわりなく、微小光源(2)のX方向の位置を特定することができる。
【0026】
またスリット(61)の幅が左右対称に広がっていない場合であっても、スリット(61)の一方のエッジと他方のエッジがどのように広がっているかが既知であれば、光束の中心がスリット(61)に入ったときの移動光学系(50)の位置と光束の中心がスリット(61)から出たときの移動光学系(50)の位置との間を、スリットの左への広がり具合と右への広がり具合の比に応じて内分した点に基づいて、微小光源(2)のX方向位置を求めることができる。たとえば、右のエッジがY方向に対してθ1の角度で、左のエッジがY方向に対してθ2の角度で広がっている場合には、光束の中心がスリット(61)の右エッジを横切ったときの移動光学系(50)の位置と光束の中心が左エッジを横切ったときの移動光学系(50)の位置との間をtanθ1:tanθ2の比率で内分した位置を求めることで、微小光源(2)のX方向位置を特定することができる。
【0027】
さらに、光束がスリット(61)を横切った箇所における光束中心のY方向位置を特定できるので、当該Y方向位置とスリット(61)の広がり具合とから、当該Y方向位置におけるスリットエッジの基準点に対するX方向オフセット量を求め、光束中心がスリット(61)に入ったときもしくはスリット(61)から出たときの移動光学系(50)の位置をX方向オフセット量で補正することにより、X方向における微小光源(2)の位置を特定するようにしてもよい。たとえば、三角形のスリット(61)を用い、スリット(61)を横切った際の光束中心のY方向位置を左右のスリットエッジの交点に対する相対位置で表したものをY1、右のエッジから光束中心がスリット(61)に入ったときの移動光学系(50)のX方向位置をX1、右のエッジのY方向に対する傾斜をθ1とすると、X方向オフセット量はY1×tanθ1となり、移動光学系(50)のX方向位置であるX1からY1×tanθ1を差し引いてX1を補正すれば、これを基準として微小光源(2)のX方向位置を特定することができる。
【0028】
スリット(61)の幅方向がX方向と一致するようにスリット部材(60)が配置されているか否かは以下のようにして検証する。たとえば、スリット(61)として、その幅が一定の割合で広がるものを用いる。この例では、二等辺三角形のスリット(61)を用いる。取付角検証手段(82)は、移動光学系(50)をX方向に移動させた際における受光手段(54)の出力値の変化特性を、スリット部材(60)をY方向にずらした2つの位置で測定する。そしてこれらの変化特性の相違とスリット部材(60)のY方向への移動距離とスリット(61)の幅が広がる割合との関係から、スリット(61)の幅方向の向きと前記X方向との一致、不一致あるいは誤差を求める。
【0029】
上記の変化特性の相違としては、たとえば、出力値の変化特性から光束が横切った箇所におけるスリット幅を求め、スリット部材(60)をY方向にずらした2つの位置におけるスリット幅の差を求める。すなわち、移動手段(23)が移動光学系(50)をX方向に移動させた際における受光手段(54)の出力値の変化特性から光束の中心がスリット(61)に入ったときの移動光学系(50)の位置と光束の中心がスリット(61)から出たときの移動光学系(50)の位置とから光束の中心がスリット(61)に入ってからスリット(61)を出るまでの距離を求めていることを、スリット部材(60)をY方向にずらした2つの位置で行い、これらの距離の差とスリット部材(60)のY方向への移動距離とスリット(61)の幅が広がる割合との関係から、スリット(61)の幅方向の向きとX方向との誤差を求める。また光束の中心がスリット(61)に入った時点での移動光学系(50)の位置の差を相違として求めたり、スリット(61)を出た時点での移動光学系(50)の位置の差を相違として求めたりしてもよい。
【0030】
これら変化特性の相違として求めた距離とスリット部材(60)のY方向への移動距離とスリット(61)の幅が広がる割合との関係から、スリット(61)の幅方向の向きとX方向との誤差を求める方法として、たとえば、スリット(61)が角度θで広がっている場合には、変化特性の相違として求めた距離とスリット(61)のY方向への移動距離とから三角関数を用いてスリットエッジのY方向に対する角度を求め、これと本来の角度θとの一致不一致あるいは大小により、スリット(61)の取付角度を検証するものがある。
【0031】
またレンズ部(52)の光軸方向(Z方向)における微小光源(2)の位置は、次のようにして求める。位置解析手段(81)は、移動手段(23)が移動光学系(50)をX方向に移動させた際に受光手段(54)の出力値の変化特性における立ち上がりと立ち下がりのいずれか一方もしくは双方の急峻度を求めることを、移動光学系(50)をZ方向にずらして数箇所について行う。より詳細には、スリット(61)が微小光源(2)の映像が生成される点である映像点の手前にある状態と奥にある状態のそれぞれで少なくとも2箇所ずつ上記測定を行い、これらの測定によって得た急峻度が最大になる移動光学系(50)のZ方向位置を算出し、これに基づいてZ方向における前記微小光源(2)の位置を特定する。
【0032】
急峻度としては、立ち上がり期間中における移動光学系(50)の移動量、立下がり期間中における移動光学系(50)の移動量、これら移動量の合計、もしくは光束の中心がスリット(61)に入ったときの移動光学系(50)の位置と光束の中心がスリット(61)から出たときの移動光学系(50)の位置との差などを用いる。これらの距離が少ないほど急峻度が大きいことを表している。
【0033】
たとえば、受光手段(54)の出力のピーク値に対して出力が10%になる位置を立ち上がり開始位置、出力が90%に至った位置を立ち上がり終了位置とすることで、立ち上がり期間における移動光学系(50)の移動量を求めることができる。立下がり側についても同様である。立ち上がり期間、立下がり期間をどのように定義するかは、上記した10%と90%を用いるものに限定されず、たとえば20〜80パーセントとしてもよい。
【0034】
映像点では、ピントがシャープになるので光束の径が小さくなり、映像点から外れるほどピントがぼけて光束の径が大きくなる。したがって、光束がスリット(61)に出入りする際に受光手段(54)の出力が急峻に変化するか否かにより、ピントの良し悪しを認識することができる。そしてピントの合う映像点の前後でそれぞれ少なくとも2箇所ずつ測定を行えば、立ち上がり特性を最小二乗法等で回帰近似したグラフと立下がり特性を同じく回帰近似したグラフとの交点として映像点のZ方向位置を見出すことができる。そしてこの位置とレンズ部(52)の焦点距離や倍率とから微小光源(2)のZ方向における実際の位置を特定することができる。
【0035】
