JP3699623B2 - ヒートポンプ及び除湿装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートポンプ及び除湿装置に関し、特にCOPの高いヒートポンプ、及びそのようなヒートポンプを備え、エネルギー消費量当たりの除湿能力の高い除湿装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から図7に示すように、冷媒Cを圧縮する圧縮機1と、圧縮された冷媒Cを外気Bで凝縮する凝縮器2と、凝縮した冷媒Cを膨張弁5で減圧し、これを蒸発させて空調空間10からの処理空気Aを露点温度以下に冷却する蒸発器3と、露点以下に冷却された処理空気Aを、凝縮器2の下流側で膨張弁5の上流側の冷媒Cで再熱する再熱器4とを備える除湿装置があった。冷媒Cは凝縮器2と再熱器4とで凝縮される。この装置では、圧縮機1、凝縮器2、再熱器4、膨張弁5及び蒸発器3とでヒートポンプHPが構成されている。ヒートポンプHPは、蒸発器3を流れる処理空気Aから凝縮器2を流れる外気Bに熱を汲み上げる。
【0003】
ここで、図8のモリエ線図を参照して図7に示されるヒートポンプHPの作用を説明する。図8に示すのは冷媒HFC134aのモリエ線図である。点aは蒸発器3で蒸発した冷媒C(図7)の状態を示し、飽和ガスの状態にある。圧力は0.35MPa、温度は5℃、エンタルピは401.5kJ/kgである。この冷媒ガスCを圧縮機1で吸込圧縮した状態、圧縮機1の吐出口での状態が点bで示されている。点bは、過熱ガスの状態にある。この冷媒ガスCは、凝縮器2内で冷却され、モリエ線図上の点cに到る。この点は飽和ガスの状態であり、圧力は0.96MPa、温度は38℃である。この圧力下でさらに冷却され凝縮して、点dに到る。この点は飽和液の状態であり、圧力と温度は点cと同じであり、エンタルピは253.4kJ/kgである。この冷媒液Cは、膨張弁5で減圧され、温度5℃の飽和圧力である0.35MPaとなり、5℃の冷媒液Cと冷媒ガスCの混合物として蒸発器3に到り、ここで処理空気A(図7)から熱を奪い、蒸発してモリエ線図上の点aの状態の飽和ガスとなり、再び圧縮機1に吸入され、以上のサイクルを繰り返す。
【0004】
図9の湿り空気線図を参照して、図7の除湿装置の作用を説明する。図中のアルファベット符号K、L、Mは、図7に丸で囲んで示した符号に対応する。空調空間10からの空気(状態K)は、蒸発器3で露点温度以下に冷却され、乾球温度を低下させると共に絶対湿度を下げて状態Lに到る。状態Lは、湿り空気線図で飽和線上にある。状態Lの空気は、再熱器4で再熱され、絶対湿度一定のまま乾球温度を上昇させ、状態Mに到り、空調空間10に供給される。状態Mは、状態Kと比べて、絶対湿度、乾球温度共に低い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような従来のヒートポンプ及び除湿装置では、露点までの冷却量が多いためヒートポンプの蒸発器における冷凍効果のうち半分程度が顕熱負荷を奪うのに消費され、電力消費量当たりの除湿能力(除湿性能)が低かった。またヒートポンプの圧縮機に単段圧縮機を用いる場合には、1段圧縮の圧縮式冷凍サイクルになり、動作係数(COP)が低く、除湿量当たりの電力消費量が大きかった。また、処理空気Aを冷却し除湿した後に、再熱するために、冷房処理能力が低く、高顕熱比の空調負荷の場合には十分対応できなっかった。
【0006】
そこで本発明は、動作係数の高いヒートポンプ及び除湿量当たりのエネルギー消費量が小さく、さらに高顕熱比の空調負荷の場合にも十分対応できる除湿装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明によるヒートポンプHP1は、例えば図1に示されるように、冷媒Cを昇圧する昇圧機260と;冷媒Cを凝縮して高熱源流体Bを加熱する凝縮器220と;冷媒Cを蒸発して低熱源流体Aを冷却する蒸発器210と;凝縮器220と蒸発器210とを接続する冷媒経路202、203中に設けられた、凝縮器220の凝縮圧力と蒸発器210の蒸発圧力との中間の圧力で冷媒Cの蒸発と凝縮を行い、前記中間圧力蒸発により低熱源流体Aを冷却し、前記中間圧力凝縮により低熱源流体Aを加熱する熱交換手段300と;凝縮器220と熱交換手段300との間の冷媒経路202中に設けられた、開口面積が切り替え可能な第1の絞り機構291と;熱交換手段300と蒸発器210との間の冷媒経路203中に設けられた、開口面積が切り替え可能な第2の絞り機構292とを備え;低熱源流体Aは、熱交換手段300での冷却と蒸発器210での冷却と熱交換手段300での加熱とをこの順番で受けるように構成される。
【0008】
好ましくは、中間圧力で行われる蒸発と凝縮は、交互に繰り返して行われるように、熱交換手段300は構成される。典型的には、高熱源流体Bを加熱して凝縮器で凝縮した冷媒は昇圧機260で昇圧された冷媒であり、低熱源流体Aを冷却して蒸発器210で蒸発した冷媒は昇圧機260で昇圧される。第1の絞り機構291は、典型的には、開口面積が大きい絞りを形成する場合と、開口面積が小さい絞りを形成する場合とに切り替え可能である。第2の絞り機構292は、典型的には、開口面積を小さくし、第2の絞り機構292が絞りを形成する場合と、開口面積を大きくし、例えばほぼ冷媒経路の面積に等しくし、第2の絞り機構292が絞りを形成しない場合とに切り替え可能である。
【0009】
このように構成すると、第1の絞り機構291を開口面積が大きい絞りを形成するように設定し、第2の絞り機構292の開口面積を小さくし、第2の絞り機構292が絞りを形成するように設定することができる。この場合は、凝縮器220の凝縮圧力と蒸発器210の蒸発圧力との中間の圧力で冷媒の蒸発と凝縮が熱交換手段300で行われる。よって、中間圧力蒸発により低熱源流体Aを冷却し、前記中間圧力凝縮により低熱源流体Aを加熱する熱交換手段300を備え、低熱源流体Aは、熱交換手段300での冷却と蒸発器210での冷却と熱交換手段300での加熱とをこの順番で受けるので、蒸発器210での冷却の前の低熱源流体Aを熱交換手段300により予冷できるし、その予冷の熱を使って蒸発器210を出た後の低熱源流体Aを熱交換手段300で加熱(再加熱)することができる。
【0010】
すなわち、蒸発器210での低熱源流体Aの冷却により、低熱源流体A中の水分を結露させ除湿を行うことができ、低熱源流体Aを蒸発器210での冷却前に、熱交換手段300で予冷し、蒸発器210での冷却後に、熱交換手段300で再加熱するので、顕熱比を下げ、ヒートポンプの動作係数を増加させることができる。
【0011】
第1の絞り機構291を開口面積が小さい絞りを形成するように設定し、第2の絞り機構292の開口面積を大きくし、第2の絞り機構292が絞りを形成しないように設定することができる。この場合は、低熱源流体Aが、熱交換手段300での冷却(冷媒が蒸発器とほぼ同じ圧力で蒸発)と、蒸発器210での冷却と、熱交換手段300での冷却(冷媒が蒸発器210とほぼ同じ圧力で蒸発)とをこの順番で受ける。よって、熱交換手段300で蒸発器210とほぼ同じ圧力で冷媒を蒸発させ低熱源流体Aを冷却することができる。
【0012】
また請求項2に記載のように、請求項1に記載のヒートポンプでは、前記中間圧力が、少なくとも第1の中間圧力と、該第1の中間圧力よりも低い第2の中間圧力とを含み;前記熱交換手段における冷却は、前記第1の中間圧力での蒸発、前記第2の中間圧力での蒸発の順番で行われ;前記熱交換手段における加熱は、前記第2の中間圧力での凝縮、前記第1の中間圧力での凝縮の順番で行われるように構成され;前記熱交換手段は、開口面積の増減が可能に構成された中間絞り機構を有し;前記第1の中間圧力で蒸発し凝縮した前記冷媒が前記中間絞り機構を通過し、前記第2の中間圧力で凝縮し蒸発するよう構成してもよい。
