JP3695517B2 - 正帯電用電子写真感光体、その製造方法および画像形成装置 - Google Patents

正帯電用電子写真感光体、その製造方法および画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正帯電用電子写真感光体、その製造方法および画像形成装置に関し、高い帯電電位が得られると共に、光減衰残留電位が低く光感度の向上を可能とする正帯電用電子写真感光体、その製造方法および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置として、感光体ドラムを画像形成装置の本体に回転可能に支持し、画像形成動作時には感光体ドラムの感光層に静電潜像を形成した後、この潜像を現像装置の一成分系現像剤によって可視像化する方式がある。このような方式においては、感光体ドラムが剛体から成る場合、現像ローラ上に極く薄く、例えばトナー粒子1個の厚さのトナー層を設け、潜像を形成した感光体ドラム表面と接触させるか或いは微小な間隔をあけて対置させる必要がある。しかしながら、感光体ドラムを高精度に製作することは困難であり、感光体ドラムの周面に僅かな歪みがあったり、製造上のバラツキがあると、ドラムと現像ローラ間に大きな隙間ができることによる画質低下や圧接する場合にはドラム表面を傷つける等の問題がある。そのため、感光体をベルト化したり、また、中間転写ベルトを採用する等の技術も開発されているが、ベルトを支持するために少なくとも2つのローラを必要とし、複写機を小型化するにあたり障害となる。そのため、弾性ローラ基体上に有機感光層を塗布形成して感光体ドラムとし、感光体ドラムの表面を弾性変形可能とする方式の開発が進められている。
【0003】
このような方式に関して、特公平4−69383号公報には、弾性ローラ基体として、ゴム等の弾性ローラ基体上に感光体支持層をアルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼等の薄膜のスリーブを嵌合して形成したり、また、導電性ゴムを弾性ローラ基体や感光体支持層として形成して、ドラムに外圧が作用した部分のみは変形するが他の部分は変形しないように構成し、また、外力が取り除かれたときには完全に元のスリーブ状態に復帰することを可能とすることにより、感光体ドラムが剛体から成る場合における問題を解決できるとする。
【0004】
また、このような電子写真感光体として、感光体表面を負極性に帯電させることにより画像出力を得る負帯電用電子写真感光体にあっては、感光体表面の帯電にむらが生じやすく画像のむらとなったり、また、帯電を与えるコロトロンに負極性の高電圧を印加するために多量のオゾンが発生し、環境問題や電子写真装置内の周辺部品への悪影響を来す等の問題を引き起こすという問題があり、正帯電用電子写真感光体の開発が進められているが、導電性基板材料にアルニウムを使用すると帯電特性が劣り、実用化に不向きであるという問題がある。
【0005】
そのため、正帯電用電子写真感光体に関して、特許第2855448号には、導電性基材材料が仕事関数4.2eV以上のカーボン系導電性熱可塑性樹脂組成物からなり、電荷発生材が有機顔料とした構成とすることにより、仕事関数の小さいアルミニウムの場合と比較して感光体表面の正電荷が導電性基板に注入されやすく、帯電特性に優れる感光体とできることを開示する。
【0006】
また、特開昭63−70258号公報には、正帯電用電子写真感光体において、導電性基板からの電荷注入による帯電電位低下を解決するために、導電性基板と有機感光層との間に障壁を形成するように仕事関数の大きい例えばパラジウム、金等の金属層を設けることにより、感光層への電荷注入を阻止し、帯電電位を大きく、暗減衰を小さくすることができることを開示している。
【0007】
