JP3699705B2 - 航空機の至近点通過時刻等の測定方法 - Google Patents
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Description
本発明は、地上の一地点において、その上空域を通過飛行する航空機が、該地点に最接近した至近点通過時刻を測定する方法並びに該方法を利用した航空機の飛行位置、飛行方向、飛行コース及び航空機騒音等の測定方法に関する。
技術背景
地上の一地点からその上空域を通過する航空機の至近点通過時刻を正確に採取することは、該航空機に対する各種の測定を行う場合の測定精度向上のためには必須の基礎条件である。
従来の至近点通過時刻の測定は、通常航空機騒音測定によって得られた騒音レベル変化データから、そのピーク値採取時点を基準として、雑音成分を除去し、さらに天候気象条件等を考慮して、至近点通過時刻を推定している。
さらに、上記の航空機騒音側のさいに、該航空機から放射されている水平面無指向性の1090MHzのトランスポンダ応答信号電波を受信して、その電界強度レベル変化、信号解読による機種識別及び飛行高度データとを対比して電界強度ピーク値採取時点により精度よく至近点通過時刻の測定が可能となった(特開平4−40646号公報参照)。
従来の前記航空機騒音測定による至近点通過時刻の測定方法においては、複雑な変動要因を考慮して面倒なデータ解析をする必要があり、しかもその測定精度が不充分であり、満足できるものではなかった。
また、騒音測定とともにトランスポンダ応答信号電波の電界強度レベルのピーク値により、至近点通過時刻を測定する方法は、相当な精度での測定が可能となったが、トランスポンダ応答信号電波自体のピーク値の時間分布が平坦で、なお充分な精度が得られない問題点があった。
近時の航空機運行は著しく増大し、特に空港に離着陸する航空機は、一日当たり500機以上となる場合があり、空港周辺地域では、飛行間隔が90秒以下になる高い飛行密度となることもあり、深刻な航空機騒音公害を生じている。
このような飛行頻度の高い場合には、前記の騒音測定手段による至近点通過時刻の測定は個別航空機の識別が困難で事実上無意味であり、またトランスポンダ応答信号電波受信による手段では、その電界強度ピーク値の採取は殆ど不可能となる問題点がある。
発明の開示
本発明は航空機から下方に指向放射される対地高度測定用電波を地上の測定点で受信して電界強度レベル変化をコンピュータに入力する至近点通過時刻測定方法である。
航空機はその機体下面に1〜3個の対地高度測定用電波発信アンテナを備えて直下方向に鋭い指向性を有して、機種によって異なるが、通常前進方向に30°、後方に20°、左右方向に50〜60°の放射パターンの4.3GHzの掃引信号(軍用機では4.3GHz又はそれ以上の周波数帯のパルス信号)の指向性電波を放射しながら飛行している。
したがって、地上の一地点にて前記の対地高度測定用電波を受信してその電界強度レベル変化をコンピュータに入力記録すれば、航空機の対地高度測定用電波の放射パターンが該地点を横切り通過する間の電界強度レベル変化波形を得ることとができ、そのピーク値は、航空機の直下軸を含む飛行方向に直角な垂直平面が通過したことを示し、その時点を至近点通過時刻と見做すことができるものである。
航空機が測定点直上を通過した場合は電界強度レベル変化採取時間も長くそのピーク値強度も最大となるが、飛行経路が直上から側方に離れることによりデータ採取時間は短くなりピーク値強度も低下し、又、飛行高度によって採取範囲、採取時間、ピーク値強度等も変化する。
しかし、ピーク値までの立上がり、立下がりは極めて急激であり、ピーク値が採取できる限り、至近点通過時刻の測定を正確に行うことができる。