【0013】
このように構成すると、除湿運転のときに、すなわち第1の絞り機構を開口面積が大きい絞りを形成するように設定し、第2の絞り機構の開口面積を小さくし第2の絞り機構が絞りを形成するように設定した場合に、例えば中間絞り機構の開口面積を絞りが形成される開口面積にする場合と、中間絞り機構の開口面積を絞りが形成されない冷媒経路の断面積にほぼ等しい開口面積にする場合というように、除湿負荷によって中間絞り機構の開口面積を増減することができる。
【0014】
中間絞り機構の開口面積を絞りが形成される開口面積にすると、中間圧力を、中間絞り機構を境として第1の中間圧力と第2の中間圧力と分けることができる。中間絞り機構の開口面積を絞りが形成されない冷媒経路の断面積にほぼ等しい開口面積にすると、中間圧力を第1の中間圧力と第2の中間圧力とに分けないようにすることができる。中間圧力を第1の中間圧力と第2の中間圧力と分けると、除湿低熱源流体同士の熱交換という観点から見ると、対向流熱交換であるので、高い熱交換効率を達成できる。
【0015】
一方、冷房運転のとき、すなわち第1の絞り機構を開口面積が小さい絞りを形成するように設定し、第2の絞り機構の開口面積を大きくして、第2の絞り機構が絞りを形成しないように設定した場合に、例えば中間絞り機構の開口面積を絞りが形成される開口面積に設定する場合、あるいは、中間絞り機構の開口面積を絞りが形成されない開口面積(冷媒経路の断面積にほぼ等しい開口面積)にする場合というように、冷房負荷によって中間絞り機構の開口面積を増減することができる。この場合、中間絞り機構の開口面積を絞りが形成される開口面積にすると、熱交換器に流入した冷媒は中間絞り機構までの部分では、中間圧力で蒸発、凝縮し、中間絞り機構から下流側の熱交換器の部分では、蒸発器とほぼ同じ圧力で蒸発する。中間絞り機構の開口面積を絞りが形成されない開口面積にすると、熱交換器に流入した冷媒は熱交換器全体に渡って、蒸発器と同じ圧力で蒸発するので、冷却能力が増大する。
【0016】
前記目的を達成するために、請求項3に係る発明による除湿装置は、例えば図1に示されるように、冷媒Cを昇圧する昇圧機260と;冷媒Cを凝縮して高熱源流体Bを加熱する凝縮器220と;冷媒Cを蒸発して処理空気Aを露点温度以下まで冷却する蒸発器210と;凝縮器220と蒸発器210とを接続する冷媒経路202、203中に設けられた、凝縮器220の凝縮圧力と蒸発器210の蒸発圧力との中間の圧力で冷媒Cの蒸発と凝縮を行い、前記中間圧力蒸発により処理空気Aを冷却し、前記中間圧力凝縮により処理空気Aを加熱する熱交換手段300と;処理空気Aが熱交換手段300での冷却と蒸発器210での冷却と熱交換手段300での加熱とをこの順番で受けるように、熱交換手段300と蒸発器210とを接続する、処理空気経路108と;凝縮器220と熱交換手段300との間の前記冷媒経路202中に設けられた、開口面積が切り替え可能な第1の絞り機構291と;熱交換手段300と蒸発器210との間の前記冷媒経路203中に設けられた、開口面積が切り替え可能な第2の絞り機構292とを備える。
【0017】
典型的には高熱源流体Bは外気である。第1の絞り機構291を開口面積が大きい絞りを形成するように設定し、第2の絞り機構292の開口面積を小さくし、第2の絞り機構292が絞りを形成するように設定すると、除湿装置21は主として除湿運転が行われる。除湿運転が行われる場合、熱交換手段300での処理空気Aの冷却は蒸発器210での冷却に先立って行われる予冷である。なお、予冷中にこの熱交換手段300で結露してもよい。また、好ましくは、中間圧力で行われる蒸発と凝縮は、交互に繰り返して行われるように、熱交換手段300は構成される。
【0018】
また、熱交換手段300は、前記中間圧力が少なくとも第1の中間圧力と、該第1の中間圧力よりも低い第2の中間圧力とを含み、熱交換手段300における処理空気Aの冷却は前記第1の中間圧力での蒸発、前記第2の中間圧力での蒸発の順番で行われ、熱交換手段300における処理空気Aの加熱は前記第2の中間圧力での凝縮、前記第1の中間圧力での凝縮の順番で行われるように構成してもよい。
【0019】
一方、第1の絞り機構291を開口面積が小さい絞りを形成するように設定し、第2の絞り機構292の開口面積を大きくし、第2の絞り機構292が絞りを形成しないように設定する場合に、除湿装置21は主として冷房運転が行われる。
【0020】
また請求項4に記載の除湿装置では、冷媒を昇圧する昇圧機と;前記冷媒を凝縮する凝縮器と;前記冷媒を蒸発させて処理空気を露点温度以下まで冷却する蒸発器と;前記蒸発器で冷却する前記処理空気の流れの上流側と下流側とで前記処理空気の予冷と再加熱とを行う熱交換手段と;前記熱交換手段に供給される直前の前記冷媒が通過する、開口面積が切り替え可能な第1の絞り機構と;前記蒸発器に入る直前の冷媒が通過する、開口面積が切り替え可能な第2の絞り機構とを備え;前記熱交換手段に、前記蒸発器に入る前の冷媒を供給するように構成する。
【0021】
第1の絞り機構を開口面積が大きい絞りを形成するように設定し、第2の絞り機構の開口面積を小さくし、第2の絞り機構が絞りを形成するように設定することにより、低熱源流体としての処理空気が、熱交換手段での冷却(冷媒が凝縮器の圧力と蒸発器の圧力の中間圧力で蒸発)と、蒸発器での冷却と、熱交換手段での加熱(冷媒が同中間圧力で凝縮)とをこの順番で受けるようにすることができる。よって主として除湿能力を発揮する、除湿運転をすることができる。
【0022】
第1の絞り機構を開口面積が小さい絞りを形成するよう設定し、第2の絞り機構の開口面積を大きくし、第2の絞り機構が絞りを形成しないように設定することにより、低熱源流体としての処理空気が、熱交換手段での冷却(冷媒が蒸発器とほぼ同じ圧力で蒸発)と、蒸発器での冷却と、熱交換手段での冷却(冷媒が蒸発器とほぼ同じ圧力で蒸発)とをこの順番で受けるようにすることができる。よって、熱交換手段で蒸発器とほぼ同じ圧力で冷媒を蒸発させ処理空気を冷却するので、主として冷房能力を発揮する、冷房運転をすることができる。
【0023】
前記目的を達成するために、請求項5に係る発明による除湿装置は、例えば図1に示されるように、冷媒Cを昇圧する昇圧機260と;冷媒Cを凝縮して高熱源流体Bを加熱する凝縮器220と;冷媒Cを蒸発して処理空気Aを露点温度以下まで冷却する蒸発器210と;凝縮器220と蒸発器210とを接続する冷媒経路202、203中に設けられた、凝縮器220の凝縮圧力と蒸発器210の蒸発圧力との中間の圧力で冷媒Cの蒸発と凝縮を行い、前記中間圧力蒸発により処理空気Aを蒸発器210に入る前に冷却し、前記中間圧力凝縮により処理空気Aを蒸発器210を出た後に加熱する熱交換手段300とを備え;熱交換手段300によって処理空気Aを冷却した後熱交換手段300によって加熱する第1の運転形態と、熱交換手段300を蒸発器210とほぼ同じ圧力で冷媒Cを蒸発させるように切り替えることによって処理空気Aを冷却する第2の運転形態とを切り替え可能に構成したことを特徴とする。
【0024】