また以下のようにして微小光源(2)のZ方向位置を求めてもよい。ここでは、スリット(61)の幅方向に多数のスリット(71)が併設された格子スリット部材(70)を用いる。格子スリット部材(70)は、レンズ部(52)の光軸をZ方向とし、かつ光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、レンズ部(52)の光軸に垂直であってスリット(61)の併設方向をX方向に一致させた状態に対して、スリット(61)の併設方向と光軸の成す角が90度から外れるように、例えば45度斜めに倒した状態にして、微小光源(2)の映像が生成される点である映像点の近傍に配置される。すなわち、併設された各スリット(61)からレンズ部(52)までの距離が、映像点を挟んで次第に長短に変わるように多数のスリット(71)が配置されることになる。
【0036】
移動手段(23)は、レンズ部(52)を介して集光された光束が映像点の前後で多数のスリット(71)をそれらの併設方向に横切って移動するように、格子スリット部材(70)とレンズ部(52)の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系(50)をX方向に移動させる。これによりたとえば、レンズ部(52)に近いスリット(61)を通過する状態からレンズ部(52)から遠い位置のスリット(61)を通過する状態へと光束が移動する。
【0037】
このように移動光学系(50)を移動させると、受光手段(54)の出力値は、スリット(61)の数に応じて波を有する変化特性になる。ここで、映像点に近い位置にあるスリット(61)を光束が通過するときは、光束の径が小さいので、スリット(61)へ光束が出入りする際の変化特性(波)が急峻に変化する。一方、スリット(61)の位置が映像点から離れるにしたがって、ピントが外れて光束の径が大きくなるので、スリット(61)へ出入りする際の変化特性がなだらかになる。
【0038】
そこで、位置解析手段(81)は、受光手段(54)の出力値の変化特性を微分してその絶対値をとり、当該絶対値の最大値が現れるであろう移動光学系(50)の位置を回帰近似等によって求め、これに基づいてZ方向における微小光源(2)の位置を特定する。
【0039】
なお、ピントが外れた状態ではスリット幅よりも光束の径が大きくなり、ピントが合うとスリット幅よりも光束の径が小さくなるようにしておけば、変化特性として現われる波のピーク値にも差が生じるので、波のピークが増加する部分を最小二乗法等で近似したグラフと波のピークが減少する部分を最小二乗法等で近似したグラフの交点として、映像点の位置を把握し、これに基づいて微小光源(2)のZ方向位置を特定するようにしてもよい。
【0040】
レンズ部(52)によって集光された光束を第1光束と第2光束にビームスプリッタ(53)で分岐し、幅が次第に広がるスリット(61)に第1光束を通過させることで微小光源(2)のXY方向における位置の特定を行い、第2光束を格子スリット部材(70)に通すことで、微小光源(2)のZ方向位置を特定するものでは、同一の測定装置でXYZのすべての方向の位置を特定することができ、微小光源(2)を固定したままで、すべての方向について位置を特定することができる。また同一の測定装置でXYZのすべての方向についての位置を測定できるので、測定作業を迅速化することができる。さらにレンズ部(52)や鏡筒、移動手段(23)としてのXYZステージ等を共通化でき、装置構成が簡略化される。
【0041】
さらに移動光学系(50)をX方向に移動させることに代えて光束がスリット(61)をその幅方向に横切って移動するようにレンズ部(52)を回転させるとともに、移動光学系(50)のX方向の位置および移動距離に代えてレンズ部(52)の角度および回転角を用いる。レンズ部として望遠鏡光学系を用いて、数メートルまたはこれよりも遠方にある微小光源の位置を特定する場合には、X方向への移動に代えてレンズ部(鏡筒)の角度や回転角を用いるとよい。すなわち、移動光学系をスリットの幅方向であるX方向に移動させる場合、遠方のある程度広い測定範囲の中で微小光源の位置を特定するためには、その測定範囲のX方向幅に相当するだけ移動光学系を移動させなければならない。これに対してレンズ部を回転させれば、遠方であっても広い測定範囲をカバーすることができる。
【0042】
微小光源の存在する方角(角度θ)と微小光源までの距離(r)が分かれば、微小光源のX方向位置を特定することができる。またスリットを横切るに要した回転角に基づいて光束がスリットを横切ったY方向位置がわかるので、これに基づいて微小光源のY方向位置を特定することができる。すなわち、望遠鏡光学系の光軸の延長線がスリットと交差するY方向位置と微小光源からの光束がスリットを横切ったY方向位置との差から光束の光軸に対する傾き角(θy)が分かるので、これと微小光源までの距離(r)とから実際の微小光源のY方向位置を求めることができる。なお、微小光源は、光が反射している箇所であってもよい。たとえば、ある物体に細いレーザ光を照射した際の当該物体における反射点を微小光源として扱い、その反射点の位置を特定するように構成してもよい。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施の形態を説明する。
各図は、本発明の一実施の形態を示している。
図2は、本実施の形態にかかる微小光源位置測定装置10の側面図であり、図3は微小光源位置測定装置10の正面図であり、図4は、微小光源位置測定装置10の上面図である。各図に示すように微小光源位置測定装置10は、XYZの各方向に移動可能なステージを有する測定台20と、この測定台20に取り付けられた光学部50と、測定のための機械的制御や信号処理等を行う制御部80とから構成される。
【0044】
測定台20は、床面に固定されるベース板21と、ベース板21から断面T字で鉛直に伸びる支柱部22と、支柱部22に載せて取り付けられたXステージ23と、Xステージ23に載せて取り付けられたYステージ24と、Yステージ24に載せて取り付けられたZステージ25と、Zステージ25から水平に伸びるホルダーアーム26とを有している。
【0045】
Xステージ23、Yステージ24、Zステージ25はそれぞれステッピングモータ27a〜27cで駆動されて移動する。図2の側面図における左右方向がY方向であり、鉛直方向がZ方向になっている。またZ方向と垂直な面内でY方向と直交する方向がX方向(図3参照)になっている。
【0046】
光学部50は、ホルダーアーム26に鉛直に取り付けられた鏡筒51と、鏡筒51の下端に取り付けられた対物レンズ52と、鏡筒51の上端近傍に取り付けられたビームスプリッタ53と、ビームスプリッタ53の一方の出力側(第1光束の出力側)近傍に取り付けられた三角スリット部材60と、ビームスプリッタ53の他方の出力側(第2光束の出力側)近傍に取り付けられた格子スリット部材70と、三角スリット部材60の後方に配置された第1受光手段54と、格子スリット部材70の後方に配置された第2受光手段55とから構成されている。第1受光手段54および第2受光手段55は、たとえば、フォトダイオードからなる。光学部50は、対物レンズ52以外の箇所から光が内部に進入しないように遮光されている。本実施の形態では、光学部50全体が移動光学系を成している。また移動光学系の移動可能範囲内の所定点を原点に設定してあり、移動光学系の位置は、この原点からの相対位置で表すようになっている。
【0047】