Fig.9は、成田空港の滑走路北端から北方に5kmの、周囲が森林地域の離陸航空路直下において、高度約700mの上昇航空機の対地高度測定用電波及びトランスポンダ応答信号電波の受信による両者の電界強度レベル変化の30分間のコンピュータ記録をプリントアウトしたグラフであり、本発明による対地高度測定用電波の受信ピーク値は極めて鋭敏であるのに対し、トランスポンダ応答信号電波によるものはそのピーク値点が幅広く不明確である。
Fig.10は成田空港南端から南方に20kmの着陸航空路直下において高度約1500mの下降航空機に対するFig.9の場合と同様な対比データであり、該地点は海岸に位置して、上空が完全に見渡せる状態であるため、トランスポンダ応答信号電波は広範囲の多数の航空機からのものが重畳受信されるため、常に高いレベルで受信され、個別の受信信号は識別困難であり、まして、その個別のピーク値は全く不明となるのに対し、本発明の対地高度測定用電波はFig.9の場合と同様明確鋭敏に採取されている。
前記のトランスポンダ応答信号の測定例は何れの電波受信も無指向性アンテナにより行った場合を示すものであるが、飛行する航空機の飛行方向及び経路が略一定である航空路を対象とする場合は一方向指向性アンテナにより受信領域を限定すれば航空機毎に応答信号が採取でき、接近情報として有用であるが、至近点通過情報としては、そのピーク値幅が平坦で特に航空機に搭載されたトランスポンダアンテナの指向性が直下に対してはヌル(感度0)になることから測定精度が不充分である。
本発明は航空機から下方に指向放射される対地高度測定用電波を利用して正確な至近点通過時刻を測定するものであるが、直上指向性アンテナにより受信して測定領域を限定することもできる、特に該電波が飛行方向に対して水平偏波されていることからして、その受信を一方向指向性の偏波アンテナを用いることにより、受信領域を主要航空路に沿う範囲に限定することができ、例えば平行滑走路を有する空港の場合に各滑走路に対応した複数の偏波アンテナによりそれぞれの滑走路に区分して、離着陸航空機の通過時刻、並びに通過機数、飛行間隔などを正確に自動計測することができる。
上記の一方向指向性の偏波アンテナの指向特性は既知であり、例えばλ/2ダイポール型の偏波アンテナの指向性係数Dは
D(θ)=cos(π/2・cosθ)/sinθ
の式により算出され、その指向特性図は指向軸を長軸とする楕円形として表示される(Fig.6参照)。
したがって、この一方向指向性のλ/2ダイポール型の偏波アンテナの複数を組合せて、少なくともその1を直上指向軸とし、他を指向軸方向及び/又は受信偏波面を異ならしめて設置することにより、航空機の至近点通過時刻とともに、その時点における航空機の空間位置に対する測定点からの方位方向の基礎データ、仰角データ、さらには航空機の進行方向のデータを得ることができる。
たとえば2個のλ/2ダイポール型の偏波アンテナ(a1,a2)を、Fig.1のアンテナA,Bに示すように共に直上垂直の指向軸とし相互の受信偏波面が直交するように両エレメント軸を水平直交して組合せて、航空機の高度測定用電波を受信すれば、該航空機の至近点通過時点において、両者の信号出力は共にピーク値を示し、それぞれのピーク値強度の比率は、該時点における航空機の空間位置の方位角によって表1の指向性係数値比の特定数値を示す。
たとえば、偏波アンテナa1がピーク値、偏波アンテナa2が無感の場合は、航空機位置はa1の指向軸方位に位置し、a1,a2の出力値比が1である場合は、アンテナ指向軸方向にたいし45°,135°の何れかの方位角方向に位置し、それ以外の出力比の場合は、その比率にしたがって上記以外の方位角に位置することを示すものである。
Fig.6は、この場合の両アンテナa1,a2の指向特性図であり、表2はは両アンテナのそれぞれの指向性係数値及び電波到来方向にしたがった両指向性係数値の比率を示す表であり、これによって航空機の空間位置に対する方位角基礎データが得られる。