第1の運転形態の場合、蒸発器210によって処理空気Aを露点温度以下まで冷却し、熱交換手段300で加熱するので処理空気Aの除湿を行い湿度を大きく下げることができる。蒸発器210に入る前の処理空気Aを熱交換手段300で冷却し、その熱を使って熱交換手段300により、蒸発器210を出た処理空気Aの加熱を行うので、顕熱比を下げ、除湿を効率的に行うことができる。また、第2の運転形態に切り替えて、熱交換手段300と蒸発器210においてほぼ同じ圧力で冷媒を蒸発させて処理空気Aの冷却を行うので蒸発の伝熱面積を増やすことができ、蒸発温度を上げて、冷房能力すなわち顕熱処理能力を増加させることができる。熱交換手段300の一部で蒸発器210とほぼ同じ圧力下の蒸発を起こすようにすれば、蒸発器210とほぼ同じ圧力下で起こる蒸発の伝熱面積の増加割合を変えることができ、冷房能力の増加割合を変えることができる。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号あるいは類似符号を付し、重複した説明は省略する。
【0025】
図1は、本発明による第1の実施の形態であるヒートポンプHP1とそれを備える、本発明の除湿装置としての除湿空調装置21のフロー図である。この除湿空調装置21は処理空気Aをその露点温度以下に冷却して除湿する除湿運転と、冷房運転ができる除湿空調装置21である。図2は、図1の除湿空調装置21に含まれるヒートポンプHP1の除湿運転時の冷媒モリエ線図であり、図3は図1の除湿空調装置21の除湿運転時の湿り空気線図である。
【0026】
図1を参照して、第1の実施の形態であるヒートポンプ及びそれを備える除湿空調装置21の構成を説明する。この除湿空調装置21は、蒸発器210によって低熱源流体としての処理空気Aの湿度を下げ、処理空気Aの供給される空調空間101を快適な環境に維持するものである。図中、空調空間101から処理空気Aの経路に沿って、処理空気関連の機器構成を説明する。先ず、空調空間101に接続された経路107、熱交換手段としての熱交換器300の第1の区画310、経路108、処理空気Aをその露点温度以下に冷却する蒸発器210、経路109、熱交換器300の第2の区画320、経路110、この経路に接続された処理空気Aを循環するための送風機102、経路111とこの順番で配列され、そして空調空間101に戻るように構成されている。
【0027】
また、屋外OAから高熱源流体としての冷却空気Bの経路に沿って、経路124、冷媒Cを冷却して凝縮させる凝縮器220、経路125、冷却空気Bを送風するための送風機140、経路126とこの順番で配列され、そして屋外OAに排気EXするように構成されている。
【0028】
次に蒸発器210から冷媒Cの経路に沿って、ヒートポンプHP1の機器構成を説明する。図中蒸発器210、経路204、蒸発器210で蒸発してガスになった冷媒Cを圧縮する(昇圧する)昇圧機としての圧縮機260、経路201、凝縮器220、経路202、絞り330、熱交換器300の第1の区画310を流れる処理空気Aを冷却する蒸発セクション251、熱交換器300の第2の区画320を流れる処理空気Aを加熱(再熱)する凝縮セクション252、この蒸発セクション251と凝縮セクション252とを交互に通過した後、経路203、絞り250がこの順番で配列され、そして再び蒸発器210に戻るようにして、ヒートポンプHP1が構成されている。
【0029】
なお、冷媒Cの経路202に絞り330をバイパスする経路202Aを設け、経路202Aに絞り335とソレノイドバルブ336を直列に設けている。また、冷媒Cの経路203に絞り250をバイパスする経路203Aを設け、経路203Aにソレノイドバルブ253を設けている。絞り330と、絞り335と、ソレノイドバルブ336とを含んで第1の絞り機構291が構成され、絞り250とソレノイドバルブ253を含んで第2の絞り機構292が構成されている。ソレノイドバルブ253が開となると、開口面積は経路203の断面積にほぼ等しくなるように形成されている。
【0030】
ソレノイドバルブ336を開とした場合は、第1の絞り機構291を開口面積が大きい絞りを形成するように設定した場合(絞り330の開口面積、プラス絞り335の開口面積)である。ソレノイドバルブ336を閉とした場合は、第1の絞り機構291を開口面積が小さい絞りを形成するように設定した場合(絞り330の開口面積)である。ソレノイドバルブ253を開とした場合は、第2の絞り機構292の開口面積を大きくし、第2の絞り機構292が絞りを形成しないように設定した場合である。ソレノイドバルブ253が閉とした場合が、第2の絞り機構292の開口面積を小さくし、第2の絞り機構292が絞りを形成するように設定した場合である。
【0031】
ここで、熱交換器300の構成を説明する。熱交換器300は、蒸発器210に流入する前後の処理空気A同士の間で、冷媒Cを介して間接的に熱交換をさせる熱交換器である。熱交換器300は、図中紙面に直交し、処理空気Aの流れに直交する複数の互いに異なる平面PA、PB、PC・・内のそれぞれに、冷媒流路としての熱交換チューブが複数本ほぼ平行に配列されている。本図では、図示の便宜上各平面内に1本づつのチューブだけが示されている。
【0032】
この熱交換器300は、蒸発器210を通過する前の処理空気Aを流す第1の区画310と、蒸発器210を通過した後の処理空気Aを流す第2の区画320とが、別々の直方体空間を構成している。両区画は、隔壁301と隔壁302が隣接して設けられており、熱交換チューブはこの2つの隔壁を貫通して設けられている。
【0033】
熱交換器300は、別の形態として1つの直方体の空間を1つの隔壁301で分割して、熱交換チューブがこの隔壁301を貫通して、第1の区画310と第2の区画320とを交互に貫通するように構成してもよい。
【0034】
図中、蒸発器210に導入される前の処理空気Aは、右方から経路107を通して、第1の区画310に供給され、左方から経路108を通して出て行く。また蒸発器210を通して露点温度以下に冷却され絶対湿度の低下した処理空気Aは、図中左方から経路109を通して供給され、右方から経路110を通して出て行く。
【0035】
図示のように、前記複数の熱交換チューブは、第1の区画310と第2の区画320及びそれら区画間を仕切る隔壁301及び隔壁302を貫通して設けられている。例えば平面PA内に配置された熱交換チューブは、第1の区画310を貫通している部分を、第1の冷媒流路としての蒸発セクション251A(以下複数の蒸発セクションを個別に論じる必要がないときは単に251という)と呼び、第2の区画320を貫通している部分は第2の冷媒流路としての凝縮セクション252A(以下複数の凝縮セクションを個別に論じる必要のないときは単に252という)と呼ぶ。ここで蒸発セクション251Aと凝縮セクション252Aは、一対の第1の区画貫通部と第2の区画貫通部であり、冷媒流路を構成している。
【0036】
さらに、平面PB内に配置された熱交換チューブは、第1の区画310を貫通している部分である蒸発セクションを251Bとする。また、第2の区画320を貫通している部分である、前記蒸発セクションと一対の冷媒流路を形成している部分は、第2の冷媒流路としての凝縮セクション252Bとする。以下、平面PC・・についても平面PBと同様に冷媒流路が構成されている。
【0037】
図示のように、蒸発セクション251Aと凝縮セクション252Aとは、一対をなし、1本のチューブで一体の流路として構成されている。したがって、第1の区画310と第2の区画320とが、2枚の隔壁301、302を介して隣接して設けられていることと相まって、熱交換器300を全体として小型コンパクトに形成することができる。
【0038】
本図の熱交換器300の形態では、蒸発セクションは図中右から251A、251B、251C・・の順番で並んでおり、凝縮セクションも図中右から252A、252B、252C・・の順番で並んでいる。
【0039】