本発明者等は、これらの正帯電用電子写真感光体を検討した結果、後者のごとく層構成部材としてパラジウム、金等の金属層を設けることは実用的ではなく、しかも、いずれの公報にあっても、課題として光感度の向上を記載するものの、正帯電用電子写真感光体として、帯電電位を大きく、暗減衰を小さくすることができることを開示するのみであり、また、感光体としての必要な性能である光減衰残留電位が低く光感度に優れる等の性能を発揮するにはいずれも不十分であることが判明した。また、いずれも、感光体支持体として導電性弾性ローラ基体を使用する場合について教示するものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、導電性弾性基体からなる正帯電用電子写真感光体にあって、帯電電位が大きく、かつ光減衰残留電位が低く光感度に優れる正帯電用電子写真感光体、その製造方法及び画像形成装置の提供を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の正帯電用電子写真感光体は、導電性弾性基体上に金属めっき層、該金属めっき層上に有機感光層を順次積層した電子写真感光体において、該金属めっき層は導電性弾性基体表面に無電解金属メッキ層、または該無電解金属めっき層上にさらに電解金属めっき層を積層して形成されたものであり、かつ、該導電性弾性基体の仕事関数をφR 、該金属めっき層の仕事関数をφM 、有機感光層の仕事関数φO とした時、φR >φO >φM で示される関係を有するものであることを特徴とする。
【0010】
また、上記の電子写真感光体における導電性弾性基体が導電性弾性ローラ基体であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の正帯電用電子写真感光体の製造方法は、導電性弾性基体上に無電解金属メッキ層、または該無電解金属めっき層上にさらに電解金属めっき層を積層して金属めっき層を形成し、次いで、該金属めっき層上に有機感光層を塗布形成し、導電性弾性基体の仕事関数をφR 、該金属めっき層の仕事関数をφM 、有機感光層の仕事関数φO とした時、φR >φO >φM で示される関係を有するものとされることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、感光体上に形成したトナー像を中間転写体上に転写し、該中間転写体上のトナー像を被転写材上に転写、定着する画像形成装置において、前記感光体が、導電性弾性ローラ基体上に無電解金属メッキ層、または該無電解金属めっき層上にさらに電解金属めっき層を積層した金属めっき層、該金属めっき層上に有機感光層を順次積層してなると共に、金属めっき層が導電性弾性ローラ基体に追随して弾性変形可能であり、かつ、導電性弾性ローラ基体の仕事関数をφR 、該金属めっき層の仕事関数をφM 、有機感光層の仕事関数φO とした時、φR >φO >φM で示される関係を有する正帯電用電子写真感光体としたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の正帯電用電子写真感光体の断面を説明するための図であり、図中1はパイプ、2はブッシュ、3は導電性弾性体層、4は金属めっき層、5は有機感光層である。
【0014】
本発明の正帯電用電子写真感光体について説明する。
【0015】
図1におけるパイプ1は金属製スリーブで、アルミまたは鉄等の素材が使用され、例えば鉄パイプ(STKM、φ28.6mm、厚み1.2mm)が例示される。また、ブッシュ2は、電子写真感光体を画像形成装置の本体に回転可能に支持するための部材であり、快削鋼(SUM)等の素材が使用され、パイプ1内に圧入や摩擦溶接等により挿入され、固定される。
【0016】
導電性弾性体層3は、体積抵抗で107 Ω・cm以下、好ましくは5×106 Ω・cm以下の導電性弾性体であり、カーボンブラック、金属粉等を練り込んだシリコンゴム、EPDMゴム、CRゴム、NBRゴム、SBRゴム、IIRゴム等の非発泡素材や発泡素材が例示されるが、120℃以上の耐熱性があること、ゴム硬度がJIS K6301Aで10度〜70度、好ましくは30度〜70度の範囲であること、加工性に優れること、耐溶剤性に優れること等の観点からはシリコンゴム、EPDMゴム、CRゴムが例示される。
【0017】
導電性弾性体層3は、押出成形で厚み3mm〜15mm、好ましくは4mm〜10mmの筒状に成形され、ブッシュ2を圧入したパイプ1上に圧入される。この場合、パイプ1の外径を導電性弾性体層3の内径より大きくすることにより導電性弾性体層3との密着性を上げることができ、接着剤を使用しなくとも固着を可能とできる。導電性弾性体層3の外表面は、切削や研磨加工等により表面粗さ(Ra)を0.2μm〜2μm程度、表面粗度(Rmax)を10μm以下とされる。
【0018】