検査対象となる微小光源としての半導体レーザ2は、図示省略した遠方の軸を中心に回転する半径2〜3mほどの検査台3に固定されている。検査台3に固定された状態で半導体レーザ2は真上に向かってレーザ光を射出するようになっている。検査台3へ固定した状態の半導体レーザ2の発光点位置を微小光源位置測定装置10で測定する際には、検査台3が回転することによって対物レンズ52の真下に半導体レーザ2が到来して、静止するようになっている。
【0048】
微小光源位置測定装置10によって発光点の正確な位置を測定した後は、検査台3が再び回転して、SMSRの測定箇所へと移動するようになっている。SMSRの測定箇所の上方には、これまたステッピングモータによってXYZ方向へ移動可能に光ファイバがその端面を下方に向けて取り付けてあり、微小光源位置測定装置10で取得した位置データに基づいて光ファイバの位置を調整することで、半導体レーザ2からのレーザ光が光ファイバへ的確に入射するように位置合わせするようになっている。
【0049】
制御部80は、所定のプログラムを実行可能なコンピュータ装置を主要部として構成されている。制御部80は、位置解析手段81と取付角検証手段82としての機能のほか、各ステージ23〜25の移動制御など、微小光源位置測定装置10としての各種の機能を果たす。制御部80には図示省略の信号線を通じて、各ステッピングモータ27a〜27cの制御回路、第1受光手段54および第2受光手段55と接続されている。
【0050】
図5は、三角スリット部材60の一例を示している。三角スリット部材60には、幅が次第に広がるスリット61が開設されている。三角スリット部材60は厚みが0.1ミリほどの板上部材である。ここでは、二等辺三角形の形状を成したスリット61を設けてある。二等辺三角形の底辺の方向(図中の矢印62で示す方向)を、スリットの幅方向としている。
【0051】
図6は、格子スリット部材70の一例を示している。格子スリット部材70には、スリット71がその幅方向に多数併設されている。スリット71は、細長い長方形を成している。図中の矢印72は、スリット71の幅方向であり、多数のスリット71がその幅方向に併設されている。格子スリット部材70は厚みが0.1ミリほどの板状部材である。ここではスリット71の幅を0.2ミリに、スリット同士の間(光を通さない部分)を0.2ミリにしてある。したがって、スリットの併設ピッチは0.4ミリになっている。
【0052】
図7は、光学部50の上端部分を拡大示したものである。三角スリット部材60は、ビームスプリッタ53の第1光束出力側における対物レンズ52の光軸に垂直に配置されている。またスリット61の幅方向が図3に示したX方向と一致するように取り付けられる。格子スリット部材70は、ビームスプリッタ53の第2光束出力側における対物レンズ52の光軸に対して垂直な状態からスリット71の併設方向が所定の角度傾斜するようにして取り付けられている。この例では45度傾けてある。
【0053】
三角スリット部材60の位置は、ビームスプリッタ53の第1光束側において、半導体レーザ2の発光点の映像点もしくはその近傍に設定されている。映像点とは、対物レンズ52によって半導体レーザ2の発光点の映像(実像)が生成される点であり、言い換えると、対物レンズによって集光された光束の径が最も細くなる部分(ビームウェスト)の存する箇所である。格子スリット部材70も同様に、ビームスプリッタ53の第2光束側における半導体レーザ2の映像点もしくはその近傍に配置される。
【0054】
まず、半導体レーザ2のXY方向位置の測定について説明する。
半導体レーザ2を光学部50のほぼ真下に来るようにセットした状態で半導体レーザ2を発光させておく。この状態で制御部80は、光学部50が予め定めたX方向スキャン範囲を横断するようにXステージ23を移動させるとともに、そのときの光学部50の位置座標と第1受光手段54の出力値との関係を示す変化特性を記録する。X方向スキャン範囲は、ビームスプリッタ53からの第1光束が三角スリット部材60のスリット61をX方向に横切るのに充分な範囲に設定してある。
【0055】
図1は、対物レンズ52によって集光された光束を三角スリット部材60がX方向に横切る様子を模式的に示したものである。図8は、対物レンズ52の側から三角スリット部材60および第1受光手段54を見た様子を示している。なお、スリットのみを移動させても、スリットと対物レンズの双方を移動させても、さらには、スリットと対物レンズと受光手段を一体として移動させるようにしても、光束はスリットを横切るように移動するので、これらは同様の結果を得ることができる。ただし、スリットと対物レンズもしくはこれらと受光手段とを一体に移動させる場合には、スリット幅÷光学倍率が、当該スリット幅の箇所を光束が横切る場合における半導体レーザ2の位置の検査可能範囲になる。
【0056】
図9から図12は、光束がスリット61を横切るように光学部50を移動させた場合における第1受光手段54の出力値の変化特性を示している。図9は、スリット61がほぼ映像点にあってほぼピントのあった状態で光束がスリット61の比較的幅広の部分を横切った場合における出力値の変化特性111を示している。図10は、スリット61がほぼ映像点にあってピントのほぼあっている状態で光束がスリット61の比較的幅の狭い部分を横切った場合の出力値の変化特性112を示している。図11は、スリット61が映像点からZ方向にある程度ずれた位置にあってピントの甘い状態で光束がスリット61の比較的幅の広い部分を横切った場合の出力値の変化特性113を示している。図12は、スリット61が映像点からZ方向にある程度ずれた位置にあってピントの甘い状態で光束がスリット61の比較的幅の狭い部分を横切った場合の出力値の変化特性114を示している。このように、三角スリット部材60のスリット61が映像点に近い位置にあるほど、変化特性の立ち上がりや立下がりは急峻になり、映像点から外れるほど、緩やかな立ち上がり、立下がり特性になる。また光束がスリット幅の広い部分を通過すれば、それに応じて変化特性として現れる波の幅が広くなる。
【0057】
位置解析手段81は、取得した変化特性に基づき、以下のように解析する。図13は、光束がスリットの左エッジから右エッジへと横切る場合の変化特性131を示している。図示するように、出力値を最大値をHmaxとして求める。さらに、出力レベルがHmaxの10%まで上昇した時点における光学部50の位置座標をXr1として、出力レベルがHmaxの90%まで上昇した時点における光学部50の位置座標をXr9として、出力レベルがHmaxの90%まで下降した時点における光学部50の位置座標をXf9として、出力レベルがHmaxの10%まで下降した時点における光学部50の位置座標をXf1として求める。ここでは位置座標を小数点1桁まで求めてある。
【0058】
次に、出力レベルがHmaxの10%まで上昇した時点における光学部50の位置座標Xr1と、出力レベルがHmaxの90%まで上昇した時点における光学部50の位置座標Xr9の中間の位置座標を、
Xr5=(Xr1+Xr9)÷2 …(1)式
の演算により、Xr5として求める。
【0059】
同様に、出力レベルがHmaxの90%まで下降した時点における光学部50の位置座標Xf9と、出力レベルがHmaxの10%まで下降した時点における光学部50の位置座標Xf1の中間の位置座標を、