さらに図示のように、凝縮セクション252Aの端部(隔壁302の反対側の端部)と凝縮セクション252Bの端部(隔壁302の反対側の端部)とは、Uチューブ(ユーチューブ)で接続されている。また、蒸発セクション251B端部と蒸発セクション251Cの端部とは、同様にUチューブで接続されている。
【0040】
したがって、蒸発セクション251Aから凝縮セクション252Aを、全体として一方向に流れる冷媒Cは、Uチューブにより凝縮セクション252Bに導かれ、ここから蒸発セクション251Bに流れ、Uチューブにより蒸発セクション251Cに流れるように構成されている。このようにして、蒸発セクションと凝縮セクションとを含んで構成される冷媒流路は、第1の区画310と第2の区画320とを交互に繰り返し貫通する。言い換えれば、冷媒流路は蛇行する細管群を構成している。細管群は蛇行しながら、第1の区画310と第2の区画320を通過し、温度の高い処理空気Aと温度の低い処理空気Aに交互に接触する。
【0041】
次に先ず図1を参照して、各機器間の冷媒Cの流れを説明し、続けて図2を参照して、ヒートポンプHP1の作用を説明する。
【0042】
図1において、先ず第1の運転形態としての除湿運転時の場合を説明する。このときは、ソレノイドバルブ336は開、ソレノイドバルブ253は閉とする。
圧縮機260により圧縮された冷媒ガスCは、圧縮機260の吐出口に接続された冷媒ガス配管201を経由して凝縮器220に導かれる。圧縮機260で圧縮された冷媒ガスCは、冷却空気としての外気Bで冷却され凝縮する。
【0043】
凝縮器220の冷媒出口は、熱交換器300の蒸発セクション251Aの入り口に冷媒経路202により接続されている。冷媒経路202の途中、蒸発セクション251Aの入り口近傍には、絞り330が冷媒経路202に、冷媒経路の絞り330をバイパスするバイパス経路202Aには絞り335、ソレノイドバルブ336が直列に設けられ、ソレノイドバルブ336は開となっている。
【0044】
凝縮器220を出た液冷媒Cは、絞り330、335で減圧され、膨張して一部の冷媒Cが蒸発(フラッシュ)する。その液とガスの混合した冷媒Cは、蒸発セクション251Aに到り、ここで液冷媒Cは蒸発セクション251Aのチューブの内壁を濡らすように流れ蒸発して、第1の区画310を流れる、蒸発器210に流入する前の処理空気Aを冷却(予冷)する。
【0045】
蒸発セクション251Aと凝縮セクション252Aとは、一連のチューブである。すなわち一体の流路として構成されているので、蒸発した冷媒ガスC(及び蒸発しなかった冷媒液C)は、凝縮セクション252Aに流入して、第2の区画320を流れる、蒸発器210で冷却除湿され、蒸発器210に流入する前より温度が低くなった処理空気Aを加熱(再熱)し、自身は熱を奪われ凝縮する。
【0046】
このように、熱交換器300は、第1の平面PA内にある、第1の区画310を貫通する冷媒流路である蒸発セクションと第2の区画320を貫通する冷媒流路である凝縮セクション(少なくとも一対、例えば251Aと252A)を有し、また第2の平面PB内にある、第2の区画320を貫通する冷媒流路である凝縮セクションと第1の区画310を貫通する冷媒流路である蒸発セクション(少なくとも一対、例えば252Bと251B)を有する。
【0047】
熱交換器300の最後の凝縮セクション252Eの出口側は、冷媒液配管203により、蒸発器210に接続され、冷媒配管203中には膨張弁250、膨張弁250をバイパスするソレノイドバルブ253が設置されている。
【0048】
凝縮セクションで凝縮した冷媒液Cは、絞り250で減圧され膨張して温度を下げて、蒸発器210に入り蒸発し、その蒸発熱で処理空気Aを冷却する。絞り330、250としては、例えばオリフィス、キャピラリチューブ、膨張弁等を用いる。ソレノイドバルブ253は閉となっているので、冷媒液cはソレノイドバルブを253通過しない。
【0049】
蒸発器210で蒸発してガス化した冷媒Cは、経路204を通して圧縮機260の吸込側に導かれ、以上のサイクルを繰り返す。
【0050】
図中、熱交換器300の蒸発セクションと凝縮セクション内の冷媒Cの挙動を説明する。先ず蒸発セクション251Aには、液相及び気相の冷媒Cが流入する。一部が気化した、気相を僅かに含む冷媒液Cであってもよい。この冷媒Cは、蒸発セクション251Aを流れる間に、処理空気Aを予冷し自身は加熱され気相を増やしながら凝縮セクション252Aに流入する。凝縮セクション252Aでは、冷却除湿されることにより蒸発セクション251Aの処理空気Aよりも温度の低くなった処理空気Aを加熱し、自身は熱を奪われ気相冷媒Cを凝縮させながら、次の凝縮セクション252Bに流入する。冷媒Cは、凝縮セクション252Bを流れる間に、低温の処理空気Aでさらに熱を奪われ気相冷媒Cをさらに凝縮させる。そして次の蒸発セクション251Bに流入する。このように冷媒Cは気相と液相の相変化をしながら、冷媒流路を流れる。このようにして、蒸発器210で冷却される前の処理空気Aと、蒸発器210で冷却されて絶対湿度を低下させた処理空気Aとの間で熱交換させる。
【0051】
第2の運転形態としての冷房運転の場合は、ソレノイドバルブ336を開から閉として絞り335を冷媒Cが流れないようにし、ソレノイドバルブ253を閉から開として冷媒Cが絞り250の前後で圧力低下を起こさないようにし、第1の運転形態としての除湿運転から、第2の運転形態としての冷房運転に運転形態を切り替える。こうすることにより、絞り250前後の冷媒Cの圧力低下をほぼゼロとし、配管圧損を除いた冷媒Cの圧力低下を絞り330で発生させることができ、熱交換器300の凝縮セクション252と、蒸発セクション251における冷媒Cの圧力が、蒸発器210における冷媒Cの圧力にほぼ等しくなり、蒸発器210に加えて凝縮セクション252と、蒸発セクション251においても冷媒Cの蒸発が発生する。よって、蒸発の伝熱面積が増えるので蒸発温度を上げて、冷房能力すなわち顕熱処理能力を増加させることができる。
【0052】
そして、除湿運転時では、熱交換器300を蒸発器210を通過する前後の処理空気Aのレヒート熱交換器として使うことによって冷却による結露水分量を冷房運転時より増やし、冷房運転時より除湿能力すなわち潜熱処理能力を増加させることができる。これによって、除湿運転時では、冷房運転時より速やかに湿度を下げることができ、いわゆる低顕熱比の湿度の高い室内空調負荷にも対応できる。
【0053】
本第1の実施の形態の除湿装置を、家庭用のエアコンに適用した場合、除湿運転を行うことによって、夏期夜間の就寝時に室内が冷えすぎることなく、低湿度で快適な環境を作ることができる。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態の除湿装置は、空調負荷の顕熱比が可変であり、しかも除湿運転、冷房運転いずれの運転形態においても省エネルギーな運転ができる。
【0055】
次に図2を参照して、ヒートポンプHP1の除湿運転時の作用を説明する。なお、機器等については適宜図1を参照する。図2は、冷媒HFC134aを用いた場合のモリエ線図である。この線図では横軸がエンタルピ、縦軸が圧力である。この他に、本発明のヒートポンプ、除湿装置に適した冷媒Cとしては、HFC407CやHFC410Aがある。これらの冷媒Cは、HFC134aよりも作動圧力領域が高圧側にシフトする。
【0056】
図中、点aは蒸発器210の冷媒出口の状態であり、冷媒Cは飽和ガスの状態にある。圧力は0.35MPa、温度は5℃、エンタルピは401.5kJ/kgである。このガスを圧縮機260で吸込圧縮した状態、圧縮機260の吐出口での状態が点bで示されている。この状態は、圧力が0.96MPaであり、過熱ガスの状態にある。
