JP3698218B2 - 搾乳器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、負圧により母乳を搾り出すための搾乳器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
母乳を搾り出すための搾乳器は、一般に、乳房の上にはまるフード部と、このフード部内に負圧を発生させるポンプと、搾り出された母乳を受けるための容器とを有している。
このような母乳用の搾乳器は、たとえば特開平1−317448号公報に開示されている。従来の搾乳器においては、手動操作可能なポンプをフード部及び容器から取り外して駆動ユニットに収容・保持し、ポンプのピストンを駆動ユニットに備えられているモータ等を使った電動式のピストン駆動手段に接続して往復運動させることにより、フード部内において負圧を発生させて母乳を搾り出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の搾乳器では、駆動ユニットを必要とするため大掛かりなものとなり、運搬が困難であるという問題があった。従って、母乳を搾り出すための搾乳器は、簡単な構成により手軽に母乳を搾り出すようにできることが望ましい。
そこで、この発明は上記課題を解消するためになされものであり、簡単な構成で手軽に母乳を搾り出すことができる搾乳器を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明にあっては、負圧により母乳を搾り出すための搾乳器において、乳房に当てるための搾乳部と、前記搾乳部に接続配置され、前記搾乳部内に前記負圧を発生させる負圧発生手段と、前記搾乳部に接続配置され、前記負圧により搾り出された前記母乳を一時的に溜める第1貯留部と、前記搾乳部に接続配置され、前記第1貯留部に一時的に溜められた前記母乳を溜める第2貯留部と、前記搾乳部の内外をつなぐ吸排気管と前記吸排気管との途中に接続され、前記搾乳部内の空気を吸気して前記搾乳部外へ排気する吸排気手段を駆動する駆動手段とを備えており、該駆動手段の駆動により生成される回転力により負圧開放口を閉止し、該駆動手段の駆動停止により、前記回転力が消失することで、前記負圧開放口を開放する構成とした搾乳器により、達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、この発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0007】
図1は、この発明の搾乳器の好ましい一形態を表す斜視図であり、図2及び図3はその主要部の断面側面図である。
この搾乳器は、母乳を搾る働きをするフード部10と、母乳を搾る際の駆動源となる駆動部20と、搾った母乳を貯留する貯留部40とを備えている。この搾乳器は、フード部10の上部に駆動部20が接続配置され、フード部10の下部に貯留部40が接続配置されている。
【0008】
まず、フード部10について説明する。
フード部10は、ラッパ状部分11と、このラッパ状部分11と一体成形された筒状部分12と、この筒状部分12と一体成形された蓋部13とで成る搾乳部を備え、さらに、筒状部分12と蓋部13との接続部に設けられた排乳口121に接続され、かつ貯留部40側に延びるチューブ122を覆うように設けられた一時保存部14を備えている。
【0009】
ラッパ状部分11は、乳房と乳首を囲むような形状をなし、ラッパ状部分11と筒状部分12は、排乳口121に続く母乳通路111を画成している。
筒状部分12の周側面には、後で詳述する圧力調節手段28が配設され、筒状部分12の後端には、チューブ122に接続され、かつ駆動部20側に延びるチューブ123が一体成形されている。
蓋部13のメネジ131は、貯留部40の首部401の回りに形成されているオネジ402と着脱可能にかみ合わされている。
【0010】
このフード部10のラッパ状部分11と、筒状部分12と、蓋部13とは、好ましくは透明の材料により成形されており、例えばポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂)等により成形されている。一時保存部14は、好ましくは不透明の材料により成形されており、例えば上述したABS、PP、PC等により成形されている。
【0011】
次に、駆動部20について説明する。