さらに、2個のλ/2ダイポール型の偏波アンテナa1,a2の両者の受信偏波面を一致するようにそのポールエレメントを水平・平行とし、アンテナa1を直上垂直方向の指向軸とし、アンテナa2を垂直軸に対し上空方向に30°傾斜した指向軸とした場合の指向特性図はFig.7のとおりとなり、その指向性係数値及び両係数値の比率は表2に示すように、航空機の空間位置によって両係数値の比率は特定される。
したがって、アンテナa1にピーク値時点によって航空機至近点通過時刻が測定されるとともに、その時点のアンテナa2の出力値と前記ピーク値出力値との比率によって、該時点における測定点からの航空機の空間位置に対する仰角データを得ることができる。
前記した偏波アンテナ2個組合せ受信装置は主として特定航空路に沿って飛行する航空機の通過に対する通過時刻、通過機数などの測定に有用であるが、これら2個組合せアンテナを複数組合せることによって、測定空域を拡大し、航空機の飛行進行方向、進行方位角の測定精度向上を図ることができる。
たとえば、前記の偏波面が直交した直上垂直方向指向性の2個の偏波アンテナa1,a2組に対して、垂直軸に対し上空四方向に傾斜指向するアンテナa1及びa2のそれぞれと受信偏波面が重なる各4個の偏波アンテナを組合せた計10チャンネル型の受信装置を用いれば、全ての飛行方向に対応した測定が可能となる。
しかし、この場合は10チャンネルの受信データ処理が複雑となり受信装置及びコンピュータ装置のコストが増大する問題点がある。
実用的には偏波アンテナ6個を組合せて、そのうち2個を直上指向軸としてその受信偏波面を直交せしめ、他の4個を、前記直上指向性アンテナの一と同一受信偏波面として、それぞれ上空域を4分割するようにそれぞれの指向軸を上空に向かって拡開するように傾斜せしめて設置して、6チャンネル型受信装置として、航空機の対地高度測定電波のそれぞれの電界強度レベル変化をコンピュータに入力することによって、航空機の至近点通過時刻とともにその時点における航空機の空間位置の方位角、仰角データ並びに飛行進行方向の測定が可能となり、主として規定航空路に沿って飛行する航空機に対する測定を経済的に有効に行うことができる。
さらに、前記の高度測定用電波の受信による至近点通過時刻測定とともに、航空機から発信されるトランスポンダ応答信号受信による機種識別信号、飛行高度測定及び騒音測定によるそれぞれのデータを、その測定時刻を合せることによって、個別の航空機に対する各種測定の信頼性を高めることができ、特に騒音データ中の航空機騒音の選別が極めて正確容易に行うことができる。
この場合、高度測定用電波受信点、トランスポンダ応答信号の受信点、騒音測定点は同一地点あるいは相互に離隔した別地点であってよい。
そして、至近点通過時刻の測定点を航空路の直下を含む地上面に2〜4Kmの相互間隔を置いて複雑分布設置し、さらにその間の所要位置に騒音測定点を複数分布配置し、さらに任意地点においてトランスポンダ応答信号受信点を置いて、それらの測定データを中央集計局に集めることによって航空機の飛行状態及び飛行コースなどの測定、特定地域の航空機騒音の分布状態の測定を正確容易にすることができる。
本発明において、直上指向性アンテナにより得られる対地高度測定用電波の電界強度レベル変化はその測定点に騒音を及ぼす可能性のある高度2000m以下の航空機の至近点通過時刻の5〜10秒前から受信され約2〜3秒前から急激に立上がる強度変化を示すのでその航路直下の地点に、直上方向を撮影視野としたカメラの始動時点を電界強度上昇地の一定強度値をトリガーとして制御することにより効果的な航空機通過記録を容易に採取できる。
【図面の簡単な説明】
Fig.1は、実施例1における偏波アンテナ6個の組合わせ配置を示す平面図である。
Fig.2は、Fig.1におけるx−x線に沿う偏波アンテナ4個の配置を示す側面図である。
Fig.3は、Fig.1におけるy−y線に沿う偏波アンテナ3個の配置を示す側面図である。
Fig.4は、対地高度測定用電波の電界強度測定用回路を示すブロックダイヤグラムである。
Fig.5は、コンピュータ入力記録データをプリントアウトした表示図である。