Xf5=(Xf1+Xf9)÷2 …(2)式
の演算により、Xf5として求める。
【0060】
Xr5は、光束の中心がスリットに入ったときの位置座標(光束中心がスリットの左エッジ上に来たときの位置座標)を、Xf5は、光束の中心がスリットを出たときの位置座標(光束中心がスリットの右エッジ上に来たときの位置座標)を示すことになる。
【0061】
さらに、光束中心がスリットに入った位置座標であるXr5と光束中心がスリットから出た位置座標であるXf5の中間位置を、
Px=(Xr5+Xf5)÷2 …(3)式
の演算により、Pxとして求める。
【0062】
このPxは、原点に対する半導体レーザ2の有する発光点のX方向の位置座標を示している。(3)式では(Xr5+Xf5)を2で割ることにより、光束がスリット61を横切ったY方向の位置にかかわらず発光点のX方向の位置座標を求めることができる。これは、スリット61の左右のエッジがY方向に対して同一の角度を成しているからである。
【0063】
なお、スリットの幅がY方向に対して左右対称に広がっていない場合には、光束中心がスリットに入ったときの位置座標と光束中心がスリットから出たときの位置座標との間をスリットの左への広がり具合と右への広がり具合の比に応じて内分することで、発光点のX方向の位置座標を得ることができる。たとえば、右エッジがY方向に対してθ1の角度で、左エッジがY方向に対してθ2の角度で広がっている場合には、光束中心がスリットの左エッジを横切ったときの位置座標Xr5と、光束中心がスリットの右エッジを横切ったときの位置座標Xf5との間を、tanθ1:tanθ2の比率で内分した位置に基づいて微小光源のX方向位置を求めることができる。すなわち、
Px=Xr5+(Xf5−Xr5)×tanθ2/(tanθ1+tanθ2) …(4)式
によって求めることができる。
【0064】
光束中心のY方向位置Pyは、
Py=(Xf5−Xr5)÷2+Yc …(5)式
の演算によって求める。ここでYcは、スリットの左右のエッジの交点の位置座標である。(5)式は、スリットの左右のエッジがそれぞれY方向に対して45度の角度を成している場合に成立する。
【0065】
左右のエッジがそれぞれY方向に対して角θで左右対称に広がっている場合の一般式は、
Py=(Xf5−Xr5)÷2÷tanθ+Yc …(6)式
になる。さらに、右エッジがY方向に対してθ1の角度で、左エッジがY方向に対してθ2の角度で広がっている場合には、
Py=(Xf5−Xr5)÷(tanθ1+tanθ2)+Yc …(7)式
によって求めることができる。
【0066】
このほか、左右のエッジが直線的に広がっていない場合であっても、Y方向の位置とそのY方向位置座標における左右のエッジ間の距離とが1対1に対応するような形状をスリットが成している場合には、それらの左右のエッジ間の距離からY方向の位置座標を特定することができるので、発光点のY方向の位置座標を特定することができる。たとえば、スリットのエッジがある関数に従う曲線形状を成している場合には、その関数に基づく演算によって、光束中心がスリットを横切った際の距離に基づいて発光点のY方向位置座標を特定することができる。さらに特定の関数で表せない場合でも、スリットのエッジ間距離とY方向の位置座標との関係を予め測定してこれを参照テーブル等に記憶しておけば、光束中心がスリットを横切った際の距離に対応するY方向の位置座標をこの参照テーブルから読み出すことで、発光点のY方向位置座標を特定することが可能になる。
【0067】
なお、Y方向の位置座標が特定されれば、X方向の位置座標を以下のように求めてもよい。特定されたY方向の位置座標とスリットエッジの広がり具合や広がり角度とから、当該Y方向の位置座標におけるスリットエッジのX方向オフセット量を求める。そして、光束中心がスリットに入ったとき、もしくはスリットから出たときにおける光学部50のX方向の位置座標を先のX方向オフセット量で補正することにより、X方向における発光点の位置座標が特定される。
【0068】
たとえば、右エッジがY方向に対してθ1の角度で、左エッジがY方向に対してθ2の角度で広がっている場合には、光束中心が通過したY方向の位置座標を左右のエッジの交点に対する相対位置Y1で表すと、
Y1=(Xf5−Xr5)÷(tanθ1+tanθ2) …(8)式
として求まり、左右のエッジの交点に対する左エッジの相対的なオフセット量X1は、
X1=Y1×tanθ2 …(9)式
となる。そこで発光点は、左エッジよりX1だけ右にシフトした位置にあるはずなので、発光点のX方向の位置座標Pxを、
Px=Xr5+X1 …(10)式
として求めることができる。なお光束中心が右エッジを通過したXf5を基準とする場合には、X方向オフセット量は、
X2=Y1×tanθ1 …(11)式
となりPxは、
Px=Xf5−X2 …(12)式
として求めることができる。
【0069】
次に、三角スリット部材60の取り付け角度の検証について説明する。
ここでは、スリットはその幅が一定の割合で広がるものにする。取付角検証手段82は、光束中心がスリット61をX方向に横切るように移動させた際における第1受光手段54の出力値の変化特性を、三角スリット部材60をY方向にずらした2つの位置で測定する。そして、これらの変化特性の相違とスリット部材60のY方向への移動距離dYとスリット61の幅が広がる割合(エッジのY方向に対する角度)との関係から、スリット61の幅方向の向きとX方向との一致、不一致、あるいは誤差の大きさを求めるようになっている。
【0070】
たとえば、Y方向へ移動させる前に光束中心が左エッジを通過した際のX方向の位置座標をXr5_0、Y方向へdYだけ移動させた後に光束中心が左エッジを通過した際のX方向の位置座標をXr5_1とすると、左エッジのY方向に対する角度θrは、
θr=arctan((Xr5_0−Xr5_1)/dY) …(13)式
として求まる。
【0071】
またY方向へ移動させる前に光束中心が右エッジを通過した際のX方向の位置座標をXf5_0、Y方向へdYだけ移動させた後に光束中心が右エッジを通過した際のX方向の位置座標をXf5_1とすると、これより、右エッジのY方向に対する角度θfは、
θf=arctan((Xf5_1−Xf5_0)/dY) …(14)式
として求まる。
【0072】
そして、θrとθ2、あるいはθfとθ1とを比較し、一致、不一致およびこれらの大小に基づいて、角度の検証およびいずれの方向に三角スリット部材60を回せば、Y方向に対するエッジの角度が本来の角度になるかを検証する。なお検証結果に基づいて、光学部50の角度を自動で回転させてもよい。
【0073】
次に、Z方向の位置座標の測定について説明する。
Z方向における半導体レーザ2の位置座標の測定を行う場合には、半導体レーザ2を発光させた状態で、Yステージ24により光学部50をY方向に移動させる。すると、ビームスプリッタ53からの第2光束は、格子スリット部材70をスリット71が併設された方向に横切るように移動する。実際には、レーザ光はビームスプリッタ53によって90度屈折しているので、図7のZ方向に第2光束が移動することになる。
【0074】