【0057】
この冷媒ガスCは、凝縮器220内で冷却され、モリエ線図上の点cに到る。
この点は飽和ガスの状態であり、圧力は0.96MPa、温度は38℃である。
この圧力下でさらに冷却され凝縮して、点dに到る。この点は飽和液の状態であり、圧力と温度は点cと同じであり、エンタルピは253.4kJ/kgである。
【0058】
この冷媒液Cは、絞り330で減圧され熱交換器300の蒸発セクション251Aに流入する。モリエ線図上では、点eで示されている。圧力は、本発明の中間圧力であり、本実施例では0.35MPaと0.96MPaとの中間の値となる。ここでは、一部の液が蒸発して液とガスが混合した状態にある。
【0059】
蒸発セクション251A内で、前記中間圧力下で冷媒液Cは蒸発して、同圧力で飽和液線と飽和ガス線の中間の点f1に到る。ここでは液の一部が蒸発しているが、冷媒液Cはかなり残っている。
【0060】
点f1で示される状態の冷媒Cが、凝縮セクション252Aに流入する。凝縮セクション252Aでは、冷媒Cは第2の区画320を流れる低温の処理空気Aにより熱を奪われ、点g1に到る。
【0061】
点g1の状態の冷媒Cは、蒸発セクション251Bに流入し、ここで熱を奪われ液相を増やして点f2に到り、凝縮セクション252Bに流入する。ここで液相を増やして点g2に到る。同様にさらに蒸発セクション、凝縮セクションでの蒸発、凝縮を繰り返すが、図のモリエ線図では、面PCの蒸発、凝縮セクション以下を省略して、凝縮セクション252Bが膨張弁250に接続してあるものとして示してある。
【0062】
点g2はモリエ線図では飽和液線上にある。温度は18℃、エンタルピは224.7kJ/kgである。
【0063】
点g2の冷媒液Cは、絞り250で、温度5℃の飽和圧力である0.35MPaまで減圧され、点jに到る。この点jの冷媒Cは、5℃の冷媒液Cと冷媒ガスCの混合物として蒸発器210に到り、ここで処理空気Aから熱を奪い、蒸発してモリエ線図上の点aの状態の飽和ガスとなり、再び圧縮機260に吸入され、以上のサイクルを繰り返す。
【0064】
以上説明したように、熱交換器300内では、冷媒Cは蒸発セクション251では点eから点f1、あるいはg1からf2までといったように蒸発の状態変化を、凝縮セクション252では、点f1から点g1、あるいは点f2からg2までといったように凝縮の状態変化をしており、蒸発伝熱と凝縮伝熱であるため、熱伝達率が非常に高くまた熱交換効率が高い。
【0065】
さらに、圧縮機260、凝縮器220、絞り330、250及び蒸発器210を含む圧縮ヒートポンプHP1としては、熱交換器300を設けない場合は、凝縮器220における点dの状態の冷媒Cを、絞りを介して蒸発器210に戻すため、蒸発器210で利用できるエンタルピ差は401.5−253.4=148.1kJ/kgしかないのに対して、熱交換器300を設けた本実施の形態で用いるヒートポンプHP1の場合は、401.5−224.7=176.8kJ/kgになり、同一冷却負荷に対して圧縮機260に循環するガス量を、ひいては所要動力を16%も小さくすることができる。すなわち、サブクールサイクルと同様な作用を持たせることができる。
【0066】
次に、ヒートポンプHP1の冷房運転時の作用を説明する。図中点dまでは除湿運転時と同様であるので点dまでの説明は省略する。凝縮器220を出た、冷媒Cは絞り330を通過する。絞りを通過すると圧力は0.96MPaから0.35MPaまで減少し、図中点dから点j´に移行する。この点j´のエンタルピは、253.4kJ/kgで、温度は5℃である。そして冷媒は熱交換器300、蒸発器210で蒸発し点aに至る。
【0067】
図3の湿り空気線図を参照して、また構成については適宜図1を参照して、ヒートポンプHP1を備えた除湿空調装置21の除湿運転時の作用を説明する。図3中、アルファベット記号K、X、L、Mにより、各部における空気の状態を示す。この記号は、図1のフロー図中で丸で囲んだアルファベットに対応する。また、湿り空気線図は、後で説明する他の実施の形態である除湿空調装置についても、図3が適用できる。
【0068】
図中、空調空間101からの処理空気A(状態K)は、処理空気経路107を通して、熱交換器300の第1の区画310に送り込まれ、ここで蒸発セクション251で蒸発する冷媒Cによりある程度まで冷却される。これは蒸発器210で露点温度以下まで冷却される前の予備的冷却であるので予冷と呼ぶことができる。この間、蒸発セクション251で予冷されながら、ある程度は水分を除去され僅かながら絶対湿度を低下させながら点Xに到る。点Xは飽和線上にある。あるいは予冷段階では、点Kと点Xとの中間点まで冷却するものであってもよい。
又は点Xを越えて、多少飽和線上を低湿度側に移行した点まで冷却されるものであってもよい。
【0069】
予冷された処理空気Aは、経路108を通して、蒸発器210に導入される。
ここでは、膨張弁250によって減圧され、低温で蒸発する冷媒Cにより、処理空気Aはその露点温度以下に冷却され、水分を奪われながら、絶対湿度を低下させつつ乾球温度を下げて、点Lに到る。点Xから点Lまでの変化を示す太線は、便宜上飽和線とはずらして描いてあるが、実際は飽和線と重なっている。
【0070】
点Lの状態の処理空気Aは、経路109を通して熱交換器300の第2の区画320に流入する。ここでは凝縮セクション252内で凝縮する冷媒Cにより、絶対湿度一定のまま加熱され点Mに到る。点Mは、点Kよりも絶対湿度は十分に低く、乾球温度は低すぎない、適度な相対湿度の空気として、送風機102により吸い込まれ、空調空間101に戻される。
【0071】
熱交換器300では、蒸発セクション251での冷媒Cの蒸発により処理空気Aを予冷し、凝縮セクション252での冷媒Cの凝縮により処理空気Aを再熱する。そして蒸発セクション251で蒸発した冷媒Cは、凝縮セクション252で凝縮する。このように同じ冷媒Cの蒸発と凝縮作用により、蒸発器210で冷却される前後の処理空気A同士の熱交換を間接的に行う。
【0072】
凝縮器220には、経路124を通して外気Bが導入される。この外気Bは凝縮する冷媒Cから熱を奪い、加熱された外気Bは経路125を経由して送風機140に吸い込まれ、経路126を経由して屋外に排出される(EX)。
【0073】
ここで図3の湿り空気線図上に示す空気側のサイクルでは、第1の区画310で処理空気Aを予冷した熱量、すなわち第2の区画320で処理空気Aを再熱した熱量ΔHが熱回収分であり、蒸発器210で処理空気Aを冷却した熱量分がΔQである。また空調空間101を冷房する、冷房効果がΔiである。
【0074】
本第1の実施の形態の除湿空調装置21は、冷房運転時に空気・空気熱交換器としての熱交換器300を蒸発器として使用することにより、蒸発器の伝熱面積を増やして蒸発温度を上げて、冷房処理能力すなわち顕熱処理能力を増加させることができる。これによって、速やかに室温を下げることができ、いわゆる高顕熱比の乾燥し、高温の室内空調負荷に対応できる。
【0075】
すなわち、冷房運転時においては、図3の湿り空気線図中、空調空間101(図1)(状態K)を出た処理空気Aは熱交換器の第1の区画310(図1)、蒸発器210(図1)、熱交換器の第2の区画320(図1)において冷却され、熱交換器の第2の区画320を出た処理空気Aは図中の点Xの近傍の点で表される状態にある。
【0076】
本実施の形態の除湿空調装置21は、除湿運転時に、熱交換器300を蒸発器210を通過する前後の処理空気Aのレヒート熱交換器として使うことによって冷却による結露水分量を冷房運転時より増やし、除湿能力すなわち潜熱処理能力を増加させることができる。これによって、除湿運転時では、速やかに湿度を下げることができ、いわゆる低顕熱比の湿度の高い室内空調負荷にも対応できる。