次に、導電性弾性体層3の外表面には、無電解金属めっき層、必要に応じて無電解金属めっき層上にさらに電解金属めっき層を積層した金属めっき層4が設けられる。無電解金属めっきは、導電性弾性体層3の外表面を化学粗化し、さらにバラジウム等の核を形成した後、核を中心に無電解金属めっきを促進させるもので、めっき浴における浸漬時間を制御することより所望のめっき厚を得ることができる。
【0019】
無電解金属めっきにより2〜3μmの膜厚の金属めっき層を得るには、浸漬時間を5分前後、20μmの膜厚であれば60分以上であり、無電解金属めっきにより30μmの膜厚を得ることが可能であるが、厚い金属めっき層を得るには長時間を要するため、例えば15μm以上の金属めっき厚を必要とするならば無電解金属めっきにより数μmの膜厚のものとした後、電解金属めっきを併用して所望の金属めっき厚を確保するのが好適である。
【0020】
無電解金属めっきは、通常、アルカリ脱脂工程−酸中和工程−センシタイザー処理工程−アクチベーター処理工程−金属/還元剤からなるめっき工程からなるが、アルカリ脱脂工程にあっては、金属パイプ1の材質によりpHを変えるとよく、金属パイプ1が鉄の場合にはpH13の条件で、また、アルミニウムの場合にはpH9の条件で行なうと良い結果を与える。
【0021】
また、めっき浴温度はめっき速度を考慮して決められるが、銅めっきの場合には40℃、ニッケルめっきの場合には室温から約80℃の範囲で行なうとよい。
【0022】
金属めっき層を、無電解金属めっきと電解金属めっきの組み合わせ層とするには、無電解金属めっきにより銅をめっきした後、電解金属めっきにより錫、ニッケル、銅、鉛、アンチモン、銀、ビスマス、半田等を使用してめっきするとよく、その選択にあたっては、金属めっき層表面の延性のよいものであって、金属めっき層における仕事関数が後述する有機感光層における仕事関数より小さいものを選択するとよい。
【0023】
金属めっき層4の膜厚は、2μm〜50μm、好ましくは4μm〜30μmとするとよく、これにより、導電性と導電性弾性ローラ基体の弾性に追随できる弾性変形可能な金属層とすることができる。
【0024】
後述するように、金属めっき層上には有機感光層が設けられるが、有機感光層を塗布形成する際に使用される有機溶剤は、導電性弾性ローラ基体に対しても溶解性を有する場合が多く、感光性能や導電性弾性ローラ基体を劣化させる原因ともなるが、金属めっき層を設けることにより有機溶剤に対してのバリヤー層として機能させることができる。
【0025】
金属めっき層4上に設けられる有機感光層5は、導電層上に電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層した所謂機能分離型の積層感光体としてもよいが、長寿命の観点から単層感光体とするとよい。単層有機感光体層は、電荷発生剤、電荷輸送剤、増感剤等とバインダーからなる。
【0026】
電荷発生剤としてはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、キノシアトン系顔料、インジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、キナクリドン系顔料が挙げられ、好ましくはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料である。電荷輸送剤としてはヒドラゾン系、スチルベン系、フェニルアミン系、アリールアミン系、ジフェニルブタジエン系、オキサゾール系等の有機正孔輸送化合物が例示され、また、増感剤としては各種の電子吸引性有機化合物であって電子輸送剤としても知られているパラジフェノキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、クロラニル等が例示される。バインダーとしてはポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が例示される。
【0027】