図14は、格子スリット部材70のスリット71を横切って光束が移動する様子と、そのときに観測される第2受光手段55の出力値の変化特性151を示している。格子スリット部材70は、図7および図14に示すようにスリット71の併設方向が45度傾斜するように配置されているので、併設されたスリットの中の一端のスリット71aは、対物レンズ52に最も近い位置となり、他端のスリット71cに近いスリットほど、対物レンズ52から遠ざかるようになっている。そして、スリット71aとスリット71cの間に映像点が含まれるように格子スリット部材70は配置されている。
【0075】
先にも説明したように、スリットが映像点に近いほど、光束がスリットへ出入りする際における受光手段の出力値の立ち上がり、立下がり特性が急峻になり、映像点から外れるほど、緩やかになる。したがって、図14の矢印140が示す方向に光束が移動して、多数併設されたスリット71を横切ると、その際に観測される各スリット毎の波は、映像点に近いスリットに対応するものほど急峻に変化し、映像点から遠いスリットに対応するものほど緩やかに変化することになる。
【0076】
位置解析手段81は、得られた変化特性を微分してさらにその絶対値を取る。これにより、光束が横切ったスリットの数の2倍の数のピークが得られる。ピークの高さは、もとの波の変化率(急峻度)の大小を示している。位置解析手段81は、微分して絶対値を取った波形をさらに数学的に処理することで、映像点に相当する位置座標を見出す。すなわち、対物レンズ52から映像点までの距離を見出す。具体的には(図14参照のこと)、格子スリット部材70の傾斜角をθzとすると、基準点から映像点に至るまでの矢印140方向への光束の移動距離L1をtanθzで除することで、Z方向の基準点からのオフセット量L2が求まる。そして対物レンズから基準点までの距離と先のオフセット量L2とを加算することで、対物レンズ52から映像点までの距離を求める。これを光学倍率に基づいて換算することで、対物レンズ52から半導体レーザ2の発光点までの距離が求まり、その結果、発光点のZ方向の位置座標が特定される。
【0077】
数学的処理としては、微分して絶対値を取った波形のピークを繋ぐ包絡線を近似し、その包絡線のピークを、映像点が存在するであろう座標として特定する等である。このようにスリット71をその幅方向に多数併設した格子スリット部材70を、これらのスリットが映像点の前後に分散されるように斜めに配置したので、光束がこれら併設されたスリットを横切って移動するように光学部50を一定方向に一度移動させるだけで発光点のZ方向の位置座標を求めることが可能になっている。
【0078】
なお、ピントが外れた状態ではスリット幅よりも光束の径が大きくなり、ピントが合うとスリット幅よりも光束の径が小さくなるようにしておけば、変化特性として現われる波のピーク値にも差が生じるので、波のピークが増加する部分を最小二乗法等で近似したグラフと波のピークが減少する部分を最小二乗法等で近似したグラフの交点として、映像点の位置を把握し、これに基づいて微小光源のZ方向位置を特定するようにしてもよい。
【0079】
次に、Z方向の位置座標のさらに他の求め方について説明する。
先に説明したように、映像点に近いほど、光束がスリットへ出入りする際の受光手段の出力値の変化特性が急峻になる。そこで、光束が三角スリット部材60をX方向に横切って移動する際における波形の立ち上がりや立下がりの急峻度を、三角スリット部材60をZ方向に何箇所かに移動させて測定する。より詳細には、少なくとも映像点の前後それぞれで2箇所ずつの測定を行う。急峻度は、たとえば、図15に示すように、第1受光手段54の変化特性151のピークに対して出力値が10%になる位置を立ち上がり開始位置、90%に至る位置を立ち上がり終了位置とすることで、立ち上がり期間における移動光学系の移動量Xrを求め、これを急峻度として用いる。この場合、移動量が少ないほど急峻度が高いことになる。立下がり側についても同様にXfとして求められる。
【0080】
ピントの合う映像点の前後でそれぞれ少なくとも2箇所ずつ測定した急峻度(移動量)に基づき、急峻度が増加するときの変化を最小二乗法等で回帰近似したグラフ161と、急峻度が低下するときの変化を最小二乗法等で回帰近似したグラフ162とを図16に示すように求め、これらの交点を、急峻度が最も高くなる点、すなわち、映像点のZ方向の位置座標として求める。
【0081】
より具体的には、映像点を挟む両側のそれぞれで少なくとも2点の測定が確実に行われるように、たとえば9点ほどの測定点を設ける。一般的な半導体レーザ(CANタイプ)の場合、Z軸の誤差は±20μm程度である。そこで、たとえば、−60μm〜+60μmの範囲でZステージ25を15μm間隔で移動させて、9箇所で測定を行う。そして、急峻度が最大のものを1つ選び(立ち上がり期間の移動量を用いる場合には最小のもの)、測定値をその手前と後ろに分け、それぞれ最小二乗法によって直線で近似し、これらの交点を求めて、Z方向の位置座標を特定する。
【0082】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれら実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0083】
たとえば、実施の形態ではXステージ23を移動させることによって半導体レーザ2の発光点のX方向とY方向の位置座標を測定し、Yステージ24を移動させることによって格子スリット部材70を用いたZ方向の位置座標の測定を行ったが、たとえば、三角スリット部材60を取り付ける向きを90度変えて、スリットの幅方向がY方向になるように設定すれば、Yステージ24を移動させるだけで、三角スリット部材60を用いたXY方向の測定と格子スリット部材70を用いたZ方向の測定を一度に行うことが可能になる。
【0084】
また実施の形態では、半導体レーザを測定対象の微小光源としたが、これに相当するような微小な光源であれば、半導体レーザに限定されるものではない。さらに実施の形態では、顕微鏡光学系を用いたが、遠方の微小光源の位置を測定する場合には、望遠鏡光学系を使用すればよい。すなわち、移動光学系をX方向に移動させることに代えて光束がスリットをその幅方向に横切って移動するように望遠鏡光学系のレンズ部を回転させるとともに、移動光学系のX方向の位置および移動距離に代えてレンズ部の角度および回転角を用いる。これにより、遠方における広い範囲を測定範囲としてカバーすることができる。
【0085】
【発明の効果】
本発明にかかる微小光源位置測定装置によれば、検査台に取り付けられた半導体レーザなど固定された微小光源の正確な位置データを容易に取得することができるので、SMSRなど検査準備を迅速に進めることができる。
【0086】
特に、微小光源からの光を対物レンズで集光した光束が、幅の次第に広がるスリットをその幅方向に横切って移動するようにスリット等を移動させ、そのときスリットを通過した光の強度の変化特性に基づいて、光軸に垂直なXY平面内での微小光源の位置を特定するので、位置データの取得を容易かつ迅速に行うことができる。
【0087】