【0077】
除湿空調装置21は、空調負荷の顕熱比が可変であり、しかも除湿運転、冷房運転いずれの運転形態においても省エネルギーな運転ができる。
【0078】
図4、図5を参照して、本発明の第2の実施の形態の除湿空調装置22を説明する。この実施の形態の、図1に示した第1の実施の形態の除湿空調装置21との相違点は、熱交換器300bで、平面PAと平面PBの蒸発セクション同士の間、また平面PCと平面PDの蒸発セクション同士の間に、それぞれ中間絞り331、332が設けられていることである。さらに、中間絞り331をバイパスするバイパス経路205が、中間絞り331をバイパスするバイパス経路206が設けられ、バイパス経路205中にソレノイドバルブ337、バイパス経路206中にソレノイドバルブ338が設けられていることである。
【0079】
すなわち図中、平面PA内の蒸発セクション251Aの端部と、平面PB内の蒸発セクション251Bの端部とが、中間絞り331を介して接続されており、平面PC内の蒸発セクション251Cの端部と、平面PD内の蒸発セクション251Dの端部とが、中間絞り332を介して接続されている。なお、中間絞り331と、ソレノイドバルブ337を含んで中間絞り機構293Aが、中間絞り332と、ソレノイドバルブ338とを含んで中間絞り機構293Bが構成されている。
【0080】
なお、本第2の実施の形態において、除湿運転時にソレノイドバルブ336を開とし、ソレノイドバルブ253を閉とし、冷房運転時にソレノイドバルブ336を閉とし、ソレノイドバルブ253を開とする点に関しては、前述の第1の実施の形態と同様である。また、典型的には、除湿運転時にソレノイドバルブ337、338は閉とする。除湿運転時にソレノイドバルブ337、338のどちらか一方を開とすることも可能である(共に開とした場合は、第1の実施の形態と実質的に同様となる)。以下、特記しない場合は、除湿運転時にはソレノイドバルブ337、338は閉とするとして説明する。ソレノイドバルブ337、338を閉とした場合、冷媒は、ソレノイドバルブ337、338を通過して流れることない。なお、中間絞り331、332は所定の開口面積を有する。
【0081】
このような構成において、除湿運転時に、絞り330を経て、蒸発セクション251Aに導入された冷媒Cは、蒸発セクション251A内で一部が蒸発して、湿り状態になって、凝縮セクション252Aに流入し凝縮する。そして中間絞り331で減圧され、平面PB内の凝縮セクション252Bに流入する。ここでさらに凝縮して、蒸発セクション251Bに流入し、蒸発する。さらにUチューブで方向転換して蒸発セクション251Cに流入して、さらに蒸発し、凝縮セクション252Cに流入する。ここで一部の冷媒Cが凝縮し、次に冷媒Cは中間絞り332に到る。ここで減圧され平面PD内の凝縮セクション252Dに流入し凝縮する。そして次に蒸発セクション251Dに流入する。ここで十分に蒸発した冷媒Cは、蒸発セクション251Eと、凝縮セクション252Eとを経て、経路203、そして膨張弁250に到り、減圧されて蒸発器210に流入する。
【0082】
ここで、蒸発セクション251Aでの蒸発圧力、ひいては凝縮セクション252Aに於ける凝縮圧力、すなわち第1の中間圧力、あるいは蒸発セクション251B、251C、凝縮セクション252B、252Cにおける圧力すなわち第2の中間圧力は、あるいは蒸発セクション251D、251E、凝縮セクション252D、252Eにおける圧力すなわち第3の中間圧力は、蒸発器210に入る前の処理空気Aの温度と後の処理空気Aの温度とによって定まる。圧力は、第1の中間圧力、第2の中間圧力、第3の中間圧力と順次低下する。
【0083】
図4に示す熱交換器300b、あるいは図1に示す熱交換器300は、蒸発伝熱と凝縮伝熱とを利用しているので、熱伝達率が非常に優れており、特に除湿運転時に熱交換器300bでは対向流形式で熱交換するので熱交換効率が非常に高い。また冷媒Cは、蒸発セクション251から凝縮セクション252、また凝縮セクション252から蒸発セクション251というように、冷媒流路内で全体としてほぼ一方向に強制的に流されるので、温度の高い処理空気Aと温度の低い処理空気Aとの間の熱交換効率が高い。ここで、全体としてほぼ一方向に流れるとは、例えば乱流であれば局所的には逆流することがあっても、また気泡の発生や瞬断により圧力波が発生し冷媒Cが流れ方向に振動しても、全体的に見れば冷媒流路中をほぼ一方向に流れることをいう。この第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、圧縮機260により昇圧された圧力で強制的に一方向に流される。
【0084】
ここで、熱交換効率φとは、高温側の流体の熱交換器入り口温度をTP1、出口温度をT、低温側の流体の熱交換器入り口温度をTC1、出口温度をTC2としたとき、高温側の流体の冷却に注目した場合、すなわち熱交換の目的が冷却の場合は、φ=(TP1−TP2)/(TP1−TC1)、低温の流体の加熱に注目した場合、すなわち熱交換の目的が加熱の場合は、φ=(TC2−TC1)/(TP1−TC1)と定義されるものである。
【0085】
図5を参照して、図4の実施の形態のヒートポンプHP2の除湿運転時の作用を説明する。図中、点aから点eまでは、図2の場合の除湿運転時と同様であるので、説明を省略する。
【0086】
熱交換器300bの蒸発セクション251Aに流入した点eの状態の冷媒Cは図2で説明した通り、第1の中間圧力で一部の液が蒸発して液とガスが混合した状態にある。
【0087】
この冷媒Cが蒸発セクション251Aでさらに蒸発し、モリエ線図上では湿り領域において飽和ガス線に近づいた点f1に到る。この状態の冷媒Cが凝縮セクション252Aに入り、ここで凝縮され点g1aに到る。ここまではほぼ第1の中間圧力における変化である。
【0088】
点g1aの状態の冷媒Cが、中間絞り331を介して減圧され、第2の中間圧力にある点g1bに到る。このとき前述のようにソレノイドバルブ337は閉である。平面PA内の冷媒流路である凝縮セクション252Aから平面PBの冷媒流路である凝縮セクション252Bに流入し、飽和液線に近い点h1に到る。この冷媒Cは、さらに蒸発セクション251B内において第2の中間圧力で蒸発して点f2に到る。以下同様に凝縮・蒸発を交互に繰り返して、中間絞り332で減圧され第3の中間圧力となった後、凝縮セクション252D、蒸発セクション251D、蒸発セクション251E、凝縮セクション252Eと冷媒流路を経由した冷媒Cは、モリエ線図上で図2の点g2に対応する点h3に到る。この点はモリエ線図では飽和液線上にある。温度は12℃、エンタルピは215.0kJ/kgである。
【0089】
点h3の冷媒液Cは、図2の場合と同様に、絞り250で温度5℃の飽和圧力である0.35MPaまで減圧され、点jの状態になり、5℃の冷媒液Cと冷媒ガスCの混合物として蒸発器210に到り、ここで処理空気Aから熱を奪い、蒸発してモリエ線図上の点aの状態の飽和ガスとなり、再び圧縮機260に吸入され、以上のサイクルを繰り返す。
【0090】
次に、ヒートポンプHP2の冷房運転時の作用を説明する。図中点dまでは除湿運転時と同様であるので点dから説明する。凝縮器220を出た、冷媒Cは絞り330を通過する。絞りを通過すると圧力は0.96MPaから0.35MPaまで減少し、図中点j´に移行する。この点j´のエンタルピは、253.4kJ/kgで、温度は5℃である。そして冷媒は熱交換器300、蒸発器210で蒸発し点aに至る。