各成分の組成比は、バインダー40重量%〜75重量%、電荷発生剤0.5重量%〜20重量%、電荷輸送剤10重量%〜50重量%、増感剤0.5重量%〜30重量%であり、好ましくはバインダー45重量%〜65重量%、電荷発生剤1重量%〜20重量%、電荷輸送剤20重量%〜40重量%、増感剤2重量%〜25重量%である。各成分はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤と共に、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、ペイントコンディショナー等の攪拌装置で粉砕・分散混合され、塗布液とされる。塗布液は、導電性弾性ローラ基体上にディップコート、リングコート、スプレーコート等により乾燥後の膜厚15μm〜40μm、好ましくは20μm〜35μmで塗布・乾燥されて有機感光層とされる。
【0028】
本発明の電子写真感光体を規定する仕事関数(φ)は、表面分析装置(理研計器(株)製AC−1)により測定されるものであり、本発明にあっては、導電性弾性基体の仕事関数をφR 、金属めっき層の仕事関数をφM 、有機感光層の仕事関数φO とした時、φR >φO >φM で示される関係を有するものとすることにより、帯電電位が高く、同時に光減衰残留電位の低く光感度に優れる正帯電用電子写真感光体が得られることを見いだした。
【0029】
導電性弾性基体の仕事関数(φR )は、4.3eV〜5.7eVであり、好ましくは4.4eV〜5.6eVである。また、金属めっき層における有機感光層積層側表面の仕事関数(φM )は、めっき条件、製作後の環境条件等により変化するが、電子写真感光体作製時にあって、3.4eV〜4.8eVとし、好ましくは3.5eV〜4.7eVのものとするとよい。また、有機感光層の仕事関数(φO )は、4.0eV〜5.6eVであり、好ましくは4.2eV〜5.5eVである。本発明にあっては、この条件の中で、φR >φO >φM で示される関係にあるものである。
【0030】
一般に、仕事関数の相違する層を積層した構造にあっては、仕事関数の小さい層から仕事関数の大きい層へと電子注入性を有することを考慮すると、本発明の正帯電用電子写真感光体にあっては、その詳細な理由は不明であるが、暗中にあってはφO >φM の関係があるとしても、φR >φO 、すなわち、導電性弾性基体の仕事関数を有機感光層の仕事関数より大きいものと設定することにより、層構成全体での導電性弾性基体から有機感光層への電荷注入性、すなわち、有機感光層表面を正帯電したとき導電性弾性基体に誘起される負電荷の注入性が抑制されて有機感光層表面の正電荷の帯電性が高められるものと考えられる。
【0031】
また、露光時にあっては、光キャリヤの発生にともない、φO >φM の関係による金属めっき層から有機感光層への電子注入性、言い換えると有機感光層から金属めっき層への正電荷の注入性が増大すると共に、φR >φO の関係があるとしても、導電性弾性基体と無電解めっき層により形成されるエネルギー障壁の低下が生じ、有機感光層から導電性弾性基体への正孔注入性が増大し、光減衰残留電位が低く光感度の向上した電子写真感光体となるものと考えられる。
【0032】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
【0033】
図2は、現像ユニットとしてロータリー多色現像ユニットを備えた画像形成装置を示す図であり、11はロータリー多色現像ユニット、12は本発明に係る正帯電用電子写真感光体、13は中間転写媒体、14は2次転写装置、15は定着装置、16は給紙トレイ、17は排紙トレイを示す。
【0034】
本発明の画像形成装置は、図2に示すように、本発明に係る正帯電用電子写真感光体12の外周に、その回転方向に沿って感光体12を一様に帯電するための帯電装置(図示せず)、感光体12上に静電潜像を形成するための露光装置(図示せず)、静電潜像を現像するためのロータリー多色現像ユニット11、感光体12上に形成された単色のトナー像を転写するための中間転写媒体13、及び1次転写装置(図示せず)などが配設される。また、中間転写媒体13の外周には、中間転写媒体13に形成された4色のフルカラー像を紙等の記録媒体上に転写するための2次転写装置14が配設される。そして、給紙トレイ16から記録媒体を2次転写装置14に搬送し、4色のフルカラー像が転写された記録媒体を排紙トレイ17へ搬送する経路にトナー像を定着するための定着装置15が配設される。ロータリー多色現像ユニット11には、Y、C、M、Kの4つの現像器が回転可能に配設され、感光体12の1回転毎に選択的に1つの現像器の現像ローラが感光体12に当接可能になっている。
【0035】