駆動部20は、第1のカバー21と、第2のカバー22を備えている。第1のカバー21は、第2のカバー22に対して着脱可能に取り付けられている。そして、第1のカバー21をはずすことにより、電源23を交換することができる。第1のカバー21と第2のカバー22は、好ましくは不透明の材料により成形されており、例えば上述したABS、PP、PC等により成形されている。
【0012】
第1のカバー21と第2のカバー22の中には、バッテリ等の電源23と、この電源23に接続された直流モータ等の駆動手段24、25及びこれらの駆動手段24、25を駆動制御する制御基板26と、駆動手段24に接続され、一時保存部14の開閉弁143を開閉する開閉手段30と、筒状部分12の後端に設けられたチューブ123に接続可能であって、ラッパ状部分11及び筒状部分12の内部と外部をつなぐ吸排気管31と、この吸排気管31の途中に接続され、かつ駆動手段25に接続された吸引ポンプ等の吸排気手段32と、吸排気管31の途中に設けられている負圧開放口313aを開閉する開閉手段33と、電源23と駆動手段24、25及び制御基板26の間に配置されたスイッチ34とを内蔵している。
【0013】
電源23は、例えば単3の電池が2本であり、第1のカバー21の中に着脱自在に配置されている。そして、オペレータがスイッチ34をオン操作することにより、電源23から駆動手段24、25及び制御基板26に対して直流電流が供給されるようになっている。
【0014】
電源23、駆動手段24、制御基板26、開閉手段30、スイッチ34及び一時保存部14により、一時的に溜めた母乳を貯留部40に移し替える第1貯留部を構成しており、電源23、駆動手段24、制御基板26及びスイッチ34が、この第1貯留部の駆動手段を構成している。
【0015】
一時保存部14は、図4に示すように、チューブ122に接続されるチューブ141と、このチューブ141の径より小さい径であって、チューブ141に接続されたチューブ142と、このチューブ142の開口部を開閉する平板状の開閉弁143とを備えている。
開閉弁143は、てこの形態でチューブ142近傍に取り付けられており、開閉弁143の一端側に取り付けられたバネ材144の復元力及びチューブ142近傍にスライド可能に取り付けられたピン145に挿入されている圧縮バネ146の復元力によりチューブ142の開口部を閉じ、ピン145の押下力によりチューブ142の開口部を開けるようになっている。
チューブ141及びチューブ142により母乳を一時的に溜める容器を構成し、開閉弁143、バネ材144及びピン145により開閉口を構成している。
【0016】
開閉手段30は、駆動手段24の駆動軸241に取り付けられたカム301と、このカム301により一方向の動作を規制されるカム受け材302と、このカム受け材302が固定され、カム受け材302の動作により一時保存部14のピン145を押し下げるピン303と、このピン303を押し上げる働きをする圧縮バネ304とを備えている。
【0017】
電源23、駆動手段25、制御基板26、吸排気管31、吸排気手段32、開閉手段33及びスイッチ34により、ラッパ状部分11及び筒状部分12の内部に負圧を発生させる負圧発生手段を構成しており、電源23、駆動手段25、制御基板26及びスイッチ34が、この負圧発生手段の駆動手段を構成している。
【0018】
吸排気管31は、図5の分解斜視図に示すように、空気通路が設けられたプレート311と、このプレート311に張り合わせられるプレート312と、このプレート312上に固定されるチューブ313、314とにより構成される。
プレート311表面には、溝形状の第1空気通路311a及び第3空気通路311cと、円形状の第2空気通路311bとが設けられており、各空気通路311a、311b、311cはプレート311内部で互いに連結されている。
プレート312には、第1空気通路311a、第2空気通路311b及び第3空気通路311cにそれぞれ対応した第1貫通穴312a、第2貫通穴312b及び第3貫通穴312cが設けられている。
チューブ313は、L字形状をなし、その一端はチューブ123に接続され、その他端は塞がれている。L字の曲がり部には開口が設けられており、この開口が第1貫通穴312aに連結されている。また、塞がれた他端に向かう途中の周側面には負圧開放口313aが設けられている。
チューブ314は、その一端は第3貫通穴311cに連結され、その他端は開放されている。