Fig.6は、2つのλ/2ダイポール型偏波アンテナを直交した場合の指向特性図である。
Fig.7は、2つのλ/2ダイポール型偏波アンテナの指向軸方向を30°に配置した場合の指向特性図である。
Fig.8は、Fig.5の記録データに基づいた地図上の至近点M通過時点の航空機の位置及び飛行方向の表示図である。
Fig.9は、実施例2における航空路に沿う4つの至近点通過時刻測定点と、それらの中間域にある5つの騒音測定点の配置図である。
Fig.10は、実施例3における上空通過機のビデオカメラ撮像コマ部の編集図である。
Fig.11は、航空機の対地高度測定用電波とトランスポンダ応答信号電波とを同時に受信した両者の電界強度レベル変化を示した表示図である。
Fig.12は、測定位置を換えた場合におけるFig.11と同様の表示図である。
符号の説明
A,B,C,D,E,F 偏波アンテナ
P エレメント軸
H 飛行高度
M 至近点
O 至近点通過時刻測定点
S 騒音測定点
R 規定航空路
Z 滑走路端
発明を実施するための最良の態様
態様1
成田空港滑走路北端から北へ約5kmの地点に、2mの支柱上端に航空機の対地高度測定用電波を受信する偏波アンテナ6個をFig.1に示す条件で組合わせた6チャンネル型の受信装置を固定設置し、又トランスポンダ応答信号電波受信アンテナも支柱の側方に設置し、それぞれのアンテナ受信信号はFig.4のブロックダイヤグラムに示す回路を介して、その電界強度レベル変化をコンピュータに入力記録した。
Fig.5は、プリントアウトした各データの変化記録である。
Fig.1は、対地高度測定用の4GHz帯受信用の半値角幅が略80°のλ/2ダイポール型偏波アンテナの6個の組み合わせ配置を示す平面図、Fig.2はそのx−x軸における配置条件を示す側面図、Fig.3はそのy−y軸における配置条件を示す側面図である。
アンテナA及びBは、垂直直上の指向性としたエレメント軸Pが水平で偏波面が直交するように設けられ、アンテナC,D,E,Fは垂直軸を囲んで、それぞれ垂直軸に対して30°傾斜して東北西南の4方向の上空へ指向し、アンテナD,FとアンテナAのエレメント軸Pは水平平行であり、アンテナC,Eのエレメント軸PはアンテナAと同一配向方向で且つそれぞれ反対に30°傾斜している。
Fig.5は測定点に上記の組み合わせアンテナx−x軸を南北方向として、その上空域を通過飛行する航空機からの対地高度測定用電波の受信によるその電界強度レベル変化並びにトランスポンダ応答信号電波を解読した飛行高度情報のコンピュータ入力記録データをプリントアウトした横軸を時刻、縦軸を電界強度値、飛行高度としたグラフである。
前記Fig.5のグラフから、直上指向性アンテナAとBのそれぞれの電界強度ピーク値時点はほぼ一致して、航空機の至近点通過時刻を示し、それぞれのピーク値強度は、A820,B230の強度比(A/B)3.562により表1から電波到来方向の方位角は19°又は341°となり、これらの何れかの方向に至近点通過時点の航空機が位置することを示し、四方向に傾斜指向したアンテナC(東)D(北)E(西)F(南)の各出力値は至近点通過時刻においてE>D>C>Fであり、航空機は測定点Oからほぼ西南方向にあることを示して、航空機は測定点から19°+180°の方位角方向の垂直平面に位置していることが判り、さらに至近点通過時点の約3秒前にはE≒E>C>Dであることから、航空機は北西から至近点を通って東南東方向へ進行したものであることが判り、又至近点通過時点のAのピーク値820時点のアンテナEの出力値1180との強度比0.695により表2から至近点の航空機位置に対する仰角は約42°であることが判り、かつその時点のトランスポンダ応答信号解読による高度は約540mである。
上記のデータから航空機は測定点Oからの方位角199°、仰角42°、高度540mに位置し、該位置は測定点からの直距離810m、地平面上の水平距離600mであり、航空機の飛行方向は前記方位角の垂直平面に直交する方位角109°の西南西から東南東に向かうものであることが判る。