そして、図示しないコンピュータからの画像形成信号が入力されると、感光体12、ロータリー多色現像ユニット11の現像ローラ、中間転写媒体13が回転駆動され、まず、感光体12の外周面が帯電装置によって一様に帯電された後、露光装置によって第1色、例えばYの画像情報に応じた選択的な露光がなされ、イエローの静電潜像が感光体12の表面に形成される。このとき、ロータリー多色現像ユニット11は、イエロー用現像器の現像ローラが感光体12に当接するように回動されて接触する。このことにより、イエローの静電潜像のトナー像が感光体12上に形成される。その後、1次転写装置には、トナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加され、感光体12上に形成されたトナー像が中間転写媒体13上に転写される。この間、2次転写装置14は、中間転写媒体13から離間されている。上記の処理が画像形成信号の第2色目、第3色目、第4色目に対応して繰り返して実行されることにより、各画像形成信号の内容に応じた4色のトナー像が中間転写媒体13上において重ね合わされて転写される。そして、このフルカラー画像が2次転写装置14に達するタイミングで、搬送通路から2次転写装置14に記録媒体が搬送され、2次転写装置14が中間転写媒体13に押圧されるとともに2次転写電圧が印加され、中間転写媒体13上のフルカラートナー像が記録媒体上に転写される。このようにして記録媒体上に転写されたフルカラートナー像は、定着装置15により加熱加圧されて定着される。
【0036】
本発明に係る画像形成装置では、感光体12には、現像ローラ11、中間転写媒体13が当接状態とされる。本発明の感光体は、感光体ドラムを導電性弾性ローラ基体上に該導電性弾性ローラ基体に追随して変形可能な無電解金属めっき層、有機感光層を順次積層した構成とすることにより、現像ローラ11、中間転写媒体13により外圧が作用した部分のみは変形するが他の部分は変形しないように構成することができ、外力が取り除かれたときには完全に元のスリーブ状態に復帰することを可能とするものであり、これにより、感光体ドラムと現像ローラ間に大きな隙間ができても画質低下かなく、また、圧接してもドラム表面を傷つける等の問題がない。中間転写媒体13は剛体でもまた弾性体で形成されていてもよい。また、本発明の画像形成装置は、感光体として、導電性弾性ローラ基体上に無電解金属メッキ層、または該無電解金属めっき層上にさらに電解金属めっき層を積層した金属めっき層、該金属めっき層上に有機感光層を順次積層してなると共に、金属めっき層が導電性弾性ローラ基体に追随して弾性変形可能な金属めっき層からなり、かつ、導電性弾性ローラ基体の仕事関数をφR 、該金属めっき層の仕事関数をφM 、有機感光層の仕事関数φO とした時、φR >φO >φM で示される関係を有する正帯電用電子写真感光体とすることにより、高い帯電電位が得られると共に、光減衰残留電位が低く光感度の向上を可能とする画像形成装置とできるものである。
【0037】
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
厚み3mmの導電性CRゴム{東新化学工業(株)製、体積抵抗1×105 Ω・cm、ゴム硬度60度}を用意した。導電性弾性体表面の仕事関数を表面分析装置(理研計器(株)製AC−1)を用い、照射光量500nWの条件下で測定したところ4.68eVであった。
【0039】
この導電性弾性体表面を、▲1▼ アルカリ(pH=9.5)脱脂工程30分、▲2▼酸中和工程5分、▲3▼ センシタイザーとして日本カニゼン(株)製のピンクシューマーを使用したセンシタイザー処理工程10分、▲4▼ アクチベーターとして日本カニゼン(株)製のレッドシューマーを使用したアクチベーター処理工程10分の各工程を順次実施することにより処理した後、ニッケル/リンのめっき浴に10分間浸漬して4μmの膜厚で無電解金属めっき層を形成させた。この金属めっき層表面の仕事関数を同様に測定したところ4.54eVであった。
【0040】
次いで、有機感光層用組成
・ ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製) 21重量部
・ 無金属フタロシアニン(大日本インキ化学工業(株)製) 2重量部
・ ヒドラゾン化合物(アナン(株)製) 10重量部