【0091】
以上説明したように、熱交換器300b内では、冷媒Cが蒸発・凝縮の状態変化を交互に繰り返しており、蒸発伝熱と凝縮伝熱であるため、熱伝達率が非常に高い点は熱交換器300と同様である。
【0092】
また熱交換器300bでは、蒸発器210で冷却される前の処理空気Aは、第1の区画310内で、蒸発セクション251A、251B、251C、251D、251Eの順番に熱交換する。すなわち処理空気Aの温度勾配と蒸発セクションの温度勾配は同じ方向である。同様に、蒸発器210で冷却された後の処理空気Aは、第2の区画320内で、凝縮セクション252E、252D、252C、252B、252Aの順番に熱交換する。すなわち処理空気Aの温度勾配と凝縮セクションの温度勾配は同じ方向である。このことから、蒸発器210で冷却される前後の処理空気A同士では、対向流の関係で熱交換していることになる。したがって、熱交換器300bでは、蒸発伝熱と凝縮伝熱とを利用していることと相まって、非常に高い熱交換効率を達成できる。
【0093】
また、除湿運転時に蒸発器210で利用できるエンタルピ差が従来のヒートポンプと比較して著しく大きく、同一冷却負荷に対して圧縮機に循環するガス量を、ひいては所要動力を21%(1−(401.5−253.4)/(401.5−215.0)=0.21)も小さくすることができる点も、図2の場合と同様である。
【0094】
次に、本実施の形態の除湿空調装置22の冷房運転について説明する。冷房運転の場合は、ソレノイドバルブ336を閉として、絞り335を冷媒Cが流れないようにし、ソレノイドバルブ253を開として、冷媒Cが絞り250の前後で圧力損失が発生しないようにする。このとき、ソレノイドバルブ337、338を開にすると、中間絞り331、332が取り付けられていない場合に相当し、第1の実施の形態の冷房運転と実質的に同様である。すなわち、前述のように熱交換器300bの凝縮セクション252A〜Eと、蒸発セクション251A〜Eにおける冷媒Cの圧力が、蒸発器210における冷媒Cの圧力にほぼ等しくなり、蒸発器210に加えて凝縮セクション252A〜Eと、蒸発セクション251A〜Eにおいて冷媒Cの蒸発が発生する。
【0095】
ここで、例えば前述の状態からソレノイドバルブ337を閉とすれば、熱交換器300bの凝縮セクション252B〜Eと、蒸発セクション251B〜Eにおける冷媒Cの蒸発圧力が、蒸発器210における冷媒Cの圧力にほぼ等しくなり、凝縮セクション252Aと、蒸発セクション251Aにおいて冷媒Cの、蒸発器210での蒸発圧力と凝縮器220での凝縮圧力との中間圧力での凝縮、蒸発が発生する。
【0096】
ここで、さらにソレノイドバルブ338も閉とすれば、熱交換器300bの凝縮セクション252D、Eと、蒸発セクション251D、Eにおける冷媒Cの蒸発圧力が、蒸発器210における冷媒Cの蒸発圧力にほぼ等しくなり、凝縮セクション252Aと、蒸発セクション251Aにおいて冷媒Cの第1の中間圧力での凝縮、蒸発が発生し、凝縮セクション252B、Cと、蒸発セクション251B、Cにおいて冷媒Cの第2の中間圧力での凝縮、蒸発が発生する。第1の中間圧力は第2の中間圧力より大きい。
【0097】
したがって、冷房運転時において、ソレノイドバルブ337、338を開閉することによって、除湿空調装置22の冷房能力を変えることができ、(1)ソレノイドバルブ337、338を閉にした状態から、(2)ソレノイドバルブ338を開にし、ソレノイドバルブ337を閉にした状態、(3)ソレノイドバルブ337、338を開にした状態と、冷却の伝熱面積を順次増やし、冷房能力を順次増やすことができる。
【0098】
ヒートポンプHP2を備えた除湿空調装置22の作用は、定性的には図3の湿り空気線図で説明したのと同様であるので、説明を省略する。
【0099】
本実施の形態では、熱交換器300bにおいて、中間絞り331、332が凝縮セクション側に設けられてもよい。また、絞りと、この絞りをバイパスするソレノイドバルブを取り付ける代わりに、閉の状態になった場合、対応する絞りと同じ開口面積を有するように形成されたソレノイドバルブを取り付けてもよい。
すなわち、絞り330と並列に、絞り335の開口面積と同じ開口面積を持ったソレノイドバルブ336のみをバイパス経路202Aに取り付けてもよく、絞り250の開口面積と同じ開口面積を持ったソレノイドバルブ253のみを経路203に取り付けてもよい。
【0100】
なお図1、図4には、ドレンパン450が示されているが、これは蒸発器210の下方に限らず、熱交換器300、300bの下方もカバーするように設けるのがよい。特に第1の区画310の下方に設けるのがよい。熱交換器300、300bの第1の区画310では、処理空気Aを主として予冷するが、一部の水分はここで結露することもあるからである。
【0101】
以上の第1、第2の実施の形態は、第1の区画310には、空調空間101からの戻り空気を導入するものとして説明したが、空調空間101からの戻り空気を導入せずに外気を導入してもよい。湿度と温度の高い外気は、蒸発器210で冷却する前に予冷するのが好ましく、このように構成することにより、全量外気を必要とする病院やレストランの空調を高いCOPをもって行うことができる。
【0102】
図6を参照して、本発明の除湿空調装置に用いられる熱交換器300cの構造の一例を、さらに説明する。(a)は温度の低い処理空気A及び温度の高い処理空気Aの流れ方向に見た平面図、(b)は低温及び高温の処理空気Aの流れに直角な方向から見た側面図である。すなわち、(a)は(b)のA−A矢視図である。(a)において、温度の低い処理空気Aは紙面の手前から先方に流れ、温度の高い処理空気Aは先方から手前側に流れる(図中の矢印参照)。この熱交換器では、チューブは、低温及び高温の処理空気Aの流れに直交する4つの平面PA、PB、PC、PD内にそれぞれ8列に配列されている。平面PDの下に不図示の平面PEを設け、平面PE内にさらに8列配列してもよい。すなわち、本図に示す熱交換器300cは、処理空気Aの流れに沿って4行8列に配列されている。図1、図4では、便宜上、各平面PA、PB、PC、PD内の熱交換チューブは、各行1列であるものとして説明したが、典型的にはこのように各行に複数のチューブ列が含まれる。
【0103】
第1の平面PAから次の平面PBに移る箇所に中間絞り331が、平面PBから平面PCに移る箇所に、不図示の中間絞り332が、また平面PCから平面PDに移る箇所に中間絞り333が設けられている。ここでは、1つの平面から次の平面に移る箇所に1つの絞りが設けられているが、例えばPAに属するチューブ列は、複数の層に構成されていてもよい。そして各層から次の層に移る箇所に中間絞りが設けられる。
【0104】
また、図6に示されるような8列4層(行)の熱交換器を、低温と高温の処理空気Aの流量に対応させて、それらの流れに対して並列に並べてもよいし、直列に並べてもよい。
【0105】
さらに、例えば図5のモリエ線図において、冷媒Cの蒸発と凝縮の繰り返しは、飽和液線を越えて過冷却領域に入り込んでもサイクルとしては成立するが、処理空気A同士の熱交換であることを考慮すると、冷媒Cの相変化は湿り領域の中で行われるのが好ましい。したがって図6に示す熱交換器では、絞り330(図1、図4)に接続される最初の蒸発セクションの伝熱面積を、その後の蒸発セクションの伝熱面積よりも大きく構成するのが好ましい。また絞り250(図1、図4)に流入する冷媒Cは、飽和かあるいは過冷却領域にあるのが好ましいので、絞り250に接続される凝縮セクションの伝熱面積を、その前の凝縮セクションの伝熱面積よりも大きく構成するのが好ましい。