また、光束の径が最も細くなり、微小光源の映像が生成される映像点もしくはその近傍にスリット部材を配置することにより、スリットの幅を狭くして移動光学系の移動量を少なくすることができるので、検査をより迅速に行うことが可能になる。また光束がスリットに出入りする際の受光手段の出力値は、光束の径が小さいほど、急峻に変化するので、映像点もしくはその近傍にスリットを配置することにより光束の中心がスリットに出入りする位置を的確に把握でき、測定精度を高めることができる。
【0088】
移動光学系をX方向に移動させた際における受光手段の出力値の変化特性を、スリット部材をY方向にずらした2つの位置で測定し、これらの変化特性の相違とスリット部材のY方向への移動距離とスリットの幅が広がる割合との関係から、スリットの幅方向の向きとX方向との差を求めるものでは、スリットの向きを的確かつ容易に検証することができ、測定精度を高めることができる。
【0089】
また移動光学系をX方向に移動させた際における受光手段の出力値の立ち上がりまたは立ち下がりの急峻度の測定を、移動光学系をZ方向にずらして数箇所について行い、この測定に基づいて急峻度が最大になる移動光学系のZ方向位置を導出して、Z方向における微小光源の位置を特定するものでは、XY方向を特定するために用いるスリットや光学系を利用してZ方向についての位置も特定することができ、装置構成の簡略化を図ることができる。
【0090】
またスリットの幅方向に多数のスリットが併設された格子スリット部材を、各スリットから対物レンズまでの距離が映像点を挟んで次第に変化するように斜めに倒して配置し、対物レンズで集光された光束をこれらのスリットを横切るように移動させ、このときの受光手段の出力値の変化特性を解析することでZ方向における微小光源の位置を特定するものでは、移動光学系の移動を1回行うだけで微小光源のZ方向の位置を特定することができ、迅速な位置測定が可能になる。
【0091】
対物レンズによって集光された光束を第1光束と第2光束にビームスプリッタで分岐し、第1光束を幅が次第に広がるスリットを通過させることで微小光源のXY方向における位置の特定を行い、第2光束を格子スリット部材に通すことで、微小光源のZ方向位置を特定するものでは、同一の測定装置でXYZのすべての方向について位置を特定することができるので、微小光源を固定したままで、XYZのすべての方向について位置を特定することができる。また同一の測定装置でXYZのすべての方向についての位置を測定できるので、測定作業を迅速化することができる。さらに対物レンズや鏡筒、移動手段としてのXYZステージ等を共通化でき、装置構成が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる微小光源位置測定装置の光学系を模式的に示した説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置を示す側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置を示す上面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置で用いる三角スリットを示す正面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置で用いる格子スリットを示す正面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置の有する光学部のスリット近傍部分を拡大して示す説明図である。
【図8】図1に示した三角スリットおよび第1受光手段を対物レンズ側から見た様子を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置においてスリットがほぼ映像点にありかつ光束がスリットの比較的幅の広い部分を横切った場合の出力値の変化特性を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置においてスリットがほぼ映像点にありかつ光束がスリットの比較的幅の狭い部分を横切った場合の出力値の変化特性を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置においてスリットが映像点から外れた位置にありかつ光束がスリットの比較的幅の広い部分を横切った場合の出力値の変化特性を示す説明図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置においてスリットが映像点から外れた位置にありかつ光束がスリットの比較的幅の狭い部分を横切った場合の出力値の変化特性を示す説明図である。
【図13】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置において光束がスリットを横切ったときの出力値の変化特性から光束中心がスリットのエッジを通る位置等を求める際に用いる基準位置等を示す説明図である。
【図14】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置において格子スリットを横切って光束が移動する様子と、そのときに観測される第2受光手段の出力値の変化特性の一例を示す説明図である。
【図15】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置において三角スリットを用いてZ方向の位置を測定する際に用いる急峻度を求めるための基準範囲を示す説明図である。
【図16】本発明の一実施の形態に係る微小光源位置測定装置において測定した急峻度に基づいて、最も急峻度が大きくなる位置を割り出すための近似グラフの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
2…半導体レーザ
3…検査台
10…微小光源位置測定装置
20…測定台
21…ベース板
22…支柱部
23…Xステージ
24…Yステージ
25…Zステージ
26…ホルダーアーム
27a〜27c…ステッピングモータ
50…光学部
51…鏡筒
52…対物レンズ
53…ビームスプリッタ
54…第1受光手段
55…第2受光手段
60…三角スリット部材
61…三角形のスリット
70…格子スリット部材
71…スリット
80…制御部
81…位置解析手段
82…取付角検証手段
111〜114、131、151…変化特性
140…光束の移動方向を示す矢印
162…回帰近似したグラフ
Claims (12)
- 微小光源の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源からの光を集光するレンズ部と、
前記レンズ部によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段と、
幅が次第に広がるスリットを有するスリット部材であって、前記レンズ部の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリットの幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記レンズ部と前記受光手段の間に配置されたものと、