・ トルエン 180重量部
をペイントコンデョショナー中で10分間分散混合し、塗布液を調製し、この塗布液を金属めっき層上にワイヤーバーにて塗布し、70℃、2時間で乾燥させ、乾燥膜厚21μmの有機感光層を積層し、正帯電用電子写真感光体を作製した。この有機感光層表面の仕事関数を同様に測定したところ4.58eVであった。
(実施例2)
実施例1で用いた導電性CRゴム板に代えて、導電性Siゴム{(株)イノアックコーポレーション製、体積抵抗2×105 Ω・cm、ゴム硬度40度}板を使用し、その表面の仕事関数を同様に測定したところ4.77eVであった。
【0041】
次いで、導電性弾性板の表面を、実施例1同様に前処理した後、銅/ホルムアルデヒドのめっき浴に10分間浸漬して0.1μmの膜厚で無電解銅めっき層を形成した後、電解めっき法により銅めっきを10μm行なった後、更に電解めっき法により半田(Sn90重量%、Pb10重量%)からなる電解めっき層を2.5μmの膜厚で形成し、積層構造の金属めっき層を形成した。金属めっき層表面の仕事関数を同様に測定したところ4.04eVであった。
【0042】
この金属めっき層表面に、実施例1同様に有機感光層を積層し、正帯電用電子写真感光体を作製した。この有機感光層表面の仕事関数を同様に測定したところ4.58eVであった。
(実施例3)
実施例2で用いた導電性弾性体表面を、実施例1同様に前処理した後、銅/ホルムアルデヒドのめっき浴に10分間浸漬して0.1μmの膜厚で無電解銅めっき層を形成した後、電解めっき法により銅めっきを10μm行なった後、更に電解めっき法によりニッケルめっき層を2.5μmの膜厚で形成し、積層構造の金属めっき層を形成した。金属めっき層表面の仕事関数を同様に測定したところ4.43eVであった。
【0043】
この金属めっき層表面に、実施例1同様に有機感光層を積層し、正帯電用電子写真感光体を作製した。この有機感光層表面の仕事関数を同様に測定したところ4.58eVであった。
(実施例4)
実施例2で用いた導電性弾性体表面を、実施例1同様に前処理した後、銅/ホルムアルデヒドのめっき浴に10分間浸漬して0.1μmの膜厚で無電解銅めっき層を形成した後、電解めっき法により銅めっき層を10μmの膜厚で形成した。銅めっき層表面の仕事関数を同様に測定したところ3.58eVであった。
【0044】
この金属めっき層表面に、実施例1同様に有機感光層を積層し、正帯電用電子写真感光体を作製した。この有機感光層表面の仕事関数を同様に測定したところ4.58eVであった。
(比較例1)
実施例1で用いた導電性CRゴム板に代えて、導電性NBRゴム{東新化学工業(株)製、体積抵抗1×105 Ω・cm、ゴム硬度60度)板を用意し、その表面の仕事関数を同様に測定したところ4.36eVであった。
【0045】
次いで、導電性弾性体表面に実施例1同様に無電解ニッケルめっき層を形成した。無電解ニッケルめっき層表面の仕事関数を同様の条件で測定したところ、実施例1における無電解ニッケルめっき層とは相違し、4.42eVであった。
【0046】
この無電解ニッケルめっき層表面に、実施例1同様に有機感光層を積層し、正帯電用電子写真感光体を作製した。この有機感光層表面の仕事関数を同様に測定したところ4.58eVであった。
(比較例2)
実施例1で用いた導電性弾性層の表面に、金属めっき層を設けないで、直接、有機感光層を実施例1同様に設け、正帯電用電子写真感光体を作製した。なお、導電性弾性体層の表面の仕事関数は、4.68eVであり、有機感光層表面の仕事関数は、4.58eVであった。
(帯電特性、光感度についての評価)
得られた各電子写真感光体について、帯電電位と光半減露光量E1/2( Lux・sec ) の測定を、川口電機製作所製の帯電特性測定装置(SP8200)を使用し、印加電圧+5.5kV、帯電時間10秒、暗減衰時間10秒、露光時間20秒の条件で、光源は白色光を10 Luxの照度で測定した。
【0047】
なお、光半減露光量E1/2( Lux・sec ) は表面電位600Vから300Vにまで減衰させるのに必要な露光量である。
【0048】
得られた各電子写真感光体における導電性弾性基体(φR )、金属めっき層(φM )、有機感光層(φO )の相互の関係を、下記表1に示す。なお、各実施例、比較例1、2とも、いずれもφO >φM で示される関係、すなわち、有機感光層の仕事関数が金属めっき層の仕事関数より大きいものである。また、帯電電位と光半減露光量、光減衰残留電位の測定結果を下記表2に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0003695517