【0106】
以上説明した実施の形態では、処理空気Aを露点以下に冷却する蒸発器210と、処理空気Aを予冷却する予冷却器とての熱交換器300、300b、300c、再加熱を行う再加熱器としての熱交換器300、300b、300c、の熱伝達媒体を同じ冷媒を用いるようにしたので、冷媒系が単一に単純化され、また蒸発器210、凝縮器220間の圧力差を利用できるため循環が能動的になり、さらに予冷、再加熱の熱交換に相変化を伴う沸騰現象を応用できるようにしたので、効率を高くすることができる。
【0107】
以上の実施の形態では、空調空間を空調する除湿空調装置として説明したが、必ずしも空調空間に限らず、本発明の除湿装置は、他の除湿を必要とする空間に応用することもできる。
【0108】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、凝縮器の凝縮圧力と蒸発器の蒸発圧力との中間の圧力で冷媒の蒸発と凝縮を行い、中間圧力蒸発により低熱源流体を冷却し、中間圧力凝縮により低熱源流体を加熱する熱交換手段を備え、低熱源流体は、熱交換手段での冷却と蒸発器での冷却と熱交換手段での加熱とをこの順番で受けるので、蒸発器での冷却の前に熱交換手段により予冷できるし、その予冷の冷熱を、蒸発器で一旦冷却された低熱源流体から回収することができ、動作係数の高いヒートポンプを提供することが可能となる。
【0109】
また処理空気を低熱源とし、蒸発器で処理空気を露点温度以下に冷却するようにすれば、除湿量当たりのエネルギー消費量が小さい除湿装置を提供することが可能となる。
【0110】
さらに、凝縮器と熱交換手段との間の冷媒経路中に設けられた第1の絞り機構と、熱交換手段と蒸発器との間の冷媒経路中に設けられた第2の絞り機構とを備え、第1の絞り機構及び第2の絞り機構は、開口面積が切り替え可能に構成されているので、第1の絞り機構の開口面積を絞りを形成する開口面積とし、第2の絞り機構の開口面積を取り付けられた経路の断面積にほぼ等しく、絞りを形成しないようにすれば、熱交換手段で蒸発器での蒸発圧力にほぼ等しい圧力で冷媒が蒸発するようにでき、冷却能力を増すことができ、高顕熱比の冷却負荷に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である除湿空調装置のフロー図である。
【図2】図1に示す除湿空調装置のヒートポンプのモリエ線図である。
【図3】図1の除湿空調装置の除湿運転時の作動を説明する湿り空気線図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態である除湿空調装置のフロー図である。
【図5】図4に示す除湿空調装置のヒートポンプのモリエ線図である。
【図6】本発明の実施の形態であるヒートポンプに使用して好適な熱交換器の模式的平面図及び側面図である。
【図7】従来のヒートポンプと除湿空調装置のフロー図である。
【図8】図7に示す従来のヒートポンプのモリエ線図である。
【図9】図7に示す従来の除湿空調装置の作動を説明する湿り空気線図である。
【符号の説明】
21、22 除湿空調装置
101 空調空間
102、140 送風機
210 蒸発器
220 凝縮器
251A、251B、251C、251D、251E 蒸発セクション
252A、252B、252C、252D、252E 凝縮セクション
250 絞り
253 ソレノイドバルブ
260 圧縮機
291 第1の絞り機構
292 第2の絞り機構
293A、B 中間絞り機構
300、300b、300c 熱交換器
310 第1の区画
320 第2の区画
330 絞り
331、332 中間絞り
335 絞り
336、337、338 ソレノイドバルブ
HP1、HP2
PA、PB、PC、PD、PE 平面
Claims (5)
- 冷媒を昇圧する昇圧機と;
前記冷媒を凝縮して高熱源流体を加熱する凝縮器と;
前記冷媒を蒸発して低熱源流体を冷却する蒸発器と;
前記凝縮器と前記蒸発器とを接続する冷媒経路中に設けられた、前記凝縮器の凝縮圧力と前記蒸発器の蒸発圧力との中間の圧力で冷媒の蒸発と凝縮を行い、前記中間圧力蒸発により前記低熱源流体を冷却し、前記中間圧力凝縮により前記低熱源流体を加熱する熱交換手段と;
前記凝縮器と前記熱交換手段との間の前記冷媒経路中に設けられた、開口面積が切り替え可能な第1の絞り機構と;
前記熱交換手段と前記蒸発器との間の前記冷媒経路中に設けられた、開口面積が切り替え可能な第2の絞り機構とを備え;
前記低熱源流体は、前記熱交換手段での冷却と前記蒸発器での冷却と前記熱交換手段での加熱とをこの順番で受けるように構成された;
ヒートポンプ。 - 前記中間圧力が、少なくとも第1の中間圧力と、該第1の中間圧力よりも低い第2の中間圧力とを含み;
前記熱交換手段における冷却は、前記第1の中間圧力での蒸発、前記第2の中間圧力での蒸発の順番で行われ;
前記熱交換手段における加熱は、前記第2の中間圧力での凝縮、前記第1の中間圧力での凝縮の順番で行われるように構成され;
前記熱交換手段は、開口面積の増減が可能に構成された中間絞り機構を有し;前記第1の中間圧力で蒸発し凝縮した前記冷媒が前記中間絞り機構を通過し、前記第2の中間圧力で凝縮し蒸発するよう構成された;
請求項1に記載のヒートポンプ。 - 冷媒を昇圧する昇圧機と;
前記冷媒を凝縮して高熱源流体を加熱する凝縮器と;
前記冷媒を蒸発して処理空気を露点温度以下まで冷却する蒸発器と;
前記凝縮器と前記蒸発器とを接続する冷媒経路中に設けられた、前記凝縮器の凝縮圧力と前記蒸発器の蒸発圧力との中間の圧力で冷媒の蒸発と凝縮を行い、前記中間圧力蒸発により前記処理空気を冷却し、前記中間圧力凝縮により前記処理空気を加熱する熱交換手段と;
前記処理空気が前記熱交換手段での冷却と前記蒸発器での冷却と前記熱交換手段での加熱とをこの順番で受けるように、前記熱交換手段と前記蒸発器とを接続する、処理空気経路と;
前記凝縮器と前記熱交換手段との間の前記冷媒経路中に設けられた、開口面積が切り替え可能な第1の絞り機構と;
前記熱交換手段と前記蒸発器との間の前記冷媒経路中に設けられた、開口面積が切り替え可能な第2の絞り機構とを備える;
除湿装置。 - 冷媒を昇圧する昇圧機と;
前記冷媒を凝縮する凝縮器と;
前記冷媒を蒸発させて処理空気を露点温度以下まで冷却する蒸発器と;
前記蒸発器で冷却する前記処理空気の流れの上流側と下流側とで前記処理空気の予冷と再加熱とを行う熱交換手段と;
前記熱交換手段に供給される直前の前記冷媒が通過する、開口面積が切り替え可能な第1の絞り機構と;
前記蒸発器に入る直前の冷媒が通過する、開口面積が切り替え可能な第2の絞り機構とを備え;
前記熱交換手段に、前記蒸発器に入る前の冷媒を供給するように構成する;
除湿装置。 - 冷媒を昇圧する昇圧機と;
前記冷媒を凝縮して高熱源流体を加熱する凝縮器と;
前記冷媒を蒸発して処理空気を露点温度以下まで冷却する蒸発器と;
前記凝縮器と前記蒸発器とを接続する冷媒経路中に設けられた、前記凝縮器の凝縮圧力と前記蒸発器の蒸発圧力との中間の圧力で冷媒の蒸発と凝縮を行い、前記中間圧力蒸発により前記処理空気を前記蒸発器に入る前に冷却し、前記中間圧力凝縮により前記処理空気を前記蒸発器を出た後に加熱する熱交換手段とを備え;
前記熱交換手段によって前記処理空気を冷却した後前記熱交換手段によって加熱する第1の運転形態と、前記熱交換手段を前記蒸発器とほぼ同じ圧力で冷媒を蒸発させるように切り替えることによって前記処理空気を冷却する第2の運転形態とを切り替え可能に構成したことを特徴とする;
除湿装置。
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