【0019】
吸排気手段32は、図5の分解斜視図に示すように、駆動手段25が固定され、かつその駆動軸251が突き出されているプレート321と、駆動手段25の駆動軸251に接続されている吸引ポンプ322とを備えている。
プレート321は、プレート311に対して直角に一体成形されている。
吸引ポンプ322は、ダイヤフラム322aと、フランジ部322bと、ボス部322cと、スリーブ322dと、吸気弁322eと、排気弁322fと、偏心部材322gとを有している。
【0020】
図6及び図7に示すようにダイヤフラム322aとフランジ部322bは、ポンプ室322hを画成している。フランジ部322bには、吸気弁322eと排気弁322fが形成されている。排気弁322fの上面は、フランジ部322bの上面より低い位置に形成されている。これに対して、吸気弁322eの上面は、フランジ部322bの上面と面一となるように形成されている。排気弁322fの下面は、フランジ部322bの下面と面一となるように形成されている。これに対して、吸気弁322eの下面は、フランジ部322bの下面より低い位置に形成されている。
ボス部322cは、ダイヤフラム322aの中央部に一体に形成されている。スリーブ322dは、ボス部322cに取り付けられている。
【0021】
この吸引ポンプ322は、プレート311とプレート312に挟み込まれて配置される。即ち、フランジ部322bがプレート311の第2空気通路311bに位置するように、かつ吸気弁322eと排気弁322fがプレート311の第1空気通路311aと第3空気通路311cに位置するように配設された後、ダイヤフラム322aがプレート311の第2空気通路311bから突き出すように配設される。
偏心部材322gは、駆動手段25の駆動軸251に接続されており、偏心部材322gの偏心部322hがスリーブ322dに回転可能に挿入される。
【0022】
開閉手段33は、図8の分解斜視図に示すように、リング状の部材331aと円盤状の部材331bで円錐台形を形成するように構成され、偏心部材322gが内部に挿入されると共に偏心部材322gを貫通する駆動軸251が円盤状の部材331bの中心穴に貫通される押付け部331と、この押付け部331と偏心部材322gの間に等配置(この例では2等配)された重り332と、押付け部331によりチューブ313の負圧開放口313aを開閉する負圧開放口開閉部333とを備えている。
【0023】
重り332はバネ材で成る2本の足を有しており、一方の足332aは押付け部331を構成する円盤状の部材331bの外周に固定され、他方の足332bは偏心部材322gの一端のフランジ部322iの外周に固定される。
負圧開放口開閉部333は、プレート312に対して直角に一体成形されているプレート334上にてこの形態で固定されている。負圧開放口開閉部333の一端が押付け部331の押圧力により押されると、負圧開放口開閉部333の他端が負圧開放口313aを閉じ、負圧開放口開閉部333の一端が押付け部331の押圧力から開放されると、この一端に固定されている圧縮バネ333aの復元力により負圧開放口開閉部333の他端が負圧開放口313aを開けるようになっている。
【0024】
圧力調節手段28は、図9の断面側面図及び図10の分解斜視図に示すように、略円筒状のボディ281の端面側に開口した凹陥部281aに、通気路281bが連通されている。凹陥部281aの底面の中央には軸受穴281cが設けられ、この軸受穴281cの外側には通気路281bに連通し、かつ周方向に延びる円弧状の連通溝281dが設けられ、この連通溝281dが途切れた部分には位置決め用の突起281eが設けられている。そして、凹陥部281aの開口端の内側にはV字状に切り欠いたノッチ281fが周方向に等間隔に複数個設けられていると共に、開口端の外側にはツマミ282の抜けを防止するためのフランジ281gが形成されている。
【0025】
凹陥部281a内には、ノズル板283、通路体284及び回転部材285が底面側から逐次的に収納されている。
ノズル板283は、円形の薄板材から成り、その中心には軸受穴281cと同径の中心穴283aが設けられていると共に、その外側には突起281eが貫通する貫通穴283bと、連通溝281dに連通されるよう同心上に配置された互いに径の異なる複数個のノズル孔283cとが設けられている。