【0050】
【表2】
Figure 0003695517
【0051】
実施例1と比較例1とは、導電性弾性基体を相違し、また、同様の方法で作製した無電解ニッケルめっき層の仕事関数を相違するものであるが、比較例1で作製した電子写真感光体は、導電性弾性基体、金属めっき層、有機感光層における各仕事関数の関係において、φR >φO で示される関係を満たすものではなく、光減衰残留電位が高く光感度も低いものであることがわかる。
【0052】
また、比較例2は金属めっき層を有しないものであるが、φR −φO =+0.10、すなわち、有機感光層から導電性弾性基体への電子注入性を有するにもかかわらず、帯電電位が低く、また、光感度も低いことがわかる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の正帯電用電子写真感光体は、帯電電位が大きく、かつ光減衰残留電位が低く光感度に優れるものである。また、本発明の正帯電用電子写真感光体の製造方法は、導電性弾性基体上に少なくとも無電解金属めっき層を介して有機感光層を塗布形成して作製するものであり、有機感光層における溶剤による導電性弾性基体に対する影響を無くすことができ、感光体としての感度の低下等がなく、また、帯電電位が大きく、かつ光減衰残留電位が低く光感度に優れる正帯電用電子写真感光体を製造することを可能とする。また、本発明の画像形成装置は、画質低下やドラム表面を傷つける等の問題のなく、また、帯電電位が大きく、かつ光減衰残留電位が低く光感度に優れる画像形成装置とできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の正帯電用電子写真感光体の断面説明図である。
【図2】 現像ユニットとしてロータリー多色現像ユニットを備えた本発明の画像形成装置を示す図である。
【符号の説明】
1はパイプ、2はブッシュ、3は導電性弾性体層、4は金属めっき層、5は有機感光層、11はロータリー多色現像ユニット、12は本発明に係る正帯電用電子写真感光体、13は中間転写媒体、14は2次転写装置、15は定着装置、16は給紙トレイ、17は排紙トレイ

Claims (4)

  1. 導電性弾性基体上に金属めっき層、該金属めっき層上に有機感光層を順次積層した電子写真感光体において、該金属めっき層は導電性弾性基体表面に無電解金属メッキ層、または該無電解金属めっき層上にさらに電解金属めっき層を積層して形成されたものであり、かつ、該導電性弾性基体の仕事関数をφR 、該金属めっき層の仕事関数をφM 、有機感光層の仕事関数φO とした時、φR >φO >φM で示される関係を有するものであることを特徴とする正帯電用電子写真感光体。
  2. 導電性弾性基体が導電性弾性ローラ基体であることを特徴とする請求項1記載の正帯電用電子写真感光体。
  3. 導電性弾性基体上に無電解金属メッキ層、または該無電解金属めっき層上にさらに電解金属めっき層を積層して金属めっき層を形成し、次いで、該金属めっき層上に有機感光層を塗布形成し、導電性弾性基体の仕事関数をφR 、該金属めっき層の仕事関数をφM 、有機感光層の仕事関数φO とした時、φR >φO >φM で示される関係を有するものとされることを特徴とする正帯電用電子写真感光体の製造方法。
  4. 感光体上に形成したトナー像を中間転写体上に転写し、該中間転写体上のトナー像を被転写材上に転写、定着する画像形成装置において、前記感光体が、導電性弾性ローラ基体上に無電解金属メッキ層、または該無電解金属めっき層上にさらに電解金属めっき層を積層した金属めっき層、該金属めっき層上に有機感光層を順次積層してなると共に、金属めっき層が導電性弾性ローラ基体に追随して弾性変形可能であり、かつ、導電性弾性ローラ基体の仕事関数をφR 、該金属めっき層の仕事関数をφM 、有機感光層の仕事関数φO とした時、φR >φO >φM で示される関係を有する正帯電用電子写真感光体としたことを特徴とする画像形成装置。
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