JP3700498B2 - 加圧成形用の加圧体及びその加圧体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、被加圧成形体を対向する一対の金型で加圧成形を行う場合に使用される加圧体であって、該加圧体が膨縮可能なゴム製ホースによるもので、特に、ゴムあるいは樹脂材料の加圧成形された製品の表面に光沢性の斑あるいは部分的なぼけがないことを要求される場合に、耐久性・取扱い性・安全性の優れた加圧体として有用である。
【0002】
【従来技術】
一般に、ゴム、樹脂あるいはその複合材料を板状に加圧成形する場合は、ラムあるいはプランジャ形式により金型あるいは熱盤を介して加圧される。
また、本願出願人が考案した実開平2−139890号の如く、ゴム製の筒状本体の両端部をシールして袋状となしその内部に流体圧を導いてこれを膨張させるようにした重量物の持ち上げ・搬送用の膨張バッグが知られている。(図6参照)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、広い面積にわたり光沢性の斑あるいは部分的なぼけがないことを要求される敷物用板材あるいは天板のゴムや樹脂材料を、ラムあるいはプランジャ形式で加圧成形した場合は、金型あるいは熱盤に略調整不能な微少な歪みの発生により、成形された製品の表面に部分的な円形状あるいは長円形すじ状の光沢斑あるいは部分的ぼけの発生が避けられない。これは一般的に、極僅かなエアーあるいは発生する気体が成形体と金型あるいは熱盤の間に極薄い気体膜として滞留することによると思われている。
この気体を排除するため、成形加圧のときのラムあるいはプランジャによるバンピングの仕方、金型・熱盤の平行度調整、その微妙な歪み代吸収の設定あるいは金型を支持するフレームの構造等に色々工夫を凝らすことが試みられている。
また、流体による加圧では被加圧成形体が均一に加圧されるため上記の問題を解決するが、広い面積の重量物の持上げ用の前述のゴム製膨張バッグはその製造が困難であり、それを使用した場合は特定した金型あるいは熱盤のみで汎用性がなく、繰返し使用できる耐久性もない。しかも、その取扱いが不便であり、加圧膨張時にバッグが破れたときの作業者等の安全性確保に困難を伴う。
【0004】
本発明は、これら問題に鑑みなされたもので、ゴムあるいは樹脂の成形品の表面に斑、部分的なぼけのない高度の平滑性あるいは均一な光沢性が要求される加圧成形用に、あるいは1次、2次等の補正用の加圧成形において、繰返し使用できる耐久性・汎用性・取扱い性・安全性の優れた加圧体を提供するもである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、被加圧成形体を挟む一対の金型が加圧体の膨張により押圧される加圧成形において、該加圧体が膨縮可能なゴム製ホースで、該ホースの両口元部を各々気密に締付けた締結具と、該締結具の少なくとも一方には該ホースを膨縮させる流体入出用の金具を備えていることを特徴とする手段を有している。
このことより、加圧体が流体による膨縮容易で量産且つ入手容易な耐圧性のゴム製ホースのため、簡便に加圧体の製造が可能である。また、該ホースがその長さ方向にわたって被加圧成形体に均一な加圧ができる。
【0006】
請求項2記載の発明は、被加圧成形体を挟む一対の金型が加圧体の膨張により押圧される加圧成形において、該加圧体が膨縮可能なゴム製ホースで、該ホースの両口元部を各々気密に締付けた締結具と、該ホースを膨縮させる流体入出用の金具とを備え、該金具が雄ねじ部材の鍔部と雌ねじ部材とで該ホースの周壁部の肉厚を挟着して気密に螺着されていることを特徴とする手段を有している。
このことにより、流体入出用の金具の位置を自由に設定できるため、加圧成形作業現場の各種の配管、フレーム構造体あるいは加圧体が配設される隙間等に合わせて、必要な所に上記金具を備えた加圧体を容易に備えることができる。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2において、前記金具が前記ホースの長さ方向中央部に備えていることを特徴とする手段を有する。