前記レンズ部を介して集光された光束が前記スリットをその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材と前記レンズ部の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系を前記X方向に移動させる移動手段と、
前記移動光学系の位置と前記受光手段の出力値との関係に基づいて前記微小光源の位置を解析する位置解析手段を有し、
前記位置解析手段は、前記移動手段が前記移動光学系を移動させた際における前記受光手段の出力値の変化特性から前記光束の中心がスリットに入ったときの前記移動光学系のX方向位置と前記光束の中心がスリットから出たときの前記移動光学系のX方向位置とを求め、これらの間の距離と前記スリットの幅の広がり具合との関係から前記微小光源のY方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。 - 微小光源の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源からの光を集光するレンズ部と、
前記レンズ部によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段と、
幅が左右対称に次第に広がるスリットを有するスリット部材であって、前記レンズ部の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリットの幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記レンズ部と前記受光手段の間に配置されたものと、
前記レンズ部を介して集光された光束が前記スリットをその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材と前記レンズ部の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系を前記X方向に移動させる移動手段と、
前記移動光学系の位置と前記受光手段の出力値との関係に基づいて前記微小光源の位置を解析する位置解析手段を有し、
前記位置解析手段は、前記移動手段が前記移動光学系を移動させた際における前記受光手段の出力値の変化特性から前記光束の中心がスリットに入ったときの前記移動光学系のX方向位置と前記光束の中心がスリットから出たときの前記移動光学系のX方向位置とを求め、これらの間の距離と前記スリットの幅の広がり具合との関係から前記微小光源のY方向位置を特定するとともに、前記光束の中心がスリットに入ったときの前記移動光学系のX方向位置と前記光束の中心がスリットから出たときの前記移動光学系のX方向位置との中心位置に基づいて前記微小光源のX方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。 - 微小光源の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源からの光を集光するレンズ部と、
前記レンズ部によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段と、
幅が次第に広がるスリットを有するスリット部材であって、前記レンズ部の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリットの幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記レンズ部と前記受光手段の間に配置されたものと、
前記レンズ部を介して集光された光束が前記スリットをその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材と前記レンズ部の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系を前記X方向に移動させる移動手段と、
前記移動光学系の位置と前記受光手段の出力値との関係に基づいて前記微小光源の位置を解析する位置解析手段を有し、
前記位置解析手段は、前記移動手段が前記移動光学系を移動させた際における前記受光手段の出力値の変化特性から前記光束の中心がスリットに入ったときの前記移動光学系のX方向位置と前記光束の中心がスリットから出たときの前記移動光学系のX方向位置とを求め、これらの間の距離と前記スリットの幅の広がり具合との関係から前記微小光源のY方向位置を特定するとともに、前記光束の中心がスリットに入ったときの前記移動光学系のX方向位置と前記光束の中心がスリットから出たときの前記移動光学系のX方向位置との間をスリットの左への広がり具合と右への広がり具合の比に応じて内分した位置に基づいて前記微小光源のX方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。 - 微小光源の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源からの光を集光するレンズ部と、
前記レンズ部によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段と、
幅が次第に広がるスリットを有するスリット部材であって、前記レンズ部の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリットの幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記レンズ部と前記受光手段の間に配置されたものと、
前記レンズ部を介して集光された光束が前記スリットをその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材と前記レンズ部の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系を前記X方向に移動させる移動手段と、
前記移動光学系の位置と前記受光手段の出力値との関係に基づいて前記微小光源の位置を解析する位置解析手段を有し、
前記位置解析手段は、前記移動手段が前記移動光学系を移動させた際における前記受光手段の出力値の変化特性から前記光束の中心がスリットに入ったときの前記移動光学系のX方向位置と前記光束の中心がスリットから出たときの前記移動光学系のX方向位置とを求め、これらの間の距離と前記スリットの幅の広がり具合との関係から前記微小光源のY方向位置を特定するとともに、前記光束の中心がスリットに入ったときもしくはスリットから出たときにおける前記移動光学系のX方向位置を、そのときの光束中心のY方向位置と前記スリットの広がり具合とから求めた当該Y方向位置におけるスリットエッジのX方向オフセット量で補正することにより、前記微小光源のX方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。 - 前記レンズ部によって前記微小光源の映像が生成される点である映像点もしくはその近傍に前記スリットが位置するように前記スリット部材を配置する
ことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の微小光源位置測定装置。 - 前記スリットの幅方向と前記X方向との一致を検証する取付角検証手段をさらに有し、