通路体284は、円盤形を成し、その一面の中央には中心穴283aを貫通して軸受穴281cに嵌合される軸284aが突出形成されていると共に、その他面の貫通穴283bとノズル孔283cとに対応する位置には突部284bが突出形成されている。この突部284bには、突起281eを挿入できる通気孔284cが貫装されており、挿入された突起281eにより通路体284の回動を防止している。通気孔284cの開口端は回転部材285の背面により閉鎖可能となっている。
【0026】
回転部材285は、凹陥部281aに緩くはまり合う円盤部285aと、その円盤部285aの上面中央に立設された角柱部285bと、円盤部285aの上面周縁に立設され、かつ上端部を円弧状に湾曲させたアーム部285cとを有している。アーム部285cの先端には、外側に突出するノッチ突起285dが設けられている。円盤部285aの下面には、通路体284の複数個の通気孔284cのうちの1個とのみ連通可能な扇形を成す切り欠き通路285eが設けられている。
ツマミ282は、互いに同心を成すように設けられた内筒部282a及び外筒部282bを有している。内筒部282aの中央には回転部材285の角柱部285bがはまり合う角柱穴282cが設けられ、これによりツマミ282と回転部材285を回転方向に一体としている。外筒部282bの内側にはボディ281からの抜けを防止するためフランジ281gに係合される爪部282dが設けられている。
【0027】
ここで、ツマミ282を回転すると、回転部材285も同方向に回転するので、回転部材285の裏面に設けた切り欠き通路285dが周方向に回転変位して、通路体284の通気孔284cに連通する。通路体284の通気孔284cは、ノズル板283に設けた互いに径の異なるノズル孔283cを介して通気路281bと連通しているので、ノズル孔283cの径の大きさに応じた外気が通気路281bに流れ込む。従って、ノズル孔283cを選択して通気路281bに流れ込む空気量を調節することにより、フード部10の筒状部分12内の負圧の大きさを適宜に調節することができる。
【0028】
尚、ツマミ282を回転すると、回転部材285のアーム部285cの先端に設けたノッチ突起285dがアーム部285cの弾性による押圧力に抗してボディ281の凹陥部281a内に設けたノッチ281f間を移動するため、その移動時における抵抗力の変化によりツマミ282を回転させる際の節度感を与えることができると共に、ノッチ281fによって回転部材285の位置決めを行うことができる。
【0029】
貯留部40は、蓋部13のメネジ131と着脱可能にかみ合うオネジ402及び開口部403を有する首部401と、この首部401と一体成形され、母乳を溜めるための容器404とを備えている。そして、この容器404は、搾乳器を安定しておくために底部が比較的広い面積となっている。
貯留部40は、好ましくは透明の材料により成形されており、例えば上述したPC、PP、ポリエチレン等により成形されている。
ところで、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えばバッテリ等の電源23を貯留部40の側部に配置してもよい。このようにするこにより、搾乳器の安定性を上げることができる。また、電源23は、バッテリの代わりに、ACアダプタを介しても良い。駆動手段24、25は、電動式のモータに限らず、例えばリニアモータやゼンマイ等でも良い。
【0030】
図11は、負圧発生手段及び第1貯留部の駆動制御ブロック図の一例を示す。電源23は、制御基板26内の制御部261及び駆動手段24、25にそれぞれ接続され、電力を供給するようになっている。
制御部261は、駆動手段24、25にそれぞれ接続され、所定のタイミングにより、駆動手段24、25の駆動を制御し、第1貯留部を構成する開閉手段30及び一時保存部14や、負圧発生手段を構成する吸排気手段32及び開閉手段33を動作させる。
【0031】
この制御タイミングは、例えば図12に示すように、駆動手段25を時点t1でオンし、時点t2でオフし、また時点t3でオンするというサイクルを繰り返した場合、駆動手段24は駆動手段25がオンのときはオフにし、オフのときはオンにするサイクルを繰り返す。1サイクルの時間は、例えば1.5秒であり、この時間は制御基板26に設けられているダイヤル262を回すことにより可変可能である。尚、駆動手段25をオフしてから駆動手段24をオンするまでに所定のタイムラグを設定しても良い。