このことにより、ホースの長さ方向中央部から流体が入出されるため、ホースが膨縮するさいのホースの滑動及び捩りは口元部よりの流体入出より少なく、加圧体と金型面あるいは基盤との摩擦が少なくなって耐久性が向上する。また、加圧体の位置も安定する。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、前記締結具の少なくとも一方が、前記ホースの口元部を一対の硬質帯板で偏平状に挟み込みこれを締結するボルトで気密に螺着されており、該帯板の上面が前記押圧される金型面と平行面になっていることを特徴とする手段を有する。このことにより、ホースを偏平状に挟み込んだ帯板面が金型外面と平行面のため、ホースの口元部肉厚を円筒金具で加締めたばあいに比べ膨縮するさいのホースの捩れや衝撃による滑動が拘束され、加圧体の位置が安定して金型や基盤との摩擦が少なくなり加圧体の耐久性が向上する。また、金型と基盤との隙間が円筒金具の外径に拘束されないので、その隙間あるいはストロークが少なくてすむ。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、前記ホースが、前記金型の押圧方向に該ホースが膨縮するように偏平状に成形されていることを特徴とする手段を有する。このことにより、ホース全長が既に偏平状をしているため、ホースの膨張が金型押圧方向に均等に行われ、被成形体の加圧分布がより均等になる。また、ホース膨張時のホースの滑動が少なく、その位置がより安定する。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかにおいて、前記金型に対して前記加圧体が複数個よりなっていることを特徴とする加圧成形用の加圧体。このことにより、使用される金型の幅・長さに合わせて膨張バッグを特別あるいは専用に用意することなく、ホースを密に配設することにより、流体による均一な加圧が広い面積に容易に可能となる。特に、金型の歪みを考慮しなくても良いので厚みの薄くて軽量で安い金型を使用できる。更に、加圧体個々のホースの加圧順序・速度を電磁弁等により正確に制御することが可能なため、被加圧成形体の滞留するエアーの排除が容易となる。更に、加圧時一本のホースが破れても加圧体が多数のホースよりなっているため、流失する流体量も少なく流失圧力による作業者の安全性も確保される。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項2において、前記金具の挿通孔を前記ホースの所定の周壁部に設け、該金具に接する各々内外の該周壁面に常温接着剤を各々塗布した後、該金具を該挿通孔に挿入し、該周壁部の肉厚を前記鍔部及び前記雌ねじ部材で挟着し気密に螺着して、該金具を備えることを特徴とする手段を有する。
このことにより、流体入出用金具のホースへの取付が特殊技術の必要もなく短時間にできることと、加圧成形現場において必要都度加圧体が用意できて請求項2記載の課題が解決する。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項4において、前記帯板に接する前記ホースの各々外周壁面及びその内周壁面に常温接着剤を塗布した後、前記口元部を該帯板で偏平状に挟み込みこれを締結するボルトで気密に螺着して、該締結具を備えることを特徴とする手段を有する。
このことにより、円筒金具を用いてホースを加締めるための特殊プレス・治具は必要なくて、加圧成形現場の金型あるいは基盤に合わせてホースを必要長さに切断後、請求項7記載の発明に加えて特殊技術の必要もなく加圧体を手軽に製造できる。
【発明の実施の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図に基づき説明する。
図1(イ)は、加圧膨脹した加圧体1を基盤3の上に配設した概要断面図で、加圧体1が各々仕切板31に仕切られて30本並列されている。但し、その両端を除いた加圧体1と、その長さ方向中央部に基盤3側に向けて取付けてある各々の流体入出用の金具5及びそれに接続するエアー配管等は図示していない。
加圧体1の上に断熱板7、下熱盤6、下金型22が各々配設され、上金型21との間に、ゴムあるいは樹脂材料成形物が載置され、加圧体1の膨張により幅1m、長さ3m、厚み30mmの敷板に加圧成形される。上熱盤及び上下金型21、22を拡開・押止する装置等は図示していない。