前記取付角検証手段は、前記移動手段が前記移動光学系をX方向に移動させた際における前記受光手段の出力値の変化特性を、前記スリット部材をY方向にずらした2つの位置で測定し、前記変化特性の相違と前記スリット部材のY方向への移動距離と前記スリットの幅が広がる割合との関係から、前記スリットの幅方向の向きと前記X方向との差を求める
ことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の微小光源位置測定装置。 - 前記位置解析手段は、前記移動手段が前記移動光学系をX方向に移動させた際に前記受光手段の出力値の立ち上がりと立ち下がりのいずれか一方もしくは双方の急峻度を求めることを、前記移動光学系を前記光軸方向であるZ方向にずらして、スリットが前記微小光源の映像が生成される点である映像点の手前にある状態と奥側にある状態とでそれぞれ少なくとも2箇所ずつ行い、これらの測定結果から前記急峻度が最大になる前記移動光学系のZ方向位置を算出し、これに基づいて前記微小光源のZ方向位置を特定する
ことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の微小光源位置測定装置。 - 微小光源の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源からの光を集光するレンズ部と、
前記レンズ部によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段と、
スリットを有するスリット部材であって、前記レンズ部の光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記スリットの幅方向を前記X方向と一致する向きにして前記微小光源の映像が生成される点である映像点の近傍に配置されたものと、
前記レンズ部を介して集光された光束が前記スリットをその幅方向に横切って移動するように、前記スリット部材と前記レンズ部の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系を前記X方向に移動させる移動手段と、
前記移動光学系の位置と前記受光手段の出力値との関係に基づいて、前記光軸方向であるZ方向における前記微小光源の位置を解析する位置解析手段を有し、
前記位置解析手段は、前記移動手段が前記移動光学系をX方向に移動させた際に前記受光手段の出力値の立ち上がりと立ち下がりのいずれか一方もしくは双方の急峻度を求めることを、前記移動光学系を前記光軸方向であるZ方向にずらして、スリットが前記微小光源の映像が生成される点である映像点の手前にある状態と奥側にある状態とでそれぞれ少なくとも2箇所ずつ行い、これらの測定結果から前記急峻度が最大になる前記移動光学系のZ方向位置を算出し、これに基づいて前記微小光源のZ方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。 - 微小光源の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源からの光を集光するレンズ部と、
前記レンズ部によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段と、
スリットがその幅方向に多数併設された格子スリット部材であって、前記レンズ部の光軸をZ方向としかつ光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記レンズ部の光軸に垂直かつ前記スリットの併設方向とX方向とを一致させた状態に対して前記スリットの併設方向と光軸の成す角が90度から外れるように斜めに倒した状態で前記微小光源の映像が生成される点である映像点の近傍に配置されたものと、
前記レンズ部を介して集光された光束が前記映像点の前後で前記多数のスリットをそれらの併設方向に横切って移動するように前記格子スリット部材と前記レンズ部の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系を前記X方向に移動させる移動手段と、
前記移動光学系の位置と前記受光手段の出力値との関係に基づいて前記微小光源の位置を解析する位置解析手段とを有し、
前記位置解析手段は、前記移動手段が前記移動光学系を移動させた際における前記受光手段の出力値の変化特性を微分して絶対値をとり、これにおいて最大値が現れるであろう前記移動光学系のX方向位置を求め、これに基づいて前記微小光源のZ方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。 - 微小光源の位置を測定する微小光源位置測定装置において、
前記微小光源からの光を集光するレンズ部と、
前記レンズ部によって集光された光束を受光し、その強度に応じた信号を出力する受光手段と、
スリットがその幅方向に多数併設された格子スリット部材であって、前記レンズ部の光軸をZ方向としかつ光軸と垂直な面内で直交する二方向をX方向およびY方向としたとき、前記レンズ部の光軸に垂直かつ前記スリットの併設方向とX方向とを一致させた状態に対して前記スリットの併設方向と光軸の成す角が90度から外れるように斜めに倒した状態で前記微小光源の映像が生成される点である映像点の近傍に配置されたものと、
前記レンズ部を介して集光された光束が前記映像点の前後で前記多数のスリットをそれらの併設方向に横切って移動するように前記格子スリット部材と前記レンズ部の何れか一方もしくは双方からなる移動光学系を前記X方向に移動させる移動手段と、
前記移動光学系の位置と前記受光手段の出力値との関係に基づいて前記微小光源の位置を解析する位置解析手段とを有し、
前記位置解析手段は、前記移動手段が前記移動光学系を移動させた際における前記受光手段の出力値の変化特性に現れた多数のピークから、最大ピーク値が現れるであろう前記移動光学系のX方向位置を求め、これに基づいて前記微小光源のZ方向位置を特定する
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。 - 請求項1、2、3または4に記載の微小光源位置測定装置と、請求項9または10に記載の微小光源位置測定装置とを少なくともレンズ部を共用して備えるとともに、前記レンズ部によって集光された光束を第1光束と第2光束に分岐するビームスプリッタを有し、
前記ビームスプリッタの出力する前記第1光束を請求項1、2、3または4に記載の微小光源位置測定装置で使用し、
前記ビームスプリッタの出力する前記第2光束を請求項9または10に記載の微小光源位置測定装置で使用するように構成した
ことを特徴とする微小光源位置測定装置。 - 前記移動光学系をX方向に移動させることに代えて前記光束が前記スリットをその幅方向に横切って移動するように前記レンズ部を回転させるとともに、前記移動光学系のX方向の位置および移動距離に代えて前記レンズ部の角度および回転角を用いることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11に記載の微小光源位置測定装置。
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