【0032】
次に、上述した搾乳器により、母乳を搾り出す動作を図13のフローチャート及び図14から図17の動作状態を示す図を用いて説明する。尚、矢印MAは、母乳の流れを示ている。
オペレータが乳房にラッパ状部分11を押し当ててスイッチ34をオン操作すると(STP1)、駆動源23から駆動手段25に対して電力が供給されて、駆動軸251及び偏心部材322gが回転する(STP2)。これにより、図14及び図15に示すように、ダイヤフラム322aがスリーブ322d及びボス部322cに押されたり引っ張られる動作を繰り返す(STP3)。
【0033】
ほぼ同時に、押付け部333と共に重り332が回転し、遠心力により重り332が図15に示すように外方へ張り出す。すると、フランジ部322iに固定されている足332bはそのままの位置で曲がるが、円盤状の部材331bに固定されている足332aは円盤状の部材331b、即ち押付け部331を駆動軸251に沿って押し下げる(STP4)。そして、円盤状の部材331bは負圧開放口開閉部333の一端を押し下げ、負圧開放口開閉部333の他端は負圧開放口313aを閉じる(STP5)。
【0034】
その後、ダイヤフラム322aがスリーブ322d及びボス部322cに引っ張られると、吸気弁322eが開いて排気弁322fが閉じるので、ラッパ状部分11及び筒状部分12の内部の空気は、チューブ313から第1貫通穴312aを通り、吸気弁322eから第1空気通路311a及び第2空気通路311bを通ってポンプ室322h内に導かれる。
そして、ダイヤフラム322aがスリーブ322d及びボス部322cに押されると吸気弁322eが閉じて排気弁322fが開くので、ポンプ室322h内の空気は、第2空気通路311b及び第3空気通路311cを通り、排気弁322fから第3貫通穴312cを通ってチューブ314から外へ排気される(STP6)。
【0035】
この吸排気動作を繰り返すことにより、圧力調節手段28から若干の空気が筒状部分12内に流入するので、ラッパ状部分11及び筒状部分12の内部に所定の負圧を発生させることができ、搾乳することができる(STP7、8)。乳房から搾り出された母乳は、母乳通路111を通過して排乳口123へ向かって流れる(STP9)。母乳通路111を通過してきた母乳は排乳口123から流れ落ち、一時保存部14内に貯留される(STP10)。
【0036】
そして、制御部261は、所定時間、即ち図12に示す時点t1から時点t2までの時間が経過したか否かを判断し(STP11)、所定時間が経過していないときはSTP8に戻って上述した動作を繰り返す。
一方、所定時間が経過したならば、制御部261は、駆動源23から駆動手段25に対する電力の供給を停止して、駆動軸251及び偏心部材322gの回転を停止する(STP12)。これにより、ダイヤフラム322aがスリーブ322d及びボス部322cに押されたり引っ張られる動作も停止する(STP13)。
【0037】
ほぼ同時に、押付け部331と共に重り332の回転も停止し、重り332が図14に示すようにフランジ部322iに固定されている足332bの復元力により元の状態に戻る(STP14)。すると、円盤状の部材331bに固定されている足332aは円盤状の部材331b、即ち押付け部331を駆動軸251に沿って押し上げる。そして、圧縮バネ333aの復元力により負圧開放口開閉部333の一端が押し上げられ、負圧開放口開閉部333の他端は負圧開放口313aを開く(STP15)。
制御部261は、所定時間、即ち図12に示す時点t2から時点t3までの時間が経過したか否かを判断し(STP16)、所定時間が経過していないときはSTP15に戻って上述した動作を繰り返す。
【0038】
また、STP11において、所定時間が経過したならば、制御部261は、駆動源23から駆動手段24に対して電力を供給し、駆動軸241及びカム301を回転させる(STP17)。すると、図16及び図17に示すように、カム301によりカム受け材302及びピン303が押し下げられ、さらにピン303によりピン145が押し下げられる。そして、ピン145により開閉弁143が開けられ、チューブ142内に溜められた母乳を貯留部40内へ流出させる(STP18)。さらに、カム301が回転してカム受け材302から外れると、圧縮バネ304の復元力によりピン303が押し上げられ、ピン303とピン145が離れるので圧縮バネ146の復元力によりピン145が押し上げられる。そして、バネ材144の復元力により開閉弁143が閉じる(STP19)。