図1(ロ)は、該加圧体1の長さ方向概要断面図を示し、点線矢印はエアー配管及び金具5の取付位置を示す。下熱盤6が加圧体1の長さ方向に4枚並列されている。
図2は、図1(イ)の加圧膨張前を示す。
【0014】
上記実施例の金型構造、熱盤、断熱板、仕切板、基盤等はあくまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。例えば、金型構造が、上、下型の一対の平面板でその間に被加圧体の厚みに相当する金枠を置いたものでも良い。
また、樹脂製板の加圧成形用であれば熱盤とそれにともなう断熱板は不要で、加圧体1が直接下型22を押圧することになる。また、加熱・冷却を繰返す加圧成形ではそれ相当の装置が付加される。
【0015】
図3は、加圧体1の概要一部断面図を示す。加圧体1は、膨脹可能なホース11と、該ホースの両口元部を各々気密に締付ける締結具4及び加圧流体入出用の金具5とからなる。
金具5の雄ねじ部材51は、その中心部に内径10mmの貫通孔を有し、その頭部は外径50mmの鍔部となっている。雌ネジ部材52は座金付ナットからなる。要は、該雄ねじの鍔部と該雌ねじは、ホースの周壁部の肉厚を気密に挟着できるようにその対向面が形成されておれば良い。
【0016】
図4は、加圧体1の口元部の概要斜視図を示す。締結具4でホース11の口元部を一対の硬質帯板41で偏平状に挟み込みこれを締結するボルト42で気密に螺着されている。締結具4は、幅25mm、厚み3.2mm、長さ105mmの帯鉄41と、これを締付けるM6ネジ皿ボルト・ナット42とからなる。好ましくは、手軽に入手できる一対の金属製帯板41で挟み込みボルトで締付けるのが簡単である。
【0017】
図5は、ホース11の両口元部を締結具4に替って、公知のホース用円筒金具継手8を使用して口元部肉厚全周を公知の専用プレスで加締められ、一端に密閉栓81、他端に密閉栓に替って流体入出用のパイプ82を備えている。
【0018】
ホース11は、ゴム製あるいは膨縮できるものであれば良い。特に、中間層にスパイラル状の補強繊維層14が積層されたホースが膨脹性・耐圧性・耐久性に有効である。
ホース11は、肉厚3.7mm、中間層に補強繊維がスパイラル状に2層積層14された積層構造で、長さ950mm、設計耐圧3.5MPaで、加圧0.05MPaのとき外径が71mmとなる。
好ましくは、ホース11は、加圧膨張のときにホースの捩れ・滑動を低減するため、ホース自体が事前に偏平状に製造したもの(膨張前ホースの広幅部外径110mm・幅狭部外径30mm)も使用できる。
【0019】
加圧体1の製造方法は、ホース11を長さ950mm程度に切断し、その長さ方向中央部の所定の周壁面に雄ねじ51の筒状部を挿通する径25mmの孔を穴あけポンチであけ、金具5で挟着されるホース11の内外周壁面と、帯鉄41で偏平状に挟み込まれるホース11の両口元部の内外周面とをそれぞれバフ研磨し、その研磨部に常温接着剤セーフボンド(東海ゴム工業株式会社製)を塗布した後に、該孔の肉厚を該雄ねじ51の鍔部と雌ねじ部材52で挟み込んで気密に螺着する。
次に、ホースの両口元部各々を偏平状にし、その外周面から各々帯鉄41で挟み込みボルト42で気密に螺着する。
【0020】
ついで、加圧体1の評価試験として、上、下に基盤を置きその間隔を30mmにセットし、上記の如く製造された加圧体1をその間に載置して、該加圧体に0.5MPaで0.5分間のエアー加圧を繰返し該加圧体が膨脹時に該基盤の上下面に押圧を繰返すサイクル耐久試験では、12000回でも該加圧体からエアーの漏れは発生しなかった。
【0021】
被加圧成形体の成形は、ゴム配合組成物をカレンダーあるいは押出によるシートを上下金型21,22の間にに載置あるいは積層後、上型21を押止し、加圧体1にエアー加圧0.5MPaを行う。加圧体1が膨張して金型2を介して被加圧成形体に加圧される。30本の各々加圧体1の加圧順序・速度は被加圧成形体と金型との間にエアーが滞留しないように各々電磁弁で制御されても良い。
150℃×40分の所定の加硫時間押圧後、加圧体が除圧され加圧体1は収縮する。上型21が拡開して成形品が取出される。