Fig.8は上記のデータに基づいた地図上の至近点通過時点の航空機の位置及び飛行方向の表示図である。
態様2
成田空港の滑走路の北端から北方に延びる直線航空路12kmの直下を含む地域の騒音測定システムとして、Fig.9に示すように、規定航空路Rにほぼ沿って、そのほぼ直下に位置した4箇所に実施例1と同様の航空機の対地高度測定用電波受信測定点O1〜O4を配置し、その中間位置の6箇所に騒音測定点S1〜S6を配置して、各測定点の測定データを中央集計局に集めることにより下記のようにして目的に応じた所要データを得た。
通常、空港に離着陸する航空機は、規定航空路の両側方に所定距離の許容エリア内を飛行するように管制され、その許容エリア幅は滑走路端から5kmの位置で、側方に500m、10kmの位置で1000mである。
したがって、測定点O1〜O4における各至近点通過時刻とその測定点間の距離を基礎にして、航空機の平均水平速度が算出でき、さらに各騒音測定点に対する至近点通過時刻も該騒音測定点から規定航空路に直交した地点と測定点Oとの距離を基礎として精度よく推定でき、複雑な波形をなす騒音測定データ中から、該時点を基準として航空機騒音の特定抽出を容易正確に行うことができる。
本例の場合、滑走路端Z〜O1〜O2〜O3〜O4の各間隔距離は、4087m,2092m,2659m,1996mで、その間の各飛行時間は、滑走路端Z〜O1はデータベースの予測値で66秒,O1〜O2〜O3〜O4は実測値で21秒,24秒,23秒であり、それぞれの間の平均水平速度は60m/秒,99.6m/秒,110.8m/秒,88.8m/秒であると算出され、これを基礎としてその中間点に位置する各騒音測定点S1〜S5における航空機至近点通過時刻はほぼ正確に推算される。
さらに前記の場合に、各測定点O1〜O4のそれぞれにおける至近点通過時刻における対地高度測定用電波の到来方向の方位角・仰角データと、任意の地点で採取したトランスポンダ応答信号受信による機種識別・高度信号データを加えることにより各測定点における航空機の空間位置、飛行方向も測定でき、さらに各測定点におけるこれらのデータを中央集計局において総合して計算することにより、正確な飛行コースを算出することができ、したがって信頼性のある飛行管理用資料、航空機騒音対策資料が得られる。
態様3
Fig.12は、測定点の直上を中心として特定範囲の上空域を視野とするカメラを、該地点直上方向に指向した受信アンテナによる該航空域の対地高度測定用電波の電界強度レベル変化をコンピュータに入力記録するさいの、電界強度上昇過程の所定の電界強度値をトリガー信号として、カメラを始動して捉えた至近点通過時点における撮像方法の実施例における撮像記録である。
この記録は成田空港滑走路北端から7km北の航空路直下の測定点におけるビデオカメラによる離陸航空機影を捉えた1/30秒のコマ撮り部分を時系列に編集したものであり、2000年9月12日の13時20分から同56分までに記録された7機の機影によれば、各航空機の測定点直上より僅か西寄りの上空を通過しており、その機影の形状、寸法により、機種、飛行方向、飛行高度が推定できるものであり、的確な航空機通過記録として有用なものである。
産業上の利用可能性
本発明によれば、上空通過航空機に対する至近点通過時刻の測定を、航空機から直下方向に指向した対地高度測定用電波を受信して、その電界強度レベル変化を入力記録して、そのピーク値発生時点により行うものであるので、従来の騒音測定値、トランスポンダ応答信号電波の電界強度値による方法より正確確実な測定ができ、特に従来方法では殆ど不可能又は著しく精度が劣る飛行頻度の大なる場合における個別航空機の至近点通過時刻の正確な測定ができるものである。