【0039】
制御部261は、所定時間、即ち図12に示す時点t2から時点t3までの時間が経過したか否かを判断し(STP20)、所定時間が経過していないときはSTP18に戻って上述した動作を繰り返す。
一方、所定時間が経過したときは、制御部261は、駆動源23から駆動手段24に対して電力の供給を停止し、駆動軸241及びカム301の回転を停止させる(STP21)。
以上のSTP12からSTP16までの動作と、STP17からSTP21までの動作は並行処理される。
【0040】
そして、オペレータは、搾乳を止めるか否かを判断し、搾乳を続行するときはそのままの状態でSTP2に戻って上述した動作を繰り返す。一方、搾乳を止めるときは、スイッチ34をオフ操作して終了する(STP22)。
尚、オペレータは負圧による吸引の調子を判断し、調子が悪いときは圧力調節手段28を搾乳中であっても調整することができる。
【0041】
図18には、この発明の搾乳器における搾乳器の吸引圧曲線の一例を示し、図19には、乳児の吸引圧曲線の一例を示している。
この発明の搾乳器における搾乳器の吸引圧曲線は、乳児の吸引圧曲線にかなり似ていて脈動していることが分かる。尚、この発明の搾乳器における吸引圧は、乳児の実際の吸引圧よりも高めに設定するのが好ましい。何故なら、乳児の場合には、実際は、吸引圧以外の要素を含んで母乳を飲んでいるからであると考えられるためである。
【0042】
図20においては、図1に示した搾乳器の実施の形態に、さらに乳頭アダプタ50を追加している。この乳頭アダプタ50は、フード部10における吸引動作の際に、乳房が吸い込まれて痛い思いをするのを防止するための部材である。
図21から図23に示すように、この乳頭アダプタ50は、乳房を受ける受け部51と、部分52を有している。この受け部51はラッパ状であり、受け部51の小径部分53は部分52に接続されている。部分52は円筒状であり、母乳の通路を有している。受け部51と部分52は、フード部10の内壁に接触することにより、乳頭アダプタ50を位置決めするようになっている。
受け部51には、複数の突起54が形成されている。フード部10における吸引動作により、乳房がこれらの突起54に対して押しつけられて、指の腹部等で刺激やマッサージをする(もむ動作)ような効果が得られる。そして、乳頭アダプタ50の作用と、上述した搾乳時の脈動の吸収との相乗効果により、よりリアルに指の腹部等で刺激やマッサージをする状態に近づき、あるいは乳児の母乳を吸う動作にも近づけることができる。
【0043】
以上述べた搾乳器を使用する前や使用した後は、殺菌のために搾乳器を煮沸消毒する必要がある。そのため、搾乳器のフード部10、駆動部20及び貯留部40は、図24に示すように分解することができる。即ち、フード部10の上部に載置されている駆動部20は、筒状部分12に設けられているチューブ123とチューブ313とがOリングを介して接続されているので、フード部10を抑えて駆動部20を引き上げれば取り外すことができる。また、フード部10の下部に配置されている貯留部40は、蓋部13のメネジ131と首部401のオネジ402がはめ合わされて接続されているので、フード部10を抑えて貯留部40を回せば取り外すことができる。尚、駆動部20を防水仕様にすれば、駆動部20も煮沸消毒することが可能となるので、フード部10と駆動部20を一体化することも可能である。
【0044】
尚、上述した形態の搾乳器の貯留部40に、例えば図25や図26に示すようなフード部10の反対側に位置する把手61やフード部10の両側に位置する把手62を設ければ、搾乳時の取扱いがさらに楽になり、また搾乳器の安定性を向上させることがきる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、簡単な構成でありながら、手軽に母乳を搾り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の搾乳器の一形態を示す斜視図。
【図2】図1に示す搾乳器の主要部の断面側面を示す第1の図。
【図3】図1に示す搾乳器の主要部の断面側面を示す第2の図。
【図4】図1に示す搾乳器の第1貯留部の詳細例を示す斜視図。
【図5】図1に示す搾乳器の負圧発生手段の詳細例を示す第1の斜視図。