【0022】
【発明の作用及び効果】
ゴムあるいは樹脂製の被加圧成形体を金型あるいは熱盤を介して加圧する場合、加圧が流体によって膨張する耐圧性のゴム製ホースのため加圧は均一となり、被加圧成形体に滞留する気体を排除することができる。特に、広い面積あるいは金型に気体が滞留し易い凹凸面模様が形成してある場合には、複数の加圧体が密に配設されているので気体の排除に有効である。また、ホース毎の加圧順序・速度の制御も電磁弁等で行うこともできる。
このことにより、成形品の表面に光沢性の僅かな斑あるいは部分的ぼけのないものが要求される製品の加圧成形用、あるいは、1次、2次あるいは補正用加圧成形の加圧体として特に有用である。
更に、一個の加圧体で加圧するのでなく、多数のホースにより加圧するので一本が破壊しても流体量が少ないので流体圧による作業者の安全性の問題は発生しにくい。
また、入手容易な帯鉄、流体入出用金具がボルト、ナットで螺着され常温接着剤を介してホースを締付けるため、成形加工現場で金型あるいは熱盤に合わせて容易に加圧体を製造できる。特に、金型の段取り替えが短時間で済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の加圧体配設概要断面図
【図2】図1(イ)の加圧体が加圧膨張前の状態図
【図3】図1の加圧体の概要一部断面図
【図4】図1の締結具概要斜視図
【図5】円筒金具継手を使用した加圧体の上半分断面図の側面図
【図6】従来技術のゴム製膨張バッグの斜視図
【符号の説明】
1 加圧体
11 ゴム製ホース
21 上型金型
22 下型金型
3 基盤
4 締結具
41 帯板
42 ボルト
5 流体入出用金具
51 雄ねじ部材
52 雌ねじ部材
8 円筒金具継手
81 密閉栓
82 流体入出用パイプ
Claims (8)
- 被加圧成形体を挟む一対の金型が加圧体の膨張により押圧される加圧成形において、該加圧体が膨縮可能なゴム製ホースで、該ホースの両口元部を各々気密に締付けた締結具と、該締結具の少なくとも一方には該ホースを膨縮させる流体入出用の金具を備えていることを特徴とする加圧成形用の加圧体。
- 被加圧成形体を挟む一対の金型が加圧体の膨張により押圧される加圧成形において、該加圧体が膨縮可能なゴム製ホースで、該ホースの両口元部を各々気密に締付けた締結具と、該ホースを膨縮させる流体入出用の金具とを備え、該金具が雄ねじ部材の鍔部と雌ねじ部材とで該ホースの周壁部の肉厚を挟着して気密に螺着されていることを特徴とする加圧成形用の加圧体。
- 請求項2において、前記金具が前記ホースの長さ方向中央部に備えていることを特徴とする加圧成形用の加圧体。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、前記締結具の少なくとも一方が、前記ホースの口元部を一対の硬質帯板で偏平状に挟み込みこれを締結するボルトで気密に螺着されており、該帯板の上面が前記押圧される金型面と平行面になっていることを特徴とする加圧成形用の加圧体。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、前記ホースが、前記金型の押圧方向に該ホースが膨縮するように偏平状に成形されていることを特徴とする加圧成形用の加圧体。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかにおいて、前記金型に対して前記加圧体が複数個よりなっていることを特徴とする加圧成形用の加圧体。
- 請求項2において、前記金具の挿通孔を前記ホースの所定の周壁部に設け、該金具に接する各々内外の該周壁面に常温接着剤を各々塗布した後、該金具を該挿通孔に挿入し、該周壁部の肉厚を前記鍔部及び前記雌ねじ部材で挟着し気密に螺着して、該金具を備えることを特徴とする加圧成形用の加圧体の製造方法。
- 請求項4において、前記帯板に接する前記ホースの各々外周壁面及びその内周壁面に常温接着剤を塗布した後、前記口元部を該帯板で偏平状に挟み込みこれを締結するボルトで気密に螺着して、該締結具を備えることを特徴とする加圧成形用の加圧体の製造方法。
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