この正確な至近点通過時刻を基礎として、対地高度測定用電波の受信アンテナ複数を、その指向特性を調節組み合わせることにより、航空機の飛行状態を確認し、さらに騒音測定、トランスポンダ応答信号解読手段を併用することにより、航空機に対する各種測定の精度向上を図ることができ、これらの測定点を地上に散在分布し、必要ならばその間に騒音測定点を分布介在配置してこれらのデータを中央集計局に集めることにより、信頼性のある飛行コースなどの飛行管制資料あるいは特定地域の航空機騒音対策の基礎資料を得ることができる。
なお、航空管制に服しない異常経路、低空飛行する不審な航空機の侵入警報手段としても有効に用いることができる。
Claims (9)
- 地上の一地点において、その上空域を通過飛行する航空機から下方に指向放射される対地高度測定用電波を継続的に受信して、その電界強度レベル変化をコンピュータに入力記録することを特徴とする航空機の至近点通過時刻測定方法。
- 対地高度測定用電波の受信を水平面無指向性直上方向指向性のアンテナにより行う請求項1記載の航空機の至近点通過時刻測定方法。
- 対地高度測定用電波の受信を、水平面一方向指向性直上方向指向性の偏波アンテナによって、受信領域を一方向に限定する請求項1記載の航空機の至近点通過時刻測定方法。
- 対地高度測定用電波の受信を、水平面一方向指向性直上方向指向性の偏波アンテナ2個を、相互のエレメント軸を直交又は斜交するように組み合わせて行い、それぞれが受信した電界強度レベル変化を同時にコンピュータに入力記録することにより、至近点通過時点における航空機位置に対する方位角基礎データを得る請求項1記載の航空機の至近点通過時刻測定方法。
- 対地高度測定用電波の受信を偏波アンテナ6個を組み合わせて、その内2個を直上方向指向性で相互のエレメント軸を水平方向で直交せしめ、他の4個を、前記の直上方向指向性アンテナの一のエレメント軸の配向方向を一致し、その指向軸が直上軸を囲んで上空域を4分割するようにそれぞれが上空に拡開するように傾斜せしめて設置し、この6個のアンテナにより受信したそれぞれの電界強度レベル変化を同時にコンピュータに入力することにより、至近点通過時点における航空機の飛行位置に対する方位角及び仰角並びに飛行方向データを得る請求項1の航空機の至近点通過時刻測定方法。
- 地上の一地点において、その上空域を通過飛行する航空機から下方に指向放射される対地高度測定用電波を継続的に受信してその電界強度レベル変化とともに、同時に同一地点又は他地点において、該航空機から放射されるトランスポンダ応答信号電波を受信して解読した機種識別信号及び飛行高度情報及び/又は同一地点又は他地点で測定した該航空機からの騒音データをコンピュータに入力記録することを特徴とする航空機の至近点通過時刻及び騒音の測定方法。
- 地上面に散在分布した複数の地点のそれぞれにおいて、その上空を通過する航空機から下方に指向放射される対地高度測定用電波を継続的に受信して得られる電界強度レベル変化データを、中央集計局のコンピュータに入力記録することを特徴とする上記の測定点以外の中間点における航空機至近点通過時刻の推定方法。
- 地上面に散在分布した複数の地点のそれぞれにおいて、その上空を通過する航空機から下方に指向放射される対地高度測定用電波を継続的に受信して得られる電界強度レベル変化データと共に、同時に同一地点又は他地点で航空機から放射されるトランスポンダ応答信号を継続的に受信して得られる機種識別信号、飛行高度情報データ及び/又は同時に同一地点又は他地点で得られる騒音データとともに中央集計局のコンピュータに入力記録することを特徴とする航空機の飛行コース及び/又は航空機騒音測定方法。
- 地上の一地点において、その上空域を通過飛行する航空機から下方に指向放射される対地高度測定用電波を継続的に受信してその電界強度レベルをコンピュータに入力記録するとともに、その電界強度レベルが一定値に達した時点で、その直上空域の一定範囲を撮像するカメラを作動せしめることを特徴とする至近点通過時の航空機の撮像方法。
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