【図6】図5に示す負圧発生手段の主要部の詳細例を示す第1の図。
【図7】図5に示す負圧発生手段の主要部の詳細例を示す第2の図。
【図8】図1に示す搾乳器の負圧発生手段の詳細例を示す第2の斜視図。
【図9】図1に示す搾乳器の圧力調節手段の一例を示す断面側面図。
【図10】図9に示す圧力調節手段の一例を示す分解斜視図。
【図11】図1に示す搾乳器の駆動制御ブロックの一例を示す図。
【図12】図11に示す駆動制御の一例を示すタイミングチャート。
【図13】図1に示す搾乳器の動作例を示すフローチャート。
【図14】図1に示す搾乳器の動作例を示す第1の断面側面図。
【図15】図1に示す搾乳器の動作例を示す第2の断面側面図。
【図16】図1に示す搾乳器の動作例を示す第3の断面側面図。
【図17】図1に示す搾乳器の動作例を示す第4の断面側面図。
【図18】図1に示す搾乳器における吸引圧曲線の一例を示す図。
【図19】乳児の吸引圧曲線の一例を示す図。
【図20】乳頭アダプタを備えるこの発明の他の実施の形態を示す平面図。
【図21】乳頭アダプタの正面図。
【図22】図21における乳頭アダプタのA−A線断面図。
【図23】乳頭アダプタの背面図。
【図24】図1に示す搾乳器の分解平面図。
【図25】この発明の搾乳器の別の実施の形態を示す平面図。
【図26】この発明の搾乳器のさらに別の実施の形態を示す平面図。
【符号の説明】
10 フード部
11 ラッパ状部分
12 筒状部分
13 蓋部
14 一時保存部
20 駆動部
21 第1のカバー
22 第2のカバー
23 電源
24 駆動手段
25 駆動手段
26 制御基板
28 圧力調節手段
30 開閉手段
31 吸排気管
32 吸排気手段
33 開閉手段
34 スイッチ
40 貯留部

Claims (7)

  1. 負圧により母乳を搾り出すための搾乳器において、
    乳房に当てるための搾乳部と、
    前記搾乳部に接続配置され、前記搾乳部内に前記負圧を発生させる負圧発生手段と、
    前記搾乳部に接続配置され、前記負圧により搾り出された前記母乳を一時的に溜める第1貯留部と、
    前記搾乳部に接続配置され、前記第1貯留部に一時的に溜められた前記母乳を溜める第2貯留部と、
    前記搾乳部の内外をつなぐ吸排気管と前記吸排気管との途中に接続され、前記搾乳部内の空気を吸気して前記搾乳部外へ排気する吸排気手段を駆動する駆動手段と
    を備えており、
    該駆動手段の駆動により生成される回転力により負圧開放口を閉止し、該駆動手段の駆動停止により、前記回転力が消失することで、前記負圧開放口を開放する構成とした
    ことを特徴とする搾乳器。
  2. 前記駆動手段により回転される押し付け部が、前記回転力により変形することで前記負圧開放口を閉止し、前記駆動手段が停止されて前記回転力が消失することにより前記押し付け部がもとの形に復元することにより前記負圧開閉口を開放する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の搾乳器。
  3. 前記第1貯留部は、前記母乳を一時的に溜める容器と、一時的に溜めた前記母乳を前記第2貯留部へ流出させる開閉口と、前記開閉口を開閉する第1開閉手段を駆動する第1駆動手段とを備え、前記負圧発生手段は、前記吸排気管と、前記吸排気手段と、該吸排気手段を駆動する前記駆動手段としての第2駆動手段と、前記第2駆動手段の駆動により前記吸排気管の途中に設けられている負圧開放口を閉じ、前記第2駆動手段の駆動停止により前記負圧開放口を開く第2開閉手段とを備え、かつ前記第1駆動手段の駆動時には、前記第2駆動手段の駆動が停止され、前記第2駆動手段の駆動時には、前記第1駆動手段の駆動を停止する制御部を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の搾乳器。
  4. 前記第1駆動手段は、直流モータである請求項3に記載の搾乳器。
  5. 前記第1駆動手段は、ソレノイドである請求項3に記載の搾乳器。
  6. 前記第1駆動手段は、バッテリにより駆動される請求項3ないし5のいずれかに記載の搾乳器。
  7. 前記第1駆動手段は、ACアダプタを介して駆動される請求項3ないし5のいずれかに記載の搾乳器。
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